ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・アベラス

53 / 86
 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
 しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたプライド元摂政がゼロメタル帝国を立ち上げ、その皇位継承者となったユウトがオメガレックスで帝国を襲撃したが、それも破り、ゼロメタル帝国の勢力を大きく落とした。だが、それは同時に新たな絶望の始まりだった。


第53話「脅威! 古の皇帝龍」

 南極の4分の1を破壊して復活したゼログライジスの背中のコクピットにはかつて惑星Ziでデスザウラーと融合したデススティンガーのような形状になり、そこにはユウトと瓜二つの中性的な容姿をしているが、ユウトと違って筋肉質の身体をし、上半身裸の黒髪の美少年が幾つもの機械のコードと直接肉体と接続されていた状態で居座っていた。

 

 「ボクはこんなところに眠っていたのか。まあ、いいや。 とにかく、向こうに出るか。」

 

 ゼログライジスは背中のドーサルキャノンとインフィニティミサイル、テイルレーザーを放ち、更に南極の氷を広範囲で破壊し、それによって発生した洪水に飲み込まれ、そのまま移動していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻、ゼログライジスが復活した影響で発生した地震と制御不可能になったゾイドで、ニューホープとネオゼネバスの両国の首都は未だパニック状態で、両上層部は直ちに原因究明に入った。

 

 「南極の氷の4分の1が崩壊し、水位が急上昇しています!」

 

 「何!? まさか、ゾイドクライシスの影響によるものか?」

 

 「いえ、南極に出現した謎の高エネルギー反応によるものです。」

 

 「謎の高エネルギー反応、洪水と共に移動を開始しました!」

 

 「それぞれの海域に部隊を駐留、それと監視部隊を出撃させ、例の高エネルギー反応の正体を探れ。」

 

 「了解しました。」

 

 ニューホープの司令部にクレストウッド大統領が入った。

 

 「大統領。」

 

 「状況はどうなっている?」

 

 「南極に謎の高エネルギー反応が現れ、現在、原因の究明に向かっていますが…」

 

 「これも奴等の仕業か?」

 

 「わかりません。ですが、今まで以上の危機に瀕しているのは確かです。」

 

 「私はこれから、フィオナ皇帝とハワード宰相と連絡を取り、事の次第を伝える。後は頼んだぞ。」

 

 「了解しました。」

 

 クレストウッド大統領が立ち去った後、ギャレット大将は南極の映像を見、

 

 「一体、何が起こっているのだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 「ギャレット大将、監視部隊から通信頑張入りました!」

 

 「そうか、それで…どうでた?」

 

 「それが…海が割れていると出ました。」

 

 「何!? 一体どういうことだ?」

 

 「映像入ります。」

 

 映像を流すと、そこには丸で魔法や超常的なものによるものか、大西洋の海が真っ二つに切り裂かれ、洪水は分かれた部分を避けて流れていた。

 

 「どうなっている…? 古代の地球の神話に海を2つに分けたモーゼの十戒というものがあったが、まさか、それが現実に起ころうとしているのか?」

 

 「ギャレット大将! 解れた海の道を歩く超巨大ゾイドが確認されたとも監視部隊から報告が出ています。」

 

 「何!?」

 

 「映像入ります。」

 

 再び兵士が映像を流し、拡大すると、海が2つに割れて出来た道をゼログライジスがゆっくり歩いていき、ギャレット大将やその一同は驚きを隠せなかった。

 

 「推定約80m、ジェノスピノやオメガレックスを遥かに凌駕する巨体です!」

 

 「あのゾイド…あのスタイルはまさに惑星Ziを壊滅寸前に追い込んだ伝説のデスザウラーそのものだ……」

 

 「大将、これは……?」

 

 「監視部隊に通告! 直ちにその超巨大ゾイドの正体を探れ。」

 

 「はっ、」

 

 

 

 

 

 ギャレット大将の命を受け、クワーガ、クワガノス、スナイプテラによる監視部隊は分断された海の道を進むゼログライジスに近付いたその時、突然、監視部隊のゾイドが動きを停止した。

 

 「どうした!?」

 

 「わかりません、突然ゾイドが制御不能に陥りました。」

 

 「何!? まさか、さっきと同じ現象が起きているのか?」

 

