転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!? 作:レイ1020
「・・・・・・分かりません」
「だろうな。
「・・・・・・」
その言葉には言葉が出なかった。確かに、あの場面では僕とリムルで意見の食い違いがあった。僕がリムルに異議を唱えた事なんてこれまでだって殆どなかったのに、なぜかあの時はリムルに反論を述べていた。
「なぁ?ここだけの話なんだが・・・・・・」
「・・・・・・?何ですか?」
「お前あの時・・・・・・クレイマンに何かしたろ?」
「・・・・・・」
唐突なその質問に、驚きを隠せなかったが何とか表情に出さずには済んだ。もしかすれば、カマをかけている可能性もあったので、こう言った場面はできる限り平静を保つことが重要なんだよね。
「・・・・・・その様に言うあなたの根拠は?」
「リムルの奴がクレイマンを屠った際、一瞬だが”妙な魔素の乱れ”を感じたんだよ。クレイマンの保有する魔素が、”別の何かへとすり替わったかの様”な小さな乱れがな?それを感じて、咄嗟にお前が何かしたんじゃ無いかって思ってたんだが・・・・・・違うか?」
殆ど図星です。・・・・・・流石は最古の魔王と言うべきか。リムルや他の魔王は誤魔化せても、やっぱりこの人は一筋縄じゃいかないよね・・・・・・。
「何を言っているのか分からないですね?クレイマンは
「ふん。まぁ、魔王から堕落したクレイマンがどうなろうが気にしちゃいねーが、国主に従う・・・・・・ね?」
何とか弁明するが、ギィさんはただ笑みを浮かべて僕を見つめるだけだった。クレイマン・・・・・・というか、ロキは確かに許し難い事をして僕たちを困らせた張本人だし、僕だってあの時に彼が、反省の色を見せていなかったのだとすれば、リムルに同調していたはずだ。そう思うと、ロキは運が良かったのかもしれないな。
「何ですか、その目は?」
「いや?ただ、ちっとばかし・・・・・・『もったいねーな?』なんて思っただけさ」
「もったいない?・・・・・・どういう意味ですか?」
意味深な発言をするギィさんに、少し違和感を覚えながら質問をしてみる。
「お前みたいな奴が、『誰かの下で誰かの言いなりになって動いてる』のがもったいないって言ったんだよ。お前とは会って間もないが、今さっきの会話だけでもそれだけははっきりと分かったんだ。エリス、お前は誰かの下につくような器じゃない」
「その誰か・・・・・・というのがリムルを表しているというのならば、それはお門違いです。彼は僕の上司というよりも、頼れる親友であり、大事な家族という認識なんですよ。だから、別に彼に命令されたとしても、何も問題はないと思っていますし、比較的僕は自由にやらせてもらっていますので」
「そうかよ。別に、お前がそれでいいならこれ以上は何も言わないが、せいぜい悔いが残らない選択をする事だ。そうでないと、後々
「・・・・・・?」
何かを含んだような発言をしたギィさんだったが、それに関してははっきりとは理解出来なかったのでスルーする事にした。
「さて、悪かったな。せっかくの茶会なのに、雰囲気を重くしちまって」
「いいですよ。これも親睦を深めるためでもありますから」
「なら良かった。・・・・・・にしても、改めて見るとお前って本当に綺麗な顔をしてるよな?ルミナスといい線張れるんじゃねーか?」
「言っときますけど、僕は男ですよ?そう言われても何も感じないですし、むしろ不快に思うのでやめて貰えると嬉しいです」
「ん?そうなのか?だとしたら悪かったな。その見かけからして、女にしか見えなかったからよ?」
「よく言われます。・・・・・・もう慣れましたけど」
慣れたらおしまいな気もするけれど、あちらこちらからそう言われてしまうのだから、慣れるのは当然だよね。・・・・・・本当に泣けてくる。
「これからは気をつける。・・・・・・お、そうだ。まだお前に聞きたい事があったんだ」
「・・・・・・なんですか?」
「今、
「(ノワール?誰、それ?)・・・・・・」
ギィさんの口から出たのは、聞いた事のない単語。ウチにはそんな名前を持った人はいない筈だけど・・・・・・?
