転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!? 作:レイ1020
「やれやれ・・・・・・やっと終わったよ・・・・・・」
最後にオークに名付けを終えた僕は、ようやく息をつけるとその場で腰を下ろした。あの後、ベニマル達からリムルがあの大所帯のオーク達すべてに名付けをしていると知らされ、流石に一人では可哀想と思い、僕はすぐにリムルの元へと向かったわけだ。その間にベニマル達にはオークの食料となる
「そっちも終わったか?俺の方もさっきの集団で最後だ。はぁ〜〜・・・・・・マジで疲れた・・・・・・」
「僕よりも多くオーク達に名付けしてたからね。疲れるのも無理ないよ。魔素の方は大丈夫なの?」
「ああ。お前がきてくれたおかげで、
「うん。役に立てたなら何よりだよ」
にこやかにそう言うリムルに、僕も笑顔で返した。リムルも言ったように、一応、あのオーク達を統べる存在は必要ということで、ゲルドの傍にいつもいた一人のオークにゲルドの名を継がせる事にしたんだ。このオークはゲルドともそれなりに信頼関係があり、明らかに他のオーク達とは違った扱いも受けていたため、そうする事にしたそうだ。彼なら、ゲルドの名も遺志もしっかり継いでくれるだろうから特に心配はしていない。リムルが名付けをしたと同時に彼は進化を始め、周りのオーク達が
「とりあえず、少し休んだら帰る?」
「ああ。帰る最中に”アビル”に挨拶したらそのまま帰るとするさ」
「・・・・・・?アビルって、誰のこと?」
リムルの口から僕が知らない名が出てきた為、僕は首をかしげた。アビル・・・・・・・・・・・・やっぱり知らないな〜?ガビルだったら知ってるけど・・・・・・。
「リザードマンの頭領さんのことだ。お前、挨拶に行ったろ?」
「へっ?あの人ってそんな名前だったの?」
「違う違う。会議が終わった後、どうしても盟主である俺から名を与えてもらいたいって聞かなくってさ?しょうがないから、息子のガビルの名に因んでアビルって付けたんだよ」
「あ〜・・・・・・なるほどね?」
とりあえず納得しておく僕だった。まぁ、確かにこの大騒動を鎮めた盟主のリムルから名を貰えるっていうのはすごい名誉になると思うし、アビルさんが名を貰いたいと嘆願したのも納得かも。
「わかったよ。じゃあ、少し休んだら出発しよっか。そろそろベニマル達も食料の分配や運搬を終えて町に帰ってる頃だし」
「だな」
その後、僕たちは小一時間ほど休憩をした後、『影移動』を使って町まで戻る事にしたんだが、これを使っても僕が町へと帰ることが出来たのは翌日になってのことだった。対してリムルに至っては2時間もかからずに町に着いたんだとか。この原因は主に、僕がリムルよりも『影移動』のスキルを使い慣れていなかった事と、移動スピードの差だった。だって、僕は『影移動』で作った一本の道を走って行くのに対して、リムルは前みたいに背中から羽を生やしてさっさと飛んで行っちゃうんだもん。差が出るのも無理ないと思う。だったら、同じ『影移動』が使えて移動も早いヒョウガを呼べば良いじゃんって話なんだけど、ヒョウガは僕が命じて
・・・・・・そんな小さな問題があった僕だったけど、特にそれ以外は問題はなかった為、気にせず町へと戻り、今後に対する計画を練る事を頭の中に入れながら、眠りにつくのだった・・・・・・。
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それから一月の時が流れた。僕たちの町はオーク達やカイジン達ドワーフの力添えもあって、徐々に建設等が進むようになっていった。あれから人口が増えた事により、建設する建物や施設が増えたけど、それでも以前より格段に作業スピードが速くなったこともあって、じきに町の住民すべてに家が設けられる事は間違いないだろう。ちなみに言っておくと、僕とリムルの家は真っ先に作られた。どっちの家も、僕たちの希望で日本をイメージした和風の家造りにして貰った。異世界に来て、魔物に転生した僕とリムルだけど、根っこは日本人のままだから、どこかこういった日本風の家の方が落ち着くんだよね。家を作る際に、僕とリムルは後回しでも良いと何度も言ったんだけど、鬼人のみんなや町の住民みんなが揃って『リムル様とエリス様がお先にどうぞ!』と言うもんだから、それ以上は断らずにいておいた(あんまり断るとみんなが悲しみそうだったから)。お言葉に甘えた僕たちはそれぞれようやく落ち着ける家を持てたことに感情を昂らせていた。
・・・・・・そんな時だった。あの人が来たのは・・・・・・。
「・・・・・・何しに来たんだ?ガビル?」
「おおっ!これはこれは・・・・・・リムル様にエリス様ではありませんか!またこうして会えるなど、このガビル光栄であります!」
「あ、ああ・・・・・・そう・・・・・・」
いつものテンションで僕たちの元を訪れていたのは、オークとの戦いで別れて以来、音沙汰なかったガビルとその配下100人だった。隣にいたシオンやハクロウなどは、すでに刀を抜きそうな姿勢へと入り、討ち取る気満々の調子でいるのをガビルが慌てて止めていた。確かガビルはあの後、謀反の罪で捕縛され連れて行かれたはずだ。それが今こうしてここに来ていると言うことは・・・・・・。
「もしかして・・・・・・破門でもされた?謀反の罰とかで」
「おおっ!さすがは聡明なエリス様!まさにその通りで我輩は父アビルより故郷からの追放を命じられましてな。それで行く当てもなく彷徨った我らは、ここへと赴いたわけであります!」
破門ってそんなに元気よく言えるような言葉じゃないと思うけどね?でも、正直ホッとしていた。ガビルはただの謀反ではなく、下手をすれば一族みんなを破滅に追い込む可能性のあるような重い謀反をしでかしたんだ。最悪、死罪になっても不思議ではない程の罪だったはずなんだけど、そこはアビルさんの息子にかける最後の情けが出たのか、追放で許したんだろう。・・・・・・お父さんに感謝したほうがいいと思うよ?ガビル?
