転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!? 作:レイ1020
「やあっ!せいっ!とうっ!」
僕の家の庭に、僕が木刀を振る音が静かに響き渡る。そして、その隣には・・・・・・1週間前、僕がお願いして剣術の師になって貰ったハクロウの姿もあった。結果として、僕の先生になってくれと言う話にはハクロウは頷いてくれ、時間がある時にはこうして、僕の家まで来て剣の師事をして貰っていた。
「振りが少々雑になっておりますぞ?剣を振る時には手だけでなく、体全体の力を使って振らなければ力を剣に伝えることは出来ませぬ。もう少し意識して振ってみてくだされ」
「うん、わかった!」
ハクロウからの厳しい指摘に僕は素直に頷き、指摘された通りに再び素振りを再開する。やってて思ったけど、ハクロウとのこの鍛錬はやっぱりと言うべきか、とってもキツいものだった。言い訳、甘言、弱音、愚痴、それらすべてをこぼすことを一切許さない鬼畜っぷりで指導をするハクロウはまさに、剣鬼そのものだった。だが、その反面指導の仕方は的確で、尚且つわかりやすいため、自分の実力が徐々に伸びつつあると実感し始めたこの頃だった。
「エリスー!頑張れよー!」
「リムル、暇だったら一緒にやれば良いのに?やらないの?」
「ああ。俺は今日は見学者として来てるからな。ここでお前の勇姿をしっかりと目に焼き付けさせてもらうから覚悟しとけよ?」
何を覚悟するの・・・・・・と、何故か家の縁側に腰を下ろして、僕とハクロウの鍛錬の様子を見学しているリムルに言いたくなったが、それさえもハクロウに許してもらえそうに無かったからやめておいた。
「さて、では少しワシと手合わせを致しましょう。そろそろエリス様も同じ稽古ばかりで飽きて来た頃でしょう?」
「ほんと?よかった〜、やっとそれっぽい稽古になって来た気がするよ。じゃあ、胸を借りるつもりで行かせてもらうよ!」
「ええ、いつでもかかって来てください」
ハクロウはそう言うと、僕と同じ木刀を構えた。当の僕は、ようやくハクロウと手合わせができることに、非常に興奮していた。多分、今の僕じゃ絶対に敵わないだろうけど、何か得るものはきっとあるはずだから、ここは本気で今の僕の力をハクロウにぶつける事にしよう。
「(最初から全力で行こう!)行くよ!やぁっ!!!」
「っ!以前よりも太刀筋が鋭くなりましたな?鍛錬の成果が出ていて何よりですぞ。・・・・・・ですが、まだまだ甘い」
僕の渾身の一振りを、ハクロウはいとも容易く自身の木刀で軽く受け止めた。
「(くっ・・・・・・簡単に弾かれ・・・・・・)まだまだ行くよ!!せいっ!ふんっ!でやっ!」
「体の動きで次の攻撃が丸分かりですぞ?もっと敵に悟られぬよう、動きを最小限に抑えてくだされ」
僕の横なぎの一閃、真下からの斬り上げ、刺突、それらすべてをハクロウは軽快な動きで捌き、またはひらりひらりと躱していった。あまりにも簡単にいなされてしまう現実に、僕は攻撃を仕掛けながらも徐々に苦笑をこぼし始めていた。・・・・・・ここまで差があるものなのかと。もちろん僕は全力でやってる。相手の立場になって、どこをどんな風にして攻めれば有効的かと言うことも熟知してるつもりだ。だけど、そんなのはまるで意味もないとでも言わんばかりにハクロウは僕の攻撃をいなして行った。
「では、そろそろワシの方からも仕掛けますぞ!」
「っ!消えた・・・・・・どこに?」
僕の視界からハクロウの姿が消える。咄嗟に『魔力感知』でハクロウの気配を探ってみたけど、残念なことに『魔力感知』でもハクロウの気配を捉えることは出来なかった。・・・・・・このシチュエーション、覚えがある。
「(ハクロウと初めて会った時に仕掛けてきた時と同じだ・・・・・・あの時は、気配が消えたと思ったら急に”後ろ”から斬りかかって来たんだっけ)となると・・・・・・後ろかっ!?」
「・・・・・・良い読みでしたが、ハズレですな」
「あっ・・・・・・」
同じシチュエーションなら、その時と同じ事になるはず!そう割り切った僕のその予想は、見事に裏切られることとなった。ハクロウは、僕をあざ笑が如く、後ろではなく僕の”真上”から斬りかかってきて、そのまま僕の持っていた木刀を跳ね飛ばして行った。・・・・・・というわけで、勝負あり。
「勝負あり、だな?」
「うん、そうだね。ありがとハクロウ。良い鍛錬になったよ。それにしても、まだまだ鍛錬が必要だってことが改めてわかったよ。僕も鍛錬を積めば、いつかはさっきのハクロウみたいに気配を消して、敵に接近する事が出来るようになるのかな?」
「今の段階じゃ多分無理だろ。俺だって出来ないしな。ハクロウ、いつかで良いから教えてくれよ?」
「もちろんですとも。今のお二方では指南することは出来ませんが、いずれ時が来たらお教えしましょう。ですので、これからも日々鍛錬を続けていき、精進して行ってくだされ」
「わかった。いつかはハクロウに一太刀浴びせるくらいには強くなってみせるから、そのつもりでいてね!」
「ほぉっ、ほぉっ、ほぉっ、それを楽しみに待っていますぞ」
