ゾイドワイルドクロス アナザーZERO 作:オーガスト・ギャラガー
ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたプライド元摂政がゼロメタル帝国を立ち上げ、その皇位継承者となったユウトがオメガレックスで帝国を襲撃したが、それも破り、ゼロメタル帝国の勢力を大きく落とした。だが、それは同時に新たな絶望の始まりだった。
ジェノスピノ暴走形態の登場に驚きを隠せないレオたち、
「ジェノスピノ、兵器 解放、マシンブラスト。」
マシンブラストを発動したジェノスピノ暴走形態がジェノシーザーをライガーにぶつけ、ライガーはメガシールドで防いだ。
「再び、こうして合間見えることになるとはな! だが、今度は必ずそのライガーごと始末してやる。」
「くっ、見境なく攻撃してきた前の時と違い、今度は攻撃にズレがない。一体どうして?」
「あの後、D因子を取り込み、暴走した右腕を抑えるために何度もその力に耐え、ようやく制御に成功し、手に入れたデスザウラーの力を見せてやる。」
ライガーはメガシールドでジェノスピノ暴走形態の攻撃を防ぐも、少しずつ押されていった。
その時、コバのバーニングライガーにレーザーガトリングが装備され、ジェノスピノ暴走形態に一撃を喰らわせた。
「ぐっ、何だ?」
「その姿、やはり、D因子を取り込んだことによって得た姿か。何処のどいつか知らないが、そのゾイドに忌まわしきデスザウラーの力を取り込ませた輩、そいつから降りてもらうぞ。」
「別のライガーだと! まさか、レーダーに反応したライガーと同等の力を持った別の反応はこいつか!?」
コバのバーニングライガーに気付いたセードとジェノスピノ暴走形態はコバのバーニングライガーにもジェノシーザーを振り回し、バーニングライガーはそれを回避した。
「今のを避けた! どうやら、相当の相手らしいな。」
「我が名はコバ、そしてこいつは我が分身、バーニングライガー。全てのゾイドを人類の支配から解放し、ゾイドの楽園を築くものだ。」
「ふん、新手か。まあ、いい。どっちにせよ、貴様らは全員滅びるのだからな!」
ジェノスピノ暴走形態はコバのバーニングライガーにロングキャノンを撃ち込み、コバのバーニングライガーはそれをレーザーガトリングで迎撃した。
「そんな攻撃、俺には通用しない。」
「少しはやるようだな。なら、これはどうだ?」
ロングキャノンが通用しないと見たセードとジェノスピノ暴走形態は今度はジェノソーザーを振り回し、コバのバーニングライガーはレーザードリルで受け止めた。コバのバーニングライガーはジェノスピノ暴走形態のパワーに負けることなく耐えるが、ジェノスピノ暴走形態はパワーに有無を言わせ、更に力を入れ、バーニングライガーがそれに耐えられなくなるのは時間の問題となった。
「ほぅ、少しはやるようだが、それもどこまで耐えれるかな?」
「くっ、これがデスザウラーの力か。」
その時、レオのライガーがジェノスピノ暴走形態に背後から攻撃しようとし、それに気付いたセードとジェノスピノ暴走形態は尻尾で凪払った。
「また、お前か…」
「セード、お前は何故、そこまで戦う? お前もユウトと同じなのか?」
「戦う理由? は、愚問だな。この俺にそんな質問をするとはな。 俺にはそんなものはない。
ただ、戦えばいい。 そして、この俺とこいつ以外の全ての者を滅ぼす。それだけだ!」
「何故、そんなことを? そんなことをしても、また多くの人とゾイドが苦しむだけだ。何故、そこまでして!」
「あっはっはっは!」
「……!?」
「やはり、貴様は甘ちゃんだな。そんな考えで戦っていたとはな。だから、俺は貴様が気に入らないんだよ!」
ジェノスピノ暴走形態がジェノソーザーでライガーを両断しようとしたその時、耐Bスーツを着用したサリーの乗るハンターウルフがブースターで加速し、ジェノスピノ暴走形態に顔にぶつけ、ジェノソーザーの狙いを外し、ジェノスピノ暴走形態の前に立ちはだかった。
「サリー……」
