ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・アベラス

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 ペンダントの力によって突如復活した伝説のビーストライガーを相棒にした少年レオはビーストライガーを復活させた不思議な力を持つペンダントを持ち、地球の未来を左右する謎の少女サリーと共に地球再生のための冒険の旅に出掛けた。


第7話「求メル相手」

 帝都ネオゼネバスシティの移民船から少し離れた帝国摂政プライドの別荘の接待室でコリンズ准将とプライド摂政が会談していた。

 

 「そう言えば、君との付き合いは何年かな?」

 

 「8年です。」

 

 「そうか、もうそんなになるか… ところで、君の育てたギレル中尉のことだが、以前何か問題を起こしたことがあるらしいな。」

 

 「2年程前です。 ギレル中尉が部隊に配属されたばかりの時、演習中に上官を1発……いや、2発殴ったそうです。

 何故、殴ったのかと理由を聞いたら、相手が先に殴りかかってきたから、正当防衛のため、無能な上官の作戦に対し、意義を唱えたまでだと言ってました。」

 

 「彼がそんなことを言っていたのか。 ところで、殴られた上官ってのは?」

 

 「シーガル大佐です!」

 

 「あの男か! あの男はどうも融通が効かなくて私も少々手を焼いているよ。」

 

 「ですが、そのお陰で帝国中に噂が広がり、ギレル中尉はシーガル大佐の部隊から更迭され、代わりにアルドリッジ少佐が付いた始末です。 全く、世話の焼ける弟子です。」

 

 「アルドリッジは中々優秀ではあるが、少々爪が甘い。 しかし、君の弟子のギレル中尉はやはり興味深い。 是非とも彼に会いたいものだ。」

 

 「失礼します。」

 

 その時、特別室に1人の女性が入った。女性は紫色の瞳に青いロング髪をした士官だった。

 

 「何だね?」

 

 「ギレル中尉がジェノスピノの化石を見付けたとランド博士から報告がありました。」

 

 「回収したら、直ぐに化石をこちらに持ってこいと伝えろ。」

 

 「はっ!」

 

 青いロングをした女性士官は退出し、それを見たコリンズ准将は、

 

 「彼女は?」

 

 「私の直属の特務少尉であり、ザナドゥリアス少尉同様、ランド博士の助手を務めるハンナ・メルビル少尉だ。」

 

 「あんな若い女性まで……」

 

 「19で士官学校を出たばかりだが、ゾイドの知識に精通していて、ランド博士のゾイド発掘と復元作業に従事している。

 ザナドゥリアス少尉程ではないが、中型ゾイドなら簡単に乗りこなせる程の実力を持つ優秀な女性だ。」

 

 「驚きました。 まさか、博士にもう1人、助手がいたとは…!」

 

 

 

 

 

 ゾイドクライシスでジェノスピノによって破壊された旧市街、ギレル中尉のスナイプテラのスナイパーライフルで塞がれた倒壊したビルの地下の入口を回収班のキャタルガがドリルで掘り進み、中を調べていた。

 

 「ところで、ザナドゥリアス少尉は?」

 

 「先程倒したライガーを回収するためにハンターウルフ改で崖に降りていったそうです。」

 

 「そうか…」

 

 その様子を隠れながら見ているバズ、アイセル、サリーは、

 

 「ヤバイぜ! あいつら、端末のある場所掘り起こしてやがる。 端末奪われたら不味いんじゃねぇか?」

 

 「確かに…地球を再生させる程の力を持つ端末が帝国軍の手に渡ったら、何をしでかすかわからないわ。

 でも、戦力が違いすぎるから、こちらからは仕掛けられないし……」

 

 「共和国軍に応援を頼めばいいんじゃねぇのか?」

 

 「そうしたいのは山々なんだけど……下手に共和国軍の援軍を呼ぶと帝国軍と全面戦争の火種になるから、大規模な戦闘は出来るだけ避けたいの。」

 

