ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・ギャラガー

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
 しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたプライド元摂政がゼロメタル帝国を立ち上げ、その皇位継承者となったユウトがオメガレックスで帝国を襲撃したが、それも破り、ゼロメタル帝国の勢力を大きく落とした。だが、それは同時に新たな絶望の始まりだった。


第49話「赤き獅子王、バーニングライガー」

 突如、現れた本物の4体の赤いライガーの登場にツガミ大尉たちは驚きを隠せなかった。

 

 「あ、赤いライガー……本物か?」

 

 「ソノ姿、」

 

 3体のキメラゾイドのライダーは攻撃してきた4体の赤いライガーに気付き、

 

 「何だ、 新手か?」

 

 「関係ねぇ、俺の前に立ちはだかる者は全て叩き潰す!」

 

 「どうでもいいけど、さっさと終わらせたいよ。」

 

 

 赤いライガーもどきのゾイドが本物の赤いライガーにマシンガンを撃ち込みながら突っ込み、赤いライガーも突っ込みながら、インパクトガトリングでそれを迎撃した。

 続けてもう一体の赤いライガーがゼノレックスの頭部をしたステゴゼーゲにインパクトガトリングを撃ち込み、ゼノレックスの頭部をしたステゴゼーゲは回転するボーンソーで防ぎ、更にガブリゲーターの頭部をしたディメパルサーがマッドオクテットを放ち、残り2体の赤いライガーがそれをジャンプで回避し、そのまま回転しながら、インパクトガトリングをガブリゲーターの頭部をしたディメパルサーに撃ち込んだ。基地は完全に3体のキメラゾイドと4体の赤いライガーの戦場となり、合同軍は最早手を出せないでいた。

 

 「我が分身の紛い物を造る等、それは万死に値する!!」

 

 「ハッ、いくら同じバーニングライガーでも、俺のバーニングキメイラと貴様のバーニングライガーでは話になんねぇんだよ!」

 

 赤いライガーもどきのキメラゾイドは武装が多いにも関わらず、赤いライガーを上回る機動力でインパクトガトリングによる射撃を悉く回避し、瞬時に背後に回った。

 

 「所詮、オーガノイドは俺たち古代ゾイド人の奴隷でしかない! そして俺たち古代ゾイド人が進化したヒューマンオーガノイドと貴様らオーガノイドから進化したヒューマンオーガノイドじゃ、格が違うんだよ!」

 

 「しまった!」

 

 「死ねぇ~!!」

 

 赤いライガーもどきのキメラゾイドが赤いライガーに背後から襲いかかろうとしたその時、突然それを助けるかのようにユウトの乗るギルラプターLCが赤いライガーもどきのキメラゾイドに突進し、赤いライガーへの攻撃を防いだ。

 

 「このおぉ~! いい加減、目障りなんだよ、お前は!」

 

 赤いライガーもどきのキメラゾイドがユウトの乗るギルラプターLCに襲いかかろうとしたその時、赤いライガーの頭部のハッチが開き、そこからオレンジ色の光が飛び出し、シーザーがゼノレックスと融合したのと同様に赤いライガーと融合し、同時に赤いライガーの装備がインパクトガトリングから両足にレーザードリルを装備した姿になり、赤いライガーもどきのキメラゾイドがギルラプターLCに攻撃する直前に赤いライガーもどきのキメラゾイドの顎に直撃させ、ギルラプターLCを救った。

 

 そしてその赤いライガーが咆哮を上げると、帝国軍ゾイドのバイザーが割れ、次々と赤いライガーの元に集まってきて一斉に赤いライガーもどきのキメラゾイドに砲撃した。

 

 「くそっ、こいつら、いい加減に!」

 

 「ツガミ大尉、ここは一旦引きましょう。」

 

 「しかし、せめて一体だけでも…それにあのギルラプターLCの回収も……」

 

