ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・ギャラガー

63 / 86
 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
 しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたゼロメタル帝国の神官プライドが遂にゼロメタル帝国の絶対神にして皇帝であるデスザウラーの分身、ディアベル・ギャラガーと古の皇帝龍ゼログライジスを復活させてしまう。 更なる絶望を迎えたレオはゼロメタル帝国にどう立ち向かうのか!?


第63話「ゼログライジスVSオメガレックス」

 アナザーゲートを抜け、帝国首都ネオゼネバスシティから少し離れた場所にゼログライジスが現れ、ネオゼネバスに向かっている報告はデュークナイツや共和国だけでなく、ネオゼネバスシティにいるハワード宰相とコリンズ中将の元にも届いた。

 

 「まさか、ゼログライジスが今度は我が帝国の首都に向かうとは…デュークナイツと共和国から報告は?」

 

 「直ちに部隊を出撃させ、こちらに合流すると出ています。」

 

 「では、こちらも防衛戦も張らねばなならないな。」

 

 「直ちにマクラマカン大佐とシーガル中佐に伝えます。」

 

 

 ハワード宰相の命を受け、コリンズ中将は独立部隊司令のマクラマカン大佐とシーガル中佐に部隊を動かすよう、要請した。

 

 しかし、通信に応じたのはシーガル中佐のみで、マクラマカン大佐は急用で通信に出られない状態にあった。

 

 「何だと!? その急用とは一体何だ?」

 

 「それが…詳細が私でもわからないのです。何度も通信を出しているのですが、全く応じてくれないのです。」

 

 「こんなときに、何をしているのだ! 仕方ない。臨時として独立部隊の全面な指揮をお前に任せる。直ちに対ゼログライジスの防衛戦を!」

 

 「ただ、中将。1つ問題が…」

 

 「問題…?」

 

 

 シーガル中佐がコリンズ中将に伝えた問題とは、オメガレックスのライダーとなったゼオルが未だにシミュレーションの途中で、対ジェノスピノや同じオメガレックスとの対決を想定したシミュレーションはほぼ完了しているものの、対ゼログライジスを想定したシミュレーションはまだ終了していないため、仮に出撃したとしても、以前のジェノスピノの二の舞になる可能性があったのだった。

 

 「つまり、オメガレックスは出撃できないと?」

 

 「出撃できないわけではありませんが、今、出撃すると、オメガレックスがゼログライジスに勝つ確率は極めて低いと思われます。下手すれば、ジェノスピノの二の舞に…」

 

 「とはいえ、こういう状況にこそ、オメガレックスは必要な存在だ。」

 

 「ですが、ここでオメガレックスを失えば、我が帝国はゼログライジスか対抗するための戦力を失います。そうなってしまったら…」

 

 その時、突然、ゼオルが司令室に入り、シーガル中佐が持っているマイクを取り、自ら通信に応じた。

 

 「防衛隊は首都を防衛するだけでいい。俺が今すぐオメガレックスで出撃する。」

 

 それを聞いて、コリンズ中将は喜ぶが、シーガル中佐は慌ててゼオルを引き留めた。

 

 「な、何を言うのですか!? まだ、ゼログライジス戦を想定したシミュレーションを終えていないというのに…」

 

 「なら、ぶっつけ本番でいけばいいだけだ。」

 

 「何、馬鹿なことを言っているのですか! 第一、今のオメガレックスは荷電粒子砲すらも使えない状態なのですよ。そんな状態でまともに戦っても、勝つ見込みはありません。それに今、ここでオメガレックスを失えば…」

 

 「オメガレックスで勝つ必要はない。あくまで奴はグラビティキャノンとロングレンジバスターキャノンで迎え撃つ。ギレル少佐とディアス中佐にはグラビティキャノンとロングレンジバスターキャノンを輸送させてこちらと合流するよう伝える。」

 

 「無茶です! グラビティキャノンとロングレンジバスターキャノンによるシミュレーションも終えていないというのに、いきなり実戦投入するなんて!」

 

 「じゃあ、聞くが…あんたら帝国軍の防衛隊のみであれを倒せると思うか?」

 

 「そ、それは…」

 

 「それこそ、無謀な話だ。奴を迎え撃つなら、出来るだけ奴に近い戦力で出るのが道理だろ?」

 

 「その大事な戦力だからこそ、ここで失うわけにはいかないのです。」

 

