転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!? 作:レイ1020
–––––––––数十分前–––––––––
視点 シュナ
「エリス様・・・・・・どうかお気をつけて・・・・・・」
エリス様が、ここに向かってくるとされている一万の人間の軍勢の元へ説得をしに向かわれ、残されたわたくし達は、先程エリス様から命じられた任を遂行するべく行動を開始していました。本当であれば、一緒について行きたい気持ちで一杯でしたが、自分が行ったところで何もすることなど出来ずに終わる事がオチでしょうし、何より自分がいることでエリス様の足を引っ張りたくなど無かったため、わたくし・・・・・・いえ、この場にいるシオン、ハクロウ、セキガさん、カレン・・・・・・その全員は揃って、その気持ちを押し殺しながらこの任についていた。・・・・・・また、自分達のせいでエリス様に無理をさせてしまっていると言う事実に顔を歪ませながら・・・・・・。
先程のエリス様は、気丈に振る舞ってはいましたが、明らかに無理をしているようにしか見えなかった。当然と言えば当然の事です・・・・・・あの優しきエリス様が、これから多くの人間達を殲滅しに行くというのですから・・・・・・。わたくし達に心配をかけまいと思って、明るく接してくれたようですが、わたくし達の顔はいまだに暗いままでした・・・・・・。それと同時に、エリス様にお手を汚させる行為に及ばせてしまった自分達の力の無さに、不甲斐なさも感じるようになった。・・・・・・わたくし達では、一万の人間達の相手などできるはずも無い・・・・・・行ったところで、すぐに潰されて終わりです。彼らの相手が出来るのは、この場ではエリス様ただ一人・・・・・・その事実にわたくしは更に顔を歪ませた・・・・・・。
「おーいっ!みんな大丈夫っすかーっ!住民のみんなは避難完了したんで助太刀に来たっすよー!」」
「・・・・・・?ゴブタ?それと、
そんな中、ゴブタ達
「
「分かりました。隊長はどうします?」
「オイラはここに残っていくっすよ。手伝いが必要そうなんで!」
「了解です!」
ゼネットさんとリーゼさんを
「シュナ様!まずは、ベニマル達と合流しましょう!この者共を捕縛して、私たちも早く住民達の元へ!」
「ええ。では・・・・・・」
「・・・・・・へへっ、ようやく行ったか・・・・・・あの化け物が・・・・・・」
「うん、そのようだね」
「・・・・・・?」
わたくし達は、お兄様たちと合流を急ぎたかった為、早く目の前の彼ら三人を捕縛しようとして居たのですが、その刹那・・・・・・彼らは、先程の意気消沈した態度からは一変して、眼光をギラリときらつかせた猛獣のような雰囲気へと変貌を遂げて居ました・・・・・・。・・・・・・何故?彼らは先ほど確かに・・・・・・。
「戦意を喪失したって思ってたでしょ?・・・・・・確かに、僕たちはさっきまではあの
「・・・・・・随分と、舐めた口を聞いてくれるのう?若造・・・・・・」
彼のその言葉に、怒りの形相のハクロウが反応した。ですが、わたくしはどこかそれに納得をしてしまって居ました。そうです・・・・・・彼らが、わたくし達に恐れを為すはずは無いのです。・・・・・・だって、彼らが先ほどまで恐れを抱いて、震え上がって居たのは・・・・・・彼らを完膚なきまでに抑え込み、この
「ね、ねえ!早く、ここから帰ろうよ!またさっきのやつが来たらもう・・・・・・」
「心配すんなよ、キララ。さっき出てったばっかなんだし、当分戻って来ねーよ。・・・・・・つーわけで、俺らはさっさとトンズラこかせて貰うわ。早く戻んねーと、あのジジイがうるさいんでね?」
「待てっ!逃すと思っているのか!お前らはここで捕らえさせてもらう!」
彼らが逃げようとするのを阻むかのように、彼らの前にセキガさんが立ちはだかった。・・・・・・セキガさんの言う通りで、今この場で彼らを逃して仕舞えば、彼らはきっとまた、体制を整えてこの国へ攻め寄せてくる。・・・・・・それだけは何としても防がなくてはなりませんっ!
