ゾイドワイルドクロス アナザーZERO 作:オーガスト・アベラス
ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたゼロメタル帝国の神官プライドが遂にゼロメタル帝国の絶対神にして皇帝であるデスザウラーの分身、ディアベル・ギャラガーと古の皇帝龍ゼログライジスを復活させてしまい、更に帝国のマクラマカン大佐のクーデターによって新たなる帝国、神聖ゼネバス帝国をも誕生させてしまった。
更なる絶望を迎えたレオはゼロメタル帝国にどう立ち向かうのか!?
レオたちと別れ、ゼオルとフィオナ救出のために収監部屋に向かったスピーゲル中佐とアーサー。周囲を警戒しながら進んではいるものの、一向に敵の姿はなかった。
「おかしい、これだけの収監施設なら、警備はかなり厳重のはずなのに、ゾイドどころか兵士1人もいない。これはどういうことだ?」
「反応が強い! 彼処だ。」
強いゾイド因子の反応をキャッチしたアーサーはその場所に向かったが、そこは収監施設ではなく、ゾイドの倉庫であった。
「なんだ? ホントにここから反応があったのか?」
「確かに、ここのはずなんだが…」
その時、突然、光学迷彩で姿を隠していたキルサイスが現れ、アーサーとドライパンサーを一斉に囲んだ。
「しまった! 罠か。」
アーサーとドライパンサーを取り囲んだ先頭のキルサイスから通信が開かれ、その声の主はドクターマイルスだった。
「貴様は…ドクターマイルス!」
「久しぶりだな、アーサー・ランスロット。自らの魂をゾイドに宿し、ゾイド自身となって進化する、貴様のその研究、我が帝国のために十分に役立ててくれたぞ。
だが、もう貴様に用はない。ここで退場させてもらう。」
同時期、ミラーたちキラーク盗賊団はコバたちバーニングライガーと善戦するが、スペックの差を埋められず、徐々に苦戦していった。
「ふん、やっぱりザコだったようだな。」
「どうします? リーダー。このままじゃ、負けちまいますよ。」
「やっぱり、ブラックビーストライガーみたいにライガーにはライガーをぶつけるしかないのか…ガンナーさえいれば…」
「あの小僧のことは忘れなさい。裏切り者に頼らずとも、あたしたちでいけるわ!
(それにしても、あの小僧とマリとかいう女、レオ君がブラックビーストライガーと戦う前に、急用が出来たからといって、どっか行きやがったけど、一体何してるのよ!
あの時、一緒にいれば、ブラックビーストライガーだって楽勝だったのによ。一体何処にいんのよ。)」
フィオナやハワード宰相とは別の収監部屋に入れられたゼオルとギレル少佐、ディアス中佐。ギレル少佐とディアス中佐は何度も部屋の鍵を開けようと試みたが、どれも効果がなかった。
「くそっ、これも駄目だ。」
「持っていたものは、ここに入れられる前に予め没収されたからな。流石にこんなガラクタでは、脱出は不可能か…」
「どうすんだよ。グズグズしていると、奴等何するかわかんねぇぞ。オマケに聞いた話じゃ、フィオナ陛下を処刑すると言ってた。 早くこっから出ねぇと。帝国は完全に滅びるぞ!」
「落ち着け、焦っても意味がない。」
「この状況で、落ち着いていられるわけないでしょ! 話によると、奴等、1日中にフィオナ陛下とハワード宰相閣下を処刑すると言ってるんですよ。 何としても早くここから脱出しないと…」
「だからといって、今の俺たちに何が出来ると言うのだ? 持ち物は全て没収され、完全に手ぶらの状態でどう脱出しろというのだ?
