転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!?   作:レイ1020

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転スラ3期がもうそろそろ始まります。

楽しみですね!




教師の不在

 

 

「はぁ〜、面白かったな〜・・・・・・。まだまだ見たかったくらいだぜ」

 

 

 

「まるで映画でも見てるみたいだった・・・・・・」

 

 

 

「あれが全部水で再現された物だなんて、にわかには信じられないわね・・・・・・」

 

 

 

全ての大道芸が終わり、子供達はそれぞれ感慨に耽っていた。その様子からして、緊張がほぐれたと見て、僕は胸を撫で下ろす。

 

 

 

「どう?少しは僕の事を知ってもらえたかな?僕はリムル同様の魔物で水を媒体として生きているんだ。ちなみに本来の姿はこれ」

 

 

 

「わっ!水になっちゃったっ!?」

 

 

 

擬人化を解き、水の状態になった僕に子供達はかなり驚いていた。

 

 

 

「リムル先生から聞いてはいたけど、本当に水そのものなんですね?」

 

 

 

「そうだよ。・・・・・・せっかく会えたんだし、質問とかあるなら聞くよ?」

 

 

 

人型に戻った僕は、この際と思い聞いてみることにした。

 

 

 

「はいはいっ!エリスさんってリムル先生より強いの?」

 

 

 

「全然弱いよ?一対一で対決したら間違い無く僕が負けるかな」

 

 

 

自分で言ってて情けなく思えてくるが、事実である以上仕方がなかった。百歩譲って身体能力の面で見ればいい勝負はできるかもしれないが・・・・・・。というか、今のリムルに勝てるのってミリムとかギィさんぐらいしかいない気がする・・・・・・。

 

 

 

「さっきの動物達を見てて思ったんだけど・・・・・・もしかして、エリスさんも私たちみたいに地球での知識も持ってるの?」

 

 

 

「うん。僕の場合は、向こう(日本)で死んでこの世界に転生した身だから、一概にキミたちと同じとは言えないんだけどね?」

 

 

 

そう。僕は転生者だが、この子供達はこちらの世界の者らから不本意な形で召喚されたいわば被害者だ。まるっきり同じと言うわけでは断じてないが、少なくとも故郷は同じだと言う事は確かである。

 

 

 

その後も、子供達からの質問は尽きる事なく僕は憔悴しきるほどに質問攻めにあった。とはいえ、その時間は非常に有意義であり、何より僕も非常に楽しく過ごせたので良かったと思えた。

 

 

 

「それで、エリスさん!実は・・・・・・」

 

 

 

「はい、ストップです。キミたちはそろそろ次の授業の時間でしょう?準備に取り掛かりなさい」

 

 

 

「ええ〜?まだ聞きたい事が沢山あるんだけど?」

 

 

 

「私もエリス殿もこの後に予定があるのですよ。キミ達ばかりに時間を割けない事は分かってください?」

 

 

 

楽しい時間もとうとう終わりが来た様で、ロキから静止の言葉が入った。それに対し、子供達は明らかに不満そうな顔をしながらロキを凝視していた。そんな子供達を見て、ロキはやれやれと言った感じでため息を吐く。

 

 

 

「放課後、キミ達に戦闘の訓練をしてあげますから、そんな顔をしないでください。・・・・・・私と戦いたかったのでしょう?」

 

 

 

「本当にっ!?それなら我慢するっ!」

 

 

 

子供達を悲しませない為か、ロキはそんな提案を口にした。何というか、彼は子供達の扱いにもすでに慣れている様にも見えた。伊達に、子供達の教師はやってないと言うことか。

 

 

 

「ごめんね、みんな?機会があればまた顔を出すから。今回の続きはその時って事で」

 

 

 

その言葉を最後に、僕とロキは教室を出た。その次の機会と言うのは多分、開国際の日になるだろうが子供達にはその日を言う事はできないので、適当に濁しておいた。

 

 

 

教室を出た僕とロキは、教頭先生のいる執務室へと歩を進めている。

 

 

 

「そう言えば、今の子供達の担任は誰がやっているんですか?」

 

 

 

「ティスという女性です。戦闘面に関しては凡愚も良いところですが、座学への精通度で言えば、この学園において彼女の右に出るものはいません。彼らの戦闘の面については今は元Aーランク冒険者のクラウスという男に指導をしてもらっています。年齢は50手前と高齢ですが、腕はかなり立つ実力者であり優秀な教師です」

 

 

 

