ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・アベラス

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
 しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたゼロメタル帝国の神官プライドが遂にゼロメタル帝国の絶対神にして皇帝であるデスザウラーの分身、ディアベル・ギャラガーと古の皇帝龍ゼログライジスを復活させてしまい、更に帝国のマクラマカン大佐のクーデターによって新たなる帝国、神聖ゼネバス帝国をも誕生させてしまった。
 更なる絶望を迎えたレオはゼロメタル帝国にどう立ち向かうのか!?



第65話「端末奪還作戦」

 ディアベル・ギャラガーが神聖ゼネバス帝国の初代皇帝に就任し、ゼログライジスが旧帝国の移民船を破壊したことによって、旧帝国は完全に崩壊した。

 

 マクラマカン大佐は神聖ゼネバス帝国をより完全なものにするべく、ディアベル・ギャラガーの皇帝即位後、ディアベル・ギャラガーの治めるもう1つの帝国たるゼロメタル帝国との合併も謀り、マクラマカン大佐はドクターマイルスを通じてゼロメタル神官プライドと通信を開き、彼等を旧ネオゼネバスに招き入れようとした。

 

 通信に応じたプライドはラストやグリード、ゼロメタル四天王を引き連れ、帝都オグドロスを出てネオゼネバスに向かい、尖兵であるゼロファントスとゼロファントスダークス、ゼロメタルリーパー軍団が次々と入城していき、その後にゼロメタル四天王のゾイドも入城していった。

 それまで帝国国民はゼロファントスを見ただけで怖がり、逃げていく等、恐怖の対象とされたが、真帝国の反乱とマクラマカン大佐、摂政時代のプライドがこれまで行ったプロパガンダの影響によって、帝国国民は旧帝国にすっかり愛想を尽かし、手のひらを返すように逆にゼロメタル帝国を受け入れ、入城してきたゼロファントスとゼロメタルリーパーを歓迎し、万歳三唱までするという異様な光景となった。

 

 更に神聖ゼネバス誕生として、旧帝国の誇りとなるものを破棄することが決定され、旧帝国の国旗は軍と国民によって破り捨てられ、または焼き捨てられ、新たにゼネバス帝国の象徴的な蛇を黒き龍にした国旗が立てられるようになった。

 また、試作段階ではあるものの、ドクターマイルスがあらゆるワイルドブラストに耐え、通常の人間を遥かに凌駕する身体能力を得るロボットスーツの開発を帝国に潜入していた間に密かに行っていたため、帝国軍兵士は耐Bスーツを捨て、新たにそのロボットスーツを取り付けるようになり、軍服も神聖ゼネバス帝国のエンブレムが貼られたものに変わり、次々と帝国は旧帝国の面影を完全に失くしつつあった。

 

 そして、マクラマカン大佐によって退位され、収監施設に連行されたフィオナやジーン、ハワード宰相ら帝国議員に、コリンズ中将とシーガル中佐ら軍上層部は国家転覆の責任によって共和国に下した期限内に裁判を行うことがプライドを初めとするゼロメタル帝国の上層部との会議によって決定され、同時に真帝国で唯一生き残り、禁錮800年を言い渡されたアルドリッジも例外ではなく、同罪として裁判を受けることとなった。

 

 マクラマカン大佐とドクターマイルスは既に最初からフィオナたちを処刑するつもりであるため、裁判で彼女たちが有罪、死刑となることは目に見えており、裁判の必要はないように見えるが、旧帝国の皇帝とその上層部が裁判によって有罪となり、処刑されることになれば、旧帝国は世界を戦争に巻き込み、混乱に陥れた犯罪国家としての烙印を押され、神聖ゼネバス帝国の正当性が更に強調され、軍部と帝国国民をゼロメタル帝国の完全な支配下に置くことが出来るというマクラマカン大佐とドクターマイルスの狙いだったのである。

 

 しかし、神聖ゼネバス帝国が成立しても、ゼロメタル帝国を迎え入れ、合併した帝国など、真の帝国ではないと主張するフィオナ支持の旧帝国派軍人は尚も抵抗したが、ドクターマイルスが開発したロボットスーツを着用した神聖ゼネバス軍兵士は身体能力及び格闘能力が並みの人間の非ではないため、ただ、ワイルドブラストに耐えられるだけの耐Bスーツを着用した旧帝国兵士は全く歯が立たず、加えて神聖ゼネバス軍にはゼロメタル帝国のゼロファントスとゼロファントスダークスもいることもあって相まってもはや旧帝国軍に万の1つの勝ち目はなかった。