「質問に答えろ。お前達は何しに来たんだ?」
「これは失礼しました。では・・・・・・リムル様、エリス様!どうか・・・・・・どうか我輩達を配下に加えてはくださいませんか?必ずやお役に立ちますので!」
ガビルがそう頭を下げると、配下のみなさんも揃って頭を下げて懇願してきた。元々僕は、ガビルのことはそこまで悪い人ではないと思っていたし、ちょっとお調子者だけど面白い人だなって思ってたから、僕はこのお願いを聞いてあげてもいいと思ってるけど・・・・・・リムルはどうだろ?一応、確認のため、リムルに視線を向けてみた。
「エリスは良いのか?」
「うん。どこにも行く当てはなさそうだし、このまま追い返すのは可哀想だよ」
「はぁ・・・・・・ったく、仕方ねーな。わかったよ。ただし、配下になったからにはしっかり働いて貰うからな?サボったら承知しねーぞ?」
「っ!!ありがたき幸せ!我ら一同、揃ってあなた方に忠誠を誓いましょう!!」
配下になれるとわかると、途端に笑顔になって喜ぶガビル達。・・・・・・本当に調子良いんだから・・・・・・。
「さっきから気になってたんですけど、何でアビルさんの娘さんまで居るんですか?あなたは確か、親衛隊長だったはずじゃ・・・・・・」
喜ぶガビル達は一旦置いておき、さっきから気になっていたアビルさんの娘さんの存在について触れる事にした。彼女はさっきも言った通り、アビルを守る親衛隊長だったはずだし、本来ここにいるような人では無かったはずだけど・・・・・・?
「私は兄上と違って追放されたわけではなく、リムル様やエリス様の町へと行って見聞を広めよと言う命を父上から受けた為、ここまで参じました。ですので、私も兄上同様、あなた方の配下へと加わります」
「それは嬉しいが、アビルの方は良いのか?」
「リムル様から名を授かった父上の統率は100年は揺るがないと思われますので、ご心配なく・・・・・・」
そう言う娘さんの顔に嘘は無さそうだったため、これ以上は追求しないでおく事にした僕たちは、とりあえず配下になった証として、オーク達同様に彼らに名付けをしようとしたんだけどその時、ガビルが何故か待ったをかけた。
「しばしお待ちを!もう一つ、我輩の願いを聞いては貰えませぬか?」
「まだ何かあるの?何かな?」
「我輩達は、エリス様の直属の配下となりたいのですが、よろしいでしょうか?」
「・・・・・・へっ?」
ガビルの突然の指名に困惑を浮かべる僕。突然何を言い出すんだこの人?直属?何で急に・・・・・・。
「何だよ?俺じゃ不満か?」
「い、いいえ!もちろん、リムル様の配下にもなりますし、従います。ですが、エリス様にはオーク討伐の際に助けられた御恩があります・・・・・・。ですので、その御恩をエリス様の直属の配下となって支えることで返していきたいのです!・・・・・・駄目でしょうか?」
「駄目じゃないけど・・・・・・」
オーク討伐の時って言うと、おそらくゲルミュッドの攻撃から守った時のことだろう。確かにあの時はガビルを助けたけど、あれくらいで恩を感じる必要なんてないんだけどな〜・・・・・・あくまで僕が勝手にやった事だし。
「俺はエリスの判断に任せるぞ?どうするんだ?」
「せっかくこう言ってくれてる訳だし、そうさせて貰うよ。よろしくね、みんな!」
「ありがたき幸せ!必ずやあなた様の期待に応えますぞ!!」
「「「「おおおおおっーーーー!!!!」」」」
こうして、僕にガビルと100人の部下たちが新たなる直属の配下として加わる事となった。直属の部下はヒョウガ以外にいなかったから、正直言って嬉しかった。・・・・・・今後、僕の周りがかなりうるさくなりそう・・・・・・いや、間違いなくなるだろうけどね。
「・・・・・・こいつらの面倒はお前が見ろよ?」
「わかってるよ。あはは・・・・・・」
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「さて、じゃあみんなに名を与えようと思うから、一列に並んでね〜!」
僕の直属の配下になった以上、上司である僕が名付けをする義務があると思った僕は、リムル達を帰らせ一人、リザードマン達に名付けをするべく止まっていた。
「エリス様!名付けですが、まずはこの者等を先に行っては下さいませぬか!」
「いいよ。・・・・・・そこの二人でいいのかな?」
