転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!?   作:レイ1020

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エリスがイングラシア王国に行きます。

彼が一体どんな反応をするのか?


初めてのイングラシア

 

 

 

それから二日後、存分に魔国連邦(テンペスト)の料理や温泉を満喫したルミナスさん達は、お土産を沢山抱えながら国を後にしていった。今後のルべリオスとの関係もガラッと変わった事だし、少し経った後で再び両国間で会談の場を設けるのも検討する事にした。

 

 

さて、ルべリオスの件については一旦区切りはついたので、僕たちは改めて魔国連邦(テンペスト)の開国祭の準備へと乗り出す事にした。準備と言っても、主に『どんな催しをするか』とか、『どんな飾りつけをするか』とか、そんなぐらいなんだけど、結構人によってはもうどんな催しをするかは決めてあるようだ。

 

 

例えば、シュナに至っては、自分の料理の腕を振るって、今までにない最高の品を作って各国の主要人達の舌を唸らせたいと張り切っていて、終いには喫茶店を開いてケーキやシュークリームといったデザート類まで作ろうと意気込んでいる始末だった。

 

 

後、ガビルやベスターさんは、自分達の研究しているヒポクテ草や回復薬(ポーション)の展示会を開くらしく、それに加えての今までの研究成果なども事細かく発表するようだ。

 

 

他にも色々と企画を考えている幹部達は大勢いるが、僕はと言うと・・・・・・これと言って思いついていない。強いて言うなら『僕の水を扱った大道芸』か、『僕の作った道具やアクセサリーなどの展示会』ぐらいかな?とは言っても、当日は僕も立場的に忙しい可能性が高いし、やるなら本当に空き時間だけになるかもね。

 

 

開国祭の招待状については、既にドワルゴン国、魔道王朝サリオン、ルべリオスと言った国々に送っていて、今は返事待ちの状態となっている。サリオンやルべリオスはこれに応じるかはわからないけど、ガゼル王であれば快く応じてくれそうな気もする。一応、交易も行ってるし、兄弟弟子って関係性もあるし。他にも、様々な国へと招待状を送っているが、そんな中で僕はリムルに対して、”一人の人物”を招待してはどうだろうか?と進言した。その人物は・・・・・・

 

 

 

 

「ユウキか・・・・・・別に良いと思うが、どうも腹が読めないんだよなぁ〜・・・・・・あいつは」

 

 

 

僕が進言したのは、イングラシア国で自由組合総帥(グランドマスター)をしている、ユウキ・カグラザカさんだった。リムルは何度か顔を合わせており、既に顔見知りの関係でいる様だが、僕はその人に会ったことがなかったので、良い機会だと思って誘う事にしたんだ。リムル曰く、悪い人では無いとのことだし、一度会って親睦を深めてみるのも悪くない。もしも、彼が僕達にとって、今後脅威となる存在であると判断した場合は、それなりの対応をとるつもりでいた。

 

 

 

「(・・・・・・それに、もしかすれば彼の側にはロキやカザリームがいる可能性もある。会えるかは分からないが、会えた時は少し話をしてみるのも良いかもしれない)」

 

 

 

「エリス、本当にユウキを誘うのか?いや、誘うのは構わないんだが・・・・・・あいつもあいつで忙しいし、来れない可能性もあるぜ?」

 

 

 

「それならしょうがないって諦めるよ。あ、せっかくだし招待状は僕が持ってくよ。魔国連邦(テンペスト)の副国主が直接来たってわかれば、彼も対応してくれるかもだし、キミも色々と忙しいでしょ?」

 

 

 

「・・・・・・いや、それは建前で単にイングラシアに行きたいだけだろ?お前、一度も行った事ないもんな?」

 

 

 

ジト目になりつつ僕を問い詰めてくるリムル。・・・・・・はい、図星です。招待状を送るだけなら転送魔法を使えば即座に送れるし。

 

 

 

「ぐっ・・・・・・ま、まぁそれもあるけど・・・・・・とにかく!ユウキさんへの招待状は僕が持ってくから、リムルは事前に自由組合(ギルド)に話を通してもらいたいんだけど?」

 

 

 

