ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・アベラス

54 / 86
 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
 しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたゼロメタル帝国の神官プライドが遂にゼロメタル帝国の絶対神にして皇帝であるデスザウラーの分身、ディアベル・ギャラガーと古の皇帝龍ゼログライジスを復活させてしまう。 更なる絶望を迎えたレオはゼロメタル帝国にどう立ち向かうのか!?


第54話「結成! デュークナイツ」

 ゼログライジスが復活し、帝国、共和国軍を襲撃し、ディアベル・ギャラガーの皇帝即位宣言から2日後の共和国第二の首都ニューホープの軍事基地、そこには両軍の上層部が集結し、ゼログライジスに対する対策を講じていた。

 両軍のゾイドが一瞬にして壊滅させられ、更には今まで両国を脅かしてきたジェノスピノが赤子の手をひねるかのように一方的に敗られるというゼログライジスの力に圧倒された両軍の上層部は今までの合同軍では歯が立たないと考え、新たな組織を設立することにし、ゼログライジス対策組織が設立された。

 その名はデュークナイツ、この組織はゼログライジスとゼロメタル帝国に対抗するための私設軍隊を持った特殊部隊の役目を持っているが、両国の正規軍とは独立し、両軍の優秀な人材を主要メンバーとしており、主なメンバーには共和国からディアス中佐、ハント大佐、ツガミ大尉、帝国からはギレル少佐、バスキア大尉、リュック、ノックス両大尉、シェル軍曹、そしてハワード宰相の推薦で独立部隊からスピーゲル中佐等がいた。

 そしてその総司令にはゼロメタル帝国に関する情報が豊富かつリーダーシップが強いということで両軍の上層部の討論の結果、オメガレックスによる両首都を救ったゼオル・ランスロットが選ばれた。

 帝国、共和国どちらの出身でもない人物を特殊部隊の役目を担う組織の指導者にすることは一部でも反対があったが、ディアス中佐やギャレット大将、ギレル少佐、コリンズ中将らは首都攻防戦で彼の実績をよく知っていたため、彼を強く推薦し、上層部及び両国の議会も承認を得るようになった。

 そして、ニューホープにデュークナイツの私設が増築され、そこでゼオルを中心としたデュークナイツのメンバーによるゼログライジス対策を講じられた。ゼオルが真ん中の席に座り、その他のメンバーがそれぞれの席に座る中、ツガミ大尉が監視部隊が入手したゼログライジスの映像を流し、皆に説明していた。

 

 「監視部隊が入手した映像によると、ゼログライジスはジェノスピノ、オメガレックスを遥かに上回る推定80mの超巨大ゾイドで、大西洋の海を2つに割り、帝国の航空部隊の砲撃に対し、手をかざしただけで、その砲撃を反らして跳ね返し、触れずとも対象のゾイドを押し潰したりする能力を持ち、更に頭部の2本の角から正体不明の電波を流し、それによって電子機器を狂わせ、ゾイドを支配下に置き、背中の巨大なキャノンやミサイルで広範囲に渡っての攻撃が可能ということが現時点で判明している能力です。」

 

 「それにしても、海を2つに割けたり、触れずとも対象のゾイドを引き寄せ、押し潰し、砲撃まで反らすあの能力は一体何なのだ?」

 

 「それはまだ、何とも……」

 

 その時、ゼオルが口を開き、

 

 「海を2つに割け、更に引力のようにゾイドを引き寄せたり、触れずに押し潰せたりできることすら推測すると、あのゼログライジスというゾイドは重力操作が可能な能力を持つと思われる。」

 

 「じ、重力を自在に操れる力だと!? そんなゾイドが存在するはずは…」

 

 「奴等が神として崇拝し、そのライダーがあのデスザウラーの分身というなら、あり得ないことはないだろう。」

 

 「確かにあのスタイルはまさしくあの伝説のデスザウラーそのものだが、形状はゴジュラスに近いようにも見える。 

 しかもそのデスザウラーは確か、あのブレードライガーという伝説のライオン型ゾイドによって倒されたはずでは…」

 

