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第9章
ーデュラララ編ー
第4話
ータイマン張ろうぜー
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○語りside○
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●歩道橋の上●
紀田 正臣は泉井から聞いた話の裏を取ろうと、とある人物の元にいた。目の前には幼馴染にして親友の【龍ヶ峰 帝人】が呆けた表情を浮かべている。
なお、【園原 杏里】には帰ってもらっていた。
「えっと、どうかした?話って?」
「…お前、随分とダラーズに興味があったよな?」
「うん。首なしライダーの件と同じく、気になってたからね」
「それ、お前が関係者だからじゃねぇか?」
「え?いきなり何言うの」
覚悟を決めた紀田は確信を問う。
「ーーーお前が、ダラーズの上位組織の人間だったからじゃねぇのかよ⁉︎」
紀田が大声を上げる。周囲には幸いにも人はいない。1対1である。
「な、何言ってるんだよ紀田君‼︎僕が池袋に来たのはここ最近で…」
「ネット。ダラーズはネットの繋がりだけのチームだ。場所も距離も関係ない」
言い訳を論破し、紀田が一歩前に出る。龍ヶ峰は混乱した様子ながらも、一歩も引く様子はない。
「い、いくらなんでも飛躍しすぎだよ。それにダラーズの上位組織って?」
「詳しくは知らねぇ。まだ垂れ込みの段階だ。だけど、俺に親友の潔白を信じさせてくれよ」
「…」
龍ヶ峰は紀田の真剣な様子に少し考え込み、ため息を吐き出す。その表情はしかし笑顔だ。
「相変わらずだね紀田君は。チャラチャラしてるかと思えば、真剣で深く考えすぎて…自分から底なし沼に沈む」
「そんなこと思ってたのかよ…」
「まあ、だからこそ、はっきり言うよ。
ーーー親友としてね」
龍ヶ峰が素早くスマホを操作する。画面には悪魔召喚プログラムが表示されていた。
悪魔の召喚が開始される。背後に黒い光が集まっていく。
「では、改めて自己紹介を。
ーーーダラーズ理事会盟主、龍ヶ峰 帝人。紀田君に垂れ込んだ構成員の言う通り、ダラーズ創始者の1人にして、現まとめ役ってところかな?うまく自己紹介できたかな?」
「マジ、かよ」
龍ヶ峰の背後に悪魔…鬼神【ウルベリ】が現れる。
「ボス、ここで始めるんでいいんですか?」
「相手1人だぜ」
「リンチだぜ」
サメをイメージさせるバンダナをした青年達が、歩道橋の両サイドから階段を登ってくる。そのバンダナに、紀田は覚えがあった。
「ブルースクウェア…‼︎」
「僕直属の兵隊だよ。まあ、双方の目的が一致してる限り、だけどね。ああ勿論、元ブルースクウェアの構成員だけど、紀田君の彼女に手を出した連中じゃないよ」
「お前、そこまで…」
「僕らダラーズ理事会は一般人を超越した人間達の集まりだからね。情報収集に秀でていれば、武力に秀でた者もいる。紀田君の大っ嫌いな情報屋や、人外並みの力のバーテンダーみたいなのとかね」
龍ヶ峰がウインクする。
「騙してたってのかよ…‼︎」
「うん?それを言うなら紀田君もでしょ?僕は聞かれたら答えたし、君は名乗りもしてないよ」
「ッ⁉︎」
堂々とした龍ヶ峰の様子に、紀田は内心でかなり驚いていた。知っている龍ヶ峰ならば、こんな状況ならオロオロしてるはずだからだ。
「驚いてる?まあ、こう見えてもそれなりの人数に指示を出す立場の人間だからね。いくらかの修羅場も潜り抜けてきたよ。そういえば、誰かが言ってた気もするよ。
ーーーどんな非日常も日常となる、なんてね」
龍ヶ峰が一歩前に出る。
「さて、それじゃあ始めようか?対立組織同士のトップが向かい合ってるわけだしさ」
「ッ…‼︎俺は…‼︎」
「話は終わってからでいいでしょ」
龍ヶ峰が構えを取る。紀田は知らないが、それは本格的な軍隊格闘技の構えであった。
「これも抗争だよ、紀田君。
ーーー遊ぼうよ。あの頃のように」
「帝人ぉおおおお‼︎」
両者が走り出し、拳が舞う。
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その頃。その様子を驚きの表情で見つめる2つのグループが存在した。セルティ+園原ペアと、門田一行であった。
「おいおい、どうなってんだありゃ?」
「お〜‼︎がちんこ男の喧嘩ってやつだね‼︎」
「のわりには、囲んでる連中が問題だが…」
タイマンで殴り合い蹴り合う龍ヶ峰と紀田。その周りを元ブルースクウェア構成員と思われる青年達が、やんややんやと声援をあげている。
「…何か、問題なさそうじゃねぇか?」
「ねー。どっちかというと、抗争よりも」
「熱血ヤンキーアニメの決闘シーンみたいっす‼︎」
両者の拳が相手の顔面にめり込み、共に血を流す。明らかな喧嘩。暴力の応酬である。しかし、2人の表情はどこか明るかった。