僕の完敗に終わったハクロウとの手合わせだったけど、少なくとも得るものは沢山あった。だからこそ、今日の事をしっかりと糧にして、今後もっともっと鍛錬に励んでいかないといけない!と意気込む僕だった。
––––––––––––––––––––––––––––––––––
「エリス様、悪いっすね。オイラ達の狩りに付き合って貰っちゃって」
「いいよ。今日は鍛錬も仕事も済ませてあったし、それに、僕も狩りをしてみたいって思ってたからね」
最近色々あり、忙しい日々を過ごしていたある日、僕はゴブタ達
「ゴブタさん、今回はどんな獲物を狩るんです?」
「今回はエリス様いるっすからね〜・・・・・・もしもの時はエリス様に倒してもらうとして・・・・・・思い切って
「僕を殺す気なのっ!?リムルならともかく、僕に倒せるわけないでしょ!?もっと簡単な獲物にして!」
ゴブタのその無茶振りに全力で否定する僕。そりゃそうだ。
「す、すいませんっす。・・・・・・じゃあ今日は・・・・・・ん?何か音が聞こえないっすか?」
「声?・・・・・・確かに聞こえるね。しかも、この音からして、戦闘が起こってるようにしか思えない気が・・・・・・」
《告。100m前方にて、交戦が行われている模様です。生命反応の確認をしたところ、どうやら数名の人間が一体の魔物と交戦しているものと推測します。》
「(うん。やっぱりそうだよね・・・・・・って人間?こんな森の中に何で・・・・・・まぁ、直接聞けばいいか。)みんな、どうやらこの先で人間の人たちが魔物に襲われてるみたいだから、助けに行こう。問題ないね?」
「「「「了解!!」」」」
『人間が危機に陥っているのであれば、どんな理由があるにせよ助けろ!』リムルが僕達によく言っている言葉だ。それを熟知している僕達は、特に迷うこともなく助けに向かうべく、その場に駆けた。100mという近場だったこともあり、大した時間もかけずにその場に到着した僕達は、とりあえず状況を確認した。
「(人間の数は約10人・・・・・・あの魔物は確か
「エリス様?どうかしたんすか?」
この場に来てから沈黙していた僕に疑問を抱いたのか、ゴブタが声をかけてきた。
「いや、ちょっと
「うっす!クロベエさんに作ってもらったこの”小太刀”の威力、このでっかい蜘蛛で試させてもらうっすよ!!」
僕の号令と共に、ゴブタ達が一斉に
「くっ・・・・・・これまでか・・・・・・」
「させないっすよ!!てやぁっ!!!」
人間の一人に、
「ふっ・・・・・・待たせたな・・・・・・」(キリッ)
「だ、誰だあんた?ゴブリンか・・・・・・?」
「ゴブタ、カッコつけてないで早くこの魔物を倒すよ?ここで暴れられても困るからさ」
「は、はいっす!」
遅れてその場に姿を出した僕は、何故かドヤ顔でかっこよくキメてるゴブタに呆れながらそう指示を出した。正直、ス◯ークか!ってツッコミたかった所だけど、言った所で誰も知らないだろうし、ゴブタが調子に乗りそうだから黙っておいた。
「エリスさん!?エリスさんだ!お久しぶりです!」
「エリスの旦那!!よかった〜・・・・・・これで助かるぜ・・・・・・」
僕が姿を表すと、途端に人間側から見知った声と姿をした人達が
「久しぶりですね。エレンさん、カバルさん、ギドさん。怪我はありませんか?それと、今回はどうしてここに?」
「怪我は特にねーけど・・・・・・いやいやエリスの旦那!今はそんなこと喋ってる場合じゃ・・・・・・って、後ろ後ろ!あぶねーぞっ!?」
落ち着いている僕とは対照的に、カバルさんが僕の背後を見ながら、焦った様子で僕に危険を知らせてくる。後ろを振り返ってみると、ちょうど
「・・・・・・?ああ、大丈夫ですよ。何せ僕たちの国が誇る
「とどめっす!!」
「ギャォォォーーーッ!!!!」
「・・・・・・とっても強いですから」
この場にゴブタ率いる
「ね?大丈夫だったでしょう?」
「そ、そうですね〜・・・・・・あ、そうだ!エリスさんが来てくれたのならちょうど良いかも!ギルマス!この人が以前話してたエリスさんです」
「そうか・・・・・・」
エレンさんが、そう言うと、後ろからギルマスと呼ばれた初老の男の人が前へと出てきた。顔に切り傷があって、ちょっと怖そうな顔をした人だけど、不思議と嫌な感じはしなかったから、特に緊張も警戒もするまでもなく、彼から話を聞く事にした。
「あなたが、魔物の国『ジュラ・テンペスト連邦国』の”副国主”であるエリス=テンペスト殿で間違い無いでしょうか?私はブルムンド王国の
「副国主・・・・・・と名乗った覚えはありませんが、エリス=テンペストは僕です。立ち話もなんでしょうから、是非僕たちの町まで来てください。リムルも交えて、話はそこでお伺いしますので」
「ありがとうございます」
というわけで、話を聞くためにヒューズさん達を町まで案内する事になった僕たちは、先ほど仕留めた
ヨウムとかの登場は次回に持ち越させて下さい。エリスが狩りに出て、エレン達と会ったことで、書くことが多くなってしまったので。
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