ゾイドワイルドクロス アナザーZERO   作:オーガスト・アベラス

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 ゾイド、それは銀河の彼方の惑星に生息し、金属の肉体と動物の本能、自ら戦う意思を持つ金属生命体である。
 ゾイドが生息する惑星Ziが滅亡の危機を迎え、そこに住む人類は第二の故郷として地球を目指すが、あるトラブルにより、ゾイド因子が暴走し、それによって不慮のタイムワープを起こし、21世紀の地球に不時着し、地球にゾイドが現れ、ゾイドによる破壊と度重なる地殻変動で地球は一度滅びた。
 サリーという謎の少女が持つペンダントの力によって復活し、更に進化を遂げた伝説のライジングライガーを相棒にした少年レオは強敵セードとジェノスピノを打ち破り、更にはジェノスピノ以上の力を持ち、その後は帝国の反乱組織真帝国を壊滅させた。
 しかし、密かに帝国を牛耳り、帝国の反乱を引き起こしたゼロメタル帝国の神官プライドとマクラマカン大佐が神聖ゼネバス帝国を誕生させ、神聖ゼネバス帝国の絶対神にして皇帝であるデスザウラーの分身、ディアベル・ギャラガーと古の皇帝龍ゼログライジスが全てのリジェネレーションキューブを取り込み、かつてのオリジナルデスザウラーを遥かに凌駕する最強最悪のゾイド、混沌の絶対龍カオスゼログライジスを生み出されてしまう。 
 そしてカオスゼログライジスを操る神聖ゼネバス帝国皇帝ディアベル・ギャラガーは遂に地球をリセットするためのカウントダウンを始め、遂にその時が来てしまった! 果たしてこの星に未来は来るのか!?


第84話「最後の決意」

 プライドが語ったのと同じことはアダマン領域にいるドクターマイルスもメルビルやボーマン博士たちにも伝えていた。

 

「そして貴様らは歴史から抹消され、我々が支配する新たな世界が創造される。ギャラガー陛下が創造主となって支配する世界がな。」

  

 「それが貴様たちゼロメタル帝国の目的だったのか。」

 

 「理解してくれなくても構わない。所詮、愚かな旧人類であるお前たちに進化した新人類である我等ヒューマンオーガノイドの考えていることなど、理解することなど到底不可能だからな。」

 

 「そんな…そのために、この星にいる全ての人々やゾイドまで犠牲にするっていうの…そんなの…そんなの許せない!」

 

 メルビルの言葉に呼応するようにギルラプターエンペラーが現れ、ゼロファントスの前に立ちはだかった。

 

 「ほぅ、まさか、お前ごときの小娘が私とやりあうのか?」

 

 ゼロファントスのディゾルレーザーキャノンが放たれ、メルビルとギルラプターエンペラーに直撃しようとしたその時、突然、地面から破壊されたはずのインペリアルナックルコングが現れ、腕で防いだ。

 

 「何!?」

 

 「あれは…インペリアルナックルコング! だが、あれは…」

 

 その時、インペリアルナックルコングの頭上から2体のゾイドが現れた。現れたのはドライパンサーとガトリングフォックスだった。

 

 「大丈夫ですか? メルビル殿下、シーガル中佐。」

 

 「どういうことだ? インペリアルナックルコングは破壊されたはずでは…」

 

 「流石は宰相閣下の御作りになられた我が帝国軍の誇る最強のゾイドだ。あの時、辛うじてゾイドコアが生き残り、それを回収してボーマン博士とアドリア王国の技術で復活したのです。カオスゼログライジスに対抗するゾイドとして!」

  

 「まさか、インペリアルナックルコングにそれほどの力が…」

 

 現れたインペリアルナックルコングは静かにシーガル中佐の方を向いた。

 

 「? 何故、私の方に?」

  

 「感じます。あのインペリアルナックルコングから…もう一度あなたに乗って欲しいと。」

 

 「私にだと…?」

 

 「しかし、あれは元々ハワード宰相の…」

 

 「いや、君が適任だ。元々私は軍人ではない。それに帝国を裏切ったシーガル元准将と違い、君は帝国のために尽き、神聖ゼネバス帝国を作った首謀者であるマクラマカン大佐を討伐した。その功績は後生に残すべきであり、君は帝国にとって必要な人間だ。」

 

 

 「ハワード宰相…」

 

 「もう一度、帝国を救ってくれ!」

 

 「わかりました!」

 

 決意したシーガル中佐を受け入れるようにインペリアルナックルコングは手を差し出し、シーガル中佐をコクピットのところにまで運び、乗り込むとインペリアルナックルコングは戦闘体制に入った。

 

 「帝国は滅ぼさせない…そしてこの地球も貴様らの思い通りにはさせんぞ!」

 

 グオォ~!!

