転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!? 作:レイ1020
「本当に素晴らしい演奏だったよ。何度聞いても聞き足りないくらいだ。ヒナタ達も子供達を連れて聞きにくりゃ良かったのに」
「こっちはこっちで楽しんでたのだから良いのよ。余計なお節介」
「はは、面倒見てくれてサンキューな」
あれから屋台巡りを存分に楽しんだ僕たちは、子供達を宿へ送った後で夕食会に参加していた。今日はこの場で共に食事をしようとユウキさんと約束をしていたので、僕とヒナタさんはリムルと合流するとそれぞれ席に座りつつ食事を楽しんでいた。
「エリスもありがとな。特に問題はなかったか?」
「うん、特段問題はなかったし、僕自身も十分に楽しめたよ。ありがとね」
「楽しめたなら何よりだ」
リムルにこう言った機会をくれた事を感謝しながら、僕は料理を口に運ぶ。ちなみに今回の夕食会では和風か洋風のどちらかのコース料理を楽しむ会となっていて、リムルとユウキさんは洋風で僕とヒナタさんは和風のコース料理を堪能している。
「そう言えばリムル?
「本当だ。それを発表した途端、ギャラリー達はこぞって驚きながらベスターに詰め寄ってたな」
「そりゃ、これまでの常識が覆るような内容だったんですから、そうなって当然ですよ。むしろ、あんなに事細かく研究結果を発表させて良かったんですか?」
「え?僕は二人には『研究の細かなところまでは発表しなくてもいい』と伝えたはずですけど・・・・・・リムル、そんなに細部まで説明してたの?」
少し疑問に思った僕はリムルへと視線を向ける。ヒポクテ草の正体は”魔素濃度の高さによって突然変異した植物”であり、実際にはヒポクテ草という植物は存在しない。当然、この前代未聞の事実を知る国はどこにも無いので驚かれても無理はない。だからこそ、今回のこの場では軽くヒポクテ草の正体を説明した後、場を改めて大々的に二人の研究結果を公表する事で
「?ああ。説明してたぞ?にしても、ヒポクテ草の正体には正直俺もびっくりしたわ。今日初めて知った内容だったけど、あいつらの研究力には感服するよ」
「内容も何も知らない上に精査も何もせずにあれを発表させたんですか?各国の重鎮達が集まる中で?」
「・・・・・・」
リムルは何も言わずにスープを口に運んでいた。・・・・・・あぁ、この様子からして何か言い訳する気でいるな?
「お、俺はみんなの自主性を大事にしたいと思っていて・・・・・・」
「だとしても、研究内容くらいは事前に頭に入れて置いてよ。あの二人にも問題はあるけど、キミがそれじゃ僕が慎重に動いたのがバカみたいじゃないか」
苦し紛れの言い訳をするリムルに僕は苦言を呈す。自主性を重んじるのは確かに大事だけど、それと研究内容を全く確認しない事は意味が違うからね?
「え?エリスは研究内容は把握してたのか?」
「当たり前でしょ!?