そんな状態で、脱出の手だてを考えても時間の無駄というより、無駄なあがきだ。」
「こんなときによくそんなことが言えますね! まさか、今までそうやってデュークナイツを指揮していたのですか?」
「じゃあ、聞くが、お前らはマクラマカンに対し、少しも怪しいと思わなかったのか?」
「そ、それは…」
「俺は奴のことはオメガレックスを俺に渡してから怪しいと思ってた。だから、オメガレックスのシミュレーションを行うと同時に奴の行動を監視していたが…まさか、こんな行動に出るとはな…」
「ですが、結局その行動を阻止出来なくなったではありませんか! フィオナ陛下につく帝国軍はほぼ壊滅、今の我々の味方は共和国しかいない。
オマケに援軍も来ない。この状況、我々の勝算は薄い。」
「いつから、味方が共和国しかいないと思った。」
ゼオルの何気ない言葉にギレル少佐は疑問を感じた。
「?? それはどういうことですか?」
「なあに、簡単な話だ。今の俺たちの味方は共和国だけじゃないってことだ。」
「共和国以外に我々の味方が…一体何なんです!?」
「いずれ、わかる。もうそろそろ来るはずだからな。」
ゼオルの慌てない素振りと余裕そうな表情を見たギレル少佐とディアス中佐はその言葉に疑いを持っていたが、今はその言葉を信じるしかなかった。
ネオゼネバスの宮殿の地下工場の開けた場所に最後の端末とコードで接続され、ロングレンジバスターキャノンを装備したゼログライジスと遭遇したレオたちは端末奪還のためにゼログライジスと戦うも、ディアベル・ギャラガーは装備したロングレンジバスターキャノンの性能を試すようにバンバン放ち、一向に近付くことができず、その猛攻に翻弄されていった。
シーザーはゼノレックスと融合し、ゼノレックスシザースとなってゼログライジスと戦い、ロングレンジバスターキャノンの猛攻を避けながら、近付き、ゾイドコアの破壊を試みるが、いくら胸部を攻撃しても、その装甲は極めて強度で、ゾイドコアどころか装甲を貫けず、Gグラップクローで捕まれて投げ飛ばされてしまう。
通常のシザースが無理なら、シザースXAになって再び攻撃を再開するが、Gグラップクローによる重力操作で防がれ、ライガーレーザーガトリングを全て弾かれてしまった。
「う~ん、全然物足りないね。もうちょっと楽しめると思ったんだけどな。まあ、前は60%の状態でも君たち勝てなかったし、やっぱり80%状態じゃ、差が出ちゃったか。」
「何!?」
「嘘だろ…これでやっと80%だと…奴はMAXフルパワーの状態にすらなってないのかよ!」
「確かに、私が6500万年前に封印した時の奴も完全体ではなかったが、まさか、ここまでの力を隠していたとは…」
「それにしても、あいつさっきからロングレンジバスターキャノンをバンバン撃ってるが、どういうことだ? ロングレンジバスターキャノンってグラビティキャノン同様、弾数に限度があるんじゃなかったのか!」
「甘いね、君は。ボクのゼログライジスと接続しているリジェネレーションキューブの力の相互作用によって、このロングレンジバスターキャノンは連射が可能になっているんだよ。
更にその端末とロングレンジバスターキャノンの相互作用によってボクのゼログライジスは今のように80%にまで上げることが出来て、フルパワーになるのも時間の問題なんだよ。」
「何だって!!」
「不味い、このまま、奴を完全体にしてしまったら、6500万年前みたいに封印することが出来なくなる。何としても、阻止しないと…
しかし、あのゼログライジスというゾイドは一体何者なのだ? 6500万年前に現れ、私とコバでようやく封印に成功したが、一体何処から…?」
ドクターマイルス率いる神聖ゼネバス仕様キルサイスに取り囲まれたアーサーとスピーゲル中佐のドライパンサーは身動きが取れなかった。
「このまま、貴様を始末するのは惜しいが、もう貴様のデータは調査済み…これ以上生かすと、厄介なのでな。死んでもらうぞ。」
「その前に1ついいか?」
