ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・アベラス

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
 しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたゼロメタル帝国の神官プライドが遂にゼロメタル帝国の絶対神にして皇帝であるデスザウラーの分身、ディアベル・ギャラガーと古の皇帝龍ゼログライジスを復活させてしまい、更に帝国のマクラマカン大佐のクーデターによって新たなる帝国、神聖ゼネバス帝国をも誕生させてしまった。
 更なる絶望を迎えたレオはゼロメタル帝国にどう立ち向かうのか!?


第67話「絶望へのカウントダウン」

 レオとライガーの力によってようやく最後の端末を奪還し、それによって再起動した全ての端末の力でゾイドクライシスの影響で滅亡寸前の地球を救えると思ったはずだが、神聖ゼネバスの思わぬ罠で全ての端末が逆に奪われ、しかもそれら全てがゼログライジスを包み込む巨大な繭へと変貌し、更なる絶望を物語るかのようにネオゼネバスの上空を包んでいた暗雲が更に世界中に広がり、最早、地球と人類の滅亡は時間の問題となっていた。

 

 レオたちはゼオルが予め用意していた援軍であるバルディーとマリ率いるアドリア王国軍の助けによって、フィオナたちを救出し、ニューホープに戻り、ゼオルとバルディー、マリはアドリア王国の将軍と思われるロボットと共に、予め仕組んだ作戦のことを説明した。

 

 以前からマクラマカン大佐が怪しいと感じていたゼオルは、奴が何かしら行動を起こし、帝国またはデュークナイツを乗っとるようなことがあった場合を想定し、バルディーとマリを自身の代理としてアドリア王国に行かせ、レオたちにはこのことを伝えずに一旦離脱させるように指示し、アドリア王国に向かったバルディーとマリはゼオルの作戦をシーザーの代理としてアドリア王国を統治している将軍と議長、議員に伝え、スパイゾイドを帝国に派遣し、帝国に不審な行動が起きたら、直ちにアドリア王国軍を動かすというもので、帝国が敵に乗っとられ、共和国が軍を動かせなかった場合のことを想定しての援軍を出す作戦だったのである。

 

 「あのブラックビーストライガーと戦う前に、急用があるからといって、勝手にどっか行ったのはそういうことだったのか。」

 

 「へへへ、その間に俺がアドリア王国のリーダーになってたんだぜ!」

 

 「まあ、あくまで代理だけど…」

 

 「いずれ、ゼロメタル帝国の行動は帝国と共和国では手に追えない存在となる。だから、両国がアドリア王国と軍事同盟を結ぶ必要があると思って機会を伺っていたが、それが思わぬ形で実現するとは…」

 

 「とはいえ、アドリア王国と軍事同盟を結んでも、こちらが圧倒的不利だということに変わりはない。何か打開策を取らねば…」

 

 「しっかし、わからないのな。あんな順調に端末を奴等に渡さずに再起動し、しかも最後の端末だって、レオの手で再起動出来たのに、何故、全部紫色になってあんな金属の塊を生み出したんだ?」

 

 「どうやら、私の決定的なミスがあったようだ。」

 

 疑問を抱くバーンの質問に応えるようにボーマン博士が現れ、そのことを聞いたレオたちはその言葉に疑問を感じた。

 

 「それって、一体どういうことですか?」

 

 「それは…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 アドリア王国領のアダマン領域の辺境の地の地下都市、そこはアドリア王国から離脱し、全人類の殲滅を謀り、地球をゾイドのための星にするという目的を持ったコバたちバーニングライガーが拠点としている場所にそのリーダー格となったセードが基地の中で休息を取っていた。

 

 彼は夢を見ていた。それはレオのライジングライガーデイズと自身のジェノスピノと戦っている夢だった。人はゾイドと共存するべきで、人類を滅ぼすセードを止めるために説得するレオ、しかし、セードは父親のランドによって植え付けられた憎しみで、全人類の駆逐を止めないと頑なに拒否し、レオはやむなく彼と戦った。

 

 イグニッションブースターを装備しているため、スピードは圧倒的にライジングライガーデイズが勝り、ジェノスピノは巨体故にそのスピードを捕らえられず、翻弄されていった。

 しかし、セードは徐々にライガーの動きを見抜き、火炎放射で周囲を焼き付くし、炎で自身の姿を隠した。

 