 

 神聖ゼネバス帝国による旧帝国の粛清は激しく続き、捕虜にされた将校や兵士は裁判無しで次々と射殺され、主だった者も見せしめとして国民の前で銃殺されるようになった。

 

 マクラマカン大佐が共和国に突きつけた条件の期限内の僅かな時間で、帝国はすっかり旧帝国の面影を無くし、完全にゼロメタル色が染まった神聖ゼネバス帝国になっていった。

 

 マクラマカン大佐は自身のクーデターを起こしてから、僅か1日たらずで、旧帝国が解体したことを敢えて収監施設にいるフィオナたちに伝えた。

 旧帝国の崩壊を嘲笑うような言いぐさで伝えたマクラマカン大佐の言葉を聞いたフィオナやジーン、ハワード宰相たちはこれまで経験したことのない絶望を感じてしまう。

 

 そんなフィオナたちを朝笑うかのようにマクラマカン大佐は応えた。

 

 「実に見事な壊滅だ。神に逆らい、国民に見捨てられた王朝の最後に相応しい結末だ。後は貴様らが裁判で有罪になれば、旧帝国は完全に消え去り、我が神聖ゼネバス帝国の存在は国際的に認められる。」

 

 「カーチス・マクラマカン。あなたは自分が何をしようとしているのか、わかっているのですか? ゼロメタル帝国と手を組むことは世界を滅ぼすということなのですよ!」

 

 「自分のことを棚に上げて善人面ですか? 何と愚かな…そもそも、世界を破滅に導いたのは貴様ら旧帝国だろう?

 大層な理想を掲げておきながら、地球を荒らしまくり、無能な者共を将校にしたため、帝国を二分するなど、これはもはや、神に逆らった愚かな国家の行い…神罰を受けるのは当然だろう?

 まあ、先代の皇帝のゾイドを従える力を持つということを未だに本気で信じているのも実に滑稽だ。」

 

 「え? どういうことですか?」

 

 「おや、まさか、知らなかったのですか?」

 

 「先代皇帝の持つゾイドを従える特殊な力などというのは、ただのでっち上げだ。」

 

 「そんな…」

 

 「バカな! そんなことが…」

 

 「嘘ではない、そもそもあれは、摂政となられたプライド閣下がこの帝国に僅かながらのチャンスを与えるために流した嘘の情報に過ぎない。

 その証拠に、先代皇帝メルビアナ・フィオールイヴィルがあらゆるゾイドを従えた記録は一切無く、その娘であるフィオナ、貴様も耐Bスーツ無しでゾイドを従えたことがない。

 にも関わらず、貴様らはそれだけで増長し、唯一絶対の帝国であるかのように振る舞うなど、まさに愚かの極みだ。」

 

 「(そんな…じゃあ、御姉様にそのゾイドを従える力があるのは何故…)」

 

 「なら、こちらからでも聞かせてもらおう! 貴様はディアベル・ギャラガーを皇帝にし、神聖ゼネバス帝国などと名付けたようだが、ゼオル司令の話によると、そもそもディアベル・ギャラガーという者はかつて惑星Ziを壊滅に陥れたデスザウラーだと聞いている。 

 ゾイドであるそいつに正当なゼネバスの血統を引き継いでいるとでもいうのか? それこそ、貴様の帝国が正当ではない証拠だろう?」

 

 「ふん、無知な奴はなんとでも言えるものだな。もし、それが信じられないのなら、オメガレックスのライダーだったユウトという男の詳細をもう一度調べてみるんだな。それを調べれば、わかるはずだ。」

 

 「何!?」

 

 ビー、ビー、ビー!