神聖ゼネバス小隊キルサイスが砲撃しようとしたその時にアーサーが言い残すことがあるように発した言葉を聞いたドクターマイルスはキルサイス隊を制止した。
「なんだ?」
「貴様ら、帝国をもう一度乗っ取って今度はゼロメタル帝国を神聖ゼネバス帝国等と大層な名を付けたが、その名前に一体何の意味がある?」
「聞くまでもないだろう。我が帝国こそが正当なるゼネバスの系統を受け継ぐ絶対神の国だからな。」
「だが、貴様らの皇帝ディアベル・ギャラガーはデスザウラーだ。そいつにゼネバス帝国の血は入っていないはずだ。」
「まさか、気付いていなかったのか?」
「どういうことだ?」
「古代ゾイド人である貴様は知っているだろう? かつて、我が古代ゾイド人の先祖が初めて地球を訪れ、そこで国家を築き、デスザウラー様を生み出し、滅びた呪われた歴史を…」
「ああ、知っている。かつて惑星Ziが誕生したばかりの星に我々の先祖が訪れ、その環境によって先祖は古代ゾイド人へと進化し、そこで国家を建設し、文明を築いてその星を支配していた。 そしてその国家がゼネバス帝国だということも。」
「そうだ。ゼネバス帝国は我等古代ゾイド人の偉大なる先祖が築いた国家であり、強大な技術力で惑星を支配するまさに神聖なる国家だった。」
「そして、その先祖は現皇帝ディアベル・ギャラガーであるデスザウラーを生み出し、自らの文明を滅ぼさせたという重大な過ちを犯した。
その過ちさえなければ、惑星Ziは滅びることはなかった。」
「馬鹿め、デスザウラー様が歴史の過ちだというのか? それは間違いだ。デスザウラー様は発達し過ぎた文明に増長し過ぎた古代ゾイド人に幻滅した帝国の優秀な科学者たちがその者たちが星を支配すべき存在に値するか、否かを見極めるための万能のゾイドとして開発された、謂わば、裁定者なのだ。
その裁定で文明が滅びたのなら、それは歴史の必然というものだ。」
「デスザウラーが裁定者だと!? ふざけたことを言うな! 奴はこの世の全てを闇に閉ざす悪魔だ。」
「もし、それが本当なら、その子孫たる我々は何故、こうして生きている?」
「何!?」
「デスザウラー様が裁定者ではなく、ただ、破壊と殺戮を行うだけの化け物なら、我々の先祖は1人残らず殲滅され、今の我々はいないはずだ。
それが何故、完全に滅んでいないのか?」
「それは、デスザウラーの文明破壊に生き残ったから…」
「違うな。デスザウラー様は新たな人類と帝国の創造を行うために、敢えて生き残らせたのだ。」
「デスザウラーが生き残らせたのだだと!?」
「裁定者として生み出されたデスザウラー様は余りに増長し続ける古代ゾイド人を惑星を支配するに値しない存在として死刑宣告を出し、文明とゼネバス帝国を一度滅ぼした。
しかし、全てを根本から破壊しては、新たな種わ、生み出すことは出来ない。
そのために、デスザウラー様は新たな裁定を下した。それは惑星を支配するに値する人類の選別、そのために我々の先祖は生き残り、以後、デスザウラー様の元で新たな人類の創造と神聖なる帝国の誕生のために活動し、その内の2人のヒルツとリーゼたる者が古代ゾイド人の後に惑星Ziに移住した地球人類の国家であるガイロス帝国とヘリック共和国で暗躍し、一時はゾイドイヴを掌握し、デスザウラー様を更により強力なお姿として復活させることにも成功している。
そして、デスザウラー様は新たなゼネバス帝国の復活のために、文明を滅ぼした際に皇帝とその一族の魂をその身に取り込み、その魂と遺伝子を基にクローニングした人間を皇帝にし、デスザウラー様はその人間と融合し、皇帝となる。それが我等の悲願であり、そのために造ったのがユウトだった。
だが、あれは失敗に終わり、やむ無く遺伝子とゾイド因子だけを回収し、デスザウラー様はゼロメタル、神聖ゼネバス皇帝ディアベル・ギャラガー陛下となった。つまり、デスザウラー様に仕える神の使徒なのだ。」
「益々、正気とは思えん。そんなものはただ、自分たちのエゴを押し付けた究極の選民思想だ。もはやお前たちは狂気だ!」