 「確かに記録では、デスザウラーは破壊されたとある。だが、俺の親父の話によると、プライドらゼロメタル帝国の連中は子々孫々に渡ってあの戦いから辛うじて生き残ったデスザウラー因子を保管し、更には惑星Ziの壊滅を早める要因となった神々の怒りと呼ばれる天変地異の後に大陸を制圧していた軍事国家ディガルドの元総司令がその連中の先祖の元メンバーで、更にその元総司令の搭乗機であるバイオティラノはデスザウラー因子を培養して開発されたゾイドとも判明している。」

 

 「とすると、このゼログライジスもそのバイオティラノ同様、デスザウラー因子を培養して開発されたゾイド…ということか。」

 

 「そう考えて間違いないだろう。 更にこの映像から分析した奴の戦闘力から考えると生半可なゾイドでは抑えることは確実に不可能、とすれば、両軍の最高戦力で迎え撃つためにディアス中佐らと相談の結果、グラビティキャノン及びロングレンジバスターキャノンを使用することに決定した。」

 

 「遂にあの伝説の最強兵器を使うことになるのか。しかし、グラビティキャノンだけは確か…」

 

 「首都攻防戦の時は未完成だったため、使用出来なかったが、あの後、完成し、最終調整が終わって既に実戦投入は出来ている状態だ。」 

 

 「ほぅ、やっとか。なら、その威力期待していいんだな?」

 

 「ああ。」

 

 「ジェノスピノのジェノソーザー及びその他の武装でも破壊出来なかったことから、想定すると、グラビティキャノンだけでも対応は難しいと判断し、グラビティキャノンとロングレンジバスターキャノンによる同時発射によって殲滅させるという作戦に変更した。」

 

 「グラビティキャノンによる超重力とロングレンジバスターキャノンによる超威力を合わせれば、その威力は数段上がり、例え、あのゼログライジスといえども、防ぐことは出来ないだろう。」

 

 「だが、1つ問題がある。あれだけの強大な力を持つゼログライジスをどうやってグラビティキャノンとロングレンジバスターキャノンを撃ち込めるようにするかだ。

 あの映像を見ても分かる通り、連合のゾイドが一瞬の内に全滅させられた上に、オマケに我々を苦しめたあのジェノスピノすら、赤子の手をひねるように一方的に押したあの強大な力を持つゾイドを抑えるには相当な罠と部隊が必要だ。

 現在、共和国の最大戦力でもあるギルラプターLCを量産化し、新たに発掘、復元中のゾイドをゼロファントスや正体不明の3体のキメラゾイドに対抗するために改造が施されているが、それでもあれに対抗出来るとは思えない。」

 

 「ギレル少佐、貴国にはあのオメガレックスが保管されているが、あれの修理はまだ終わっていないのか?」

 

 「例え、修理が完了しても、そもそも現在瀕死状態のザナドゥリアス以外にあれを乗りこなせる者は我が帝国にいない。それに第一、荷電粒子吸入ファンを失っているあの状態では、荷電粒子砲を使うなんて到底無理な話だ。」

 

 「かといって、オメガレックス以外に他にあれとまともに戦える大型ゾイドは我が共和国軍にはいない。」

 

 「とすると、奴を罠に嵌めるにはその弱点を把握する必要がある。映像から推測してあの白いカラーリングと紫色のラインから考えてゼロファントスと同じ類いのゾイドであることは間違いなく、以前、ツガミ大尉が計画していたゼロファントス鹵獲作戦を引き続き続行し、その生態系を調査、弱点を把握する必要がある。」

 

 「ところで、ゼオル司令。」

 

 「何だ? ギレル少佐。」   

 

 「確か、我々デュークナイツにはレオやバルディー、アイセル少佐、ロックバーグ中尉、ボーマン博士も入っているはず。何故、彼らがこの場にいない。」

 

 「ああ、それなんだが……」

 

 

 

 

 