 「どういうことだ?」

 

 「帝国と共和国は確かに戦争中ではあるけど、正式な宣戦布告無しに戦うのは軍規で違反されているのよ。」

 

 「やれやれ、何か色々と面倒だな。」

 

 「とにかく今は様子を見ましょう。」

 

 「そうするしかないか……」

 

 

 

 

 

 ライガーが落ちた崖下に降りるハンターウルフ改、一番下に降りると、そこに負傷し、倒れているライガーがいた。

 ハンターウルフ改から降りたユウトはライガーのコクピットを調べる。するとそこにレオの姿はなかった。

 

 「落下の際に放り出されたのか…… まあ、いい。これでライガーだけ回収できる。」

 

 ライガーに触れようとするユウト、目を覚ましたライガーは起き上がり、ユウトを警戒する。

 

 「悪いけど、君にはしばらく大人しくさせてもらうよ。」

 

 ユウトは片腕を振り下ろすと、その合図に従うかのようにハンターウルフ改がライガーを取り抑えた。ユウトは携帯用の高圧電流を取り出し、それをライガーの身体に当て、ライガーに凄まじい電流が迸り、ライガーは倒れた。

 

 「ウルフ! 回収班を呼んでライガーを基地まで運ぶぞ。」

 

 

 そこから少し離れ、ユウトが気付かない場所で倒れているレオは目を覚まし、

 

 「う……う~ん。ライガー、無事か!」

 

 しかし、辺りを見渡すと、ライガーのすがたはなかった。

 

 「ら、ライガー! 何処にいるんだ!?」

 

 その時、クレーン車の音が聞こえ、その場所に向かうと、ライガーが捕縛ロープで捕らえられ、崖上のキャタルガに引っ張られていた。そして、同時にその上にはハンターウルフ改もいた。

 

 「ライガーを回収するつもりか! そうはさせない!」

 

 レオはすかさず、ワイヤーを取り出し、捕縛ロープに捕まり、そのままライガーと一緒に引き上げられた。

 崖上に引き上げられた後、レオはライガーのコクピットに乗り込もうとするが、帝国の技術者がライガーを調べようと近付いてきたため、レオは慌てて車両の影に隠れた。

 技術者はライガーのコクピットに近付き、何やら細工をするような動作をした後、直ぐに離れ、ライガーを乗せたキャタルガはハンターウルフ改と共に基地に向かっていった。レオは車両のところに隠れ、ライガーを奪還出来る機会を伺いながら、基地に送り込まれるようになった。

 

 

 

 

 

 

 ギレル中尉率いる帝国軍の回収班が去った後、サリー、バズ、アイセルは崩れたビルの地下に入っていった。

 

 「なあ、ホントに端末があるんだよな?」

 

 「間違いありません! ペンダントに反応があるってことは、この先に端末があります。」

 

 「ふぅ~、助かった。 もしこれで帝国軍が奪っていたら、不味いことになっていたからな!」

 

 「でも、端末があるところを探していたのに、どうして端末を回収しなかったのかしら? 

 一度滅びた地球を再生させる程の力を持つ技術よ。それだけの技術、帝国軍が無視するはずがないわ。」

 

 「どうせ見付からず、退散したんだろ!」

 

 アイセルは帝国軍が端末を回収しないことに少し疑問を感じていた。道を進んでいくと、何やら不気味な影が複数漆黒の中から現れた。ジャミンガだった。

 

 「おいおいおい、何でこんなときに限ってジャミンガが出てくるんだよ! さっきまでいなかったじゃねぇか。」

 

 「あのジャミンガ、まるで端末の場所まで通さないように見える。」

 

 「取り敢えず、あの害虫何とかしてくれ!!」

 

 「私に任せて! ラプちゃん!」

 

 アイセルの口笛でラプトリアも来、道を塞がるジャミンガの群れを蹴散らしていった。

 

 「さあ、今のうちに!」

 