リムルの後任という事で、それなりのプレッシャーはあった様だが、そのティスさんとクラウスさんという教師はロキの話では立派に子供達を指導出来ているそうだ。

 

 

 

「ですが、ここ最近あの子供達が急激に力を付けてきたらしく、油断すれば彼とて敗北を喫するくらいには強くなっているらしく、自信を失いかけていると教頭から話を聞かされまして・・・・・・」

 

 

 

「元Aランクの冒険者に勝てるぐらいに強くなってるとか・・・・・・ロキさん、大丈夫ですか?」

 

 

 

「私が、あの子供達如きに遅れをとるとでも?」

 

 

 

「いえ、思ってません」

 

 

 

ギロリと音がする程に僕を睨んできたロキに、僕は咄嗟に謝罪する。正式な手段を踏んではいないとは言え、ロキは覚醒魔王。クラウスさんにいい勝負ができる子供達とは言えど、彼にとっては相手にすらならないのだろう。

 

 

 

「まぁ、詳しい事は教頭に聞いて下さい。さぁ、着きましたよ?中へとどうぞ?」

 

 

 

「はい。失礼します」

 

 

 

執務室に着いた僕たちは、ノックを入れた後で中へと入った。

 

 

 

「おお、お待ちしておりました。私が、この学園の教頭を務めているものです」

 

 

 

「エリス=テンペストです。急に訪問をしてきてしまって、申し訳ありませんでした」

 

 

 

「構いませんとも。理事長からは既に聞かされておりましたので」

 

 

 

中にいたのは、少し体が肥えた物腰が柔らかそうな教頭先生だった。僕が入るや否や、すぐさま僕の元へと寄ってきて握手をしてきた。

 

 

 

「教頭。放課後に、子供達に戦闘面での指導を行いたいのですが、よろしいでしょうか?」

 

 

 

「勿論構わないとも。むしろ、毎日やってくれて構わないんだが・・・・・・?子供達が、最近『物足りない』『もっと強くなりたい』とうるさくてね?何だったら座学の方でも」

 

 

 

「私には他にもやるべき仕事があります。そんな毎日毎日、子供達の面倒など見れませんよ」

 

 

 

せがむ様にロキに頼み込む教頭先生に対し、ロキは呆れながらそう返す。

 

 

 

「すまないね、エリス殿。今わかった様に、正直に言って我が学園であの子供達の面倒を見るのが難しくなってきているのですよ」

 

 

 

「はは・・・・・・まぁ、それだけ強くなればそうなるのも無理ないですよね?」

 

 

 

「聞きますが、エリス殿は戦闘面や座学に関してはどれほどの物をお持ちで?」

 

 

 

唐突にそんな事を聞いてくる教頭先生。・・・・・・うん、何となく教頭先生の考えてる事がわかった気がするが、一応答えておこう。

 

 

 

「戦闘面に関しては教えられる程のものを持っている訳ではありませんが、座学であればそれなりに・・・・・・」

 

 

 

「おお!今日お話ししたかったのはまさしくそれでして、良ければあの子供達の教師になって・・・・・・」

 

 

 

「無理です。僕も忙しいので」

 

 

 

問答無用で断ってやった。僕もロキ同様に、副国主としての仕事もあるので教師としての時間を取ることなど出来ない。

 

 

 

「はぁ〜・・・・・・やはり、そうですか。ですが、このままではあの子供達をまともに指導できる教師がいなくなってしまうのですよ。ティス先生もクラウス先生も『手に負えなくなって来ている』と私に伝えに来ていましたから。・・・・・・うむ、どうしたものか」

 

 

 

「・・・・・・(許されるのであれば、魔國連邦(テンペスト)に連れて行けないかな?向こうであれば、ここよりは小さいけど学園はあるし、戦闘訓練においても、ハクロウなどの指南役がいるから申し分ないだろう。とはいえ・・・・・・)」

 

 

 

一つの案を思いついた僕だったが、これについてはここで口に出す事はしなかった。これに関しては、流石に僕の独断で決める訳にはいかないので、帰ってリムルと相談して決めようと思っている。

 

 

 

「僕の方でも、この件については考えておきますよ。教師の一人や二人ぐらいでしたら見つけられるかもしれないですし」

 

 

 

「そうしてもらえると非常にありがたいです。もし見つけた場合には、私に一報を」

 

 

 

「分かりました」

 

 

 

一つそう答えた僕は、軽く挨拶をした後で執務室を出た。ロキもそれに追従する様に外へと出た。

 

 

 

「エリス殿、教頭にあんなこと言っておいて、教師の当てなどはあるんですか?」

 

 

 

「正直、まだわからないです。彼らを指導するとなるとかなりの実力者でなければなりませんから」

 

 

 

「・・・・・・でしたら、今から”私の言う男”を探ってはもらえませんか?その男でしたら、実力も博識も問題ないのですが、今は消息を絶っていて・・・・・・」

 

 

 

ロキから出た思わぬ一言に、僕は思わず足を止めた。ロキがそこまで認めるその男とは一体・・・・・・?