「わかったよ・・・・・・ったく。あ、それならついでに学園にいる子供達にも会っていけよ。お前の事は話した事もあるし、行けば喜んで歓迎してくれるはずだぜ?」

 

 

 

「うん。元からそのつもりだったし、そうさせてもらうよ」

 

 

 

何とかリムルを説き伏せることに成功した僕は、内心でにんまりとしながらリムル直筆の招待状を受け取った。その後、リムルはユウキさんと連絡を取り、会う約束を取り付けてくれたのでこれで問題無くユウキさんに会うことができる様になった。本当は、自由組合(ギルド)の本部は冒険者ランクがBランク以上の人しか入れないんだけど、今回は特例と言うことで僕でも入る事は認可されるので、僕はホッと胸を撫で下ろすのだった。

 

 

 

ちなみに、僕も以前にブルムンド国に行った際に冒険者登録を済ませていて、その証であるカードも持っているのでイングラシア国にも問題無く入れる。だけどそのランクはE。実地試験で狩猟犬(ヘルハウンズ)を見事に倒してみせ、本当はさらに上位のランクに昇格できる試験にも挑戦できたんだけど、僕的には身分証の代わりになるものが欲しかっただけなので、そこで止める事にしておいたんだ(リムルはBランク)。今にして思えば、受けていても良かったのかもしれない・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

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視点 三人称

 

 

 

 

「失礼します」

 

 

 

「うん。よく来てくれたね、ロキ」

 

 

 

イングラシア王国自由組合本部。その中にあるユウキの執務室に、彼に呼ばれたロキが一声かけてから中へと入ってくる。あれからロキは、自分の帰る城も領地も失ってしまった事もあって、今は主であるカガリやユウキと共に行動をしていた。

 

 

 

「ロキ、ご苦労様。遺跡内の地図の作成や発掘品の解析、その他の遺跡内で得た情報の整理は順調かしら?」

 

 

 

「はい。地図は大体仕上がり、発掘品に至っては一部は競売品として売り出そうと検討しています。情報をまとめた書類はこちらに御座いますので、後で目を通していただければ・・・・・・はぁ」

 

 

 

ため息を吐きながら、懐から遺跡の情報が纏められた書類を何枚か取り出したロキは、それをユウキの机の端に置いた。

 

 

 

「ん?大丈夫か?なんか疲れてる様に見えるけど?」

 

 

 

「いえ、問題ないです。ただ思うところがあるとするなら、遺跡の探索は別に私まで行く必要は無かったのでは?・・・・・・と思っていまして。行かなくても仕事ぐらいは出来ますし・・・・・・」

 

 

 

「また言ってるの?前にも言ったでしょう?ワタクシはあなたと一緒に遺跡探索に行ってみたかったからだって」

 

 

 

「それはそうですが・・・・・・はぁ〜」

 

 

 

再び深いため息を吐いたロキ。彼の今の仕事はこの二人の補佐であり、書類関係のまとめや整理、各地への情報収集だけで無く、時には受付やクエストの受注、街中の警備までもこなしたりする。このように、幅広く仕事をしている事もあってその仕事ぶりは既に自由組合では知れ渡っている程に有名となっている。元々、頭が良かった事もあり、この程度のことであれば造作もないのだとか。だが、こうしてたまにだが、カガリの付き添いという名の連れ回しで各地の遺跡探索まで行っているので、当然彼の疲れも溜まるし呆れてしまうのも納得だろう。

 

 

 

ちなみに、今置いた書類はこの前、カガリと共に世界最大級の古代遺跡”ソーマ”を踏破した際に得た情報が掲載されている。

 

 

 

「お疲れ様。で、キミを呼んだ理由なんだけど・・・・・・ついさっき、リムルさんから連絡が入って、三日後にここにエリスさんが招待状を届けにやってくるらしい」

 

 

 

「招待状?」

 

 

 

「何でも、魔国連邦(テンペスト)の開国を祝って盛大な祭りを開くんだってさ。それに出席するための招待状をエリスさんがわざわざここまで届けに来てくれるって訳」

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

エリスが来ることを知ったロキは、少し表情を和らげる。彼にとって、エリスは命の恩人でありこの『ロキ』と言う名をくれた名付けの親でもある。自分を殺そうと思えば殺せたはずだと言うのに、それでもそうはせずにこうして自分を大切な仲間の元へと帰してくれた恩人。そんな彼が遥々来てくれると言うのだから、彼とて多少は嬉しくなる物なのだろう。