《解。
「(なるほど・・・・・・あれ?それってもしかして?)」
《是。個体名ギィ・クリムゾンの発言からして、個体名ディアブロを表していると見て間違いありません》
「(ディアブロ・・・・・・ただの悪魔じゃないとは思っていたけど、そんなすごい悪魔だったんだ?)」
ディアブロの正体を知った僕は、少しばかりだが驚いた。確かに、あれだけの力を有した悪魔なんてそうそういるものでは無いとは思っていたけど・・・・・・まさかいにしえの悪魔だったとは。
「そのノワール?と言う人は、多分リムルから名を貰った『ディアブロ』と言う悪魔だと思いますけど、彼曰く、随分前からリムルのことが偉く気に入ったらしくて、肉体を得た暁には、配下に加わりたいと思っていたらしいですよ?」
「そうなのか・・・・・・ん?ディアブロ?・・・・・・おい、もしかして・・・・・・リムルの奴、アイツに名付けをしたのか?」
「はい。名付けの際に、膨大な魔素を削ったと言ってましたけど、特段問題はなさそうでした」
「・・・・・・まじかよ」
これには流石に驚いた様で、ギィさんはひどく目を丸くしながら僕を見つめていた。まぁ、いにしえの悪魔なんかに名付けをしたなんて言えば、誰だって驚くよね。
「驚くのも無理ありませんよね、あはは・・・・・・」
「全くだ。そういや、お前には誰か悪魔の配下はいないのか?ノワールはリムルの配下だろうし、お前も悪魔の配下の一人や二人は持っておいて損は無いだろ?」
「僕にもいますよ?
「・・・・・・テスタロッサ?」
その名を聞いたギィさんは、聞いた覚えが無いと言わんばかりに首を傾げる。後ろにいたミザリーさんもレインさんも心当たりがない様で、首を静かに横に振っていた。
「僕が彼女につけた名ですので、知らなくても無理ありません。そうですね〜・・・・・・彼女の特徴としては、”長い白髪で赤い眼、東方の出身”・・・・・・と言った所ですけど・・・・・・」
「おい、ちょっと待て?お前、もしかしてそれって・・・・・・?」
どこか顔を引き攣らせながら僕を凝視してくるギィさん。後ろの二人も、何かに気付いたのか少し目を見開いて驚いている様子だ。
「なぁ?その悪魔って、今この場に呼べたりするか?出来るなら呼んで欲しいんだが?」
「へ?多分大丈夫だと思いますけど、良いんですか?」
「構わねーよ」
何故かこの場にテスタロッサを呼ぶことを強要された僕は、不思議な気持ちになりながらテスタロッサに思念を飛ばした。
『テスタロッサ。今から僕の元へ来れる?』
『問題ございません。しばしお待ちください』
それから待つこと、一分・・・・・・テスタロッサは音も無く僕の隣へと姿を表した。
「お待たせ致しました、エリス様。どう言ったご用件で・・・・・・・・・・・・あら?これはこれは・・・・・・随分と久しいですわね?ルージュ、ヴェール、ブルー・・・・・・」
「はぁ〜〜〜・・・・・・やっぱりお前かよ・・・・・・
テスタロッサを見た途端、手を頭に当てながら大きくため息を吐いたギィさん。ミザリーさんとレインさんに至っては、驚きのあまりいつものポーカーフェイスが崩れ欠けていた。この会話と反応から察するに、どうやらデスタロッサとこの三人は知り合いなのだろうが・・・・・・。
「テスタロッサ?ギィさん達とは知り合いなの?」
「ええ。昔からの知り合い・・・・・・と言ったところでしょうか。ですが、付き合いは長けれど、決して良好な関係とは言えませんが」
不敵な笑みを浮かべながら、ギィさん達を軽く睨むテスタロッサ。知り合い・・・・・・か。テスタロッサもかなり昔から生きている悪魔だって話だし、ギィさん達と知り合いでも何も不思議ではないけど・・・・・・何だろう?どうにも、ギィさんの反応が気になるな?それに、テスタロッサの事を
「おい、エリス?お前も人のこと言えねーじゃねーかよ?何でこいつに名付けをして無事でいられてんだよ、お前は?」
「どう言うことですか?名付けをして何か問題があるのですか?それに、彼女は僕が召喚した悪魔ですし、配下にしようが名を与えようが勝手でしょう?」
「そう言う事を言ってるんじゃねーよっ!?こいつはオレ達と同期の悪魔だぞ!?そんな奴に名付けをする奴なんざ馬鹿しかいねーと思ってたが、お前もリムルも頭おかしいんじゃねーか?」