「ジョシュア・コンラッドも、貴様も然り、所詮はデスザウラー様に滅ぼされた古代ゾイド人と同じ無地の穴だったようだ。なら、尚更、貴様を生かすわけにはいかない。」
「なら、今度は質問を変える。そのディアベル・ギャラガーが操るあのゼログライジスというゾイドは一体何者だ? 何故、あれにゼネバスのエンブレムが付いている?」
「そうか…確か、貴様は知らなかったようだな。いいだろう、冥土の土産に教えてやる。
貴様が造った7体のオーガノイドが別次元の惑星Ziでゼノレックス、バーニングライガーとして進化を遂げたようにゼログライジスもまた、別の惑星Ziで陛下のゾイド因子から生まれ、進化を遂げたゾイドだ。
そして、ゼログライジスとその眷族のゼロファントスにゼネバスのエンブレムが付いているのは、あれもまた陛下と同じくゼネバスの系統を受け継ぐ最強のゾイドだからだ。」
「何!?」
ドクターマイルスの口から明かされるゼログライジス誕生の謎、それはアーサーやドクターマイルスらが地球に移住する前、科学船の反乱の時に遡る。
ボーマン博士が端末をゼロメタル帝国の計画に利用されないよう、細工を施すことを阻止するため、まだ未完成のユウトの遺伝子を取り込み、人ではない異形の姿になりながらも、ディアベル・ギャラガーは先手を打ってプライドたちと共に端末の奪取を謀り、ボーマン博士たちを襲撃した。
だが、そのときに作動した端末は正常な形での作動ではなかったため、端末は幾つかのバグを起こし、幾つものD因子をばらまいた。
しかし、その場にいたプライドたちはばらまかれたD因子を取り込んだことによってヒューマンオーガノイドに進化するといった不幸中の幸いといった出来事があったが、同時にドクターマイルスがアーサーを襲撃した際に開発段階のアナザーゲートを作動させたために端末がその力に作用し、不用意なワームホールを作り出し、ディアベル・ギャラガーはそのワームホールに飲み込まれ、何処かへと姿を消し、ボーマン博士とサリーはゾイドクライシス後の地球へタイムスリップし、プライドたちはそのまま科学船と共にゾイドクライシス時の21世紀の地球にタイムスリップしていった。
首領たるディアベル・ギャラガーがプライドたちとは別のワームホールに飛ばされたのは想定外ではあったが、端末によってばらまかれたD因子でプライドたちがヒューマンオーガノイドに進化したように、ばらまかれたD因子はシーザーたちが入ったアナザーゲートにも入り、同様にマルチバースの惑星Ziに辿り着いた。
マルチバースの惑星Zi、そこは古代ゾイド人やゾイドイヴが存在せず、ヘリック・ムーロア2世を大統領とするヘリック共和国とゼネバス・ムーロアを初代皇帝とするゼネバス帝国が覇権争いを行っていた。
両国の戦争が激しい時期にシーザーやコバたちがその地にタイムスリップし、それぞれを回収したヘリック共和国とゼネバス帝国はシーザーやコバたちのゾイド因子を基にゼノレックスとバーニングライガーを開発し、戦闘は更に激しさを増した。
しかし、彼等のやり方に嫌気が差したシーザーたちは密かに脱出、再びアナザーゲートを開き、その惑星Ziを脱出することに成功した。
ゼノレックス、バーニングライガーの喪失は両国にとって痛手ではあったが、それでも両国の戦争は終わりを迎えることなく続き、共和国が優勢となり、更には暗黒大陸を拠点とするガイロス帝国の台頭によって、ゼネバス帝国が事実崩壊した。
この惑星Ziにもデスザウラーは存在しており、強大なゾイドではあったが、ディアベル・ギャラガーのかつての姿であるオリジナルデスザウラーのように人間以上の知性と惑星そのものを破壊する程のスペックまでは持っておらず、危険なゾイドではあるが、厄介なゾイドという存在であった。
しかし、ヘリック共和国はオリジナルデスザウラーを創造した古代ゾイド人と同様に戦の勝利という目的だけのためにこの惑星Ziでのオリジナルデスザウラーともいえる存在であるキングゴジュラスという余りに強大なゾイドを生み出し、こちらでも文明は壊滅的な被害を引き起こし、更に神々の怒りのような隕石衝突による惑星Zi大異変によって惑星も壊滅的な状態となった。
