ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・アベラス

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
 しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたゼロメタル帝国の神官プライドが遂にゼロメタル帝国の絶対神にして皇帝であるデスザウラーの分身、ディアベル・ギャラガーと古の皇帝龍ゼログライジスを復活させてしまい、更に帝国のマクラマカン大佐のクーデターによって新たなる帝国、神聖ゼネバス帝国をも誕生させてしまった。
 更なる絶望を迎えたレオはゼロメタル帝国にどう立ち向かうのか!?


第71話「リジェネレーションキューブの謎」

 セード率いるアンチ帝国が神聖ゼネバス帝国軍と交戦している隙を狙ってレオやゼオルたちデュークナイツは神聖ゼネバス帝国の第二の帝都ダイダロスに侵入し、ゼログライジスの繭破壊工作を仕掛ける作戦を考案した

 

 「今、アンチ帝国はゼロメタル四天王率いる神聖ゼネバスの大隊と交戦している。神聖ゼネバスが更に戦力を投入した隙に、俺たちは裏ルートを通ってダイダロスに侵入する。」

 

 「スピーゲル中佐、ダイダロスへの案内、頼むぞ。」

 

 「敵がどこまでネオゼネバスを変えているか不明だが、出来るだけのことはしよう。」

 

 「残りのデュークナイツ隊には共和国軍と共にロングレンジバスターキャノンとグラビティキャノンを預かり、こちらの合図があるまで待機だ。」

 

 「ですが、司令。あの繭から端末を取り出すのはどうするのですか?」

 

 「その前に…ボーマン博士。」

 

 「何だ?」

 

 「あのリジェネレーションキューブとかいう装置とペンダントはどうやって開発した?」

 

 「何故…今、それを?」 

 

 「あんたが優秀な科学者なのは十分承知しているが、でも、星1つの環境を丸ごと再生させるなんて芸当が出来る装置の開発なんて、いくら惑星Ziの技術でもそんなこと容易ではない。第一、それだけのゾイド因子を一体どこから供給した? そろそろ、答えてもらおうか。あれの開発を…」

 

 「いずれ、話すつもりではあるが、そもそも、あれの開発はわしがゾイドイヴの研究を始めた時からだった。」

 

 「ゾイドイヴ…まさか、あの伝説の世界最初のゾイドにして、全てのゾイドの創造主たる、あれか!」

 

 

 「そうだ、その力と同等のゾイド因子を手に入れることが出来れば、汚染した地球の環境を再生出来るのではないかと考えた。

 だが、それはかつてデスザウラーを敗った大戦時に古代ゾイド文明と共に埋もれ、更にそれに関するデータと資料が無くてかなり難航だった。

 けど、その時、ゾイドイヴのことに詳しい科学者に出会い、彼の知り合いと共にゾイドイヴに関する資料を提供してくれて、ゾイドイヴの発掘に成功し、科学船の時にリジェネレーションキューブの開発に成功することが出来た。」

 

 「で、そのゾイドイヴに関する情報提供した科学者ってのは…」

 

 「ドクターマイルスとプライドだ。」

 

 「また、ゼロメタルの奴等か。となると、端末の詳しい情報を奴等から聞き出すしかなさそうだな。」

 

 

 

 「といっても、ステルス機能を持っているのはフォックスとドライパンサーのみだ。2体だけで、アーサーたちを隠すことは出来ない。

 かといって、下手に動いても、いずれバレるだけだし…」

 

 「自然な感じに、潜入出来る方法がないとな…」

 

 バーンの何気ない言葉に、ゼオルが何かに気付き、

 

 「自然な感じに潜入…それだ!」

 

 「どういうことですか?」

 

 「無理に裏ルートで通らず、何かに変装して堂々と入るんだ。その方が怪しまれにくい。」

 

 「なるほど!」

 

 「けど、一体何に変装すればいいんだ? 神聖ゼネバスは帝国よりずっと厳しい状態になっている。生半可な変装じゃあ…」

 

