転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!? 作:レイ1020
エリスの想像もし得なかった死に、俺たちは絶望に打ちひしがれた・・・・・・。だが、いつまでもめげていたところで、事態が好転する訳でもない・・・・・・。無駄に時間が過ぎるだけだ・・・・・・。
それは何としても避けたかった俺は、”持ち主のいなくなった剣”を懐にしまうと、悲しみで重くなった体に鞭を打ち、泣いているみんなを連れて、一度詳しい話を聞くべく、執務館へと戻った。目を覚ましそうに無かったシオンは俺の家で寝かせる事にし、ベニマル曰く、この騒動の第一容疑者らしいミュウランと言う女性は、近くの宿で軟禁する事にした。
執務館にはリグルドやガビル、ベスターやヨウムと言った他の重鎮達も集まらせた。・・・・・・こいつらにも伝えなくちゃいけないからな・・・・・・エリスの事を・・・・・・。
「リムル様!皆様をお集め頂きありがとうございます。・・・・・・?失礼ですが、エリス様はどこに?」
「・・・・・・ああ、それについては今から話す。・・・・・・みんな、気を強く持て・・・・・・」
「む?リムル様?気を強くと言うのは一体?」
ガビルが何やら話し始めそうになったが、俺は気にせず続けた。
「エリスは・・・・・・死んだ。この町と住民全員を人間達から守った代償で・・・・・・」
「「「「・・・・・・」」」」
その言葉に会議室内の空気が凍る・・・・・・。・・・・・・まぁ、当然だよな。俺だっていまだに信じられねーんだから・・・・・・。
「ご、ご冗談を・・・・・・。いくらリムル様とはいえ、その冗談は笑えませんぞ?」
「・・・・・・俺が冗談でこんな事言うと思ってるのか?」
「い、いや・・・・・・それはそうですが・・・・・・そんな・・・・・・」
「エリスの旦那が・・・・・・嘘だろ・・・・・・?」
リグルド、ガビル、ベスター、ヨウムは、それぞれ突然言い渡されたエリスの死に、戸惑いを覚えていた。まだ、頭の整理が追いついていないんだろう、みんなしどろもどろになっていた。・・・・・・既に知っているベニマル達は、もうそんな様子はないが・・・・・・いまだに泣きそうな顔をしていた。
・・・・・・信じられないって言うんなら仕方ない。俺は徐に、置いておいたエリスの壺をみんなの前へと差し出した。
「・・・・・・これがその証拠だ」
「それは確か・・・・・・エリス様が愛用されている壺・・・・・・?」
「・・・・・・この中にエリスが入ってる・・・・・・いや、エリスだった水・・・・・・って言うべきか。とにかくそれが入ってる。自分の目で見て、この水に触れて確かめてみれば良いさ・・・・・・それで真実がわかる・・・・・・」
「「「「・・・・・・?」」」」
俺の言っていることがいまいち理解できてなかった四人だったが、とりあえず従ってくれるようで四人それぞれ席を立つと、壺の前までやってきて・・・・・・壷の中の水へと手を入れ込んだ・・・・・・。そして・・・・・・手を入れ込んだ途端、四人の目つきと表情が変わった。
「っ!これは・・・・・・」
「いつものエリス様の水では無い!・・・・・・何の変哲もない、ただの水・・・・・・である」
「リムル様!これは一体っ!?」
「これは・・・・・・エリスの旦那じゃねぇ・・・・・・」
みんなもどうやら壷の中の水の異変に気がついたようだ・・・・・・。あぁ・・・・・・俺も最初の時は今のみんなみたいな顔をしてたな・・・・・・。
「みんなも感じたように、その中にある水は・・・・・・ただの水だ。・・・・・・エリスが依代としていた・・・・・・な?」
「ですがっ!エリス様はいつもこの壺に・・・・・・!」
「・・・・・・もう分かってるんだろ、リグルド、それにみんな?その壷の中に入ったエリスの水が、ただの水へと変貌を遂げてしまったこと・・・・・・それがどう言う意味かを・・・・・・」
「・・・・・・」
リグルドは何も答えなかったが・・・・・・次第に先程のみんなのように瞳から涙を零し始めた・・・・・・。無論・・・・・・他の三人もだ。
「じゃあ・・・・・・やはりエリス様は・・・・・・」
