ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・アベラス

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
 しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたゼロメタル帝国の神官プライドが遂にゼロメタル帝国の絶対神にして皇帝であるデスザウラーの分身、ディアベル・ギャラガーと古の皇帝龍ゼログライジスを復活させてしまい、更に帝国のマクラマカン大佐のクーデターによって新たなる帝国、神聖ゼネバス帝国をも誕生させてしまった。
 更なる絶望を迎えたレオは神聖ゼネバス帝国にどう立ち向かうのか!?


第73話「目覚めよ、ユウト!」

 マクラマカン大佐率いるキルデスサイス隊と未だ、交戦状態にある合同軍、次から次へと現れるキルデスサイスを倒していく内に、ゾイドたちの動きが徐々に鈍くなり、グライノスホーンたちが悲鳴を上げると同時にギレル少佐やディアス中佐らも疲労が見え始めた。

 

 「グライノスホーンが悲鳴を上げている。流石に限界が来たか…」

 

 「なるほど、どうりでこちらも、疲労が出てきたわけだ。」

 

 「これ以上、長引くと、こちらが不利になる。一旦体制を建て直さないと。」

 

 「だが、あちらはその隙すら許してくれないようだ。そればかりか、あのキルサイス共はこちらと違って一切スタミナが減っていないようだ。」

 

 「一体、どうなっている? 丸でこちらの動きが手に取るようにわかるかのように、攻撃を交わす上にどのキルサイスも一切の乱れが無く、シンクロしているように攻撃の手順がそれぞれ正確だ。 オマケに、8Gにも加速しても、それが変わらないってことは一体どんな奴が乗っているんだ?」

 

 「考えられることは、ただ1つ、恐らく、あのキルサイスは殆どが無人だ。」

 

 「無人? じゃあ、あのキルサイスにライダーはいないってことか!?」

 

 「いや、全てとは限らない。恐らく最低でも一体は無人…つまり、それが司令塔となっていると思うが…」

 

 その時、ツガミ大尉は向こうの丘で傍観していたキルデスサイス隊長機の存在に気付いた。

 

 「あれが司令塔だ。」

 

 隊長機に気付いたツガミ大尉はステゴゼーゲ改の対空速射砲で砲撃したが、キルデスサイス隊長機はそれを難なく避け、更に触覚きら空気中の何らかのエネルギーを吸収した後、鎌を上下に擦ってエネルギー弾を作り、それを放ち、ディアス中佐のグライノスホーンはそれを受け止めるが、小型ゾイドが放つ攻撃とは言えず、食らったグライノスホーンは数歩下がった。

 

 「くっ、一体何なのだ? あのキルサイスは!」

 

 「ふん、肩慣らしにちょうどいいな。」

 

 

 

 

 

 

 「キングオブバーストキャノン!」

 

 「今だ! レオ、ゼオル!」

 

 「おぅ! グングニル!」

 

 「ライジングレーザークロー!」

 

 ワイルドライガーガンナーがオメガレックスガントレスにバーストキャノンを御見舞いして、その隙にレオのライガーとアーサーはオメガレックスガントレスの荷電粒子吸入ファンを破壊しようとしたが、他の追加武装と共に搭載されていたメガシールドでそれを防がれてしまった。

 

 「何!?」

 

 オメガレックスガントレスはライガーとアーサーを前足で掴み、そのまま投げ飛ばした。

 

 「アハハハ! いい気味ね。3体まとめて消えなさい!」

 

 ラストの指示に従ったオメガレックスガントレスはライガーたちに全武装を放ち、ライガーたちはそれを避けるも、全て避けきれず、何発かは直撃してしまった。

 

 「アハハ! さっきの威勢はどうしたの?」

 

 「くそっ! ペンダントを無くした弱点を克服しているだけでなく、メガシールドの防御力まで上げているのか。」

 

 「オマケに、俺のガンナーの砲撃喰らっているのに、ピンピンしてるぜ。」

 

 「並みの攻撃が通用しないことはわかっていたが、ここまでとは…」

 

 「レオ、俺とバルディーが奴の気を引く。その隙にレーザーガトリングのパワーを目一杯チャージし、奴の荷電粒子吸入ファンに撃ち込め。」

 

 「わかりました。」

 

 「行くぞ、バルディー!」

 

 「オゥ!」

 