 

 インペリアルナックルコングが咆哮を上げると、ゼロファントスダークスはそれに恐怖して後退した。

 

 「ちぃっ、少し手こずりそうだな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「もうすぐだ…もうすぐであの忌々しい記憶が消え、全ての生命体も消え去る。」

 

 「そんなこと、絶対させるか~!!」

 

 ライガーデイズがカオスゼログライジスに向かって突っ込んでいくが、それを阻止するようにバーニングキメイラが横から攻撃してきた。

 

 「ウワァッ!」

 

 「また、俺を無視するつもりか? 貴様の相手は俺だと言っただろ? 悪いが、この世にライガーは2体もいらない、俺のバーニングキメイラこそが唯一無二のライガーなんだよ。だから、貴様は大人しく消えろ!」

 

 バーニングキメイラのデスレックスアーマーの頭部がライガーデイズにぶつかり、ライガーデイズはその反動で吹っ飛ばされた。

 

 「どうした? 進化したライガーってのも大したことねぇな!」

 

 「くっ! ライガー、大丈夫か? 戦えるか?」

 

 グルル…

 

 ライガーデイズのうめき声と左腕を通じてライガーデイズの思いを感じ取ったレオは、

 

 「そうだな…こんなところで、へこたれるわけにはいかないからな。」

  

 「レオ!」

 

 その時、サリーとハンターウルフがライガーデイズに寄り添った。

 

 「サリー…」

 

 「私も戦わせて!」

 

 「でも、君まで戦わせるわけには…」

 

 「大丈夫、私だって戦える。それに、もう誰にも死なせたくない。私の手で救えなかったピーターのためにも戦う!」

 

 「サリー…」

 

 「おい、無駄話はそこまでにしろ! 2人がかりで来るなら、それで構わんぞ。そのライガー、全然歯応えないからな。」

 

 「いい、サリー。あいつは父さんのブラックビーストライガーより強い。絶対に気をつけて。」

 

 「わかってるわ!」

 

 「よし、行くぞ。ライガー!」

 

 グオォ~!!

 

 ライガーデイズはイグニッションブースターで加速し、レーザーガトリングを撃ち込みながら近付いたが、バーニングキメイラはそれを全てデスレックスアーマーで防いだ。

 ライガーデイズとバーニングキメイラの2体のライガーが頭と頭をぶつけ、両者一歩も譲らない姿勢となったが、バーニングキメイラは頭部のキャノン砲をライガーデイズに撃ち込み、ライガーデイズも負けじとレーザーガトリングを撃ち込んだ。

 

 「無駄だってことがわからないのか?」

 

 「(あのバーニングキメイラは頭部はデスレックスのアーマーで防がれているから、正面からの攻撃は一切通用しない。 でも、それ以外の身体にはそこまでの防御力はない。狙うなら…)」

 

 「何度言ったらわかる? 無駄…」

  

 その時、背後からサリー仕様ハンターウルフが現れた。

  

 「未来を切り開いて、ハンターウルフ。 本能 解放! ワイルドブラストー!!」

 

 ワイルドブラストを発動したハンターウルフが背後からバーニングキメイラを攻撃しようとしたが、

 

 「ふん、それがどうした!?」

  

 バーニングキメイラは直ぐ様、背後に回り、ハンターウルフにキャノン砲を放ったが、ハンターウルフは瞬時に回避した。

 

 「ふん、何かと思えば、それが貴様らの作戦か!?」

 

 「そうだよ!」

 

 気付くとライガーデイズが瞬時にバーニングキメイラの背後に回り、攻撃を仕掛けようとした。

 

 「だから、浅はかなんだよ!!」

  

 バーニングキメイラは直ぐ様反転し、砲撃しようとしたが、ライガーデイズはそれも避けた。

  

 「けっ、背後からの攻撃が俺に通用するとでも思ったのかよ。バカめ!」

 

 「それぐらいわかってるよ。」

 

 エンヴィーが気付くとライガーデイズはバーニングキメイラの背中に乗っていた。

 