 話は作戦会議が行われる2時間前に遡る。復活しゼログライジスの力にレオたちも圧倒されていたが、もう1つ、解決せねばならない恐ろしい問題もあった。

 それは各地にある端末を再起動し、ゾイドクライシスによって滅亡が刻一刻と近付いていく地球の再生ということにあった。 

 今までゼロメタル帝国の戦いに気を取られていたため、端末の再起動に手が回らなかったため、その間に地球滅亡までのカウントダウンが更に近付いてしまい、ゼログライジスとゼロメタル帝国が地球を制圧する前に地球が壊滅してしまうのではないかと懸念あった。

 

 「やはり、これまでのゼロメタル帝国との戦いの日付から計算しすると、後、3ヶ月で地球が壊滅してしまうことが判明した。」

 

 「後、3ヶ月!?」

 

 「それに伴って各地で異常気象も起きている。一刻も早く残りの端末を再起動させねば…」

 

 「でも、お爺様、ペンダントが……」

 

 「そうだ。ペンダントが奪われているこの状況、世界各地に散らばっている端末の正確な位置を割り出すことは不可能、ましてや、後3ヶ月で……」

 

 その時、ゼオルが口を開き、

 

 「ボーマン博士、確か、端末の開発には俺の親父も加わっていたはずだよな?」

 

 「ああ、そうだが、それがどうした?」

 

 「なら、俺のアーサーをお前らに貸してやる。それなら、少しでも手掛かりは掴めるだろう。」

 

 「しかし、君のアーサーを借りるなんて…」

 

 「まあ、確かに人格は俺の親父そのものだが、あくまで今はゾイドで俺の相棒だ。俺の話が通じないことはないだろう。」

 

 「しかし…」

 

 「心配は要らん。今の俺は上層部によってデュークナイツの司令を任された身だ。早々前線に出ることはない。それにレオ、お前の左腕にはゾイド因子がある。それを使えば、端末の居所を探り出すことも出来るだろう。」

 

 「なら、ボーマン博士。私も連れていってください。私にも父上から受け継いだゾイド因子があります。それで端末探しの力にも…」

 

 「だが、メルビル君、君の出撃には皇帝の許可が……」

 

 「フィオナ陛下は私が説得します。」

 

 「お爺様、私も。」

 

 「サリー、今度の旅はお前にとってはかなり厳しいぞ。」

 

 「そもそも、ペンダントを奪われたのは私のせいなんです! だから、その責任として私も。」

 

 「ボーマン博士、俺からもよろしくお願いします。」

 

 サリーの必死な表情とレオのお願いを見たボーマン博士は、

 

 「わかった。だが、無茶はするなよ。」

 

 「それと、シーザー、クラウス、モーリス。お前たちも同行した方がいいだろう。 お前たちの力なら、端末探しが更に容易になる。」

 

 「しかし、我々はあなたの護衛をするために、お父上から…」

 

 「俺は心配ない。デュークナイツはエリート部隊だ。早々簡単にやられたりはしない。それにコバたちの件もあってお前たちは両国からゼロメタル帝国と同一の存在とされ、デュークナイツの所属が許されていない。 

 寧ろ、ボーマン博士と同行した方が一番だろう。それに確か、お前たちの領土に端末が保管されているとも聞いたが?」

 

 「ええ、あの時、ゾイドクライシスの時に1つの端末を掌握していて、それをコアにしたおかげで我がアドリア王国のゾイドは繁栄されているのです。」

 

 「なら、それを使えば、例え、ペンダントが無くても端末の位置は割り出せるだろ?」

 

 「しかし、その場合、端末を移動させることになりますが…」

 

 「ペンダントに代わる発信器の開発を進めていますので、とにかく出来るだけのことはやってみます。」

 

 「あのゼオルさん。」

 

 「何だ、レオ?」

 

 「ゼオルさんは一緒に来てくれないんですか?」

 

 「デュークナイツの司令に命じられた俺にはゼロメタル帝国に対抗するための部隊を再編成せねばならないため、お前たちと一緒には行けない。それに…」

 

 「それに?」

 

 

 

 

 

