ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・アベラス

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
 しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたゼロメタル帝国の神官プライドとマクラマカン大佐が神聖ゼネバス帝国を誕生させ、神聖ゼネバス帝国の絶対神にして皇帝であるデスザウラーの分身、ディアベル・ギャラガーと古の皇帝龍ゼログライジスが全てのリジェネレーションキューブを取り込み、最強最悪のゾイド、カオスゼログライジスを生み出されてしまう。 
 果たして、レオたちはカオスゼログライジスに立ち向かうことが出来るのか? そしてこの地球の運命は!?


第78話「キルデスサイスの猛襲」

 ニューホープにある旧帝国軍が停留する基地、そこで回収されたオメガレックスガントレスの修復が行われ、そこにメルビルも加わり、ユウトの看護も行っていた。 

 ユウトは四肢を切断され、脳と心臓も全てコードに繋がれ、オメガレックスガントレスのコクピットと完全に一体化していたため、完全な処置は出来なかったが、それでもメルビルが付添になって必死に看護した。

 

 「これなら、なんとかなるわ。ごめんね。私の力ではこんなことしか出来なくて…」

 

 「ううん、いいよ。むしろ謝るのはこっちの方だよ。自分の罪を償うためにプライドと戦ったのに、無様な敗北を晒してオマケにハンナにこんな身体を見せられてしまうなんて…」

 

 「そんなことない。私、あなたが無事ならそれでいいの。例え、どんな形であれ、あなたはこうして生きている。私はそれだけで嬉しいの。」

 

 「ハンナ…今までこんなことは言わなかったけど、君にとって僕は一体何なんだ?」

 

 「あなたは私の家族よ。」

 

 「家族?」

 

 「孤児でずっと1人だった私を向かえてくれたあなたは私にとって大事な人、お父様の養子となった後もあなたは私を本当の兄妹のように接してくれた。あなたは私の大事な家族よ。」

 

 「でも、僕は一度はランドを殺そうとした。そんな僕を許してくれるのかい?」

 

 「お父様の罪は許されることじゃないけど、あなたはお父様のようにはならなかった。だから、あなたを恨むことなんてないわ。」

 

 「ハンナ…」

 

 その時、基地内に警報が鳴り、それにユウトとメルビルも気付いた。

 

 「この警報は…」

 

 「多数のキルデスサイスがこちらに急接近、全ての者は各自警戒態勢を取れ!」

 

 「キルデスサイスだって!」

 

 

 

 

 

 

 

 ニューホープの司令部でも、ゼオルたちはニューホープとネオヘリックに近付くキルデスサイス隊を映像で見ていた。

 

 「くそっ、只でさえ、外の状況も厄介だってのに! こちらに向かうキルデスサイスは一体どれぐらいの規模だ?」

 

 「監視隊の報告から推定すると、およそ60万以上はいると思われます。」

 

 「60万だと!?」

 

 「おいおい、それだけの数がこちらに向かっているっていうのかよ!」

 

 「アドリア王国軍は、現在、各地で暴れているゾイドの制圧に手一杯のため、援軍は送れない状態にある。今いる我々の戦力で迎え撃つしかないか…」

 

 「しかし! この数相手にするなんて…」

 

 「それでも、やるしかない。首都を壊滅させたら、俺たちは終わりだ。我々は出来るだけ敵を食い止めるしかない。」

 

 「市民の避難はどういたしましょうか?」

 

 「首都の外は地殻変動でどこも危険な状態だ。かといって、軍事基地では全ての市民を入れるには狭すぎる。何処か地殻変動の影響を受けない安全な場所があればいいのだが…

 そうだ! ネオヘリックにある移民船なら、全ての市民を入れられるか!?」

 

 「移民船の規模なら、ギリギリでも入れると思います。」

 

 「よし、ならば、市民たちを移民船に避難させ、その後、移民船を起動してニューホープに移動させる。

 そして、ニューホープにいる全ての軍をネオヘリックに移動して、そこでキルデスサイスを迎え撃つ!」

 