 「敢えて背後からばっかり攻撃を仕掛ければ、お前は背後にばかり注意を払う。そうすれば、それ以外の箇所はがら空きになる。」

 

 「貴様! 何をするつもりだ!?」

 

 「僕の勝ちだ!」

  

 「や…止めろ!」

 

 ライガーデイズはゼロ距離でバーニングキメイラの背中をレーザーガトリングで撃ち込んだ。

 

 「うぐぐ…まさか、この俺がこんな奴に~!!」

 

 ライガーデイズによるゼロ距離でのレーザーガトリングによる砲撃に耐えられず、バーニングキメイラは遂に爆発四散してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ライガーデイズとサリー仕様ハンターウルフがバーニングキメイラが撃破され、ゼオルのアーサーと交戦していたラスはそれを見て驚愕した。

 

 「エンヴィー! 馬鹿な…バーニングキメイラのスペックはブラックビーストライガーはおろか、私のメタルレイザーすらも上回る四天王最強のゾイドだ。それをあの少年が…」

 

 「ラス、かつて私の友だった貴様ならわかっているはずだ。」

 

 「この声は…!」

 

 アーサーから誰かからの声がし、それを聞いたラスとアーサーは驚いた

 

 「俺にも聞こえる…まさか、これは…親父か!」

 

 「そうだ、ゼオル。こうして再びお前と言葉を交えることにはなるとはな…」

 

 「しかし、どうやって? 俺はレオのようにゾイド因子はそこまで持っていないぞ。」

 

 「あのセードという男の死をきっかけに、コバたちが自らのゾイド因子を増幅させ、その影響で私のゾイド因子も高まってきたようだ。」

 

 「まさか、あの男の死が奴等にも影響したというのか…ギャラガー陛下に敵わなかったあいつが…」

 

 「ラス、私と共に研究を続けたお前ならわかるだろう。人には無限の可能性がある。そしてその無限の可能性がゾイドにも無限の力を与える。だからこそ、人とゾイドは共に力を合わせ、生きていかねばならないのだ。」

 

 「何を世迷い言を! その人間はその意思を忘れ、下らない争いと破壊を繰り返している。だからこそ、その愚かな人間を導く存在が必要なのだ。 そのために我等の先祖はデスザウラー様であるギャラガー陛下を生み出したのだ。この世界を正しき方向に導く裁定者として!」

 

 「だが、その裁定者は導くどころか全てを消し去ろうとしている。そんなものが貴様らの信じた神だというのか?」

 

 「うっ…(我々の理想…人類の上位種たる我々ヒューマンオーガノイドこそが全ての人類を支配、管理し、導く存在。

 そして我々を従えるデスザウラー様こそが世界を導く神。プライドはそう、我々に教えてくれた…だが、陛下は我々以外の者を全て消し去り、リセットしようとしている。我々を信じてきた神聖ゼネバス帝国の国民すらも…我々は本当に正しいのか…?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「我々の目的はこの星にゾイドの理想郷を築くのだ。それを貴様らのような輩に荒らされるわけにはいかない!」

 

 コバたちバーニングライガーが再びカオスゼログライジスに攻撃を仕掛けようとしたその時、デスレックスエンペラーがそれを立ち塞がった。

 

 「ギャラガー陛下には一歩も近付かさせない。究極神の使徒であるこの私がいる限りな!」

 

 「そこをどけ!」

 

 「奴だけを戦わせるわけにもいかない。」

 

 シーザーのゼノレックスとモーリスのクロスコングも加勢に入るが、無数のキルデスサイスが襲いかかり、それを阻止しようとした。

 

 「くっ!」

 

 デスレックスエンペラーと戦うコバたちバーニングライガー、コバたちはそれぞれデスレックスエンペラーを囲むように四方八方塞ぎ、一斉にインパクトガトリングをデスレックスエンペラーに撃ち込むが、デスレックスエンペラーはオメガレックス戦で見せた驚異の跳躍力でそれを難なく避け、更に着地した風圧による衝撃で吹っ飛ばした。

 体制を立て直したバーニングライガーは再び攻撃を仕掛けようとするが、デスレックスエンペラーはロングレンジバスターキャノンを使わず、前足と尻尾だけでバーニングライガーたちを蹴散らし、更にドッジのバーニングライガーも蹴飛ばしてしまった。

 

 「貴様の相手をしている暇はない! そこをどけ~!!」

  