 「この状況、今の我々は圧倒的不利です。あの赤いライガーが注意を引いている間にこの場を離れ、体制を立て直しましょう。」

 

 「くそっ、」

 

 赤いライガーがキメラゾイドと交戦している隙にツガミ大尉率いる合同軍の捕獲部隊が撤退し、それをバイザーが割れたキャノンブルを噛み砕くガブリゲーターとディメパルサーのキメラゾイドが気付き、それに襲いかかろうとしたが、リュック大尉のキャノンブルがすかさず煙幕付きのミサイルを撃ち込み、基地全体が一気に煙幕に包み込まれるようになった。

 

 煙の中、2体目の赤いライガーがレーザードリルを装備した赤いライガーにテレパシーのようなもので話し掛け、

 

 「コバ、この隙に基地のゾイドを全て解放してずらかるぞ。」

 

 「ああ、このギルラプターもコクピットを剥がして解放しないと……」

 

 赤いライガーがギルラプターLCのコクピットを取り外そうとしたその時、ギルラプターLCが何故かコクピットを剥がすのを拒んだ。赤いライガーは再びコクピットを取り外そうとしても同じだった。

 やむなく赤いライガーはコクピットそのままにしてユウトごとギルラプターLCを連れ、バイザーが割れた帝国軍ゾイドと共に基地から離れた。

 煙幕が晴れ、3体のキメラゾイドが辺りを見渡すと、既に4体の赤いライガーと合同軍の姿はなくなっていた。

 

 「くそっ、散々俺たちをこけにしやがりながら、逃げやがったか!」

 

 「あ~あ、せっかくあいつらも噛み砕きたかったのに、拍子抜けだよ。」

 

 「どうでもいいから、とりあえず、基地をブッ壊せって命令だから、さっさと破壊して帰ろうぜ。」

 

 3体のキメラゾイドはゼロファントスダークス軍団と共に元真帝国の基地を破壊し、その場を去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ツガミ大尉の捕獲部隊がゼロメタル帝国軍と交戦している中、ラストの襲撃から逃れたレオたちはニューホープに向けて歩いていった。

 

 「なあ、アイセル、後、どれぐらいでニューホープに着くんだ?」

 

 「このまま順調に行けば、後5時間で着くわよ。」

 

 「まだ、そんなにかかるのかよ。さっきのこともあるし、もうクタクタだよ。」

 

 「あら、あんたはレオみたいに戦っていないでしょ。」 

 

 「うるせぇな! 俺は運び屋なんだよ!」

 

 「シーザーさん、」

 

 「何だい? レオ。」

 

 「アーサーさんが造ったオーガノイドの中にはあなたとクラウスさん、モーリスさんを含めて7人いるんですよね。後の4人はどうしているのですか?」   

 

 「そういえば、確か、残りの4人はコバ、ウルサス、オルド、ドッジとか言ったな。アダマン領域では一切顔を見なかったが、何処にいる?」

 

 「彼等は我々と違い、人間を激しく憎んでいる。故に人間との共存を目指す我々と行動を別にしている。今は何処にいるかはわからない。」

 

 「そういえば、お前のゼノレックスみたいに分身のゾイドがいたんだよな。一体どんな奴だ?」

 

 「それは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 プライドとラスはゼロメタル帝国の威厳を全世界に知らしめるためにゼロメタル帝国領にある旧北京の紫禁城跡を訪れ、そこにも新たな宮殿と拠点を築いていた。

 ゼロメタル帝国は130年前に起こったゾイドクライシスの時から地球に来、帝国、共和国の移民船が来るまでにゼロファントス軍団で各地を制圧し、ジャミンガとレックスジャミンガで帝国、共和国軍を脅かしていたため、その領域は既に北米大陸、アフリカ北部、中国、ロシアにまで及んでいた。