その後、新たにヴォルフ・ムーロアを皇帝とするゼネバの後継国家であるネオゼネバス帝国が建国され、惑星大異変後の建て直しを行った。
だが、ヘリック共和国の残党は未だに生き残り、その鎮圧のためにはかつてのキングゴジュラスと同等か、それ以上のゾイドの開発が必要になっていた。
ネオゼネバス帝国の科学班は新たなゾイドの開発のために旧共和国跡地にキングゴジュラスの研究資料とゾイド因子を入手したが、同時に端末によってばらまかれ、シーザーたちと共にこの地に飛来したディアベル・ギャラガー、即ち、オリジナルデスザウラーのD因子も発見した。
回収した科学班はそのゾイド因子を研究し、そのゾイド因子はデスザウラーのものではあったが、別の惑星のデスザウラーのもので、しかも、あのキングゴジュラスを遥かに上回る力を秘めたゾイド因子であることが判明した。
科学班は早速そのゾイド因子を使い、史上最強のゾイドの開発に専念し、ネオゼネバス帝国の技術によって復元されたデスザウラーにそのゾイド因子とキングゴジュラスのゾイド因子を移植し、そのデスザウラーは新たな姿へと進化していった。それがゼログライジスだった。
ゼログライジスという名を付けたのは開発した当時の科学班であり、全てを再びゼロからやり直すという意味合いで付けられた。
しかし、性能テストの際にゼログライジスは突然自分の意志で動いて暴走し、ネオゼネバス帝国に牙をむくようになった。
これに対し、ネオゼネバスは全戦力を持ってゼログライジスの鎮圧を行ったが、マインドホーンによって殆どのゼネバスのゾイドがゼログライジスの手中となり、更にそのゾイドのゾイド因子までも吸収され、より強大となってしまった。
ネオゼネバスももはや手がつけられなくなり、ゼログライジスの完全な処分を決定したその時、吸収したゾイド因子でMAXになったゼログライジスは胸部のコアを剥き出しにし、そのコアから強烈な光が叩き出され、惑星全体がその光に呑み込まれ、惑星Ziは跡形もなく消滅してしまった。
惑星を破壊する程のエネルギー波を発生したゼログライジスは力尽き、そのまま宇宙を彷徨ったが、突然、何処からかワームホールが現れ、そこから自分と同じゾイド因子を持つ者から発せられる波長に乗せられ、ゼログライジスはワームを抜け、タイムワープした。
その場所は6500万年前の地球だった。実はディアベル・ギャラガーが飛ばされたのはこの地であり、この時代の頂点捕食者であるギガノトサウルスに憑依し、蹂躙しながら、プライドたちを呼ぶための特別な波長を流していて、その波長こそがゼログライジスを引き寄せた波長だった。
ディアベル・ギャラガーは自身の波長に応じて現れたゼログライジスと融合し、同時にその記憶からゼログライジスの存在を知り、更にゼログライジスのゾイド因子から、眷族であるゼロファントスを生み出し、この地球を蹂躙していったが、既にこの地に辿り着いていたシーザーやコバたちによってそれを阻止され、それ以後、南極の奥深くに封印されていった。
「馬鹿な…奴もまた、シーザーやコバのゼノレックス、バーニングライガーと同じ惑星で生まれ、進化を遂げたゾイドだったというのか!」
「そうだ。更に言えば、ゼログライジスも陛下と同じく、ゾイド因子だけでなく、人の精神を喰らうことも出来、惑星を滅ぼした際にネオゼネバスの皇帝の精神を食らった。
つまり、陛下とゼログライジスにはそれぞれの惑星のゼネバスの皇帝の系統を受け継ぐ正当な存在である動かぬ証拠なのだ。」
「歴史は繰り返されるというが、まさか、別の宇宙でも同様に繰り返されるとはな…」
「さて、無駄な話は終わったので、そろそろ、貴様には退場させてもらおう。」
「その必要はない。貴様がわざわざ、その説明を長々と話してくれたおかげで、たっぷり時間を稼げた。」
「どういうことだ? ん?」
ビー、ビー、ビー!