 コバのバーニングライガーがデスレックスエンペラーに砲撃を仕掛けるが、デスレックスエンペラーはそれをものともせず、片足でバーニングライガーを抑えた。

 

 「愚かな…たかが、ゾイドごときが究極神である陛下に触れるどころか、その使徒であるこの私に触れることすら出来ない! 神に抗った罰として貴様らにはそれ相応の神罰を与えてやる。」

 

 「おいおい、プライド! 貴様ばっかり楽しんでんじゃないよ! 俺たちも混ぜろよ。」

 

 グラトニーのディメパルサーキメイラ、スロウスのゼーゲキメイラが加勢に入ったその時、突然、向こうからキャノン砲が放たれ、それを見たプライドとデスレックスエンペラーはすかさずゼーゲキメイラを前足で掴み、キャノン砲の盾にした。

 ゼーゲキメイラはそれに耐えられず、バーニングキメイラ同様に爆発四散してしまった。

 

 「スロウス! 一体何処から!?」

  

 現れたのはキルデスサイスを蹴散らしたゼノレックスだった。

  

 「随分舐めてくれるじゃねぇか!!」

 

 ディメパルサーキメイラがゼノレックスを噛み砕こうと襲いかかったが、ゼノレックスは瞬時にシザースXAに変わり、シザースでディメパルサーキメイラを一刀両断して倒してしまった。

 そして、ゼノレックスは再びバスターXAになり、デスレックスエンペラーに砲撃を噛ました。

 デスレックスエンペラーはその衝撃を体制が崩れ、バーニングライガーはそこから脱した。

 

 「何!?」

 

 「今だ! コバ。」

 

 「言われなくてもわかっている!」

 

 シーザーのゼノレックスの介入によってチャンスと見たコバはウルサスらと共にカオスゼログライジスに向かっていき、インパクトガトリングを撃ち込んだが、カオスゼログライジスの胸部コアユニットが目を開き、紫色の光線を出してコバのバーニングライガーのゾイドコアを撃ち抜いた。

 

 「グワァ~!!」

 

 ピンポイントでゾイドコアを撃ち抜かれ、急激に苦しみだし、コバとバーニングライガーの身体が徐々に石化されようとしていた。

 

 「コバ!」

 

 「ふっ、やはり我々アンチ帝国の盟主であるセードを死に追いやった奴に我々が敵うはずがないか…」

 

 「だが、このままでは、地球は奴等の思う通りに作り替えられてしまうぞ。」

 

 「だが、私は彼に教えられた。例え、命を捨てても、奴だけは絶対に粉砕し、何としても計画を阻止せよという覚悟をな!」

 

 「コバ、まさか…」

 

 「我々が束になっても敵わないなら、それらを1つにまとめるまでだ。ウルサス、オルド、ドッジ。 貴様たちの命を私に預けてくれないか?」

 

 「コバ…お前、本当に…わかった。元より俺たちの命はお前のものだ。オルド、ドッジ! 異論はないな?」

 

 ウルサスの言葉にオルド、ドッジは頷いた。

 

 「よし、我々3人の命とゾイド因子をコバに!」

 

 ウルサス、オルド、ドッジのバーニングライガーがコバとバーニングライガーを囲むように並ぶと、3体のバーニングライガーの身体がオレンジ色に輝き、その身体から放たれた3つの光がコバとバーニングライガーに直撃した。

 

 「ウオォ~!!」

 

 ウルサスたちバーニングライガーが目一杯力を込めると、コバのバーニングライガーの石化していた部分が徐々に修復されていき、同時にウルサスたちバーニングライガーの身体が石化していき、足元から消えていった。

 ウルサスたちバーニングライガーの身体が消滅すると、コバのバーニングライガーの身体は完全に修復した故に全身が金色のボディに変化し、背中にはイグニッションブースターと両横に2つのレーザーガトリングが装備された姿になった。

 

 「これが最後の一撃だ。行くぞ! カオスゼログライジス!!」

 

 コバのバーニングライガーはイグニッションブースターを全開で加速し、カオスゼログライジスの胸部コアユニットに向かって突っ込んでいった。

 カオスゼログライジスの胸部コアユニットは再び目を開き、目から紫色の光線を放ったが、バーニングライガーはそれを前足で裂いてしまった。

 

 「むっ! この力は…」

 

