ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・アベラス

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
 しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたゼロメタル帝国の神官プライドが遂にゼロメタル帝国の絶対神にして皇帝であるデスザウラーの分身、ディアベル・ギャラガーと古の皇帝龍ゼログライジスを復活させてしまい、更に帝国のマクラマカン大佐のクーデターによって新たなる帝国、神聖ゼネバス帝国をも誕生させてしまった。
 更なる絶望を迎えたレオはゼロメタル帝国にどう立ち向かうのか!?


第72話「キルデスサイスの猛攻」

 ダイダロスから二キロ離れた神聖ゼネバス帝国の軍事基地で、ジェノスピノⅢA率いるアンチ帝国軍とゼロメタル四天王率いる神聖ゼネバス帝国軍は依然として激しい攻防戦を繰り広げていた。

 バーニングキメイラ、ゼーゲキメイラ、ディメパルサーキメイラはそれぞれの方向でジェノスピノⅢAを攻撃し、ジェノスピノⅢAはヘッドキャノンと4門のロングキャノンで迎撃した。バーニングキメイラとゼーゲキメイラがたげを取っている間にディメパルサーキメイラがマッドオクテットを放つ体制に入った。

 

 「へっ、終わったな。キマイラマッドオクテット!」

 

 ディメパルサーキメイラのマッドオクテットをまともに受けたジェノスピノⅢA、しかし、セードはそれがどうしたと言わんばかりの平気な表情をし、ジェノスピノⅢAも電磁パルスによる影響を受けなかった。

 

 「何!?」

 

 ジェノスピノⅢAは尻尾でディメパルサーキメイラを凪払い、他のゼロファントスダークスにぶつけた。

 

 「くぅっ! こいつ、一体どうなってやがる!」

 

 「このデカブツがぁっ!」

 

 バーニングキメイラが続けて攻撃を加えようとしたその時、コバのバーニングライガーがそれを阻止し、ウルサス、ドッジ、オルドのバーニングライガーもゼーゲキメイラとメタルレイザーに攻撃を加えた。

 

 「セード様、こいつらは我々が引き受けます。セード様はあの繭を。」

 

 「わかった、任せたぞ。」

 

 「くっ、こいつら!」

 

 「我が分身バーニングライガーを模した忌まわしき姿をしたゾイド、今度こそ破壊してみせる。」

 

 ジェノスピノⅢAが先を進もうとするところをゼロファントスダークスが阻止したが、ジェノスピノⅢAはヘッドキャノンとロングーキャノンで、次々とゼロファントスダークスを粉砕した。

 

 「ふん、ゼログライジスの尖兵とやらも、俺たちの前では、無力のようだな。ん?」

 

  その時、上空から空を覆い尽くすように無数の小型ゾイドが現れた。

 

 「あれは…」

 

 そのゾイドの正体はキルデスサイスだった。自身が率いる10万のキルデスサイス隊の内、半数をジェノスピノⅢAのいるところに向かったのをマクラマカン大佐は自身が乗る隊長機のコクピットの映像から確認していた。

 

 「ゼロファントスダークス隊の内、大半が撃破されたか。これなら、キルデスサイスの性能を試す丁度いい相手だな。

 さて、一方、ダイダロスに向かうデュークナイツと共和国軍の輩の戦力はと…ほぅ、ざっと一万はいるのか。

 こちらの核攻撃で奴等の軍事基地は全て破壊して戦力を大幅減少させたにも関わらず、そこそこ残っているようだな。ま、最もこちらの手勢である五万のキルデスサイスに勝てるかどうかは別だがな。」

 

 

 

 マクラマカン大佐率いるキルデスサイス隊が向かっていることを知らない合同軍は指定された待機場所に向かっていた。

 

 「まさか、ハント大佐がトリケラドゴス改に乗るようになるとは…」

 

 「あら、トリケラドゴス改は中佐が昇進した時に与えたゾイドで、元々私のゾイドではなかったかしら?」

 

 「いえ、それは…」

 

 「まあ、いいわ。」

 

 

 その時、ロックバーグ中尉がパキケドスBRのコクピットから多数のゾイド反応が確認されていることに気付いた。

 

 「前方にゾイド反応! こちらに向かっています。」

 

 「何!? まさか、神聖ゼネバス帝国か! 数は?」

 

