ゾイドワイルドクロス アナザーZERO 作:オーガスト・アベラス
ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたゼロメタル帝国の神官プライドが遂にゼロメタル帝国の絶対神にして皇帝であるデスザウラーの分身、ディアベル・ギャラガーと古の皇帝龍ゼログライジスを復活させてしまい、更に帝国のマクラマカン大佐のクーデターによって新たなる帝国、神聖ゼネバス帝国をも誕生させてしまった。
更なる絶望を迎えたレオはゼロメタル帝国にどう立ち向かうのか!?
旧帝国首都ネオゼネバスシティ、マクラマカン大佐のクーデターによって神聖ゼネバス帝国領となり、この都市の近くにある山で全てのリジェネレーションキューブを取り込み、ゼログライジスを包み込んだ巨大な金属の繭が鎮座していて、その繭から巨大な心臓音がネオゼネバス中に響いていた。
オメガレックスガントレス率いる神聖ゼネバス帝国軍がネオヘリックに向かい、プライドやドクターマイルス、マクラマカン大佐が司令室でその指揮を取っている間に神聖ゼネバスの科学班が送られ、繭に異常がないか、その調査をし、周辺にはダークゼネバスアーマーと呼ばれるドクターマイルスの開発した神聖ゼネバス帝国の一般兵士が護衛に当たっていて、そこに1人の女性が状況を見ていた。
「どうだ? 様子は…」
「問題ありません。」
現場の指揮を取っていたのはラストだった。神聖ゼネバス帝国の建国後、彼女は大将に昇格し、神聖ゼネバス帝国軍の総司令の座に付いていた。
「この繭から流れる陛下の心臓音が都市どころか、あたしの胸にも響いているわね。」
「ラスト大将!」
「何だ?」
「ネオヘリックを襲撃したオメガレックスガントレスが突然、制御不能に陥り、撤退したとの報告がありました。」
「ふん、だから、あんなガキに乗せず、あたしに乗せれば良かったのよ。」
「それとプライド閣下から、新型ゾイドの御披露目に来てくださいとの伝言も受けました。」
「新型ゾイド? へぇ~、面白いわね。いいわ、見せてあげようじゃない。」
神聖ゼネバス帝国のスナイプテラによる核攻撃によって一瞬で壊滅した共和国の全ての軍事基地を映像で見ていたクレストウッド大統領とギャレット大将、ハント大佐は悪夢でも見たかのような表情をしていた。
「そんな…我が軍の基地が…」
「ギャレット大将! ネオゼネバスから通信が入っています。」
「何!?」
「通信入ります。」
通信を開くと、映像に現れたのはマクラマカン大佐だった。
「どうですかな? 我が神聖ゼネバスが送ったプレゼントは? 気に入ってくれましたか?」
「マクラマカン…貴様!」
「これで、わかったでしょう。我が神聖ゼネバスと貴国には覆すことの出来ない圧倒的な戦力差があるということを。
このまま、戦闘を続ければ、貴国に甚大な被害が出ることは必須…そろそろいい加減、無条件降伏を受け入れたら、どうですか?」
「例え、どんなことが起ころうと、我々は降伏するつもりはない!」
「まさか、我々の核があれだけと思っているのですか?」
「何!?」
「我々の持つ核は先程、撃ったもの数倍はあります。当然、貴国の首都であるネオヘリックやニューホープに撃ち込むことも造作もありません。 こちらがスイッチを押せば、貴国はたちまち…」
「ま、待て! 首都にまで撃ち込むのは…!」
「でしたら、無条件降伏を受け入れてくれるのですか?」
「うっ…」
「まあ、いいでしょう。考える猶予は与えます。それまでごゆっくり…」
通信を切ったマクラマカン大佐の元にドクターマイルスが立ち寄り、
「何故、奴等に猶予を与える。我が神聖ゼネバスに抗えば、どうなるということを、もう少し味わわせておく必要がある。そうでなきゃ、面白くないからな。」
共和国軍の各軍事基地がマクラマカン大佐によって核攻撃を受けたことを知らないレオとライガーはセードのジェノスピノⅢAと引き続き交戦していた。
ライガーはジェノスピノⅢAの攻撃に注意しながら、イグニッションブースターを応用した機動力でジェノスピノⅢAを翻弄させるが、ジェノスピノⅢAに決定的なダメージを与えることが出来ず、徐々にライガーが押されていった。
「ぐっ! 何てパワーだ。」
