転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!?   作:レイ1020

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あの娘を出します。


エリスと絡ませて見たかったので。


お転婆娘と謁見式

 

 

 

「とうとうこの日が来たか・・・・・・うぅ、今になって緊張してきた」

 

 

 

謁見式当日の朝。起床した僕は、庭で軽く体を伸ばしながらそうぼやいていた。今回の謁見式は、魔國連邦(テンペスト)を、そして魔王であるリムルの名を広めるチャンスの機会でもある。この機会を有効に活用できるか否かで、今後の魔國連邦(テンペスト)の将来が決まると言っても過言ではない。そう思うと、どうしても緊張してしまう。

 

 

 

「気晴らしに散歩にでも行こ。謁見式までは全然時間あるし」

 

 

 

緊張をほぐす為、僕は一人散歩に出た。朝とは言え、今日は謁見式当日という事もあって、住民達は既に様々な準備に勤しんでいた。今日は、大量のお客さん達が来る事は確実なので、住民達もえらく気合が入っているのが見て取れる。・・・・・・緊張など微塵も感じてはいなそう。

 

 

 

「僕もみんなを見習わないと。帰ったら早いとこ着替えて、リムルと合流して・・・・・・」

 

 

 

住民達に感心しながら、僕はこの後の段取りの事を考え始めた。だが、それを考える事に夢中になり過ぎたのか、前から来る”一人の魔物”に気が付かず、その人物と軽く肩をぶつけてしまった。

 

 

 

「・・・・・・わっ!?す、すみません!大丈夫ですか?」

 

 

 

「いえ、こちらこそ、ごめんなさい。ちょっと考え事をしてて・・・・・・」

 

 

 

お互いにぶつかった事を謝りながら軽く頭を下げた。ぶつかった相手を観察してみたところ、この人は兎人族(ラビットマン)だ。この魔國連邦(テンペスト)には兎人族(ラビットマン)はいなかったはずなので、大方今日の謁見式の為に来たお客様と見て間違い無いだろう。

 

 

 

「あなたは、今日の謁見式に来られた方ですか?」

 

 

 

「は、はい。魔王リムル様に私達兎人族(ラビットマン)の忠誠を捧げる為に村から出てきたんです。それに、リムル様に忠誠を誓わないと何をされるか分からなくて・・・・・・何せ、魔王ですから」

 

 

 

彼女はどこかリムルを恐れている様に見えた。まぁ、魔王への偏見というのは大体こういうものだろう。それに、兎人族(ラビットマン)は亜人種だが、獣人族(ライカンスロープ)とは違って変身をする事は出来ない。それ故に、力で言えば人間と大差ないほどの弱小部族であるので、魔王であるリムルを恐れるのは当たり前か。

 

 

 

「リムルは慈悲深い人だから、魔王だからって怖がる必要はありませんよ?何かありましたら謁見式の時に僕もフォローに入りますので」

 

 

 

「謁見式・・・・・・に?あ、あの・・・・・・失礼ですがあなたは・・・・・・?」

 

 

 

僕が謁見式に参加すると知って、不思議そうに僕に問うてきた彼女。そう言えば、自己紹介がまだだったか。

 

 

 

「申し遅れました。魔國連邦(テンペスト)で副国主を勤めさせて頂いています、エリス=テンペストです。本日は、ようこそいらっしゃいました」

 

 

 

「っ!?あ、あなた様が、魔國連邦(テンペスト)の副国主様!?し、失礼致しました!先程の無礼な発言をどうかお許しくださいっ!」

 

 

 

僕の正体が分かった途端、その場で土下座をしながら許しを乞うてきた。・・・・・・何もされてないのにこんな反応をされては対応に困る。

 

 

 

「か、顔をあげてください。あなたの行いを咎めるつもりなんてありませんし、それをされると僕としても困ってしまうのでどうか楽にして下さい」

 

 

 

「は、はははい・・・・・・」

 

 

 

僕の言葉に彼女は頷き元の姿勢に戻るが、表情は相変わらず険しい。・・・・・・魔素も妖気も抑えてるのに、何でこんなに怖がられるんだろ?

 

 

 

《解。魔素や妖気を問わず、魔王が治める国でその魔王に次ぐ権力を持ち合わせる主人(マスター)は十分に恐れられる存在かと》

 

 

 

「(・・・・・・ご丁寧にどうも)」

 

 

 

リーテさんの言葉に、内心でため息を吐いた。そう言えば、僕の立ち位置ってそんな感じだった・・・・・・僕ももう少し自覚しないといけないかな?