 一連のことを話したゼオルは、

 

 「地球再生のためのZiホーミングを行う程の力を持つリジェネレーションキューブの端末はゼロメタルの奴等に取っては無視出来ない代物。

 以前、端末を起動させるペンダントを奪ったランドが復元したオメガレックスの強化に使用されたのと同様に奴等もゼログライジス強化に利用される可能性も十分にあり得る。

 とすれば、奴等が真っ先に狙うのは我々よりもレオたちになる。だから、彼らには出来るだけの護衛をつけておく必要がある。それにそれだけの力を持つ端末を全て再起動させれば、地球の再生はおろか、ゼログライジスに対抗するための力にもなるだろう。」

 

 「なるほど、つまりゼログライジスを迎え撃つための準備が整うのはレオたちが全ての端末を再起動出来るかに掛かっているということか。」

 

 「そういうことだ。では、全員各自、作戦に取り掛かれ。」

 

 「はっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼオルがディアス中佐、ギレル少佐たちと作戦会議をしている中、レオたちはネオゼネバスに向かい、サリーとメルビルはフィオナのいる宮殿の庭園に入った。そこでフィオナはサリーとメルビルが搭乗していたハンターウルフとギルラプターと仲良くしていた。

 

 「ウフフ、くすぐったいわ。」

 

 「陛下……」

 

 「あら、御姉様に、サリーさん。」

 

 「実は、地球再生のため、端末を再起動させるためにレオたちと同行することにして、陛下に許可を頂きに参りました。」

 

 「また、行かれるのですね…」

 

 「はい。」

 

 「私からもお願いします。」

 

 「わかりました。許可致します。」

 

 「陛下と御一緒することが出来なくて申し訳ございません。」

 

 「そんなことありません。元はといえば、私御姉様のことに気付かなかったせいです。」

 

 「いえ、そんな…そもそも、御父様の行為を止められなかった私に責任があります。私が御父様のことを、その気持ちを理解していれば、こんなことには…もちろん、ユウトだって……」

 

 「真帝国を創ったランドは愚かでしたが、やっぱり、私より御姉様の方が皇帝の器に相応しいですね。」

 

 「な、何を!」

 

 「だって、御姉様は孤児院の生活で、人の痛みをよく知っているから、あなたは多くの人を疑うことなく優しくし、ユウトという人がそれほど悪い人ではないことも気付いた。それにあなたにはゾイドを大切にする気持ちもある。それだけの愛を持っている人こそ一国の王に相応しいお方です。

 それに引き換え、私は何不自由なく、こんな宮殿で過ごし、御姉様が孤児の時にどれだけ酷い目に逢ったのか、共和国との戦争でどれだけの人々が亡くなったのかも知らずに生きたまま皇帝になったのです。そんな人が皇帝になる資格なんてありません。」

 

 「そんなことはありません。陛下だって十分に帝国のために尽くしてきました。陛下がいたからこそ、今の帝国があるのです。」

 

 「でも、それは私1人だけでやったことじゃない。ハワード宰相や議員の皆さんによって成し遂げたものなよ。私1人の力なんて大したことないわ。」

 

 「そんな……」

 

 「現在、重傷のユウトさんのこともありますが、御姉様、サリーさん。あなたたちはこれまでの過酷な生活を乗り越え、酷い父親の呪縛も解け、大事な人や苦しんでいる人々のために尽くしてきました。

 その優しさを忘れずに戦ってきたあなたたちはこれからの帝国…いえ、これからの世界に必要な人物なのです。」

 

 「陛下…」

 

 「大事な人……もしかしたら、ピーターも救えるのかな…」

 

 フィオナの言葉を聞いたサリーは自分に真実を話したセードのことを思い出した。

 

 「それと、許可を与える前にあなたにお願いがあるの。」

 

 「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼロメタル帝国帝都オクドロスの宮殿の玉座に居座るディアベル・ギャラガーの前でプライドらゼロメタル帝国のメンバーが跪いていた。

 

 「皇帝即位おめでとうございます。ディアベル・ギャラガー陛下。」

 