 本来は帝国、共和国の移民船が来るまでに世界を制圧し、地球に来た両国の移民船を撃墜させて地球を完全にゼロメタル帝国の支配下に置くつもりであったが、ゾイドクライシスの影響で長年地下に眠っていたシーザーらアドリア王国がその野望の阻止と現れたゾイドの保護のために活動した影響で全ての領域を制覇することは構わず、制圧出来なかった残りの領域は帝国、共和国の領土となったが、それでもゾイドクライシス以前の地球に君臨していた大国を予め制圧したことで、帝国、共和国の領土はヨーロッパ大陸南米の一部に留まり、現在に至った。

 

 「4000年の歴史を持った強大な帝国には易姓革命というのがあったようだな。」

 

 「皇帝に徳が無ければ、別の者に天命が下り、その者が新たな王朝を開き、皇帝の座につくというものか。」

 

 「正に我々がそれだ。皇帝の器となるユウトが失敗作になり、新たに皇帝の器となる存在が現れる。」

 

 「それがペンダントを奪ったセードということか。」

 

 「まさか、まだ、奴をあのままにしておくのか? アドリア王国が動いた以上、何としてもZGを復活させねば…」

 

 「ZGを復活させるためのゾイド因子は未だ不十分だ。その状態で目覚めさせては不完全体の状態になる。それに奴は戦いを欲している奴があのライガーの小僧とアドリア王国と交戦すれば、こちらとしては何かと都合がいい。精々奴には最後まで我々の野望の道具になってもらうのだ。」

 

 プライドとラスの元にキメラゾイドを操る3人が戻り、その3人はゼロメタル帝国皇帝直属の親衛隊ゼロメタル四天王のメンバーで、ラスをリーダー格とし、残りのメンバーであるこの3人はその配下となっていた。

 四天王の1人オーガスト・エンヴィー、いつもイライラし、ゼロメタル帝国の皇帝以外のものを自分の上司と認めない性格で、皇帝代理にして神官のプライドの命令には渋々で従い、四天王のリーダー格のラスを自分たちのリーダーと認めていない人物であり、バーニングライガーのゾイド因子を元に復元したものをドクターマイルスによってデスレックスのアーマーとマシンガンを頭部に装備し、後ろ足にミサイルポッドを装備して改造されたキメラゾイド、バーニングキメイラを操る。

 2人目はクレイドル・グラトニー、ゼロメタルのディメパルサー、ディロフォス隊を率い、通常のジャミンガより凶暴なレックスジャミンガを手懐け、プライドたちが崇拝しているZGの復活のエネルギーを集める役割を持っていて、丸で飢えた虎か狼が獲物を探し、手当たり次第に襲うように戦う程、3人の中では非常に好戦的な性格をしている。そのため彼の操るゾイド、ディメパルサーキメイラはガブリゲーターの頭部を取り付けたガブリゲーターとディメパルサーのキメラゾイドで、通常のディメパルサーのようなマッドオクテットで相手ゾイドの動きを封じ、それをガブリゲーターの顎でアーマーだけでなく、ボーンまで噛み砕くという残忍な戦い方をする。

 そして3人目はバルト・スロウス、事あるごとに面倒臭がる性格で、他の2人と違って戦闘に参加することも少ないが、彼の操るゾイド、ゼーゲキメイラはステゴゼーゲに奪取したゼノレックスのゾイド因子の一部から復元した頭部を取り付けたキメラゾイドで、繰り出されるナイフオフフィフティーンの威力と防御力は通常のステゴゼーゲを遥かに凌駕し、複数のスティレイザーが束になっても蹴散らす程である。

 

 「命令通り、基地は破壊してやったぜ。」

 

 「まあ、アドリア王国のあの赤いライガーの乱入で、生贄になりそうな奴は幾つか逃しちゃったけど……」

 

 「まあ、いい。結果として帝国の領土は手に入った。ゾイド因子の集めはその後でもいけるだろう。」   

 