 「お、おぅ……」

 

 サリーとバズは後を進んでいくと、目の前に少し埋まっている端末の姿があった。

 

 「おし、見付けたぜ! で? 起動出来るのか?」

 

 「やってみます!」

 

 サリーはペンダントを取り出し、ペンダントが光り出し、端末から地球儀のホログラムが現れて、端末は全身に光出し、端末は回転し、そのまま地中に掘り進んで行った。

 

 「これで、端末は正常に作動しました。」

 

 「よし、2つ目も作動できた! どうやら順調に行っているみたいだな。 後はレオとライガーを助けるぞ!」

 

 しかし、またもや、ジャミンガの群れがわらわらと現れていった。

 

 「ああ~、もう! 何で次から次へと来るんだよ!!」

 

 「あたしとラプちゃんが引き付けるわ! サリーとバズはその間にここから脱出して!」

 

 アイセルとラプトリアがジャミンガの群れを蹴散らしている隙にサリーとバズは出口に向かって一直線に走っていき、遂に出口に出た。

 だが、そこに待ち構えていたのは、それまで全くいなかっジャミンガの群れが街中に次々と出現した。

 

 「おいおい、どうなってたんだよ! さっきまでこんなにいなかったぞ。」

 

 ジャミンガたちがサリーとバズに襲いかかろうとしたその時、

 

 「キャー!!」

 

 出口から脱出したラプトリアがサリーとバズに襲いかかろうとしたジャミンガを砲撃していった。

 

 「大丈夫? サリー、バズ。」

 

 「あ、アイセルさん。 ありがとうございます。」

 

 「どうすんだよ。 こんな数突破するの難しいぜ!」

 

 「確かにこの数を突破するのは難しいし、ライガーは帝国軍基地に捕らわれているし……一体どうすれば……

 ん? そうだわ! 突破するんじゃなくて、逆にこいつらを利用しましょう!」

 

 「ん? 何か思い付いたのか!」

 

 「サリー、バズは車に乗って、早くここから脱出してレオたちを! 私はこのジャミンガと一緒にライガーを助けるわ!」

 

 「ジャミンガと一緒にって、どういうことだよ!?」

 

 「とにかく、今はアイセルさんを信じましょう。」

 

 「そ、そうだな。」

 

 サリーとバズは車に向かって走り、ジャミンガたちは後を追うとするが、ラプトリアは行く手を阻み、挑発するかのような素振りを見せた。

 

 「ホラホラ~、こっちよ!」

 

 ラプトリアは旧市街の出口に向かって走っていき、ジャミンガの群れも全てその後に続いていった。

 

 「上手くいったわね、さあ、あたしとラプちゃんについてきなさい!」

 

 サリーとバズはその隙に車に乗り、ライガーが落ちた崖のところまで走行していった。

 

 

 

 

 

 

 

 ユウトが回収班と共にライガーを基地にまで運んでいる間にギレル中尉の乗るスナイプテラが回収したジェノスピノの化石を入れたコンテナを運搬する4体のクワーガと共に帝都ネオゼネバスシティにあるプライド摂政の別荘に向かった。

 プライド摂政の別荘は移民船の中ではなく、移民船が浮上しているところの直ぐ下に位置し、そこには移民船の中の宮殿に勝るとも劣らない豪華な別荘だった。

 別荘の監視者から入域許可を得たギレル中尉はスナイプテラから降り、誘導に従って別荘の中に入ってコリンズ准将のいる接待室まで行き、入って行った。

 そこにはランド博士とギレル中尉はコリンズ准将とプライド摂政が待っていた。

 

 「コリンズ准将、只今、ジェノスピノの化石を回収しました!」

 

 「よくやった。ギレル中尉。」

 

 コリンズ准将と向かい合っているプライド摂政を見たギレル中尉は、

 

 「あ、あなたは……」

 

 「プライド摂政、彼が先程話していたギレル中尉です。」

 