「レオとライガーには指一本触れさせない。」
「また、お前か! あの時、モザイクの時に邪魔をし、ライガーを始末損ねた……!」
「もうやめて! これ以上の戦いは無意味です。大人しく武器を捨てて。」
「は、そいつとそのライガーが好きか? それとも、単にじいさんの元で呑気に暮らしたから、そんな御人好しになったのか? 哀れだな、死んだと思われた弟が目の前にいることに気付かず……」
「……!?」
それを聞いたサリーは疑問を感じ、同時にボーマン博士とクリスタも驚愕した。
「弟……? 一体、何を言っているの?」
「知りたいか?」
「やめろ、それをサリーに話すな。」
ボーマン博士の制止を聞かず、セードは構わず話した。
「この俺、セード・コルディアスは…、貴様の弟、ピーター・ランドだ。」
それを聞いたサリーは青ざめ、信じられないような表情をし、レオたちも驚愕した。
「そんな……嘘……!? だってピーターは死んだって、お爺さんが…」
「俺が簡単に死ぬはずがない。俺を出来損ないの失敗作としてムシケラのように捨てたランドに復讐するために俺はずっと生きてきた。
そして、帝国に入って力をつけ、遂にプライドが真帝国に反乱を起こした時、俺は奴に復讐することが出来た。お前が何も知らず、そんな奴と呑気に暮らしていた間にな!!」
「お…お爺さん、お母さん……ホントなの…?」
サリーの質問にボーマン博士とクリスタは何も言えない状態でいた。
「そんな貴様が俺の前に立つな!」
セードとジェノスピノ暴走形態が怒りに身を任せ、ジェノソーザーをサリーのハンターウルフに直撃させようとした時、ライガーがメガシールドでそれを防いだ。
「邪魔だ! ライガー。」
「お前がどんなものを背負って生きてきたのか、俺にはわからない。でも、父親を殺し、更に姉まで殺そうとするなんて、そんなの許さない!」
「黙れ! 貴様に何がわかる!?」
ジェノスピノ暴走形態は更にロングキャノンとヘッドキャノンをライガーに撃ち込み、ライガーだと立ってまますらなくなってしまい、更にジェノスピノ暴走形態の後ろ足にけられ、倒壊したビルに直撃してしまった。
「ぐっ、グアァッ!」
「レオ!」
「ならば、貴様も一緒に斬り刻んでやる!」
「本能 解放! ワイルドブラストー!! 瞬撃殺!」
その時、今度はメルビルの乗るギルラプターもジェノスピノ暴走形態に攻撃してきた。
「今度はお前か!」
「許さない、あたながお父様を!」
「貴様もだ。奴に利用されていることを知らず、ずっと騙されたまま生き、オマケにそれを知った後も奴を父親として尊敬するなど…馬鹿な奴だ。俺には家族の愛情なんてものは一切ないんだよ!」
怒り狂ったセードとジェノスピノ暴走形態は前足でメルビルのギルラプターを殴り、更に尻尾で凪払ってしまう。
「だから、人間は愚かなんだよ。」
「ぐっ、それでも、私はお父様を信じてる。ホントは戦争を終わらせるために…ホントはそんな悪い人間じゃないって……はっ!」
メルビルが気付くと、目の前に目を赤く輝かせ、ギルラプターを踏み潰そうとするジェノスピノ暴走形態が佇み、コクピットのセードは狂気の目をしていた。
「なら、あの世で奴に聞いてみるんだな。死ね。」
ジェノスピノ暴走形態がメルビルのギルラプターを踏み潰そうとしたその時、今度はコバのバーニングライガーによって解放されたギルラプターLCがメルビルのギルラプターを間一髪で助け、ジェノスピノ暴走形態に向かって吼えた。
「ぎ、ギルラプターLC、どうして私を……? はっ!」
メルビルが気付くと、そのギルラプターLCのコクピットにはユウトが乗っていた。
「大丈夫? ハンナ。」
「ユウト…あなた、記憶が……」
「ここは僕に任せて。これは僕の問題だ。」
「ほぅ、あの時、俺にD因子を奪われた死に損ないがまさかこんなところに生きていたとは…」
「僕が誰かなんて、そんなことはどうでもいい。今の僕がやるべきことは大切な人を守り、そして僕の力をこの世に消し去り、プライドの野望を阻止する。 だから、僕にはお前を倒す!