 

 

 

「男の名は”アルヴァロ”。元私の配下であり、九頭獣(ナインヘッド)が入る前まで五本指の筆頭だった男です。私に忠実に従ってくれた配下で、非常に頭がキレる者でした」

 

 

 

「あれ?でも、僕が知ってる限りではそんな人影も形もなかったような・・・・・・?」

 

 

 

「彼に頼り過ぎたくないと言う自分勝手な思いで彼と距離を置き、別の配下達のアルヴァロの悪評を聞かされた私は、すぐさま彼をクビにしてしまいましたので。今にして思えば、なんであんな根拠の無い彼の悪評などを信じてしまったのでしょう」

 

 

 

「いや、何やってるんですか・・・・・・」

 

 

 

そんなくだらない理由でクビにされてはたまったものではない。心底、そのアルヴァロと言う人には同情する。・・・・・・その人がいれば、ロキも以前の様な暴走はしなかったんじゃないかな?

 

 

 

「彼にも会って、しっかりとした謝罪がしたい。・・・・・・虫のいい話だとはわかっていますがエリス殿、どうか協力してはくれませんか?」

 

 

 

「あなたの気持ちはよく分かりました。・・・・・・僕の方で、探ってみますのでちょっとの間待ってて下さい。見つけ次第に連絡しますので」

 

 

 

「ありがとうございます。良ければ、これを。彼がいなくなる前に私にくれた物です。捜索の助けになるかと」

 

 

 

そう言いながらロキは、一つのブローチを僕に渡す。紫色の宝石が組み込まれている非常に綺麗なブローチだった。

 

 

 

「じゃあ、僕はそろそろ帰ります。国での仕事がまだ残ってるので」

 

 

 

「ええ。私は、子供達との約束があるのでこのまま残ります。アルヴァロの事・・・・・・どうかよろしくお願いします」

 

 

 

「はい。では、また今度」

 

 

 

ロキとその場で別れた僕は、転移魔法で魔國連邦(テンペスト)へと帰還する。帰還した僕は、残った仕事を終えた後で自宅まで戻り、休息を取ることにした。

 

 

 

「モス、いる?」

 

 

 

「ここに」

 

 

 

そんな中で、僕は畳でリラックスをしながらモスを呼ぶ。要件は先ほどのロキの配下の男についてだ。

 

 

 

「アルヴァロという男を探って欲しいんだ。このブローチの持ち主なんだけど、頼んでいいかな?」

 

 

 

「御意に。直ちに行動に移ります」

 

 

 

モスはそれだけ言うと、ブローチを持ってこの場から姿を消す。既に命を落としてない限り、彼であればそんなに時間をかけずに見つける事ができるだろうし、僕は気長に待つとしよう。

 

 

 

今日やる事を全て終えた僕は、そのまま畳に寝そべりリラックスをするのだった。




「むぅ〜・・・・・・」


「・・・・・・はぁ」



「・・・・・・」



「さ、3人ともそんな怒らないでよ。キミ達の出番が無かったのはむしろ良いことなんだよ?」



「人間の冒険者に絡まれた時に、オレ達が出ようとしたのをエリス様はお止めになりましたよね?オレ達が魔物であるが故に」


「私達はあなたを守る近衛兵なのですよ?これでは私たちのいる意味がないではありませんか」



「主様は、ワタシ達など必要ないのですか?もう少しご自分の立場という物を考えて下さい」



「わ、わかったから。今度、キミ達にも魔素を抑える道具を作ってあげるから。それで、どうか機嫌を直してよ」



「「「約束を破ったら許しませんよ・・・・・・?」」」



「はい・・・・・・」


後日、僕は3人に約束通り魔素を抑える道具を作り、どうにか機嫌を直してもらうことに成功するのだった。




イングラシアでやる事やったので、次回で本当に開国祭に踏み込みます。


最後の方に出てきたアルヴァロと言う男は、スピンオフ作品である『クレイマン REVENGE』を読まれている方であれば馴染みのある男だと思います。
せっかくロキを生かした事だし、この際彼にも出て来てもらおうと思い、出しました。
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