 「おお~、君か。赤き死神の異名を持つスナイプテラのエースパイロットは。」

 

 プライド摂政の言葉にギレル中尉は急に畏まり、

 

 「お、御初にお目にかかります! プライド摂政閣下! 私がクリストファー・ギレル中尉であります!」

 

 「そう、畏まるな。私はそういうのは苦手でな。」

 

 「で…では、プライド閣下。こんな私をお招き頂きありがとうございます!」

 

 「君はこれからの帝国の将来を担う若者だ。それくらいのことは当たり前だ。

 それと、ランド博士、化石の回収と彼の補佐ご苦労だったな。ところで、ザナドゥリアス少尉は?」

 

 「彼は例のライガーを捕獲したと報告がありましたので、暫くあの基地にいます。」

 

 「そうか、ここにメルビル少尉がいるので、彼女と共に引き続きジェノスピノの復元作業に取りかかってくれたまえ。」

 

 「わかりました。」

 

 ランド博士は部屋から退出し、

 

 「それにしても驚きました。 まさか、准将が摂政閣下とお知り合いでしたとは!」

 

 「実は私は閣下とは士官学校以来の仲でな。以前から先帝陛下にお仕えしていた閣下の推薦で、私は先帝陛下の元で働き、そして、先帝陛下がお亡くなりになられた後に、閣下は摂政に任じられ、大将となって軍の最高司令を任され、私は准将として帝国軍を指導していたのだ。」

 

 「そうだったんですか……」 

 

 「閣下は大規模な公共事業に乗り出し、法律、税制、国土開発、公共機関全てを立案し、ゾイドを兵器化させ、帝国の国力を高め、国民の生活の向上に役立ってきた。

 それにより、我が帝国は共和国に遅れを取ることなく、これ程の軍事力を持つようになった。」

 

 「だが、共和国との決定的な戦力差を出すためにはジェノスピノが必要……この長きに渡る共和国との忌まわしい戦争を終わらせるためにはジェノスピノを戦争の抑止力とならなければいかないのだ。」

 

 「そう、私はジェノスピノをかつてゾイドクライシスで世界の三分の一を壊滅させた破壊ゾイドとするのではなく、平和の使者として生まれ変わらせたい。帝国の未来のために……」

 

 「閣下と准将が望む平和のためにジェノスピノは必ず完成させてみせます!」

 

 「頼んだぞ、ギレル中尉。」

 

 「ところで、閣下。1つお聞きしてもよろしいでしょうか?」

 

 「何だね?」

 

 「もし、ジェノスピノが完成しても共和国が我々の要求に従わなかった場合、完成したジェノスピノを出撃することもやむ無しでしょうか……?」

 

 「その場合は仕方がない。共和国が従わないなら、その力を見せ付けなければいかないのだからな。」

 

 「そうなった場合、一体誰に乗せるのですか?」

 

 「ジェノスピノはゾイドクライシスで世界の三分の一を壊滅させた程の強大なゾイドだ。

 もし、並みの人間が乗れば、暴走する危険性も十分にあり得るだろう。そこで、ジェノスピノを完全にコントロールし、性能を最大限に引き立たせるために適合率の高い人間をライダーに指名しようと考えていて、1番目と2番目に高い者のどちらかにしようと思っている。

 だが、ギレル中尉。残念ながら、君は惜しくも3番目だ。ジェノスピノのライダーには指定出来ない。」

 

 「では、1番目と2番目は……?」

 

 「2番目はザナドゥリアス少尉だ。」

 

 「少尉でさえ、2番目ですと!? しかし、彼は耐Bスーツ無しでもハンターウルフ改を操れる力を持っているのですよ!