ガビルがそう言いながら僕の目の前に出して来たのは、二人の男女のリザードマンだった。二人ともどこか萎縮してビクビクしている様子だったけど、ガビルは気にせず続けた。っていうか、ガビルの配下の中に女の人なんていたんだ?娘さんを除いて。でも、どうやら女の人はこの人だけみたいだ。・・・・・・何で女である彼女がこの場にいるのか後で聞いてみようかな。
「はい!この者達は我輩の配下の中でも一二を争うほどの実力を持った者達でございます!我輩には及びませぬが、きっとエリス様の役にも立ってくれるであろう逸材共であることは間違いありませぬ!そうであるな、お前達!」
「は、はい!ガビル様!」
「は、はい・・・・・・」
「ガビル・・・・・・この人達ちょっと怯えちゃってるから、声のトーンを落としてあげて?」
「おっと、失礼致しましたな。ではエリス様、お願いします」
あとは任せたと言わんばかりに、ガビルは二人の後ろへと下がっていった。残った二人と僕との間に何とも微妙な空気が流れ出てることを察した僕は、とりあえずさっさとこの二人に名付けをしてしまおうと、話を切り出した。
「じゃあ、名付けをするね。まずは男のキミから。・・・・・・キミは左眼が見えないの?」
「え?あ、はい。以前魔物との戦闘で目を怪我しまして、それ以来は・・・・・・」
「そっか・・・・・・」
男のリザードマンの方は左眼を怪我していた事もあって、他のリザードマンよりも随分と特徴的な風貌をしていた為、見分けもつきやすかった。何で僕がさっきみたいな質問をしたかって言うと・・・・・・ただ単に何で怪我をしたか聞きたかっただけ。だって眼だよ?よっぽどのことしない限り怪我なんてしないでしょ?
「ごめん、話逸れたね。キミの名前だけど・・・・・・・・・・・・”隻眼”だから、それからもじって”
「エリス様から貰える名であればどんな名でもオレは嬉しいです。この”
「気に入ってもらえて良かった。じゃあ次はキミだね」
安っぽいネーミングだったけど、気に入ってもらえてほっとした僕は、次に女性の方のリザードマンへと視線を向けた。
「よろしく・・・・・・お願いします・・・・・・」
「そんなに硬くならなくていいからね?リラックスしてていいから。さて、名前だけど・・・・・・その”赤い髪”は生まれつきなの?」
「はい・・・・・・。親からは珍しいと・・・・・・よく言われました。基本的にリザードマンは・・・・・・黒い髪なので・・・・・・」
「確かにそうだね。じゃあ名前は・・・・・・・・・・・・火のように赤い髪をしてるから”
「”
さっきまで少し萎縮したような顔をしていた彼女だったけど、名を授かった途端、ほんのりと柔らかい笑顔を見せ始めた。・・・・・・喜んでもらえたなら何よりだ。・・・・・・それにしても、この二人に名付けをしただけでだいぶ魔素を持っていかれたな・・・・・・ガビルの言う通り、かなりの実力者なのかも知れないね、この二人は。
「エリス様!ありがとうございました!では、我輩達も・・・・・・」
「わかったから、慌てないでね?とりあえず、セキガとカレン以外は列になってね?」
二人の名付けを終えた僕は、他のリザードマン達にも名付けをしていった(娘さんに至っては僕ではなく、何故かソウエイの元で働きたいと言っていたため、名付けはリムルにお願いしてある)。名付けをしたリザードマン達は、一斉に進化を始め、リザードマンから
・・・・・・で、最後にガビルなんだけど・・・・・・。
「我輩には名付けはなさらぬおつもりですか!?」
「いや、でもね?キミにはもうガビルっていう立派な名前が・・・・・・・・・・・・っ!?」
「エリス様?どうかされ・・・・・・っ!!おお!我輩の体が光り輝いておるぞ!!」
ガビルの名を口に出した途端に、ごそっと体内から魔素が抜き出たような感覚が襲ってきた。おそらく、名付け親であるゲルミュッドが既にこの世にいない事もあって、何の偶然かが噛み合ったか知らないけど、名前を上書きしたのかもしれない。・・・・・・まいったな、まさか上書きができるなんて・・・・・・って、まずい、意識が・・・・・・。
《告。急激な体内魔素の減少を確認したため、強制的に
「ご、ごめんガビル。あとの事はお願い・・・・・・」
「へっ!?え、エリス様っ!!?」
ガビルに膨大な魔素を持っていかれた僕は、ガビルに後のことを託し、その場で意識を手放した・・・・・・。
それからまた日を改めて、ガビル達の様子を見に行ってみると、そこには無事に
ガビルはエリスの配下という事になりました。あの時助けたのがリムルではなくエリスだったからという事もありませが、これの方が展開的に面白そうだったので。
オリキャラの説明については次回にさせていただきます!