転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!?   作:レイ1020

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あけましておめでとうございます!

今年もどうかよろしくお願いします!


会談の行方

視点 三人称

 

 

 

「ふぅ・・・・・・」

 

 

 

エリス達が帰った後、再び茶を淹れてもらったギィは、少し疲れたように息を吐いていた。

 

 

 

「あらあら、随分と疲れた顔をしているわね?お茶会ってそんなに疲れるものだったかしら?」

 

 

 

「お前だって見てたんだから分かるだろうが。エリスの事もそうだが、めんどくさい奴(テスタロッサ)と顔まで会わせたんだぜ?疲れねー方がおかしい」

 

 

 

そんなギィに声を掛けたのは、次元の狭間からゆっくりと姿を表したヴェルザードだった。彼女は、茶会にこそ参加はして無かったものの、その茶会での話等はしっかりと聞いていたので、内容の理解はしていた。

 

 

「お疲れ様。出来れば、私もあの子(エリス)とお話ししてみたかったのだけど・・・・・・」

 

 

 

「今回は二人で落ち着いて話したかったんだよ。お前が出ると、オレはともかくエリスが戸惑うだろ?」

 

 

 

また一つため息を吐いたギィは、茶を口に含む。ヴェルドラの姉であるヴェルザードは、今は人の姿をしているものの、その正体は理不尽の権化とでも言える種族である”竜種”。もしも、彼女がその場に現れ彼女の正体を知った時には、エリスとて酷く恐れる事だろう。それだけ、竜種の存在は偉大であり、畏怖される存在なのだ。

 

 

・・・・・・同じ竜種であるヴェルドラは彼の友人なので除外するが。

 

 

 

「そうね。・・・・・・それで、あなたから見て、エリスはどうだったの?」

 

 

 

「良い奴だってことはわかった。だが・・・・・・一つ言えるとすれば、あいつには世界を”まるっきり変えちまうような力”がある。いや、場合によっては”世界が崩壊”するかもな?」

 

 

 

「っ?・・・・・・どういう事?」

 

 

 

意味深な発言をするギィに、興味を惹かれたヴェルザードはギィの隣の席に着席する。

 

 

 

「あいつのその力はこの世界にとっては異常・・・・・・本来”あってはいけない様な力”みたいなもんだ。そんな力がこの世界で猛威をふるえばエリスの使い方次第では、世界が破滅しかねないと見てる」

 

 

 

 

「・・・・・・じゃあ、それを知ったあなたは、あの子(エリス)をどうするつもりなの?世界の崩壊を招く前に、殺すのかしら?・・・・・・遠い昔の()()()のように」

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

ギィは何も返答せずに、静かに瞑目する。ギィの言う様に、エリスの能力はかなり異常であり、その異常度で言うならばリムルを凌駕する程だ。何せ、魂がある事が条件だが大した魔素の消費もなしに、人間を始めとした全ての生物の蘇生が可能なのだから。また、ギィは知らないが、病気や怪我の完治、ありとあらゆる場面に適応する脅威なるバフをもエリスは平然と行えるので、異常と言う言葉にも拍車がかかってしまう。

 

 

 

「さぁな?エリスの奴がこの世界をぶっ壊そうって魂胆ならすぐにでも消すが、あいつにそんな考えは微塵も無いらしいし、暫くは泳がせておくさ」

 

 

 

「そう。それなら良いけど、また変な情に流されないようにしなさい?あなたは『調停者』なのだから・・・・・・」

 

 

 

「わかってるよ」

 

 

 

ため息まじりにそう口にしたギィは紅茶を一口飲み、再び息を吐きながらリラックスするのだった。

 

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––

 

 

 

視点 エリス

 

 

 

 

ギィさんとのお茶会を終え、魔国連邦(テンペスト)に戻ってきた僕は、自分の家に貰った茶葉等のお土産を置いた後、リムルの家へと向かった。

 

 

 

「リムルー?体調はどうかな?」

 

 

 

「おう、お前のおかげですっかり良くなった、サンキューな。ヒナタから聞いたけど、何しにブルムンド国に行ってたんだ?」

 

 

 

