ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・ギャラガー

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
 しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたゼロメタル帝国の神官プライドが遂にゼロメタル帝国の絶対神にして皇帝であるデスザウラーの分身、ディアベル・ギャラガーと古の皇帝龍ゼログライジスを復活させてしまう。 更なる絶望を迎えたレオはゼロメタル帝国にどう立ち向かうのか!?


第57話「レオの進むべき道」

 ラスたちゼロメタル四天王の撤退後、一体の通常のゼロファントスを鹵獲したギレル少佐率いるデュークナイツ隊はそのままニューホープにある本部に向かっていった。

 

 「敵が撤退しただと?」

 

 「ああ、どういうわけか、基地を制圧する寸前のところで、突然基地から離脱してしまった。最もそのおかげで、一体だけでもゼロファントスを鹵獲するのに成功し、今から本部に向かうところだ。」

 

 「わかった。だが、決して油断はするな。まだ、ゼロメタルの手が回っている可能性もあるからな。」

 

 「了解した。」

 

 「レオたちの行動の阻害よりも軍の制圧を優先的にしているのではないかと踏んでいたが、基地制圧寸前のタイミングで撤退するとは…

 デュークナイツが結成されたことを知った上での牽制か、またその警告ということになる。だとすると、こちらの情報が既に漏れているということになるが、一体何処から…」

 

 「ゼオル司令。」

 

 「何だ?」

 

 「ネオゼネバスのフィオナ皇帝陛下が面会を求めておりますが…」

 

 「フィオナから?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラストのファングタイガー改とブラックビーストライガーが去った後、シーザーとアーサー、ボーマン博士は端末の捜索として村中を調べた。

 

 「シーザー、アーサー君。そっちはどうかね?」

 

 「全く収穫なしだ。」

 

 「私のゾイド因子も一切反応しない…というより、ラストが去った後から全く反応しません。」

 

 「となると、ラストの奴が端末を奪取した可能性があるな。」

 

 「いえ、」

 

 「どうした? シーザー。」

 

 「そもそも、この村で反応したゾイド因子がリジェネレーションキューブのものとはかなり異なっていたため、恐らく元々ここに端末が無く、ラストとあの黒いビーストライガーのゾイド因子で我々を引き寄せた可能性もあります。」

 

 「何故、そんなことが言える?」

 

 「我々は以前、リジェネレーションキューブの端末を見つけたことがあり、その時の感覚をよく知っていますから。」

 

 「ということは、発信器はラストとあの黒いビーストライガーのゾイド因子に反応していたということか…てことはこの発信器は使い物にならないようだな。」

 

 「ん? 待て! シーザー、お前が見付けたその端末はどうしたのだ?」

 

 「我々の王国の発展のために持ち帰り、王国の母体となっています。王国の野生ゾイドは繁殖されているのもその端末の力によるものです。」

 

 「そうか…なら、その端末を媒体に新たに発信器を作れば、端末の在りかを探り出せるのではないか!」

 

 「確かに元々あのペンダントは私が端末を媒介にして作ったもの…もしかしたら、いけるかもしれない。」

 

 「よし、なら、早速アドリア王国に行って発信器の開発に向かう。」

 

 「落ち着け、アーサー君。 確かに端末の再起動は我々の重要任務だが、もう1つ問題があることを忘れないでくれ。」

 

 ボーマン博士が向こうを見ると、そこに落ち込んだレオと寄り添うサリーの姿があった。

 

 「しっかし、驚いたな。まさか、レオの探し求めていた親父さんが実はゼロメタル帝国の人間で、アーサーみたいにゾイドと一体化しているとは…しかも母親がプライドと同じ古代ゾイド人の末裔で、レオもその血を引き、プライドの命令を受けて母親を殺し、故郷の村まで破壊するなんてな。」

 

 「サリーのお父さんが真帝国はランドだったということもあったけど、これはまた厄介なことになりそうね。」

 

 「全くだ。つまりこれ以上端末探しを続ければ、いずれレオは親父さんと戦うはめになる。もう旅に参加できる気力は無くなったということだ。つまり、これで俺も旅に加わる必要が無くなって元の運び屋に…」

 

 ガツン!