 「確かにそうすりゃ、オメガレックスは残せるだろうが、そうすると防衛隊は全滅し、ネオゼネバスを失うことにする。そうなったら、どう責任を取るんだ?」

 

 それを聞いたシーガル中佐は何も言い返すことが出来なかった。

 

 「戦争を有利に運ぶのは確かにあんたら、軍人の仕事ではあるが、同時に国と国民を守るのがあんたらの一番の仕事だろ? なら、あんたらはそれに専念すればいいだけだ。」

 

 「君の迷いなき精神…軍人である私にはない強い心だ。」

 

 「俺は軍人ではない。俺は奴らを潰す…ただ、それだけだ。何せ、俺にはあんたら以上に奴らとの因縁があるからな。」

 

 「復讐…なのか?」

 

 「復讐…か。まあ、確かにそれもある。親父をあんな目にした奴らにはそれなりの代償は払ってもらわなければならない。

 だが、それ以上に俺にあるのは俺自身の存在意義だ。俺がここにいる意味、そして俺のやるべきことを見付けることだ。」

 

 「自分の存在意義…」

 

 「最も奴らを倒した後のことは考えていないが、それは追々考えればいい。今は今やるべきことをやるだけだ。」

 

 司令室を出たゼオルはオメガレックスの元に向かい、直ぐ様コクピットに乗り込み、操縦桿を握る前にオメガレックスに話し掛けた。

 

 「確かに、あいつの言う通り、俺とお前があのバケモノに勝てる確率は極めて低い。だが、いくらあれがバケモノでも、お前もかつてはジェノスピノ以上の破壊龍と呼ばれたものだ。そう簡単にくたばる程、ヤワではないだろう。」

 

 グウゥ~。

 

 オメガレックスの低い呻き声を聞いてゼオルは何かを察し、

 

 「そうか…未だに前のライダーが恋しいのか。無理もない。 俺も親父の魂が宿ったアーサー以外には乗らないつもりだったが、今はこうするしかない。だが、せめてあのバケモノを倒すまでは付き合ってくれ。 ゼオル・ランスロット、オメガレックス出るぞ!」

 

 ゼオルが操縦桿を握った時、オメガレックスの目が赤く輝き、咆哮を上げた後、ネオゼネバス基地から出ていった。そしてその様子をシーガル中佐は司令室から眺め、心配そうな表情をしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アナザーゲートを抜けたゼログライジスはネオゼネバスに向かってゆっくりと歩行していった。

 

 「なんだい? 少しは抵抗するかと思ったが、全然現れないね。」

 

 ディアベル・ギャラガーが詰まんなそうな表情をすると、ゼログライジスの目の前にオメガレックスが現れ、喧嘩を売るようにゼログライジスに向かって咆哮を上げた。

 

 「へぇ~、まさか、こんなところにオメガレックスに会うなんて予想外だよ。ん? でもユウトって確か死に損ないじゃなかったっけ? ライダーは違うのかな?」

 

 その時、オメガレックスは通常とは形が少し違う誘導ミサイルをゼログライジスに向けて放ち、それに対し、ゼログライジスはGグラップクローによる重力操作で打ち返し、オメガレックスは跳ね返された誘導ミサイルを全て両用速射砲で迎撃した。

 

 「やはり、厄介だな。あの重力操作は…シーガル中佐によると、新たに装備されたオメガレックスの誘導ミサイルは地球人類が使用していた地中貫通爆弾を応用したものになっているが、当たらなければ意味がないか。ならば…」

 

 オメガレックスは今度は両用速射砲で周囲の森を燃やし、山火事

に紛れて自身の姿を隠し、姿を見失ったゼログライジスは周囲を見渡すが、火事に紛れてオメガレックスが誘導ミサイルを放ち、その一撃がゼログライジスの胸部に直撃するが、ゼログライジスの装甲は全くの無傷だった。

 

 ゼログライジスは重力操作で山火事を全て払い、オメガレックスの姿を炙り出し、オメガレックスの姿がさらけ出された。オメガレックスの姿を確認したゼログライジスは背中のドーサルキャノンとインフィニティミサイル、テイルレーザーをオメガレックスに放ち、オメガレックスは直ぐ様、誘導ミサイルと両用速射砲で迎撃するが、全て迎撃出来ず、直撃してしまう。