 「そりゃ、適任は1人しかいないだろう…いや、むしろ、こういう時にこそ、役に立ってくれるだろう。」

 

 ゼオルは何か策があるようにバズの方を向いて不敵な笑みを浮かべた。

  

 「お…俺…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 セードのジェノスピノⅢA率いるアンチ帝国とゼロメタル四天王率いる神聖ゼネバス帝国軍が激しい攻防戦を繰り広げている中、神聖ゼネバス帝国の第二の帝都ダイダロスの入口に赤いペイントが施されたキャタルガが巨大な荷物を運搬して入城しようとしていた。

 警護に当たっていた1人の将校がそのキャタルガを一時停止させた。

 

 「止まれ! 名は何だ?」

 

 「俺は、バ…いや、ウッディ・スミス。運び屋です。」

 

 「付き添いのエリザベスとエリーとミリーでぇす!」

 

 キャタルガに乗っていたのは、変装していたバズで、助手席には女装していたミラー、アイパー、ポーチが乗っていた。女装してノリノリのミラーたちの姿を見て、将校は一度引いたが、気を取り直して、バズに質問をした。

 

 「帝国に何のようだ?」

 

 「旧帝国が滅んで新しい帝国の誕生祝いとして、神聖ゼネバス帝国軍に武器の提供を行いに来たんです。」

 

 「武器の提供だと? そんな話は聞いていないが…」

 

 「依頼者から、くれぐれも内密にするよう、言われましたので…」

 

 「入国許可証はあるのか?」

 

 「はい、こちらに。」

 

 バズが出した入国許可証を受け取った将校は念入りにチェックし、

 

 「偽造ではないようだな。」

 

 「当然ですよ!」

 

 「(偽の許可証は効果抜群ね。)」

 

 「念のため、この運搬物も調べさせてもらう。調べろ!」

 

 将校の命を受けた兵士は運搬物を赤外線センサーで調査した。その運搬物の中には、レオとライガー、ゼオルとアーサー、バルディーとワイルドライガーガンナーが乗っていた。

 

 

 ゼオルが立てたダイダロスの潜入作戦、それは別々のチームに分けて潜入するというものだった。

 

 「俺が運び屋としてレオやライガーたちをダイダロスの中にまで送るのか?」

 

 ゼオルが説明した一連の流れを聞いたバズは驚いた。

 

 「実質、お前がいつもやっている仕事であることに変わりはないから、それぐらいお手のものだろ?」

 

 「いや、だからといって流石に潜入は…」

 

 「まさか、貴様、断るつもりか…? この状況でまだ、自分の利益のみを優先するのか?」

 

 睨み付けるゼオルに圧倒されたバズは何も言い返せなくなり、渋々従った。

  

 「けど、バズの顔やデータは当然、神聖ゼネバスの奴等だって持っている。そのままじゃ、バレるだろ?」

 

 「なら、変装と偽造写真を使えばいい。それなら、幾つか誤魔化せるし、ミラー共にもやらせる。

 そして、バズのキャタルガが運搬するキャリアには俺のアーサー、レオのライガー、バルディーとガンナーを乗せる。」

 

 「え? 俺とガンナーも乗るのか?」

 

 「当初はゼノレックスも入れようか考えたが、ゼノレックスだと目立ちすぎるし、機動力と潜入するにはやはり、ライガーしかいないと思ってな。」

 

 「マリはどうすんだ?」

 

 「彼女には、ロングレンジバスターキャノンとグラビティキャノンを預けたデュークナイツ隊と共和国軍の合同軍に同行させることにした。

 何でも、グラビティキャノンとロングレンジバスターキャノンをハント大佐に預けることが上層部で決定し、彼女とロックバーグ中尉がその護衛に当たり、指揮下に入ることになったそうだ。

 そして、バーンとスピーゲル中佐は俺とレオ、バルディーとは別の裏ルートから侵入して敵の動向を探り、そして、俺たちが端末の情報を得、合図があった後、合同軍が一斉にあの繭を破壊する。これが今回の作戦だ。」

