転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!? 作:レイ1020
「・・・・・・ロキさんがここにいる時点で何となく予想はしてましたが、やっぱり貴方は中庸道化連と繋がりがあったんですね?」
「まぁ、そんなところです。それで、どうします?」
「・・・・・・良いですよ。僕も貴方に聞きたい事も今、出来ましたし」
ユウキさんのその申し出に、僕は軽く頷きながら話し合いに応じる旨を示す。
「まず、始めに聞かせて貰えませんか?」
「はい、どうぞ?」
「
「もし、そうだと言ったら?」
「貴方への今後の対応を考えさせていただきます」
僕の質問には答えずに、ただただ濁したユウキさんに少々の憤りを見せながら淡々とそう口にする。当然だろう。あれほど酷い事をして、住民達を危険に晒した黒幕と誰が共に行動をしたいと思うだろうか?
「エリス殿、あれに至っては私が独断で勝手にやった事。ユウキ様やカガリ様には一切関係ありません」
そんな中、ロキがフォローを入れるべく、話に割って入ってくる。
「・・・・・・ロキさんの言う事に差異は?」
「全く関わっていないと言えば嘘になりますけど、少なくともあの一件に関してはロキに一任してたので、僕は何もしていませんよ?」
「・・・・・・そうですか」
あっけらかんとした様子で語るユウキさんだが、どうにも僕には彼が胡散臭く思えてしまう。ロキの言うことも事実なんだと思うけど、どうにもそれだけじゃ無い気がして・・・・・・。
「(リムルが腹が読めないって言うのも納得だ。この人、本当に何を考えてるか分からないや・・・・・・)」
「(ふぅ・・・・・・なるほど。一見納得したように見せてるけど、全然納得して無いなこの人。・・・・・・この人には注意が必要だな。僕の表面だけでなく、その腹の奥の隅々までを見通してくる。ある意味、リムルさんより怖いかもしれない)」
少しの間沈黙が流れ、執務室内がしんと静まり返る。そんな時だった。
「これをどうぞ。紅茶には甘いお菓子が一番ですので」
カガリさんが、僕たちの目の前にお皿に大量に盛られたクッキーを置いた。ミルク風味の物やチョコレートが混じった物、ナッツが入った物など、様々なクッキーがあることが見て取れる。
「ありがとうございます。ちょうど甘いものが欲しかったところです」
「いえ、お礼を言うのはこちらの方ですわ。エリス様、此度は本当にありがとうございました」
「・・・・・・?」
唐突なカガリさんからのお礼の言葉に僕は首を傾げる。
「ロキを助けてくれた件についてですよ」
「おい、カガリ?今それを言うと・・・・・・」
「大丈夫ですよ。既に貴女の正体ことは存じ上げておりますから。ロキの件については、僕はあくまでも自分勝手に彼を助けたに過ぎませんので、お礼を言われる筋合いはありませんよ・・・・・・
「「っ!?」」
《告。個体名ユウキとカガリから微力の敵意が感知されました。臨戦態勢を取ることを推奨します》
僕がカガリさんの正体を言い当てた事実に、ユウキさんとカガリさんの表情が強張る。ロキは既に知っていた事もあって、驚くような様子は見せなかった。
「・・・・・・だとしてもです。あなたにどんな考えがあったのかは分かりませんが、それでもロキを助けてくれた事に変わりはありませんから。・・・・・・もう一度言わせてください。本当に・・・・・・ありがとうございました」
「分かりました。このお礼は素直に受け取っておきます」
動揺した様子だったが、それでも再び僕へのお礼を述べたカガリさんに流石の僕も折れる事にし、そのお礼はありがたく頂戴しておいた。
「エリスさん?カガリの正体をどこで?・・・・・・この情報を知るのは」
「中庸道化連の一部の者達のみ・・・・・・でしょう?先ほどロキさんから聞きましたよ?」
「っ!?ロキっ!」
僕の口からロキの名が出た途端、ユウキさんは鋭い眼光をロキに向けた。
「ロキさんを責めないでください。ロキさんは決して自分からその情報を話したわけではありませんから」
「そうですね。あなたは私の許可なしに勝手に私の頭の中を覗いて、勝手にその大事な情報を得たのですから?」
「・・・・・・すみません」
今度はロキから僕へと鋭い眼光が飛んできたので、少し萎縮しながら彼へと謝罪をした。
「つまり貴女は・・・・・・ロキの脳の中であればどんな情報も抜け出せると言う事ですよね?まさか、それ以外の情報も盗んでいたりしませんか?」
「いえ、僕が得たのはカガリさんの正体ぐらいですよ。・・・・・・その様子からして、盗まれると困るような情報でもありそうに見えますが?」
「っ・・・・・・」
痛いところをつかれたのか、ユウキさんが表情を曇らせた。
「ふっ・・・・・・心配しなくとも、これ以上情報を盗んだりするつもりなんてありませんよ。誰にだって、知られたく無いことの一つや二つぐらいはあるものですから」
「そうですか。それならいいんですが・・・・・・」
僕のその言葉にホッとしたのか、ユウキさんは胸を撫で下ろした。
「で、話を戻しますけど、あなたは