 装甲に所々ヒビが入るも、何とか立ち上がっていた、

 

 「へぇ~、今の一撃を耐えられるなんて、凄いね。戦闘スタイルも中々高いし、興味深いよ。」

 

 「数発迎撃出来たから、オメガレックスは致命傷を逃れたが、やはりこのまま、まともに戦ってはこちらが不利か…かといって、小細工も奴には通用しない。 ギレル少佐とディアス中佐はまだ合流しないのか? ん?」

 

 その時、オメガレックスのコクピットに搭載されている発信器が何かの金属に反応し、ゼオルがそれを確かめると、その反応はネオゼネバスシティから数キロ離れた先にゾイドクライシスで荒廃した街にあった。

 

 「こんなところにもゾイドクライシスの爪痕があったのか。 距離はここから2、3キロってとこか。彼処なら、ネオゼネバスの影響はそこまで出ない。ここに奴を誘い込むか。にしても、何故、こんなところに金属反応が? いや、今は気にしている場合じゃないか。」

 

 オメガレックスは新たに装備された閃光弾をゼログライジスに向けて放ち、それによって一瞬だけ、ゼログライジスの目を眩まし、更に誘導ミサイルと両用速射砲を撃ち込んだ。

 

 「ふん、こんなもので、ボクを倒せると思っているの?」

  

 煙が晴れると、既にオメガレックスはゼログライジスに背を向け、走り去っていった。

 

 「何だよ! このボクに喧嘩を売っておきながら、逃げるのかい? 情けないね。それとも、誘っているのかい? なら、もっと楽しませてよ。」

 

 オメガレックスの行動を悟ったディアベル・ギャラガーとゼログライジスは走り去るオメガレックスを追っていった。追っていくゼログライジスに気付いたゼオルは、

 

 「よし、奴が誘いに乗ったな。このまま奴を誘導し、あそこで迎え撃つ。」

 

 オメガレックスが走る中、ゼオルはコクピットの中で暗号通信を送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギレル少佐とディアス中佐の乗るグライノスホーンを筆頭とするデュークナイツ隊はグラビティキャノンを装備させたグラキオサウルスとロングレンジバスターキャノンを装備させたスティレイザーを連れ、ネオゼネバスに向かった。その時、ギレル少佐がゼオルが送った暗号通信に気付き、

 

 「どうした? ギレル少佐。」

 

 「ゼオル司令から暗号通信が出た。」

 

 「何! その内容は?」

 

 「ネオゼネバスから離れた場所にゼログライジスを誘い込む。お前たちは直ちにそこに向かい、私が注意を引き付けている間に奴にロングレンジバスターキャノンとグラビティキャノンを撃ち込め…とある。」

 

 「何処なんだ? そこは。」

 

 「位置は…」

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻、ゼログライジスが去った後、レオとライジングライガーデイズ、サリーはディアベルが渡した3つの端末を再起動させ、デイズに進化したライガーの力によって端末は正常に作動し、それぞれの場所に飛んでいった。

 

 「一時はどうなるかと思ったが、これで一気に3つも端末が見付かり、残るは後、一つになったな。どうやら、順調のようだ。」

 

 バズが楽観するなか、レオとサリー、バーンたちだけは浮かばれない表情になっていた。

 

 「戦闘に出ず、軍人ではない一般人は単純でいいわね。むしろ私たちは追い詰められているのよ。」

 

 「それにしても、クラウスの力を受け継いで進化したレオのライガーですら、歯が立たないとは…」

 

 「けど、奴は何であのまま戦わず、わざわざ端末を俺たちに渡したんだ? あんな敵に塩を渡すようなことをして一体何の得があるってんだ…」

 

 「私たちを侮っているのか…それとも、戦いを楽しむためだけにやっているのか…」

 

 「奴らの目的が何にせよ、これで残る端末は後一つとなった。一刻も早く、端末を探さねば…」

 

 その時、ロックバーグ中尉の元にシェリー大佐からの通信が入り、ゼログライジスがネオゼネバス周辺に現れ、現在オメガレックスと交戦していると出て、シーザーとモーリスは救援に出る側と端末を探す側に分けていくかと提案したが、ボーマン博士は端末は残り一つとなったので、このまま端末探しに専念し、再起動させた後、直ちに救援に向かうべきだと提案した。