 実際、ジェノスピノの化石を回収する前に私はこの目で彼の実力を確かに見ました!」

 

 「確かに彼の操縦性能は凄まじい…… ジェノスピノのライダーにはうってつけだ。 だが、残念ながら、彼よりジェノスピノそのものと一体化出来る程の可能性を持った人物が1番目になったのだ。」

 

 「一体、誰ですか……?」

 

 「その名は……」

 

 プライド摂政が口にした名を聞いたギレル中尉は驚愕した表情をした。

 

 

 

 

 

 プライド摂政の別荘にある巨大な研究室にランド博士は今まで回収したジェノスピノの化石をかき集め、復元作業に当たっていた。そこにメルビル少尉が現れ、

 

 「おお~、メルビル少尉。他の地域の化石の回収ご苦労だったな!」

 

 「はい! 御父様も御無事で何よりです。」

 

 「これで、ジェノスピノの化石は残り1つだけとなった! 後もう少しで私の望んだ最強のゾイドが完成するのだ。お前もよく働いてくれた!」

 

 「あの……御父様……」

 

 「何だね?」

 

 「ユウトは…ここにはいないのですか……?」

 

 「ああ、彼なら、手配中のライガーを捕らえて、他の軍基地に運ぶ作業に入っていて、ここにはいないのだ。」

 

 「そう…ですか……。」

 

 「会いたいなら、会ってもよいぞ!」

 

 「え、でも……」

 

 「ここの整備は十分に整っている。復元作業は私1人でも大丈夫だ。 それに彼は私の育てた超エリートだからな。君のような優秀な者が惹かれるのも無理はない。」

 

 「いえ、そんな…。」

 

 「このことは私が摂政閣下に話す。君は安心して行きたまえ。」

 

 「わかりました。ありがとうございます。御父様!」

 

 メルビル少尉は退出し、青いスナイプテラに乗ってプライド摂政の別荘から飛び立った。

 

 

 

 

 

 帝国軍基地内部、

 

 倉庫に入ったら、そこにライガーの姿があった。

 

 「ライガー!」

 

 ライガーを見つけたレオは直ぐにライガーの元に行き、そっとライガーの身体に触れた。レオを見たライガーは安心したような素振りを見せた。

 

 「大丈夫だったかい? ライガー。 直ぐにここから出よう!」

 

 ズドン!

 

 その時、突然銃声がし、レオが小型ワイヤーを手に構えて、銃声があった方向を見ると、そこに拳銃を持ったユウトがいた。

 

 「お前は!」

 

 「君がここに来ることは分かっていたよ。 でも、そのライガーは渡すわけにはいかない。」

 

 「何言っているんだ! ライガーは俺の相棒だ。帝国軍なんかに渡すもんか! それにお前は一体誰なんだ!?」

 

 「そういえば、自己紹介がまだだったね。僕はユウト・ザナドゥリアス特務少尉。 博士と共に帝国摂政に仕える者だ。 君は?」

 

 「レオ、レオ・コンラッド。」

 

 「見たところ、君は軍人でも共和国軍でもないただの民間人のようだね。

 君がそのライガーにどれだけ思い入れを持っているか知らないけど、そのライガーは帝国軍の戦力拡大に必要な素材だ。 君のような民間人が乗るゾイドじゃない!」

 

 「ライガーを戦争兵器に使うのか!」

 

 「帝国軍は共和国軍と戦争状態にある。 戦争に勝つために戦力を拡大するのは当たり前じゃないか!」

 

 「そんな……ただ、戦争に勝つためにゾイドを利用するなんて、そんなの間違っている!」

 

 「ゾイドは戦うために生まれた生命体。ゾイドにとって戦争は人間同様、決して切り離せないもの。 人間と共に戦うことはゾイドも望んでいる!」

 

 「だけど、それが本当にゾイドの望んでいることなの?」

 

 「そんなことは自分で確かめればいい! そのライガーだって、戦いを望んでいるはずだ!」

 

 レオはライガーを見て、ライガーは真剣な表情でレオを見詰めた。それを見たレオは、

 

 「そんなことはない! ライガーは戦いは望んでいない。ライガーは俺と一緒にいたい…俺もライガーと一緒にいたい。ただ、それだけなんだ! 