 

 「あのゼオルさん…」

 

 「何だ? レオ。」

 

 「サリーとメルビルさんは連れていかないのですか?」

 

 「そんなに連れていきたいのか?」

 

 「いや、そうじゃなく…」

 

 「彼女のことを大事に思っているなら、もう少し考えろ。いくら、ハンターウルフを相棒にしたからといって、サリーはゾイド乗りとしての経験が殆ど無い上に、軍人でもない。行かせたら、余計危険に合わせるだけだ。

 メルビルは元軍人だが、マリやロックバーグ中尉と違い、軍人としての精神がなく、戦士としては甘過ぎる!

 相棒と呼べるゾイドを手にしても、その精神と力が無ければ、ゾイドの力を発揮できない。」

 

 「わかりました。」

 

 

 

 

 

 ダイダロスの入口を護衛する将校は兵士にバズのキャタルガのキャリアの中身を調べるよう、命じ、赤外線センサーで取り調べを行った。

 

 「ホントに大丈夫なんですかね?」

 

 「あのガキの言うことを信じるのは癪だけど、何でもアドリア王国の技術で隠しているから、信用出来るんじゃない?」

 

 兵士の取り調べでは、ゾイド反応はなく、特にこれといった異常も感知されなかった。

 

 「特に異常はありません。」

 

 「そうか…よし、入れ。」

 

 「ありがとさん。」

 

 

 レオのライガーとゼオルのアーサー、バルディーとマリのワイルドライガーガンナーを乗せたバズのキャタルガのキャリアがダイダロスの入口の巨大な門を潜り抜け、入城した時、入口の門に搭載されていた赤外線センサーがキャリアに反応し、それがダイダロスの司令室に届き、それを見た兵士がドクターマイルスとマクラマカン大佐に報告した。

 

 「ドクターマイルス、マクラマカン大佐。先程、ダイダロスに入った運び屋と名乗る者が運搬しているキャタルガのキャリアからゾイド反応がキャッチされました。」

 

 「ほぅ、」

 

 「映像入ります。」

 

 映像が流れると、そこにレオのライガーとアーサー、ワイルドライガーガンナーが赤外線画像で映し出されていた。

 

 「なるほど、こちらがセードとやりあっている間に帝都に潜入する算段か。如何にもアーサーの息子らしい姑息な手段だが、ま、妥当な作戦だな。」

 

 「直ちに取り押さえますか?」

 

 「いや、そのまま泳がせておけ。取り押さえるなら、それ相応の場所が必要だ。それにどうせ奴等の目的はわかっているようなものだからな。」

 

 「ということは、キルデスサイスを…」

 

 「流石、マクラマカン大佐。読みが早いな。」

 

 「戦闘ではなく、こんなところでキルデスサイスを初出撃させるのですか?」

 

 「中型ゾイドの割には大型で、基地の護衛に向かないゼロファントスと比べ、小型かつ機動力が高く、小回りも効くキルデスサイスの方が適任だろう。それに巣を護衛するのも働きアリの役目だからな。」

 

 「しかし、こんなところではターゲットへの攻撃指示が不安定になりませんか?」

 

 「この私が造ったキルデスサイスは、そんな融通の効かん安っぽいものではない。3体のライガーをターゲットにして指示を出せ。」

 

 「はっ!」

 

 

 

 

 

 ダイダロスに入城し、街中を進んでいくキャタルガ、キャタルガがダイダロスに入城したに気付いたゼオルとレオ、バルディーはキャリアの扉を少し開け、ダイダロスの様子を見た。

 レオたちが見たダイダロスの景色はネオゼネバスとは丸っきり異なり、より機械的な雰囲気になり、街のあちこちにダークゼネバスアーマーを装着した神聖ゼネバス帝国の兵士が徘徊していたが、市民はそれに気にせず、旧帝国の時より平和に暮らしていた。