 「ただ、あの赤いライガー、妙な奴が乗っていたギルラプターを連れてどっかに行ったけど……」

 

 「妙な? 誰だ?」

 

 「知らねぇな、一々そんな奴の顔とか、名前とか覚えてねぇよ。面倒くせぇし。」

  

 「ああ、俺、見たよ。確か、銀色の長い髪した奴だったな。食いそびれたけど……」

 

 「なるほど、奴等め、ユウトを拐っていったのか。どうする?」

 

 「ただの人間に成り下がった失敗作等、大した脅威ではないが、場合によっては少し利用価値はありそうだな。セードが何処にいるか場所は掴めるか。」

 

 「奴がD因子を持っているなら、直ぐにでも……」

 

 「ふ、なら、奴を使うか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 4体の赤いライガーは解放した帝国軍ゾイドとユウトの乗るギルラプターLCをゾイドクライシスで廃れた街中に入れ、4体の赤いライガーはユウトを見詰めていた。

 

 「コバ、何故、こいつまで連れてきた?」

 

 「ギルラプターが何故かこいつから離れるのを拒んだのだ。だから、仕方なくこいつまで連れて行かねばならなくなったのだ。だが、心配はない。早々に始末する。」

 

 その時、赤いライガーの頭部のハッチから降り、ユウトの乗るギルラプターLCのコクピットの元に現れたのはそれぞれ姿の異なるオーガノイドで、全て液体金属状になって人間態に変身した。

 4体の赤いライガーを操っていたライダーの正体ははシーザーと同じアーサーによって造られた7体の人造オーガノイドからの内の4体であるコバ、ウルサス、オルド、ドッジで、そして彼らの操る赤いライガーはシーザーのゼノレックス同様、彼等がアナザーゲートで別次元の惑星Ziに転送された際に自身を鹵獲し、それを元に開発された分身体のバーニングライガーだったのだ。

 彼等はアドリア王国ヒューマンオーガノイドだが、別次元の惑星Ziにいたときにゼネバス帝国によってバーニングライガー開発のための実験台にされ、更に地球でムー帝国とアトランティス帝国の戦争による人類の反乱で、人間を激しく憎悪し、人間との共存を目指すアドリア王国の王シーザーとは別に人類を殲滅し、ゾイドを人間の支配から解放させ、地球をゾイドの楽園にするという目的を持つようになり、その度にシーザーと対立し、目的達成のために王位を狙ったが、悉くシーザーに敗れたため、シーザーが統治するアドリア王国とは別に本拠地を構え、そこで地球をゾイドの星にするという目的のために息を潜め、130年前のゾイドクライシスが起こった時には地殻変動と地球上に現れたゾイドの暴走によって目を覚ましたコバたちは暴走したゾイドの保護と同時にこの地殻変動を利用して人類を殲滅し、地球をゾイドの楽園にするという目的のために人類文明の破壊も行っていた。

 自身の産みの親であるゼオルの父アーサーのことはシーザー同様、感謝しているが、あくまで心を許しているのはアーサーとゼオルのみで、それ以外の人間は全てゾイドを脅かす存在として抹殺の対象としていた。そのため、ユウトも例外ではなく、コクピットのハッチを開けた後、携帯していた剣でユウトを殺そうとしたその時、ユウトが目覚め、剣を振りかざそうとするコバに恐怖した。

 コバは怯えるユウトにお構い無くそのまま刺し殺そうとしたが、突然、ギルラプターLCが前足でそれを防いだ。コバは何度も刺すも、ギルラプターLCは丸でユウトを認め、彼を傷つけてはならないと言わんばかりにそれを阻止した。そしてギルラプターLCはユウトに寄り添い、コバに恐怖したユウトの表情に笑顔が戻った。

 コバはやむ無く、ユウトを解放したギルラプターLCやその他の帝国軍ゾイドと共に地下施設に入れ、そこでユウトはギルラプターLCやその他のゾイドと仲良くしていた。

 