 それぞれの提案が定まらない中、レオは黙り込み、サリーは心配そうにしていた。

 

 「どうする…」

 

 「行きましょう。」

  

 「レオ…」

 

 「端末を再起動させるのが俺たちの本来の目的です。そして最後の端末を起動させてゼログライジスを倒す!」

 

 「そうだな。よし、俺たちはこのまま端末探しに向かう!」

 

 「しかし、最後の端末の在りかが未だ不明であり、仮に端末を見付けて再起動しても、ゼオル様の救援に間に合うとは思えません。  

 戦力が落ちることになるが、私とモーリスは過去にゼログライジスと戦った経験がある。我々だけでも先に救援に行かせてくれないでしょうか?」

 

 「確かにゼログライジスを食い止めるには少しでも多くの戦力が必要ね。わかった。じゃあ、最後の端末は私たちが探す。あなたたちはゼオルの救援を。」

 

 「承知した。」

 

 ロックバーグ中尉の了解を得たシーザーとモーリスはゼオルの元にレオたちは最後の端末の元にそれぞれ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼログライジスを誘い込んだオメガレックスは先に廃墟に辿り着き、そのまま街中の何処かに消えていった。オメガレックスを追っていったゼログライジスは消えたオメガレックスを探しに街中をゆっくり歩行していった。

 

 「んん? どうしたのかな? 今度はかくれんぼかい。ボクの前世と同じティラノサウルス種だというのに隠れるなんて情けないね。せめて正々堂々戦おうよ。

 ユウトより少しはやれると期待していたけど、とんだ期待外れだったね。ショボい!」

 

 ディアベルが煽りながら、ゼログライジスがオメガレックスを探しに歩いていくと、突然、ゼログライジスの足元が爆破し、ゼログライジスは地面に埋まれ、更に左右のビルも爆破し、それぞれゼログライジスに向かって倒れていった。

 

 ビルの下敷きとなり、身動きが取れなくなるゼログライジス、しかし、ディアベルは動じることなく、ゼログライジスは重力操作でビルの瓦礫を浮かばせてそこから脱出しようとした。

 

 「こんなもので、ボクを止められると思ったのかい?」

 

 ゼログライジスがビルの瓦礫から顔を出したその時、突然、オメガレックスが飛び込み、そのままゼログライジスの顔にしがみついた。

 

 「あ? 何のつもり?」

 

 「見てわかんねぇのか? こうするんだよ!」

 

 ゼログライジスの顔にしがみついたオメガレックスはゼログライジスの目にゼロ距離で両用速射砲を放ち、更に誘導ミサイルも放った。

 

 強固なゼログライジスと言えども、流石にオメガレックスの巨体がしがみついた状態でゼロ距離で放たれた衝撃に耐えられず、苦しみだし、徐々に目に傷が付いていった。

 

 「どうやら、行けそうだな。」

 

 ゼオルが勝利を確信したその時、ゼログライジスは片手でオメガレックスをつかみ取り、そのままビルの瓦礫に投げつけ、更に重力操作でオメガレックスの巨体を浮かせ、再び持ち上げた。

 

 「ぐっ! しまった。」

 

 「思ったより、やるねぇ。このボクも驚いたよ。でも、ボクを怒らせるとどうなるか、後悔させてあげるよ。」

 

 オメガレックスの巨体を持ち上げたゼログライジスはそのままオメガレックスを握り潰そうとし、オメガレックスのボディに徐々にヒビが入っていった。

 

 だが、その時、突然、超強力な一撃がゼログライジスに直撃し、その衝撃でゼログライジスはオメガレックスを離し、オメガレックスはその場から脱出した。

 

 助けたのはロングレンジバスターキャノンを装備したスティレイザーで、グライノスホーン率いるデュークナイツだった。

 

 「ようやく来たのか。遅いぞ!」 

 

 「ですが、奴に1発噛ましてやりました。グラビティキャノン放て~!!」

 

 グラビティキャノンを装備したグラキオサウルスは既に発射出来る状態にあり、ゼログライジスがデュークナイツ隊の方に向いた瞬間にグラビティキャノンが放たれ、ゼログライジスはその重力場に飲み込まれた。

 

 「よし、作戦は違うが、奴にグラビティキャノンを御見舞いしてやったぞ!」

 

 「いくら、奴がどんなバケモノだろうと、あれをまともに食らったら、助かりはしない。」

 

