転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!? 作:レイ1020
「ふぃ〜〜・・・・・・やっと落ち着いたよ・・・・・・」
ガゼル王との決闘を終え、その後色々とドワルゴン国都の会議やら宴やらを色々こなした僕は、ヘトヘトな状態で自宅へと戻ってきていた。
「お疲れ様です。何か飲み物でもお持ちしますね?」
「では、私は座布団をお持ちします」
「うん、ありがと。じゃあお願いするよ」
護衛として、僕と一緒に戻ってきていたセキガとカレンの優しい言葉に僕は甘える事にし、カレンが用意してくれた座布団の上にゆっくりと腰を下ろすと、再び大きく息を吐いた。息を吐いた後、同じく僕と一緒に戻ってきていたヒョウガに視線を向けた。
「ヒョウガ、ちょっとの間だけで良いからキミの体に寄り掛からせてくれないかな?キミの体ふさふさで気持ち良いから、疲れも取れるんだ。良い?」
「もちろんです。むしろどんどん寄りかかってください!ワタシにとってもこの時が一番至福の時ですので!」
「そ、そう?それなら良いんだけど・・・・・・」
いつもクールなヒョウガにしては珍しく、目を輝かせながら僕に詰め寄ってくる。ヒョウガが良いって言うなら遠慮なくと思い、僕は座った姿勢のまま、ヒョウガの真っ白な毛皮で覆われた体に身を預けた。ヒョウガは以前のオークとの戦いで
「(思えば、ヒョウガがこうやって感情を表に出すのは、この時だけな気がする・・・・・・それだけ、この子も気持ち良いんだね)」
「(主様の匂い、ぬくもり、体に触れられる感触、それらすべてをこうして間近で感じ取れるワタシは・・・・・・幸せ者ですね・・・・・・)」
「エリス様、お茶をお持ちしまし・・・・・・・・・・・・カレン?なんかエリス様とヒョウガが異常なくらい顔がとろけてるんだが・・・・・・」
「邪魔しないであげましょ?今二人はお楽しみ中のようだし、何より、とっても幸せそうだから・・・・・・ふふ」
セキガとカレンが見守る中、僕はしばらくの間、この癒しの時間を堪能することにしたのだった。・・・・・・この時間が終わったらまた気を引き締めないとね。
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癒しの時間が終わり、幾分か疲労も回復した僕は、先ほど行われた会議で決まったことをざっくり頭の中で整理していた。まず、ガゼル王の提案により、ドワルゴン国と僕たちは盟約を結ぶこととなった。その理由としては、ガゼル王曰く、『この町はかなり良い町並みであるがため、いずれ交易路の中心都市となるだろうから後ろ盾となる国がいた方が便利』だからだそうだ。もちろん、その提案にはリムルも僕も快く応じた。ドワルゴン国はこの世界の中でも有数の大国であり、国力も膨大であるため、そんな国がこの町のバックについてくれると言うのなら、これほど嬉しいことはないからね。断る理由の方が逆に思いつかないと言うものだ。ガゼル王が盟約を締結する際に出した条件は二つ。一つは、国家の危機に際しての相互協力。もう一つは相互技術提供の確約。この二つだ。盟約を受ける上では、断るわけにもいかないので、その話も僕たちは呑んだ。
ガゼル王がこうして僕たち魔物の町と盟約を結ぶと言うことは、僕たち魔物の集団を認め、同関係の”国”として認めることを意味していた。そのことについてもリムルはガゼル王に話を聞いたが、ガゼル王は『無論だ』と言うだけで、それ以外は何も口を開くことはなかった。まぁ、認めてくれるって言うなら、嬉しいことこの上ないんだけどね。以前リムルとも話してたけど、いつかは、僕たちも人間や亜人たちと交流をしたり、交易をしたりしたいと思っていたから、こうして一つの大国の王が僕たちのことを国として認めてくれたことには感謝しかなかった。
それで、無事に盟約は締結したわけなんだけど、その際に重要なことを僕たちは忘れていたんだ。それは・・・・・・この国の名前を決めていなかったことだ。と言うのも、まだこの町を含め、他のところも国と呼べるまでに大きくなってる訳じゃなかったから、先送りにしてただけなんだけどね。それに、リムルと僕はジュラの大森林の”盟主”と”副盟主”って言う肩書を貰っているけど、別に”国主”になった訳じゃないから、なおさらそれについては蚊帳の外に置いていた訳なんだ。結果として、その場にいたみんなの意見や、トレイニーさんの後押しもあって、国主にはリムルが就くことになり、この国の名を今日の盟約の調印式までに決めておけと、ガゼル王からの命令が下ることとなった(それと、これは余談なんだけど、ガゼル王は何とハクロウの弟子だったようだ。剣鬼から教えを受けたって聞いたけど、ハクロウのことを流石に言い過ぎじゃ・・・・・・ないね。ハクロウ戦闘の時は鬼みたいな形相で戦うし。で、リムルも最近、ハクロウから剣術を指南してもらってる為、ガゼル王とは兄弟弟子ということで意気投合してた。・・・・・・僕も、弟子入りしようかな?・・・・・・考えとこう。)。