 「アハハ、くすぐったいよ。」

 

 そこに未だ不信に思っているヒューマンオーガノイドの1人のオルドが彼に立ち寄り、ユウトに話し掛けた。

 

 「貴様、名は?」

 

 「ごめん、覚えてないんだ。」

 

 「何故、軍にいた?」

 

 「軍の隊長さんが僕のことを知っているのかと思って付いてきたんだ。そしたら、戦いになってて……」

 

 「我々を助けたのは何故だ?」

 

 「だって、あなたたちは軍に襲いかかってきたあいつらと戦ってくれたじゃないですか! それにあなたたちはゾイドも助けてくれた。あなたたちは悪い人じゃない。だから、助けなきゃいけないって。」

 

 「……」 

 

 「あの…あなたは僕のことを知っているんですか? 知っているなら、教えてください。僕が何者かを!」

 

 ユウトの問いにオルドは答えず、そのまま立ち去り、ユウトは何とも言えない表情になった。

 

 「どうだ?」

 

 「どうもこうも、奴は丸で記憶喪失のようだが、間違いなくあの顔は奴に似ている。」

 

 「ま、当然だろうな。奴はアーサー様の故郷を壊滅に追い込んだあのDのゾイド因子を持つ存在だ。演技を見せることなど、お手のものだろ。」 

 

 「しかし、妙だな。奴に懐いているゾイドには丸で洗脳された形跡はなく、しかも身体を少し調べたところ、D因子の反応はなかった。まさか、別人だとでもいうのか?」

 

 「そんなものは関係ない。我等にとってはアーサー様と未だ行方不明のゼオル様を救い、そして奴隷と化している全てのゾイドを解放し、彼等と共に帝国、共和国の人間共、そしてゼロメタル帝国を滅ぼす。我々がゾイドを導き、真の自由を勝ち取る、それが我々の革命なのだ。

 そのためにも、全てのゾイドを同士として集め、ZGの復活の阻止とDの器となる人造人間を何としても排除しなくてはならない。私とウルサスは引き続き帝国と共和国に捕らえられているゾイドの解放と人造人間の捜索に入る。オルドとドッジはその小僧の見張りをし、正体を掴め、もしその人造人間だと判明すれば、直ぐ様始末しろ。例え、さっきの邪魔が入ってもな。」

 

 コバとウルサスはバーニングライガーに乗り込み、オルドとドッジは地下施設でゾイドと仲良くしているユウトの監視に入った。

 コバたちの言うDの器となる人造人間、それはコバやシーザーたちヒューマンオーガノイドがアーサーによってアナザーゲートで別次元の惑星Ziに転送される時に遡る。アーサーがアナザーゲートを起動する直前に襲撃してきたドクターマイルス率いる兵士の流れ弾がアナザーゲートに直撃したため、その時に生じた不具合でコバたちはアーサーが密かに入手していたプライドたちの計画の一部のデータが流れ込んだため、その情報を得ていた。

 それによると、プライドらはかつて数百年前の大戦で、惑星Ziを壊滅に追い込んだDと呼ばれる最強最悪のゾイドを地球に出現したゾイドの中で最も強力な個体を器としてD因子を移植させて復活し、一気に地球を制圧させるものであったが、プライドらが保管しているD因子は微弱だったため、いきなり器となるゾイドに移植しても復活はままならぬと判断し、かつてDが自身の復活のためにガイロス帝国摂政や共謀していた古代ゾイド人の肉体を器として寄生し、本体と融合したようにゾイドのボディに移植する前に、人間の肉体に移植してその後に最も強力なゾイドと融合させるものだった。

 バイオテクノロジーの研究も携わっていたドクターマイルスはDに相応しい肉体を造るために、かつてDがそれまで器として寄生した複数の古代ゾイド人の遺伝子を掛け合わせ、それを元に人工子宮等を用いて人間の肉体を一から造り出すことに成功した。

