ゾイドワイルドクロス アナザーZERO 作:オーガスト・アベラス
ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたゼロメタル帝国の神官プライドとマクラマカン大佐が神聖ゼネバス帝国を誕生させ、神聖ゼネバス帝国の絶対神にして皇帝であるデスザウラーの分身、ディアベル・ギャラガーと古の皇帝龍ゼログライジスが全てのリジェネレーションキューブを取り込み、最強最悪のゾイド、カオスゼログライジスを生み出されてしまう。
果たして、レオたちはカオスゼログライジスに立ち向かうことが出来るのか? そしてこの地球の運命は!?
セードからの暗号通信を受けたレオとゼオルたち、セードの挑戦を受けるか、受けないかで考えていた。
「この状況で決闘だと? あの野郎、今の状況がわかって言っているのか…」
「もしかして、カオスゼログライジスにメタメタにされたショックでヤケクソになっているんじゃないかしら?」
「どちらにせよ、要求に応じるのは危険です。そもそも我々のゾイドは未だ完全に修復されていませんから。」
「最も奴がそれに対して黙ってくれるとは思えないが…」
「行きます!」
その時、声を上げたのはレオだった。
「あいつと戦うのは俺でなきゃいけません。」
「だが、お前のライガーは万全の状態ではない。おそらく奴も同じだろうが、それでも相手はあの破壊龍だ。危険が大きすぎる。」
「いえ、俺もあいつとの決着を付けたいんです。俺は何度も戦ってきました。それにあいつはサリーの弟でもあるんです!」
「レオ、お前とあいつとの因縁は知っている。それだけの因縁があれば、決着を付けたい気持ちはわかる。
だが、お前とライガーはカオスゼログライジスによってかなり身体も精神もかなりやられている。そんな状態で奴と戦うのは無理だ。」
「いえ、行かせてください! あいつを救えるのは俺しかいないんです。」
「レオ、何故、そこまで…?」
「あいつはサリーの弟でもあるんです。ランド博士は救えなかったけど、あいつまで同じような目に逢ったら、もう誰も救うことが出来ない。ユウトを助けたように今度はあいつも助けてやりたいんです! お願いします。」
「なら、俺たちも行かせてもらう。流石に1人では危険過ぎる。」
「いえ、行くのは俺1人にしてください。そうしないと、あいつのプライドを傷付けてしまいます。」
「とはいっても、どのゾイドも全員重傷だ。そんな状態で、ゾイド一体で出撃するわけには…」
「なら、ライガーは俺が修理します! 俺の左腕ならきっと治せます。」
「レオ、待って!」
その時、声を上げたのはサリーだった。
「サリー…悪いけど、この戦いは俺とあいつとのケジメだ。君も連れていくことは出来ない。」
「わかってるわ。例え、私が一緒に行きたいと言っても、レオがそれを引き留めることぐらい…なら、私は私の出来ることをするだけ。ライガーは私とお爺さんが治してあげる。」
「サリー…」
「とはいえ、今からでは奴が指定した約束の時間までにはとても間に合わない。」
「だったら、私に考えがある。」
「考え?」
イージスバレーを境目にしてセードとジェノスピノⅢAが静かにじっと待っていた。
「約束の時間だ。ふん、どうやら、こっちが与えた猶予は奴等に取っては短かったようだな。ん?」
気付くと目の前にあるゾイドが姿を現し、セードとジェノスピノⅢAの前に現れ、そのコクピットにはレオが乗っていた。
だが、レオが乗っていたのはライガーデイズではなく、サリー仕様ハンターウルフだった。
「どういうつもりだ? こちらの決闘を申し込んで来てくれたかと思いきや、ライガー以外のゾイドに乗り換えるとは…
そうか、やはり、ライガーの傷はこちらが思っている以上に酷いもののようだ。だが、その程度のゾイドごときでこの俺に立ち向かえるとでも?」