 

 

 ディアベル・ギャラガーとの面会を終えたラスら四天王はそれぞれの搭乗ゾイドに乗る準備をし、ラスはプライドと共に倉庫に向かい、

 

 「ようやく復活したとはいえ、あの様子とあの言動からしてまだ子供だ。これもアドリア王国によって6500万年以上も眠らされ、更に器となるはずだったユウトが失敗作になったことが原因にある。

 あれでは我がゼロメタル帝国の皇帝としての威厳が薄い。オマケにゼログライジスも本来の出力の20%しか出せていないと言うし……」

 

 「あれでも十分だ。下等生物の帝国、共和国の連中にその力を見せつけることはおろか、あの裏切り者のセードも完膚なきまで叩きのめしたのだからな。」

 

 「プライド、いくら皇帝陛下に仕える神官といえども、勝手が過ぎるぞ。 

 デスザウラーであるディアベル・ギャラガー陛下を唯一絶対神とし、それに仕える我々古代ゾイド人が進化した人類としてこの地球を我らの拠点とし、全宇宙を支配下に置く。これが我が300年以上前の我々古代ゾイド人の悲願だったはすだぞ。」

 

 「それぐらい、十分承知している。」

  

 「なら、早急にゼログライジスを完全体にするべきだ。それにこれまでの戦闘で地球の寿命が更に縮まった、とすれば、奴等が端末を強奪する可能性も十分にあり得る。

 ペンダントがこちらの手にあるなら、それで全ての端末を掌握し、その力でゼログライジスをフルパワー状態にするのも容易のはずだ。今はそれを最重要任務とするべきだ。」

 

 ラスの焦った言動に対し、プライドは落ち着いた様子で話した。

 

 「忘れたのか、あのリジェネレーションキューブの端末は我々古代ゾイド人の先祖の文明を急激に発達させ、それを元にデスザウラーの開発を成功させた惑星Ziのコアを擬似的に再現したもので、それは開発者のボーマンすら気付いていない。

 それに、ジョシュア・コンラッドが私のために残しておいたこの日記によると、今の端末はまだ完全な状態ではない。全ての端末を掌握し、それを1つにまとめることによって完全な状態になり、その力はゼログライジスを遥かに凌駕し、地球の再生どころか、この宇宙そのもの構造をも自由に変えることが可能ともあった。

 その力を手に入れることが出来れば、全宇宙の支配は容易で、ゼログライジスをフルパワーにチャージさせるどころか、ディアベル・ギャラガー陛下のかつての姿、オリジナルデスザウラーをも越えるゾイドへと進化させることも出来る。」

 

 「だったら、尚更…」

 

 「フルパワーにチャージさせる方法等、いくらでもある。それに連中が端末の再起動に動いたのなら、寧ろそれは好都合。 

 しばらく奴等には泳がせる必要がある。だから今は対象外とし、下等生物の帝国、共和国共に神聖ゼネバス帝国でもある我がゼロメタルの力をもう少し見せつけなければならない。」

 

 「貴様のその言葉、信用してもいいのだろうな? 全ては我がゼロメタルと古代ゾイド人の発展のために!」

 

 「皇帝陛下の分身たるこの私がいつ、嘘をついた?」

 

 「うっ、」 

 

 「これまで共に歩んだ同士を何故信用しない? 信用を失うということは、それは死を意味するものだぞ。」

 

 プライドの威圧的な表情に圧倒され、ラスは大人しく従い、

 

 「わかった。」

 

 「君のそのたぐわぬゼロメタルへの忠誠心を信用し、更なる活躍を期待しておるぞ。」

 

 「了解した。」

 

 「ふっ、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネオゼネバスシティの軍施設で休憩しているレオたちはサリーとメルビルを待っていた。

 

 「たく、いつまで待たせるんだ? 預かっているゾイドを返還して外に出るっていう許可を取るだけなのにどうしてこうも時間が掛かるんだ?」

 

 「しょうがないでしょ。メルビルは皇族だから、そう簡単に許可出せる立場じゃないわ。」

 