 「ですが、キルデスサイスがこちらに到着するまでには後、30分です。それまでには全ての市民を移民船に入れるのは不可能と思われます。

 それに、移民船はオメガレックスの襲撃の時にマグネッサーウィングが大破され、飛行どころか動かすことすらままなならない状態となっています。」

 

 「スナイプテラで運搬するしかないか。」

 

 「ですが、あの規模のものを運ぶには相当の数が必要です! ましてや、飛行ゾイドが戦闘に入れない状況になると、益々不利になります。」

 

 「だが、あのままにしておけば、間違いなく敵の標的になる…くそっ、どうすれば…」

 

 「御心配には及びません。」

 

 その時、司令室である者の声が上がり、その主はバスキア大尉とバスキア中尉だった。

 

 「バスキア大尉に中尉! 一体何をしていた?」

 

 「実は我々があのカオスゼログライジスとキルデスサイス攻略を模索している中、ある者から通信が入り、このデータを渡されました。」

 

 「ある者から? 一体誰だ?」

 

 バスキア中尉はあるデータをゼオルに渡し、そのデータを見たゼオルは驚愕した。

 

 「こ、これは…!」

 

 「シーガル中佐がダイダロスに侵入した時に入手したキルデスサイスの性能の全てがそれに入っています。最もカオスゼログライジスの性能までは入手出来なかったそうですが…

 しかし、我々はそのデータを基に対キルデスサイス用のクワガノスの開発に着手し、その開発に成功しました。」

 

 「実戦投入は出来るのか?」

 

 「最終調整は終わっていませんが、それでも微調整ですので、問題はないかと。」

 

 「よし、ならば、キルデスサイスはそのクワガノス隊に任せる。残り全てのスナイプテラは全市民が移民船に入り次第、運搬の準備に回れ。」

 

 「といっても、キルデスサイスがこちらに到着するまでに、市民を完全に避難させるには間に合わないかと…」

 

 「なら、クワガノス隊と地上部隊で時間を稼ぐしかない。全部隊に命令を!」

 

 「り、了解致しました。」

 

 「(だが、どういうことだ? カオスゼログライジスで直接攻めればいいはずなのに、まさか、俺たちをおちょくっているというのか?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キルデスサイス隊長機に乗るマクラマカン大佐率いるキルデスサイス隊がニューホープとネオヘリックに向かったという報告はニューホープにあるアイセルからの通信を受けたサリーに伝わり、もちろんそれはレオやセードも知れ渡った。

 

 「そんな…キルデスサイスの大軍が共和国の首都に…」

 

 「くっ、どうすれば…」

 

 「行くのか? 俺との決闘を放り出して?」

 

 「それは…」

 

 セードの言葉にレオは何も言い返せないでいた。

 

 「ふん、だが、決闘を途中で放り投げる奴は許さない。ジェノサイドクラッシャー!」

 

 その時、ジェノスピノⅢAのジェノサイドクラッシャーを遮るように何処からか何者かの砲撃を受けた。現れたのはゼロメタル四天王のバーニングキメイラ、ディメパルサーキメイラ、ゼーゲキメイラ、メタルレイザーだった。

 

 「貴様ら!」

 

 「へへへ、お楽しみ中だが、皇帝陛下の命令で貴様らを排除しろと言われたのでね。ここで死んでもらうぞ。」

 

 「出撃出来なかった分、たっぷり暴れさせてもらう!」

 

 「あ~あ、メンドクセ~。さっさと終わらせようよ。」

 

 「レオとライガー、今度こそ覚悟してもらうぞ。」

 

 「ふん、返り討ちに遭うのは貴様らの方だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 共和国首都ネオヘリックでは、ギレル少佐とディアス中佐の乗るグライノスホーンとツガミ大尉の乗るステゴゼーゲ改、スピーゲル中佐の乗るドライパンサーを初めとしたデュークナイツと共和国軍の地上部隊が市民を移民船に誘導しながら警戒体制を取り、リュック大尉率いる旧帝国軍は既に攻撃体制に入っていた。

 

 移民船に待機しているクレストウッド大統領、ギャレット大将、ハント大佐はその様子を見、状況を確認するためにディアス中佐とギレル少佐と通信を開いた。

 