「俺も、もう少し若ければな…」
「ドタチン、おっさんぽい」
「おっ⁉︎」
門田がショックを受けた表情を浮かべる。
「ま、まあ、あの年齢にはああいうのも必要って話なだけだ」
「ふーん。そんなもんかな?」
「そんなもんだ」
そんなほのぼのした空気に対して…。
『み、帝人⁉︎ど、どうなってるんだ⁉︎け、喧嘩⁉︎と、止めないとか⁉︎』
「ど、どうしましょうセルティさん。じ、状況が…」
セルティと園原はアワアワと慌てていた。
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○語りsideEND○
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○とある廃ビル○
「ーーー成程。ウチの母親を生贄にしようとした連中の残党が、ナチスの亡霊吸血鬼共の技術とアンブレラの技術を使ったってわけか。残飯処理ご苦労様。なんてな」
「が、かっ」
俺に胸ぐらを掴まれた男が、青から白に変わった顔色のまま、命乞いを始める。
「た、助けてくれ‼︎は、話せることなら全部話す‼︎金も払う‼︎い、命だけは…‼︎」
「は?何言ってやがる。敵対者は皆殺し…って言いたいところだが、この件はもう俺の管轄じゃねぇ。火の粉は払うが、裁くのは司法だ」
「助かります、総司君」
若い新米女刑事が、俺が地面に捨てた男の両腕に手錠をかける。
「風の精霊の索敵に引っかかったのはこれで全部だな。しかし、随分と介入が早いな」
「以前からマークしていましたから。それよりも、上層部は君がカラーギャングとして活動してるのに警戒心を抱いているようですが…何か申し開きはありますか?」
「無いな」
俺は肩をすくめる。しかし…。
「とはいえ、だから何だ?とも言わせてもらおう。このくらいなら、子供の喧嘩のうちだろうよ」
「子供の喧嘩に傭兵が出てくるものですか?おまけに海外マフィアまで」
「以前から思ってたが、随分と日本政府は諜報能力が上がったんだな。表側のカラーギャング同士の抗争としか思われないと思ってたが…」
「総司君が散々やらかしましたから。国内の監視体制を強めたのはあの頃からですよ」
「成程。なら、この状態も自業自得なわけだ」
俺は机の上に置いておいたタピオカミルクティーを手に取る。
「…随分と、高カロリーなものばかり。この前もお菓子の箱にお菓子が入ったままチョコレートを流し込むなんて、カロリー爆弾のお菓子作って食べてましたよね」
「仕方ないだろ。力には代償が必要なんだから」
実際、摂取カロリーに対して体重の増加が間に合っていない。俗に言う太らない体質であるが、多分精霊などにかなり力を持っていかれているのだ。つまるところ、この体は赤字運営に近い状態である。または薄利か?
「安心しなって。俺自身はテロ対策にあたるし、今回は防衛戦。構成員の保護のために動いてるだけだって」
「だといいのですが…」
疑いの視線を向ける女刑事に、俺はふけもしない口笛を吹きつつ、その場からゆっくりと離れる。
「ああ、そうだ。言い忘れてたが…父親は今回の件を重く見てる。多分血眼になってジェネシス構成員を殺し回るぞ」
「予想構成員の8割は既に捕縛済みです。残りの2割は…うまくやります。先輩方が」
「結構自分の先輩に容赦なく仕事と責任おっかぶせるよな、お前」
その時、俺のスマホが着信音を鳴らす。
「あ、もしもし…ああ、池袋だけど…はぁ?今か?いや、状況を考えろよ。え?えぇ…マジで?」
俺を女刑事が訝しげに見る。俺はため息をひとつ吐いて、女刑事に顔を向ける。
「アクシデントだ。おまけに最大級の」
「聞きたく無いですが…どのようなアクシデントですか?」
「バイオテロだ。アンブレラの生物兵器が放たれたらしい」
「BOWがですか⁉︎」
「おまけに、隠密性を重視したタイプらしくて、12体も放たれたらしい」
厄介な話である。平時でも見つけるのが厄介な相手に、現在池袋は抗争の最中である。さらに見つけるのが厄介である。
「俺は索敵しながら生物兵器を破壊する。アンタらは市民が混乱しない程度に警戒網を敷いてくれ」
「あ、ちょ」
総司が既に破壊された窓から外へ飛んでいく。
「さて、ウイルス撒かれる前に、敵の殲滅が必要だが…ん?」
『ーーー?』
人目につかないビルの屋上。そこにナチスドイツの武装親衛隊の武装をした数人の男達がいた。明らかにイギリスで全滅したはずの吸血鬼化武装親衛隊の残党である。
発砲してくるが、その全てが風で弾道を変えられる。弾は俺に届かない。
「成程。使える戦力を出してきたってところか」
炎を纏わせた風の刃を放つ。風は武装親衛隊にまとわりつくと、その体を風で覆い隠しながら、酸素の過剰供給で炎を燃え上がらせる。
残ったのは燃え滓だけだ。
「さて、哀れな生物兵器を潰して回るかね」
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エンド