転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!? 作:レイ1020
「さて、これからお前の処遇を決めさせて貰う。まずは名を名乗ってくれ」
日が昇り、朝を迎えたことを確認した俺は、ベニマルを引き連れ、この
「はい。私の名はミュウラン。魔王クレイマンの配下で、五本指の薬指と呼ばれている者です」
「(クレイマン・・・・・・確かミリムの話じゃ、
「私に与えられた任務は
視線を隣に立つヨウムに移しつつそう口にするミュウランは、何処か悲しげな雰囲気を醸し出していた。そして、そこから彼女から『何故この様な行為に及んだのか?』・・・・・・その全てを聞き出した。
ざっくり説明すると、彼女はクレイマンに利用されているに過ぎなかった。何でも、クレイマンは
そんなやつに何で従ってるのかと聞いたところ、ミュウランはクレイマンに、”仮初めの心臓を媒体に被術者を魔人へと至らしめる秘術”『
・・・・・・確かに話を聞く限りじゃ、彼女は仕方がなくこの行為に及んだ・・・・・・とも取れるが、裏を返せばそれは・・・・・・。
「ミュウラン。つまりお前は・・・・・・”自分の命惜しさ”でこの
俺の怒気のこもったその質問にミュウランは反応を示さなかったが、否定をしていないことから、俺は彼女が肯定をしていると取った。
「それだけじゃない・・・・・・。お前のその行動のせいで・・・・・・エリスは死んだんだぞ?・・・・・・この責任をどう取ってくれるって言うんだよ?」
「っ!・・・・・・そうですか、エリスさんが・・・・・・」
その、ミュウランのどこか冷めきった様な反応に、俺は静かに怒りを覚える。だが、感情的になったところで話が進む訳でもない事は理解してる為、何とかその怒りを鎮めた俺は、さらにミュウランを問い詰めた。正直、全部が全部、彼女の責任ではないとは思っているが、少なくともこの襲撃に関与し、エリスの死の一因となっている彼女を俺は責めない訳にはいかなかった。
「エリスは・・・・・・この国にとって無くてはならない存在だったんだ。俺を含めたこの国の住民全員が、あいつの事を認め、好いていた。そんな大事な奴を・・・・・・お前の行動一つで死に追い込みやがって・・・・・・今すぐにでも殺してやりたい気分だ・・・・・・」
「だ、旦那!待ってくれっ!」
鎮めた怒りが再び込み上げ、この部屋中に殺気を飛ばした俺に対し、ミュウランを庇う様にしてヨウムとグルーシスが立ち塞がる。
「ヨウム、グルーシス!貴様らは黙っていろ!リムル様が話されているのはそこの女だけだ!」
「分かってる!だが、頼む!ミュウランを殺さないでくれ!」
「お願いします!リムル様っ!」
ベニマルの怒声にもたじろぐ事なく、二人は俺を見据えていた。殺気を飛ばしただけで、彼女を殺すつもりは無かった俺は、すっと殺気を鎮める。
「ふぅ・・・・・・悪かった。・・・・・・で、聞きたいんだが、あんたはエリスと面識があるのか?どうにも知っている風に話していたが?」
「・・・・・・はい。この町に訪れた際に、少し話をしました。それと・・・・・・昨日にも・・・・・・」
「昨日?」
ミュウランのその言葉に首を傾げる。昨日と言えば、この町は襲撃に苛まれていたはずだ。その襲撃が起こる前にでも何かを話していたのか?」
「ああ。実はこの襲撃が起こる前、俺とミュウランはエリスの旦那と軽く話をしてたんだ」
「あの方は、どうやら私の正体のことも気がついている様子でしたが、それでも関係なしに気さくに接してくださいました。今まで、あそこまで優しく親密に接してくれる方は、このヨウム以外は誰も居なかったので、私はどこか嬉しさを感じていました・・・・・・」
「・・・・・・だったら、何でこんな真似をした?」
そう思ってるなら、尚の事この行為に及んだ理由が分からない。いくら自分の命が惜しいとは言え・・・・・・な?