 ギレル少佐とディアス中佐が勝利を確信したようにグラビティキャノンをもろに食らったゼログライジスは身動きが取れない状態になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ネオゼネバスの司令室でその様子を見ていたシーガル中佐もゼログライジスを倒すことが出来たと同様に勝利を確信したが、その時、突然、マクラマカン大佐が司令室に入った。

 

 「大佐、何処に行ってたんですか? こんな大事な時に。今、デュークナイツがゼログライジスを…」

 

 「知っている。奴等が我々の罠に掛かったんだろ? いよいよ神聖なる帝国生誕のための記念すべき日に…」

 

 「え…」

 

 

 

 

 

 

 グラビティキャノンを食らって身動きが取れなくなったゼログライジスだが、その時、ゼログライジスが突然両手を広げ、同時にグラビティキャノンによる重力場が膨張するように広がっていった。

 

 「!? 一体何が起こっているというのだ?」

 

 「グラビティキャノンの威力が上がったというのか?」

 

 「違う! 奴は重力操作でグラビティキャノンの重力を逆に押し返しているんだ。」

 

 「何だと!? 信じられん。奴はグラビティキャノンの超重力さえも支配下に置けるとでもいうのか!」

 

 ゼログライジスの重力操作でグラビティキャノンの重力場はオメガレックスとグライノスホーン、デュークナイツ隊の目の前にまで広がり、デュークナイツ隊がその場から離脱しようとしたその時、重力場が突然消え去り、ゼログライジスは先程、グラビティキャノンを食らったにも関わらず、丸で一度も食らっていないかのような素振りを見せた。

 

 「まさか、さっきのは演技だというのか!」

 

 「う~ん、今のはちょっと効いた。肩凝りにちょうどいいね。君、本当によくやるよ。気に入った。出来ればこのまま楽しみたいんだけど、今の一撃で皆起こしちゃったから、ここまでのようだね。」

 

 「どういうことだ!?」

 

 その時、グラビティキャノンの重力場によって崩れたビルの瓦礫から、帝国軍の砂漠仕様キルサイスが現れ、ゼログライジスを護衛するように囲んでいった。

 

 「キルサイス! まさか、奴等、ゼロメタル仕様キルサイスまで待機させていたのか。」

 

 「(しかし、おかしい。現れたのはどれも帝国のエンブレムが貼られているキルサイスで、しかも目の色は通常で、どれも洗脳されているような感じではない。一体、これは…)」

 

 ゼオルが現れた砂漠仕様キルサイスに違和感を覚えるが、更に光学迷彩を搭載した砂漠仕様キルサイスも次々と現れ、一気にゼオルたちデュークナイツ隊を取り囲んでしまった。

 

 「なっ! 一体、これは…」

 

 

 

 

 

 同時にネオゼネバスの司令室では、マクラマカン大佐がシーガル中佐に銃を向け、更に帝国軍兵士が司令室に入り込んでいった。

 

 「大佐、一体何の真似ですか!?」

 

 「最早、この帝国は堕落してしまい、かつての惑星Ziのガイロスのような栄光は消え去り、ゼネバスの系統も無くなっている。だから、この帝国はゼロメタル帝国に返上し、神聖なる帝国に変えねばならない。」

 

 「裏切ったのですか!? 大佐。」

 

 「裏切りではない、これは革命だ。かつての帝国の栄光を取り戻し、正当なるゼネバスを復活させ、唯一無二の帝国とする。

 そう、我々は帝国でも、真帝国でもない。神聖ゼネバス帝国だ。」

 

 To be continued




 次回予告

 マクラマカン大佐の突然のクーデターにより、独立部隊がネオゼネバスを占拠し、ディアベルとゼログライジスを迎え入れ、ゼオルたちは捕虜にされてしまった。
 共和国はマクラマカン大佐ら帝国の独立部隊の制圧に向かおうとするも、オメガレックスが敵の手に落ちたため、共和国に迎え撃つ戦力は残っていなかった。
 一方、レオたちは最後の端末を見付けるために必死に探すが、全く見付けられないでいた。だが、そんな時、マクラマカン大佐がネオゼネバスで演説を行い、更に共和国に交換条件を押し付けた。
 果たしてその交換条件とは…そしてクーデターの目的とは…?

 次回「神聖ゼネバス帝国」走り抜け、ライガー!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。