「これは、サリーのハンターウルフだ!」
「サリーの? ああ、あの一緒にいた腰巾着の女か。まさか、そいつがゾイドを持つようになるとは…そしてその女のゾイドに乗り換えるということは、俺の説得にでも来たつもりか?」
「口で言っても通じないことは、俺もわかっている。なら、俺はお前の決闘を受け入れ、この戦いでお前を説得する。それが俺なりの対話だ。」
「ふん、あのカオスゼログライジスとやらの戦いで、精神もボロボロになったのかと危惧していたが、その心配はなかったようだな。だが、ライガー無しでまともに戦えると思っているのか?」
「このハンターウルフは今までサリーの窮地を救ってくれた大事な相棒だ。
サリーが敢えて俺にその大事な相棒を貸してくれたのは、サリーとの約束なんだ。」
レオがサリー仕様ハンターウルフに乗るようになったのはセードとの決闘の場所に向かう1時間前に遡る。
「ハンターウルフを貸すだって!?」
「そんな…ハンターウルフはサリーの大事な相棒じゃないか。いくらなんでもそれに乗ることは出来ないよ。」
「いいえ、むしろあなたに乗って欲しいの。今のライガーは傷が酷くてとてもあのジェノスピノとは戦えない。今、戦える状態にあるのは私のハンターウルフとメルビルさんのギルラプターエンペラーしかいないの。」
「でも!」
「これはお願いなの。私はセードが弟だということに気付けず、あの子の心を癒すこと無く、お父さんを殺してしまう罪を犯させてしまった。
でも、あの子はあんな悪い子じゃない。これ以上罪を被せないためにも、あの子を助けたいの。だから、お願い! あの子を救って。」
「サリー…わかった。ユウトを助けたように、今度はあいつも助ける。」
「サリーはただ、じっと見守っているだけじゃない。彼女も戦っている。だから、俺はこのハンターウルフと共に戦う!」
「ふん、仲間の絆か愛とやらか…だが、いくら口で仲間だ、家族だと連呼してもそれは一瞬のこと。それが永遠に続くことはない。
時が経てば、いつかは裏切り、裏切られることになる。結局、現実の中で一番信じられるのは自分だけなのだ。」
「そんな…じゃあ、今のお前の相棒であるジェノスピノは何なんだ? 道具だって言うのか!?」
「こいつは、俺と同じゾイド因子を持った分身だ。貴様の言う相棒や仲間という浅はかな枠に入るようなものではない。こいつの意思は俺と同じだ。そして俺はこいつと共にこの狂った世界の全てを破壊する。」
「そんなことさせるか! 行くぞ、ハンターウルフ!」
レオの乗るサリー仕様ハンターウルフはソニックブースターを加速してジェノスピノⅢAに真正面に向かっていった。ジェノスピノⅢAはサリー仕様ハンターウルフを捕まえようと前足を差し出したが、サリー仕様ハンターウルフは咄嗟にそれを避け、一瞬の内にジェノスピノⅢAの背後に回った。
「ハンターウルフ、本能 解放! ワイルドブラスト-!! ハウリングシャウト!」
サリーから預かったキーを差し込んでワイルドブラストを発動したサリー仕様ハンターウルフはジェノスピノⅢAのジェノソーザーを破壊するために攻撃したが、ジェノスピノⅢAはソーザーバルカンで迎撃した。
ジェノスピノⅢAは尻尾でサリー仕様ハンターウルフを凪払うが、サリー仕様ハンターウルフは直ぐ様体制を立て直し、再びソニックブースターで加速して回り込み、ジェノスピノⅢAの頭部に体当たりした。
しかし、ジェノスピノⅢAには通用せず、ジェノスピノⅢAはサリー仕様ハンターウルフを突飛ばし、更にヘッドキャノンで追い討ちをかけた。
「やはりな、お前はライガーに乗ることに慣れているため、同じ感覚で乗っているだけに過ぎない。
そもそもライガーとハンターウルフは同じ4足歩行型ゾイドで、どちらも機動力はあるが、あくまでライガーはパワータイプ、対してハンターウルフはスピードタイプ、つまりパワーでは貴様には到底勝ち目はないということだ。」