「それでも、クレイマンには逆らえないと悟ったからです。エリスさんは・・・・・・『いつでも頼って欲しい』、『あなたの味方です』と私に対して、暖かい言葉を掛けてくださいましたが、やはりどうしても・・・・・・クレイマンを裏切れる勇気が湧かなかったんです・・・・・・」
「・・・・・・お前、エリスの事を甘く見てるだろ?・・・・・・何故その時に、エリスを信じなかった?」
次第に俯き始めるミュウランに対し、俺は今までに無いくらいの怒りを覚える。・・・・・・おかしいと思ったんだ。エリスが彼女の存在に気が付かない筈ない。だからこそ、エリスは彼女に自分を頼る様、強制をしたんだろう。本来なら、魔人である彼女を危険視して町の外へ追い出してもいいとこだって言うのに、あいつはそれでもミュウランを信じて、いずれ自分のことを頼ってくれることを願って、彼女と友好的に接してくれていたんだ。
そのエリスの気持ちを・・・・・・踏み躙ったことが、俺には許せなかったんだ。もし、その時にエリスを頼っていれば・・・・・・エリスは死なずに済んだかも知れないって言うのに。・・・・・・俺のその気持ちに呼応するかのように、再び俺から殺気が漏れ出始めた。
「旦那!この責任は俺にもある!俺だってあの時、あの場にいたんだ!エリスの旦那は、ミュウランが怪しいことも、魔人だって事も知っていた筈だったんだ!だが、旦那はそれでもミュウランのことを尋問する事もなく”味方”だって言って微笑んでくれたんだ!あの時、俺が強引にでもミュウランにエリスの旦那を頼る様言っておけば結果は違かったかも知れねーんだ!だから、裁くんだったら俺を裁いてくれ!!頼むから、ミュウランは・・・・・・」
「・・・・・・そうか。ヨウムの気持ちはよく分かった。だがミュウラン・・・・・・お前の今の発言で俺は、お前を”この場で始末する”ことに決めた。・・・・・・ミュウラン・・・・・・”死んでもらうぞ”?」
「「っ!!」」
ミュウランは既に腹を決めていた様で、この処遇に対して特に何も言って来なかった。だが、それに納得がいかなかったのは、やはりヨウムとグルーシスで、俺が彼女のもとに歩み寄ろうとするのを必死に止めに入ってきた。
「ヨウム!今すぐミュウランを連れて逃げろっ!リムル様は本気だっ!」
「ミュウラン!早く逃げっ・・・・・・ミュウラン?」
グルーシスが獣身化を発動して俺を足止めし、その間にヨウムがミュウランを連れて逃げ出すと言う算段だった様だが、ミュウランに逃げると言う意思は無かった様で、手を引くヨウムをただただ拒み続けていた。そのミュウランに対し、二人はひどく動揺をする。
「リムル様の邪魔をするなっ!」
動揺し、隙だらけとなったグルーシスは、ベニマルに簡単に取り押さえられ、身動きを取れなくさせられてしまう。・・・・・・これで邪魔者は居なくなったな。
「ミュウラン・・・・・・何で?」
「好きだったわ、ヨウム。私が生きていた中で初めて惚れた人・・・・・・今度は悪い女に騙されない様にね・・・・・・さようなら」
ミュウランはそう口にしながらヨウムと口付けを交わす。そして、それが終わると彼女はこちらに向かって体を差し出してくる。・・・・・・もう未練は無いってか?いい覚悟だ。俺はヨウムを『粘鋼糸』で縛り上げると、ミュウランへと近付いた・・・・・・。
「旦那!頼むからやめてくれ!!俺が一生を賭けてでも償うから!!だからっ!!」
「・・・・・・死ね」
ヨウムの言葉などもはや届いていなかった俺は、問答無用でミュウランの心臓を手刀で貫き、彼女の命を奪った・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんてな。
「・・・・・・えっ?私・・・・・・何で?」
「ミュウラン!?無事なのかっ!?」
ヨウムの絶叫に近い叫び声に、ミュウランは戸惑いを見せつつ、コクコクと頷いていた。・・・・・・まぁ、死んだと思ったら生きてたんだから戸惑うのも無理ないよな。
「上手くいった様だな。・・・・・・ほら、これを見ろよ」
「っ!それは私の仮初めの・・・・・・」
俺が見せたのは、先ほどミュウランの体内から抜き取った”仮初めの心臓”だ。心臓を抜き取ってもミュウランが生きてるのは、俺が事前に作っておいた”擬似心臓”を彼女の体内に埋め込んでおいたからだ。
「ああ。実はな?この仮初めの心臓はクレイマンの盗聴にも使われていたらしく、さっきまでの俺たちの会話は全部、クレイマンに筒抜けになっていたんだよ。暗号化された電気記号によってな」
「盗聴!?」
流石にクレイマンに盗聴までされていたとは知らなかったミュウランは、ひどく驚いていた。俺がこの事に気がついたのはさっき新たに結界を張った際だ。大賢者が結界に干渉する不明な波長とさっき言った暗号化された電気信号を確認したらしく、それを解読させたところ、それがクレイマンの盗聴だと言うことが明らかになった訳だ。
こちらの情報がクレイマンに筒抜けとなると厄介でしか無かった為、彼女も救うと言う意味合いも込めて先ほど俺は奴に勘づかれないように一芝居打ったわけだ。・・・・・・とは言っても、全部が全部芝居って訳じゃ無かったけどな?ミュウランがエリスの事を信じなかったことや、エリスを死に追いやった事についてはマジで怒ったし・・・・・・。それはでも・・・・・・今は置いておいていいか。
「だが、もう安心していいぞ?
