Big Gr∞ve-ビッグ・グルーヴ-   作:Manami☆彡

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かけがえのない2

<KAMITANI SIDE>

「あったあったサンドイッチ〜。」

ラスト残っていた、お気に入りのサンドイッチを購入。

藍川は、僕のお金にも関わらず大量に買いやがる。

「買った分、いつか返してくれよな…。」

悲音「分かってるよ。高校生になったら稼ぐから、それまで見逃してくれ。」

思わず大きな溜息が出る。

「いいや、さっさと食べるぞ。」

自分の教室に行こうとしたその時。

終「兄貴!大丈夫!?」

妹の終が駆け寄ってくる。さっきの飛び降りでさぞかしパニックになったことだろう。

「ごめん終。でも僕はこの通り怪我1つも──。」

終「あの花壇だよ!兄貴が飛び降りた場所にあった花壇!」

僕のことなど、そっちのけである。あの時骨折していたら流石に気にしてもらいたかった。

そういえば花壇、やばい、忘れてた…!

終「その顔、やっぱりやらかしたんでしょ!

毎日、手入れしてる人いるんだよ、放課後に。」

そんな奴いたか?でも見たのならいるということ。

放課後…ってことは今か。待ち伏せして全力で謝ろう。

だが、その前に。

「終、お前は先に帰っててくれ。巻き込んで困らせたくないからさ。」

僕がやったことは妹には関係ない。勝手に飛び降りたのは僕なのだから。

終「うーん…うん。じゃあお先に。

でも一応気をつけてね。べ…弁償とか…。」

容赦ない一言に一瞬怯む僕。確かにあの花壇は綺麗に手入れされていた。怒られても当然だ。

──覚悟はもうできている。

「大丈夫だよ。弁償とか言われても、僕だけで解決するから、な?」

いいからいいから、と僕は無理にでも帰らす。

終「…分かった。それじゃ、また家でね。」

お互い手を振って見送る。

悲音「話は済んだか?」

今まで黙ってその場に立っていた藍川。やっと口を開く。

「藍川ごめん!お前、先に食べてて。僕ちょっと急用を思い出して。」

僕だけの問題。だから藍川もこの件は…。

悲音「あの花壇だろ?俺も一緒に謝る。」

どうして?お前まで謝る理由がどこにある?

「そうだけど、でも…。」

悲音「元々は俺のせいでお前があんなことしたんだし。つーか、今日は散々迷惑かけたと思ってる。頼む、狼谷。俺もお前の役に立ちたい。」

「やれやれ…。」

藍川の急な責任感には毎回ビビってしまう。

この先もこいつに振り回される、そう感じた。

 

<AIKAWA SIDE>

狼谷から借りた金で、パンや弁当など買いまくる。

これだけあれば何日かは持つだろう。

狼谷の視線が痛い。

高校に進学すれば働けるので、その時に全部返そう。

「よいしょ…っと。」

大きな袋を両手に持ち、先を行く狼谷を追う。

すると、向こうから誰かが走ってきた。

終「おーい!」

狼谷の、双子の妹、狼谷 終だ。

双子なのでもちろん同級生、クラスは隣の1-8だ。

ちなみに俺たちは1-9。

高等部より狭いとはいえ、中等部は全部で10クラスある。

狼谷にとって終は、命より大事な存在だという。

兄らしさは感じられるものの、多少違和感はある。

 

それより何やら深刻そうだが…、どうしたんだ狼谷。

花壇がどうとか言っているけど、もしかしてさっきのアレか?

思った通り、管理人がいたんだな。

なんて立ち聞きしていると、終は帰っていった。

狼谷の表情は、不安げなまま変わらない。

先に帰らせた理由はどうせ、"巻き込みたくないから"であろう。狼谷は何でもかんでも1人で抱え込みすぎだ。たまには俺に押し付けてもいいんだぜ?

まず、今回の件は俺が元凶だということ。

校門を強行突破しようとしてサイレン鳴らしまくったり、狼谷に気を使わせたり…、しかもついさっきめちゃくちゃ金借りたし。

──さあ、懺悔の時間だ藍川 悲音。

狼谷は俺にも誤魔化そうとする。だが俺も押し通す。

始「…はぁ。」

いつもの、呆れたという顔。

だが、うっすら安堵しているようにも見えた。


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