転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!? 作:レイ1020
「ほう?お前が魔王リムルだな?魔王自らお出迎えとは、随分と危機管理がなっていないようだ」
「それだけ、マサユキ様の事を脅威と思っているのでしょう。何せ、”歴代最強”の呼び声高い勇者ですから」
僕とリムルが勇者一行を出迎えに行ったところ、会うや否やこんな失礼な事を言われ、僕達はなんて反応をしていいのかわからなくなっていた。仮にも、彼らは
だからこそ、こちらとしても穏便に済ませたいと思ってるわけなんだけど・・・・・・
「それに、副国主まで率いてこの場に来るとは、手間が省けました。マサユキくん!ここで一気に雌雄を決してしまいましょう!」
「い、いや・・・・・・?」
というか、さっきから喋ってるのは殆ど仲間の3人だけで、当の勇者マサユキさんは何か喋ろうとするたびに、仲間に遮られて何も喋れずにいた。・・・・・・僕としては、3人よりもこの勇者としゃべりたいんだよなぁ・・・・・・。
「マサユキさん、初めまして。リムルと共に、ここ
「(この人、すっごく綺麗で美人だなぁ〜・・・・・・なんか、この世界に来る前に見たあの青髪の美女みたい)は、はい!俺も・・・・・・」
「おいおい副国主様よ〜?俺たちを無視してマサユキさんに話しかけるたぁ、いい度胸じゃねーか?魔王の前に、まずはテメェからやってやろうか?」
ようやくマサユキさんから話を聞けると思っていたのに、またしても隣のモヒカン男に邪魔をされてしまう。・・・・・・しかもかなり喧嘩腰と言うことで、ちょっとムッとした僕だったが、ここで怒って話をややこしくしたくは無いので、ここはグッと堪える事にする。
「全く、手厳しい事この上ないね。俺たちからしてみれば、あんたらは俺たちの民となったエルフ達を解放してくれた恩人だ。だからこそ、俺たちはあんたらを歓迎するし、開国祭を思うがままに楽しんでもらいたいって思ってる。・・・・・・俺たちが雌雄を決する意味なんてないに等しいんだぞ?」
「そう・・・・・・」
「やっぱビビってるんじゃねーかよ!聖人ヒナタと引き分けたってくらいだから、どんなすげー魔王かと思って来てみたが、存外大した事なさそうだな」
またしても、マサユキさんを遮るかのようにして間に入ってくる男。聞く耳持たずってこう言うことを言うんだな・・・・・・リムルがこう言ってもわかってもらえないなら。もう、どうしたらわかってもらえるのか分からないんだけど?
「マサユキくんをヒナタと同じと思って貰っては困ります。この人に掛かれば、あなたなど一瞬で・・・・・・」
「ん?何やってるんだ、キミ達?」
困っていた僕達の元に、救いの手が差し伸べられた。声がした方を見てみると、そこには着替えを済ませ、ラフな格好になっていたユウキさんの姿があった。
とりあえず、僕達はこうなった事情を彼に説明すると・・・・・・
「おいおい、キミ達?リムルさん達は本当に僕達との友好を求めているんだぜ?もしそれが嘘だって言うなら、今頃キミ達は”あの世”行きになっていたと思うぞ?」
「おいおい、総帥さんよ?その言い方だと、まるで”マサユキさんがヒナタよりも実力が劣っている”と言っているように聞こえるんだが?いくらあんたでもこの人を侮辱することは許さねーぞ?」
「そうは言ってないだろ?そうじゃなくて彼らは・・・・・・」
「こいつらは魔物。リムルに至っては魔王です。いつ悪事を働いてもおかしくない以上、ここで倒しておく必要があるのでは?」
こんな感じで、ユウキさんは彼らに僕達が無害であり、悪い魔物ではないと言うことを説明してくれたのだが、彼ら(マサユキさんの取り巻き3人)は一向に納得する様子が無かった。むしろ、より敵意が剥き出しになったような気がする・・・・・・。
結局その後、リムルの『明日から開催される武闘大会で優勝したら挑戦を受ける』と言う提案を呑んでくれた事もあって、この場は穏便に済んだんだけど、別れる最後まで僕達を罵ったり煽ったりする言動が目立っていたので、正直今後はあんまり関わりたくはないな。
「(マサユキさんともうちょっと話をして見たかったのにな〜・・・・・・)」
そんな思いを心の中で呟いた僕は、リムルと共に今夜開催される前夜祭の催しの準備をする為、その場を後にするのだった。
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「本日はようこそおいで下さいました。私がこの国の国守を務めている、リムル=テンペストです。今日は、思う存分我が国の料理を堪能していただきたく思っています。長話も何なので、早速始めてしまいましょう。・・・・・・乾杯っ!」
所変わって、ここは迎賓館。大広間に並ぶ
今回の会は立食形式となってるので各々が好きなように料理をとって楽しむ形としているのだが、それとは別にこの世界にはあまり馴染みのない”畳の間”も用意しているので座ってゆっくりと料理を楽しみたいと言う人にはそっちを利用するように説明をしている。
意外な事に、ガゼル王やヨウムさんをはじめとした多くのお偉いさん達が畳を利用している事に驚いたが、何というか日本の文化が認められたような気がしてどこかほっこりする僕だった。ただ、畳に”土足で上がろうとした人”には当然注意はした。畳は土足厳禁!これは絶対だからね!