 「そうだよ、バズ。ここは気長に待とうよ。」

 

 「にしても、遅すぎねぇか? もうかれこれ3時間近くも経ったぞ。」

 

 「お待たせしました。」

 

 「遅せぇぞ! 一体、何を…て、ええ!!」

 

 施設に来たサリーとメルビルについたハンターウルフとギルラプターの姿を見たレオたちは驚愕したような表情をした。 何とハンターウルフはアーマーがピンク色となった姿になり、そしてギルラプターはアーマーが紫色、ボーンが黒色のカラーリングに変更された姿になった。

 

 「さ、サリー、メルビル…何だ、その姿は……」

 

 「実は色々と…」

 

 

 話は2時間前に遡った。

 

 「ええ、ハンターウルフとギルラプターをカスタマイズするのですか?」

 

 「この子たちも御姉様方同様にランドによってバイザー開発のために酷い目に逢わされた可哀想な子で、その呪縛から解けさせるためにランドによって改造された時の姿を変えようと思っているの。この子たちも御姉様みたいに優しいゾイドだからね。 だから、この子たちを御姉様方の好みの色にしてあげます。」

 

 「いえ、そんな……」

 

 「遠慮することはありません。」

 

 

 

 

 それまでの経過を聞いたレオたちは、

 

 「それでこんなに掛かったのか。」

 

 「本当にすみません。陛下の要望でしたので…」 

 

 「そんなことないよ、サリー。この左腕からこのハンターウルフが心から喜んでいる気持ちがよく伝わるよ。それにサリーに凄く合ってるしね。」

 

 「ホント? ありがとう、レオ!」

 

 「え? ああ、それほどでも…」

 

 「ほぅ…彼女の相棒も褒めるなんて中々粋なことを言うじゃないか。」

  

 「ばっ…バーン! そんなことじゃないよ。それに彼女なんて…」

 

 「ウフフッ、」 

 

 「どうしたの? サリー。」

 

 「嬉しい、久しぶりにレオの笑顔が見れて。」

 

 「僕もだよ。」

 

 

 「それにしても、あなたのギルラプターも中々派手になったわね。何と言うか…高貴というか…そう! 丸で王族のギルラプターって感じ。」

 

 「実は、私のギルラプターになったと同時に陛下から、ギルラプターエンペラーと名付けられたのです。」

 

 「ギルラプターエンペラー? エンペラーって…まさか!」

  

 「はい、実は……」

 

 メルビルは再びギルラプターのカスタマイズのことをアイセルに話し、

 

 「ギルラプターエンペラー?」

 

 「そう、このギルラプターは御姉様のギルラプターになった象徴として、そう名付けることにしたの。」

 

 「ちょっと待ってください。エンペラーってことは…もしかして……」

 

 「そう、このギルラプターエンペラーは帝国の皇位継承者のみ、搭乗が許されるゾイドで、私の後を御姉様の子供に継がせることを議会でも決定されたの。」

 

 「私の子供が…後継者!? そ、そんな…いくらなんでも、私のような者が……」

 

 「いいのです。どうせ、私に子供が出来ても跡継ぎには出来ないのです。だって私の婚約者は皇族ではないのですから!」

 

 

 

 「へっぷし!」

 

 「どうした? ギレル少佐。 君が風邪なんて珍しいな。」

 

 「いや、どうもそうじゃない気がするんだが……」

 

 

 

 「それに、御姉様に伝えたいこともあって。」

 

 「伝えたいこと?」

 

 「実はハワード宰相がシーガルやランドの駒にされたことは御姉様の存在に気付けなかった責任にあり、その贖罪としてこのギルラプターエンペラーのライダーに認めると同時に…」

 

 

 

 「ええ~! 昇進したの!?」

 

 「はいっ、この度、ハンナ・メルビル少尉はギルラプターエンペラーのライダー、ハンナ・メルビル中尉として、皆さんと行動を共にし、十分に精進して参ります!」

 

 「驚いたわね。まさか、そこまでの待遇を受けるなんて…」

 