 

 「どうした?」

 

 「マクラマカン大佐、4体のバーニングライガーがネオゼネバスシティを襲撃しました。」

 

 「直ちにキルサイス隊とゼロファントスダークス隊を出せ! 直ぐに鎮圧しろ。」

  

 「はっ!」

 

 「ふ、どうやら、我が帝国に逆らう愚か者はまだいるようだな。」

 

 

 

 兵士の報告通り、コバたちバーニングライガーはネオゼネバスを襲撃し、国民がいることをなりふり構わず、手当たり次第に街を破壊していった。

 

 「けっ、忌々しい建物だ! こんなもの、我等の理想の世界に必要ない。」

 

 「しかし、コバ。ホントにこんな作戦でいいのか? まだ、ジェノスピノも完成していないというのに。」

 

 「構わん。我々の目的はあくまで警告だ。我が理想の世界の建設に歯向かうとどうなるかという警告だ。

 そして、ライガー、早く来い。貴様が現れた時、引導を渡してやる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、ニューホープにあるデュークナイツ本部で捕虜となったゼオルやギレル少佐、ディアス中佐の代理としてデュークナイツを率いるようになったツガミ大尉とスピーゲル中佐がネオゼネバスへの侵入経路を調査し、フィオナたちや端末の奪還作戦を考案していくと同時に神聖ゼネバス帝国を築いたマクラマカン大佐の出生も調べていた。

 

 スピーゲル中佐によると、マクラマカン大佐は惑星Ziで覇権を争った帝国軍及びかつて惑星Ziの大陸の殆どを支配下に置いていたディガルド公国という軍事国家に憧れて入隊し、そこでまだ大佐だったプライドに会い、彼の思想に惹かれ、絶対神のごとき存在の強大な皇帝が治める帝国こそが真の帝国の在り方だという考えを持ち、それに従わない者はなりふり構わず、始末するということが彼の思想であった。

 

 しかし、同じ強き皇帝の下で無敵の帝国軍を作るという思想を持ったシーガル元准将とはことあるごとに対立し、シーガルのはただの幻想に捕らわれただけのメルヘンな思想でしかないと批判し、その後、プライドが所属する部隊に入り、プライド直属の軍人となった。

 

 「カーチス・マクラマカン…やはり、奴もプライド支持派の軍人だったか。」

 

 「ジェノスピノによる共和国侵攻の際にシーガルの不正を議会に訴え、真帝国による反乱後、真帝国討伐の軍を率い、その指揮を取り、真帝国の部隊を壊滅させた功績を称え、独立部隊の司令に任じられたが、全てはこれのためだったというわけか…」

  

 「同じくシーガルの真帝国成立に反対の意を示したシーガル中佐と共に忠義の強い人物として、我が共和国でも評価は高かったが、とんだ食わせ者だったようだな。

 だが、何より、厄介なのはそのマクラマカン大佐と共謀していたドクターマイルスという男だ。

 プライドら同様、ゼロメタル帝国なのメンバーだが、こいつがいつから帝国にいたのか、更にその出生も一切不明。しかも、以前ゼオル司令の話によると、ゼロメタルで唯一ヒューマンオーガノイドに進化しなかったものとも聞いている。」

 

 「ヒューマンオーガノイドではないため、プライドらのようにゾイドと融合する能力を持っていないが、何より厄介なのがその科学力だ。」

 

 「名称は不明だが、あらゆるワイルドブラストに耐えるだけでなく、装着者の身体能力を飛躍的に上げ、更に搭載されているAIが補助になっていて、装着者の戦闘中の判断も向上させ、同時にゾイドコアにも直結させ、ゾイドの性能も上げられるロボットスーツを開発するとは…」

 

 「耐Bスーツはあくまで、ゾイドのワイルドブラストから身体を保護するだけのもので、装着者やゾイドの性能を上げるというものではないが、まさにこれは耐Bスーツの上位互換に相応しいスーツだ。」

 

 「ランド以上の科学力を持っているのは間違いないが、こんな奴が帝国の最高科学顧問になったら、かなり厄介だ。」

 

 「何としても、その前に端末を奪還しなければならない。」

 

 

 最後の端末がドクターマイルスの研究材料にされたら、ゼログライジス以上の脅威になると危惧したツガミ大尉とスピーゲル中佐は作戦を早急に考案し、完成した案をレオたちに伝えた。

 