 レオのライガーがレーザーガトリングのパワーをチャージしている間に、再び、ガンナーはオメガレックスガントレスに砲撃を集中し、アーサーはオメガレックスガントレスの死角に入って、体制を崩すために足元と顎を破壊するよう、試み、オメガレックスガントレスはそれを阻止しようと、アーサーを踏み潰そうとしたり、前足で捕らえようとした。

 オメガレックスガントレスに搭載されていたAIでアーサーの攻撃は粗方、読まれていたため、オメガレックスガントレスの死角を攻撃することは出来なかったが、あくまでゼオルはライガーのレーザーガトリングの一撃でオメガレックスガントレスの荷電粒子吸入ファンを破壊するための作戦を念頭に置いているため、あくまで時間稼ぎをすることだけを考えて攻撃した。

 

 そして、ライガーのレーザーガトリングのパワーがチャージされたのを確認したゼオルはアーサーと共に、その場を離れ、レオに指示を出した。

 

 「今だ! 行け、レオ!!」

 

 「ライジングレーザーガトリング!」

 

 「ふん。」

 

 その時、ラストが不敵な笑みを浮かべると、オメガレックスガントレスはマシンプラストを発動し、ライガーに向けて撃つ体制に入った。

 

 「まさか、こんなところで、撃つつもりか!?」

 

 「あんたたちを潰すことが最重要任務なのよ。別にここが潰れても大したことないわ。 喰らいなさい!」

 

 オメガレックスガントレスが放った荷電粒子砲にライガーは避けきれず、まともに受けることになったが、 ライジングライガーデイズになったライガーのボディはライジングブルーライガーの時より耐久力が数倍に上がったため、更にパワーアップしたオメガレックスガントレスの荷電粒子砲を耐えることができ、ドーム内での破壊は免れることはできた。しかし、それでも一発耐えるので精一杯の状態にあった。

 

 「ふ~ん、意外に耐えたようね。でも、1発耐えるのが限界のようね! もう1発受ければ、終わりよ。」

 

 荷電粒子砲に耐えた衝撃によって、ライガーの動きが鈍くなったのを見たオメガレックスガントレスは再び、荷電粒子砲を撃つ体制に入った。

 

 「まさか! また、撃つつもりか!?」

 

 「さあ、これであんたも終わりよ。死になさい。」

 

 オメガレックスガントレスが荷電粒子砲を放とうとしたその時、

 

 「止めて~!」

 

 突然、サリーのハンターウルフとメルビルのギルラプターエンペラーが現れ、オメガレックスガントレスに向かっていったが、オメガレックスガントレスはそれがどうしたと言わんばかりに武装を使わず、尻尾で凪払ってしまった。

 

 「今更、あんたたちが加わったところで、何が変わるって言うの!?」

 

 「そんなことはない。私にはフィオナ皇帝陛下の御父様から受け継いだゾイドを従える力があるわ。」

 

 「あら、そういえば、あんたは知らなかったっけ? あれは旧帝国の上層部を騙すために、プライドが流したでっち上げなのよ! そもそも、旧帝国の先帝にそんな力はないのよ。」

 

 「え…? なら、どうして私にその力が…」

 

 「それは、プライドが流したでっち上げが嘘だということがバレないために、孤児院に入れる前に予め、あんたの身体にゾイド因子の入った注射で注入したのよ。

 そうでもしないと、あのランドとかいうジジイが餌に食い付かず、ユウトも拾ってくれないからね。

 それに、あんたは知らないかしら? そもそも、ゾイドとは闘争本能を持った戦闘生物。闘争心を持てば、持つほどその力は増していくもの。

 だが、あのジジイに黙って従うだけのお人好しのあんたにはそれがない。だから、あんたにゾイド因子を与えても、その力が発揮されることはない。最初からあんたに力なんてないも同然よ!」

 

 「そんな…私は最初から利用されただけなの…?」

 

 「いくら皇帝の娘だからといって、所詮は貧弱な帝国の皇帝に過ぎない。やはり、皇帝に相応しいのはオリジナルデスザウラーであるディアベル・ギャラガーであり、その遺伝子を持つあたしたちヒューマンオーガイノドこそがこの世の全てを統べる者に相応しい存在。

 そしてあんたたち人間はあたしたちヒューマンオーガイノドの支配を奏でるための駒か道具でしかない。」

 

 「違う!」

 

 「レオ…?」

 

 「メルビルさんは無力なんかじゃない! 彼女はランド博士に利用されていることを知っていても、それでも、その人を救うために人を疑うことも、誰一人恨まず、自分の運命に立ち向かってきた。