 「いえ、丸で威力に引っ掛かったかのようにあの超巨大ゾイドに吸い寄せられます。」

 

 ゼログライジスが両手を広げると監視部隊のゾイドは全てゼログライジスの周囲に引き寄せられ、そこで停止した後、ゼログライジスは両手を握り、同時に監視部隊のゾイドが一気にプレス機に押し潰されたように潰されてしまった。

 その後、ゼログライジスは口を開き、潰された監視部隊のゾイドが紫色に光り、その身体から紫色の光が出現し、ゼログライジスはその紫色の光を吸収し、身体の紫のラインが光った。紫色の光を吸収された監視部隊のゾイドは一斉に石化し、海に落下していった。

 

 「一体、何をしたというのだ?」

 

 「わかりません! 解析は不能ですが、何かの超常的な能力で監視部隊を全滅させたかと推定されます。」

 

 「だが、これであの超巨大ゾイドが我々の敵だと言うことが判明した。本隊を出撃させ、あの超巨大ゾイドを迎撃せよ。」

 

 その時、突然、映像が乱れ、ゼログライジスのコクピットに乗っているユウトと瓜二つの黒髪の美少年が映った。その映像は両軍の基地のみならず、両国が全てのTVを通じて流され、レオたちのいるところにも映り、レオたちは驚きを隠せなかった。

 

 「あれは…ユウトなの?」

 

 「いや、でも髪型が違う。一体誰なんだ……?」

 

 

 「何だ? この映像は! 直ぐに切り替えろ。」

 

 「駄目です! 電波障害で操作が利きません。」

 

 「無駄だよ。君たちの技術じゃ、ボクの力には逆らえないよ。」

 

 映像を通じて話すユウトと瓜二つの黒髪の美少年に皆、驚くが、ギャレット大将は取り乱すこと無く、マイクを手に持ち、

 

 「共和国大統領代理のボーガン・ギャレット大将だ。 貴君は何者だ? その姿を見ると、ザナドゥリアスと関係はあるようだが、ゼロメタル帝国の者か?」

 

 「確かにボクとユウトに関係はあるね。というか、あいつはボクの器になるために造られたものだからね。」

 

 「御託はいい。一体何者だ?」

 

 「紹介が遅れたね。僕はデスザウラー、そしてこいつはボクの分身、古の皇帝龍ゼログライジス。6500万年以上の眠りから覚めてこの世に甦った。」

 

 「何!? デスザウラーだと!!」

 

 それを聞いた両国の上層部及びレオたちは信じられないような表情をした。

 

 「馬鹿を言うな! デスザウラーは確か、300年、いや400年以上前の惑星Ziで伝説のブレードライガーによって倒されたはずだ。」

 

 「確かにボクはあの忌まわしいライガーによって一度倒された。だけど、完全生命体として古代ゾイド人の全ての技術を結集して生み出されたこのボクが君ら下等な人間が復元した通常のゾイドごときと一緒にしては困るな。

 ボクがあんな程度にやられるわけがないだろ? それに長年、古代ゾイド人の生き残りの末裔たちもいて、彼らがボクの魂をずっと守り続けてきてくれたんだ。

 そしてプライドが奪ったペンダントでユウトの遺伝子情報とD因子を回収してくれたおかげで、この身体を得、ゼログライジスも一緒に復活することが出来た。似てて当然だ。ま、全く一緒は嫌だから、少しボク好みの姿にしたけどね。」

 

 「何が目的だ?」

 

 「アドリア王国っていうオーガノイドの連中のおかげで6500万年以上も眠り続けてボクもゼログライジスも随分鈍っちゃってね。 目覚めの準備運動として君たちと相手しようと思ってるんだ。」

 

 「我々とやり合うだと!?」

 

 「もちろん、ただやり合うだけじゃ、つまらない。 ゲームをしよう。ボクは今さら共和国領に向かう。到着するまでにボクとゼログライジスを迎え撃つための準備をするといい。 時間はたっぷりあるからゆっくり考えるといいよ。君たちの死のカウントダウンをね。」

 

 「くっ、」

 

 そう言うと、デスザウラーの分身は通信を切った。

 

 「あの超巨大ゾイドが共和国領に到達するまでの時間は?」

 

 「あの速度ですと、後13時間になります。」 

 