「信じられねぇ・・・・・・あの旦那が・・・・・・」
「・・・・・・」
みんなが悲しむ気持ちもわかるが、今回はそれを伝える事が目的ではない為、少し間を置いたらすぐにベニマル達からここで何があったのかを聞く事に決めた俺だった。だが突然響いた・・・・・・一人の”机を強く叩く音”により、その考えは払拭されることとなった・・・・・・。
その机を叩いた張本人は・・・・・・エリスの死を聞かされてから沈黙を貫いていたガビルだった・・・・・・。そのガビルの目は酷く怒りの色を見せていて、その視線を・・・・・・二人・・・・・・エリスの近衛兵でもあったセキガとカレンへと注いでいた。
「貴様ら・・・・・・何故エリス様をお守りせずに、二人のうのうと生きておるのだっ!!貴様ら、エリス様の近衛兵に就く時・・・・・・言っておったな?『エリス様は命をかけてでも守り抜く・・・・・・エリス様を守れるのであれば、この命など惜しくなど無い!』・・・・・・とな。そんな大口を叩いておきながら、主であるエリス様をみすみす死なせて・・・・・・貴様らは生き永らえただと?・・・・・・ふざけるで無いわっ!!そんな大事な任を遂行出来ずして何が近衛兵であるかっ!!我輩は貴様らの力量を見込んであのお方の近衛兵に選んだのだぞっ!それを貴様らは・・・・・・っ!」
普段のガビルからは想像もできないほどの、憤りを見せた様子に、俺たちは動揺しきっていた。・・・・・・無理も無い。ガビルの主はエリスであり、あいつはガビルのことを助けもしてくれた命の恩人でもあるんだからな。そんな奴が死んだとあれば、悲しむのも仕方ないし、護衛を任せていた二人に怒りの矛先が向くのもわかると言うものだ。近衛兵の二人も、自分たちがしてしまったことの重大さに気が付いてる様子で、反論する様子は無かった・・・・・・。
「待って下さいっ!ガビルさん!」
怒りのあまり、二人に掴み掛かろうとしたガビル。流石に止めに入ろうとしたが・・・・・・だが、それは近くにいたシュナが止めに入ったことでそれは回避された。
「退いてくだされシュナ殿!我輩は一度、其奴らを殴らねば気が済まぬのだっ!」
「彼ら二人は・・・・・・最後まで精一杯エリス様をお守りするべく、尽力していました。近衞兵の名にそぐわない程に・・・・・・です。・・・・・・ですが、それでもエリス様をお守りする事ができなかったのは、彼らだけの問題ではありません。・・・・・・わたくし達、重鎮の力不足・・・・・・そして不甲斐なさの問題でもありますから・・・・・・。ですので、どうか二人を責めないであげて下さい・・・・・・エリス様のことをお守り出来ず、何より悲しいのは・・・・・・この二人なのですから・・・・・・」
「「っ・・・・・・」」
シュナのその一言はどうやら的を得ていたようで、その言葉を聞くと同時に、二人は血が滲み出るほどに両手を強く握りしめ、小さく肩を震わせていた。
「・・・・・・・・・・・・すまぬ。我輩としたことが、少々熱くなったようだ・・・・・・」
「・・・・・・ありがとうございます」
ガビルも少し頭が冷えたのか、一言謝罪をしてから席へと戻っていった。
「みんなが悲しみ、憤る気持ちもわかる。・・・・・・俺だっていまだに信じらねーんだからな。・・・・・・だが、まずはここで何があったのかを聞かない限り、何も判断のしようが無い。だからまずは聞かせてくれ。俺が外へ出ている間に何があったのか・・・・・・そして、何故エリスは死んだのか・・・・・・を。・・・・・・エリスのことで悲しむのは、この話し合いを終えてからにしてくれ・・・・・・酷なこと言ってるのは分かってるけどな・・・・・・」
「分かりました。・・・・・・では、お話しします・・・・・・」
そこからベニマルから聞かされた内容は・・・・・・あまりにも衝撃的なことだった・・・・・・。
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俺は全てを聞かせてもらった。町に妙な三人組の人間が騒ぎを起こした事・・・・・・その騒ぎに乗じてファルムス王国の騎士達が
・・・・・・話を聞いて色々と聞きたいことが増えたが、まずこれだけは聞きたかった・・・・・・。