 「なら、同じ階級、そして帝国の時期皇帝の母の護衛としてあたしがレオと共につけてあげるわ。でも、今度の任務とは今までとは違うから、覚悟しなさい。」

 

 ロックバーグ中尉の威圧的な表情に圧倒されるメルビルとアイセル。

 

 「は…はい。」

 

 「よし、準備は揃ったところでそろそろ出発するとするか。皆のもの行くぞ!」

 

 ノリノリなバルディーにマリが突っ込み、

 

 「何で、あんたが仕切るのよ?」

 

 「え? だって、今、デュークなんたらのリーダーになったゼオルから俺はレオたちの指揮を任されたんだぜ。だから、俺がこのメンバーのリーダーってわけ!」

 

 「全く。」

 

 「ちょっと待った! あたしたちもいることを忘れないでよ。おめぇらは3馬鹿盗賊団の…」

 

 「キラーク盗賊団よ! いい加減、覚えなさい。」

 

 「で、何でおめぇらまでいるんだよ?」

 

 「あたしたちはあの忌々しいゼオルというガキに見事にデュークナイツから外されて仕方なく、ここのメンバーに入れられたのよ!」

 

 「そうだ、そうだ。リーダーの無念をお前なんかにわかるか!」

 

 「ほぅ~、でも実際はレオやサリー、後、皇族であるメルビルの側にいたいことが目当てで、実はそっちが本命だったりして?」

 

 「な、何言ってんのよ~!」

 

 「まあまあ、それぐらいにして。」

 

 「レオ君。」

 

 「とにかく、皆、揃ったわけだから、行こう! 端末探しに。」

 

 「おぅっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レオたちがネオゼネバスシティから出発した報告はニューホープのデュークナイツの基地に届き、

 

 「ゼオル司令、レオたちは無事、出発したそうです。」

 

 「そうか、後は我々は引き続き、ゼロファントス捕獲作戦に携わらなくてはな。」

 

 「司令、大変です!」

 

 「どうした?」

 

 「ゼロメタル軍が動き始めました。」

 

 「何! まさか、予想通り、レオたちを標的にして…」

 

 「いえ、それが……」

 

 

 

 

 

 

 エリア78の帝国軍基地、そこにラスの乗る銀色のアーマーとエレクトフリルがライガー・ジ・アーサーのランスと似た形のドリルをし、背中にグリードのプロトゼロファントスと同じレーザー砲を装備したスティレイザー率いるゼロファントスダークス軍団が襲撃していた。

 基地のバズートル隊がラスのスティレイザーに砲撃するが、ラスのスティレイザーには全く通用せず、そのまま角のランスで3体のバズートルを貫き、一気に破壊した。そしてそれに続いてゼロファントスダークス軍団も帝国軍ゾイドを次々と撃破していった。

 

 「我が名は偉大なる皇帝陛下の親衛隊、ゼロメタル四天王のゲイリン・ラス! 我が皇帝陛下の命により、このメタルレイザーで下等生物を駆逐する!」

 

 更に続けて3体のキャノンブルも角のランスで破壊したメタルレイザー爆炎に包まれる司令塔を背にしてバイザーを緑色に発光させた。

 

 To be continued




 次回予告

 各地にある両軍の基地に襲撃してきたゼロメタル四天王率いるゼロファントス軍団を掃討するべく、デュークナイツは帝国の独立部隊と共に共同戦線を組むが、そこにウルサス、オルド、ドッジの操るバーニングライガーまで現れ、三つ巴になってしまう。
 一方、それを知らず、ゼロメタル帝国の妨害を受けていないレオたちはボーマン博士が新たに開発した探知機を便りに端末の場所に向かうが、そこにレオの父、ジョシュア・コンラッドが通ったとされる形跡が見つかり、レオは父に会えると思ってその足跡を追う中、コバの操るバーニングライガーに遭遇してしまう。そしてレオは恐るべき事実を知ってしまう。

 次回「父の足跡」走り抜け、ライガー!! 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。