 

 「見たところ、圧政に苦しめられているといったところはない…洗脳教育を受けられたか、または圧政の実情を隠すような工作をかけている可能性もあるが、やはり、真帝国の反乱が原因か。」

 

 「どういうことですか?」

 

 「シーガル元准将という無能な将校が建国した真帝国の反乱を許して、旧帝国が如何に脆弱で、脆い国家だということを知らしめられ、嫌気が差した国民が神聖ゼネバス帝国を指示するようになって、反対者が殆どいなくなったんだろう。」

 

 「そんな…それでも、ここの人たちは帝国に暮らしていた人たちなんですよ!」

 

 「そうはいかないのが、人間って奴だよ。そもそも、この帝国領であるフランスという国家は、過去に政治を省みない国王の無能さを知らしめた国民が王国を見限って、自分たちが指示した人物を皇帝にして帝国を誕生させた歴史がある。今、まさに神聖ゼネバス帝国がそれだ。」

 

 「それはいいんだけどさ…まさか、このまま宮殿に入るのか?」

 

 「当たり前だ。ドクターマイルスは神聖ゼネバス帝国の上層部だ。いるとするなら、間違いなくあの宮殿にいる。」

 

 「おいおい、こりゃとんでもない仕事を押し付けられたもんだぜ。」

 

 

 

 宮殿の入口でもダイダロスの入口同様の取り調べを受け、問題なく入れたキャタルガは宮殿の中に入り、進んでいくと、多数のキャリアを乗せたキャタルガが鎮座した倉庫にたどり着き、レオたちはキャタルガから降りた。

 

 「どうやら、ここは神聖ゼネバス帝国の武器が入れられている倉庫のようだな。」

  

 「これだけあれば、俺のガンナーも強化出来そうだな。」

 

 「出来れば、このままかっさらいたいところだが、今はそんな時間はない。ここからは俺とレオ、バルディーだけで行く。」

 

 ゼオルはキャリアから幾つもの銃を取り出し、それらをレオやバルディーに渡した。

 

 「ところで、レオ、銃の扱いは?」

 

 「そこそこだけど…」

 

 「なら、問題ないな。行くぞ。」

 

 「ちょっと待ちなさい! あたしたちはどうするのよ?」

 

 「お前たちはこちらの指示があるまで待機しろ。それまでは下手に動くんじゃないぞ。」

 

 「もう、何なのよ! あいつ。 相変わらず人使いが荒いんだから。」

 

 レオとゼオル、バルディーは兵士の見張りをすり抜けて先を進んでいく中、レオは何かを感じ取り、突然止まった。

 

 「どうした? レオ。立ち止まっている暇はないぞ。」

 

 「感じます、この部屋から何かかが…」

 

 「何!?」

 

 レオの言葉を信じて、ゼオルとバルディーは部屋に突入すると、そこは研究室のようだった。部屋の中を家宅捜査する中、レオは1冊の古い本を見付けた。

 その本の中身を見ると、それはゾイドイヴに関することが書かれており、文字は全て古代ゾイド文字になっていた。

 

 「まさか、これは、古代ゾイド人が残した文献だというのか!」

 

 「なあ、ゼオル、お前、確か、古代ゾイド人の末裔だよな? この文字は読めるんじゃないのか。」

 

 「無理だ。そもそも、親父から古代ゾイド文字を学んだことがない。読めるわけがない。」

 

 レオが本の最初のページの1文字に触れたその時、科学船が惑星Ziらしき星に到着するビジョンが脳裏に映った。

 

 「これは…」

 

 「じゃあ、アーサーに頼めば、解読出来るんじゃないのか?」

 

 「アーサーは、お前のガンナーと一緒に待機している。それにこの部屋にはもう少し調べておく必要がある。今、ここから離れるわけにはいかない。」

 

 「見えます。」

 

 「!??」

 

 「見えるって何が…?」

 

 「この本を書いた人の記憶が見えます。」

 