「・・・・・・なぁ、本当にあのエリスが人間を殺したのか?」
俺のこの質問に、みんなは苦い顔を浮かべる。そりゃ、聞きたくもなる。・・・・・・あの虫も殺さないような優しいエリスが殺しを・・・・・・ましてや人間を殺すなんて到底信じられるものでは無かったからだ。
「・・・・・・はい。本当のことです。最初はエリス様は必死に人間達を説得なさっていました。・・・・・・ですが、あの人間達はわたくし達が魔物であると言うだけで敵と認識して、エリス様の言葉になど耳も傾けずに襲いかかって来ました・・・・・・。こうなってしまった以上、もう説得は不可能と察したエリス様は・・・・・・本当はしたくは無いであろう人殺しを・・・・・・わたくし達とこの町を守るがために・・・・・・非常に苦しそうな顔をされながら・・・・・・なされました」
「っ!・・・・・・」
「わしらも加勢しようとしたのですが・・・・・・エリス様から頑なに拒み続けられてしまったため、何もする事ができませんでしたのう。『みんなが人を殺すことは認可出来ない』・・・・・・と。・・・・・・とはいえ、わしらが加勢したとしても、出来たことなどたかが知れてましたがな・・・・・・この妙な結界のせいで、わしらは皆弱っておりましたので・・・・・・・・・・・・面目ありません・・・・・・」
「そんな俺たちを見越してか・・・・・・エリス様は『
「そうか・・・・・・」
何も出来ずに、ただただエリスに頼りっきりになっていた自分に腹が立っている様子のハクロウとベニマルは、歯をギリギリと食いしばりながら顔を歪ませていた。『
「主様が・・・・・・人を殺すと決めた際、ワタシ達は当然反対をしました。この国で誰よりも人間との共存を望んでいた主様が人間を殺せば・・・・・・間違いなく心にひどい傷を作ってしまうことになり得ましたから・・・・・・。・・・・・・ですが、主様は・・・・・・『みんなを守れるのであれば、そんな心の傷なんて安い物。それに、僕はリムルから国を任された身だ。だから、人を殺す役目は・・・・・・僕が担わなくちゃいけない』と言って譲らず・・・・・・それで仕方がなく・・・・・・」
「・・・・・・あいつは、人殺しの罪をみんなに背負わせたく無かったんだろう。・・・・・・だから、この国での掟を破ってまで、自らの手を汚すことを決め・・・・・・一人でその罪を背負おうと決めたんだろうな・・・・・・自分の心を押し殺してまで・・・・・・。人殺しなんて・・・・・・絶対にやりたくなんて無かっただろうに・・・・・・本当にあいつは・・・・・・」
エリスは、最後までエリスだった・・・・・・。家族とも呼べるみんなを大切に思い、みんなとこの町を守る為に一人で頑張ってくれてたんだ・・・・・・。この町がそこまで壊れていなかったのは、おそらくエリスのおかげだろう・・・・・・。本当にあいつはすごい奴だ・・・・・・だが。
「本当にそうです・・・・・・ですが・・・・・・まさか・・・・・・亡くなられるとは・・・・・・未だに俺には信じられません・・・・・・」
「それはみんな思ってることだ。あいつが死ぬなんて・・・・・・信じたくなんてないさ・・・・・・。だが、これは現実なんだ・・・・・・辛いだろうが、受け入れろ・・・・・・みんなもだ」
みんなには敢えてこう言った厳しいことを言ってる俺だが、そう言ってる自分が一番、この現実を受け入れたいと思っていなかった・・・・・・。エリスが・・・・・・親友が死んだんだ・・・・・・。そう簡単に受け入れられるはずなんて・・・・・・ない。
「シュナ、シオンはまだ目を覚さないか?」
「はい。ですが、呼吸は安定してますので、明日には目を覚ますかと・・・・・・」
「それなら良かった。
「そうですね・・・・・・エリス様が治療をしなければ、今頃シオンは・・・・・・いえ、何でもありません」
幸いにも、瀕死の状態だったと言うシオンはどうにか一命を取り留めた様子で、俺はほっと息をつく。もし、エリスの処置が少しでも遅れていたらシオンは助からなかったらしい。それについてはエリスに感謝しか無いが、その処置のせいで自身が代わりに死んでしまっては本末転倒だ。例え・・・・・・それしか手がなかったとしてもな?