 

 

 

「あ、あの・・・・・・私はフラメアと申します。ジュラの大森林兎人族(ラビットマン)族長の娘です・・・・・・」

 

 

 

「あれ?名有り(ネームド)なんですね?」

 

 

 

「はい。”とある方”に、この名を頂きまして・・・・・・」

 

 

 

この目の前の兎人族(ラビットマン)改め、フラメアさんが名有り(ネームド)だったという事実に、僕は若干の驚きを見せる。

 

 

 

「へぇ〜?・・・・・・いい名前ですね」

 

 

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 

 

自分の名前が誉められたことが嬉しかったのか、さっきの様な恐怖で引き攣った表情ではなくやんわりとした笑顔を見せた。僕やリムルがポンポン名付けを行なっているから感覚が麻痺しがちだが、本来名付けは生命を削る行為と言っても良いので、安易に名付けをする事はよしとされていない。一体誰が・・・・・・?

 

 

 

《告。個体名フラメアの解析鑑定を行いますか?》

 

 

 

「(いや、いいよ。変に探るのも申し訳ないから)」

 

 

 

リーテさんからのその提案は却下した。正直誰が名付けをしたのかは気になったけど、知ったら知ったで何となくややこしくなりそうなのでやめておいた。

 

 

「あの、ちょっと聞きたいことがあるのですが・・・・・・ここら辺に、飲み物を買えるお店はございますでしょうか?さっきから歩きっぱなしで少し喉が渇いてしまいまして・・・・・・」

 

 

 

「あ、でしたら”これ”をどうぞ。本日のお客様たちには友好の証の一つとして、これを渡していますので」

 

 

 

そう言いながら僕はエリス水を一本作ると、それをフラメアさんに渡した。今回の謁見式には、恐らく遠方から来る部族達も多くいる事だろう。そんな彼らに少しでも魔國連邦(テンペスト)の良さを知ってもらう為に、リムルはいくつか”お礼品”を渡す事を提案していた。このエリス水もまたそのお礼品の一つだが、これに至ってはミョルマイルさんからもお墨付きを貰ってるし、お礼品として渡すには申し分ないだろう。

 

 

 

「え・・・・・・でも、お代を払わずにそれを受け取るのは・・・・・・」

 

 

 

「お代はいりません。その代わり、良ければその水を飲んで見ての感想を聞かせて頂けるとありがたいです」

 

 

 

「そ、そうですか?・・・・・・では、お言葉に甘えまして・・・・・・」

 

 

 

最初は渋ってたフラメアさんだったが、結局折れることにしたそうでエリス水を口に運んだ。すると・・・・・・

 

 

 

「っ!お、美味しい!水だと言うのにほのかに甘味が感じらて、それに加えて臭みや雑菌を除去・・・・・・!それに加えて、美肌効果のある成分までこの水には存在してる・・・・・・?もしかして、この水に浸透している魔力が原因なのかな?」

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

エリス水を飲んだ途端、ぶつぶつと独り言を言いながら考え込んでしまうフラメアさん。僕はそれを黙って見てるが、フラメアさんの言ってる感想が、僕の水の特徴をバッチリと捉えていた事実に若干の驚きを見せていた。

 

 

 

「(今まで、色んな人からこの水の感想を聞いてきたけど、ここまで正確にこの水の特徴を分析出来る人なんていなかったな・・・・・・)すごい分析力ですね?」

 

 

 

「はい。私は審美眼と解析に特化したユニークスキル『好事家(モノズキ)』を持っています。これまで私は、色んな地方を旅してきてその地方で出会った珍しい物や興味を持った物をこのスキルで解析しながら、こうして点数形式でまとめてるんです」

 

 

 

「(ユニークスキルか・・・・・・。それなら、この解析力にも納得できる)」

 

 

 

そう言いながら、フラメアさんは一つの紙束を僕に見せてくれた。その紙の一つ一つには彼女がこれまで出会ってきたであろう数々の品物の情報がびっしりと書き記されていて、点数として星のマークが何個か書かれていた。この星の数が多いほど、彼女からの評価も高いと言う事だろう。

 

 

 

「こんなに細かく・・・・・・すごいです。ちなみに、フラメアさん的にそのエリス水の点数は?」

 

 

 

「文句無しで満点の星3です!こんな純度の高くて色んな成分を持った水は見たことがありません」

 

 

 

「あはは。この水は僕しか作れませんから見たことが無いのも無理ないかもしれません。出回ってるとするなら、今はブルムンド国くらいでしょうから」

 

 

 

「・・・・・・そう言うことでしたか。エリス様が直々に作られた水である・・・・・・と:

 

 

 

興味深い情報が得られたのか、フラメアさんは早速先ほどの記録紙に今の情報を書き記していた。今はブルムンド国にしか置いていないこのエリス水だが、近いうちにミョルマイルさんがイングラシア国でも販売するように手配してくれるそうなので今後、更なる売り上げにも期待出来るのが嬉しいところだ。

 

 

 

「そう言えば、他の皆さんはどちらに?どうにも姿が見えないんですが・・・・・・?」

 

 

 

話に夢中になってた僕だったが、ふと気になったので徐に彼女に聞いてみることにした。彼女一人で来てるはずがないので、どこかにいるはずだけど・・・・・・?