 

 「とにかく、まずはアドリア王国に行きましょう。問題はその後よ。」

 

 バズをゲンコツ一発で黙らせたロックバーグ中尉にバーンたちは唖然とした。

 

 「スゲェ…」

 

 「やっぱ、敵に回したくない。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フィオナの面会に応えたゼオルはネオゼネバスに向かい、オメガレックスによって破壊された移民船の残骸を元に新たに修築された宮殿の庭園にてゼオルとギレル少佐はジーンとバスキア中尉と共に現れたフィオナと会談した。

 

 「紅茶は余りお飲みにならないのですか?」

 

 「デュークナイツの司令として余り余裕がないのです。」

 

 「遠慮することはありませんよ。こうしてあなたとゆっくりお話しすることは余りありませんでしたから。」

 

 「本題に入るのに随分悠長ですね…貴国が脅威に晒されているというのに、呑気にお茶とは…」

 

 「ゼオル司令! 皇帝陛下に無礼ですよ。」

 

 「いいんです。ジーン。ホントのことですから…やっぱり私は一国の王には相応しくないですね。やはり御姉様の方が相応しいのかも…」

 

 「そのために俺を呼んだのか?」

 

 「確かめたいんです。国民はホントに私を王として認めているのか、私は王の器として相応しいのかどうかをあなたに聞きたいのです。」

 

  「俺はあくまで古代ゾイド人の末裔であって、そもそも王族じゃないし、王族社会のことは興味がない。

 そちらの家のややこしいいざこざのおかげで、望まずして王になって嫌がるのも無理はない。地位を捨てるか捨てないかはお前の自由だ。別に止めはしない。

 だがな、いくらその地位が嫌だからと言って責任をほっぽりだせば、それはただの現実逃避だ。そんなことをすれば、他の連中を苦しめることになり、そしてそれは自分にも降りかかってくる。そのことだけは忘れるな。」

 

 「やっぱり、あなたと話して正解でした。これで私は自分のやるべきことを見付けました! 現帝国皇帝としてこの国の発展と御姉様のような不幸な人たちを生み出さないために私は自分の使命を全うします。

 そして、これからの共和国との関係及び地球の再生を脅かすゼロメタル帝国を打倒するためにあなたの力もお貸しください。」

 

 「なら、それでいい。」

 

 「では、気を取り直してもう一度お茶会を…」 

 

 「もう、それぐらいにしろ。聞かせてもらおうか。わざわざ俺をここに呼んだ本当の目的は何なのか…」

 

 「やっぱり、気付いていたのですね。」

 

 「当たり前だ。こんなことを聞くためにわわざわざ呼ぶ必要はないだろ?」

 

 「実はあなたをここにお呼びしたのは、あなたに会いたい人が私に頼んだのです。」

 

 「俺に会いたい? 誰だ。」

 

 「私だ。」

 

 その時、ゼオルの前に現れたのはマクラマカン大佐とシーガル中佐だった。

 

 「スピーゲル中佐がデュークナイツに所属したことによって代わりに独立部隊の司令となったマクラマカン大佐とシーガル中佐です。」

 

 「シーガルだと…」

 

 「はい、真帝国を創設した帝国政府反乱者シーガル元准将の弟です。ですが、私は兄のような愚かな野望はなく、あくまで生涯帝国学園ために尽くす者であります!」

 

 「聞かせてもらおうか。俺を呼んだ真の目的を…」

 

 「実はあなたもご存知でしょうが、我が帝国軍が保管されているオメガレックス、あれをゼログライジスを迎え撃つための戦力として加わえられないでしょうか?」

 

 「オメガレックスをだと!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラストのファングタイガー改とブラックビーストライガーはゼロメタル帝国帝都オクドロスにあるドクターマイルスの研究所に戻った。

 

 「ラスト。随分、早かったな。」

 

 「ちょっとこいつと一緒にあのライガーのガキにちょっかい出してきてね。」

 

 「どうだ? 私の開発したブラックビーストライガーは?」

 

 「大した戦果だったわ。あのライガーのガキも相当参ったぐらいだったわ。」

 

 「そうか…やはり、効果はあったみたいだな。ところで、皇帝陛下の命令は忘れていないよな?」

 