前夜祭が始まると同時に皆はそれぞれ料理を目当てに動き始め、シュナや吉田さんが腕によりを掛けて作った料理を美味しそうに食べていた。それに加えて、ハクロウが見事な剣技で解体した
あ〜・・・・・・早く僕も食べたい〜・・・・・・そう思いながら、僕は
「お〜、ありがと・・・・・・って、エリス?お前、何やってんだ?」
「見て分からないの?キミにお酌してるんだけど?」
不思議そうな顔をしながら僕を凝視してくるリムルに対して、僕は淡々と答える。
「いや、そんな事はわかってるわ。何でお前がそんな事してんだって聞いてんだよ。そんなの、他のエルフのお姉ちゃん達に任せとけよ?」
「僕が好きでやってる事だし良いんだよ。それに、お酌をする際に色々な方々とお話しする機会も得られるから、結構役得なんだよ?」
お前って奴は、もうちょっと立場って物を・・・・・・と、リムルが苦言を呈して来るが、そもそも僕自身は立場とかそんなのは特に気にしてないし、それにこうして多くのお客人達に来て頂いてるので、友好を築くと共に僕も誠意を持って彼らをおもてなししたいんだよね。
それから、僕はガゼル王やヨウムさんと言った各国の王様や重鎮達にもお酌をしに行き、その時に今後の
そんな中で、突如として会場内がどことなくざわつき始める。異常事態かと思って一度僕はリムルの元へと戻ると、そこにはリムルの他にガゼル王の姿もあった。
「リムル、エリスよ。どうやら来たようだぞ?サリオンの皇帝様がな?」
「あぁ、そういや来るっていってたな?にしても、何で一国の王が来るってだけでこんな大騒ぎになるんだよ?あんたやブルムンド王が来てもこんな反応は無かっただろ?」
ガゼル王から事情を聞いたリムルはそれでも尚、この騒ぎになる原因がわからないらしく首を傾げていた。・・・・・・はぁ〜、全く。
「リムル?一国の主人なんだから、もう少し他国について勉強しようね?今から来るのは魔導王朝サリオンと言う大国を興した”エルメシア・エル・リュ・サリオン”。ここ数十年は姿を現さなかったのに、ここへ来て急にその姿を見せたのだからこの場がざわつくのは当然のことだよ。あまりに高貴で尚且つ長命であるが為に、本来であれば会うことなんて出来ない様な人だから決して無礼の無い様にしてよ?」
「魔導王朝サリオンは2千年以上前に建国された大国であって、歴史で言えば俺の治めるドワルゴン国の倍以上はあるのだ。それ故にあの
「わ、わかった」
僕とガゼル王に言われて流石に状況が把握できたのか、リムルは少し気を引き締めて会場入り口へと視線を向けた。入り口には既に皇帝エルメシアを筆頭にエラルド侯爵と言ったサリオンの重鎮達が立っていた。
「招待、ありがたく頂戴した、魔王リムル殿。朕は嬉しく思う」
僕たちに気づいた皇帝エルメシアはスタスタと僕たちの前まで歩いてきて、薄く笑みを浮かべながら今回の招待についての感謝を述べた。・・・・・・遠くから見ても綺麗な人だと思ってたけど、近くで見ると改めてその美しさに度肝を抜かれそうになる。だが、その美しさとはまた別に、彼女から漏れ出るガゼル王以上の『英雄覇気』が、彼女がただ綺麗で美しいだけの女帝では無い事を物語っているので、僕の緊張は高まっていた。
「ようこそいらっしゃいました。遠路遥々お越しくださり誠にありがとうございます。本日はささやかながら様々な料理をご用意していますので是非楽しんで行ってください」
「明日から始まる開国祭も陛下がお気に召す催事を多く行う予定ですので、これを機に
「うむ、楽しみにしておるぞ?」