 炎でジェノスピノの姿が見えなくなったレオとライガーは攻撃を止め、しばらく様子を見たが、その瞬間に炎の中からヘッドキャノンが放たれ、それを避けようとしたその時、炎の中からジェノスピノがライガーを噛み砕くように現れ、ライガーの足を噛み砕いてしまった。

 

 バランスを崩し、倒れるライガーは反撃を試みるも、時既にジェノスピノはマシンブラストを発動し、ジェノスピノのジェノソーザーが襲い掛かり、ライガーを一刀両断し、更に跡形もなく消し去るように火炎放射でその残骸を全て焼失させてしまった。

 

 ジェノスピノが勝利の咆哮を上げたその時、突然、セードの右腕が暴走し、徐々に怪物のような姿に変貌してセードを呑み込み、コクピットの中を突き破り、右腕はセードだけでなく、ジェノスピノをも包み込み、巨大な何かへと姿を変えていった。それはデスザウラーだった。

 

 悪夢から目が覚めたセードは叩き起き、激しく息が上がっていた。

 

 「ハァッ、ハァッ、ハァッ! ハァッ…」

 

 起き上がったセードは改めて自身の右腕を見たが、右腕は特に何の異常はなかった。

 

 「また、あの夢だ。まさか、まだ、俺の右腕には…」

 

 コンコン。

 

 「いかがされましたか? 我が主人。」

 

 「何でもない、それより、どうした?」

 

 「あのライガーのガキ共、遂に奴等の計画に掛かったそうだ。」

 

 「何!?」

 

 

 コバたちが映像をセードに見せると、それは巨大な繭に包まれたゼログライジスの姿だった。

 

 「案の定、ゼロメタルの計略にかかったようだな。」

 

 「最後の端末に手を出すと、どうなるのか、分からしめるためにちょいとチョッカイをかけてきましたが、思ったより簡単に掛かりました。 

 やはり、人間というのは余りに愚かな生き物…存在してはならないものだ。」

 

 「そして奴等はそのミスを埋めるためにあの繭を破壊しようとし、ゼロメタルの奴等はそれを阻止するために奴等を迎え撃つだろうが、それこそが俺たちの狙い…

 奴等がゼロメタルの連中とやりあっている間にあの繭を破壊し、その力を得てゾイド以外の全てを殲滅する。」

 

 「その暁に、この星はゾイドの星として生まれ変わる。」

 

 「ジェノスピノは完成したのか?」

 

 「既に…いつでも出撃出来ます。」

 

 「ならば、そろそろ、こちらも動くとするか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ニューホープにあるデュークナイツの本部、レオたちはゼログライジスを包み込んだ巨大な繭の正体を探るべく、ボーマン博士に入手した巨大な繭の映像を見せ、ボーマン博士はそれを分析した。

 

 「やはり、そうだ。あの繭のような金属の塊は端末の破片によって形成されている。しかも、内部には超強力な高エネルギー反応が1ヶ所に集中している。

 おそらく、全ての端末のエネルギーをあの中に集約されているのだろう。」

 

 「つまり、奴は全ての端末の力を吸収しているということか…」

 

 「ただでさえ、強いゼログライジスに端末の力まで得たら、どれだけ強くなってしまってしまうんだ!?」

 

 「どれ程の相手になろうと、奴をこれ以上の化け物にならないために一刻も早く奴を破壊しなくてはならない。」

 

 「にしても、レオが再起動させたってのに、何で端末の奴等の思うように起動してしまったんだ?」

 

 「それは、私が端末に仕組んだ細工に気付いたからだろう。」

 

 「細工?」

 

 「私はあの船の反乱の時にプライドたちが端末を悪用しようとしていたのは既に予測していた。だから、私は予め、端末に正常なゾイド因子でしか作動しないように工作をし、プライドたちの思うように起動させないようにした。

 だが、あの時、ディアベル・ギャラガーが端末を触れたためにペンダントにも同様の細工をする隙を奪われたために、仮に端末がD因子で染まらなくても、D因子で染まったペンダントで起動させられる恐れがあった。

 あのペンダントには端末を開発する元となったゾイドコアが埋め込まれていて、そのペンダントを使えば、正常なゾイド因子で起動した全ての端末を1ヶ所に集めることだって出来る。

 奴等はそれに気付いて、ペンダントの奪取を最優先にしていたのだろう。」

 

 「じゃあ、俺たちを妨害せず、端末を再起動させたのは…」

 