 「あくまで始末するのはあのライガーとガキだけで、他の連中には手は出すなってことでしょ? わかってるわよ。」

 

 「陛下は惑星Ziの時にライガーに敗れた苦い思い出があるのだからな。しかも、陛下のD因子で生み出したバイオティラノも同じライガーに倒されたわけだから、相当根に持っているらしいな。」

 

 「ゼノレックスとかはいいのかしら?」

 

 「ま、そこはプライドがやってくれるだろ。何せ、奴には取って置きのゾイドがいるって言うらしいからな。」

 

 「ところで、そのプライドは?」

 

 「陛下のところにいるが…」

 

 「ふん、いっつも陛下の近くでくつろぎやがって!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フィオナとマクラマカン大佐との面会を済ませ、ニューホープにあるデュークナイツ本部に戻ったゼオルはギレル少佐とディアス中佐たちメンバーと共に再びゼロメタル帝国に対する会議を始めた。

 

 「現帝国の独立部隊司令マクラマカン大佐の提案によると、ロングレンジバスターキャノンやグラビティキャノンでもあのゼログライジスを倒すのは不可能と考え、オメガレックスもその作戦の戦力に加わって欲しいという提案だ。」

 

 「確かにオメガレックスもいれば、ゼログライジスを迎え撃つための戦力には十分使えるだろう。」

 

 「ところで、ギレル少佐、帝国軍はオメガレックスの修復にはどこまで進んでいる?」

 

 「コリンズ中将から聞いた話によると、修復自体は粗方終了しているが、荷電粒子吸入ファンの再現にかなり手こずっているらしい。 そもそもあれが無ければ、オメガレックスは荷電粒子砲を撃てないからな。

 だが、それでもジェノスピノと同等か、それ以上の格闘能力を持っているため、荷電粒子砲を捨て別の武器を装備するという案もあるらしいが…」

 

 「だが、それでもゼロメタル帝国を倒せる戦力とは言えない。ましてや、荷電粒子砲を撃てないとなると、到底あのゼログライジスの足元にも及ばん。 下手をするとジェノスピノの二の舞になりかねないぞ。」

 

 「確かにゼログライジスのパワーは先のジェノスピノとの戦いで思い知らされている。」

 

 「アドリア王国の技術で荷電粒子吸入ファンを再現するということは?」

 

 「ゼノレックスのゼノエヴォリューションシステムか…確かに不可能ではないが、バーニングライガーの件もあって両国の上層部はアドリア王国との同盟に色々と躊躇している。 いくら、こちらの判断でも承認はしないだろう。」

 

 「ゼオル司令、」

 

 「1つ、方法があります。」

 

 「ロングレンジバスターキャノンとグラビティキャノン、そのどちらかをオメガレックス装備させるというのはどうでしょうか? 

 どちらも荷電粒子砲の代替にはなりますし、作戦の幅だって広がります。」

 

 「なるほど。」

 

 「となると、後はライダーが誰になるかだな…例のザナドゥリアスとやらはあの有り様だし……」

 

 「俺がやる。」

 

 「ゼオル司令…」

 

 「この場合、作戦の指揮官がライダーになるべきだ。それに古代ゾイド人の末裔でもある俺が一番適任だろう。」

 

 「異論はありません。」

 

 「よし、では、そのことをマクラマカン大佐に…」

 

 「ゼオル司令!」

 

 その時、会議室に1人の兵士が慌てて中に入った。

 

 「何だ? 会議中入った勝手に入らないという規則だが…」

 

 「緊急事態です! 先程、鹵獲したゼロファントスを解析中に…」

 

 「何!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ペンダントの代替としての端末の発信器を作るためにレオたちはアドリア王国に向かい、地下都市の中央に王国のコアとなっている端末に立ち寄り、ボーマン博士はシーザーやアーサーと共に端末の発信器の開発を進めた。

 バーンたちはその発信器の開発が完成するためにアドリア王国の地下都市で休み、待機するが、レオは未だに立ち直れずにいた。サリーは再びレオの元に立ち寄った。

 

 「サリー、俺はどうしたらいいのんだ…」

 