 

 

 

「じ、実はその〜・・・・・・ここに来れたのが嬉しくって、色々と見学に夢中になってしまい・・・・・・気づいた時には逸れてました」

 

 

 

つまり迷子か。・・・・・・心の中でそう判断した僕は『万能感知』で他の兎人族(ラビットマン)達の所在を探った。

 

 

 

「”町の西側の入り口”であなたを探している様です。心配しているでしょうし、早く戻った方が良いと思いますよ?」

 

 

 

「あ、ありがとうございます!それと、エリス水についての素晴らしい情報もありがとうございました。この水についての情報が纏まりましたら、報告に来てもよろしいでしょうか?」

 

 

 

「もちろん良いですよ。期待して待っておきますね?」

 

 

 

「はい!それでは、また!」

 

 

 

 

すごい勢いで頭を下げたフラメアさんは、そのまま大急ぎでその場を後にしていった。後の話になるが、フラメアさんは魔国連邦(テンペスト)の紹介を目的としたガイドブックの制作係にリムルから任命される事となる。その際、このエリス水の事もガイドブックに載せたらしいのだが、それが影響なのかは分からないが、エリス水がこの世界全域に認知されるほどに有名になる事を、この時の僕は知る由もなかった・・・・・・。

 

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

 

 

視点 リムル

 

 

 

「さてと、長丁場になりそうだが、頑張って見ますか。エリス、何かあったらフォロー頼むぞ?」

 

 

 

「うん、リムルもしっかりね?」

 

 

 

謁見式の時間となり、俺は正装(スライム専用)をした後で壇上に祭られていた。隣で見ていたエリスからは『鏡餅みたい』と笑われたが、俺自身も何となくそう思っていたので否定する気にはなれなかった。

 

 

 

ちなみにエリスはしっかりと人間用の正装を纏いながら、俺の隣に立っていた。男らしい正装をしながらも、可愛さと美しさは相変わらず抜けてはいない。だが、どこか以前に比べて勇ましさと、威厳が大いに感じられたのは俺の気のせいでは無いだろう。こいつも成長してるんだな・・・・・・。

 

 

 

「・・・・・・それに対して、俺は”ただポヨポヨしている鏡餅”・・・・・・どっちが国主なんだか」

 

 

 

「しっかりしてって言ったでしょ?もうじきゾロゾロお客さん達が来るんだから、気を引き締めて?」

 

 

 

「わかってるよ・・・・・・はぁ〜」

 

 

 

エリスに軽く注意された俺は、一つため息を吐いた後で改めて気を引き締める。気を引き締めると言っても、この謁見では俺はあまりやる事はない。あるとすれば、使者たちを睥睨するとか、相槌を打つとか、それぐらいだろう。それ以外の事はエリスや配下達に任せているので、本当にやる事が少ないのだ。喋るとボロが出そうだから助かったが、なんとなく申し訳なさが出てしまった。

 

 

 

この謁見の間には、壇上という名の玉座に座る俺を始め、その右隣には副国主であるエリス、左隣にはベニマルが立っている。俺の背後には、シュナ、シオン、ソウエイ、ガビルが控えていた。この場にいる配下達は礼服を着ているが、全員が儀仗兵として着飾っている事もあって、常になく完全装備を身に纏っているので雰囲気はかなり重々しかった。

 

 

 

さらに、俺の影の中にはランガが、エリスの影の中にはヒョウガと近衛兵であるセキガとカレンが潜んでいるので、何かあっても対策はバッチリである。

 

 

 

「リムル様、最初の部族が到着したとの事です。お通ししても?」

 

 

 

「ああ、入って貰ってくれ」

 

 

 

皆と同じように礼服を着たリグルドとリグルが最初に謁見に来た部族をこの場に通してくる。入ってきたのは、可愛らしい外見をした兎人族(ラビットマン)だった。彼らは、俺を見た途端かなり怯え始めて体全体で震え上がりながら首を垂れていた。まぁ、兎人族(ラビットマン)は弱小部族って話だし、魔王である俺を恐れるのは当然か。

