転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!?   作:レイ1020

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最近、雨ばかりですねー。梅雨の時期ですから当たり前ですけど。


問題だらけの謁見式

視点 リムル

 

 

 

「おう、魔王様よ!俺たち牛頭族(ゴズ)を味方につければ大幅な戦力アップ間違いなしだぜ?ここにいる雑魚の馬頭族(メズ)に比べりゃあな!」

 

 

「ふん、こんなうるさい牛頭族(ゴズ)よりも、我ら馬頭族(メズ)を味方に付けるがいい。この牛頭族(ゴズ)だけでなく、他の逆らう者共は全て皆殺しにしてやるぞ?」

 

 

 

翌日、謁見式の二日目が始まった訳なんだが、早速僕たちの目の前で二つの部族が言い合いをしていた。このジュラの大森林の中でもトップクラスの戦闘力を誇る牛頭族(ゴズ)馬頭族(メズ)だ。彼らはここ100年にわたって争いを繰り広げている犬猿の仲なのだとか。

 

 

俺的に、こいつらの戦闘力は高く評価している。なので、配下になった暁にはこいつらには迷宮のボス役を担って欲しいと思っていた。ほら、”迷宮の怪物といえばミノタウロス”みたいに言われてるし、こいつらを40階層や50階層に配置して”中ボス”的な役割を担ってくれれば、より迷宮も脅威性を増すと言うものだ。

 

 

だからこそ、こいつらは是非とも配下に欲しいと思っているのだが、いかんせん俺への忠誠度が低いのが難点だ。

 

 

 

「この国の国主たるリムル様に失礼であるぞ!」

 

 

 

「うるさい!文官如きが口を挟むんじゃねぇっ!!」

 

 

 

俺への無礼をリグルドが強く注意したが、この二人は無礼な態度を直そうとはしなかった。多少舐められる分には別にいいかと思っていたが、ここまであからさまにされては流石にこちらとしても黙ってはいられなかった。俺は、リグルドに『軽く躾けてやれ』と思念を送ろうとした・・・・・・だが、そんな時。

 

 

 

「いくら何でも、国主に対してその物言いは失礼です。あなた達、自分の立場をわかっていますか?」

 

 

 

今度は隣にいたエリスが二人に対して注意をした。リグルドに比べて、エリスは随分と優しい声音だった。

 

 

 

「こちらとしては、あなたにどう思われていようと気には留めていません。ですが、今は式典の真っ最中なので、ある程度は節度ある行動をとってください。あなた方は今、これから自分達が従う事となる魔王の前に立っているのですよ?主人と配下・・・・・・あなた方と国主とでは明確に立場の差があります。少しは態度を改めて欲しいと・・・・・・」

 

 

 

「テメェが副国主だったな?テメェ見てーな”ヒョロくて弱っちそうな奴”は引っ込んでろっ!!俺らは魔王リムルと話をしに来てんだよ!!」

 

 

 

「ここはあんたみてーな”チビな女”がしゃしゃる所じゃないんだよっ!!」

 

 

 

エリスの注意にも二人は聞く耳持たずだった。それどころか、今度はエリスにまで罵詈雑言を浴びせる始末だ。それに対して周囲の配下達は揃って憤りを見せていた。無論俺も・・・・・・。

 

 

 

「おい?お前らいい加減に・・・・・・」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・なるほど、あなた方の僕への評価はよーく分かりました。ええ、本当によく・・・・・・ふふふ」

 

 

 

俺が口を挟もうとした時、隣から異常な寒気が感じ取れたため、ゆっくりと視線だけを向けてみると、そこには・・・・・・顔は満面の笑みを浮かべているが、背後にドス黒いオーラを醸し出している我らが副国主の姿があった。その姿には、俺も他の配下達も顔を引き攣らせていた。

 

 

 

「え、エリ・・・・・・ス?」

 

 

 

「リムル?ちょっとだけ席を外していいかな?この二人と、少しだけ()()()()して来るから」

 

 

 

「あ、ああ・・・・・・出来るだけ手短にな?」

 

 

 

エリスはそれだけいうと、すごい速度で二人の背後へと回ると首根っこを無造作に掴み、外へと出ていった。他の仲間達もそれを追うように出ていく。二人はいきなり首根っこを掴まれたことに怒り、それを解こうと暴れていたが結局逃れることは出来ずにそのままエリスに連行されていった。

 

 

 

 

 

・・・・・・10分後・・・・・・

 