 あの時、僕の父さんの魂が宿ったブラックビーストライガーと戦ったからこそ、僕はわかる。彼女は決して弱くない!」

 

 「レオ…」

 

 「ふ、アッハッハッハッハ!!」

 

 しかし、レオの言葉を嘲笑うようにラストは高笑いを上げた。

 

 「本当におめでたい奴等ね。まさか、そんな小娘が強いなんてね。じゃあ、聞くけど、その小娘より強いはずのこいつのこの姿を見てそれが証明出来るの?」

 

 ラストが下を指差すと、それはコクピットと同化しているユウトだった。それを見たレオは何も言い返せない状態にいた。

 

 「こいつも、愚かな道具だったわ。ドクターマイルスによってディアベル・ギャラガー陛下の器として造り出された存在にも関わらず、その小娘に感化されて運命に抗ったのがこの結果よ。

 手足を無くし、今じゃ、このオメガレックスガントレスの心臓部として生きていくことしか出来ない状態になっている。まさに裏切り者に相応しい姿ね。アッハッハッハ!」

 

 「御託はそれだけか? もう、貴様らの戯れ言はいい加減聞きあきた。」

 

 ラストの言葉を聞きたくないと言わんばかりにゼオルとアーサーは再びオメガレックスガントレスに攻撃を仕掛け、オメガレックスのもう1つの急所である顎にランスで一撃を喰らわそうと、武装による砲撃を避けながら近付いたが、オメガレックスガントレスはアーサーの攻撃が既に手に取るようにわかるかのように顎を攻撃することを読み、前足でアーサーを捕らえた。

 

 「ぐっ!」

 

 「その程度かしら?」

 

 アーサーを捕らえたオメガレックスガントレスは投石をやるように投げ飛ばした後、クレー射撃のように対空速射砲と誘導ミサイルでアーサーを砲撃し、アーサーはかなりのダメージを受けてしまう。

 

 「グハァッ!」

 

 「このオメガレックスガントレスに搭載されているシステムにはあんたたちの今までのデータが蓄積されている。そのため、あんたたちの動きは筒抜けよ!

 最も、例え、全く別の動きをしても、このシステムは蓄積されたデータを学習し、どういう攻撃を行うか、何を狙ってくるのか事前に読み取ることが出来る。

 つまり、このシステムは未来を見ることが出来る。そう、まさに進化した新人類であるあたしたちに相応しい力なの。そのシステムから、これからの未来を予想して上げようかしら?

 勝つのはあたしたち神聖ゼネバス帝国、負けるのはあんたよ!」

 

 「ふざけるな! 貴様らごときに未来を決めてたまるか。運命を切り開くのは俺たち人間だ。」

 

 「ほざけ!」

 

 その時、オメガレックスガントレスが再び荷電粒子砲を撃つ体制に入った。

 

 「何!?」

 

 「喰らいなさい。」

 

 オメガレックスガントレスが放った荷電粒子砲はそれまでと比べると小規模なものだったが、それでも、荷電粒子砲以外の全ての武装を放った時より遥かに高い威力であり、ライガー、アーサー、ガンナー、サリー仕様ハンターウルフ、メルビル仕様ギルラプターエンペラーもまとめて吹き飛んでしまった。

 

 「フッフッフ!」

  

 「あの野郎、まさか、荷電粒子砲の威力を自在に調整出来る機能まであるというのか?」

 

 「だとしたら、俺たちかなり嘗められているようだな。」

 

 「まあ、本来なら、フルパワーであんたたちを消し飛びたいところだけど、流石にあんたたちを潰すことだけにこの神聖なる帝都を破壊したくないからね。」

 

 「そんな、僕やゼオルさん、バルディーさんのライガーが揃った状態でも勝てないのか?」

 

 「これでわかったかしら? あんたたち下等生物とあたしたち新人類とでは、背負うものが違うのよ。

 あたしたちの先祖は陛下のかつての姿、オリジナルデスザウラーが敗れてから、ずっとそのゾイド因子を保管し、ソラノヒトの者どもを利用してディガルドを傀儡にしてバイオティラノを完成した同士が敗れても、あたしたちの先祖は尚も諦めず、我等古代ゾイド人が唯一無二の絶対的な存在として君臨するために計画を練った。

 あたしたちの身体にあるゾイド因子にはその先祖たちの記憶が眠り、その苦しみと無念を骨身にわかっている。

 地球に移住したばかりの第一世代や第二世代等とほざくちっぽけな記憶しかない非力な者どもの力をヒューマンオーガイノドであるあたしたちと違うのよ! ん?」

 