 「およそ五万。」

 

 「ざっとこちらの五倍か…とにかく全軍、気を引き締めろ。」

 

 

 

 

 倉庫内で待機していたグリードの乗るプロトタイプのゼロファントス率いるキルデスサイス隊に包囲されたライガーやバズたち、ライガーやミラーたちはレオたちが戻るまで抵抗の姿勢を構え、キルデスサイスと交戦状態に入った。

 

 ライガーたちはレオたちが乗っていない状態にあるにも関わらず、それまでの戦いの経験から、レオたちが乗っていた時の感覚を覚えながら、キルデスサイス隊と戦い、ミラーたちも自身のゾイドであるグソック、スパイデス、スコーピアの3体でライガーたちをサポートしながら戦った。

 しかし、いくら倒しても、キルデスサイスは何度でも湧き、更にAI搭載ということもあって、一般的な人間が搭乗しているのより、反応速度が桁違いであったため、ライガーやミラーたちのスタミナが切れるのは最早、時間の問題だった。

 背後に気を取られたライガーは2、3体のキルデスサイスに群がれ、何とかそれを払おうとするが、キルデスサイスは一向に離れる様子がなく、ライガーはイグニッションブースターで加速して思いっきり壁に激突した。

 その衝撃はレオたちやドクターマイルスのいる部屋にも届き、突然の衝撃にドクターマイルスと兵士が一瞬、気を取られている間にゼオルは直ぐ様、下に置いた銃を広い、兵士たちを撃ち、レオとバルディーを誘導して部屋から逃げた。ドクターマイルスと兵士は銃を撃ち込むが、レオたちは間一髪で脱走出来た。

 

 「くっ、追え。」

 

 ドクターマイルスの命令を受け、後を追う兵士。

 

 「ちっ、油断したか。オマケに文献まで、あの小僧に奪われたが、まあ、いい。

 今更、それを手にしたところで、陛下とゼログライジスの進化を止めること等出来やしないのだからな。」

 

 レオたちは兵士に追撃されながらも、必死にライガーたちのいる倉庫に向かって走っていった。

 

 「リジェネレーションキューブ…まさか、擬似的にゾイドイヴを再現した装置であると同時にゾイドイヴそのものだとは…」

 

 「ゾイドイヴって、俺もボーマン博士から聞いたことがあるが、今のゼログライジスがあんなものを取り込んだら…」

 

 「間違いなく、あのオリジナルデスザウラーはおろか、ゾイドイヴの元々の力を遥かに凌駕するバケモノになるだろう。最悪の事態から逃れるために何としても、それを阻止しなくては…」

 

 「けど、どうやってあれをあのデカブツから抜き取るんだ?」

 

 「その方法はレオと文献にある。」

 

 「!? 僕ですか?」

 

 「レオ、その文献から見た記憶はさっきので全部か?」

 

 「いえ、おそらくまだほんの一部だと思います。」

 

 「よし、なら、問題はないな。」

 

 「どういうことなんだ?」

 

 「奴等は、この文献に従って端末を過去の惑星Ziのゾイドイヴに変異させるようにしたってことは、その文献にはゾイドイヴ…即ち、リジェネレーションキューブに関する記述が全て記されている。

 とすれば、レオが読み取った記憶から、その方法が割り出せるんじゃないかと思ってな。」

 

 「流石、ホント頭いいな。」

 

 「だが、その前に早くライガーたちのところに戻ってこの追手から逃れないと…」

 

 「大丈夫です。」

 

 「何だ?」

 

 「俺の腕から、ライガーのゾイド因子を感じます。」

 

 「よし、レオがいれば、問題はなさそうだな。」

 

 

 

 

 

 

 レオが感じ取ったライガーのゾイド因子に従ってライガーたちのところに戻るゼオルたち、その一方、バーンとスピーゲル中佐はフォックスとドライパンサーのステルス性能を活かしてダイダロスの裏ルートに入って侵入していった。

 

 「それにしても、元帝国の脱走兵のお前とまた手を組むことになるとはな。真帝国の時はお前のフォックスと一度交えたこともあったが…」

 

 「おいおい、俺が帝国の脱走兵というのは、もう過去の話。それにあんたはスパイとして真帝国に潜入しただけで、そもそも真帝国所属じゃない。むしろお互い様ってとこじゃないか。」