「へぇ?雑魚の分際で俺らを阻もうってか?・・・・・・上等だ!なら、このタニグチ・ショウゴがテメェをぶっ殺して、強引に道を開けさせてやる!!」
「・・・・・・やれる物ならやってみろ!行くぞっ!!」
彼らの逃亡を防ぐべく、セキガさんは最初に向かってきたタニグチ・ショウゴと名乗った男性を押さえ込もうと構えた。・・・・・・ですが、いくらセキガさんと言えど、彼を押さえ込むのは容易ではないでしょうし、それにこの結界内では思うように動く事など出来ないはず・・・・・・。例え、エリス様のスキルのおかげで、ある程度は結界の効力を緩和されて居たとしてもです・・・・・・。
「シオン、セキガさんを援護しなさい!」
「承知しました!」
そう考えたわたくしは、すぐにそばにいたシオンに援護に回るよう指示を出した。今の弱ったセキガさんでは、
実際、本来の彼らは、この結界が無いならともかく、今の状態のわたくし達では到底押さえ込む事など出来ない程の実力を持っている・・・・・・。勘でしかありませんが、なんと無くわたくしはそう思いました・・・・・・。
「ははっ!雑魚だと思ってたが、思ってたよりやるな!なかなか楽しめそうだぜ!・・・・・・それと、
「「っ・・・・・・」」
二人がかりでも、やっと戦えてる状況な二人に対し、
「くっ・・・・・・このままでは二人が・・・・・・」
「他人の心配するのもいいけどさ?キミの身のことも守った方がいいんじゃ無い?・・・・・・ねぇ、かわいいお嬢さん?」
「っ!し、しまっ・・・・・・」
二人のことに気を取られ過ぎていて、自分の周囲に注意を怠ったことが災いとなったのか、彼らのうちの
「させないっすよっ!!」
「っ!・・・・・・ちっ、ゴブリン如きが邪魔しやがって・・・・・・」
だが、それを阻んだのは・・・・・・頼もしき
「ご・・・・・・ゴブタ・・・・・・?」
「へへっ!レディーを守るのは男の役目っすからね!ここはオイラに任せてくださいっ!」
「ほっほっ・・・・・・よくぞやったゴブタよ。それでこそ我が弟子よ・・・・・・。姫、この若造はワシらで引き受けます故、どうかお下がりください・・・・・・」
「ハクロウも・・・・・・。分かりました。どうか、お気をつけて・・・・・・」
ハクロウも来てくれたおかげで、少しほっとしたわたくしでしたが、それと同時にひどい罪悪感を覚えるようになった。この結界のせいでわたくしの魔法を封じられた事で、わたくしに出来る事が何も無くなってしまい、ただの今までのみんなに”守られるだけの姫”に逆戻りをしてしまっているこの情けない自分に・・・・・・。あの時・・・・・・
「なんて・・・・・・情けないのでしょう・・・・・・わたくしは・・・・・・」
「シュナ?・・・・・・大丈夫?」
わたくしの異変に気が付いたのか、カレンが近くまで寄って来て肩をさすってくれる。
「カレン・・・・・・みんなはこの国のためを思い、そして・・・・・・エリス様の命を果たす為に必死になって戦ってくれています・・・・・・。ですが、わたくしは・・・・・・わたくしには何もする事が出来ません・・・・・・。唯一誇れた魔法もこの結界により封じられてしまいました・・・・・・。もう、わたくしがこの場にいる意味などない。そして、このままではみんなも・・・・・・・・・・・・っ!」
わたくしの言葉が最後まで紡がれることは無かった。・・・・・・今まで優しくわたくしの肩をさすっていたカレンの手が・・・・・・わたくしの”頬を叩いた”から・・・・・・。
「・・・・・・だから何?何も出来ないからって諦めるの?」
「カレン・・・・・・?」
「シュナ、さっきエリス様に向かってなんて言った?自分で言ってたよね?『その間、国の方は自分たちでなんとかする』って。・・・・・・言い出しっぺが、なんで先に諦めて、私たちは精一杯戦ってるの?意味わからないんだけど!?答えてよシュナ!さっき言ったことは嘘だったのっ!?シュナのこの国に対する想いはそんなちっぽけな物だったの!?どうなの!?」