「ええ、その通りです」
「そうですか。ならば、これ以上は言及しませんが、万が一にでも今後の調査であなた達の関与が確認できたとするなら、あなた達への対応も変えさせていただきますのでそのつもりでいて下さい。
「(っ?・・・・・・へぇ、なるほど?)・・・・・・肝に銘じておきますよ」
そう口にしたユウキさんは、喉を潤す為か紅茶を口に含む。僕が今言ったことは紛れもない本心であり、ユウキさん達が僕たちに仇なす敵だと認識した時には速やかに交流を絶つ覚悟でいた。国を統治するものとして、国や住民達に危害を加えそうな輩達と交流するなど看過する事はできない。
リムルだって、多少であれば僕が独断の判断をしても怒りはしないだろうから。
「さて、そろそろ僕はお暇します。この後、少し予定があるので」
「確か、リムルさんの教え子達に会って行かれるんですよね?でしたら、くれぐれも開国祭の事は内密にしておいて下さい。出来ればギリギリまで内緒にしておきたいので」
「子供達も招待していいんですか?」
「勿論ですよ。リムルさんやあなたの国であれば危険など無いでしょうし、子供達もきっと喜びますよ」
・・・・・・この人のこの自信はどこから出てくるのか。とはいえ、子供達を開国祭に招待するのは僕も賛成だ。
「本当は僕が案内したいところですけど、僕も今は少し忙しいから・・・・・・ロキ、学校まで案内を頼んでいいか?」
「はっ、お任せを」
リムルから聞いてたのか、ユウキさんはロキに僕の案内を頼むと、挨拶も控えめに執務へと戻っていった。それを見た僕はロキと共に部屋を出て、子供達のいる学園へと歩を進めるのだった。
その道中・・・・・・
「(ねぇ、リーテさん?気のせいか分からないけど、ロキさん・・・・・・前会った時と比べて随分と強くなってるような気がするんだけど?)」
僕の前を歩く、ロキさんを見て僕はリーテさんに質問していた。
《解。個体名ロキの体内保有魔素量が、以前に比べて大幅に増量しています。
僕の推測通り、リーテさんから同じ意見が返ってくる。
「エリス殿?何か考え事でも?」
「いえ、ただロキさんが前会った時と比べて随分と逞しく、強くなっていると思えて仕方がなくて・・・・・・」
「ああ、それは私のスキル『
「『
ロキの口から出た聞いた事のないスキルに僕は首を傾げる。
《解。ユニークスキル『
「(やたらとロキが強くなってたのと、いろんな人から慕われてたのはそれが原因か・・・・・・)そのスキルはいつから?」
「私にも詳しい事はよく分かりません。気が付いたらこのスキルを持っていたので」
「(リーテさん、分かる?)」
本人にもそのスキルを会得した時期が分からない様子に、僕は徐にリーテさんに聞いてみることにした。
《解。
「(そうなんだ〜・・・・・・ん?内に秘めた気持ちから?ロキって、前から人に好かれたいって思ってたの?)」
《・・・・・・》
リーテさんはそれに関しては何も言わなかった。うん、触れるなって事か。
「ま、まぁ良いじゃないですか。理由はどうであれ、そんな良いスキルが手に入って、尚且つみんなから慕われる様になったんですから」
「・・・・・・私からしてみれば、あまり好かれすぎても迷惑でしか無いのですがね?」
少し顔を赤めながら、ツンツンとした様子でさっさと歩いていってしまうロキさんを見て、思わず”可愛い”と思ってしまった事は本人には内緒だ。
「ふぅ・・・・・・思ったよりも疲れた」
「お疲れ様。それで、どうだったの?あのエリス=テンペストは?」
「かなりのクセ者であって、厄介な人だってのはよく分かった。力がとかじゃなくて、あの人の観察眼、読心力そして頭のキレ・・・・・・どれを取ってもかなりの脅威だった。正直、敵には回したくない」
「・・・・・・そうね。で、結局あの人をこちら側に引き込むのかしら?」
「エリスさんと僕達はとてもじゃないけど、合う関係にはなれない。少し話をしただけだが、それぐらいは分かった。こちらにスカウトするのは
「・・・・・・?
「そのうち分かるさ。そのうち・・・・・・な?ふふふっ・・・・・・」
カガリ曰く、その時のユウキはいつも以上に”黒く不気味な笑顔”を浮かべていたそう・・・・・・。
次回はいよいよエリスが子供達と会います。エリスに初めて会った時の子供達の反応にも注目です。
後、ロキのユニークスキルの補足ですが、あくまでこのスキルは誰彼構わず好意を抱かれるという訳ではなく、好かれやすくなるというだけなので、スキルの保持者が悪どい事をしたり、嫌われるような事をすれば普通に悪意を向けられます。
何が言いたいのかというと、ロキが他者から好かれたり慕われているのは、決してこのスキルだけのおかげではないという事です。本人がしっかりと改心して他者の為に自分ができる事をしてるからこそ、今の彼が慕われているのでしょう。
今後の彼の成長がどうなるのか、見守っていてください。
ユニークスキル『
スキル保持者が対象を問わず、好かれたり慕われやすくなる。好意を向けられる人数が多ければ多いほど保持者の各種能力が向上する。