 その時、オメガレックスガントレスの攻撃を受けてもメルビルとギルラプターエンペラーは諦めず、オメガレックスガントレスのコクピットに向かっていった。

 

 「ユウト! 聞こえる? あたしよ。ハンナ…ハンナ・メルビルよ! お願い、目を覚まして。あなたはそんなシステムに操られるような弱い子じゃない。そのオメガレックスだってあなたを助けたいのよ!」

 

 メルビルの悲痛な叫びがオメガレックスガントレスのコクピットの中にも響き、機械と一体化しているユウトの耳に僅かながら届いていた。

 

 「何か聞こえる…誰の声なの…? あの時、ネオゼネバス襲撃の時に僕は重傷を負い、意識が消えた時から記憶がない。

 これは夢なのか…?それとも、僕は死んでいるのか?」

 

 「ターゲットホソク、アシュノギルラプターカクニン、タダチニマッサツスル。」

 

 「そうだ、僕はゼロメタル帝国の人間…命令は絶対だ。」

 

 メルビルの願いも虚しく、コクピットに搭載されているシステムに従ったオメガレックスガントレスはギルラプターエンペラーに誘導ミサイルを向けたその時、

 

 「危ない!」

 

 突然、サリーとハンターウルフがメルビルとギルラプターエンペラーを庇い、代わりに砲撃を受けてしまった。

 

 「サリー!」

 

 「ハァッ、ハァッ、ハァッ!」

 

 「サリー、何もあなたまで…」

 

 「いいんです。あなたのお父さんであるランド博士は私の実のお父さん。お父さんとセードがこうなったのも娘である私の責任でもあります。」

 

 「そんな、何もあなたのせいでは…」

 

 「だから、私もあなたと戦いたいんです。少しでも、レオの力になるために…」

 

 「サリー…」

 

 「私もレオみたいな力はないのかもしれません。でも、レオと初めて出会った時にライガーがペンダントの力でビーストライガーに進化した時に私もその光を浴びてゾイド因子を得たおかげで、レオや他の皆と会うこともハンターウルフを相棒にすることが出来て、今こうしてたくさんの仲間に巡り会うことが出来た。

 それに旅の途中の村で会って、救えなかったあのアンキロックスにも教えてもらったんです。必要なのは力じゃない。皆を信じることだってこと。」

 

 「皆を信じること…」

 

 「それに、ほら、例え、力はなくても、私にはいろんなゾイドの声が聞こえる。私の相棒になってくれたハンターウルフは私に会えて嬉しいって言ってる。

 ギルラプターエンペラーだって、メルビルさんと一緒に戦いたい、ユウトとオメガレックスを救いたいと言っている。だから、私たちもゾイドを信じなきゃ。」

 

 「サリー、ギルラプター…」

 

 「友情ごっこはそれぐらいでいいかしら?」

 

 「でも、無駄なことよ! いくら綺麗事をほざいても所詮は目に見えない力…現実に結果を残せるのは目に見える力のみなのよ。さあ、オメガレックスガントレス、今度こそ、あの目障りな小娘共をやっちゃいなさい!」

 

 「ギルラプター…私もあなたと戦いたい!」

 

 オメガレックスガントレスが再び荷電粒子砲を放とうとしたその時、突然、サリーとメルビルの両手がオレンジ色に輝き、操縦桿を掴むと、ハンターウルフとギルラプターエンペラーの身体も輝きだし、両コクピットの中が展開し、そこからキーのようなものが出現した。

 

 「これは…」

 

 それを見たゼオルは驚愕した。

 

 「あれは…あの時とアーサーを相棒にした時にも、あのキーが現れた。」

 

 「メルビルさん、感じます。このキーからハンターウルフとギルラプターエンペラーの強い気持ちが…」

 

 「私も感じる。これなら、戦える。」

 

 「何よ! あのキーは。」

 

 

 キーを握って決意を顕にしたサリーとメルビルはそのキーをそれぞれのコクピットに差し込んだ。

 

 「未来を切り開いて、ハンターウルフ。 本能 解放! ワイルドブラストー!!」

 

 「運命を斬り割け、ギルラプターエンペラー。本能 解放! ワイルドブラストー!!」

 

 「ワイルドブラストしただと!?」

 

 「はん、今更、ワイルドブラストしたところで、結果は同じよ! オメガレックスガントレス、ファイヤー!」

 