 「俺の父さんは地球とゾイドを愛し、俺に地球で住むことの大切さとゾイドと共に育むことを教えてきた。俺はそんな父さんが好きで、父さんが旅に出た後、父さんのような立派な考古学者になり、自分の相棒ゾイドを持つために今までバズと一緒に運び屋として頑張ってきた。

 それなのに…その父さんがゼロメタル帝国に寝返って地球を滅ぼすために働き、しかも俺の母さんが古代ゾイド人の末裔で、その母さんがゼロメタルに入らなかったために殺し、故郷の村まで破壊してしまうなんて…

 今まで俺がサリーや皆のためにやってきたことは何だったんだ? 父さんが望んでいるようにゼロメタルに入るためのことだったのか…それとも、俺がやってきた自体が無意味だったというのか…ライガーと相棒に出来た証のこの腕も全てゼロメタルのためだったのか…

 だとしたら、あの時、俺はサリーやライガーに会うんじゃなかった。あの時、サリーやライガーに会わなければ、こんなことにならなかったのに!」

 

 自分を激しく責めるレオの手をサリーはそっと優しく握り、

 

 「レオ、落ち込まないで。あなたのせいじゃないわ。」

 

 「違う、俺のせいなんだ。俺がライガーを相棒にし、セードやユウトと戦い、真帝国が誕生するようになったのも全てゼロメタル帝国の計画通りなら、俺がその元凶ということになる。やっぱり俺にライガーの相棒の資格なんて…」

 

 「ねぇ、レオ。あなた、私が以前、ランドが私のお父さんで、セードが私の弟のピーターってわかった時に言ってたわよね。

 僕は今までずっとサリーのために頑張ってきた。セードの問題がサリーの問題なら、それは僕の問題だよ。 だから、サリーが命を掛ける必要なんてないんだって…私、あの時!あなたにそう言われて嬉しかった。」

 

 「でも、今の俺にはサリーを守ることなんて出来ない。どうせ、俺よりサリーを守るのに、ライガーの相棒に相応しい人間なんて何処にでもいるんだ。」

 

 「私はレオに会えて良かったと思っているよ。」

 

 「え…」

 

 「だって、あなたとあえたから、こうしてたくさんの仲間もいて、ハンターウルフを相棒にすることだって出来た。もし、レオに会えなかったら、きっとこんなことにはならなかったのかもしれない。」

 

 「でも、それは君が…」

 

 「でもね、レオ。私、ただ、守ってもらうだけなのは、嫌なの。レオが私のためにたくさんのことをしてくれているのに、私だけ何も出来ないなんて、そんなの嫌。 

 私だってレオや皆の力になりたい。だってそれが私のやるべきことだから!」

 

 「サリー…」

 

 「私の問題があなたの問題なら、あなたの問題もそれは私の問題。救えることが出来なかった私のお父さんのようなことを繰り返したくない。

 それにそんなにいいお父さんなら、そんな悪いことするような人じゃない。きっと何か事情があるかもしれない。

 ピーターだって、私が幼い時の記憶しかないけど、私のお父さんのようなことをする子じゃなかった。だから、今度は私がレオのお父さんを救ってみせる。」

 

 「サリー…ありがとう。そうだ。俺はこんなところでたち止まっている場合じゃない! 俺、もう一度会ってみる。父さんに!」

 

 「ようやく、決心がついたようだな。」

 

 「あなたは…クラウスさん?」

 

 「シーザーから、お前のことを頼むよう言われてな。それで、お前は本当に親父さんと向かい合うのか?」

 

 「うん、父さんがゼロメタル帝国に入って本当に母さんを、村を破壊したのか、もう一度確かめるために!」

 

 「意気込みはいいが、口だけではまだ信用できないな。お前のその覚悟が本物かどうか、俺と戦ってみろ!」

 

 「あなたと…」

 

 「そうだ。 お前のその覚悟を俺と俺の分身クロスタイガーに見せろ!」

 

 「わかりました。」

 

 「レオ…」

 