ジェノスピノⅢAのコクピットには操縦桿が存在せず、代わりに血圧機のような装置にセードの右腕が内蔵され、コードと接続されていた。
「当然だ、このジェノスピノⅢAは対ゼログライジスを想定して強化されたもの、加えて、俺の右腕がジェノスピノⅢAのゾイドコアと直結していて、ジェノスピノⅢAの闘争本能を高め、実質俺と完全な一心同体だ。
貴様のような半端なものでは、俺とジェノスピノⅢAに勝つことは出来ない! 兵器 解放! マシンブラストー!!」
マシンブラストを発動したジェノスピノⅢAはジェノサイドクラッシャーをライガーに一刀両断しようとした。
「これで、貴様との因縁に決着を付ける。ぐっ!」
その時、突然、セードが苦しみだし、同時にジェノスピノⅢAも苦しみ出した。
「うっ…うっ…グアァ~!!」
「一体、何が起こったの?」
突然のことに戸惑うレオ、同時にジェノスピノⅢAの異常に気づいたコバは、
「やはり、流石にいきなり実戦投入は早かったか。ウルサス、オルド、ドッジ! 撤退するぞ。」
コバたちバーニングライガーはレオとライガー、メタルレイザーとの戦闘を放棄し、ジェノスピノⅢAを運んでそのままその場を去っていき、ラスもレオとライガーに止めを刺そうと考えたが、敢えてやらず、そのまま撤退していった。
「助かった…の?」
その時、コクピットからゼオルの通信が届いた。
「ゼオルさん!」
「レオ、そっちはどうなっている?」
「ジェノスピノⅢAとメタルレイザーが突然撤退して、何とか難を逃れました。」
「そうか…なら、至急ニューホープに戻ってくれないか? こちらも色々と厄介な問題があってな。」
「何があったんです?」
「説明は後だ。とにかく一旦こちらに戻れ。」
「わかりました。」
ネオゼネバスの宮殿の工場に、デスレックスフレイムの開発が行われ、デスレックスフレイムにビッグウィングのような巨大なスナイプテラの両翼が取り付けられ、その横にはオメガレックスガントレスの再調整が行われていた。
「オメガレックスガントレスに搭載されているAIは完璧なのだが、意識を取り戻したユウトの精神がオメガレックスガントレスのAIに何かしらの干渉を与え、制御不能に陥るとは…やはり、原因はあの小娘か。 くそっ、奴の記憶は完全に消去したというのに…」
「だから、早く始末すればよかったのよ。でもまあ、あの小娘にはまだ利用価値はあるかもね。 ドクターマイルス、あのオメガレックスガントレスとやら、あたしに譲ってくれないかしら?」
「お前なら、あれをより完璧なものに出来るというのか?」
「当然よ! あのガキの調教はあたしの得意分野だからね。」
「わかった、だが、余り乱暴に扱うなよ。」
「あんたに言われなくともわかっているわよ。」
「ところで、デスレックスフレイムの開発はどうだ?」
「オメガレックスガントレスの完成も相まって順調です。このままいけば、完成は予定より早く済むでしょう。それに、デスレックスフレイムと繭から出る陛下のゼログライジスの眷族に相応しい新型ゾイドも完成していますし。」
「新型ゾイドだと? 何だ?」
「この後、お披露目する模擬戦で披露されますので、是非、御覧に入れましょう。」
アドリア王国の辺境の地にあるアンチ帝国の本拠地、そこで、気を失ったセードが休息を取り、再び、自身とジェノスピノがデスザウラーになる悪夢にうなされ、目が覚めた。
ニューホープに戻ったレオは、ゼオルからオメガレックスガントレスの存在と神聖ゼネバス帝国による核攻撃、そしてマクラマカン大佐による警告があったことを伝えた。
「そうですか…ユウトが…」
「ああ、しかも、マクラマカン大佐の奴は無条件降伏を受け入れなければ、ネオヘリックとニューホープに核攻撃を行うと宣言しやがった。」
「それにしても、いくら地球の産物が根強く残っているとはいえ、今の帝国でも核を再現するなんて不可能では…」
「確かに、惑星Ziでは核の開発は行われなかった。しかし、あくまで環境が違うだけで、惑星Ziの技術なら、核の開発はそれほど難しくはない。
それに、以前、ジェノスピノ復元前にもマクラマカン大佐は核の使用を言及していた。地球では荷電粒子砲の開発が不可能なため、その代替として帝国の兵器に使用するべきだと…
最も議会の反対によって、核の使用は行われなく、シーガル元准将やランドはその技術に気付かなかったこともあって、真帝国でも使用されることはなかったが。」