 

 

 

「ふふ。ちょっと嬉しそうね?彼に会うのはいつぶりくらいなの?」

 

 

 

魔王達の宴(ワルプルギス)で会ったのが最後ですので、かなりの期間が空きます」

 

 

 

「そっか。なら、会ったらあの時のお礼もちゃんと言っておいた方が良いぜ?僕もエリスさんにはお礼もそうだけど”話したいこと”があったし」

 

 

 

「・・・・・・話したいこと?」

 

 

 

唐突なそのユウキの発言に、ロキは首を傾げる。ユウキやカガリが、次にエリスにあった際にはきちんと自分を助けてくれたお礼をしたいと話していたことはロキも知っているが、ユウキの言うその『話したいこと』・・・・・・に関しては初耳だったので、どうしても気になってしまうのだろう。

 

 

 

「雑談みたいなものだよ。特別おかしな話をするわけじゃないし、心配しなくていいぜ?」

 

 

 

「・・・・・・?わかりました」

 

 

 

 

どうも腑に落ちない様子のロキだったが、結局追求せずに終わった。その後の話し合いで、ロキが本部の入り口付近でエリスを出迎える事となり、ロキは久方ぶりに再会するエリスを想いながら、胸を昂らせるのだった。

 

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

 

 

 

 

視点 エリス

 

 

 

 

「はぁ〜・・・・・・ここがイングラシア王国か。初めて来たけど、まさかここまで大きな国だったなんて・・・・・・」

 

 

 

それから数日後、リムルから受け取った招待状を大事に懐にしまった僕は、イングラシア王国へと足を踏み入れていた。ここへはリムルに転移魔法で送って貰ったので来るのは、一瞬だった。一応、護衛としてヒョウガ、セキガ、カレンを影の中に忍ばせているので、身の安全については保証されている。門前で衛兵の人に身分証である冒険者カードを見せ、無事に中に入れた僕は、初めて目にするイングラシア王国の街並みに面食らっていた。

 

 

魔国連邦(テンペスト)よりもはるかに発展してるっていうのは明確。魔国連邦(テンペスト)には少ないガラス張りの建物も多くあるし、店だって所狭しと並んでいる。衣食住についても見た限りでは潤いを見せているし、何より人が沢山いて賑わっていてまさに”都会”・・・・・・って感じだった。

 

 

 

「街中の警備についても、西方聖教会所属の衛兵達にさせる程に徹底するくらいだし、流石は世界でも有数の巨大国というべきか・・・・・・」

 

 

 

よく見ると、賑わう一般人に紛れて銀色に輝く鎧を着た衛兵が何人か警備の為に立っているのが見える。それもあってか、街中では特段問題事は起こっておらず、治安の良さが見て取れた。・・・・・・良かった。これなら、僕も安心して散策ができ・・・・・・

 

 

 

「おっ!良い女発見!ねー、そこの()()()()()()()?今から俺と楽しい事しない?俺、良い店知ってるんだぜ?」

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

・・・・・・前言撤回しようかな?普通に、ガラの悪い冒険者に絡まれました。しかも、女扱いしただけでなく、気安く肩を組んできながら・・・・・・。

 

 

 

「僕、急いでますので・・・・・・」

 

 

 

「まぁまぁ、そう言わずに・・・・・・って、うおっ!?近くで見るとマジで美人さんじゃんっ!こりゃ、今日の俺は運がいいぜ〜・・・・・・」

 

 

 

気持ち悪い声を出しながら、顔を真っ赤に染め上げるこの男性に、僕は溜め息を吐く。確かに、今の僕は魔素を道具なしで抑えられるようになってるから、仮面とかで顔を隠さずにここに来ちゃってるけど、来て早々にこうやって絡まれてしまうと、やっぱり顔を隠してくるべきだったとひどく後悔をしてしまう。・・・・・・今度、というか直ぐにでも仮面をつけた方が良さそうだね・・・・・・この男を撒いてから。