 決心がついた目をしたレオを見たサリーは今まで以上の笑顔になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兵士の知らせを聞いたゼオルたちは鹵獲されたゼロファントスが保管している研究室のドアを開けようとしたその時、ドアから紫色の霧が現れ、少しでも触れたゼオルが苦しみだし、更にギレル少佐やディアス中佐たちも突然、呼吸困難になり、リュック隊長は慌ててドアを閉めた。

 

 「これは一体、どうなっている?」

 

 「わかりません。解析中に突然、ゼロファントスの身体からこのような霧が現れたのを監視カメラで確認したんです。その時にカメラが破壊されたため、中ではどうなっているか、わかりませんが…」

 

 「毒の霧の可能性が高いな。よし、全員、防護服を着用。完了次第、中に入る。」

 

 「了解!」

 

 防護服を着用したゼオルたちは研究室で何が起こっているか調べるために中に入った。研究室の中は紫色の霧で覆われていて、中がどうなっているかわからない状態だった。

 

 「酷いな、これは。」

 

 「ああ、これじゃ、何がどうなっているか、さっぱりわからない。」

 

 歩いていく中、ツガミ大尉の足が何かに当たり、下を見ると、そこには研究服を着用したまま白骨化された遺体だった。しかも、辺りを見渡すと、どこもかしこも白骨化された遺体があちこち転がっていた。

 

 「い、一体、これは…」

 

 「恐らく、この霧で死亡したのだろう。」

 

 「この霧がこんな惨状を!」

 

 「とにかく、中に進もう。」

 

 ゼオルたちが奥に進むと、そこには鹵獲されたゼロファントスの姿があり、紫色の霧はゼロファントスの紫色のラインから発生していた。

 

 「まさか、ゼロファントスがこの霧を?」

 

 「そういえば、奴が現れるときに必ず霧が現れ、何か異常なことがあったが、これがそれなのか…」

 

 ゼオルたちがゼロファントスに近付こうとしたその時、突然、ゼロファントスのコクピットを突き破り、中からコードで接続されているゼロメタル兵士が現れた。

 ゼロメタル兵は丸でゾンビのような不安定な動きでゼオルたちに近づき、ゼオルたちは銃を持って警戒した。そしてゼオルたちの手前に来たその時、ゼロメタル兵の身体の皮膚が突然、蒸発し、白骨化された他の研究者同様に白骨化してそのまま倒れてしまい、その後、どういうわけか、ゼロファントスも石化してしまった。余りの突然の出来事にゼオルたちは唖然とし、

 

 「一体、どうなっているのだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼロメタル帝国帝都オグドロスの地下宮殿で、ゼログライジスが幾つものコードに繋がれ、足元にいる何体かのレックスジャミンガを片手で持ち、それを食するように丸呑みしていった。

 

 「ボクの分身がフルパワーになるには、まだもう少しかかりそうだね。」

 

 「ですが、ゼログライジスを完全体にするためのエネルギー源となるゾイドはこの地球にいくらでもあります。 それらを全てかき集めれば、容易でしょう。」 

 

 「そういえば、プライド。 ラストや他の連中にゾイドがいるのに、キミだけいないのよね? 

 何なら、ボクがあの時、準備運動に付き合ってくれたジェノスピノを持ってきてあげてもいいけど…」

 

 「お心遣い、感謝致します。ですが、その必要はございません。

 何故なら、私のゾイドは既に決まっております。 それも陛下のゼログライジスの使徒となる最強のゾイドに。それが完成すれば、ジェノスピノやオメガレックス等、問題ではありません。」

 

 「へぇ~、それは楽しみだ。」

 

 ディアベル・ギャラガーの会話の際にプライドがチラッと見た方向にはゼログライジスと同じコードで接続されている巨大ゾイドの骨格があった。

 

 To be continued




 次回予告

 鹵獲されたゼロファントスによって引き起こされた突然の事故で、ゼオルたちデュークナイツはゼログライジス打倒のためにマクラマカン大佐の元にオメガレックスを対ゼログライジス用ゾイドとするためにゼオルが自らライダーとなって決行した。
 しかし、そんな中、ゼロメタル帝国ではない何者かが次々と帝国軍基地を壊滅させる事件が起こった。果たしてその人物とは…

 次回「オメガレックス再始動」走り抜け、ライガー!!

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