 バーニングライガーはそのまま全速力で、カオスゼログライジスの胸部コアユニットを攻撃しようとしたが、カオスゼログライジスの胸部コアユニットはリジェネレーションシールドを発生し、それを受け止めた。

 

 「くっ、こんなものでこの俺を止められると思うな~!!」

 

 コバとバーニングライガーはカオスゼログライジスのリジェネレーションシールドをものともせず、ウルサスたちから受け取ったゾイド因子を右前足と2つのレーザーガトリングに注ぎ込み、2つのレーザーガトリングを撃ち込みながら、右前足でリジェネレーションシールドを貫こうとしていた。

 当初はそれも全く効果がないように思えたが、右前足の爪が徐々にリジェネレーションシールドにひびを与え、1つ目のレーザーガトリングが破壊された。

 やがて2つ目も破壊されると、バーニングライガーは最後の一撃を込めてリジェネレーションシールドの一部を破り、徐々にシールド内に入っていった。

 

 「馬鹿な! こんなことが…」

 

 それに驚きを隠せないプライド、しかし、シールド内に入ると、バーニングライガーの身体は時間が経過していくように先に入った前足から順に錆びていき、やがてアーマーが剥がれていくように徐々に崩れていった。

 

 「まだだ! まだ、くたばるわけにはいかない!!」

 

 そして遂にバーニングライガーの全身がシールド内に入り、勢いが衰えながらも、カオスゼログライジスの胸部コアユニットに向かっていったが、既にバーニングライガーの身体はアーマーが全て剥がれ、最早バーニングライガーが消滅するのは時間の問題だった。

 

 「セードが教えてくれた。例え、この命が消えようとも我々の全身全霊を持って貴様だけはこの手で粉砕する!」

 

 その期待に応えるようにバーニングライガーの前足がカオスゼログライジスの胸部コアユニットを捕らえるが、右前足が胸部コアユニットに触れた瞬間、バーニングライガーのゾイドコアが停止し、動きが止まってしまった。

 

 「そんな…かつてゼログライジスを封印した我々でも、奴を倒すことが出来なかっ…た…のか…」

 

 やがて、バーニングライガーの身体は胸部コアユニットに触れた右前足から崩れ、バーニングライガーはバラバラの石のようになって消滅してしまった。それを見たシーザーは叫び声を上げた。

 

 「そんな…コバ…コバ~!!」

 

 「しかし、流石はこの私を一度封印したゾイドだけのことはある。まさか、リジェネレーションシールドを破れる程のパワーまで引き出すとはな。 だが、それも無駄に終わった。 所詮、ただのゾイドが神を倒すことなど不可能なのだ。」

 

 ライガーデイズは襲撃してきたキルデスサイスを取っ払い、カオスゼログライジスの方に向かった。

 

 「ディアベル! お前は一体何人の人やゾイドを殺せば、気が済むんだ!? こんなことがお前の望んだ世界なのか!」

 

 「やはり、下等生物は何を言ってもわからない上に議論にもならないようだな。私は完全にして究極なる存在だ。 私には未来が見え、何が正しいのかを見極めることが出来る。

 更に、未来を自在に作り替える力もある。即ち、この宇宙を支配するのは絶対無二のこの私しかいない。」

 

 「勝手なことを言うな! そんな屁理屈で未来を決められてたまるか!! 俺はそんな未来は信じない。そして運命を変えてみせる!」

 

 「相変わらず、愚かな奴だ。だが、貴様ごときでは陛下どころか、この私にも敵わん! デスレックスエンペラー、ファイヤー!!」

 

 勝ち誇ったプライドはデスレックスエンペラーの荷電粒子砲を発射し、ライガーデイズを粉砕しようとした。ライガーデイズはそれを避けようとするが、間に合わず、サリーとハンターウルフも向かったが、時既に荷電粒子ビームは確実にライガーデイズを捕らえた。やがてその一撃が直撃しようとした時、突然、メタルレイザーが角のランスでそれを防いだ。

 

 「何!?」

 

 「あなたは、ラス…どうして?」

 

 「どういうつもりだ? 私と同じギャラガー陛下の分身であるゼロメタル四天王が陛下に刃向かう等、これは万死に値する大罪だぞ!」

 