「うん。追加分のエリス水の運送と、新しく出来た商品に関する売買の取引に行ってきたんだ」

 

 

 

リムルからの質問には、事前に考えていた嘘で難なく凌ぐ。リムルは何かと僕に対して過保護だから、こうして聞いてくることが多いから対策もしやすいんだ。・・・・・・というか、馬鹿正直に『ギィさんに会いに行ってた』なんて言ったら、どんな反応するのかな?・・・・・・多分めちゃくちゃ怒られる。

 

 

 

「そうか。・・・・・・さて、そろそろ会議の時間だ。俺は支度をしてからいくから、お前は先に執務官へ行っててくれ」

 

 

 

「わかった。じゃあ、後でね?」

 

 

 

さっき帰ってきたばかりで、すぐに会議というのは少し疲れるけど、我儘は言っていられないので僕は先に執務官へと足を運んだ。この会議は、我が国魔国連邦(テンペスト)と神皇国ルベリオスの和解と、今後の双方の付き合い方を決める大事な会議であるので欠席するのは論外だ。

 

 

 

・・・・・・とりあえず、気を引き締めていこう。

 

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––

 

 

 

 

「本日はお集まり頂き、ありがとうございます。神聖法皇国ルベリオスとジュラ・テンペスト連邦国の会談を開始します」

 

 

 

普段のシオンらしからぬ、完璧な開始の合図の元、会議は開始された。・・・・・・何でも、昨日の宴会の最中にシュナに色々と扱かれたのだとか。

 

 

魔国連邦(テンペスト)側に座るのは、リムルに僕、リグルドやベニマルと言った重鎮だ。一応、ヴェルドラさんもいるけど、本人は聖典(マンガ)に夢中なのでいないも同然と見ていい。

反対にルベリオス側には、ルミナスさんにルイさん、ヒナタさん、十大聖人の皆さんと言った顔ぶれになっている。皆の手元には両国の今現在の状況を事細かくまとめた資料が置いてあり、今回の会議はこれを元に進行していく予定だ。

 

 

 

「まず、聞きたい事があるんだが・・・・・・ヒナタ。お前に密告してきた奴ってのは誰なんだ?」

 

 

 

「東の帝国の商人で、名前はダームと言ったわ。その商人から、密告を受けて私はあなたの目の前に現れたの。・・・・・・今思えば、なんであんな根拠もない情報を信じてしまったのでしょうね?」

 

 

 

リムルから出たその質問に、ヒナタさんが冷静に答える。商人か・・・・・・てっきり、ヒナタさんやルミナスさん達に関連のある人物かと思ってたけど・・・・・・。

 

 

 

シュナの調査によれば、ロキの城内から出てきた武器や防具や食料、資源といったもの等は、その大半をその東の帝国から仕入れた物だという事が判明していている。それすなわち、ロキが東の帝国との繋がりがあったことを表しているので、今回の一件は一概にロキが全てを動かしていたとは言い切れないな。もしかすれば、ロキの”精神干渉”を施していたのも、その東の帝国に属する人物の可能性もあるわけだし。

 

 

 

「なるほどな。つまりは、そいつのその情報を頼りに、お前はイングラシアにいた俺に接触を図ってきた訳だな?・・・・・・それについてはもう気にしてはいないが・・・・・・正直、あれは最悪のタイミングだった。もう少しお前が遅く来てたらって考えると、ひどく腸が煮えくり返る・・・・・・」

 

 

 

その時のことを思い出したのか、リムルが怒気を発しながらこの部屋全体に『魔王覇気』を放ち始める。多分無意識にだろうけど、それをされては会議どころでは無くなってしまう。現に、ルミナスさんやヴェルドラさんを除いた全員がかなり萎縮してしまっている。

 

 

 

「リムル、どうか抑えて?みんな怖がってるからさ?」

 

 

 

「・・・・・・っと、すまない。それで、クレイマンは恐らくその東の帝国と繋がりがあって、それに加えてファルムス王国を裏で操っていたと見ていいが、どうにもそれだけじゃ無い気がするんだ」

 

 

 

「?・・・・・・どう言うこと?」

 

 

 

リムルの発言に、ヒナタさんが首を傾げる。

 