 しかし、オメガレックスガントレスの荷電粒子砲が放たれると、ハンターウルフとギルラプターエンペラーは今までと全く違う動きで荷電粒子砲を軽々避け、オメガレックスガントレスに攻撃を仕掛けた。

 

 「ハウリングシャウト!」

 

 「真・瞬擊殺!」

 

 謎のキーによってワイルドブラストしたハンターウルフとギルラプターエンペラーはどれも予測できない動きをし、オメガレックスガントレスのシステムですらも一切読むことが出来ず、ただその攻撃に翻弄されるだけだった。

 

 「何よ! どうなってるのよ、これは!」

 

 それを見たレオたちは唖然としていた。

 

 「マジかよ! あの2人、どっから、あんな力があるんだ!?」

 

 グルル…

 

 「うん、俺も感じるよ。サリーとメルビルさんから感じる強いゾイド因子を。もしかしたら勝てるかも。」

 

 「ギルラプター、狙うのは荷電粒子吸入ファンじゃない。顎よ! あそこはゾイドコアと直結している箇所、彼処を狙えば、オメガレックスを傷つけることなく、コクピットに衝撃を与えてユウトを正気に戻すことが出来る。

 行くよ、ギルラプター。この一撃に全てを込める。真・音速殺!」

 

 ギルラプターエンペラーの第二段階のワイルドブラスト技がオメガレックスガントレスの顎に直撃し、それによってオメガレックスガントレスは体制を崩し、バイザーの光が消え、同時にコクピットにいるユウトの目が正気に戻った。

 

 「ハァッ! 僕は…?」

 

 ギルラプターエンペラーの攻撃が顎に直撃した後、オメガレックスガントレスはそのまま静かに倒れてしまい、ギルラプターエンペラーは倒れたオメガレックスガントレスに立ち寄り、メルビルはコクピットの中の様子を覗いた。中を見ると、正気を取り戻したユウトが目の前のギルラプターエンペラーに気付き、メルビルを見詰めた。

 

 「ハンナ…? 僕は一体何を?」

 

 「ユウト、良かった。戻ってきてくれたのね。」

 

 正気を取り戻したユウトを見て安心したメルビルが歓喜の涙を流したその時、倒れたオメガレックスガントレスの下敷きから抜け出したラストがオーガイノド体に変身した。

 

 「こんなことが許されていいわけがない…ヒューマンオーガイノドであるこのあたしが下等生物ごときに負けるわけがない。あたしはまだ負けていない!」

 

 タイガータイプのオーガイノド体に変身したラストは自分の敗北を認めない最後の悪足掻きとして、自らオメガレックスガントレスと融合し、正気を取り戻したユウトは再びシステムに取り憑かれた目に戻り、再びサリーとハンターウルフ、メルビルとギルラプターエンペラーに荷電粒子砲を撃つ体制に入った。

 

 「そんな、どうして…」

 

 「今度こそ、くたばりなさい! オメガレックスガントレス、ファイ…」

 

 

 その時、レオのライガーとアーサー、ガンナーは瞬時に背後に回り、荷電粒子吸入ファンを攻撃しようとした。

 

 「この時を待っていたぜ!」

 

 「サリーとメルビルが時間を稼いでくれたおかげで、こちらも万全の状態になれた。今まで受けた借りを返してもらうぜ!」

 

 「キングオブバーストキャノン!」

 

 「グングニル!」

 

 「ライジングバーストレーザー!」

 

 ライガーたちの存在に気付いたラストとオメガレックスガントレスは慌ててシールドを展開したが、ライガーたちの同時攻撃がメガシールドを粉砕し、荷電粒子吸入ファンの姿が顕わになってしまった。

 

 「今だ、行け! レオ。」

 

 「ライジンバーストクロー!」

 

 ライガーの攻撃がオメガレックスガントレスの荷電粒子吸入ファンに直撃し、爆発炎上した後、ラストがオメガレックスガントレスの身体から引きずり出され、出たところをギルラプターエンペラーがウィングショーテルで姿を捕らえた。

 

 「ぐっ!」

 

 「あなたの負けです。私たちに投降しなさい。」

 

 「何甘っちょろいこと言ってんの? ここであたしを殺さないと、あんたはあたしに殺されるわよ!」

 

 「私たちは、人の命を奪うために戦っていないわ。この星とこの星に生きる全ての命を守るために戦っているの。例え、人種が違っても、あなたたちヒューマンオーガイノドも私たちと同じ人間です。だから、私はあなたたちも救いたいの。」

