Big Gr∞ve-ビッグ・グルーヴ-   作:Manami☆彡

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かけがえのない

<AIKAWA SIDE>

「うおおおっ…!!」

助走をつけて一気に越えようとした。

凹凸や隙間がほぼ無ければ頑丈なコンクリートで造られた校門は、嘲笑うかのようにサイレンを鳴らし続けた。

それにしても、これだけ鳴っているのに先生どころか警官も現れない。余裕ぶっているのか、別の理由か。

何にせよ、好都合だ。このまま突破して飯買ってさっさとずらかろう…。

 

?「藍川!?何してんの!?」

 

聞き覚えのある声。

屋上からだ。壁から手を離し、見上げると──

狼谷が、怪訝な顔で俺を見ていた。

「見て分かんだろ!!学校に入りてえんだよ!!」

ギリギリ届くくらいの、やけくそな声量で応えた。

始「じゃあそこで待ってろよ!!」

そう言って狼谷は屋上から立ち去った。

出迎えるつもりらしい。しかし屋上に続く通路は複雑に構成されているため、往復に約30分はかかる。迷って出られなくなった生徒もいるようだ。生存不明。恐ろしい。

そんな場所を狼谷は難なく把握。ハチャメチャな好奇心が取り柄の彼らしい一面だ。

なんて呑気に考えていたら、突然2階の窓が勢いよく開く。と同時に、狼谷がその窓から飛び出してきた…。

「え、ちょ、おい、狼谷お前ーーー!!」

馬鹿だ。しかもあいつは運動神経最悪だ。さらに言っておくが俺たちはまだ13歳、見た目は全然華奢である。

勢いに任せるのは俺と変わらないが、そこまでするかお前。

あいつは無事に着地した。

綺麗に整列し、咲き乱れる花壇をクッションにして。

こ、これは弁償が大変だぞぉ…。

 

着地した狼谷が向かってくる。

土だらけだが、彼の表情は明るかった。

始「はぁ、はぁ、…藍川!

やっと学校来る気になったのか?」

「いや、飯買いに来ただけ。」

迷いのない返答に、固まる狼谷。

始「…まぁ、うん。顔見れただけいいけど。

それにしてもどうして校門で暴れてたんだ?

サイレンうるさくて昼食どころじゃなかったよ。」

「それはすまん。だけど仕方ないだろ。

どうやら、俺の生徒認証が切れたらしい。」

生徒カードキーをかざす。反応無し。

始「ずっとサボってるからだろ…。ったく。

今開けるからな。」

あれほどただの壁のようにそびえ立っていた校門は、狼谷の認証によって容易く開いた。ヒュゥ、カッケェ。

「サンキュー狼谷!

早速飯買いに行こうぜ、俺の奢りで。」

始「藍川、奢るほどお金持ってたっけ?」

当然、持ってない。

「お前から借りて、俺がその金で奢る。」

始「意味無いだろそれ…。」

異質だが平穏な会話。

俺たちは購買へ足を運んだ。

 

<KAMITANI SIDE>

昼食を買いに早足で購買へ──。

「うわ〜…。混んでる。」

ちょっと着くのが遅すぎたようだ。

肝心のサンドイッチは…残り3つか。

並んで順番を待っていると、外からサイレンが聞こえてくる。

あまりにもけたたましいので、僕は列から外れて屋上へ向かった。人目も気にせず、階段を駆け上がる。

 

屋上への通路はまるで迷路だ。

昼間でも薄暗い通路は、懐中電灯もしくは差し込む光を頼りにするしかなかった。だから誰も屋上に行かない。

しかしそれは僕には関係無い話。

入学した頃からの常連なので、今はサクサクと行ける。

そして僕にとって屋上は、最高の()()()()()()だ。

順調に上へ上へと駆け上がる。

屋上のドアを開ける。

思ったより風が強かったせいか、一瞬押し戻される。

空は見たこともない色彩を放っていた。

 

未だ鳴り止まぬサイレン。

校門に不審者でもいるのだろうか?

僕は恐る恐る見下ろす。…奴だ。

「何やってんだ…。」

藍川は苦悶の表情でコンクリートの壁と闘っていた。

サイレンを一切気にせず殴ったり蹴ったり上ろうとしたりと、やってることは不審者、いやそれ以上である。

だけどどうして学校に?

僕は格闘中の藍川に向かって声を掛ける。

…やっぱり入りたいらしい。カードキー忘れたのか?

遠距離で話しててもしょうがないので、僕は一旦屋上をあとにした。

階段をすっ飛ばしながら降りていく。

膝が悲鳴を上げるが、それはそれだ。

慣れている僕でも、約20分かかる屋上との往復。このまま律儀に降りればもっとがかかる。藍川が捕まるのも時間の問題だ。

「どうにでも…、」

?「え、兄貴!?」

「なれっ!!」

驚く僕の双子の妹、(つい)を横目に僕は2階から飛び降りる。

終「ぎゃあああ!!!!!」

妹よ、大げさだな。たかがこんな高さに── 、

 

「んぐふっ。」

 

僕は残酷にも、整備された立派な花壇に着地…いや、突っ込んだ。

めちゃくちゃになってしまった花壇に罪悪感を覚える。

「これは…、後で謝らなきゃ…。」

とりあえず、先にあいつをどうにかしなければ。

「おーい藍川ー!」

僕は校門に向かって走り出す。

やっと藍川は学校に興味持ってくれたか。

ウキウキしながら聞いたら、応えは全く違った。

昼食を買いに来ただけらしい。

しかも、サボりすぎてカードキーは無効に。

「はは…。」

呆れた笑いが込み上げる。藍川らしい。

騒ぎになると面倒なので、さっさと開けよう。

「警官は…いないな。よし。」

藍川を侵入させると、早速こいつは調子に乗る。

お金も無いのに奢るとか言い出すし。

僕たちは、馬鹿みたいな会話をしながら昼食を買いに行った。

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