「それが、プライドらによって秘密裏に開発が行われ、神聖ゼネバス帝国の兵器になったということか。」
「ところで、サリーとメルビルさんは?」
「ユウトがあのような状態になったことに相当ショックを受けているらしく、サリーとフィオナ前皇帝が彼女を宥めているそうだ。
そして、俺はメルビルのためにユウトを救って欲しいとフィオナ前皇帝から頼まれ、オメガレックスガントレスのデータをボーマン博士に渡して、早速あれから切り離すことを模索しているのだが…」
「う~ん、駄目だ。コクピットの状況から見ると、ユウトの身体の大半が機械化され、オメガレックスのゾイドコアと直結しており、脳には制御チップが埋め込まれ、心臓もオメガレックスのゾイドコアで生きているもので、もはや、オメガレックスそのものが彼の肉体となっている。もし、切り離せば…」
「完全な死ということか。厄介なことになったな。」
共和国に無条件降伏に応じなければ、2つの首都に核攻撃を行うという宣言をした後、神聖ゼネバス帝国は旧帝国首都のネオゼネバスシティを神聖ゼネバス帝国の第二の帝都ダイダロスと改名、旧帝国の都市中に神聖ゼネバス帝国の旗が掲げられ、旧帝国の面影は完全に失っていた。
そして、新たに改装されたネオゼネバスの宮殿では、マクラマカン大佐とドクターマイルスはプライドやラスト大将、その他神聖ゼネバス帝国の上層部を新型ゾイドの性能を披露するために招き、デスレックスフレイムやオメガレックスガントレスに続いて旧帝国、真帝国どちらでもない神聖ゼネバスオリジナル仕様キルサイスことキルデスサイスによる模擬戦が披露されていた。
キルデスサイスと呼ばれる神聖ゼネバス仕様キルサイスは旧帝国や真帝国のキルサイスと違い、黒と紫によるカラーリングとなり、8000に及ぶ量産機が数百体の旧帝国、真帝国仕様のキャノンブル、バズートル、スティレイザーの前に鎮座し、その量産機の背後にはコードで接続している隊長機と思われる個体もいた。
「これにより、我が神聖ゼネバス帝国の最高傑作にして、最強を誇る誇り高き兵士のお姿を御見せしましょう。
模擬戦開始! 隊長機に敵ゾイドの指定を…」
「はっ!」
兵士がキャノンブル、バズートル、スティレイザーのデータを隊長機に入力した時、全ての量産機の目が赤く輝き、一斉に働きアリが天敵に攻撃するように向かっていった。
攻撃プログラムが搭載された無人の旧帝国、真帝国仕様キャノンブル、バズートル、スティレイザーは向かってきたキルデスサイスに砲撃を開始したが、キャノンブル、バズートル、スティレイザーの砲撃によって次々とキルデスサイスが倒れていき、一見、旧帝国、真帝国仕様ゾイドが押しているようだったが、一体を倒してもまた一体が現れ、もう一体を倒しても更に一体が現れるといったいくら倒してもきりがないような無限ループが続き、旧帝国、真帝国仕様キャノンブル、バズートル、スティレイザーの弾が尽くのは時間の問題だった。
やがて、キャノンブル、バズートル、スティレイザーの弾が全て尽きた後、キルデスサイスはスズメバチに群がるミツバチのようにキャノンブル、バズートル、スティレイザーに一斉に纏わりつき、キャノンブル、バズートル、スティレイザーは武装以外の武器で抗い、群がったキルデスサイスを振り払うように必死の抵抗を続けたが、もはや、それも無意味となり、キャノンブル、バズートル、スティレイザーはキルデスサイスの鎌によって無惨にアーマーとボーンを破壊され、肉塊だけが残り、剥き出しになったゾイドコアすらも、それを逃すまいというように無慈悲に破壊されてしまった。
「これが、我が神聖ゼネバス仕様キルサイス、キルデスサイスか。」
「上層部の方々、軍隊アリというものをご存知ですか?」
「軍隊アリ?」
「数の暴力、物量においては、その右に出るものはいないという地球最強の生物です。
強靭な顎と毒を持ち、目につくもの全てのものに纏わりつき、一瞬で殲滅させる程の力を持ち、その力の前には小型生物はおろか、人間や肉食獣すら無力という…」
「隊長機の命令によって、目標を破壊、更に遠隔操作にも対応が可能という性能を最大限に活かすために、その軍隊アリの特性を活かした改造を施しており、隊長機以外は全てAI搭載型の無人機となっていて、隊長機の指定した目標を完全に破壊するようにプログラムされ、隊長機がプログラムを書き換えない限り、攻撃の手を緩めない、まさに完全な殺戮マシーンなのです。