 

 

 

 

「「魔王リムル様っ!!先ほどの無礼はどうかお許しをっ!!」」

 

 

 

 

「お、おう・・・・・・別に良いけど、今後はなるべくさっきみたいな態度は控えるようにしてくれ。それと、今後は互いに争う事をやめて俺が名を下すまでは大人しくしているように」

 

 

 

「「ははっ!!」」

 

 

 

エリスと共に戻って来た二つの部族は、先ほどの態度が嘘のようにビクビクとしながら俺に謝罪していた。その姿に、俺は苦笑いを浮かべながらそれを許した。なんか、先の兎人族(ラビットマン)みたいになっているな、こいつら・・・・・・。

 

 

 

「ただいま。ごめん、少し時間かかっちゃった」

 

 

 

「いや・・・・・・お前、あいつらに何したんだよ?何したら、ここまで態度が一変するんだ?」

 

 

 

「それは秘密。さて、あなた方は魔王リムルに対して、忠誠を捧げると言うことで良いですか?」

 

 

 

「「勿論ですっ!!リムル様、そしてエリス様に我らの忠誠を捧げますっ!!」」

 

 

 

すごい勢いで地に頭をつけた二人は俺への忠誠を捧げることを宣言した。それに俺は戸惑いながらも、ゆっくりと頷いたのだった。

 

 

 

〈告。個体名シュナが町全体に張った常設結界が破壊されました。結界を破壊した者達は、敵意がある模様です〉

 

 

 

一難去ってまた一難・・・・・・今日は、何とも忙しい日だ。俺は内心でため息を吐きながら一旦、謁見式を中断してみんなと一緒に様子を見にいく事とした。

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

 

 

視点 エリス

 

 

 

「おらぁっ!!雑魚には用はねーんだよっ!さっさと魔王リムルを連れて来い!俺たち3人が挨拶に来てやったんだからよぉっ!」

 

 

 

シュナの結界が破壊されたと聞いて、慌てて現場に駆けつけてみると、そこには耳や鼻、口といったあらゆる所にピアスをつけたいかにも”不良!”といった感じの3人組がいた。その近くにはこの町の警備員が倒れていた。見たところ、息はあるようだし本気で戦いに来たわけでは無さそうだが、こちらとしては迷惑極まりなかった。

 

 

 

・・・・・・こんな事なら、以前張っておいた結界を解除するべきではなかったかな?

 

 

 

 

「何だ貴様ら?ここを魔王リムル様の支配領域と知っての狼藉か?」

 

 

 

彼らに対して、シオンがかなりご立腹な様子で詰め寄っていく。かなりの剣幕だが、3人は特にたじろむ事もなく・・・・・・

 

 

 

「雑魚は引っ込んでろ。クレイマンの野郎をぶっ殺して魔王の座を頂こうと思ってたんだが、それを魔王リムルに横取りされてムシャクシャしてんだよ!俺の邪魔をしようってんなら、容赦はしねーぞ?」

 

 

 

こう言う始末だった。クレイマン・・・・・・というか、ロキは普通に生きてるんだけどね?それに、もしそれを知って戦いに行ったところで、今の彼とこの3人が戦えば間違いなく3人は瞬殺されるだろう。

 

 

 

「リムル様、エリス様、ここは私が出ましょう。あんな輩、私一人で十分ですので」

 

 

 

「ああ、任せたぞ」

 

 

 

彼らの相手はシオンがする事となり、シオンは軽く腕を回しながら彼らを鋭く睨んだ。

 

 

 

「お前が魔王リムルの側近、シオンだな?親父から話は聞いてるぜ?クレイマンをボコったんだってな?」

 

 

 

「(それを知ってるって事は、彼らの親父さんは魔王達の宴(ワルプルギス)に参加していた魔王達の誰かということか・・・・・・)」

 

 

 

ふと考え込む僕。容姿的に考えられるのはカリオンさん、ダグリュールさん、ディーノさんあたりだと思うけど、だとしても何で息子達を魔国連邦(テンペスト)に?う〜ん・・・・・・わからない。

 

 

 

「お、よく見りゃ魔王リムルだけじゃなくて、エリス=テンペストまでいるじゃねぇかよ!」

 

 

 

「・・・・・・へ?」

 

 

 

いつの間にか、話の矛先が僕へと移行していたので、僕は戸惑うしかなかった。

 

 

 