 「そうだ、全ての端末を正常なゾイド因子で作動させないと、ペンダントの力で全てを掌握することは出来ない。

 だから、敢えて我々を泳がせて全ての端末を再起動させた後、D因子で染まったペンダントを掌握するときを待っていたのだろう。」

 

 「俺たちはまんまと、その罠にかかったということか…」

 

 「でしたら、尚更、あの金属の塊は破壊しなくてはならない。奴がこれ以上進化しないためにも…

 それに見たところ、今の奴は身動きが取れない。この状態なら、グラビティキャノンとロングレンジバスターキャノンの的になれる。むしろ好都合だ。」

 

 「さて、それはどうかな?」

 

 「さっきも、あれは端末を素材にして誕生したものだ。グラビティキャノンとロングレンジバスターキャノンであれごと破壊するのは容易いだろうが…」

 

 「そうだ。あれを破壊するということは、全ての端末を失うということだ。もし、そうなれば…」

 

 「滅亡寸前の地球を再生するための手段が何もかも失っちまうってわけだ。つまり、あれから端末の力を取り出してから破壊しなくてはならない。」

 

 「てことは…」

 

 「状況はむしろ悪化…オマケに作戦は更に困難を極めたということだ。」

 

 「しかも、端末の力を引き出すために必要なペンダントまであの中にある。1つだけ可能性があるとすれば…」

 

 ボーマン博士が見詰めたのはレオだった。

 

 「もしかして、俺?」

 

 「正確には、君というより、君の相棒のライジングライガーデイズだ。粗悪なゾイド因子を正常なゾイド因子に変えられる君のライガーの力なら、端末をあの巨大な繭から切り離すことが出来るかもしれない。」

 

 「だが、それでも、ライガーの力はゼログライジスの足元にも及ばなかった。成功する確率は極めて低い。」

 

 「でも、それでもやるしかないです。こうしている間にもゼログライジスがいつ、あの繭から出てくるのかもわかりません。それに地球の滅亡だって刻一刻と近付いています。

 それを阻止するためにも、僕たちは戦わなければいけません。」

 

 「確かに、このまま黙って終焉を待つより、最後の足掻きを見せてでもやる方がずっといい。」

 

 「ただ、問題はどうやってあの繭から端末のエネルギーを取り出し、破壊するかだ。」

 

 「生半可な作戦では、当然あれを破壊することは不可能…あれが真帝国のものであれば、警備がぞんざいなため、あれだけを目標にして作戦は立てやすいが、あのプライドとマクラマカン大佐のことはだ。

 俺たちが繭を破壊することを想定して何かしらの対策を既に練っているだろうし、更に戦力を拡大しようとしているのは目に見えている。」

 

 「では、どうすれば…」

 

 「ん? そういえば、サリーとメルビルが見当たらないが…」

 

 「控え室で休息を取っているフィオナ前皇帝陛下のところにいますが…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼログライジスを包んだ巨大な繭から心臓のような鼓動が脈打つように鳴らし、その音がネオゼネバス中に流れていった。その巨大な繭をマクラマカン大佐とプライド、ドクターマイルスが眺め、こ

 

 「この繭から感じる鼓動…まさに新たな生命の芽生えを感じます。」

 

 「当然だ。陛下はこの星…いや、この宇宙を統べる新たな創造主となられるお方だ。そして、我々はその使徒としてその務めを果たすまでだ。」

 

 「地球の滅亡まで、後、3週間はありますが、それまでに陛下は繭から出られるのでしょうか?」

 

 「心配はない。この繭は全ての端末のエネルギーを集約している。順調にいけば、後2週間で陛下はこの繭から出られる。そうなれば、この地球は新たな姿となり、滅亡は避けられる。」

 

 「だが、愚かな下等生物の連中がこの繭を破壊しにくるだろう。それまでに手を打たなければ…」

 

 「それなら、御心配はありません。そのための逸材を用意してあります。」

 

 「ほぅ、随分、自信たっぷりだな。して、どんなものだ?」

 

 「それは、御覧になってのお楽しみでございます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 デュークナイツの本部にある控え室、そこで、レオたちによって救出されたフィオナが休息を取り、そこにメルビルとサリーが彼女の世話をしていた。

 メルビルとサリーの看護を受けたフィオナはずっと黙り込み、

 

 「御姉様…私、このまま生きてよろしいのでしょうか?」

 

 「な、何を言っているのですか! 陛下。」

 

