転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!? 作:レイ1020
久しぶりの再会に何を語るのか?
「思ったよりも早く見つかりましたね?私の方でも色々と探っては見ましたが、全くと言って良いほど手掛かりなど見つからなかったと言うのに・・・・・・」
「優秀な配下のおかげですよ。さぁ、転移しますので僕に掴まってください」
ロキさんに連絡を入れた後、謁見式も無事に済ませた僕は彼を迎えにイングラシア国まで来ていた。彼が僕の肩に手を置いた事を確認した僕は、モスとの待ち合わせ場所に指定した、首都リムルから少し離れたとある一つの宿屋に転移した。
この場所に指定した理由としては、街は今は謁見式のお客様や開国祭のお客様が大勢来ている事もあって、二人を再会させる場が設けられなかったんだ。宿屋もレストランも人でパンパンになってたからね・・・・・・。
あ、勿論外出の許可はリムルから得ているよ?ちょっとの時間出るだけだし、特に疑われる事もなく許可してくれたから。
「こんばんは。僕が待ち合わせてるお客さんが来ていると思うんですが?」
「エリス様!承っております!どうぞ、こちらのお部屋へ!」
宿屋に入った僕たちは、受付の人に話を通し部屋へと案内してもらった。部屋の前についた僕たちは、ノックをしてからゆっくりと中へと入った。
「失礼します」
「エリス様、お待ちしておりました」
中にはモスと、アルヴァロさんと思わしきダークエルフが椅子に腰掛けていた。・・・・・・そうか、この人が。
「モス、ご苦労様。本当に助かったよ」
「身に余るお言葉でございます。では、私はこれで・・・・・・」
モスはそれだけ言い残して、どこかへと姿を消した。残ったのは、僕とロキさん、そしてアルヴァロさんの3人だけだ。
「・・・・・・あなたが、
「そうです。・・・・・・初めまして、エリス=テンペストと申します。急に呼びつけてしまい、申し訳ございません」
「いえ。私は、アルヴァロと申します。随分と前の話になりますが、魔王クレイマン様をお側で支えていた者でした」
互いに自己紹介をした僕たちは、軽く握手をする。
「それで・・・・・・あなたの後ろにいる男は?今回、あなたからクレイマン様の事についてお話頂けると聞いたからこそ、こうして参上したのです。部外者は出て行ってもらいたく・・・・・・」
「元上司に随分と辛辣な物言いですね、アルヴァロ?そんなに私のことが嫌いですか?」
「っ!?」
まさか、目の前にいるこの優男がクレイマンだとは到底思っていなかったのか、アルヴァロさんは大いに驚きを見せていた。
「・・・・・・気づかないのですか?私はあなたがさっき言ったクレイマンなのですよ?」
「・・・・・・冗談はよして下さい。私の知るクレイマン様は、もっと身長が低くて目が吊り上がっている悪者顔で、口を開けば暴言を吐き、何もしていない私を突如として解雇にすると言う苛烈極まりない主君でした。あなたのような、いかにも正義の味方!のような風貌をしている様な男では断じてありません」
「・・・・・・そ、そうですよね。あなたには相当ひどい事をしてきましたから、そう思われても納得せざるを得ない・・・・・・」
アルヴァロさんにボロクソに言われて、かなり凹んでしまうロキさん。とはいえ、本人も言うように過去に自分がやった過ちだし、反省するべきだろう。
「この人の言っていることは本当です。今は、ロキという名を名乗っていますが正真正銘、この人がクレイマンだった人物です。あなたに渡したブローチもこの人から譲って貰った物です」
「・・・・・・それは本当ですか?」
僕が、補足するもアルヴァロさんはまだ信じきれていない様子だった。・・・・・・まぁ、この人もロキが既に死んでいると言う情報を得ている様だし、そう簡単に信じる事など出来るわけないか。
「では、このブローチを渡した時に私が言った言葉を答えて下さい。それではっきりするはずです。あの場にはクレイマン様と私しか居なかったはずなので」
「『私があなた様に悪い感情など抱く筈がありません。それだけは信じてもらいたいです。・・・・・・例え、あなた様がどんなお方であろうと、私はこの身が滅ぶまであなた様のお側で支えたいと心から願っておりました・・・・・・ですが、あなた様の命令とあらば私は命令通りに姿を消しましょう。・・・・・・このブローチをお受け取り下さい。このブローチを見て、時々私のことを思い出してくださると非常に嬉しく思います。・・・・・・それでは、どうかお元気で』・・・・・・このように、あなたは言ってくれましたね?」
「っ!・・・・・・」
少し目を見開きながら驚きを見せたアルヴァロさん。アルヴァロさんの反応を見るからに、ロキの今言った言葉はアルヴァロさんの求めるそれだったのだろう。
「アルヴァロ、あの時の非礼を詫びます・・・・・・いえ、それ以前からのあなたへの大変失礼な言動や行動も詫びます。・・・・・・本当に、申し訳ありませんでした」
「・・・・・・」
ロキさんが謝罪を述べながら頭をさげる。アルヴァロさんは何も言わずに無表情のまま彼を見つめていた。
「今更許してもらおうとは思っていません。私にあれだけの忠誠を誓ってくれていたあなたを私は追い出したのです。・・・・・・恨んで貰って構いません。ですが、それを分かっていても、あなたには一度・・・・・・こうして謝りたかったのです。そうでないと・・・・・・私の気が収まらなかった。・・・・・・もう一度言わせて下さい。アルヴァロ・・・・・・申し訳ありませんでした!」
「・・・・・・」