「っ・・・・・・」
自由・・・・・・その言葉に、ミュウランは感極まったのか・・・・・・瞳から涙をこぼし始める。そんな彼女に『粘鋼糸』を解いて身動きが取れるようになったヨウムが寄り添う。ずっとクレイマンの支配下にあり、自由を奪われていたんだからな。よっぽど嬉しいんだろう・・・・・・。
「良かったな、ミュウラン!もうお前を縛るものは何も無くなったってよ!何だよ旦那?元からミュウランを殺す気なんて無かったんじゃねーか。それならそうと最初から・・・・・・」
「さっきも言ったろ?俺たちの行動、言動は全て盗聴されていたって。あそこで今からやる事を話しちまうと、クレイマンに情報が行き渡って何かしらの対応をされる可能性があったんだ。だからさっきは敢えて殺すこと前提で話を進めていたんだ。・・・・・・クレイマンを騙す為とはいえ、怖がらせて悪かったな?」
「いえ、大丈夫です・・・・・・」
「そうか。・・・・・・あんたも苦しかったんだろ?自分の自由を奪われていた事もそうだが、何より・・・・・・
「っ!・・・・・・」
「・・・・・・は?どう言うことだよ?」
俺の言葉に動揺するミュウランとは対照的に、意味がわからないと言った風に首を傾げているヨウム。
「あんたの反応からして、やっぱりそうだったみたいだな。・・・・・・ヨウム、お前は人質だったんだよ。ミュウランを強制的に命令に従わせる為用のな・・・・・・。考えてもみろ。ミュウランはクレイマンに見捨てられた訳なんだから、ここで律儀に命令に従って
「ミュウラン・・・・・・それは本当か・・・・・・?」
「・・・・・・ええ、本当よ。私はただ・・・・・・守りたかったのよ。大切な人であるあなたを・・・・・・」
「ミュ、ミュウラン・・・・・・」
・・・・・・なんか、すっごく良いムードになりかかってる二人に対し、俺もベニマルも、なんて声をかけたら良いのか分からずに困惑していた。グルーシスに至っては、明らかに嫉妬している様子でヨウムのことをギロリと睨みつけていた。おぉ・・・・・・修羅場になりそうな予感だ。
こんな状況でなかったら素直に祝福をしてやりたかったが、今はそんな事は言っていられない。一刻も早く、エリスを生き返らせるために魔王にならないといけないんだ、俺は。
「ヨウム、ミュウラン、グルーシス。この後すぐに行われる会議にお前達も参加してくれ。お前らも含めて話すべき事があるんだ」
「ああ、俺は良いぜ」
「俺も構いません」
「私も参加する事は構いませんが・・・・・・何故、私もなのでしょう?いくら事情があったとは言え、私がこの町を危機に晒し、エリスさんを死に追いやった要因である事は間違いありません。本来であれば、始末をされてもおかしくは無いのに・・・・・・何故?」
ミュウランがそう思うのも納得だ。確かにおかしな話だ。さっきまでミュウランは、ここの襲撃に加担した容疑者として捕らえていた敵だった。そんな敵だった彼女をあろうことか俺は救い、味方に引き込もうとしている訳なんだ。疑問を浮かべる事は当然だろう。
「善意で助けた訳じゃないさ。ただ・・・・・・あんたを助ければヨウムの助力が得られやすくなると思ったし・・・・・・”人が蘇る”って言う事例を増やしておきたかったんだ。ある意味、これが一番の理由なのかもな」
「・・・・・・」
「だが、勘違いして欲しく無いのは、俺は未だに、あんたがエリスに対してした事については許してないし、あんたの事を心から信用する気も無い。あんたが少しでも悪いと思ってくれてるなら、俺たちにあんたの豊富な魔法の知識と技量を貸してくれ。それを償いとして見てやるからさ?また、俺に信用されたいなら俺に協力をして、信用を勝ち取って見せてくれ。その時は俺も、あんたの事をちゃんとした仲間として見る事にする。・・・・・・いいな?」
「・・・・・・はい」
ミュウランの質問に答えた俺は、そのままその場にいた全員を引き連れ、会議を行う執務館へと足を運んだ。
次回でリムルが配下に魔王になる旨を伝えます。
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