 

 「ふっ、確かにな。元々、辺境の街出身だったこの俺がまさか、宰相閣下の目に止まり、ここまで出世するなんて思わなかったがな。

 もし、お前がまだ帝国軍にいたら、宰相閣下によって私のようになれたのかもしれないな。」

 

 「止せよ、もう、俺は帝国軍に戻る気はない。それに、今の俺があるのはフォックスだけだ。」

 

 「相当、信頼しているようだな。」

 

 「当たり前だ! こいつがいたから、今の俺がいる。」

 

 「相当、信頼しているようだな。」

 

 「当たり前だ! こいつは俺にとって最高の相棒だからな。」

 

 「相棒か…俺はあくまで、ゾイドとは軍人が戦場に駆け巡るために必要な存在だと思っていたが、真帝国に潜入している時に、お前たちの戦いを見て、段々、それがわかってきたような気がする。」

 

 「あんたも、そのドライパンサーに愛着があるのか?」

 「さあな、お前程ではなくとも、少なくともこいつは俺にとって最高の相棒だと思っている。俺が出世してからずっと戦場を駆け巡った存在だからな。」

 

 「言ってくれるな。」

 

 「むっ!」

 

 その時、ドライパンサーとフォックスが突然、何かに反応したように警戒心剥き出しにし、それに気付いたスピーゲル中佐はバーンに静かにするよう指示し、コクピットの装置で確認した。しかし、発信器にはゾイド反応らしきものは一切感知されなかった。

 

 「どういうことだ? 装置には、何の反応がない。では一体、ドライパンサーとフォックスは何に反応しているのだ?」

 

 

 しばらくすると、目の前に3体のキルデスサイスが現れ、周囲の警備に当たっていた。

 

 「あれは、キルサイスじゃねぇか。」 

 

 「しかし、あの色とバイザーは明らかに、帝国、真帝国どちらでもない。まさか、神聖ゼネバス仕様のものなのか? それにしても、こちらのコクピットに反応が一切内のはどういうことだ?」

 

 フォックスとドライパンサーは気付かれないよう、足音を立てず、前を通るキルデスサイスを避けて進もうとしたが、突然、キルデスサイスはフォックスとドライパンサーの存在に気付いたかのように攻撃してきた。

 突然のことに驚くも、バーンとスピーゲル中佐は持ち前の反射神経でフォックスとドライパンサーと共に攻撃を回避した。

 

 「何だ? まさか、俺たちの姿が見えてるっていうのか?」

 

 「馬鹿な、フォックスの光学迷彩とドライパンサーのステルス機能は、キルサイスでも見破ることは不可能だ。まぐれに違いない。」

 

 しかし、キルデスサイスはフォックスとドライパンサーの居場所が手に取るようにわかるように正確に射撃してきた。

 

 「やっぱり、俺たちの存在に気付いているんだ!」

 

 「何だと! 一体、あのキルサイスにどんな機能が?」

 

 

 ギレル少佐とディアス中佐率いるデュークナイツ隊と共和国軍による合同軍がキルデスサイス隊と激しい攻防戦を繰り広げ、その様子を傍観しているマクラマカン大佐はフォックスとドライパンサーを襲撃しているキルデスサイス無人機のカメラを通してキルデスサイス隊長機のコクピットの映像で、その様子を見ていた。

 

 「ガトリングフォックスとドライパンサーは旧帝国のゾイド、神聖ゼネバス帝国には旧帝国ゾイドのデータは全てこちらにあり、そのデータをキルデスサイスに入力している。 いくらステルスギミックを使おうが、キルデスサイスには通用しない。」

 

 ギレル少佐とディアス中佐のグライノスホーンはサンダーホーンで何体かのキルデスサイスを撃破し、序盤はデュークナイツが優勢であったが、グライノスホーンとその他の共和国軍ゾイドの動きを学習したキルデスサイスはグライノスホーンの動きを読み取り、死角を狙って攻撃したり、攻撃を回避したりして、相手のスタミナ切れを狙い、一斉に攻撃する隙を伺うといった戦法を取り、デュークナイツが不利になるのは時間の問題となった。

 また、グライノスホーンのサンダーホーンには通用しなかったが、キルデスサイス無人機には、Eシールドが搭載され、パキケドスBRやトリケラドゴス改、グラキオサウルスの砲撃は全てキルデスサイスが展開したEシールドに防がれていた。

 

 「くそっ、一体何だ? あのキルサイスは? 色やバイザーの形から明らかに帝国や真帝国どちらのキルサイスでないことは確かだが、それにあの動きは何だ?