「それでも構わない。このハンターウルフにはサリーの魂が宿っているんだ。離れていてもサリーはここにいる。だから、俺は負けない!」
「なら、やってみせろ。」
同時刻、ニューホープの軍事基地で、サリーはボーマン博士やクリスタと共に、急ピッチでライガーデイズの修復に当たっていた。
「待ってて、レオ。必ず間に合わせるから。」
グルル…
ライガーデイズの傷の修復に一生懸命作業をしているサリーをライガーデイズは心配そうに見詰めていた。
「大丈夫よ、ライガー。レオは負けない。そして必ずあなたをレオの元に送ってみせる。」
レオの乗るサリー仕様ハンターウルフは持ち前の機動力を活かしてジェノスピノⅢAに攻撃を当てようとしたが、悉く全て阻止され、ハンターウルフはグロッキー状態になり、傷もジェノスピノⅢAより多くなっていった。
「うぐっ!」
「ようやく決着を付けられると思ったのに、とんだ期待外れだったようだ。なら、そろそろ終わりにしてやる。
ジェノスピノⅢA、兵器 解放! マシンブラスト-!! ジェノサイドクラッシャー!」
ジェノスピノⅢAのジェノソーザーがサリー仕様ハンターウルフに直撃しようとしたその時、
「止めて~!!」
その時、突然、ライガーデイズが現れ、ジェノスピノⅢAに体当たりし、それによってジェノソーザーの向きが外れ、ジェノスピノⅢAは転倒してしまった。
現れたライガーデイズはカオスゼログライジスによって受けた傷が無くなり、完全に修復されていた。
「ライガー…来てくれたのか!」
「お待たせ、レオ。」
「その声は…サリー…サリーなのか!? どうして君が!」
「少しでも、レオの役に立ちたいの。それにライガーだって何度も私を助けてくれたから、そのお礼もしないとね。」
「サリー…」
「ようやく来たか。しかし、ライダーが違っては張り合いが無いな。」
「ピーター! いえ、セード。もうこんな無意味な争いは止めて。私たちにあなたと戦う理由はないわ!」
「理由だと? 戦いに元々意味はない。戦い続けることこそが俺の生き方だからな。」
「あなたがお父さんを殺したことは許されることじゃない。でも、そのお父さんはもういない。これ以上憎しみを広げる必要なんてない。」
「いや、俺は憎しみを広げているのではない、俺は戦いを広げているのだ。戦いこそが全ての生物の生きている証、そして戦う者の姿は自由であり、それこそが人間の、ゾイドのあるべき姿なのだ。」
「戦いからは何も生まれない。永遠に戦い続ければ、永遠に安らぎの時は来ないのよ。」
「違う、それは戦う精神を忘れ、人間としての有方を捨てた愚か者の考えだ。
人やゾイドの歴史は常に生と死を隣り合わせにした血濡れた戦いの歴史だ。だが、それは決して虚しいことではない。人が戦うのは自由を求め、生きるためのものだ。それによって人は己の存在意義を見出だし、生の実感を得ることが出来る。
だが、戦いを忘れた者は弱者となり、ただ強者に支配される道を選ぶしかなく、強者は愚かな欲望を持って他の者を虐げ、今のような狂った世界を生み出した。
なら、そんな世界などいらない。戦う意思を忘れ、他を虐げる人間など、滅びる運命なのだ。 ジェノサイドクラッシャー!」
ジェノスピノⅢAのジェノソーザーを間一髪で避けるライガーデイズとサリー仕様ハンターウルフ、
「やっぱり、セードを説得することは出来ないの?」
「だったら、目を覚ませてやるだけだ。ライガー!」
グルル…
レオの呼び掛けに応じたライガーはサリー仕様ハンターウルフに寄り添い、レオはハンターウルフのコクピットから降り、直ぐ様ライガーデイズのコクピットに乗り移った。
「サリーはウルフに乗って離れて!」
「レオ、大丈夫なの?」
「俺なら、大丈夫。あいつは俺が助ける。」
「わかったわ。」
「行くぞ、ライガー!!」
グオォ~!!