その時、基地内部に警報が鳴り響いた。
端末を取り返すべく、レオとシーザー、バーンは尚もゼログライジスと交戦するが、どれだけの攻撃を仕掛けても、ゼログライジスは全く通用しなかった。
シザースではカオスゼログライジスに通用しないと見たシーザーは融合しなおした後、ゼノレックスをゼノレックスバスターに姿を変え、ゼログライジスの攻撃を避けながら、アサルトエクスバスターの一撃をゼログライジスに叩き込んだ。その一撃でも、ゼログライジスは首の向きが変わるだけだった。
「今のでやっとダメージを与えたってことか…となると、バスターのXAモードなら、奴の装甲を破壊出来そうか?
いや、生半端な砲撃じゃ、奴に傷1つ負わすことは出来ない。それにXAモードの活動時間はかなり限られている。
とすると、XAモードの全てのエネルギーをチャージし、その一撃をぶつければ、奴の装甲に風穴を開けることは出来るだろう。問題はその時間を稼げばいいが…
レオ、バーン。私がXAモードになって、最大にチャージした砲撃を奴にぶつける。その間に時間を稼げるか?」
「そのつもりですよ。」
「へっ、それなら、俺とフォックスの得意分野だ。やってやろうじゃないか。」
「だが、決して無理はするな。」
「了解。行くぞ、フォックス!」
光学迷彩を起動したフォックスはゼログライジスに近付き、砲撃を浴びせた。
ゼログライジスはフォックスを攻撃しようとするも、光学迷彩で姿見えず、闇雲にドーサルキャノンを放つしかなかった。
「へへへ、どうした、どうした! やっぱり見えなければ何も出来ないようだな。」
「口だけは達者だね。でも、いくら姿を隠したからといって、見付からないとは限らないよ。」
フォックスが砲撃を続けて、ゼログライジスが反撃を諦めるように攻撃してこないのを見たバーンは、
「どうやら、流石に打つ手はないようだな。なら、奴の目を引っ掻いてもっと怒らせてやる。」
フォックスがゼログライジスの目を引っ掻くために飛び上がったその時、ゼログライジスは左手のGグラップクローでフォックスを鷲掴みにした。
「何!?」
「そのステルスギミック、中々面白いんだけど、そのゾイドの性能が弱すぎるね。弱すぎてキミのフォックスくんがカワイイ犬に見えるよ。」
「なんだと!」
「バーン、フォックス!」
「おっと、」
ライガーが助けに行こうとしたその時、ゼログライジスはGグラップクローによる重力操作で周囲の重力を500倍に引き上げ、ライガーは全く身動きが取れなくなった。
「うっ、ぐっ…」
「キミはそこで大人しくしといて。このザコを倒してから相手するから。」
ゼログライジスはフォックスを握り潰すように力を入れ、その苦痛にバーンとフォックスが苦しんだ。
グオォ~!