 その作戦の内容はツガミ大尉とロックバーグ中尉率いるギルラプターLCを主力としたデュークナイツ隊とハント大佐率いる共和国軍、リュック大尉率いる旧帝国軍による合同軍でネオゼネバスにいる神聖ゼネバス軍のたげをとり、その間にライガーとゼノレックスがイグニッションブースターで加速、ドライパンサーとフォックスがステルス機能で姿を隠し、その後にアーサーが付いていって首都に潜入、その内、ライガー、ゼノレックス、フォックスが端末を、ドライパンサー、アーサーがフィオナたちをそれぞれ奪還し、目的を達成したら、直ぐ様首都を脱出してニューホープに戻るというものだった。

 

 ハント大佐から首都も同時に奪還するべきではとの意見もあったが、この作戦はあくまで端末奪還とフィオナたちの救出であって、神聖ゼネバス帝国との全面戦争ではない。

 ましてや、物量や戦力では圧倒的にこちらが不利のため、まともに戦えば、一瞬の内に壊滅するのは目に見えている。

 だが、デュークナイツ総司令にして最も有能なゼオルが戻れば、その後の作戦は立てやすく、更に端末を奪還することに成功すれば、その技術でゼログライジスを迎え撃つ戦力にもなれる。だから、そのためには大規模な戦闘は極力避けなければならないのであった。

 

 リュック大尉ら旧帝国も賛同し、残りはレオやシーザーたちの同意のみであった。

 

 「また、君に作戦の要を押し付けることになるが、神聖ゼネバスにとって端末は重要な存在だ。おそらく端末の周りには強力な戦力が護衛となっている。

 とすれば、幾つもの多彩な武装が可能な上に最も戦力のある君のライガーとシーザーのゼノレックスしかいない。引き受けてくれるか?」

 

 「元より、僕たちはそのつもりです。全ての端末を再起動し、この地球を再生させることが僕たちの使命です。危険なことは覚悟の上です。」

 

 「よし、では、直ちに作戦を実行する。」

 

 ツガミ大尉とスピーゲル中佐の指揮によってレオたちはハント大佐率いる共和国軍とリュック大尉率いる旧帝国軍と共にネオゼネバスに向かった。

 

 

 

 

 同時期、突然、ネオゼネバスを襲撃したコバたち4体のバーニングライガーは神聖ゼネバス帝国のキルサイスとゼロファントスダークスによる防衛隊と交戦し、物量は圧倒的に防衛隊が有利にも関わらず、コバたちは防衛隊と互角に渡り合い、内、ウルサスとオルド、ドッジはそれを楽しむような形で戦っていた。

 

 「ハハハハハ、どうした? これが神聖ゼネバスの実力かよ!?」

 

 「こんなもので、俺たちを止められると思ったら、大間違いだぞ!」

 

 「ん?」

 

 「どうした? コバ。」

 

 「ライガーの匂いがする。どうやら、こっちに向かっているようだ。」

  

 「なら、今度はそっちを蹴散らさないとな。」

 

 

 レオたちがネオゼネバスに近付いていくことに感ずいたコバたちは突然、引き上げ、ネオゼネバスから離脱していった。しかし、防衛隊の一部がその後を追っていき、その方向はレオたちの方だった。

 

 一方、コバたちバーニングライガーが既にネオゼネバスを襲撃し、こちらに近付いていくことに気付いていないレオたちは真っ直ぐネオゼネバスに向かっていった。

 

 そんな時、ネオゼネバスの近くにある森林に入ったその時、突然、目の前に神聖ゼネバス帝国のキルサイス、ゼロファントスダークス軍団が現れ、戸惑うレオたちだったが、直ぐ様、ツガミ大尉とロックバーグ中尉がギルラプターLCを主力とするデュークナイツ隊で迎え撃った。

 

 「くそっ、何でこんなところに敵の防衛隊が!?」

 

 「もしかすると、既に我々の作戦が事前に察知されたかもしれないわね。」

 

 「仕方ない。レオ、シーザー、ブラッド、スピーゲル中佐。直ぐに君たちだけでネオゼネバスに向かえ!」

 

 「で、でも!」

 

 「大丈夫。ここは私たちで食い止めるわ!」

 

 「それに今しかいない。敵に気付かれずに首都に潜入するには…」

 

 「レオ、行け! 我が帝国を救ってくれ。」

 

 「ツガミさん、ロックバーグさん、リュック大尉。」

 

 ツガミ大尉とロックバーグ中尉、リュック大尉の言葉に押されて決意したレオはライガーのイグニッションブースターを加速し、ゼノレックスもイグニッションブースターを装備して加速し、その後にアーサー、フォックス、ドライパンサー、ミラーたちキラーク盗賊団が付いていった。