先ほどよりも笑みを深めながら、この皇帝様はそう答える。とりあえず、機嫌を損ねる事は無かった事にほっと息をついた僕達だったが、なぜかその直後に彼女からこちらに来るように促される。
「この開国祭の中で話せる時間を作ってくれると嬉しいわ。こんな堅苦しく無い場であなたと本音で語り合いたい事があるの。・・・・・・勿論、あなたともね、副国主様?」
「わ、わかりました・・・・・・はは」」
断れる雰囲気でも無かったので、僕たちは揃って了承すると、彼女はこの場を後にしていった。多分だけど、あの一瞬で見せた姿こそ彼女の素顔なんだろう。・・・・・・思ったよりも親しみやすそうな人で少し安心したかも。
そのすぐ後に、ミリムを筆頭にフレイさんやカリオンさん、ミリムの世話を焼きたがり(?)の代表であるミッドレイさんやヘルメスさん達が来訪する(正しくは竜を祀る民の神官長)。
彼らもまた僕たちに挨拶をした後で美味しそうな料理を思う存分楽しんで行った。ミッドレイさんに至っては、『食材をそのまま食せず、このように汚してしまうなど言語道断!』などと言っていたが、シュナが彼に料理をすることの意味、そして料理をする事で得られるメリットなどを彼に懇切丁寧に説いた事もあってか、話が終わる頃には彼は出された料理を感慨深く味わう様になっていた。
「よかったじゃん、ミリム。これでキミが、今後生の野菜とかをぼりぼり食べずに済むね?」
「う、うむ。別に、不味くは無いのだが、こんな美味い物を食べてしまうともうあれを食べたいとは思えないからな?」
「今度フレイさんに良い料理人を紹介しておくから、楽しみに待っておいて」
「本当か!早い気がするが、今から楽しみなのだー!」
今後もこう言った美味しい料理にありつけると言う事実に喜びを爆発させたミリムは、目の前に出されたステーキを豪快に一口で食べて見せる。最早、作法も礼儀も何も無い食べ方だが、それも何だか可愛らしいと思ってしまい注意する気も失せてしまう。そんな事を思いながら、僕は彼女の口周りについたソースを拭き取りながらその後も話に花を咲かせるのだった。
「はい、これ」
「ん?何だこれ?」
「この世界各国の歴史が緻密に記載されてる本だよ。これを見て、少しは他国の事を知って欲しい」
「え・・・・・・いや、でも俺今は色々と忙しくて・・・・・・」
「今すぐ読めって言ってる訳じゃないし、徐々にで良いからって事。さっきも言った事だけど、キミはこの国の主なんだし、他国についての知識もしっかりとつけないと」
「それは分かってるが・・・・・・エリスが勉強してくれてるんならそれで良いんじゃ無いのか?」
「僕もいつもキミの隣にいるとは限らないでしょ?それに、僕だってまだこの世界について無知なところがあるんだから僕ばかりに頼られても困るよ。最低限でも良いから勉強はしてよ、いい?」
「はいはい、分かったよ・・・・・・」
エリスが渡したこの本はユウキから借りた物です。この前に、会いに行った際に借りた物だとか。エリスがリムルに比べてこの世界について詳しいのは、勉強をしてるのは勿論ですが、彼がリムル以上に他国の者達と関わっていることが原因です。街の入り口付近での出迎え然り、先程の前夜祭にでのお酌と称した情報交換然り、彼は積極的に他国の重鎮達と関わっているので情報を得られる機会が大いにあるので、そこで知識を養っています。
彼に至っては、そんなのは二の次でただ色んな人と戯れたいだけかも知れませんが(笑)
次回はいよいよ開国祭の始まりです。やっとここまできました・・・・・・。