 「ディアス中佐、ギレル少佐。現在の状況は?」

 

 「着実に市民を移民船に避難させているのですが、予想以上に数が多く、とても間に合わないと思います。」

 

 「となると、市民も戦闘に巻き込まれる事態は避けられないということか!」

 

 「頼みの綱はバスキア大尉の造ったクワガノスに期待するしかない。」

 

 「大統領、大統領はニューホープに避難を。後は我々にお任せください。」

 

 「いや、私もここに残る。」

 

 「ですが! 大統領。」

 

 「市民の避難が完全に完了してもいないのに、この私1人だけおめおめと逃げるわけにもいかない。」

 

 「しかし、大統領に万が一のことがあれば…」

 

 「その時はその時だ。どちらにせよ、首都を陥落するば、この国は終わりだからな。」

 

 「わかりました、出来るだけのことはやります。」

 

 「首都前方に無数のゾイド反応が…キルデスサイスです!」

 

 

 兵士の報告通り、ネオヘリック上空を埋め尽くすように無数のキルデスサイスが現れた。それを見たリュック大尉は旧帝国軍に攻撃命令を下した。

 

 「来たぞ! 全軍、マシンブラストを発動、キルデスサイスを全て蹴散らせ!」

 

 リュック大尉の命令を受け、リュック大尉のキャノンブルを初めとした旧帝国軍の全てのゾイドは全てマシンブラストを発動し、一斉に砲撃を開始した。同時に市民を誘導していたディアス中佐とギレル少佐の乗るグライノスホーンを初めとしたデュークナイツと共和国軍による合同軍もエヴォブラストを発動、キルデスサイス隊に砲撃を開始した。

 合同軍の砲撃によって次々とキルデスサイスを撃墜していくが、キルデスサイスの数は合同軍の数十倍もいて、いくらキルデスサイスを落としても上空を覆うキルデスサイスの数が減る気配がなく、こちらの弾が切れるのは最早、時間の問題となっていた。

 

 そしてキルデスサイスの大軍にマクラマカン大佐の乗るキルデスサイス隊長機がいて、マクラマカン大佐はその様子を傍観していた。

 

 「敵の数はざっと4万、デュークナイツのギルラプターLCとグライノスホーン、アーサー以外は旧帝国と共和国の旧式ゾイドか。

 少し、物足りないが、キルデスサイスの力を思う存分見せるための生け贄となってもらおう。我が神聖ゼネバスのために。」

 

 マクラマカン大佐は確認したゾイドのデータをキルデスサイス無人機に入力し、そのプログラムを受けたキルデスサイス隊は合同軍に真っ先に向かってマシンブラストを発動し、一斉に攻撃した。

 合同軍も負けじとキルデスサイス隊を蜂の巣にするように砲撃を仕掛けるが、キルデスサイスは数に物をいわせて攻撃を仕掛けてきたため、流石の合同軍も全てを防ぐことが出来ず、一体がキルデスサイスに群がれ、段々と合同軍が押されていった。

 

 「バズートル隊、10機大破!」

 

 「スティレイザー隊も8機損傷だ!」

 

 「くそっ、これではキリがない! 援軍はまだか?」

 

 その時、リュック大尉の目の前に狙いを定めたキルデスサイスが現れ、キャノンブルはすかさず砲撃を仕掛けるも、キルデスサイスはそれを上回る反応速度を出し、キャノンブルのコクピットの前まで来てしまった。

 

 「しまっ…」

 

 リュック大尉が死を覚悟したその時、突然、何処からか別の砲撃がキルデスサイスを破壊し、合同軍を襲ったキルデスサイスも次々と破壊されていった。

 現れたのはバスキア大尉のクワーガファイアボンバーとバスキア中尉のクワーガスカイステルス率いる水色をしたクワガノス隊だった。

 

 「クワガノス隊、エヴォブラスト発動!」

 

 バスキア大尉の命令を受け、クワガノス隊は一斉にマシンブラストを発動してキルデスサイスに勝るとも劣らない反応速度でキルデスサイスを潰していった。それを見たマクラマカン大佐は、

 

 「何だ? あのクワガノスは…共和国の新型か。 ま、どちらにせよ、所詮は弱小国家のゾイド、大したことはない。」

 