 

 ツガミ大尉とロックバーグ中尉率いるデュークナイツ隊とハント大佐率いる共和国軍、リュック大尉率いる旧帝国軍がコバたちバーニングライガーを追っていった神聖ゼネバスの防衛隊と交戦している間にネオゼネバスに一直線に向かって走っていくライガーたち、しかし、ネオゼネバスに着く手前に突然、何もかが攻撃し、ライガーたちの行く手を阻んだ。

 

 「何!? 一体何処から?」

 

 そこに現れたのは、コバたちバーニングライガーだった。

 

 「バーニングライガー!」

 

 「やはり、来たようだな。残念だが、貴様たちをここから通すわけにはいかない。」

 

 「コバ! どういうつもりだ? まさか、ゼロメタルに寝返ったのか!?」 

 

 「何を言ってやがる? シーザー。我々がゼロメタルに味方するわけがないだろう。我々はゾイドの理想郷を築くために戦っているのだ。」

 

 「コバって言いましたね? あなたたちも、わかっているはずです。このままゼロメタルに端末を渡したら、世界は滅びます。だから、そこを退いてください!」

 

 「退くだと? 小僧、何もわかっていないようだな。 お前が今ネオゼネバスに潜入して端末を再起動させたら、それこそ、奴等の思うつぼだってことを!」

 

 「どういうことですか?」

 

 「それを知る必要はない。何故なら、貴様らはここで死んでもらう。ましてや、ゼロメタルと同じ古代ゾイド人の血を引く者なら、尚更生きて帰すわけにはいかない。」

 

 「レオ、ここは私1人で引き受ける。お前はその隙に端末とゼオル様を。」

 

 「でも、シーザーさん。 あなたを置いていくわけには…」

 

 「コバたちがこうなったのは、元はと言えば、アドリア王国の王である私の責任だ。その責任は私自身が付かなければならない。」

 

 「だが、私とツガミ大尉の作戦では、ゼノレックスもいなければ、この作戦は成立しない。」

 

 「しかし、ここでコバたちを食い止めなければ、先に進むことが出来ない。」

 

 「しかし!」

 

 「その必要はない。貴様ら全員ここでくたばるのだからな。」

 

 コバの操るバーニングライガーがゼノレックスに襲いかかろうとしたその時、突然、バーニングライガーの足がクモの糸に捕まり、身動きが取れなくなった。

 

 「何!?」

 

 「ちょっとあたしたちのことを忘れないでくれる?」

 

 「ミラーさん、アイパーさん、ポーチさん!」

 

 「ここはあたしたちに任せて、レオは先に行きなさい。」

 

 「だ、大丈夫なんですか?」

 

 「元より、あたしたちだって、そのつもりで来たのよ! それにレオとサリーちゃんを守るためにはこれぐらいやらなきゃね。」

 

 「は、はい…」

 

 「確かにあいつらなら、行けそうだな。よし、先を急ぐぞ!」

 

 「はい!」

 

 「くそっ、逃がさん!」

 

 直ぐに後を追うとするウルサスやオルド、ドッジの前にミラーのグソック、ポーチのスパイデスがその行く手を阻んだ。

 

 「あんたらの相手はあたしたちよ!」

 

 「ちぃっ!」 

 

 「カッコいいです! リーダー。これでわがキラーク盗賊団の名誉回復ですね!」

 

 「フフン、当然よ。あたしたちが本気を出せば、あんな奴等、どうってことないわ。」

 

 「でも、リーダー。まさかとは思いますが、ホントは彼処に侵入するのが怖いんじゃないんですか?」

 

 「なっ、何、バカなこと言ってるのよ! あたしがそんな臆病なわけがないでしょ! とにかく、あいつを倒してレオと合流するわよ。」

 

 「ふん、軍の施設からゾイドをかっさらってきたコソドロの盗賊団か…直ぐに始末してやる。」

 

 

 

 

 

 

 ミラーたちキラーク盗賊団がコバたちバーニングライガーの相手をしたおかげで、ネオゼネバスについたレオたち、バーンとスピーゲル中佐はフォックスとドライパンサーの持つステルス性能で姿を隠して、首都を防衛している神聖ゼネバス軍の注意を反らし、レオのライガーとアーサーはそれに付いていきながら、端末とフィオナたちのいる場所を探し回った。