 「後、13時間……」

 

 「ギャレット大将、帝国のコリンズ中将から通信が入っています!」

 

 「繋げ。」

 

 「ギャレット大将。先程の通信は我が帝国にも届いていた。現在共同戦線を取っている我が軍にとって共和国の敵は我が帝国の敵同然です。我々帝国も協力を惜しまない。」

 

 「しかし、敵の戦力は未知数です。オマケに貴国の軍と合流までに間に合うかも…」

 

 「それに関してはご心配ありません。既にハワード宰相や議会からも承認を得、そちらに向かっています。 それに我が帝国の誇る航空部隊がその超巨大ゾイドを迎撃するために出撃を開始しました。」

 

 

 その言葉通り、海の道を進むゼログライジスの元に帝国のスナイプテラやクワーガによる大部隊が目の前に現れた。

 

 「ん? 帝国の奴等か。思ったより早いな。 まあ、いいや。共和国に着くまでの暇潰しになるかな。」

 

 「隊長、例の超巨大ゾイドです!」

 

 「よし、全軍、マシンブラストを発動、一斉射撃を開始しろ!」

 

 「はっ!」

 

 「マシンブラストー!! アブソリュートショット!」

 

 隊長の指示と共に帝国軍のクワーガ、スナイプテラが一斉にマシンブラストし、ゼログライジスに向かって砲撃した。 しかし、ゼログライジスが手をかざすと、砲撃がゼログライジスから反れ、その全てが砲撃した帝国の航空部隊を直撃し、撃墜されてしまった。その後、ゼログライジスが再び口を開き、撃墜された航空部隊のゾイドから紫色の光を吸収し、吸収された航空部隊のゾイドは全て石化されて海に落下していった。

 だが、その後、帝国の第二部隊も到着し、引き続きゼログライジスに砲撃を開始した。その時、ゼログライジスは今度は目を赤く輝かせ、角のようなマインドホーンから電波を発生させた。電波を浴びた第二部隊の半数のクワーガとスナイプテラの目が紫色になり、突然、味方の隊を攻撃し、同士討ちを始めた。

 

 「な、何だ!? 貴様ら裏切ったのか!」

 

 しかし、いくら応答してもライダーは全く応じようとせず、そればかりか執拗に味方のゾイドを拘束したり、完全に破壊しようとした。

 

 「くそっ、一体どうなってやがる。」

 

 1人のライダーが映像を開くと、ライダーの目が紫色に光り、同時にその目は正気を失っていた。

 

 「な……」

 

 丸で操られたかのように目が紫色になった半数のクワーガ、スナイプテラは残りの隊を全て撃墜させ、その後、ゼログライジスは用が無くなったと言わんばかりに手を握ると同時にそのクワーガ、スナイプテラも押し潰され、撃墜された第二部隊と共に紫色の光を吸収され、石化されていった。

 

 「超巨大ゾイドの戦力が全く掴めません。」

 

 「さっきのゾイドを操るような能力…もしや、あれで我が軍のゾイドが狂わせていたのか…」

 

 

 

 

 一部始終を見たレオたちも驚愕していた。

 

 「なんてこった、まさか、こんな早くに奴が復活してしまうとは……」

 

 「奴? おい、シーザー。それってまさか…」

 

 「我々が地球に来た6500万年前の地球で恐竜を全滅させ、我々が封印させた伝説のゾイド、ゼログライジスだ。」

 

 「ゼログライジス……てことは、プライドらが言ってたZGがあれか。」

 

 「そうです。」

 

 「おいおい、話が読めないぞ。 そのゼログライジスって奴はそもそも何者だ。 第一、あのユウトに似たライダーは何故、デスザウラーと名乗っている?」

 

 「それは…」

 

 「おい、レオ。何処に行くんだ?」

 

 「俺も行く。あの超巨大ゾイドと戦う。」

 

 「無茶言うな! レオ。お前も見ただろう? さっきの光景を、どうやったってあの化け物に勝てるわけがない。」

 

 「だからといって、放って置けない。それにさっき感じ取った時にわかった。あいつは普通のゾイドじゃない。 

 共和国や帝国軍でも勝てるような相手じゃない、もしかしたら、ジェノスピノやオメガレックスより恐ろしい存在かもしれない。 だから、俺も行ってあいつを食い止めなきゃ。」