レオの言葉に応えるようにライガーデイズは目一杯吠え、イグニッションブースターを加速してジェノスピノⅢAに向かっていった。
「俺を助ける…か。相変わらず甘い考えで反吐が出る。ジェノサイドクラッシャー!」
ジェノスピノⅢAがライガーデイズを両断しようとジェノソーザーを振り回し、それがライガーデイズに直撃したが、突然、レオの左腕とライガーデイズの身体が光輝き、ジェノスピノⅢAのジェノソーザーを何と軽くはね除けてしまった。
「何? バカな!」
「何の小細工かは知らんが、そんなもので本気で俺とやり合うつもりか!?」
ジェノスピノⅢAが今度はロングキャノンを放とうとしたその時、ライガーデイズは取り出したナイトソードでジェノスピノⅢAのロングキャノンを斬り裂いてしまい、更にイグニッションブースターの加速が更に高まり、ジェノスピノⅢAに体当たりすると、ジェノスピノⅢAはその強烈な衝撃で吹っ飛ばされてしまった。
「どういうことだ!? 今までとは丸で明らかにレベルが違う! まさか…奴はその守る意思と仲間や相棒の絆とやらで強くなっているのか? そんな考えで俺が押されるだと! ふざけるな~!!」
ジェノスピノⅢAは通常より強力で一万度以上の温度を持つ火炎放射を放ち、ライガーデイズはそれを諸に受けてしまった。
しかし、ライガーデイズの身体の輝きが更に増し、火炎放射によってアーマーが溶解するどころか、その火炎を逆にその光によって消火させていった。
「何!?」
その様子をゼオルやボーマン博士たちはニューホープの軍事基地の映像で見ていた。
「これは一体どうなっている?」
「そうか! レオとライガーデイズのゾイド因子は邪悪なゾイド因子を正常なゾイド因子に変える力がある。それが彼のセードを助けたいという思いが相乗効果となってジェノスピノⅢAをも凌駕する力に変えたのだ。」
「スゲェぞ、レオ! そのまま突っ走れ!」
「レオ、いっけ~!!」
火炎を消火しながら、ライガーデイズはジェノスピノⅢAに急接近し、ライガーデイズは攻撃の体制を構えた。
「行くぞ、ライガー! ライジングバーストクロー!!」
ライガーデイズのエヴォブラスト技がジェノスピノⅢAに直撃し、ジェノスピノⅢAは火炎放射とロングキャノンを初めとした全ての兵装を破壊され、そのまま倒壊したビルに吹っ飛ばされ、ライガーデイズが倒れたジェノスピノⅢAの喉元にナイトソードを突き付けた。
「この俺が負けただと…」
しかし、ライガーデイズはナイトソードを降ろし、一歩下がってそれ以上攻撃しようとしなかった。
「何故、止めを刺さない?」
「止めを刺す必要なんてない。そんなことしたら、サリーが悲しむ。」
「ふ、相変わらず甘い奴だ。そんな思想では、あのカオスゼログライジスに到底勝つこと等無理な話だ。ふん!」
その時、セードの右腕が紫色に発光すると、ジェノスピノⅢAの全身も紫色に輝きだし、ライガーデイズの攻撃によって破壊された兵装や傷が全て一瞬の内に修復され、戦う前の姿に戻って再び立ち上がった。その様子を見たボーマン博士は何か既視感を感じた。
「あの輝きは…まさか!」
「フフフ…」
「そんな…」
「さあ、第二ラウンドを始めようか。」
その時、突然、ニューホープの軍事基地中に警報が鳴り始めた。
「緊急警報です! おびただしい数のゾイドが真っ直ぐこのニューホープに向かっています!」
「何? まさか、世界各地で暴れているゾイドがここに来たのか!」
「いえ、違います。この反応はキルデスサイスです!」
「キルデスサイスだと!」
「数え切れない程の無数のキルデスサイスが真っ直ぐこちらに向かっています!」
「何だと!?」
空を多い尽くすおびただしい数のキルデスサイスが上空を飛行し、ネオヘリックとニューホープに向かって進んでいき、その先頭にはマクラマカン大佐の乗るキルデスサイス隊長機がいた。
「覚悟するがいい。共和国の最後の生き残りよ。貴様らの首都が死に場所だ。」
To be continued
次回予告
突然、現れた無数のキルデスサイス隊、旧帝国軍の残党と共和国軍、そしてデュークナイツによる合同軍がこれを迎え撃つが、その圧倒的な物量差で合同軍は一気に追い込まれた。
そんな中、ユウトは自らの罪を償うためにオメガレックスガントレスを出撃し、それに立ち向かうが、苦戦を強いられてしまう。
だが、しかし、脅威はキルデスサイスだけでなく、更なる強化を果たしたプライド専用デスレックスも待ち受けていた
次回「キルデスサイスの猛襲」走り抜け、ライガー!!