 「だって、一国の王でありながら、2度のクーデターを許し、国民にもそっぽを向けられ、国家転覆の重罪人とされたのですよ。

 そんな、私がこの世に生きていいはずがございません。」

 

 「いいえ、陛下は間違っていません。陛下は皇帝として帝国のために尽くしてきたのです。それのどこに間違いがあるって言うのですか! 少なくとも、私はそう思っています。」

 

 「でも、私…マクラマカンから聞いたの。私の父、先代皇帝がゾイドを従える能力、ホントはプライドが流したただのでっち上げだって…私にゾイドを従える力がないのはきっとそのため、そんな無力な私が皇帝になる権利なんてないわ!」

 

 「(先代皇帝が持つゾイドを従える能力はただのでっち上げ…? じゃあ、私がギルラプターと話せるこの力は一体…?)」

 

 

 フィオナがメルビルに抱き付いて泣く中、ハワード宰相とコリンズ中将は捕虜にされている間のマクラマカン大佐と神聖ゼネバス帝国の動向をクレストウッド大統領とギャレット大将に話した。

 

 「そうか…まさか、そんなことが…」

 

 「ほとんどの国民にも支持されているとなると、帝国の復興はかなり困難を極めるな。」

 

 「しかし、帝国国民たちはあくまでマクラマカンに騙されているだけです。国民を目覚めさせるためにも、協力をお願いします。」

 

 「出来るだけのことはします。しかし、今の我々にそれほどの力があるかどうかは…」

 

 「ところで、コリンズ中将。」

 

 「何です?」

 

 「確か、貴君にはシーガル中佐も捕虜にいたはずだが…」

 

 「はい、それが…?」

 

 「実は、その彼が今、この場にいないのです。」

 

 「何ですと!?」

 

 

 

 

 

 

 

 ネオゼネバスから数十キロ離れた場所にある帝国の駐屯地にシーガル中佐はレオたちの救出を機に神聖ゼネバス帝国の粛清から逃れた旧帝国軍の残党を集め、更にハワード宰相専用の赤い巨大なナックルコングであるインペリアルナックルコングまで回収し、再びネオゼネバスに襲撃する準備を整えていた。

 

 「デュークナイツと共和国軍の援軍のおかげで、ようやくあそこから脱出することが出来た。今度こそ、帝国を我々の手で取り戻す。」

 

 「シーガル中佐…」

 

 「何だ?」

 

 「よろしいのですか? 共和国やデュークナイツと協力せず、我々だけで…」

 

 「構わん、これは帝国の問題だ。わざわざ共和国の手を借りてまでやるなど、我が帝国の歴史に泥を塗ってしまう。

 それにこれ以上、帝国軍の無様な姿を晒すわけにはいかない。我が帝国は滅んでいないということを国民に見せ付けて目覚めさせなくてはならない。何としても帝国を我々の手で取り戻す!」

 

 「中佐…」

 

 「準備が出来次第、直ぐに出発する。」

 

 「はっ!」

 

 その時、1人の不審者が駐屯地に忍び入り、1人の兵士が別の方向を向いている隙に一体のキャノンブルに乗り込んだ。その不審者はレオたちがネオゼネバスに入った際のどさくさに紛れて逃げ込んだアルドリッジだった。

 

 「へへへ、何だかよくわからねぇが、面白いことになってやがる。こいつらと一緒にいけば、あの連中共に復讐できて帝国に復帰出来そうだな。」

 

 アルドリッジがしれっと旧帝国軍に紛れたことを知らないシーガル中佐はインペリアルナックルコングに乗り込み、旧帝国軍の残党を率いて再びネオゼネバスに向かって進軍していった。

 

 「マクラマカン大佐、かつての私の上司、今度こそ、あなたに引導を渡します。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マクラマカン大佐はプライドとドクターマイルスをネオゼネバスの宮殿の地下の工場の更に下の地下二階にまで招き、そこであるゾイドを披露させた。

 

 それは青みのかかった紫色のカラーリングをした巨大なデスレックスであり、更に目と足の爪、尻尾の先は金色になっていて、顎であるデスジョーズはそのままだが、口内はウブラドリルではなく、オメガレックスと同じ荷電粒子砲となっており、背中にもオメガレックスの荷電粒子吸入ファンと似たような装置が取り付けられていた。

 

 「これが貴様の用意した逸材か。」

 