「わ、わりぃ・・・・・・迂闊だったな」
僕に怒られたからか、リムルはかなり凹んでしまう。とはいえ、研究内容を共有しなかった僕にも責任はあるのでこれ以上とやかく言う気はなかった。
「まぁ、結果的に僕も発表する事を許可してしまった訳だし、キミだけのせいじゃ無いからそんなに凹まないで?」
「ああ、今後は国にとっての重要な案件をどうするかは二人で話し合ってから決めるか」
結局、そんな感じで話がまとまった僕たちは再び食事に手をつけ始める。あまり話が長引くと料理が冷めてしまうので冷めないうちにさっさといただいてしまおう。
「ふー・・・・・・ごちそうさまです。では、僕はこの後予定があるのでお先に失礼します」
「あ、そうか。この後商談の予定があるんだっけか?」
「そう。僕の作ってる新商品の紹介や新規顧客様と新しい契約を結ぶ取引とかをメインでやるかな。後は既存の顧客様に自分の商品の需要、供給を聞いてそれに応じた商品を増やしたり減らしたりして調整をする話もする予定」
みんなより一足早く食事を終えた僕は、この後予定されている商談に向かおうと席を立った。時間には余裕はあるが、万が一にもお客さんを待たせてしまっては印象が悪くなる。そうならないために早めに向かっておこうと言うわけだ。
「働き者ですね。ちなみに、どれぐらいの商人と取引するつもりなんですか?」
「今日は開国祭の初日と言うこともあって、5人の方と商談を行わせてもらいますが、明日以降はもっと多くの方達と行わせてもらう予定です」
ユウキさんから質問された僕は、端的にそう答える。今日は商人の方達も色々とバタバタしていただろうしこの人数だけど、それが落ち着く明日以降は今日の倍以上の商人達が取引を申し出てくるとの事なので、僕も気を引き締める必要があった。
「へー?思ったより、あなたの作った商品って人気になっているのね?」
「そりゃ人気にもなるさ。今までに無い”非常に魅力的な効能を秘めた商品”の数々が、ものすごく安価で手に入れることができるんだから。特に”エリス水”なんか”銅貨10枚”って・・・・・・破格にも程があるでしょ」
「そう言われると確かに。このイヤリングも銀貨1枚で買えたし」
ヒナタさんは耳につけたイヤリングを誇示しながらそう話す。小さな水の雫の形をしたイヤリングであり、こだわって少しだけキラキラと光るように氷の結晶と混ぜて作った代物だ。このイヤリングをつけるとイヤリングから冷気が出るように作っていて、雫の部分を2回タッチするとミストが噴き出るように細工してあるので、暑い時にピッタリな商品となっている。そんな便利な商品が銀貨1枚(日本円で1000円)で買えると言うこともあってか、このイヤリングも各地で飛ぶように売れているのだとか。
「おっと、そろそろ時間になるのでお先に失礼します。リムル、後は任せたよ?」
「ああ、こっちの事は任せとけ」
そろそろ向かう時間となったので、僕は足早にその場を後にした。その後の商談は無事にうまくいき、数多くの商人達との取引を行うことが決定した事もあって僕はご満悦だった。
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「う、うぇ・・・・・・気持ちわりぃ・・・・・・」
翌日、商人達との商談が終わった僕は気持ちよく眠りについていたのだが、何故か早朝にリムルからの思念伝達によって叩き起こされた。その理由としてはこんな感じで、このスライムさんはまた飲みすぎたのか二日酔いに苦しめられているそうで、それをなんとかして欲しいんだって。
「また毒無効のスキルを切って飲みすぎたの?前にも注意するように言ったよね?」
「い、いやぁ・・・・・・ミョルマイルやガゼル王達と盛り上がっちまって、ついでに相談したい事もあってそれも並行して飲んでたら気がついた時には朝になってて・・・・・・」
「キミには痛覚無効のスキルがあるでしょ?なんで発動してないの?」
「そ、それが・・・・・・
さっきよりも苦しんでいる様子のリムルに僕は呆れていた。飲みに行ったことについては別にとやかく言う気はない。そんなの彼の勝手だし、リムルだって疲れてるだろうからそう言った息抜きも必要だ。だけど、僕が呆れているのはそこではなく・・・・・・
「前にも思ったことだけど、そんなことで僕を呼ばないでよ。僕だってまだ寝てたかったし、そもそもその二日酔いはキミの自業自得なんだから自分で解決して」