 しかし、それはまだ未完成だったため、D因子の移植の実験として予め完成したバイオ人間のクローンを造り、それに移植させた。D因子を移植させたクローンは急激に成長したが、次第に人間の形を保てなくなり、やがて人間の姿をしたゾイドか、または人間型のゾイドかどちらともいえない醜悪な姿に変貌してしまった。

 この実験の結果によると、ドクターマイルスは暫くオリジナルのバイオ人間がある程度成長した状態でD因子を移植するべきだと判断し、そのバイオ人間がある程度成人に近い年齢まで成長するのを待ったが、既に科学船は地球に近付き、更にボーマン博士が端末を起動させようとしたため、業を煮やしたDは器となるバイオ人間の成長を待っていられなくなり、醜悪な怪物のまま、船で反乱を起こし、プライドたちもそれに従い、ボーマン博士を取り押さえ、端末を掌握した。

 しかし、Dが端末を起動させた直前にボーマン博士が船の起動を変えたために端末が誤作動を起こし、プライドたちは端末の光に包み込まれ、端末を起動させたDとバイオ人間を入れたカプセルが姿を消し、科学船は西暦2025年の地球にワープしてしまった。

 やがて、西暦2052年の地球にゾイドクライシスが起こったことにより、地球の歴史の裏に潜んでいたシーザーやコバたちが目覚め、地球に現れたゾイドの保護に入ると同時にコバたちはこの期に乗じて人間の殲滅を謀り、また、アナザーゲートによる不具合で得た情報でプライドたちがこの時代に来ることを知っていたため、その抹殺も謀った。

 しかし、プライドたちは既にゼロファントス軍団を出現させ、更に地球人類の殆どが船に乗って脱出し、脱出する寸前に核のスイッチを押したため、地球をゾイドの星にするという計画は阻まれた。

 支配が広がっていくゼロメタル帝国と交戦していく内に帝国、共和国の移民船が地球に到着し、ゾイドクライシスによって化石化したゾイドを復元、兵器化し、領土拡大を行うのを見たコバたちはかつて別次元の惑星Ziでゼネバス帝国がバーニングライガー開発のために軍事利用した自分たちと同じ境遇を感じ、帝国、共和国軍の基地からゾイドを解放し、ゾイドクライシスの影響によって生じた不安定なゾイド因子でゾンビ化して復活したジャミンガを正常なゾイド因子に戻すための掃討を行っていた。

 ジャミンガを掃討していく内にコバたちは森の中で、中身が空のカプセルを見付けた。そのカプセルからは紫色の煙が漏れ、何かが自力で破って開けた形跡があった。調査によると、そのカプセルはドクターマイルスがDの器として開発したバイオ人間が入っていたカプセルと同一のものであった。

 

 「そして、ゼロメタル帝国がそのバイオ人間を見付け、Dを復活させ、我々が6500万年前に封印させたZGと融合させようとしたのを知って、ゾイドの解放と同時にそのバイオ人間の捜索も行っていた。」

 

 「ああ、それによると、そのバイオ人間が成長した姿があの小僧と殆ど一致している。」

 

 「だが、あの小僧は名前すら、覚えていないと言っているが……」

 

 「しかし、プライドはバイオ人間が完成する前に予め名を付け、マークした。そしてあれの名前がそれと判明すれば、奴はだということがはっきり証明する。」

 

 「ところで、その名前は?」

 

 「ユウトだ。」

 

To be contcontinued




 次回予告

 ニューホープに戻り、ユウトがバーニングライガーに拐われたのを知ったレオたちはユウトを救出するためにバーニングライガーのいる廃れた街に侵入する。
 そこでレオたちはバーニングライガーと交戦するが、同時にユウトとDの正体を知ることになる。

 次回「ライジングライガーVSバーニングライガー」走り抜け、ライガー!!

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