「ぐっ、ギャアァ~!!」
「帝国にいた時は優秀だったらしいけど、ボクのゼログライジスとじゃ、全く相手にならないね。やっぱりザコはザコだ。」
「バーン、フォックス…くっ、ウオォ~!!」
その時、レオとライガーが力一杯に込め、超重力を抜け、ゼログライジスのGグラップクローにレーザーガトリングを撃ち込み、その衝撃でフォックスを外した。
「レオ、」
「よし、やった!」
「へぇ~、あの重力を破るなんてキミ凄いね。でも、こんなザコ一匹助けるためだけに、パワーを上げるなんて、キミ随分おめでたいね。」
「何!?」
「せめて、ボクみたいに1人で強くならないと楽しめないよ。そんなザコ捨てようよ。」
「バーンを、フォックスを馬鹿にするな~!!」
怒り狂ったレオとライガーはゼログライジスに飛び掛かり、砲撃を浴びせた。レーザーガトリングの威力とイグニッションブースターによる加速も以前より遥かに増し、ゼログライジスを翻弄するまでになった。
「待て、レオ! 怒り任せに戦うな。」
「いいね。そのまま怒ってくれれば、もっと楽しめるね。でも、攻撃がワンパターン過ぎてつまんないね。」
正面から飛び掛かったライガーを掴もうとしたその時、突然、ライガーが向きを変え、一瞬の内にゼログライジスの横に回り込み、ゼログライジスの頬に一撃を噛ました。
その威力は特別強く、ゼログライジスは半歩下がり、コクピットの中のディアベル・ギャラガーはその攻撃が自分にも伝わってきたような感覚を感じ、頬を撫でた。
「さっきとは威力が違う。」
気になったディアベルが後ろを振り向くと、接続している端末がオレンジ色に強く輝いていた。
「(なるほど、これがドクターマイルスの言ってた相乗効果って奴か。オマケに今の攻撃で、85%だったゼログライジスのエネルギーが89%引き上がった。ならば…)
あれ~、キミの攻撃、こんなものなの? ショボいよ。これじゃ、準備運動にしかならないよ。」
煽るように挑発するディアベルの言動にレオは更に腹を立て、更に攻撃を加えた。
「不味い。レオの奴、また、頭に血が登ってやがる。」
ライガーの攻撃は日に日に増し、ゼログライジスが正確に捕らえられない程にいったが、ゼログライジスのエネルギーが更に上昇していった。
「94、95%…いける、もう少しで100%になる。」
「ウオォ~!!」
ライガーが正面から攻撃しようとしたその時、ゼログライジスは重力操作でライガーの動きを止め、右手のGグラップクローでライガーを掴んだ。
「凄いよ、ホントにおかげで、ボクのゼログライジスはこんなにエネルギーが溜まったよ。でも、もうお遊びは終わりだよ。
ボクの計画のためにキミはもっと働いてもらわないとね。」
「くっ、」
その時、地下施設全体に警報が鳴り、それに気付いたディアベルとゼログライジスは攻撃を止めた。同時にその警報音を聞いていたゼオルはニヤリとし、
「来たか。」
その警報音はネオゼネバスシティが何者かに襲撃された時の警報音であり、ネオゼネバスシティを襲撃していたのは、野生のゾイドと謎の人型ロボットがライダーとなり、帝国、共和国どちらとも異なる武装をした何体かのゾイドが砲撃し、そして、先頭にリーダー格と思われるロボットが乗るトリケラドゴスの横にワイルドライガーガンナーがいた。
神聖ゼネバス帝国のキルサイスは次々とその砲撃に倒れ、その隙を狙ったワイルドライガーガンナーは地下施設に潜入し、ゼオルのいる収監部屋に突入した。
「おせぇぞ、バルディー、マリ。」
「そう言うなよ。こっちだって色々大変だったから。」
「まさか、司令の作戦って…」
同時にアーサーとスピーゲル中佐もこの期に乗じて、キルサイスを蹴散らし、直ぐにその場を去った。
「くそっ、追え! 逃がすな。 どうやら、一杯食わされたようだな。」
警報が気になって、辺りをディアベル、しかし、その時に掴んだ手が緩み、ライガーはその隙に脱出してゼログライジスの目にレーザーガトリングを撃ち込んだ。
「痛った、でもこんなんで、ボクが怯むと思ったのかい?」
「それはどうかな?」
その時、目の前のゼノレックスがバスターXAになり、そのチャージを既に終えていた。
「喰らえ、アサルトエクスバスター!」
ゼノレックスバスターXAの一撃がゼログライジスの胸部に直撃し、その衝撃でゼログライジスは数歩下がった。
「今だ! レオ。端末を!」
「わかった。」