「お前の事もよく知ってるでやんす!あの魔王ミリムと互角にやり合ったんでやすよね?ふぇーーーっふぇっふぇっふぇっ!!ますますオイラの腹が減って来たでやんす!!」

 

 

 

「兄貴!あいつは俺にやらしてくれよっ!」

 

 

 

「いや、互角って・・・・・・」

 

 

 

明らかなる過大評価に僕はいよいよ呆れてきた。ミリムとの戦いに至っては、ほとんど防戦一方だったし、最後は反則みたいな作戦で穏便に収めただけなんだから。

 

 

 

「謁見式の賓客を待たせているのだ。時間がないから、お前達まとめて相手をしてやろう」

 

 

 

「ほう?良い度胸だな、姉ちゃん?俺たちを甘く見るなよっ、こらぁっ!!」

 

 

 

シオンの態度に腹を立てた3人は一斉にシオンに襲いかかった。だが、彼らの魔素量は覚醒前のロキと同等の物と見える。だとするなら、いくら3人がかりといえど、それを圧倒して見せたシオンに敵うのかというと・・・・・・

 

 

 

「「「ま、参りました・・・・・・」」」

 

 

 

当然敵うはずなどない。3人はほぼ一撃でノックアウトにされ、今は反省するように正座をさせられていた。その後の話で、彼らはダグリュールさんの息子だと判明し、ちょっと暴れただけで『リムルの元で修行をして来い!』と怒られてここまで来たそうだ。こうして聞くと、ただダグリュールさんが問題児である息子達を僕達に押し付けている様にしか見えないんだよね・・・・・・。

 

 

 

で、話し合いでこの3人はシオンが面倒を見ることに決定した。シオンは僕が多少力を貸したとはいえ、Cランク程の力しか無かった紫滅衆(フメツ)をAランクに近い実力まで成長させた実績を持つし、彼女であれば十分に適任だと判断したが故だ。

 

 

 

「我が隊の地獄の様な鍛錬について来れる自信はあるか?あるのであれば、お前達を一流の戦士へと育てることを約束しよう」

 

 

 

「あ、ありますとも!是非とも鍛錬に参加させて下さい、姐さん!」

 

 

 

「お、俺もタフさには自信あるんで、よろしくお願いします!姐さん!」

 

 

 

「オイラもっ!!」

 

 

 

3人もどうやらやる気はあるみたいだし、シオンの課す鍛錬をこなせば立派な戦士になれる事だろう。

 

 

 

この以降も謁見式は続けられたが、リムルを見下す様な種族は誰一人としていなかった。先ほどの、牛頭族(ゴズ)馬頭族(メズ)の怯えた様子や、ダグリュールさんの息子達を従えたという噂が広まったことが原因だろう。

 

 

 

そして、本日最後の賓客を迎えたのだがその種族は・・・・・・

 

 

 

「お目に掛かれましたこと光栄に存じます、リムル陛下、エリス様。本日は御祝いと、御礼を述べさせて頂きたく参上仕りました」

 

 

 

耳長族(エルフ)だった。挨拶に来たのは隠れ里の長老らしいけど、どう見ても若い美形の男性としか見えなかった。流石は数百年を生きる耳長族(エルフ)と言うべきか。とは言え、寿命を迎える前の二十年ほどまで差し掛かると急激に老化が始まるとの事なので、永遠にこの美貌を保てるのかと言うとそうでも無いらしい。・・・・・・それにしても、御礼?

 

 

 

「御礼って何のことですか?」

 

 

 

「はい、実は・・・・・・」

 

 

 

長老の話を聞くと、ここ100年に渡って牛頭族(ゴズ)馬頭族(メズ)の戦争によって森が荒らされた事で、自然の恵みが育たなくなってしまい、出稼ぎに行ったまま戻らない者も出てきて、今の隠れ里の人口は、300名にも満たないそうだ。

 

 

そこで、牛頭族(ゴズ)馬頭族(メズ)を何とかしてもらえないかとこのリムルに陳情しに来たところ、二つの種族は揃ってリムルの配下に加わった。これにより、今後両部族が魔王リムルの支配領域であるこのジュラの大森林で暴れ回ることは御法度となるので、エルフとしては一安心のようだ。

 

 

 

「それなら、こいつ(エリス)に御礼を言ってやってくれ。あいつらをあそこまで改心させたのはこいつの尽力あってこそだからな」

 

 

 