 「どういうことだ?」

 

 「まさか、レオはゾイド因子を通じて古代ゾイド人が記した文献から、古代ゾイド人の記憶を読み取ることが出来るのか?」

 

 「それで、何が見える?」

 

 

 

 

 

 レオが脳裏に映ったビジョンを説明すると、ボーマン博士とサリーたちを乗せた科学船のと同型の船が端末と地球人類を乗せて、宇宙を航行し、彷徨っていた。

 その時、船が積んでいた端末が異常な動作を起こし、かつてボーマン博士の科学船が地球に不時着したようにワームホールに吸い込まれ、それを通ってきた船は惑星Ziらしき星に辿り着いた。星に辿り着いて歓喜の声を上げる船の乗組員。

 

 しかし、船が地上に降り立ったその時、突然、船の中の端末が船から出て、力強く発光し、乗組員全員はその光を浴び、端末は地下を掘り進んでいった。

 そして、同時に地面も光輝き、何もなかった大地から幾つもの生命が湧き、更に端末が潜ったところの周囲から多数の金属の塊が現れ、端末が潜った場所から巨大な女神像のようなものまで現れた。

 

 「どういうことだ? 確か、ボーマン博士の話では、確か、リジェネレーションキューブはドクターマイルスから得たゾイドイヴの情報を基に再現した謂わば、疑似ゾイドイヴのはず…もし、レオの見たビジョンが本当なら、ゾイドイヴとは…」

 

 「そう、ゾイドクライシスの起こった地球から脱出した地球人類が模倣した科学船と共に持っていた端末が惑星Ziの環境に応じて突然変異した最初のゾイドなのだ。」

 

 誰かの声がして、レオたちが気付くと、そこに目の前に拳銃を向けたドクターマイルスと護衛の兵士が現れた。

 

 「ドクターマイルス…」

 

 「また、会ったな。アーサーの息子。」

 

 「一体どういうことだ?」

 

 「言葉通りだ。リジェネレーションキューブがゾイドイヴを擬似的に再現した装着なら、裏を返せば、その逆もあり得るということだ。」

 

 「そうか…古代ゾイド人の後に惑星Ziに移住し、ガイロスとヘリックを建国させたゾイド人も元は地球人類という話を親父から聞いたことがあったが、古代ゾイド人も元は地球人類だったのか。」

 

 「そう、所謂タイムパラドックスって奴だ。ギャラガー陛下がマルチバースの惑星Ziにタイムスリップしたのも、そのためだ。

 あの時は驚いたよ、ボーマン博士にゾイドイヴの研究データを提供していた時にたまたま、ゾイドイヴの眠る場所からその文献を見つけ、ゾイドイヴの起源を知ってしまったのだからな。

 まさか、我々がボーマン博士を利用し、疑似ゾイドイヴとして開発したリジェネレーションキューブこそがゾイドイヴの母体であり、我々古代ゾイド人が誕生したばかりの惑星Ziに到着、移住した最初の地球人類がゾイドイヴに変異した端末の力によって突然変異を起こした進化した人類だということに。

 だから、我々はその文献に記されている起源に従って、ゾイドクライシスを引き起こし、生き残った地球人類の一部を再現した科学船と端末を与え、惑星Ziに移住する最初の人類、即ち、古代ゾイド人のアダムとイヴになる者たちを送った。

 つまり、我々は神の導きに従い、進化した人類を創造した神の使徒だったのだ。」

  

 「なるほど、要するにてめぇらがゾイドクライシスを引き起こしてくれなかったら、古代ゾイド人やその後のガイロス帝国、ヘリック共和国はおろか、今の俺たちも存在してなかったということか。」

 

 「その通りだ。即ち、今、貴様がやろうとしているのは人類の創造主に抗う行為なのだ。

 我々が端末とペンダントを狙ったのも、もう一度、この地にゾイドイヴを復活して、陛下にその力を与え、かつてのオリジナルデスザウラーを超越した存在にして再びこの地球を最初に惑星Ziに移住し、古代ゾイド人に進化した人類を創造させることだ。」