シーザーの言葉で正気に戻ったレオとライガーはその隙にゼログライジスの後ろに回り込み、ゼログライジスと繋がっているコードを全て破壊し、端末の側に近寄った。しかし、その状況にも関わらず、ディアベル・ギャラガーは不敵な笑みを浮かべた。
「ふっ、」
端末に触れたレオとライジングライガーデイズの力によって最後の端末が再起動しようとしたその時、突然、ディアベルが身に付けている紫色に染まったサリーのペンダントが強く発光し、それに呼応するように再起動した最後の端末がレオとライジングライガーデイズによって輝いたオレンジ色から紫色に輝き、そのまま地中に潜らず、逆に浮上し、天井を抜け、上空へ飛び出してしまった。それを見たレオは驚きを隠せなかった。
「何…一体どうなってるの?」
「礼を言うよ。キミとライガーがリジェネレーションキューブの端末を全て正常に作動させたおかげで、ボクの計画が最終段階にまで入ったよ。」
「最終段階だと!?」
「キミたちが今までボクの遊びに付き合ってくれたのは、ボクのゼログライジスをフルパワーにさせると同時に、ボクとゼログライジスの更なる進化のためだよ。
つまり、キミたちはボクのために働いてくれたということさ。じゃあね。」
そう言うと、ゼログライジスはアナザーゲートを開き、そのゲートに入ってどこぞへと姿を消した。
「ま、待て!」
レオとライガーが追うとするも、時既にアナザーゲートは閉じ、その場所に向かえなかった。その時、地下施設に映像が現れ、同時にネオゼネバスの直ぐ近くにある山にアナザーゲートが現れ、そこからゼログライジスが現れ、上空は暗雲に包まれた。
それに気付いた帝国国民はそれを眺め、バルディーとマリによって収監部屋から脱出したゼオルとギレル少佐、ディアス中佐やフィオナたち、アーサー、スピーゲル中佐、そしてクレストウッド大統領やギャレット大将、ハント大佐、ツガミ大尉ら共和国の上層部にボーマン博士たちも映像でその様子を見た。
ゼログライジスの頭上には先程、レオとライガーの手によって再起動するも、紫色に輝いた端末が漂い、同時にレオたちによって再起動したはずの全ての端末が地上から現れ、紫色に輝いてゼログライジスのいる場所に向かい、揃った全ての端末がゼログライジスの頭上を囲むように回っていた。
「最後の端末の場所、ここが世界の中心。」
同時にその様子を見ていたプライド、ドクターマイルス、マクラマカン大佐らゼロメタル帝国のメンバーは目を輝き、
「オオ~、遂にこの時が来た。ゼログライジスの最終進化だ!」
「ご苦労だね、愚かな人間たち。ここまでの協力感謝するよ。これで全ての端末はボクのもの。これでボクはもっと強くなれる。」
ゼログライジスがGグラップクローで操作したその時、頭上を回っている全ての端末が粉々に砕き、その破片全てがゼログライジスの足元に集まり、そこから紫色の光が輝き、地面から謎の金属のカッターが次々と現れ、それら全てがゼログライジスを包み込むように生えていった。
更にコクピットの中及び、ディアベル・ギャラガーの身体が結晶に侵食していき、ディアベルが眠るように目をつぶると、彼の身体が全て結晶に覆われてしまい、、同時にゼログライジスも謎の金属のカッターに全て覆われ、巨大な金属の塊が出来てしまった。
「これはまさに祝福の時だ! 全ての端末を掌握した皇帝陛下は全世界を統べる新たなお姿に進化する種となった。もはや、我が神聖ゼネバスの支配は絶対的となった。」
ウオォ~!!
マクラマカン大佐の言葉を聞いた帝国国民が全員歓声を上げ、同時に上空の暗雲が新たな絶望を示唆するように落雷を鳴らし、レオたちはただ、その姿を呆然と立ち尽くすだけだった。
To be continued
次回予告
全ての端末が逆に掌握され、その端末からから生まれた金属の繭に覆われたことによってゼログライジスは新たな進化の前兆として沈黙し、神聖ゼネバス帝国の勢力は更に勢いを増した。
ゼオルやフィオナたちの救出に成功するも、端末の奪還に失敗したレオと共和国は更なる窮地に立たされたが、アドリア王国が神聖ゼネバス打倒のために共和国と軍事同盟を結ぶことに応じた。
だが、神聖ゼネバス帝国はゼログライジスの進化の前に地球を制圧しようとプライドの乗る新たなゾイドと新たに改造が施されたオメガレックスが出撃した。
次回「絶望へのカウントダウン」走り抜け、ライガー!!