 8Gに加速しても、全く関係なしに動ける上に、どの機体も動きに全く乱れがない。オマケに全ての機体がシンクロしているようにも見える。丸で完全に機械で制御されているかのようだが…」

 

 

 

 

 

 

 同様に、倉庫でキルデスサイスと戦っているライガーたちも徐々にスタミナが切れていき、襲いかかってくるキルデスサイスを振りほどくことが出来ず、キルデスサイスはスズメバチに群がるミツバチのようにライガーたちに群がり、ライガーたちの身体が殆どキルデスサイスに覆い尽くされ、ライガーたちの身体が破壊尽くされるのを待つのみとなった。

 ライガーたちが諦めかけたその時、上からレオとゼオル、バルディーが舞い降り、キルデスサイスが攻撃していない箇所に入ってそこからコクピットに乗り込み、レオたちが乗ったことで更に力をつけたライガーたちはその力でキルデスサイスを振り払った。

 

 「何よ! 来るのが遅いじゃない。」

 

 「へっ、よく言うだろ? ヒーローは遅れてやってくるってな。ここから反撃だぜ! ワイルドライガーガンナー、進化 解放! エヴォブラストー!! キングオブバーストキャノン!」

 

 エヴォブラストを発動したガンナーはキルデスサイス集団に向かってナインバーストキャノンを放ち、全て炎に包まれたが、煙が晴れた後、キルデスサイスが一斉に展開したEシールドで防御力を上げたため、ガンナーのバーストキャノンすらも耐えていたのだ。

 

 「おい、嘘だろ!」

 

 「あのキルサイス、Eシールドまで搭載しているのか!?」

 

 「戦力強化にしても、度が過ぎているぜ。」

 

 「あれが相手だと、こちらが端末の力を抜き出す作戦を考える前に、ゼログライジスが繭から出そうだ。」

 

 その時、レオの元にニューホープにいるフィオナから通信が入った。

 

 「ニューホープにいるフィオナさんから、通信?」

 

 「レオ、御姉様とサリーさんが!」

 

 「どうしたんですか?」

 

 「ネオゼネバスにいるユウトさんの通信を受けた御姉様とサリーさんがネオゼネバスに向かったんです!」

 

 「メルビルさんとサリーが!」

 

 「でも、何だか嫌な予感があって、一応レオに伝えようと思ったんです。」

 

 「ユウトからだと! それで奴の姿はどうなっていた?」

 

 「それが、丸で全快したような姿になっていました。」

 

 「馬鹿な! 奴はオメガレックスのコクピットに完全に取り込まれているんだぞ。あれから取り外すことは、ほぼ不可能のはず…まさか、そういうことか!」

 

 「どういうことですか?」

 

 「それも、神聖ゼネバスの罠だ。しかも、俺たちがあの繭を破壊するのを阻止するために。」

 

 

 

 

 

 通信を受けて、それぞれハンターウルフ、ギルラプターエンペラーに搭乗したサリーとメルビルはダイダロスに入城、キルデスサイスの猛攻が一切なく、スムーズに通信のユウトから聞いた場所に向かい、ダイダロスの軍司令部に入っていった。

 中に入ると、それはドームのように巨大な空間となっていて、中に入ったハンターウルフとギルラプターエンペラーが進むと、明かりがつき、目の前にオメガレックスガントレスが現れ、その頭部にはユウトが座っていった。

 

 「ユウト!」

 

 ユウトの姿を見たメルビルは警戒心を持つことなく、コクピットから降り、オメガレックスガントレスに向かって走っていった。

 しかし、突然、ユウトが不気味な笑みを浮かべ、それに気付いたギルラプターエンペラーは咄嗟にメルビルを庇うようにメルビルを覆いつくし、オメガレックスガントレスの速射砲を諸に受けてしまった。

 

 「ギルラプター、大丈夫? ユウト…どうして?」

 