「そうでしたか。・・・・・・エリス様、此度はあの部族どもを鎮めてくださり、誠にありがとうございました。これで再び樹木が育てば、出稼ぎに出ている者達もきっと戻って来てくれる事でしょう」

 

 

 

「あなた方の力になれた様で良かったです。御礼はありがたく頂戴いたしますね」

 

 

 

長老に感謝された事に、僕も笑みを浮かべる。こう言うのを見ると、先ほどの両部族達に行った”キツめの教育”は間違っていなかったのだと思えて、ホッとしていた。

 

 

 

その後のリムルから出された提案により、耳長族(エルフ)達は地下迷宮(ダンジョン)の95階層に移住する事と決まった。あそこは、樹妖精(ドライアド)樹人族(トレント)が住まう小さな森林と化しているので、耳長族(エルフ)達の隠れ里としてはぴったりな立地である。それに、彼らと相性の良い耳長族(エルフ)達が引っ越してきても文句は出ない事を見越しての提案だった。

 

 

 

その提案に長老は喜んで賛同し、一度里に戻ってから一族全員を引き連れて戻ってくるとだけ言い残して、帰って行った。

 

 

 

「(耳長族(エルフ)達の仕事の割り振りはこれから考えればいいか。そうだ、せっかくだし95階層に特別会員限定のエルフのお店とかを作るのもありかもな。ドワルゴン国のあの店はまさに格別だったわけだし・・・・・・むふふ)」

 

 

 

「・・・・・・リムル。・・・・・・リムル?・・・・・・もう、リムルってばっ!!」

 

 

 

「うぇっ!?な、なんだよ、エリス?そんな大声出さなくても・・・・・・」

 

 

 

何度呼んでも上の空のリムルに腹を立てた僕は少し強めに彼に怒鳴り声をあげる。流石に、これには気付いたのかリムルはびっくりしながらこちらを見つめていた。

 

 

 

「何度呼んでも無視するからでしょ?・・・・・・ちょっと、さっきの長老が話してた内容で気になる点があったんだけど?」

 

 

 

「気になる点・・・・・・もしかして、出稼ぎに行った連中が戻って来ない件についてか?」

 

 

 

「うん。耳長族(エルフ)は部族としての結束力が高いって話を聞くし、自然の恵みが育たないからと言って簡単に里を見捨てるとは思えないんだよ」

 

 

 

「大丈夫だ。それについては、既に予想はついてる」

 

 

 

訝しげな表情を浮かべながら僕は、リムルに相談するがリムルの方ではもう犯人が絞り込めている様だった。

 

 

 

「この件に関しては、以前ミョルマイルの店に行った時に会ったカザック子爵が関係していると見ている。何せ、そいつがミョルマイルに持ちかけていた商談がまさに”耳長族(エルフ)奴隷の店”に関わるものだったんだ」

 

 

 

「そう言うことか。それなら、確かにその人が怪しいね?」

 

 

 

もしカザック子爵が本当に、奴隷を得るために耳長族(エルフ)達を攫っているのだとすれば見過ごす訳にはいかない。これは立派な犯罪行為なのだから。

 

 

 

「その通りだ・・・・・・(せっかく夢であるエルフのお店のオーナーになれるチャンスを潰されてたまるかっての!もし関与が証明されたら容赦せずに叩き潰してやるっ!そう、これは俺のエルフに対する愛情への挑戦なのだっ!)」

 

 

 

「・・・・・・リムル、なんか変なこと考えてない?それにさっきも・・・・・・」

 

 

 

「そ、そんな訳ないだろ、あはは〜!」

 

 

 

誤魔化すように笑うリムルだが、何か変な事を考えているの明白だった。まぁ、それについては今は良いか・・・・・・。

 

 

 

『ソウエイ。ブルムンド国のカザック子爵の調査を頼む』

 

 

 

『御意』

 

 

 

リムルから『思念伝達』があったのか、ソウエイは分身体を飛ばし調査に乗り出していった。それならば、モスにも協力をと思ったが、今の彼は別件でいないので不可能であると今思い出した。

 

 

 

「(アルヴァロさん・・・・・・見つけられたかな?)」

 

 

 

そんな心配をよそに、その日の夜にモスから『アルヴァロを見つけました』と連絡を受けた僕は、早速ロキへと連絡を入れるのだった・・・・・・。




エリスが、両部族にどんな教育をしたのかは秘密です。物理的な暴力では無いことは確実でしょうが、あの怯えようから見るに相当な教育が施されたと見て良いかと・・・・・・。
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