 マクラマカン大佐はバスキア兄妹率いるクワガノス隊も潰すべく、クワガノスも入力するが、どういうわけか、バスキア兄妹の率いるクワガノスのデータはキルデスサイス隊長機のコクピットには入っておらず、エラーが起きてしまった。

 

 「?? 該当するデータがないだと…バカな、旧帝国と共和国、デュークナイツ、アドリア王国のゾイドのデータは全て入力されているはずなのに、まさか!」

 

 

 クワガノスのデータを入力することが出来ないため、キルデスサイス隊はバスキア兄妹率いるクワガノス隊に攻撃することが出来ず、いくら攻撃されても隊長機の指定した目標にしか攻撃出来ないため、反撃出来ない状態になっていた。

 

 「兄さん、これは…?」

 

 「流石はシーガル中佐だ。帝国のキルサイスが万が一、敵の手に渡った場合のことを想定し、マクラマカンに悟られないよう、予め帝国仕様のクワガノスの開発を行い、そのデータを密かに保存していたとは…

 確かにあのキルデスサイスは強い、だが、あれはプログラムが固定されているため、有人機と違って融通が利かない。それを利用したのか。」 

 

 

 「そうか…シーガルの奴か。こちらが入手していないゾイドのデータを密かに持ち、対キルデスサイス用として共和国に献上したのか。

 ふん、相変わらずあの真帝国の出来損ないの准将とは丸で違うな。だが、その程度でこのキルデスサイスを攻略できたと思っているのか?」

 

 マクラマカン大佐は再びコクピットに自身の乗る隊長機を入力すると、キルデスサイス無人機は突然、クワガノス隊にも攻撃を仕掛けた。

 

 「何!?」

 

 キルデスサイスがクワガノス隊に攻撃したことに驚きを隠せないバスキア兄妹、

 

 「バカな! データの入っていないクワガノス改にはキルデスサイスは攻撃できないはず…一体、何故?」

 

 同時にキルデスサイス無人機はクワガノス改だけでなく、移民船に避難していく市民たちにも容赦なく発砲し、次々と襲いかかっていき、突然のことに市民たちはパニック状態に陥り、入り乱れてしまい、それを見たクレストウッド大統領たちも驚愕した。

 

 「市民にまで攻撃対象になっているだと! 一体、どういうことだ? バグか!」

 

 「そうか、そういうことか!」

 

 「どういうこと? 兄さん。」

 

 「奴め、自分以外の者全てを攻撃対象にするよう、プログラムを書き換えたんだ。」

 

 「え、それって、つまり…」

 

 「そう、奴以外なら、例え、データに入っていないゾイドも当然攻撃対象になる。そしてその対象は無差別に狙われる。」

 

 

 バスキア大尉は移民船にいるクレストウッド大統領たちに報告し、クレストウッド大統領たちはその事実に驚愕した。

 

 「自分の乗るゾイド以外を攻撃対象にすることによって、データに入っていないクワガノス改にも攻撃出来るようになったということか。」

 

 「奴の乗る隊長機以外は全て攻撃可能…だから、市民もお構いなしに攻撃してきたのか! しかし、そんな非人道的なことをするなんて…」

 

 「奴め、心も神聖ゼネバスに染まったのだ。」

 

 

 

 

 

 「フフフ、データに入っていないゾイドを攻撃出来ないなら、プログラムを変えればいいだけのこと。大した対策にすらならん。

 さて、お遊びはそろそろ終わりだ。あの目障りな揺りかごも落として貰わなくてはな。共和国の最後として。」

 

 

 街中からキルデスサイス隊長機は移民船に向かい、近くまで来ると、触覚のツインレーダーアンテナが大気中の荷電粒子を吸収し、荷電粒子砲を放つ体制に入り、キルデスサイス隊長機の放った荷電粒子砲が移民船に直撃した。

 

 「何だ!? 何が起こった?」

 

 「荷電粒子砲が移民船に直撃しました!」

 

 「荷電粒子砲だと!?」

 