 「我々ヒューマンオーガノイドの理想は尊い。そしてその行為は正しい。もちろんそれは否定しません。

 しかし、我々ヒューマンオーガノイドは進化した人類として愚かな争いを繰り返す旧人類を我々と同じ存在として導くのが我々の使命だったはずです。

 ですが、陛下のやろうとしていることは我々を信じてついてきた神聖ゼネバス帝国の国民を裏切り、その使命に反する行為になります。私はそれを許しません。

 陛下! どうかもう一度お考えください。我々の理想を実現するにはどういうやり方が正しいのかを!」

 

 「そんなことを考える必要はない。究極神たる陛下に間違いはない! 我々はそれに黙って従うのみだ。」

 

 「いえ、1つだけではありません。ただ粛清することだけが正しい道ではありません。そんなことでは神である陛下の名を汚すだけです。それを私のかつての友人、ジョシュア・コンラッドが教えてくれました。

 そして、その理想を実現してくれるのが、彼の息子レオ・コンラッドです。彼はコンラッドのブラックビーストライガーはおろか、エンヴィーのバーニングキメイラと我がゼロメタルの誇るライガータイプを倒した。

 彼には可能性があります。我々と手を組む資格があります。陛下、どうかもう一度お考えを…」

 

 「そうか…確かに一度はそのライガーを我々の手中に収め、ゼロメタルに組み込もうとも考えた…」

 

 「では!」

 

 「しかし、陛下はライガーがお嫌いだ! それにそのライガーの小僧は悉く陛下に抗った。その行いは万死に値する。そしてそれを庇う貴様も同罪だ。」

 

 「え…?」

 

 その時、デスレックスエンペラーの荷電粒子砲が再び放たれ、メタルレイザーはそれに呑み込まれ、跡形もなく消滅していった。

 

 「ラス…貴様の忠義は大したものだったが、それもまた愚かなものだったな。」

 

 メタルレイザーの残骸を見たレオは力強く手を握り締め、

 

 「どうして…どうしてこんなことをするんだ! ラスはお前たちを信じて言ったんだぞ。それなのに…」

 

 「究極神の使徒である我々はその神である陛下にのみ従うのが我等の道だ。それに従わない者はたとえ、誰であろうと神の名の元に粛清するだけだ。」

 

 「ふ、ふざけるな~!!」

 

 レオとライガーデイズがデスレックスエンペラーに攻撃を仕掛けようとしたその時、ライガーデイズの身体が重力操作によって浮き、カオスゼログライジスの胸部コアユニットにまで引き寄せられた。」

 

 「お前、この私が憎いか?」

 

 「何!?」

 

 その時、カオスゼログライジスの胸部コアユニットの目がレオとライガーデイズに睨み付けようとしたのを見たサリーは何かを察し、

 

 「いけない! レオ、ライガー、 その目を見たらダメ!!」

 

 カオスゼログライジスの胸部コアユニットの目がレオとライガーデイズを睨み付け、その目を見たレオとライガーデイズは突然、意識と記憶を失ったような表情になり、放心状態になってしまった。

 

 「そんな…」

 

 そして、その後、カオスゼログライジスの胸部コアユニットの前に現れたアナザーゲートがブラックホールのようにレオとライガーデイズを飲み込もうとし、ライガーデイズは何も出来ず、そのまま呑み込まれようとした。

 

 「レオ~!!」

 

 サリーとハンターウルフはレオとライガーデイズを救うべく、レオとライガーデイズを掴み、必死にアナザーゲートの重力に逆らったが、その重力は半端ではなく、ハンターウルフは耐えられず、ライガーデイズ共々その穴に飲み込まれてしまった。レオとライガーデイズ、サリーとハンターウルフを吸収したアナザーゲートはそのまま消えてしまった。

 

 「レオ、サリー! レオとサリーを何処にやった!?」

 

 「私のかつての姿やバイオティラノの時もライガーが切り札だった。それと同様に万が一切り札にされたら色々と困るのでな。」

 

 「くっ!」

 

 「安心しろ…奴には特別な場所を与えてやっただけだ。全てが消えるという絶望を感じさせない特別な場所にな。最も奴はその場所で自分の存在意識すらも失ってしまうがな。」

 

 「陛下。もうこいつらと遊ぶ必要はありません。これから世界が変わっていく素晴らしい瞬間を見届けるのに相応しい場所に向かわれては…」

 

 「そうだな。それに相応しい場所が必要だ。」

 

 カオスゼログライジスは再び巨大なアナザーゲートを開き、それに入ろうとした。

 

 「行かせるか!」

 