 

 探し回る内にスピーゲル中佐は少し街の様子に違和感を感じた。マクラマカン大佐による革命とゼロメタル皇帝ディアベル・ギャラガーの皇帝即位、プライドら残りのゼロメタル帝国のメンバーの迎え入れ、旧帝国の粛清、そしてコバたちバーニングライガーによる襲撃が起こった後にも関わらず、街は丸で何事もなかったような雰囲気で包まれ、街のあちこちにずっしりと威厳のあるロボットスーツを着用した兵士がキルサイスと共に監視している中、街の人々はそれに全く動じず、気にしないような素振りで街中を歩いていった。

 

 その光景にスピーゲル中佐は奇妙さを感じたが、任務を最優先し、端末とフィオナたちのいる場所を探し回った。探し回る内にレオたちは無惨に破壊された移民船の残骸があちこちに散らばっている場所に着き、そこで旧帝国の崩壊を痛感されたが、その目の前にゼロメタル帝国の帝都オグドロスに似た宮殿に改装された帝国宮殿があった。

 

 端末とフィオナたちが入れられている場所はそこだと感じたレオたちは地下水道を通り、宮殿への侵入を謀った。

 同様にステルス性能を使い、周りに注意しながら進んでいくと、そこに膨大な数のゼロファントスダークスと帝国とゼロメタル帝国の技術が組合わさった改造を施したキルサイスとディメパルサー、ディロフォスの量産化が行われていた地下工場を発見した。

 

 「マクラマカンめ、まさか、こんなところにゾイド工場を作り、ゼロファントスとキルサイスの量産化を謀っているとは…」

 

 「何としても、阻止しないと。」

 

 その時、シーザーとライガーが何かを感じとり、同時にアーサーもシーザーとライガーとは別の方向に何かを感じ取った。

 

 「どうした?」

 

 「近くに、ゾイド因子の反応が…間違いない。この近くにある。」

 

 「私も、端末の反応はもちろん、別の方向からゼオルの匂いを感じる。」

 

 「どうやら、ここに入って正解だったようだな。よし、作戦通り、レオとシーザー、ブラッドは端末を、私はアーサーと共にフィオナ陛下とゼオル司令の救出を。」

 

 「わかりました。」

 

 スピーゲル中佐の指示に従って、レオとシーザー、バーンはライガーとゼノレックスの反応を頼りに端末の場所に向かい、スピーゲル中佐はアーサーの反応を頼りにフィオナとゼオルたちのいる場所にそれぞれ向かった。

 

 ライガーとゼノレックスの反応を頼りに工場内を進んでいく内にレオたちは開けた場所に着いたが、そこは真っ黒で何も見えなかった。

 

 「間違いない。ここから反応が出た。」

 

 「でも、真っ黒で何も見えないよ。」

  

 「よく来たね。」

 

 その時、何者かの声がしたと同時にライガーとゼノレックス、フォックスの身体が突然、浮かび上がり、壁に激突されてしまう。

 

 「嬉しいよ。まさか、ここに来てくれたのが、ボクと因縁の強いライガーとこのボクとゼログライジスを封印したゼノレックスだなんて。」

 

 明かりがつき、そこにいたのはゼログライジスであり、しかもその肩にはロングレンジバスターキャノンを装備し、更に背中には幾つかのコードが接続され、そのコードは端末と繋がっていた。

 

 「ゼログライジス。」

 

 「さあ、パーティーの始まりだ。」

 

 To be continued




 次回予告

 最後の端末の在処に辿り着いたレオたちだったが、そこに待ち構えていたのはロングレンジバスターキャノンを装備したゼログライジスだった。
 レオは端末を取り返すべく、シーザーやバーンと共に果敢にゼログライジスに立ち向かうが、ゼログライジスのパワーは凄まじく、ライガーとゼノレックス、フォックスの3体がかりでも全く歯が立たない。
 レオは端末だけでも再起動させようと、端末に近付こうとするが、そこでディアベル・ギャラガーが仕込んだある恐るべき罠に掛かろうとしていた。

 次回「神聖ゼネバスの罠、覚醒するゼログライジス!」走り抜け、ライガー!!
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