「っ!!」
カレンのその透き通った声で言われた言葉に、思わずハッとしたわたくしだった。・・・・・・そうだ、色々と混乱していて忘れていた・・・・・・。そもそも、エリス様にこの国を任してくれと言って送り出したのは、紛れもないわたくしだ。そんな先陣きって言い放ったわたくしが、なぜ誰よりも早く自分の不甲斐なさに心が折れようとしているのでしょうか・・・・・・?こんな時こそ、わたくしがエリス様の代わりにみんなを鼓舞し、少しでも士気をあげなくてはいけないと言うのに・・・・・・なんでこんなことを今になって・・・・・・。
「・・・・・・すみませんでした、カレン。・・・・・・そうですよね。言い出したわたくしが先に諦めるだなんて絶対にいけないことですよね。・・・・・・すみません、どこか弱気になっていたようです・・・・・・」
「謝ってる暇があるなら、さっさと行動に移す!魔法が使えないって言うなら、それ以外の方法で・・・・・・」
「あのさー?喋ってる所悪いんだけど、そこ退いてもらえない?ウチさっさと帰りたいの、疲れたし」
わたくしとカレンの会話に割り込んできたのは、キララ・・・・・・という名で呼ばれていた女性だった。・・・・・・彼女は他の二人とは違い、どこかやる気が無く、嫌そうな顔をしていた。・・・・・・彼女の言っていることはどうやら間違ってはいないようですが、彼女も他の二人同様、逃がす訳にはいきませんね?
「そう言う訳にもいかないね?あなたも捕らえるよう、エリス様から命令が下っているから」
「そ。別にあんたらの許可なんていらないんだけどね?断られたら強引に通るだけだし」
「そっちがやる気なら、私たちも強引にあなたを捕らえることにする・・・・・・怪我しても文句言わないでよ?」
「ふふっ!やってみれば?多分、無理だろうけどね?」
なぜか余裕の笑みを浮かべる彼女に、わたくし達は戸惑いを覚える。彼女は見たところ、戦士でも無さそうですし、カレンと相対すればすぐに押さえ込めることでしょうけど・・・・・・。何か策でも?
「なら、望み通りやってあげる!」
「ま、待ってくださいカレン!何か妙です!」
わたくしの必死の制止も、カレンの耳には届いていなかったようで、カレンは槍を両手に持ち、彼女へと向けて突撃していった・・・・・・。そんなカレンを見ても、
「・・・・・・『地面にひれ伏せ』」
「っ!な、何・・・・・・これ?」
「こ、これは・・・・・・」
カレンのその突撃は、彼女のその一言で簡単に止められ、彼女のその一言同様にわたくしとカレンは、その場で地面に伏せられてしまった。・・・・・・これはもしや?
「人の脳波に干渉して、暗示をかけ、操るスキルですね?」
「よく分かったね?そ、ウチのユニークスキル『
それが本当だとすると、厄介この上無かった。つまり、そのスキルの保持者が放った言葉には絶対服従しなくてはならないと言うことになり、現状それを打開できる策がないわたくし達にとっては厄介でしか無かった。わたくしの魔法が使えれば相殺できない事もありませんが、使えない以上、どうしようもありません。
「だったら、あなたの声を聞かなければいいだけのこと!」
「ははっ!耳を塞いだって無駄だよ?このスキルは直接脳内に入り込んで暗示をかけるんだから!『そこのあんた、立って派手に転べ!』
「ぐわっ!!」
「カレンっ!」
彼女の能力により、カレンが盛大に転ぶ。耳を塞げば・・・・・・と、わたくしも一瞬考えましたが、彼女も言ったように、彼女から出される特殊な波長は、脳波に直接干渉して操ってくる類のものな為、耳を塞いだところで効果などありはしなかったのです。
「はははっ!ああ、面白い。・・・・・・さて、そろそろ飽きてきたし、おしまいにして上げる。『死ね』」
「「っ!」」
その声に反応するかのように、カレンは持っていた槍を自分の首元に突きつけ、わたくしは自身の両手で自分の頸を絞めようと、手を伸ばしていた。・・・・・・おそらく、あの声の要望通りに自殺をさせようと体を操っているのでしょう・・・・・・。わたくしもカレンも、必死に抵抗をしていますが、それも無駄な努力にしかなら無かった。