その調印式は、両国の国主であるリムルとガゼル王が調印を行い、正式に盟約を締結すると言ったシンプルなものであり、僕も一応リムルの補佐であるため、ベニマルやリグルドと共に揃って出席していた(簡単な正装をして)。調印式を終え、この国は『ジュラ・テンペスト連邦国』として魔法の力で世に公開された。これで、僕たちのこの国の知名度も飛躍的に上がることだろう。・・・・・・今後は、もっともっと忙しくなることを、この時の僕とリムルは静かに覚悟していた(ちなみに、この今僕たちがいる町はみんなの総意で中央都市『リムル』と言う名になった。リムルは恥ずかしいから変えてくれと嫌がっていたけど、僕が賛成したことからその意見は可決となりリムルの意見は通らなかった。その際、リムルからはすっごい睨まれてたけど、スルーした。)。
「これからは、忙しいだろうし、頑張らないと・・・・・・」
「そうですね。オレたちも可能な限りサポートをしますので、気軽に頼ってくださいね!」(もふもふ)
「エリス様が申し付けたことであれば、どんなことでも致しますので、いつでもお命じください」(もふもふ)
「・・・・・・そう言ってくれるのは嬉しいけどさ?随分気持ち良さそうにしてるね?キミたち・・・・・・」
「「うっ・・・・・・どうもすいません・・・・・・」」
僕が頭の中を整理している間に、いつの間にか、セキガとカレンは手持ち無沙汰になっていたヒョウガと抱きついたり、触ったりして戯れていた。当の二人は、普段の凛々しい佇まいからは想像できないほどに、顔つきが緩んでいた為、先ほど言っていたカッコいい発言は台無しになってしまっていた。
「お二人とも?主様に迷惑をかけるのだけはやめてくださいよ?」(もふもふ)
「「はーい・・・・・・」」
ヒョウガに怒られながらも、二人は戯れるのをやめようとはしなかった。そんな二人にヒョウガは少し呆れた様子でいたが、当の本人もそこまで嫌じゃ無いのか、拒んだりはせず、少し笑みを浮かべながら、二人のさせるがままにさせていた。この三人は、以前から僕の部下として交流をしていたようで、今はこう言った戯れができるほどに打ち解けていた。始めはヒョウガも二人のことを認めていなかったが、二人の僕に対する忠誠心と心意気を見て心を入れ替えたようで、二人に対してはこうして普段の彼女らしからぬ無邪気っぷりも見せている(ちなみに、ガビルに対しては相変わらず冷たい)。その何とも和やかな光景を見た僕は、ふっと笑みを浮かべるのだった。
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「やれやれ、やっぱり忙しくなったか・・・・・・」
家で、この町の住民票を整理しながら、僕は忙しくなったこの頃を振り返っていた。ジュラ・テンペスト連邦国が出来て、世にその名が知れ渡った途端、この町には幾多もの種族の魔物や亜人などが多く訪れるようになった。基本的に問題を起こしたり、略奪とかそう言った目的でこの町を訪れない限りは、友好的にみんな出迎えている。流石に魔物の国であるテンペストに人間は出入りはしてこないけど、いつかは人間の人たちもこの国に気軽に訪れるようになって欲しいと思っている。魔物達が訪れる理由としてはこの町の見学と、国主であるリムルへの挨拶など様々ある。さっき言った住民票と言うのは、庇護や保護の目的でこの町に来て新たな住民となった魔物達の住民の証みたいなものだ。もちろん、この町にいる全員の住民票も作ってる。この住民票は、制作が僕で、管理はシュナにやってもらってる。シュナはリムルの筆頭秘書でもあるため、こう言った管理業をこなすのはお手の物なんだとか(ちなみに、素行が悪く、略奪目的で来た魔物達は、漏れなくベニマルやシオン、ソウエイに返り討ちにあっている。)。
「とりあえず、さっさとこれらを終わらして、リムルのところへ行こう。忙しくしてるだろうから何か手伝って・・・・・・」
「エリス様ーー!!見てください!遂にヒポクテ草の栽培に成功しました!!」