 

 「けっ、腹立つ話だぜ! 俺たちは最初からこいつらの手の上で踊らされたわけってことか。」

 

 「我々に歯向かうことは、即ち、神に歯向かうということ。残念だが、貴様らは神の代理人たる我々は執行者として貴様らを死刑にすることにする。

 だが、安心しろ、貴様らは人類をより高みへと目指す理想の世界の犠牲者になるのだ。光栄に思え。」

 

 「そのために、今まで何人の人たちやゾイドの命を奪ってきたんすか!?」

 

 「ん?」

 

 「レオ?」

  

 「多くの犠牲が成り立つ世界、それがあなたたちの本当の理想なんですか!?」 

 

 「犠牲無くして勝利はなしという言葉があるように、人類の歴史は常にその繰り返しだ。ましてや、神は新たな人類の創造のために、旧人類を滅ぼしたことがある。

 今更、そんなことに躊躇する必要があるのか?」

 

 「ふざけないでください! 形はどうあれ、ゾイドも人間も皆、この星に生きる尊い命です。その命を踏みにじって生まれた世界なんて、僕は認めない。僕はあなたたちを許さない!!」

 

 「むぅ…」

 

 「よく言った! レオ。つうわけだ。残念だが、貴様らに従うつもりは微塵もない。今すぐ、貴様をとっちめてあの木偶の坊から端末の力を取り出す方法を吐かせてもらうぞ。」

 

 「それは無駄な話だ。元々オリジナルデスザウラーであったギャラガー陛下もゾイドイヴから生まれた存在、最初から取り出す方法等ありはしない。」

  

 「なら、何がなんでも、その方法をやらせてもらうだけだ。」

 

 「どうかな? 一番追い詰められているのが貴様らだと、まだ気付かないのか?」

 

 「どういうことだ?」

 

 「さっき、貴様らがライガー共を置いていった倉庫…あれが単なる武器を置いているだけの倉庫だと思ったのか?」

 

 「何!? まさか…」

 

 「フフフ、そのまさかだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 倉庫で待機しているバズとミラーたちキラーク盗賊団は暇そうにキャタルガとキャリアの上で休んでいた。

 

 「全く、結局、運び屋である俺はこういう扱いかよ。」

 

 「あたしたちだって、こう見えて、最強のゾイドハンターよ! 少しは大目に見てやって欲しいわ。」

 

 その時、ライガー、アーサー、ガンナーが何かに気付いて、低く唸り声を上げ、周囲を警戒していた。

 

 「どうしたんだ? ライガー。」

 

 その時、突然、多数のキャタルガのキャリアの扉が一斉に開き、その中から、トンボの目のように幾つもの眼球で形成されているような水色のバイザーと水色のカラーリングをした鎌をした無人機のキルデスサイスが一斉に現れ、ライガーを一瞬で包囲してしまった。

 

 「き、キルサイス!? 何でこんなところにいるのよ!」

 

 「で、でも、リーダー、何だか、こいつら、帝国のキルサイスとは雰囲気が全く違いますぜ!」

 

 ライガーたちを包囲したキルデスサイスの先頭にはグリードの乗るプロトタイプのゼロファントスがいた。

 

 「へっへっへ、今まで四天王ばかり働かせていたため、こっちの力を示すことは出来なかったが、相手があのライガーなら、相手にとって不足はねぇ! 今度こそ、名誉挽回で、俺が神聖ゼネバス帝国のNo2になってやる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「まさか、最初から俺たちがここに潜入することを予想して!」

 

 「こちらがセードと小競合いをしている間に、戦闘に介入するという馬鹿なことは出来ないから、潜入作戦を取るしか手がないからな。

 オマケに、貴様らが向かわせた合同軍にも、マクラマカン大佐率いるキルデスサイス隊を向かわせた。制圧されるのも、最早時間の問題だろう。」

 