 「そうです。あの時、ランドがオメガレックスの化石が発見した際に、オメガレックスの化石のあった同じ火山地帯にラスト大佐がそれとは別の化石をドクターマイルスと共に復元、改造を施したデスレックスです。」

 

 「私の研究によると、こいつはオメガレックスと同じデスレックスの突然変異種で、本来はこいつもオメガレックスに進化する個体だったのだが、進化の過程がオメガレックスより遅かったため、結局ゾイドクライシス中に目覚めず、そのまま130年以上ずっと眠っていたのだ。つまり、こいつはいわば不完全なオメガレックスということだ。」

 

 「幸いにも、ランドはオメガレックスの化石に夢中になりすぎたために、この化石に気付かず、我々の元に回収することが出来た。」

 

 「そして、こいつが不完全なオメガレックスだということを利用し、こいつを旧帝国、真帝国が復元したジェノスピノ、オメガレックスを遥かに凌駕する最高傑作にするために、反乱の際にセードが殺したランドから奪取したジェノスピノ、オメガレックスの復元とその戦闘データを基に、この私と神聖ゼネバスの技術によって特別な改造を施し、更に不完全な部分を補うためにD因子とゼログライジス因子を注入させたのです。

 つまり、これは陛下のゼログライジスの使徒となるべき最強の破壊龍デスレックスフレイムなのです。」

 

 「デスレックスフレイム…」

 

 その言葉を聞いたプライドは武者震いをした。

 

 「今はまだ、開発途中ではありますが、これでも出撃は可能で、既にジェノスピノ、オメガレックスを凌駕するスペックを有しています。

 完全体となった暁には、陛下のゼログライジスの代理として十分に発揮してくれるでしょう。」

 

 「ところで、そのゾイドには誰が乗るのだ? 貴様か?」 

 

 「とんでもない、この私があれに乗るなど、畏れ多いことです。私にはもう一つ開発途中のゾイドに乗る予定ですから。」

 

 「なるほど、つまり、私ということか…」

 

 ビー、ビー、ビー! 

 

 その時、地下内に警報が鳴り響き、プライドたちの元に映像が届いた。映像に映っていたのは、シーガル中佐の乗るハワード宰相専用の巨大な赤のカラーリングをしたインペリアルナックルコングと旧帝国軍がネオゼネバスに迫っていった。

 

 「シーガルの奴、まだ、旧帝国の壊滅を認めないつもりか…悪足掻きにも程がある。」

  

 「むしろ、好都合だ。早速こいつを使わせてもらう。」

 

 「プライド閣下、直々の出陣とデスレックスフレイムの初陣となれば、我が帝国国民は益々歓喜してくれるでしょう。」

 

 「最初から、私に乗せるつもりだったのか?」

 

 「もちろんです。我々に神聖ゼネバスの思想を与えてもらったのは、他でもない閣下…あなたなのです。

 あなたが摂政時代に我々を導いてくれたおかげで、我々は目覚めることが出来、今、まさにこの星の覇権を握る唯一無二の帝国を誕生させたのです。

 皆、あなたの帰還を待っていました。」

 

 「ふっ、」

 

 プライドはデスレックスフレイムのコクピットに乗り込み、操縦稈を握ったその時、コクピットの中から呻き声が聞こえた。

 

 「そうか、お前もこうして目覚める日を待っていたのか。ならば、今、この私が目覚めてやる。

 陛下に仕える神聖ゼネバスの大神官プライドのゾイドとして、絶対神官龍デスレックスフレイムとなるのだ。」

 

 ギュオォ~!!

 

 起動したデスレックスフレイムの咆哮が地下に鳴り響く中、ハワード宰相専用のインペリアルナックルコングに登場したシーガル中佐率いる旧帝国軍はキルサイスを主力とする神聖ゼネバス帝国軍を蹴散らしながら、ネオゼネバスに侵入していった。

 

 「我々は認めない、帝国の壊滅を! いくぞ、諸君!」

 

 旧帝国軍が破竹の勢いに乗ってネオゼネバスの宮殿に向かったその時、突然、目の前から火球が飛んできて、インペリアルナックルコングは間一髪で回避したが、旧帝国軍のスティレイザー、キャノンブル、バズーとル隊はその火球で一瞬の内に消滅した。現れたのはプライドの乗るデスレックスフレイムだった。それを見たシーガル中佐は驚愕した。

 

 「バカな! デスレックスだと!? デスレックスは我が帝国が復元を試みたが、どれも失敗して今はオメガレックス一体しかいないはずだ。それなのに、何故…」

 

 「ほぅ、旧帝国の宰相が乗る最大戦力のインペリアルナックルコングが相手か…デスレックスフレイムの遊び相手にちょうどいい。」

 

 ギュオォ~!!