 

 

「クレイマンが死ぬ直前に言っていた『あの方』・・・・・・ってのが少し引っかかってな?もしかすると、真の黒幕はそいつなんじゃ無いかって思ってるんだよ?」

 

 

 

「妾も聞いていたが、確かにその可能性は十分あるであろう。・・・・・・とは言え、それが誰であるかは定かでは無いがな?」

 

 

 

ルミナスさんも話に参戦するが、真の黒幕の正体にまで辿り着くには至らなさそうだった。・・・・・・ロキの思考回路を読んだ際に、それがカザリーム・・・・・・という元魔王である事は知る事が出来たが、それ以上の事は何も情報が無い。

 

 

 

「(リーテさん、ロキの思考回路を覗いて、何か新しい情報は出たかな?)」

 

 

 

《解。カザリームは、現在は名をカガリへと変更し、新たなる肉体へ魂を憑依させている事が判明しました。ただし、魂を移した代償に大半の力を失っていると推測します》

 

 

 

リーテさんの新たなる情報に、僕はふと考え込む。カザリームが肉体を得た事はわかったけど、その人は肉体を得て何を成そうとしているのだろう?しかも、肉体を得るのとは代償に力が失われるデメリットがあったにも関わらずだ。

 

 

・・・・・・そんなデメリットを背負ってでも、叶えたい目的がある・・・・・・そう思わずにはいられなかった。

 

 

 

「(ロキの言っていた、中庸道化連・・・・・・彼らは一体・・・・・・?)」

 

 

 

「エリス、お前は何か知らないか?」

 

 

 

唐突に、リムルから質問された僕は少し戸惑うが、僕なりの意見を言う事にした。

 

 

 

「その『あの方』を知るには、クレイマンもそうだけど、彼が属する組織である”中庸道化連”を調べる必要があると思う。組織の成り立ちや組員、目的の全てを」

 

 

 

「中庸道化連・・・・・・聞いた事がないが、もしかすれば、ロイを殺した人物はその組織にいるのかもしれない」

 

 

 

「ロイ?・・・・・・もしかして、ルミナスさんの影武者をしていたあのロイ・ヴァレンタインさんのことですか?その人が・・・・・・殺された?」

 

 

 

「うむ。ロイは私の弟でね?その日は、我ら吸血鬼族(ヴァンパイア)の力が削がれる新月の夜だったとはいえ、其奴に遅れを取り死んだのだ。以前から自意識過剰な面が見られるとは思っていたが、何とも情けない話だ」

 

 

 

表情を一切変えずに淡々と自分の弟の死を口にするルイさん。だが、彼とて自分の家族を殺されて何も思っていない筈はないので、そこに何か言うことは控えておいた。

 

 

 

「マジか?俺は魔王達の宴(ワルプルギス)であいつを見たが、少なくとも魔王級の力はあると思えたぞ?そんな奴が殺されるって・・・・・・相手は相当な手練れと見ていいな」

 

 

 

「そうね。それで、ロイの死はともかくとしてその中庸道化連の事については、事細かく調べていく必要がありそうね。とは言っても、調べても正体にたどり着けるかは定かではないけれどね?」

 

 

 

目を閉じながらそうぼやくヒナタさん。勿論、ヒナタさんの言う通りで中庸道化連を調べたところで正体に漕ぎ着ける可能性が100%あるとは言い切れない。調べたところで無駄骨に終わってしまえばその時間が無駄になる。・・・・・・本当であれば、唯一『あの方』の正体を知っている僕がそれを打ち明けるべきところなのかも知れないが・・・・・・。

 

 

 

「(いや、だめだ。それを言うと絶対にそれの情報源を聞かれる。うやむやにしようにもその他の中庸道化連の情報源のありかなど知るはずも無いし、そもそもそれがあるのかさえも分かっていない。嘘をつくのは無理と諦めるべきだろう。でも、だからと言って本当の事・・・・・・”僕が助けたロキからの情報”だなんて言えば、ルミナスさんとかはともかく、リムルはまたロキを殺そうと動く筈だ・・・・・・それだけはなんとしても防がないと!)」

 

 

 