「わたくし達は・・・・・・こんなところで死ぬ訳にはいきません。約束したのです・・・・・・エリス様が戻ってくるまでは、わたくし達で国を守ると。だから、このようなところであなた方に負ける訳にはいかないのです!・・・・・・そうでしょう、カレン!」
「もちろん!エリス様が戻られるまで、この国で好き勝手なことは絶対にさせない!」
「そんな状況でよく国を守るだなんて言えるね?めっちゃウケるんだけど!安心しなって、あんたらを殺した後、絶対にいつかあの
「「っ・・・・・・」」
もはやこれまでか・・・・・・そう思った刹那だった・・・・・・。
「ぐっ・・・・・・がぁぁぁ〜〜〜〜〜〜っっ!!!!」
「っ!か、カレン?」
突然のカレンの咆哮に、わたくしも彼女も少なからず驚いた。何をしたのかと、視線だけをカレンに向けてみると・・・・・・。
「っ!!カレンっ!?そ、その腕・・・・・・血が・・・・・・!」
「大丈夫・・・・・・ちょっと肉を喰いちぎっただけだから・・・・・・。ははっ・・・・・・かなり堪えるけど・・・・・・お陰で上手くいったようね・・・・・・」
わたくしの目に映ったのは、カレンが彼女の逆手である左腕を押さえながら苦しそうに唸っていた光景と、押さえ込んでいる腕から痛々しい程の、かなりの量の血が流れ出ている光景だった。それには当然驚いたが、わたくしが驚いたのはそれだけでは無かった。
「カレン、あなた・・・・・・呪縛を解けたの?」
「ええ。強烈な痛みを覚えれば、もしかしたら呪縛もかき消せるんじゃ無いかと思ってやってみたけど・・・・・・どうやらそれは当たりみたいで助かったよ・・・・・・。さて・・・・・・よくもやってくれたね。・・・・・・覚悟は良い?お嬢さん?」
痛みで脳波への影響をかき消すというなんとも原始的なやり方にどこか引いてしまったわたくしでしたが、効果は的面だったようで、カレンが呪縛にかかっている様子は、もう微塵もなかった。
「嘘でしょっ!?自分の腕に噛み付いて、無理やりスキルの効果を解くとか・・・・・・」
「・・・・・・遅いわよ?・・・・・・とりあえず、眠ってて貰うわね?」
スキルを破られたことに動揺し、隙だらけとなった彼女の元にカレンは一瞬で近づくと、首元に手刀で一撃を与え、彼女を気絶させた。彼女が気絶をしたことでスキルの能力も消えたようで、わたくしを縛っていた呪縛も解除され・・・・・・わたくしはほっと息をついた。
「シュナ、大丈夫?」
「はい。・・・・・・カレン、ありがとうございました。あなたがいなければわたくしはきっと・・・・・・」
「お礼を言うのはこっちもだよ。さっき、シュナが私に呼び掛けてくれなかったら、きっと私はあそこで諦めてた・・・・・・。あの時のシュナはどこか・・・・・・エリス様やリムル様を彷彿とさせて、かっこよかった。・・・・・・ありがと、シュナ」
「そ、そうでしょうか?・・・・・・そう言われると、少し照れますね・・・・・・」
さっきはただただ、この国を守りがたいために咄嗟に思ったことを叫んだに過ぎなかったため、もうあまり覚えていなかった。・・・・・・だけど、わたくしのその時の言葉で、その状況を打開できたのだと実感すると、どこか嬉しく感じた。・・・・・・わたくしでも、みんなの役に立つ事が出来たのだと。
漫画等ではこの異世界人三人の・・・・・・特にキララの描写が少な過ぎたので、今回はキララの場面を多くして見ました。キララの情報が少ないので、あくまでも自分の想像でキララの戦闘を書いてますので、変だと思った方はすいません。
ぶっちゃけ言うと、この三人の中でキララが一番やばいスキル持ちだと思うんですが、皆さんはどう思いますかね?
次回もまだ、こちらの視点が続きます。お楽しみに!
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