 

 「お前が行ったところで、結果は変わるのか?」

 

 ゼオルの何気ない言葉を聞いて立ち止まるレオ、

 

 「それがわかってんなら、お前が加わっても足手まといになるのがオチだろ?」

 

 「何だと! じゃあ、このまま黙ってみていろって言うのか?」

 

 「お前みたいに後先考えずに出るなっつうことだ。俺はそんな馬鹿な発想には乗らないのでな。」

 

 「何!? もう一度言ってみろ!」

 

 カッとなったレオはゼオルの胸倉を掴むが、ゼオルはそれに応じず、

 

 「じゃあ、あれが赤いジェノスピノより強いとわかってんなら、どうやって勝つつもりだ? そもそもその赤いジェノスピノすら勝てなかったお前が、どうやって?」

 

 「それは……」

 

 「そういえば、お前、サリーに対してこう言ってたよな? サリーの問題は俺の問題、だから、俺が引き受けるって…

 お前はいつもそうだ。そうやって自分1人で押し付けようとする。だから、他の仲間と連携を取れず、ボーマン博士が改造してくれたライガーの力を引き出せず、あのジェノスピノに負けっぱなしでいる。

 それに今、お前が出るってことはここにいる連中を置き去りにして連中の意見も黙殺するってことになる。そうなれば、ここに置いていかれたサリーの気持ちはどうなるのかな?」

 

 それを聞いたレオはサリーの方を向き、サリーは悲しそうな表情をした。

 

 「サリー…」

 

 「そういう独りよがりで行くから、ライガーの力は自分1人で引き出せると思って、ライガーとの絆を忘れ、結果その力を引き出せず負けることになる。」

 

 「一律あるな。レオ、お前が何を感じ取ったのかはわからないが、俺もあの化け物がヤバい奴だってことはわかる。だが、元軍人でフォックスと一緒にいた俺から見たら、お前は仲間との連携が取れていない。

 今までの戦いは殆ど自分1人で戦っているみたいのようだ。まあ、確かに1人の力で何とかいけることもある。

 だが、1人だけの力では限りがある。それを補うために仲間がいるんだよ。」

 

 「バーン…」

 

 「軍だってそうだ。単独行動は命取りになる。他の隊と連携を取ってこそが真の軍なんだよ。」

 

 「でも、ギレル少佐から聞いた話では、あんた、将官時代は単独行動が多かったって聞いたけど…」

 

 「うっ、おい、それは言うな! ま、まあ、それはフォックスがそれに気付かせてくれたからな。」

 

 「ありがとう、ゼオル、バーン。俺、ようやくわかった。何であんなに努力してもあのジェノスピノに勝てないのか、何が俺に足りないのか、全くわからずに行動してた。

 でも、それがようやくわかった。俺に足りないもの、それは相棒を、仲間を信頼することだって!」

 

 「うん。」

 

 

 ビービー!

 

 その時、両軍の基地全域に警報がなった。

 

 「どうした?」

  

 「目標の動きが変わりました。」

 

 映像が出ると、ゼログライジスは両手を広げ、何かを縮めるような仕草を取り、同時に分かれた海が元に戻ろうと狭まってきた。

 

 「一体、何をするつもりだ?」

 

 「チマチマ、歩くのは退屈だな。もっと楽な方法で進むとするか。」

 

 元に戻った海に飲み込まれたゼログライジスはそのまま水平になって猛スピードで海中を進んでいった。

 

 「な、何だ? あいつ、あの巨体で海を泳いでやがる!」

 

 「いや、泳いでいるというより、丸で見えない巨大な水滴に入って海を進んでいってる方が正解かもしれん。」

 

 

 「目標、更にスピードを上げています!」

 

 「共和国領に到達するまで、どれぐらいかかる?」

 

 「この速度だと、後2時間です!」

 

 「2時間だと!? くそっ、我々に考える猶予を与えないとでも言うのか。全軍を海岸置きに待機、帝国軍と合流し、目標が上陸したら、直ちに排除行動に入れ。」

 

 「はっ!」

 

 

 

 