「(はぁ〜)ガビル?家に入るときには静かにっていつも言ってるでしょ?」
「はっ、そうでしたな!失礼しました!」
早くこの仕事を終えて、リムルのところへ向かいたかったって言うのに、こう言うときに限ってくるんだよね
「で?なんだって?」
「見てください!ヒポクテ草の栽培に成功しましたぞ!」
「え?ほんとに?どれどれ・・・・・・・・・・・・ねぇ、ガビル?一つ言っていいかな?」
「はい!なんなりと!」
「これ、”雑草”なんだけど?」
ガビルが持ってきた一つの鉢を見て、呆れるしかない僕だった。その鉢の中に入っていたのは、回復薬の元となるヒポクテ草ではなく、なんの元にもならないただの雑草だったんだから、呆れるのも無理は無い。話してなかったけど、ガビルには前々から仕事としてヒポクテ草の栽培をお願いしていた。ヒポクテ草は、ただの草が魔素を吸収して特殊な成分を得た草のことで、濃い魔素が充満している場所で栽培しない限り、ヒポクテ草は出来ないから、この町の近くにある”迷宮の洞窟”で栽培をお願いしていたはずだったんだけど・・・・・・。
「・・・・・・はっ!?いや、そんなことは・・・・・・・・・・・・むむっ?お、おお・・・・・・よく見れば、これはヒポクテ草ではありませんな。いや〜、エリス様にすぐにでも成果を見てもらいたいと急いでいたせいでしょうな〜。鉢を間違えてしまったようです、あっはっは!」
「・・・・・・本当にそうだろうね?」
「ほ、本当ですとも、わ、我輩は嘘などつきませんぞ・・・・・・・・・・・・いえ、嘘です。まだ栽培は完了しておりませぬ」
「はぁ〜・・・・・・わかってるよ最初っから。いいよ、栽培については今後僕がリムルに話しておくから。それよりも、今度からは嘘なんてつかないで正直に話してよ?・・・・・・全く、そんなんだからキミは・・・・・・」
「エリス様、取り込み中失礼いたします」
「へ?あれ、ソウエイ?どうしたの?」
嘘をついたガビルに説教をしようとした僕だったが、いつものように音もなく現れたソウエイによって、それは叶わなかった。ソウエイの顔を見ると、どこか深刻気な形相をしていた。
「いえ、何やらこの町に”妙に大きな気配を持った者”が接近してきている様子ですので、ご報告にと。すでにリムル様には伝え済みです」
「大きな気配?・・・・・・・・・・・・っ!!今までに感じたことがないくらい大きな気配だ。場所は・・・・・・」
《解。対象のスピードと気配をもとに、着地地点を推測します。確認しました。『魔力感知』に反応した個体は、10秒後にここから数百m離れた高台へと着地する模様。その際、半径10mに渡って強い衝撃波に見舞われます。接近には注意を。》
「(ありがと、
「承知」
「ヒョウガ!」
「はいっ!主様!」
僕の指示で、その場からソウエイが消える。それと同時に僕はガビルに近衛兵のセキガとカレンを呼ぶよう伝え、呼び出したヒョウガに乗って、勢いよく家を飛び出した。10秒後に来ちゃうんじゃ間に合わないだろうけど、先にリムルが行ってるんであれば大丈夫・・・・・・とは限らないから、とにかく僕は、なるべく早くその場所に着くために、可能な限り早くしてもらうようヒョウガに言い聞かせ、先を急いだ。リムル・・・・・・できるだけ粘ってよ?
そして、家を飛び出して30秒後、ようやく目的地である高台へと到着した僕だったけど、そこで見たのはなんとも珍妙な光景だった。
「な、なんなのだこの美味しい食べ物は!?こんな美味しいもの、今まで食べたことないのだ!!」
「そうかそうか。そりゃどうも」
「・・・・・・」
うん・・・・・・どう言う状況だろこれ?
「やっと、俺たちの国が出来上がったな、エリス」
「うん。キミのことは僕がちゃんとサポートするから、何かあったら頼ってくれて良いからね?」
「助かる。・・・・・・なぁ、エリス。ここで一つ、俺と約束してくれ」
「約束?何かな?」
「この先、お前は俺と一緒にどんな事があろうと、この国・・・・・・
「頼まれるまでも無いよ。僕もみんなの上に立つ存在だからね。しっかりとみんなのことを守らなくちゃ!”宝”・・・・・・なんだからね?」
「っ!・・・・・・ああ!」
この日、二人の間で堅い堅い約束が交わされることとなるのだった・・・・・・。
盟約の締結や調印式などはほとんどハイライトですが、どうか許してください。これをまともに書くと文字数が半端なくなってストーリーが進まないもんですから・・・・・・。
それにしても・・・・・・ヒョウガの毛皮って、どんだけふさふさなんだろ?めっちゃ気になる・・・・・・。