 お前だって、ハンターウルフに思い入れがあるんじゃないのか!? 俺とライガーがウルフに傷付けた時に怒ったように。」

 

 それを聞いたユウトは拳銃を携えながら、少し黙りこんだ。

 

 「じゃあ、君は何故、そこまでライガーに固執する。」

 

 「父さんとの約束なんだ。父さんは地球とゾイドを愛していた。父さんは地球とゾイドが人間にとってどれだけ大切か教えてくれた。

 俺はそんな父さんに憧れ、いつか自分のゾイドを見付けてこの世界に旅立ち、父さんに見せてやりたいんだ。」

 

 「父…さん……」

 

 それを聞いたユウトは幼い頃、メルビル少尉と共にランド博士の元でゾイドに対する教育や数々の戦闘訓練を受けたことを思い出していた。

 

 「(僕は本当の父親は知らない…。博士を父と呼ぶわけには……いかない。) 

 理由はともかく、君にそのライガーを返すわけにはいかない。もし、抵抗するようであるば、君を射殺する!」

 

 拳銃をレオに向けるユウト、その時、ライガーが暴れだし、身体中に付いているワイヤーを引きちぎり、そのまま倉庫の扉に体当たりした。

 

 「無駄だ! その扉は並みのゾイドでは破壊されないように強化されている。」

 

 しかし、レオはすかさず、手持ちのワイヤーでユウトの右手に当て、拳銃を落とさせた。

 ユウトもすかさず、ナイフを取り出し、レオに斬りかかろうとした。ユウトの俊敏な動きに翻弄されるもユウトの斬撃を避け、ユウトに殴りかかろうとした。

 しかし、ユウトは常人では考えられないような跳躍力で一瞬の内にレオの後ろに回り、再びナイフで斬りつけようとした。

 レオが左腕でナイフを受け止めたその時、ナイフの刃が砕けた。と同時にレオの左腕手袋が切れ、金属化した左腕が露出した。それを見たユウトは、

 

 「君、その腕は……」

 

 「ああ、これが俺とライガーの絆の証だ。」

 

 「くっ!」

 

 再びレオに殴りかかろうとするユウト、しかし、レオは金属化した左腕でユウトの右腕を掴んだ。離そうとしてもユウトは容易に離せなかった。

 

 「うっ…ぐっ……」

 

 「俺は君とやり合う気はない。ライガーを諦めてくれないか?」

 

 「駄目だ。これは任務なんだ……!」

 

 ドクン!

 

 その時、ユウトの右腕を掴んだレオの左腕が鼓動し、同時にレオの脳裏に研究室のようなビジョンが浮かび上がった。

 その研究室には多くのゾイドを入れたカプセルがあり、中央のカプセルには1人の少年が入っているカプセルがあった。そのカプセルにいる少年を見たレオは驚愕した。

 それを見たユウトはすかさず、レオの左腕から脱出し、

 

 「どうした! 怖じけついたのか?」

 

 「ユウト…… おまえは一体……?」

 

 ドカ~ン、ドカ~ン!!

 

 

 その時、突然基地に爆発があった。司令室は慌て、

 

 「何だ! 何が起こった!?」

 

 「敵の攻撃です! しかし、敵の姿が確認出来ません!!」

 

 「な、何だと!?」

 

 「基地内部に大量のジャミンガが進入してきました!!」

 

 「何!? まさか、ジャミンガからの攻撃だというのか!」

 

 

 

 

 

 

 基地の外ではジャミンガに紛れてラプトリアが基地のあちこちに砲撃した。その様子を少し離れた場所にある車でその様子を見たバズは、

 

 「まさか、ジャミンガを誘導させたのはこのためだったのか! あのお姉さん、随分えげつないことやるぜ。」

 

 それを通信で聞いていたアイセルは、

 