 それから、1時間半後、共和国の大部隊が海域の共和国領に到着し、帝国軍と合流し、海岸沿いに待機し、その先頭にはリュック、ノックス両大尉のキャノンブル、スティレイザー、シェル軍曹のバズートルがいた。

 

 「凄い部隊だ。これだけの部隊なら、あのオメガレックスでも倒せない。無論、あの超巨大ゾイドもな。」

 

 「だが、敵の戦力は未知数だ。決して油断するな。」

 

 両国の大部隊が待機して暫く経つと、目の前に巨大な波が押し寄せてきた。

 

 「な、何だ? あれは!」

 

 「おそらく、南極の氷の4分の1が溶解された影響による水位の上昇です!」

 

 「馬鹿な! いくらなんでもこんな早く地上に着くなんて!」

 

 「とにかく退避しろ!」

 

 両国の大部隊が海岸沿いから離れようとするも、時既に波に飲み込まれ、街全体が水浸しになっていった。リュック、ノックス両大尉とシェル軍曹はビル街に引っ掛かったため、何とか流されずに済んだが、目の前に恐るべき光景が見られた。

 何と、ゼログライジスが洪水に飲み込まれた街の上空に浮遊していたのだ。

 

 「な、何だと!? あの巨体で浮いているだと!」

 

 宙に浮くゼログライジスは両手を広げ、ゆっくり降りていくと、下の水はゼログライジスが地上に降下出来るように避けて道を開け、同時に全て水が一瞬で干上がっていった。 両国の大部隊は半数が流され、リュック、ノックス両大尉とシェル軍曹も残った半数と共に生き残った。

 

 「くそっ、舐めた真似をしやがって! 全軍、砲撃! 兵器 解放! マシンブラストー!! ナインバーストキャノン!」

 

 「兵器 解放! マシンブラストー!! アバランチファイヤ!」

 

 「兵器 解放! マシンブラストー!! プラズマウォール!」

 

 リュック大尉ら生き残った部隊のゾイドが一斉にマシンブラストを発動し、ゼログライジスに向かって砲撃した。ゼログライジスは手の動作を行わなかったため、今度は全弾命中した。

 しかし、ゼログライジスはうんともすんともいわず、それがどうしたかと言わんばかりに構わず前を進んでいた。

 

 「くそっ、撃て、撃て、構わず撃て~!」

 

 ゆっくり歩いて鬱陶しく思ったのか、突然ゼログライジスが動きを止め、背中のドーサルキャノンとインフィニティミサイル、テイルレーザーが動いた。

 そして照準を合わせると、そこから無数の紫色のビームが放たれ、砲撃した部隊を一体一体正確に命中させ、街ごと吹き飛んでしまった。リュック、ノックス両大尉のキャノンブルとスティレイザー、シェル軍曹のバズートルは咄嗟に避けたため、致命傷は免れたが、巻き添えを食らったため、2度と立ち上がれない状態になっていた。

 

 「な~んだ、結局ザコがいくら集まっても結局はザコに過ぎないか。仕方ない、このまま共和国の首都に向かって全て破壊するか。いくよ、ゼログライジス。」

 

 その時、海中から強烈な砲撃がゼログライジスの横顔に直撃した。ゼログライジスには大したダメージにはならなかったが、それに気付いたデスザウラーの分身は、

 

 「なんだい?」

 

 ゼログライジスが振り向くと、海中から、ゼログライジスが復活した際に崩れた南極の氷に巻き込まれ、D因子を奪われて元のカラーリングに戻ったジェノスピノが現れた。

 

 「ようやく、見付けたぜ。ゼログライジス!」

 

 「へぇ~、驚いたね。 あの後、脱出してしかも、ボクのところにまで追い付くとはね。」

 

 「水中移動はジェノスピノの十八番だ。それにあの程度など、俺とジェノスピノにとっては大したことはない。」

 

 「ホントによく頑張るな。」

 

 「悪いが、貴様の力は俺のものになってもらう。俺の復讐のためにな。」 

 

 「復讐? 君の復讐心なんて、ボクに比べたら大したことはないよ。それに今、君がボクと戦っても万の一も勝ち目はないよ。」

 

 「いくら、D因子を奪われても、大した問題ではない。もう一度奪い返すまでだ。」

 

 「なら、君は2度と復活出来ないよう、バラバラにして上げようか?」

 