 

 咆哮を上げたデスレックスフレイムはインペリアルナックルコングに迫り、インペリアルナックルコングはそれを両手で防いだ。

 

 「パワーで圧倒するつもりだろうが、そうはいかんぞ。この距離なら…」

 

 シーガル中佐はデスレックスフレイムを足止め出来たことを利用し、インペリアルナックルコングの背中のキャノン砲とミサイルを全て至近距離でデスレックスフレイムに撃ち込んだ。

 シーガル中佐は勝利を確信したが、しかし、ゼロ距離でグラビティキャノンのような強力な強力なキャノン砲とミサイルを撃ち込んだにも関わらず、デスレックスフレイムの装甲は全くの無傷だった。

 

 「そんなバカな…今の一撃なら、オメガレックスの装甲に風穴を開けられる程だというのに!」

 

 「所詮は愚か者か。」

 

 デスレックスフレイムは足でインペリアルナックルコングを突き倒し、更に尻尾でインペリアルナックルコングの巨体を凪払った。

 

 「シーガル中佐! 全軍、あのデスレックスに砲撃を集中しろ。撃て~!」

 

 旧帝国軍の全てのゾイドがデスレックスフレイムに向けて一斉に砲撃したが、デスレックスフレイムはそれでも装甲に傷がつくどころか、一歩も退かなかった。

 

 「なん…だと…!」

 

 「愚かな…ただの人間が神の使徒に勝てると思ったのか?」

  

 デスレックスフレイムは再び尻尾を振り、その一振だけで旧帝国軍の全てのゾイドが粉々に破壊され、更にその衝撃でネオゼネバスのビルのほとんどの先端が吹き飛ばされてしまった。

 

 「神の使徒に抗うことが如何に愚かな行為か、わかっただろう?」

 

 「バカな…デスレックス一体だけで、我が誇り高き帝国軍が…」

 

 「さて、まだ未完成ではあるが、こいつの真の力を味わわさせてもらうか。」

 

 その時、デスレックスフレイムのデスジョーズがオメガレックスがマシンブラストを発動した際に収束シールドを展開するように開いていき、デスレックスフレイムの口内からオメガレックスと同じ荷電粒子砲の砲塔が姿を現した。

 

 「あれは…まさか…」

 

 「食らうがいい、デスレックスフレイムの荷電粒子砲を…!」

 

 デスレックスフレイムの口内から荷電粒子砲が放たれ、インペリアルナックルコングは直ぐにその場から離脱しようとしたが、時既に遅く、インペリアルナックルコングはその荷電粒子ビームを諸に受けてそのまま吹き飛ばされ、射程距離にあったネオゼネバスの街々を次々と凪払い、インペリアルナックルコングの姿が何処に行ったのかわからずに一瞬で消え、更にネオゼネバスの都市からも飛び出し、ネオゼネバスの数十キロ先にある2つの山をも消し飛ばしてしまった。

 

 「まだ、未完成だというのに、これ程の威力…どうやら、こいつで全ての下等生物を殲滅出来そうだな。

 フフフフフ、ハハハハハ、アーッハッハッハッハッハ!!」

 

 ギュオォ~!!

 

 プライドの高笑いとデスレックスフレイムの咆哮が新たな絶望とゼログライジスの新たな進化のカウントダウンを示唆するようにネオゼネバスやその周辺にまで響き渡っていた。

 

 To be continued




 次回予告

 プライドとマクラマカン大佐はゼログライジス進化のカウントダウンの間に地球全土の制圧するために全土に向け、大攻勢をかけ、四天王たちを各地へ派遣させた。
 デュークナイツは共和国とアドリア王国の援軍と共にそれぞれの場所に向かい、神聖ゼネバス軍を迎え撃つ体制を取り、そこでレオは四天王の1人にしてそのリーダー格のラスと交戦し、彼の戦いかたに少し疑問を持つ。
 しかし、マクラマカン大佐にはプライドが操るデスレックスフレイムの他にも更に奥の手があった。

 次回「決戦! メタルレイザー」走り抜け、ライガー!!
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