 

 「アッハッハッハッハ! お人好しもここまでくると、余りに愚かで笑ってしまうわね。

 そんなあんたなんか、ここで殺したいところだけど、今の衝撃でそんな力は残っていない。精々逃げるのがやっとだけど、こんな無様な姿をプライドに見せるわけにはいかないわ。

 あんたに助けられるぐらいなら、あたしは死んだ方がいいわ!」

 

 「な、何を!?」

 

 その言葉を放った後、ラストは人間体に戻り、ウィングショーテルを掴み、自身の心臓に突き刺し、血しぶきをあげた。

 

 「どうして!?」

 

 「アッハッハッハッハ! でもいいわ。どのみち、あんたたちは逃れられない絶望を目の当たりにするのよ。恐怖に歪んだあんたたちの顔を直接見ることは叶わないけど、地獄で楽しみに待っているわ。アハハハハ!」

 

 ラストの身体から流れた血が灰状になり、同時にラストの身体も石化していき、灰となって消滅し、その中から紫色の光が現れ、その光がドームを飛び出し、そのままゼログライジスの繭に吸収されていった。

 

 「やっとくたばったか。」

 

 「まさに執念の塊のような嫌な女だったが、忠誠心は大したものだったな。

 それにしても、あのキー、俺がいくら調査しても、その正体が全く掴めず、他のゾイドにも前例がないため、てっきりこっちの専売特許かと思っていたが、どうもそうではないみたいだな。オマケに耐Bスーツも着用していないのに、そのリスクも全く受けていないとは、あのキーは一体何なのだ?」

 

 「サリー、凄い! ワイルドブラスト出来たんだ。」

 

 「ありがとう。これもレオのおかげだよ。」

 

 「ぼ、僕は別に大したことやっていないよ。」

 

 「ん? レオ、どうして、顔が赤くなっているの?」

 

 「な、何でもないよ!」

 

 「ユウト、ホントに良かった。」

 

 「ハンナ、ごめん。また、君に心配かけて…オマケにこんな姿を見られてしまうなんて…」

 

 「ううん、そんなことはいいの。私、あなたが生きているだけでも嬉しいの。例え、どんな形でもあなたに会えて良かった。」

 

 「ハンナ…」

 

 その時、突然、巨大な足音と共に壁を突き破ってスナイプテラのような巨大な翼をし、緑色の目をし、赤とピンクを合成したクリアパーツのようなアーマーをしたオメガレックスと同サイズのデスレックスが現れ、オメガレックスガントレスを突き飛ばしてしまった。そしてそのコクピットにはプライドが乗っていた。

 

 「ウワァッ!!」

 

 「ユウト!」

 

 「愚かな、我と同じ地位の者で、我が栄光の神聖ゼネバス帝国のヒューマンオーガイノドがこんな下等生物ごときによって死ぬとは!

 これで、キルデスサイスと共に生産を予定していた量産型オメガレックスの計画が頓挫してしまったではないか。」

 

 「その声は…」

 

 「プライドか!?」

 

 「ふ、まあ、いい。おかげで十分時間は稼いだ。遂に絶対神たるディアベル・ギャラガー陛下の使徒に相応しいこの私のゾイド、絶対神官龍デスレックスフレイムは完成した。そして陛下も。」

 

 「どういうことだ?」

 

 その時、突然、地震が起き、その揺れは世界中に広がり、何かを予兆するようにダイダロスにあるゼログライジスの繭が紫色に輝くと、突然地中に潜行し、何処ぞへと姿を消してしまった。

 

 To be continued




 次回予告

 ユウトをオメガレックスガントレスのシステムからの解放に成功したレオたちの前に立ちはだかったプライドの操るデスレックスフレイム。
 プライドが不敵な笑みを浮かべた時、突然、ダイダロス付近にいたゼログライジスの繭が地中に潜行して、地下のあちこちに金属の根を張り、ロッキー山脈の辺りに移動していき、同時にゼログライジスの復活の前兆かのように地球の各地に異常気象が発生した。
 レオたちは繭を破壊するべく、その場所に向かうが、そこにマクラマカン大佐率いるキルデスサイス隊が、それを阻止するように繭を護衛していた。
 果たして、レオたちはゼログライジスの進化を食い止めることが出来るのか!?

 次回「目覚めし破滅の邪神」走り抜け、ライガー!!

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