 「挨拶だよ、ようやく君に会えたからね。だから、もっと傷付けあおうよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼオルの言葉に疑問を持ったレオはゼオルにもう一度問いかけた。

 

 「どういうことですか?」

 

 「おそらく、サリーとメルビルと通信を開いたユウトはユウト本人ではない。神聖ゼネバス帝国には別の人間に擬態する能力を持つ奴がいる。」

 

 「ラスト!」

 

 「そうだ。おそらく、敵の狙いはサリーとメルビルを餌にして俺たちを引き込むつもりだ。そうすれば、俺たちはそれに必ず食い付き、ゼログライジスを迎え撃つ作戦など立てている暇ではないからな。」

 

 「そんな…」

 

 「さて、どうするか…本来なら、この場合、作戦を優先してゼログライジスを迎え撃つのが妥当だ。さもなければ、オリジナルデスザウラー以上のバケモノの誕生を許し、更に事態を悪化させてしまう。

 だが、作戦を優先した場合、サリーとメルビルを犠牲にすることになる。とはいえ、最悪な状況を回避するには、やはり非常な手段を使うしかないのか…」

 

 「だったら、サリーとメルビルさんは俺が助けに行きます!」

 

 「レオ、お前…」

 

 「戦力は分断されることになりますが、それでも、サリーとメルビルさんを守ることだけなら出来ます。」

 

 「しかし…」

 

 「大丈夫です! 2人を助けたら、直ぐに俺も合流します。」

 

 そう言ってサリーとメルビルのところに向かおうとするレオにゼオルは待ったをかけた。

 

 「待て! 俺も行く。」

 

 「え…?」

 

 「あれを食い止めるには、少しでも人数は多い方がいい。それに、お前がいなきゃ、ゼログライジスを迎え撃つ作戦はたてられねぇからな。」

 

 「ゼオルさん…」

 

 「だったら、俺も行くぜ! 相手がオメガレックスといっても、一度倒した相手だ。ライガー3体もいりゃ、楽勝だぜ。」

 

 「バルディーさんも…ありがとうございます!」

 

 「さて、気を取り直して行きたいところだが、目の前のこいつらをどうするかだが…」

 

 キルデスサイスがライガーたちに襲いかかろうとしたその時、ミラーのグソックが突進で蹴散らし、更にスパイデスの糸で、何体かのキルデスサイスを拘束することに成功した。

 

 「ここは、あたしたちに任せなさい! だってあたしたちだってデュークナイツだから。」

 

 「そうだな、じゃあ、任せた。雑魚は雑魚に任せる!」

 

 「ちょっと、誰が雑魚よ!」

 

 

 

 

 

 ダイダロス司令部のドームで、サリーのハンターウルフとメルビルのギルラプターエンペラーはオメガレックスガントレスによっていいように痛め付けられていた。

 ハンターウルフとギルラプターエンペラーは反撃しようとするが、サリーとメルビルは目の前にいるユウトが本物と信じているため、攻撃する意思を持つことが出来ず、ハンターウルフとギルラプターエンペラーも攻撃出来ない状態でいた。

 

 「どうしたの? もっと苦しんでよ。」

 

 「もう止めて! ユウト。どうしてあなたがこんなことを…」

 

 「どうしてって…決まっているじゃないか。 ボクたちをあんな酷い目に遇わせたランド博士のおかげで、ボクは知ったんだ。世界は歪みすぎている。

 だかは、ボクは全てを破壊することにした。こんなつまらない世界に何の未練もないってね。

 だけど、君は特別だよ。だってこんなボクを愛してくれたんだよ。誰1人ボクを認めてくれないあの場所で唯一君だけがボクを愛してくれた。

 君にボクの愛を受け止めてくれるにはボクが今まで受けたように傷付ける必要がある。

 だって傷を分かち合うのが本当の愛じゃないか! だから、君にはもっと苦しんでもらわなきゃいけないんだよ。」

 

 「そ、そんな…」

 

 「もっと聞かせてよ。君の悲鳴を、君の嘆きを、君の叫びを…」

 

 不気味な笑みを浮かべたユウトの指示に従うように、オメガレックスガントレスは止めを刺すように誘導ミサイルを放った。その時、突然、レオのライガーとアーサーが現れ、タテガミブレードとランスで誘導ミサイルを斬りさき、破壊していった。

 

 「何!?」

 