進化 解放! エヴォブラストー!! レーザースラッシュ!」
エヴォブラストを発動したユウトの乗るギルラプターLCはレーザーガンを撃ち込みながら、ウイングショーテルをジェノスピノ暴走形態に直撃させようとするが、ジェノスピノ暴走形態はそれをジェノソーザーで打ち返した。
「ぐっ、」
「いい覚悟だが、だが、デスザウラーの力を取り込み、制御に成功したこの俺とジェノスピノに、オメガレックス無しでしかも、そんなザコで倒せると思っているのか」
ジェノスピノ暴走形態はギルラプターLCを噛み砕くために襲いかかるが、ギルラプターLCは持ち前の機動力でそれを回避し、瞬時に背後に回った。
「何!? 一気に後ろをとられただと!」
「なるほど、デスザウラーの力と古代ゾイド人の遺伝子を奪われても、帝国軍にいたときの経験で、それを補ったのか。
だが、今のジェノスピノはデスザウラーの力で攻撃力と防御力もオメガレックスと戦った時より遥かに上回っている。それをたかが、ギルラプターごときで……」
しかし、ユウトの乗るギルラプターLCはただ、攻撃することだけに集中し、それによって現れた気迫がD因子を注入したセードの右腕を通じて感じ取った。
「何だ? 今のは……」
ギルラプターLCのウイングショーテルがジェノスピノ暴走形態のアーマーに直撃し、徐々にヒビが入った。
「バカな…ジェノスピノに傷を……? ちぃっ!」
ジェノスピノ暴走形態前足でギルラプターLCを掴んで投げ飛ばし、ギルラプターLCは難なく着地した。
「何なんだ? 今のは! ん?」
セードがギルラプターLCを見ると、コクピットのユウトの目にはセードとジェノスピノ暴走形態のみしか見えておらず、口を聞く様子もなかった。
「あの様子、まさか、最初っから生き残るつもりないというのか?」
「僕が全ての元凶だ。だから、全ての因縁に終止符を打つ。それが僕のケジメだ!」
ギルラプターLCは丸で最後の攻撃を仕掛けるように再び突進していった。
「俺を舐めるんじゃねぇぞ!」
「ウオォ~!!」
ギルラプターLCのウイングショーテルがジェノスピノ暴走形態のコクピットを捉えたその時、ジェノスピノ暴走形態の前足が横から襲いかかり、そのままギルラプターLCの身体を貫いてしまった。
「う、ウワアァ~!!」
グオォ~!!
「ユウト!!」
その様子を見たメルビルは悲痛の叫びを上げた。
ユウトとギルラプターLCが苦痛の叫びを上げたその時、帝国首都ネオゼネバスシティの基地で保管されているオメガレックスが突然、暴走を始めた。その非常事態に気付いたコリンズ中将はオメガレックスの整備員と通信を開いた。
「どうした! 一体、何が起こった!?」
「わかりません、基地にいるオメガレックスが突然暴走しました。これ以上暴れだすと手がつけられません!」
「暴走だと! バイザーで制御されているのではないのか?」
「それが、どういうわけか、自らバイザーの制御に抗い、しかもバイザーを自分で剥がそうとしています。」
「バカな、いくら伝説の破壊龍でも、バイザーの制御に抗えるはずが……」
その時、コリンズ中将はあることを思い出した。それはかつてガトリングフォックスがバイザーの制御に抗って暴走し、それを機にバーンが帝国軍から離脱した時のことだった。
その事件を知ったまだ准将だったコリンズ中将は未だ復元途中のジェノスピノに同様のことが起きないよう、バイザーに何か不具合があるのか、解明するために整備班に調査を求めた。
しかし、いくら調査してもバイザーに問題はなく、フォックスがバイザーの制御に抗える精神力を持っていたことが判明し、それによってバイザーの制御を拒絶し、暴走したのだった。
「そういえば、惑星Ziの文献で聞いたことがある。 ゾイドと人間はパートナー…、それぞれがお互いに認めあった時、互いの気持ちの高まりが強さに直結する。
そしてゾイドがゾイド乗りを相棒と認めれば、それ以外のゾイド乗りを拒否するともあった。まさか、あのオメガレックスは本来のライダーの元に行こうと言うのか!?」
「ダメです! 抑えられません!!」
オメガレックスは基地の入口に誘導ミサイルを放ち、更に駆けつけたキャノンブル、スティレイザー隊を蹴散らし、ネオゼネバスから脱走してそのまま猛スピードで何処かへ行ってしまった。
ジェノスピノ暴走形態の前足の爪はギルラプターLCの身体の芯、即ち、ボーン形態にまで食い込み、更にコクピットまで貫通し、ユウトの腹にはジェノスピノ暴走形態の前足の爪が食い込んでいた。
「グフッ!」