 

 

 

「リムル様は寛大なるお方であるので、配下に加わる物であれば皆平等に扱うと仰られている。だから、そう怯えずに挨拶をするが良い」

 

 

 

「は、はい・・・・・・」

 

 

 

リグルドの言葉に少しは肩の力が抜けたのか、族長と見られた目の前の男はゆっくりと面を上げた。

 

 

 

「偉大なる魔王リムル様、我ら兎人族(ラビットマン)の忠誠をお受け取りください」

 

 

 

そう言われたので、俺は『うむ』とだけ頷いた。それを見た族長さんはようやく安堵したようで、緊張も大分解れてきたとみた。

 

 

 

「あの、少しよろしいでしょうか?」

 

 

 

「っ!は、はい!なんでございますでしょうか・・・・・・?」

 

 

 

緊張がほぐれたと思ったのも束の間、エリスがその族長さんに声をかけた事もあって、彼は再び肩に力が入る。何だ?・・・・・・と思って、俺は隣のエリスに訝しげな視線を向けた。

 

 

 

「あなたが族長さんでよろしいですか?」

 

 

 

「は、はい!わたくしめが、この兎人族(ラビットマン)の族長でございます!」

 

 

 

「答えてくださり、ありがとうございます。それで、あなたの娘さんであるフラメアさんは何処に?この場には姿が見えませんが?」

 

 

 

「っ!?わ、我が娘のことをご存知なのですかっ?」

 

 

 

エリスの思わぬ発言に、その族長さんだけでなく俺も皆も驚いていた。いつの間に、娘さんと知り合いになってたんだよこいつは・・・・・・。

 

 

 

「今朝、お会いしたんですよ。とても可愛いらしい娘さんですね?」

 

 

 

「娘が、何か失礼なことは・・・・・・?」

 

 

 

「そんな事してませんから心配しないでください・・・・・・それで、彼女は?」

 

 

 

「それが・・・・・・一度私たちと合流はしたのですが、この謁見の間にくる道中でまた何処かへと行ってしまいまして・・・・・・全く、あのお転婆娘は・・・・・・」

 

 

 

「あ、あはは・・・・・・元気で良いじゃないですか」

 

 

 

族長さんは、怒ると言うより何処か呆れたようにエリスに話していた。フラメアさんか・・・・・・俺もいつか会って見たいし、後でエリスに詳しく話を聞いてみよう。

 

 

 

その後、少し族長さんと話した後で、リグルドとエリスの説明を受けた後で兎人族(ラビットマン)は正式に俺の傘下に加わることに決まった。あの族長さんともそれなりに打ち解けたと思うし、少なくとも”怖い魔王”という印象は薄れたかもしれないな。

 

 

 

 

さて、お次の部族は・・・・・・

 

 

 

 

蜥蜴人族(リザードマン)か。アビルさんと会うのも久しぶりだな・・・・・・」

 

 

 

 

謁見式は、まだ始まったばかりだ。




「リーテさん、解析の方はどう?」


《解。復活の腕輪の解析が完了いたしました。この情報を元に、究極能力(アルティメットスキル)治癒之王(アスクレピオス)』の能力を用いて主人(マスター)想像(イメージ)した魔道具の生成を実行します・・・・・・成功しました》


「ありがとう。早速、一つ出して貰っていいかな?」



《了》



「これか・・・・・・一見、復活の腕輪と変わらないけど・・・・・・復活の腕輪はラミリスさんの作った迷宮の中でのみ、効果を発揮するが、それ以外の場所では発揮する事はできない・・・・・・でも、この腕輪は違う」



《是。従来の復活の機能を『治癒之王(アスクレピオス)』で細工を施し、()()()()()()()()()()()()()となっています》


「うん。とはいえ、これを世に出すのは色々と混乱を招きそうだし、なるべくこの情報は魔国連邦(テンペスト)内に留めておくことにしよう」



エリスはこの後、ラミリスの腕輪と区別を付けるために、この腕輪に『蘇生の腕輪』という名を付けた。









エリスはまたとんでも無いものを・・・・・・。本人がこれがやばい代物だと理解してるのが、まだ救いですね。もはや蘇生薬(エリクサー)と同等のものですから。



話は変わりますが、フラメアも出して見ました。正直、この先出番があるか分かりませんが、冒頭にも書いた通りエリスと彼女の絡みが見たかったので書いた次第なので大目に見てください。


次回もお楽しみに!
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