言おうにも言えない事情がある以上、僕は口を開く気にはならなかった。リムルがそれを聞いても何も行動を起こさなければ話しても良いと思ってるんだけど、昨今の彼を見ていてはとてもじゃ無いけど、話す訳にはいかなかった。彼が本気で動いて仕舞えば、僕では到底止められる手立てがないのだから。

 

 

 

「その正体なんだが、もしかすれば七曜が正体だったりしないか?」

 

 

 

そんな中、リムルが思わぬ発言をする。その発言に、何名かは訝しげな表情を見せ、また何名かは驚きの表情を見せていた。

 

 

 

「・・・・・・何じゃ?妾の配下が妾に隠れて身勝手に動いていたと申すのか?」

 

 

 

「ルミナス様。御言葉ですが・・・・・・もしかすれば、その可能性も十分あるかと」

 

 

 

「ルイっ!貴様までそのような戯言を・・・・・・」

 

 

 

リムルの発言に憤った様子のルミナスさんは、リムルに対して圧のある声を浴びせた。だが、それをルイさんがやんわり止めつつリムルのフォローをし始めた。

 

 

 

「あなた様が奴らに対する儀式・・・・・・愛の接吻(ラブエナジー)をここ100年以上もの間、行っていないことはご自覚ありますでしょうか?」

 

 

 

愛の接吻(ラブエナジー)?・・・・・・っ!そうじゃったな。あやつらは元は人間、妾が生気(エナジー)を体内に吹き込まねば自然と老いてしまう。ここ100年で色々とあって忘れておったな。じゃが、それと今回の件で何の関係性があるのじゃ?」

 

 

 

「七曜はもう一度あなた様の目を惹き、愛の接吻(ラブエナジー)を行ってもらおうと躍起になり、東の商人達と手を組み魔王クレイマンを籠絡しようとしたのではないかと見ています」

 

 

 

ルイさんの何とも説得力のあるその説明に、僕を含めたその場全員が小さく唸った。勿論、それは違うのだが、ルイさんの説明があまりにも筋が通っているので本当にそうなのではないかと思えてしまう。それに加えて、恐らくはヒナタさんの暗殺も企てていたことも考えると、相当ルミナスさんから気に入られたかったんだね、七曜の人たちって・・・・・・。

 

 

 

「うーん・・・・・・。そうだとして、それだけでルミナス様が七曜のことを目にかけるでしょうか?ルミナス様は、正直言って国取りとか、領地争いとか・・・・・・ましてや格下の魔王であるクレイマンが何かしたところで特段興味を示さないと思うんですけど?」

 

 

 

「そうじゃな。妾とて暇ではない。下郎たるクレイマンごときが何をしようと知ったことではない」

 

 

 

アルノーさんやルミナスさんにロキが散々言われてる事態に、僕は内心で苦笑いを浮かべる。・・・・・・まぁ、彼もこれまでに色々としてきたんだし、この言われようは妥当か。

 

 

 

「七曜だってバカじゃあるまいし、その計画が成功したところで愛の接吻(ラブエナジー)が自分達に為されない可能性も予測出来たはず。なのに、何でそんなリスクを背負ってまで・・・・・・」

 

 

 

「いや、恐らく七曜は、そのリスクを無くすべく、一つの()()をかけていたのかも知れないね」

 

 

 

「保険?・・・・・・それって?」

 

 

 

意味深な言葉を残したルイさんに対して、リムルがさらに追求すると、ルイさんはひとつ息を吐くと・・・・・・徐に視線を()()()に向けてくる。・・・・・・へ?

 

 

 

「それは・・・・・・()()()殿()()()()です」

 

 

 

 

とんでもないそのルイさんの発言に、僕は言葉を無くす。




エリスが正体を話せれば万事解決でしょうが、そうもいかないのが何とももどかしいです。情報源を追求され、リムルにロキ(クレイマン)が生きていることを知られて仕舞えば。今までのリムルの行動や発言からして、すぐさま始末に動こうとするのは明白ですからね。

そうなると中庸道化連と全面対決になるでしょうし、双方にとってもデメリットしか無いですし、エリスの判断は妥当なのかもしれません。
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