まさにそれだった。この場所に来るのは簡単とは言え、僕は彼のお母さんじゃあるまいし、そんな些細なことで毎度のように呼ばれては堪ったものではない。
「わ、悪かったよ・・・・・・。これっきりにするから今回ばかりは助けてくれ・・・・・・」
「もう・・・・・・」
反省しているのかどうか怪しいところだが、流石に可哀想に思えたので僕は『治癒』で酔いを治すと途端にリムルが元気を取り戻した。
「ふ〜・・・・・・助かった。ありがとな、エリス」
「全く・・・・・・で?ガゼル王達に相談って、何か問題でもあったの?」
「ああ、実は・・・・・・」
詳しく話を聞くべく、僕はその場へ腰を下ろす。リムルの話だと、どうにも小売の商人達とのいざこざが発生し、その対応にミョルマイルさんが頭を悩ませていたのだという。その原因として挙げられるのが支払い方法の強制だった。まず、その商人達は”共通通貨での支払いにしか応じない”と揃いも揃って言っているらしくミョルマイルさんがどう説得してもその意思が曲がる事は無かったそう。
「クレイマンの城にあった財宝とか通貨で取引は出来なかったの?」
「ミョルマイルの話だと、それらの古代通貨は世界共通通貨ではないから取引できないって断られたらしく、換金する旨も伝えたらしいがそれも却下されたらしいぜ」
「・・・・・・」
明らかに様子のおかしい商人達に僕も困惑するしか無かった。そもそも、今までそんな問題が起こった事もないのでなんで今更その事でぐだぐだ言われないといけないのかが理解できなかった。
「国庫金はどのくらい残ってるの?」
「もうほとんど残っていないらしい。今はミョルマイルが自分の私財を使って払ってくれているが、それもいつまで保つかってとこだ」
その言葉に、僕はミョルマイルさんに感謝すると共に速やかに対応策を練るべく思考を巡らせた。
「後で僕の方からミョルマイルさんに追加の金貨を渡しに行くよ。僕の稼ぎ分もあれば、もうしばらくは支払いには困らないだろうから」
「助かる。正直、お前の金を使わせるのは気が引けるが、緊急事態だし頼んでいいか?後で、借りた金は返すから」
「別に返さなくていいよ。今後の取引でまた多くの資金が入ってくる事は確定してるから、お金のことは気にしなくていい」
「・・・・・・恩に着る」
僕のその提案にリムルは快く応じてくれた。ひとまず、支払いに関しては一旦解決したと見ていい。だが、それだけで全ての問題を解決できたと思うほど、僕は状況を甘くは見ていなかった。
「裏で誰かが糸を引いてる可能性があるな」
「そうだね。頑なに共通通貨での支払いにしか応じないその融通の効かなさ・・・・・・どう考えても不自然だよ」
リムルも同じ考えだったようで二人揃って首をひねる。
「今回の騒動を引き起こしているのは
「・・・・・・そう言うことか。今まで取引してた商人達は自由組合に所属している商人がほとんどだったから融通がきいたけど、評議会に所属する商人達であれば話が変わってくるって訳か。・・・・・・困ったものだね」
商人達がゴネている理由にようやく合点が行った僕は一つため息をつく。ルールに基づいて取引を行うと言うのは分からないでもないが、評議会にルールがあるように、
「大方、
「そうだね。ついでにその過程で裏で手を引いてる黒幕の正体も掴まないと。今日と明日の商談で何人かの評議会所属の商人達と話す機会があるから、勘付かれない程度に探りを入れてみるよ」
「ああ、頼む。・・・・・・とりあえず、この話は一旦ここまでにしよう。今日も忙しいってのに朝から疲れたくないし」
「武闘大会の本戦がある日だからね。・・・・・・今日も気を引き締めていこう」
話に区切りをつけた僕たちは一旦この場で解散し、準備に取り掛かった。色々と問題が山積みだけど、まずはこの開国祭を無事に終えない事には話にならないので一旦商人達への支払いに関してはミョルマイルさんに任し、僕たちは開国祭に全力で力を入れよう。
ちなみにエリスは相当に稼いでいます。エリスは基本的に受注側ですし、労務費や人件費、材料費等は一切かかっていませんので儲けが全部手元に来るので(一部は国に納めてる)。
今や様々な国でエリスの商品が売られているので当然それに伴って儲けもどんどん増えていっているのも事実ですので、多少ミョルマイルに貸し出しを行ったところで痛くも痒くもないです。
次回はいよいよ武闘大会です。