 「ふ、バラバラになるのは貴様の方だ!!」

 

 その時、ジェノスピノは先に火炎放射を放ち、ゼログライジスの全身が炎に包まれ、更にヘッドキャノンやロングキャノン、ソーザーバルカンも撃ち込んだ。その映像を見ていたギャレット大将たちは、

 

 「大将、我々も…」

 

 「いや、手を出すな。どちらも排除対象だが、その両方が潰し合いをするなら、好都合。決着が付くまで待機し、残った方を集中攻撃で排除する。」

 

 「はっ!」

 

 

 ジェノスピノが砲撃を続けるとその全ての弾丸がつき、煙が晴れていった。

 

 「何の抵抗もないとは、これでは詰まらんな。」

 

 しかし、煙が晴れ、姿を現したゼログライジスは全くの無傷だった。

 

 「何!?」

 

 「この程度かい?」

 

 「ちぃっ、ならば、ジェノスピノ、兵器 解放! マシンブラストー!!」

 

 マシンブラストを発動したジェノスピノは展開したジェノソーザーに火炎を浴びせ、燃え盛る刃に変え、ゼログライジスに突っ込んでいった。

 

 「煉獄ジェノサイドクラッシャー!」

 

 燃え盛るジェノソーザーがゼログライジスの胸部に直撃するが、いくら斬り裂こうとしても、ゼログライジスの装甲には傷をつけられず、それどころか、逆にジェノソーザーの方が欠けていった。

 ゼログライジスは左手でジェノスピノの頭部を掴み、そのまま持ち上げていった。ジェノスピノはジェノソーザーで左手を斬り刻もうとして脱出を図るが、左手すらも斬り裂くことは出来なかった。

 

 「弱い、弱いよ。」

 

 ゼログライジスは丸で赤ん坊がオモチャを振り回すようにジェノスピノを振り回し、そのままビルに叩きつけてしまった。

 

 「ガハァッ!」

 

 「それが世界の3分の1を壊滅させた力かい? ボクとゼログライジスはまだ寝起きだから、これでも本来の20%しか出せていないというのに。」

 

 それを聞いたレオたちや両軍の上層部は驚愕した。

 

 「馬鹿な!! あれで20%だと。」

 

 「くぅ~、ふざけるな。」

 

 コクピットの中で流血するセードは構わず、火炎放射をゼログライジスに直撃させるが、ゼログライジスとデスザウラーの分身は何ともないような状態だった。ゼログライジスは追い討ちをかけるように背中のドーサルキャノンとインフィニティミサイル、テイルレーザーを全てジェノスピノに直撃させた。

 

 「グワァ~!!」

 

 ドーサルキャノンとインフィニティミサイル、テイルレーザーをまともに食らったジェノスピノはジェノソーザーを粉々に破壊され、アーマーもその大半が砕けてしまった。

 

 「へぇ~、よく耐えたね。ボクとゼログライジスが初めて地球に来た時、これで恐竜って奴を全滅させた程だけど、まあ、大した相手ではないね。

 ようやく、歯応えのある奴が来たかと思えば、これじゃ、準備運動にすらならない。精々、ボクとゼログライジスのエサになってもらうよ。ん?」

 

 ゼログライジスが止めを刺そうとしたその時、突然、ゼログライジスの動きが鈍くなっていった。

 

 「ふぅ~、やっぱりザコから集めたゾイド因子じゃ、十分な力を得られなかったか。しょうがない、一旦エネルギーを補給するか。 プライド。」

 

 その時、突然、巨大なアナザーゲートが現れ、ゼログライジスを包んでいき、ゼログライジスは姿を消していった。

 

 「くっ、逃がすか。」

 

 ジェノスピノはそれを追うかのように重傷であることに構わず、海中に入ってその場を去った。それを見てレオたちや両軍の上層部は何とも言えない表情になり、

 

 「た、助かったのでしょうか?」

 

 「だといいが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アナザーゲートを抜けたゼログライジスが向かったのはゼロメタル帝国の本拠地が置かれている旧ワシントンD.C.にある宮殿に改装されたリンカーン記念館だった。