 「あたしの名前はアイセルよ! いい加減覚えて頂戴!」

 

 「しかし、こんな方法で大丈夫なのかね?」

 

 「帝国軍の基地に捕らえられているライガーを救うにはこれしかないわ。 第一、共和国の援軍を呼んで、戦争をやるわけにはいかないわ。」

 

 「まあ、ライガーを救うだけのことに帝国軍とドンパチするわけにはいかんしこれだけのジャミンガの襲撃なら、帝国軍も軍の攻撃とは思わないだろ…。

 それにしても、彼処の崖に行ったが、何処にもいなかったし、一体何処にいるんだ!?」

 

 「レオはこの中にいます!」

 

 「どうして、それがわかるんだ?」

 

 「確証は持てませんが、私にはわかります。ライガーはレオと一緒にいるって……」

 

 

 

 

 

 

 

 「何だ? 一体何事だ!」

 

 その時、ライガーが何度も扉に体当たりを繰り返す内に遂に扉が破壊された。

 

 「よし、ライガー! 今のうちに脱出だ。」

 

 「そうはいかない! このまま逃がさな……」

 

 その時、倉庫にも進入したジャミンガがレオやユウトにも襲いかかってきた。

 わらわらと現れてくるジャミンガを見たユウトは青ざめた表情をし、脳裏にわらわらと1人の幼い少年を囲み、包み込むように近付くジャミンガたちの姿のビジョンが映った。それを見たユウトは、

 

 「あ…、あいつら……う…、ウワァー!!」

 

 ユウトは突然、丸で正気を失ったように混乱し、ジャミンガの群れに向かって、走っていった。

 

 「ウワァー!! 消えろ、消えろ! 消えろー!!」

 

 性格が豹変して狂気になったユウトはジャミンガを殴り、蹴り等の持ち前の格闘能力で一体一体確実に倒していった。

 

 「ウォー!!」

 

 それを見たレオはユウトの行動に驚きを隠せないでいたが、ライガーがレオに寄り添い、

 

 「あ、ああ! 今のうちに脱出しよう。」

 

 レオはライガーのコクピットに乗り込み、ライガーは倉庫から脱出した。

 

 

 

 

 

 

 メルビル少尉の乗る青いスナイプテラが基地の上空に飛び、メルビル少尉は基地の異常性に気付いた。

 

 「一体、何が起こっているの?」

  

 基地を見ると、各地にジャミンガの群れが進入し、帝国軍のゾイドがジャミンガ掃討のために出撃していた。

 更に倉庫を見ると、ユウトがゾイドに乗らず、生身でジャミンガの群れを撹乱しながら倒していっていた。

 

 「ユウト!」

 

 「ウォー!! 消えろ、消えろー!!」

 

 メルビル少尉は青いスナイプテラのガトリングでユウトを囲むジャミンガを砲撃し、次々と一瞬の内に倒れていった。

 しかし、メルビル少尉の青いスナイプテラの砲撃から逃れた3体のジャミンガが背後からユウトに襲いかかろうとした。メルビル少尉はすかさず、そのジャミンガにも砲撃しようとしたその時、 

 背後のジャミンガに気付いたユウトが咄嗟に左腕をかざすと、ジャミンガたちは突然目の輝きを失い、次々と倒れていった。同時にユウトも力を使い果たしたかのようにそのまま倒れた。

 メルビル少尉のスナイプテラはガトリングで残り全てのジャミンガを蹴散らした後、離陸し、コクピットから降りたメルビル少尉は直ぐにユウトの元に駆け寄った。

 

 「ユウト!」

 

 メルビル少尉がユウトを起こすと、ユウトは死んだような目をしていた。

 

 「ユウト! しっかりして!」

 

 「ハンナ……僕は何していたんだ? これ全部僕がやったのか?」

 

 「ユウト!」

 

 「ハンナ……僕は…一体……?」

 