・・・・・・話を聞く限り、シオンをあそこまでの瀕死の状態へと追い込んだのは最初の人間三人組のようだ。・・・・・・そいつらに至っては当然許すつもりは無いし、ちゃんと落とし前をつけてもらうが・・・・・・それよりも許せないのは、今回攻め寄せてきた”ファルムス王国の人間達”だ。何の理由も無しに襲いかかって来て、国を滅茶苦茶にしようとし・・・・・・エリスを死に追い込みやがって・・・・・・。
「ファルムス王国・・・・・・何の目的があってこんなことを・・・・・・許せねーな・・・・・・」
「それは俺たちも同じ気持ちです。人間と共存をすると言う我らの夢を踏み躙り・・・・・・エリス様の命を奪ったあの人間どもを許す事など・・・・・・できるわけもありません!」
何の目的があったのかは知らないが、少なくともこちらは、ファルムス王国に攻撃を加えられるような真似をした覚えはない。もしかしたら、無自覚に何かをしていた可能性もあるが、だからと言ってここまでする必要は無い筈だ。・・・・・・だからこそ許せねーんだ、
「もし、少しよろしいですかな?」
「・・・・・・ん?誰だ・・・・・・って、お前は確かイングラシアで会った商人の・・・・・・」
俺やみんながファルムス王国に対して、憤りを見せている中、会議室に一人の男が入ってきた。入口の方へ視線を向けてみると、そこに居たのは・・・・・・俺がイングラシア国で会った、ブルムンド国の商人のミョルマイルだった。・・・・・・何でこいつがこの場にいるんだ?
「お久しぶりですな、リムル様。イングラシアで会った以来で・・・・・・」
「ああ。その節では世話になったな。・・・・・・で、今回はどんな用件だ?すまないが、商売の件についてはまた今度の機会にしてくれ・・・・・・今はとても、そんな気分じゃ無いんだ・・・・・・」
「・・・・・・いえ、今回はこの会議に参加するべく参上仕りました。今回の件について、ワシなりに色々と見解を立てて来ましたので、良ければ参考までに聞いては貰えませぬか?もしかすれば、ファルムス王国のこの襲撃を起こした意図も掴めるやも知れませんぞ?」
「・・・・・・助かるよ。そう言う事ならぜひ参加してくれ・・・・・・」
・・・・・・そんなわけで、急遽ミョルマイルも加わえ、会議を再開する事にした俺は早速ミョルマイルにその見解とやらの発表を促す事にするのだった。
会議は・・・・・・まだまだ終わりそうに無かった・・・・・・。
ガビルが怒る姿なんて殆ど見かけませんでしたが・・・・・・流石に自分の主人を殺されては怒るのは至極当然ですね。・・・・・・それが近衛兵のセキガとカレンに向けられているのは・・・・・・どうかと思いましたけどね?
次回も、会議の模様をお伝えします。
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