 そのドクターマイルスの言葉通り、オレンジ色のカラーリングを施したバイザーと鎌をしたマクラマカン大佐の乗るキルデスサイス隊長機が五万のキルデスサイス無人機を引き連れ、グライノスホーンに乗ったギレル少佐とディアス中佐、ハント大佐の乗るロングレンジバスターキャノンを装備したトリケラドゴス改、マリの乗るグラビティキャノンを装備したグラキオサウルス率いるデュークナイツ隊と共和国軍による合同軍の方に向かって出撃していた。

 

 「いよいよ、完成したキルデスサイスの性能を知らしめる時が来た。その実験ネズミになれることを光栄に思うがいい。」

 

 「くっ、汚い手を使いやがる!」

 

 「まあ、このまま戦うなら、それでも構わないが、貴様ら3人だけで、ダークゼネバスアーマーを装着した兵士に敵うと思うか?」

 

 「仕方ない。」

 

 状況を察したゼオルは銃を捨て、手を上げた。

 

 「おい、何諦めてんだよ!」

 

 「今、まともにやりあっても勝つ見込はない。」

 

 「しかし、相当なことが起きねぇと、俺たち勝てねぇぞ。」

 

 「なら、その時を待てばいい。」

 

 「懸命な判断だな。(さて、向こうの方もどうなっているかな?)」

 

 

 

 

 

 同時刻、ニューホープの司令室に通信が開いた。司令であるゼオルが不在の中、フィオナがさりげなく通信に応じたが、映像の人物を見た時、フィオナは信じられないような表情をし、そのことをメルビルとサリーに伝えた。

 

 「御姉様、御姉様に会いたい人が…」

 

 「会いたい? 誰なの。」

 

 「それが…」

 

 メルビルが通信に応じると、通信の相手はユウトであり、しかも、映像には五体満足のユウトの姿があった。

 

 「ユウト、どうして…?」

 

 「ハンナ、心配かけてごめん。レオたちがダイダロスに侵入してくれたおかげで、僕は助かったよ。」

 

 「でも、あなたは確か、オメガレックスに…」

 

 「レオが僕にゾイド因子を与えてくれたおかげで、僕の身体が再生することが出来たんだ。神聖ゼネバスの呪縛も解けて自由になったんだ。」

 

 「ユウト…」

 

 「ハンナ、君には随分、心配かけてしまった。今までランド博士に振り回され、ゼロメタルの道具にされてしまったため、君には随分酷い目に逢わせるようにようにしてしまった。」

 

 「ううん、そんなことない。御父様を失ってしまったのは残念だけど、あなたに会えるだけでも、私は嬉しい。 だって、あなたは私の大事な家族だから。」

 

 「ハンナ…じゃあ、帰ろう。僕たちの故郷、ネオゼネバスへ!」

 

 「うん、私もすぐに向かう。」

 

 通信を切った後、ユウトは不気味な笑みを浮かべ、液体金属状にになり、姿を変えていった。その正体はユウトに擬態していたラスト大将だった。

 

 「フフフ、ホント、甘い女ね。これから、待ち受けるのが絶望だと感じすにね。さあ、今度こそ、始末してあげるわよ。」

 

 ラスト大将の言葉に従うように背後にいたオメガレックスガントレスの目が赤く輝き、力一杯咆哮を上げた。

 

 To be continued




 次回予告

 作戦が読まれ、拘束されるレオたち、しかし、ライガーたちはレオたちを助けるために懸命にキルデスサイスに立ち向かい、合同軍もマクラマカン大佐率いるキルデスサイス隊果敢に立ち向かうが、その力は余りに予想外のものだった。
 一方、罠だと知らず、ギルラプターエンペラーとハンターウルフに乗ったメルビルとサリーはダイダロスに向かうが、そこでオメガレックスガントレスが待ち構えていた。
 
 次回「キルデスサイスの猛攻」走り抜け、ライガー!!

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