 そう言うと、ユウトは再び気を失い、メルビル少尉はユウトを抱えた。

 

 「ユウト……どうしてこんなことを……?」

 

 メルビル少尉は切なそうな表情をしながら、ユウトをそっと優しく抱き締めた。

 

 

 

 

 

 

 基地から脱出したライガーは帝国軍の目の届かないところまで行き、そこで停止した。レオはライガーから降り、

 

 「ここまで来れば、安心だ。」

 

 その時、バズの車が現れ、

 

 「レオ~!」

 

 「サリー、バズ!」

 

 「レオ、良かった。レオ~!」

 

 車から降り、戻ったレオの姿に安堵したサリーは思わずレオに抱きつく。

 

 「あっ…ちょっとサリー……」

 

 サリーにいきなり抱きつかれて少し慌てるレオ、それを見たバズは、

 

 「お、ヒュ~、熱いね~。お二人さん!」

 

 バズの言葉にレオは思わず赤面し、

 

 「そ、そんなんじゃないよ! バズ!! あっ…痛た……」

 

 サリーが抱きついたことで全身を強く打ったレオは痛がる。

 

 それを聞いたサリーは手を離し、心配そうな表情でレオを気遣った。

 

 「あ、ご、ご免なさい。 大丈夫?」

 

 「だ、大丈夫だよ。」

 

 「私が手当てしてあげる。」

 

 「大丈夫だって! これくらい平気だよ。」

 

 「駄目よ! 血も出てるわ。」

 

 「え? あ、ホントだ。 うっ…」

 

 その時、突然レオに頭痛が襲い、再びユウトと取っ組み合いしていた時のビジョンが浮かび上がった。

 

 「レオ、大丈夫?」

 

 「だ、大丈夫。 (あれは一体何だったんだ? それにあいつは一体何者なんだ?)」

 

 レオはユウトとの取っ組み合いに見たビジョンが少し気掛かりだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 帝都ネオゼネバスシティのプライド摂政の別荘の地下の研究室で、プライド摂政は徐々に復元しつつあるジェノスピノを眺めていた。

 そこに1人の女性将校が立ち寄った。女性はユウトやメルビル少尉と同じくプライド摂政直属のリゼル・ラスト大佐だった。

 

 「ラストか……どうだ、ユウトの調子は?」

 

 「先程、基地にジャミンガが襲撃し、かなり撹乱していたようだけど、メルビルが来たおかげで、大人しくなったそうよ。」

 

 「そうか……」

 

 「いいのかしら? あの子をまだ覚醒させなくて…」

 

 「構わん。 今はユウトの力を覚醒させる時ではない。我々の計画の第一段階のためにまず、ジェノスピノを完成させることが先決だ。」

 

 「ということは、ジェノスピノに乗せるのはユウトじゃなくて、あの男になるのかしら?」

 

 「そうだ。ジェノスピノのライダーに相応しいのはあいつを置いて他にはない。あいつの力は使えるからな。」

 

 

 

 

 

 

 

 プライド摂政の別荘の接待室を後にし、廊下を歩いているギレル中尉は迷っていた。

 

 「あの男がジェノスピノと最も適合率が高い人間だと!? あんな奴がジェノスピノのライダーになってしまったら、共和国どころか帝国すらも壊滅させかねない。

 閣下は本気であの男をライダーに指名しようと考えておられるのか!?」

 

 ギレル中尉は完成が近くなっているジェノスピノのことを心配しながら現場に向かった。

 

 To be continued




 次回予告

 相棒のフォックスと共に自由の身になるも帝国の脱走犯となってしまったバーンは各地を転々とするが、そんな時、謎のゲートのようなものを見つけ、帝国軍に売りに出そうとするバズの知り合いの運び屋に出会う。
 だが、その時セードと手を組んだノックス大尉率いる帝国軍が襲いかかってきた。

 次回「時空ノ扉」

 走り抜け、ライガー!!
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