 

 

 

「おい、あれって、Aランク冒険者のモビーじゃねぇか?”女遊び”で有名な・・・・・・」

 

 

 

「ああ。・・・・・・どうする?衛兵、呼ぶか?」

 

 

 

「衛兵じゃ歯が立たねぇよ。あんなんでも、Aランク冒険者だ。返り討ちにされて終わりさ」

 

 

 

「じゃあどうすんだよ?このままだと、あの女性は・・・・・・」

 

 

 

周りの人も、気が付いたのか遠目で見ながらソワソワとしていたが、誰もこれを止めにくる人はいなかった。周りの人曰く、この人は冒険者としてはかなりの実力者であるAランクの冒険者であり、下手に止めに入れば自分が怪我をする事も考え得るので、止めに入ることが出来ないんだろう。衛兵の何人かもこの騒ぎに気づいた様子だが、騒動の原因がこの人だということが分かると、すぐさま”何処かへ連絡を入れる”だけで止めに入ってくることはしなかった。

 

 

 

『主様。この無礼な輩は、ワタシが排除しても?』

 

 

 

『いや、ここはオレに任せてくれよヒョウガ?』

 

 

 

『二人とも狡いよ?エリス様、ここは私がなんとかします』

 

 

 

『そうして貰いたいけど、キミ達が出てくると色々問題になるでしょ?』

 

 

 

僕の影の中にいる3人が、こぞって僕を守ろうと外に出てこようとしているのを、やんわり止める。そうして貰いたい気持ちもあるけど、こんなに大勢の人間達がいる前で魔物である3人が出てくればパニックになるのは分かりきっているからね。

 

 

 

とはいえ、困っているのも事実。最悪、強引にでも振り切って仕舞えばいいか・・・・・・はぁ。

 

 

 

「急いでいると言っているでしょう?あまりにもしつこいなら、いい加減に怒りますよ?」

 

 

 

「怒った顔もいいなぁ!・・・・・・なぁ、いいから行こうぜ?お姉さんだって、痛い目は見たくはねぇだろ?」

 

 

 

焦ったくなったのか、とうとう武力行使に出てきた。持っていた短剣を僕の眼の前にチラつかせながら、僕を脅迫してくる・・・・・・。ふぅ、言っても聞かないようだし、軽くあしらってさっさと逃げよう。

 

 

 

また一つ溜息を吐いた僕は、眼の前の短剣を取り上げようと行動に移そうとした。

 

 

 

だが・・・・・・その時、この場に”一陣の風”が吹く。風のせいで髪が靡くのを手で抑えながら、いきなり現れたこの風の発生源となった”茶髪の男”に目をやった。

 

 

 

「全く・・・・・・貴方のようなクズな輩に構っていられる程、私は暇では無いのですがね?」

 

 

 

「あん?いきなりなんだ・・・・・・っ!?お、お前は・・・・・・!」

 

 

 

冒険者の男は、現れたこの人を見るや否や、さっきの態度が嘘のように顔を真っ青にしながら、ゆっくりと後ずさっていた。だが、この人はそんな彼に目もくれず、静かに僕へと視線を向けてきた。

 

 

 

「・・・・・・やれやれ、こんな場でお会いすることになろうとは・・・・・・。お久しぶりです、エリス殿」

 

 

 

「あはは。助けてくれてありがとうございます。・・・・・・久しぶりですね、ロキさん」

 

 

 

困っていた僕を、見事にかっこよく助けに来てくれた()()()()()()。女であるなら絶対に惚れるであろう彼は・・・・・・以前、僕が命を助けたロキだった。

 

 

 

この場にロキが駆けつけてくれた事にホッと胸を撫で下ろした僕は、途端に肩から力が抜け落ちるのだった。




エリスを助けたのは、絵にも描いたような白馬の王子様でしたーー!!・・・・・・まぁ、ロキですけど。なんで彼がこの場に駆け付けてくれたのかは次回で明らかにしますが、なんとなく想像付いてる人もいるかも知れないです。

次回は、ようやくエリスがユウキとカガリと面会しますのでお楽しみに!後、ちょろっとロキの力についても触れるかもです。
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