いよいよロキさんは地に頭を付けて誠心誠意の謝罪をした。・・・・・・いわゆる土下座を見せられたアルヴァロさんは、表情は変わらないものの流石に少し動揺している様に見えた。
「・・・・・・お立ちになって下さい、私はもう気にしていませんから」
「・・・・・・アルヴァロ?」
アルヴァロさんは、優しくロキさんにそう伝える。・・・・・・その様に言う彼は、薄く微笑を浮かべていた。
「・・・・・・許して、頂けるのですか?」
「許すも許さないも、私は今も昔もあなた様を恨んでなどおりません。・・・・・・あなた様が私を解雇したのも、私の力不足と不甲斐なさのせいですから」
「(こ、この人良い人過ぎないっ!?どんだけ謙虚なの!?)」
アルヴァロさんに対して心の中でそうツッコミを入れた。普通に恨んでも良いレベルなのに、こうしてそれを水に流そうとするんだからそう言いたくもなる。・・・・・・過去のロキさんは本当に何やってるんだか。
「あなたは相変わらずですね。・・・・・・ありがとうございます。またこうしてあなたに会えて、私は非常に嬉しいです」
「私も・・・・・・こうしてまたあなた様にお会いできて嬉しい限りでございます」
その様に言う二人は互いに笑みを浮かべながら再会を喜んでいた。その光景を見て、僕はほっこりとしていた。・・・・・・うんうん、こう言うのを見るとこの場を設けて良かったと思えるよ。
「どうやらロキさんがクレイマンだと言う事は信じてもらえた様ですね?」
「あそこまでされては、信じる他ありません。それで、クレイマン様?聞きたい事があるのですが・・・・・・なぜ、その様なお姿に?」
「これには訳があります。実は・・・・・・」
ロキさんは詳しく事情を説明した。自分がこれまでしてきた悪事、
「そう言う事情が・・・・・・ようやく合点がいきました。エリス殿、クレイマン様を助けてくださり、ありがとうございます。何かお礼をしたいのですが・・・・・・」
「お礼なんて結構・・・・・・と言いたい所なんですが、一つ頼み事をしても良いですか?今回あなたを呼び出したのもそれをお願いしたかったからなので」
「頼み事?・・・・・・私に出来る事であれば、何なりと」
せっかくお礼がしたいと申し出てる事だし、ここはその言葉に甘える事にした。僕は早速、彼にその頼み事の説明をする事にした。
「今、ロキさん達のいるイングラシア国には子供達の学びの場である学校という施設があります。そこにいるSクラスの5人の子供達の教師になってくれませんか?」
「教師・・・・・・ですか?私が?」
それにはアルヴァロさんも戸惑いを見せた。無理もないか、突拍子のない話すぎるし理解が追いつかないのも納得だ。
「そうです。その5人の子供達の成長速度が思った以上に速くて、イングラシア国にいる教師達では十分な教育や指導が行えないと言う事態に陥っているんですよ。そこで、あなたに頼る事にしたんです」
「あなたは戦闘の腕も知識も十分に持ち合わせているでしょう?その力を子供達のために振るってもらいたいのですよ?虫のいい話だとは分かっていますが、引き受けてもらえますか?」
「はぁ?・・・・・・そう言う事でしたら、引き受けましょう。私も、毎日毎日魔導書を読みながら修行をする日々にはいい加減飽き飽きしていた所ですし?」
事情を説明すると、アルヴァロさんは快く引き受けてくれた。・・・・・・思ったより速く話が済みそうでちょっと安心した。
「ありがとうございます。それにしても、あなたはあれからずっとここで修行を積んでいたのですか?」
「はい。あくまでも趣味の領域ですが、以前に比べればかなり力をつけたと自負をしております」
《解。個体名アルヴァロの魔素量から推測すると、特Aクラスの力は保有していると思われます》
リーテさん曰くそう言う事らしいから、戦闘面に至っても問題はないだろう。・・・・・・ケンヤ君とかから必要以上に勝負を挑まれそうだ。
「アルヴァロさん、これを受け取って下さい」
「これは、腕輪・・・・・・ですか?」
「これを付けていればあなたから出ている魔素も
僕が渡した一つの腕輪を、アルヴァロさんは興味深そうに見つめていた。この腕輪は装着すると『
「ありがとうございます。これはありがたく頂戴いたします」
「喜んで貰えた様で良かったです。じゃあロキさん、この後のことはお任せしてもいいですか?」
「お任せ下さい。あなたも今は色々と忙しいでしょうし、早く戻ったほうがよろしいかと」
「ええ。では、アルヴァロさん、子供達のことはどうかよろしくお願いします」
それだけ言い残した僕は、宿屋を後にするのだった。・・・・・・早く戻って休もう。明日も忙しいし。
「・・・・・・何とも不思議なお方ですね、あのエリス殿は」
「ふっ、あなたもそう思いますか?」
「ええ。赤の他人に過ぎない私達のために、こんな場まで設けてくれるのですから、そう思いたくもなりますよ」
「どうしようも無い悪党だったあの頃の私でさえ助けた様な方ですからね。本当にお人好しな性格をしてます」
「その通りですね。・・・・・・と言いますか、クレイマンさ・・・・・・おっと、今はロキと言う名でしたね?ロキ様は何故、私に敬語で話されているのですか?昔はもっと砕けた口調で話されていたではありませんか?」
「いえ、なんと言うかあなたを不快にさせたく無いと思って・・・・・・」
「そんなこと気にせずともよろしいですよ。むしろ、その口調の方が逆に変に思えてしまって不快に感じます」
「っ!そうですか・・・・・・わかった。これからもよろしく頼む、アルヴァロ」
「ふふ、それでこそ私が敬愛するロキ様です」
エリスが帰った後で、二人は密かにそんなやり取りを交わしていたのだった。
アルヴァロ加入です。彼には今後もロキの下で沢山活躍して貰いますので楽しみに待っていて下さい。