 その後もキルデスサイス隊長機は荷電粒子砲を放ち、移民船を墜落させようと試み、それに気付いたコリンズ中将が自らギレル少佐のスナイプテラに搭乗して移民船の運搬を担当していたスナイプテラ隊もキルデスサイス隊長機に攻撃するも、隊長機以外は全て攻撃、破壊せよとのプログラムを受けたキルデスサイス無人機はコリンズ中将率いるスナイプテラ隊にも狙い、コリンズ中将たちはキルデスサイス隊長機に攻撃することが出来ない状態になっていた。

 

 「無駄なことだ。貴様らごときでは、この私に指一本触れることすら出来ない。ん?」

 

 その時、突然、地響きが鳴り、地面からオメガレックスガントレスが現れ、キルデスサイス隊長機の前に立ち塞がった。

 

 「何のつもりだ? ギャラガー陛下の器になれなかった失敗作の貴様に出る幕はない。どいてもらおうか。」

 

 「あんた、こんなことして楽しいのか? こんなゲームのような戦争で…」

 

 「ほぅ、意外だな。人形の癖にそんな感情を持つようになったとはな。やはりあの真帝国の皇帝などになった甘っちょろい女の影響か。まさか、ここまで失敗作になるとはな。愚か者の極みとはまさにこのことだ。」

 

 「お前、本気で言っているのか? あんたや神聖ゼネバスのやろうとしていることはただの破壊と殺戮だ。」

 

 「ふん、破壊といっても我々のはあくまで新たな秩序を築くための破壊だ。そのためには犠牲も必要。

 地球には犠牲なくして勝利なしという言葉がある。最もそれは惑星Ziとて例外ではない。だが、それもいずれ我が神聖ゼネバス帝国が世界を統一した暁にはな。」

 

 「そんなに、あのディアベル・ギャラガーが絶対だっていうのか…僕はそんな奴の器、生け贄となるために生かされたのか…」

 

 「今更何を言ってやがる。貴様はそのためだけに生まれて生きてきたのだ。だが、その役目が終わった今、もうお前に用はない。」

 

 怒りを露にしたユウトに従って、オメガレックスガントレスが速射砲をキルデスサイス隊長機に向けたその時、キルデスサイス無人機がそれを察知して次々とオメガレックスガントレスに向かっていった。

 オメガレックスガントレスは武装で近付いていくキルデスサイスを破壊していくが、オメガレックスガントレスで対処することができず、キルデスサイス無人機は足を伝ってオメガレックスガントレスに群がっていき、一瞬の内でオメガレックスガントレスの身体はキルデスサイスで埋め尽くされてしまった。

 オメガレックスガントレスの身体に纏わりついたキルデスサイスは電磁サイスとチェーンソーナイフでオメガレックスガントレスの装甲を斬り刻んでいった。

 ドクターマイルスと神聖ゼネバス帝国の技術でパワーアップしたこともあって、そう簡単にボロボロになるような装甲ではなかったが、オメガレックスガントレスの身体がキルデスサイスによって切り裂かれるのは時間の問題となった。

 数多のキルデスサイスに纏わりつかれ、装甲を切り裂く様はオメガレックスガントレスにもかなりの苦痛を示し、オメガレックスガントレスのゾイドコアと直結していたユウトにもその苦痛は伝わっていった。

 

 「ぐっ、グワァ~!!」

 

 ギャオォ~!!

 

 オメガレックスガントレスは纏わりついたキルデスサイスを取っ払うべく、あちこちのビルにぶつけていったが、キルデスサイスは離れる様子がなく、次々とネオヘリックの街が破壊されていくだけだった。流石のオメガレックスガントレスも疲れはてたのか、遂に倒壊したビルの瓦礫で倒れてしまった。

 

 「ふ、元々オメガレックスの尖兵だったキルサイスに処刑されるようになるとは、何とも皮肉な構図だ。これで完全に奴も終わりだな。ん?」

 

 キルデスサイス隊長機が再び移民船に荷電粒子砲を撃とうとしたその時、何処からか白銀のキルサイスが現れ、キルデスサイス隊長機に飛び掛かってそのままビルの瓦礫に激突した。

 

 「このキルサイスは…シーガルか!」

 