なぜか急にディスられ始めた・・・・・・。いや、そんなこと言われたって、名付けをして失った魔素は『
「ルージュ・・・・・・いえ、今はギィ・クリムゾンと言う名でしたね?ギィ、我が主への無礼な発言は、控えて頂けます事?これ以上無礼を働くと言うのならば、わたくしがこの場で粛清して差し上げますわよ?」
「デケェ口を叩くじゃねーかよ?オレがお前に一度でも負けた事があったか?」
「ふふ、確かにわたくしはあなたに何度も苦渋を舐めさせられたし、それはいまだに忘れた事は無かったわ。だけど、今戦えば・・・・・・どうでしょうね?」
挑発じみた発言をしながら、薄く笑みを浮かべるテスタロッサに、僕は苦笑いを浮かべる。
「あなたこそ、ギィ様への無礼な発言は控えるべきではありませんか、ブラン?」
「ミザリー?今はあなたに向けて喋っているわけではないので、少し黙って頂けますこと?それと、わたくしはブランでは無くて、テスタロッサという名をエリス様から頂いていますわ。今後は、そちらの名で呼んでほしい物ですわね?あなたもレインも、ヴェールやブルーとは呼ばれたくはないでしょう?」
「そうね。この名は偉大なる魔王であるギィ様より頂いた大切な名です。何処ぞの誰とも知らぬ魔王やその配下である”非力な魔物”に名付けをされたノワールやあなたとは違うのよ?」
「・・・・・・」
何となしに出たレインさんのその言葉に、テスタロッサは怒りの表情を見せ、僕は少し気落ちすると共に、傷ついていた。・・・・・・うん、”非力な魔物”って僕のことだよね?非力ってことに嘘偽りはないし、自覚はしているけど・・・・・・改めて他人からそう言われるとすっごく傷ついちゃうな〜・・・・・・あはは。というか、レインさんって僕のことそんなふうに思ってたんだ?
「レイン・・・・・・あなた、よっぽど死にたいようで・・・・・・っ!?え、エリス様!?そ、そう落ち込まなくとも!すぐにあの無礼者はわたくしが成敗致しますので!」
「おいレイン!お前、本人の目の前でそんな・・・・・・あ〜あ、お前がちゃんと責任取れよ?」
「口が過ぎますよ、レイン?」
「っ!?も、申し訳ございません!今言ったことは本心では有りませんので、どうかお気になさらずに!」
次第に俯き始める僕に対して、レインさんは先ほどの無礼を謝罪する為に、いつもの冷静な態度が嘘のようなひどく慌てた状態で僕の元まで駆け寄ってきた。
「いや、良いですよ。事実ですし・・・・・・」
「お前みたいな奴が非力だなんて言ったら、この世に存在する魔物のほとんどが非力ってことになるだろうが。・・・・・・レインのことは後でオレがシメとくから、そんなに気を落とすなよ?」
「はい・・・・・・」
結局、テスタロッサは僕が宥めたことでギィさん達と衝突するということは無かったけど、最後までバチバチしてたから、今後はなるべく二人を会わすのは控えようと密かに決めた。
その後、茶会を無事に終えた僕は、約束通り地下にある茶葉の倉庫を見学させて貰い、お土産として茶葉のいくつかを譲ってもらったので、後でテスタロッサやカレンに淹れて貰おうと心に決め、その場を後にするのだった・・・・・・。
「ねぇ、テスタロッサ?さっき、ギィさんが言ってた事だけど・・・・・・キミがギィさん達と同期の悪魔って本当なの?」
「本当ですわよ?好きでそうなったわけでは有りませんが」
「えっと・・・・・・つまり、キミもいにしえの悪魔ってことで良いのかな?」
「そうなりますわね。・・・・・・言ってませんでしたか?」
「初めて知ったよ。・・・・・・ギィさんがあんだけ焦った理由がちょっと分かったかもしれない」
帰った後で、テスタロッサの正体を改めて理解し、それに心底驚くエリスだった。
見てわかると思いますが、エリスは豆腐メンタルなのでちょっとした事でも傷ついて落ち込んでしまいます。と言っても、レインがあんなど直球でディスれば誰でも落ち込む気がしますが、レインが取り乱す姿を想像すると何となく笑ってしまいますね。ちなみに、今の段階でギィとテスタロッサが戦えば、ギィが勝ちます。
とりあえず、今回でギィとの茶会は終了になります。