 ゼログライジスの身体から複数の機械のコードが伸び、それらから背中のコクピットにいるデスザウラーの分身を運び、ゼログライジスから降ろした。そして、デスザウラーの分身が改装されたリンカーン記念館の元に向かうと、そこにドクターマイルスとグリード、四天王のラス、エンヴィー、グラトニー、スロウスが待っていたかのように跪いていた。ユウトと瓜二つの黒髪の美少年を見たエンヴィーは、

 

 「何だ? ようやく皇帝陛下を向かえたかと思ったら、またあの出来損ないの失敗作か?」

 

 エンヴィーがそう呟いたその時、黒髪の美少年の身体から紫色の光が飛び出し、オーガノイド体のプライドが現れ、エンヴィーを突飛ばし、その後人間体に変身した。

 

 「ぐっ、」

 

 「口を慎め! このお方はあの失敗作ではない。正真正銘、我がゼロメタル帝国の皇帝にして唯一絶対神たるデスザウラー様だ。その陛下に無礼は許されないぞ。」

 

 「ちぃっ、」

 

 「そうそう、陛下には皇帝即位としての神器が必要でしたね。」

 

 プライドは突然、自分の右手を腹に突き刺し、何かを取り出すような仕草を取り、そこから紫色の超小型ゾイドコアを取り出し、それを以前回収していたサリーのペンダントの中に入れ、デスザウラーの分身に捧げた。 

 紫色の超小型ゾイドコアを入れ、サリーのと違い、紫色に染まったペンダントを身に付けたデスザウラーの分身は改装されたリンカーン記念館の宮殿の玉座に座った。

 

 「これで、あなたが正真正銘の我がゼロメタル帝国の皇帝です。」

 

 「ご苦労だ。さて、僕が皇帝として復活したなら、それ相応は宣言が必要だね。」

 

 「その前に新しいお名前をお付けになってはどうでしょうか? もう今のあなたは過去のデスザウラーではありません。ゼロメタル帝国の皇帝、唯一絶対神に相応しいお名前を…」

 

 「それぐらいは、ボク自身で決めるよ。さて、もう一度、あの下等な奴等に知らせないとね。」

 

 

 

 

 

 両国の首都は一時期治まったが、突然、姿を消したジェノスピノとゼログライジスの捜索を始めていた。

 

 「何処にも、それらしき高エネルギー反応がありません。」

 

 「一体、何処にいったというのだ? まさか、地下か!」

 

 「ギャレット大将、電波障害が入り、緊急通信が…!」

 

 「何!?」

 

 再び、全ての映像が紫色のペンダントを身に付け、玉座に座ったデスザウラーの分身が映った。

 

 「ご機嫌よう、下等生物の諸君、改めて自己紹介をするよ。 ボクはデスザウラーの分身にしてゼロメタル帝国の皇帝ディアベル・ギャラガー。6500万年の時を経て古の皇帝龍ゼログライジスと共に復活し、ここをゼロメタル帝国の帝都オグドロスと名付け、正式にゼロメタル帝国を宣言する。

 ボクはこの星に君臨する唯一絶対神であり、ボクに従う意思がないなら、ボクの眷族が全てを焼き尽くす。白旗を上げるなら、命を保障し、ボクの奴隷として生きることを認める。

 考える猶予は与えよう。期限は10日、それまで結論を出すといいだろう。」

 

 「くっ!」

 

 「デスザウラーの分身…古の皇帝龍……」

 

 デスザウラーの分身ディアベル・ギャラガーの演説によってレオたちや全ての人々は絶望にかられた。

 

 To be continued




 次回予告

 デスザウラーの分身にして、ゼログライジスのライダーであるディアベル・ギャラガーを皇帝として迎えたゼロメタル帝国。
 目覚めたばかりでまだ本調子ではないゼログライジスの圧倒的な力を目の当たりにした帝国、共和国の合同軍はゼログライジスに対抗すべく、ゼオルを指導者としたデュークナイツという組織を立ち上げ、完成したグラビティキャノンとロングレンジバスターキャノンでシミュレーションを行う。
 その一方、レオたちは再び地球再生という目的のために端末の再起動に向かうが、ゼロメタル帝国の四天王が皇帝即位の祝いとでも言わんばかりにゼロファントス軍団を率いて両国領に侵攻してきた。

 次回「結成! デュークナイツ」走り抜け、ライガー!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。