 アーサーたちがそれを阻止しようとするが、カオスゼログライジスの周囲の地面から無数のキルデスサイスが現れ、それを阻止した。

 

 「貴様らはそのまま静かに滅びの時を待て。もう陛下と私は貴様らと遊ぶ必要はないからな。」

 

 そう言って、カオスゼログライジスはデスレックスエンペラーと共にアナザーゲートに入って消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 その一方で、アダマン領域ではドクターマイルス率いるゼロファントスダークスと戦うインペリアルナックルコングとアドリア王国軍、インペリアルナックルコングはその圧倒的なパワーで次々とゼロファントスダークス軍団を蹴散らしていき、戦いを有利に進めていった。

 ドクターマイルスをライダーとし、グリードと融合しているゼロファントスもディゾルレーザーキャノンで迎え撃つが、インペリアルナックルコングのアーマーはそれすら耐える程の防御力を持って悉く跳ね返し、インペリアルナックルコングは倒したゼロファントスダークスを持ち上げ、それをドクターマイルスのゼロファントスに向けて投げ飛ばし、ゼロファントスはかなりのダメージを負った。

 

 「ちぃっ、やはりこいつはまだプロトタイプのため、やはり敵わぬか…」

 

 「冗談じゃない! 皇帝陛下直属になるこの俺のゼロファントスがこんな下等生物のゾイドごときに負けはしない! この戦いに戦果を上げ、ラストとマクラマカンの空いた席は俺が座るのだ!」

 

 その時、インペリアルナックルコングは肩の対空速射砲を初め、全武装をゼロファントスに向けた。

 

 「不味いな…あれを食らったら、流石にこいつでもアウトだ。」

 

 「おいおい、どうすんだよ! お前が造ったゼロファントスだろ? 何か対策ぐらいはあるんじゃないのかよ!」

 

 「何を言っている…そもそもこいつはお前のために造ったゾイドだ。それぐらいは自分で何とかするべきじゃないのか? お前の能力で。」

 

 「そうだ! こいつは俺のゾイドだ。そして俺はこいつで全てをねじ伏せる!」

 

 インペリアルナックルコングの全武装が放たれた瞬間、ドクターマイルスは脱出システムを作動し、そのままゼロファントスのコクピットから出た。

 

 「なっ! ドクターマイルス、何の真似だ!?」

 

 「グリード、貴様は私の道化として働いてくれた。おかげで私専用のゼロファントスのデータを取ることが出来た。それが出来た以上、もうお前には用はない。ラストやマクラマカンと同じく潔く散るがいい。」

 

 「ドクターマイルス、貴様!!」

 

 インペリアルナックルコングの砲撃がゼロファントスに直撃し、グリードはゼロファントス共々消滅してしまった。

 

 「ウオォ~!!」

 

 そしてゼロファントスから脱出したドクターマイルスを待っていたかのように上空を飛んでいたキルデスサイスがキャッチし、そのまま戦場を離脱していった。それを見たメルビルは何とも言えない表情をした。

 

 「自らの目的のために、仲間や自分のゾイドすら簡単に犠牲にするなんて…」

 

 「殿下、同情する必要はありません。それが神聖ゼネバス帝国のやり方です。それにこれでここの脅威は去りました。後はカオスゼログライジスを迎え撃つ準備を…」

 

 その時、突然、巨大なアナザーゲートが目の前に現れ、そのゲートの中からカオスゼログライジスとデスレックスエンペラーが現れた。

 

 「カオス…ゼログライジス…」

 

 「フフ、さあ、愚かな旧人類と下等生物共よ。これから訪れる絶望を陛下とカオスゼログライジスの力と共にその目に焼き付けるがいい! フフフフフ、ハーハッハッハッハッハ!!」

 

 To be continued




 次回予告

 ゼオルたちを退けたカオスゼログライジスはアダマン領域に移動し、そこで最後の仕上げとしてその領域にいるゾイドをデスレックスエンペラーと共に虐殺していった。
 ゼオルたちもアダマン領域に向かい、メルビルたちと共にカオスゼログライジスを迎え撃つための作戦をするが、それを悉く防がれてしまう。
 一方、レオとライガーデイズはカオスゼログライジスのアナザーゲートで別の時空に飛ばされ、その世界を彷徨い、ある場所を見つける。そこはレオが初めてライガーと会った場所だった。

 次回「ジ・エンド(Zi End)」走り抜け、ライガー!!
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