今回は模擬戦のため、外部入力のみとなっていますが、本格的な戦闘になれば、旧帝国や共和国軍のゾイドなど、一瞬で殲滅させることはもちろん、要塞すらも沈められるでしょう。
しかも、AIで動かす無人機のため、兵員不足関係なくいくらでもも無数に量産可能となっております。」
「だが、敵に奪われる可能性もあるのではないか?」
「ご心配なく、その場合を想定して、無人機には全てコクピットを破棄しており、隊長機には指定したライダーの生体データを入力しなければ、搭乗は不可能という仕様にしているため、例え、ハッキングを受けても、奪われることはないでしょう。」
「その隊長機には、誰が乗るのだ?」
「それは、このキルデスサイスを考案した、この私、カーチス・マクラマカンです。我々はいずれ、閣下のようなヒューマンオーガノイドやゼロメタルリーパーのような進化した人類となるべき存在となるもの、そうなれば、もうわざわざゾイドに乗る必要はありません。
今はまだ、開発段階ではありますが、いずれ、我が神聖ゼネバスの全てのゾイドはキルデスサイスのようにAI搭乗型の無人機となり、この地に新たな秩序をもたらす最強の兵士となるでしょう。」
「素晴らしい、まさにキルデスサイスは神聖ゼネバス帝国の主戦力に相応しいゾイドだな。」
「しかし、これだけの性能を持つゾイドが我が神聖ゼネバスにいながら、何故、わざわざ核を持つ必要あるのですか?」
中将の階級を持つある1人の上層部の軍人がマクラマカン大佐に質問を下し、
「所詮、カビの生えた惑星Ziの国家を再現したような国家ごときに、我が神聖ゼネバス帝国が誇る兵士を使う等、宝の持ち腐れだ。
共和国など、首都を核攻撃すれば、直ぐに終わる、それだけ、脆い国家にしか過ぎん。」
「では、このキルデスサイスは一体、どの勢力と戦うために?」
ビー、ビー、ビー!
「どうした?」
「マクラマカン大佐、ジェノスピノとバーニングライガーと思われるゾイドがダイダロスに向かって侵攻してきました!」
「戦力はジェノスピノと4体のバーニングライガーのみか?」
「いえ、突然、奴等の周りから正体不明のワームホールが現れ、そこから所属不明のキルサイスが現れ、その数、およそ五万になります。」
「ほぅ、どういう仕掛けを使ったか知らんが、よくそんな短期間で、それだけの戦力を用意出来たものだ。」
「ちょうどいい、キルデスサイスの性能テストにいい機会です。」
「いや、四天王とゼロファントスダークス隊を出せ。キルデスサイスは待機だ。」
「しかし、キルデスサイスは既に実戦投入できる状態ではあるが…」
「キルデスサイスにはまた、搭載されているAIの最終調整が必要だ。それに奴等がキルデスサイスの相手になるのかどうか見極める必要がある。
四天王とゼロファントスダークスで小手調べをした方がいいだろう。指示を出せ!」
「はっ。」
マクラマカン大佐とドクターマイルスの命令を受け、四天王のラス、エンヴィー、グラトニー、スロウスはそれぞれのキメラゾイドに乗り込み、ゼロファントスダークス隊を率いて出撃した。
「また、出撃かよ! ここんとこ、ずっと出撃ばっかじゃねぇかよ。しかも俺たち親衛隊なのに、親衛隊らしい仕事も与えられてねぇし。」
「いい加減、さっさと、終わらせてくんないかな。あ~あ、面倒くせぇ。」
「たく、プライドもだが、本当にいいように使ってくれるぜ!」
「無駄口を叩くな。我々は皇帝陛下のために尽くすのみだ。そして、あのジェノスピノ、引導を渡してやる。」
セードのジェノスピノⅢAとコバたちバーニングライガーが疑似アナザーゲートから呼び出したキルサイスを率いて神聖ゼネバス帝国の軍事基地を破壊していく様子を映像で見ていたゼオルやレオたちは、
「司令、どういたしましょうか?」
「どうあれ、この機会を逃す手はない。直ちにダイダロスに侵入し、あの繭を破壊する。」
「しかし、危険が大きすぎるのでは?」
「だが、グズグズしていたら、奴等の思う壺だ。それにこれ以上、ゼログライジスをあのままにしておくわけにはいかない。デスレックスやオメガレックスガントレスとやらも厄介だが、今の俺たちにとって厄介なのはゼログライジスだからな。」