巨大な爪が食い込んだ腹から血が滲み出し、ユウトが吐血すると、ギルラプターLCのコクピットは血で溢れていた。 ジェノスピノ暴走形態はギルラプターLCを前足から外し、そのままゴミのように捨ててしまった。
「ユウト!」
もはや、瀕死の状態となったユウトとギルラプターLCを見たメルビルは見ていられない状態になった。
「まさか、お前がここまでやるとはな。だが、それももう終わりだ。お前の因縁など、この俺が消してやる。 死ね…。」
「やめてー!!」
ジェノスピノ暴走形態がユウトとギルラプターLCに止めを刺そうとしたその時、何処からか、オメガレックスが現れ、ジェノスピノ暴走形態を押し倒してしまった。
「何!? オメガレックスだと!」
それを見たレオたちは唖然としていた。
旧ワシントンDCとリンカーン記念館にあるゼロメタル帝国本拠地の研究所では、七つのコアを埋め込むような窪みを持った巨大なゲートをゼロメタル帝国の科学班が修復し、その作業が完了させていた。
「しかし、驚いたな。まさか、アーサーが自らのガキとアドリア王国のオーガノイド共を転送するために開発したアナザーゲートが我々の手に渡るとは…」
「あの時、ラプス島に強力な磁場が発生したとの情報を得て、調査のためにラストを向かわせたが、よもや、それが奴の作ったアナザーゲートだったとはな。しかもそれを帝国軍が回収していたとは思わぬ収穫だ。」
「意外とこういうところには、帝国軍は役に立ってくれたようだな。」
「帝国軍は無能な奴等ばかりだが、意外と使えるところはある。何しろ、真帝国が消えたおかげで、彼処には我々に味方する者が増えているからな。」
「しかし、このアナザーゲートは我々に扱えないよう、奴が自ら造ったオーガノイドのゾイド因子を元に作ったゾイドコアを埋め込まなければ作動しない仕組みになっている。」
「それは心配ない。奴は我々に人工的にオーガノイドが造れないと思って、このゲートにオーガノイドのゾイドコアのみ起動が可能なシステムとなっている。
最も我々が以前、船の反乱を起こした時にデスザウラー様が端末を触れた影響で、端末からD因子の光が発生し、その光を浴びた我々はD因子と自身の金属細胞が融合したことによってデスザウラー様の分身となるヒューマンオーガノイドとして進化を遂げたのが奴にとって誤算だったようだ。
しかも、そのヒューマンオーガノイドはこの私を入れてちょうど7人、我々7人のD因子から作ったゾイドコアも既にここにある。」
プライドはポケットから小型のゾイドコアを取り出し、それをドクターマイルスに渡した。
「おお、これがあれば、直ぐにでもアナザーゲートを起動出来る。」
「最も、お前はあの時、端末の近くにいなかったから、ヒューマンオーガノイドになれず、古代ゾイド人のままになってしまったがな。」
「心配ない。私には既に人智を越えた科学力がある。それがあれば、私もお前と同じ進化した人類なのだからな。」
ドクターマイルスがプライドに渡された小型ゾイドコアをそれぞれ埋め込んだ後、起動したアナザーゲートから時空の穴のようなものを発生させた。
「アナザーゲート、こいつを使えば、ZG、我らの皇帝陛下の元に迎える。」
「しかし、レックスジャミンガが集めたゾイド因子ではZGを復活させるにはまだまだ不十分だ。何故、このタイミングに?」
「未だ、我がゼロメタル帝国を皇帝不在にするわけにはいかない。それに復活にはセードがユウトから奪ったD因子とあのペンダントのゾイドコアさえ奪い返せば問題ない。」
「しかし、それで復活しても不完全だが……」
「それでも十分だ。わざわざレックスジャミンガにゾイド因子を集めずとも、最も効率のいい方法は既にあるのだからな。それにアドリア王国がZGを封印させた場所も把握している。奴にも感謝するべきだな。
我がゼロメタル帝国の創設に協力し、ZGの居場所を教えてくれたジョシュア・コンラッドにな。」
そう言うと、プライドはゼロメタル帝国兵士とスパイデス型のジャミンガ、キルサイスを率いてアナザーゲートの時空の穴に入っていった。
To be continued
次回予告
三つ巴の対決に突如、バイザーが外れ、ライダー無しで現れたオメガレックスの乱入によって困惑するレオたち、しかし、セードは何かを感じ取ってある場所に向かい、その場を去ってしまう。
レオたちは重傷を負ったユウトを救うためにニューホープに向かい、治療するが、突然、両軍の全てのゾイドが制御出来ず、何かに怯え、同時にアナザーゲートを抜け、南極に向かったプライドの元にジェノスピノ暴走形態が現れた。果たしてその狙いは? そして南極に何がいるのか?
次回「復活、ZG」走り抜け、ライガー!!