 「マクラマカン! 今度こそ討ち取ってもらう。この私の手で!」

 

 「貴様の手でだと!? 笑わせてくれる。貴様ごときに何が出来る! 貴様の用意したクワガノスも全く意味がないというのに。」

 

 「それぐらいは想定済みだ。なら、隊長機である貴様を破壊すれば、無人機は命令を下すものがいなくなり、何も出来なくなる。」

 

 「クワガノスは囮だというのか?」

 

 「そうだ、貴様を群れから離すためにな。」

 

 「勝てるというのか! この私に、士官学校ではこの私に敵わなかった貴様が。」

 

 「過去のことなど、どうでもいい! もう私はあの時の私でも真帝国のシーガルの弟でもない。

 帝国に忠誠を誓うシーガルというただ1人の男だ!」

 

 「愚かな…あんなごときに忠誠を誓うとは。ただのじゃじゃ馬娘を皇帝にした弱小帝国よりも、我が神聖ゼネバス帝国につけば、貴様は愚かな反乱軍にならなかったというのに。」

 

 「確かに、お前からしたら弱小国家かもしれない。だが、帝国は私に生きる意味を教えてくれた。それに帝国は私の故郷だ。故郷を守るのは軍人としてあるべき姿なのだ。」

 

 「ただのノスタルジーか。いいだろう。そこまで言うなら、望み通り、帝国と共に葬ってやる!」

 

 

 

 

 マクラマカン大佐のキルデスサイス隊長機とシーガル中佐の白銀キルサイスが交戦する中、コリンズ中将率いるスナイプテラ隊はキルデスサイスを撃墜することに手を焼き、更にキルデスサイスは移民船にも攻撃を加える等、事態は更に悪化していった。

 

 「キルデスサイス、移民船内部にも潜入! マグネッサーウィングにも攻撃を仕掛けています。このままでは墜落してしまいます!」

 

 「くそっ、最早我々に打つ手はないということか。」

 

 「大統領、もうこれ以上は限界です! 大統領だけでもご避難を。」

 

 「いや、私はこの船と運命を共にする。」

 

 「大統領!」

 

 「この船には多くの市民たちがいる。どうしておめおめと私1人だけ逃げられるというのだ?」

 

 「しかし!」

 

 「巨大なゾイドがこちらに向かっています!」

 

 「何!?」

 

 映像が入ると、移民船に近付いてきたのはビッグウィングで、そこにゼオルとフィオナ、ハワード宰相がいた。

 

 「ビッグウィング! 何故、ここに? あれは帝国にあったんじゃなかったのか?」

 

 「万が一の場合に備え、宰相殿に予め、ビッグウィングをニューホープに移動させたのだ。おかげで神聖ゼネバスに奪われることはなかったがな。」

 

 「大統領、早く共和国市民皆さんと共にこちらへ!」

 

 「大統領、いかがなさいます?」

 

 「よし、全員、ビッグウィングに乗り移れ。」

 

 「閣下!」

 

 「何だ?」

 

 「強力な高エネルギー反応がこちらに向かっています!」

 

 兵士の報告を示唆するように突然、山の向こう側から巨大な弾がビッグウィングの方翼に直撃し、爆発炎上し、ビッグウィングはそのまま墜落してしまった。

 

 「ウワァ~!!」

 

 「何だ? 一体何処から攻撃が!」

 

 

 

 

 

 ビッグウィングに砲撃した方向にはロングレンジバスターキャノンを装備し、アーマーが紫色になり、牙と足の爪が金色に変わったプライドの乗るデスレックスが待ち構え、その周りには巨大なミサイルを装備したスナイプテラ隊とディメパルサー、ディロフォス隊がいた。

 

 「さて、終焉を始めようか。」

 

 To be continued




 次回予告

 マクラマカン大佐のキルデスサイス隊に加え、カオスゼログライジスの力によって更なる強化を果たしたプライド専用デスレックスによって一気に追い詰められた合同軍、そんな中、シーガル中佐はマクラマカン大佐を討つべくある必死の覚悟をする。

 次回「シーガル中佐の覚悟」走り抜け、ライガー!!
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