「俺も賛成です! メルビルさんのユウトを助けたい気持ちはわかりますが、今はゼログライジスのパワーアップを阻止することが先決です。」
「よく言った! レオ、では、直ちに我々はネオゼネバスに向かい、繭の破壊工作を行う。出撃だ!」
「はいっ!」
ダイダロスから数キロ離れた先に破壊されたインペリアルナックルコングのコクピットから脱出したシーガル中佐は周囲を見渡した。
「生き残っているのは、私だけか…くそっ、ハワード閣下のナックルコングを使っていながら、こんな無様な敗北をし、オマケに私だけが生き残ってしまうとは… それにしても、何故、私だけが…」
インペリアルナックルコングの辺りを見ると、頭部の下にキャノンブルが倒れ、このキャノンブルがクッションになったことで、シーガル中佐は助かっていた。
「このキャノンブルが私の命を…だが、ライダーは…」
その時、キャノンブルのコクピットから生存者が現れた。その生存者はアルドリッジだった。
「貴様はアルドリッジ! 何故、ここに!?」
「げっ、あなたはシーガル中佐! いえ、これは帝国に対する反乱の贖罪のためにやったことなのです。決して真帝国の再建を狙ったわけではありません。こう見えても、帝国に対する忠誠心は…」
その時、シーガル中佐は突然、アルドリッジの胸倉を掴み、憤怒剥き出しになった表情で睨み付けた。
「何故、貴様がノコノコと、こんなところに! しかも、我が帝国軍に!」
「反省しているのです。プライド罠にかかって、反乱の起こしてしまった私とシーガル閣下の行いを、だから、私は帝国軍に再び入ってもう一度帝国軍の栄光を取り戻そうとしたんです。だから、私は…」
「そんな…そんな考えで、貴様は今まで帝国軍にいたのか!」
「元はと言えば、帝国を単なる軍事組織としか見ない貴様と兄の下らぬ理想のおかげで、こんなことになったのだぞ!
ただ、自分の欲望と理想のためだけに動き、他がどうなろうと全く省みず、自分の理想を押し付けるその余りに愚かな行為、その行為が我が祖国を滅ぼしたのだ!」
怒りを露にしたシーガル中佐はおもいっきりアルドリッジを叩き潰し、アルドリッジは怯えていた。
「私は、そんな輩を軍人として、帝国国民として認めない。もし、本当に国を思う心があるのなら、せめて、自分の命を投げ出してでも、戦う意志だけでも持て! 軍人としてな!」
シーガル元准将と余りに違う意志と威圧感に圧倒されたアルドリッジは何も言い返せず、ただ、怯え、そのまま一目散に逃げていった。
「ハァッ、ハァッ。生き延びてしまったのなら、仕方ない。こうなったら、私1人だけでも必ず帝国の再建は果たしてみせる。この命に変えても。」
進撃を開始したセードのジェノスピノⅢA率いるアンチ帝国軍は神聖ゼネバス帝国の基地を次々と破壊しながら、ダイダロスに向かっていた。
神聖ゼネバス帝国の軍事基地は旧帝国、真帝国と違い、通常のゼロファントスが護衛に当たり、旧帝国より強固になっていたが、疑似アナザーゲートから呼び寄せたキルサイスはキルデスサイス同様、ジェノスピノⅢAとバーニングライガーの指示に従って数に物を言わせ、バイオアシッドの毒の影響も受けず、ゼロファントスを次々と撃破していった。
アンチ帝国のキルサイスは無人機のキルデスサイス同様、コクピットは存在しないが、ただ、指定した目標を破壊するよう、プログラムされているようなものではなく、ゾイド自身の意志と個々の考えを持っているように戦っていた。
「これで、破壊した基地は4つか。後は…ん?」
その時、セードたちの目の前にゼロメタル四天王率いるゼロファントスダークスが現れた。
「現れたな、四天王。見せてもらうぞ! 貴様らの力を。」
ギュオォ~!!
To be continued
次回予告
神聖ゼネバス帝国とアンチ帝国が交戦状態に入っている隙を狙ってレオやゼオルたちデュークナイツは神聖ゼネバス帝国の第二の首都ダイダロスへの潜入とゼログライジスの繭の破壊を再び試みる。だが、ダイダロスは旧ネオゼネバスよりも、更に強固になっていて、行く先々に現れるキルデスサイスに苦戦するが、そこでレオたちは恐るべきものを見つけることになる。
次回「リジェネレーションキューブの謎」走り抜け、ライガー!!