 同時に、ガンナーもバーストキャノンをオメガレックスガントレスに御見舞いして、オメガレックスガントレスは少しよろめいた。

 

 「大丈夫? サリー、メルビルさん。」

 

 「れ、レオ!」

 

 「目を覚まして! あいつはユウトじゃない。」

 

 「え?」

 

 「何言ってんの? ボクはユウトだよ!」

 

 アーサーは化けの皮が剥ぐように、ユウトに向かって機関砲を放ち、ユウトがそれをさっと避けた後、その後ろにコクピットの中で機械と一体化しているユウトの姿が現れ、それを見たサリーとメルビルは驚愕した。

 

 「猿芝居は止めろ。お前の本性など、こっちには手に取るようにわかるぞ! ラスト。」

 

 「フフフ、ハハハハハ! 流石にあんたには誤魔化せないわね! そうよ、あたしはラストよ。

 もういい加減、あんたたちにはうんざりしたのよ。だから、ここをあんたたちの死に場所にしてあげるわ。」

 

 「ユウトをオメガレックスに組み込むよう改造したのは貴様か!?」

 

 「違うわ。こいつを改造したのはドクターマイルスよ。何せ、この小僧には、まだ利用価値があるとかいって、あの技師があのまま生かしたのよ。

 あたしはこいつにちょいと細工をしただけ。こいつに搭載されているAIが全てあたしの指示にのみ従うようにね。そしてこの小僧には、そのための人形にしてもらったのよ。」

 

 「そんな、酷い…」

 

 「ゾイドを完全制御するの手段として、AIを使ったのか。如何にも貴様ららしい汚いやり方だぜ!」

 

 「何とでもいいなさい。所詮、大した力を持っていないただの人間のあんたたちなんかに、あたしたちヒューマンオーガノイドの創る理想の世界に到底理解なんて出来るわけがないから!」

 

 「そんなの、本当の理想の世界じゃない! 人の幸せを奪い、人の心を踏みにじるあなたたちのやることが正しくなんかない!」

 

 「人の幸せを踏みにじる? 言ってくれるじゃないの! 何百、何千年に渡ってこの時をずっと待っていたのか、あたしたちがどれだけの苦労をして、この神聖ゼネバス帝国を創ったのかわかりもしないくせに、言いたいことほざきやがって!」

 

 怒り狂ったラストに従うようにオメガレックスガントレスは全ての武装を放ち、ライガーたちは蜂の巣にされてしまう。

 

 「それと、あんた…さっき、人の幸せを奪うって言ったわね? だったら、教えてあげるわ! 人の幸せを奪うというのがどれ程のものなのかをね。」

 

 「どういうことだ?」

 

 「マクラマカン大佐がキルデスサイスに乗って、他のキルデスサイス隊を率いて、こちらに向かう合同軍を潰すと同時に核ミサイル搭載のスナイプテラをネオヘリックとニューホープに向かわせたの。」

 

 それを聞いたレオたちは驚愕した。

 

 「共和国がどういう返答をしようが、そんなことはどうでもない。絶対神が統治する神聖ゼネバスに抗うことがどれ程、愚かなことを知らしめるために、プライドとマクラマカン大佐が共和国首都を核攻撃することに決定したの。もう誰にも止めることは出来ないわ。」

 

 「なん…だと!」

 

 「そ、そんな…」

 

 「そんな、共和国まで…」

 

 共和国首都も核攻撃を受けるということを知ったレオたちは絶望的な表情をした。

 

 To be continued




 次回予告

 ゼログライジスの更なる進化と共和国への核攻撃を防ぐために、オメガレックスガントレスに果敢に立ち向かうレオとライガーたち、しかし、AI制御されたオメガレックスガントレスは以前のオメガレックスを遥かに上回り、3体のライガーまで歯が立たなかった。
 サリーとメルビルはレオを助けると同時にオメガレックスガントレスと一体化しているユウトの救出をしようとするが、思うように力を振る舞えず、ハンターウルフとギルラプターエンペラーもボロボロになってしまう。
 レオたちと同じゾイド因子を持っていながら、サリーとメルビルは何故、力を出せないのか? そして、そんなサリーとメルビルはユウトを救うことが出来るのか!?

 次回「目覚めよ、ユウト!」走り抜け、ライガー!!
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