転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!? 作:レイ1020
今回の
翌日に今後の方針を決めるべく、町の重鎮達や三獣士の三人を招いて、会議を開いた訳だけど、そこでリムルは”驚きの宣言”をしてくれた・・・・・・。
「俺は、”名実ともに”魔王になる事に決めた。・・・・・・異論は認めないぞ?」
”名実ともに”・・・・・・つまりは、今の世に存在する”十大魔王”に対して名乗りを上げ、大々的に自分が”魔王”であると言うことを宣言すると言うことだ。リムルは既に”真なる魔王”へと覚醒している訳だし、宣言しようと思えばいくらでも宣言する事は可能だが、魔王と言うのは、他の魔王達の承諾が無ければ名乗ることが許されないのが現状。下手な魔物が名乗りをあげて魔王達に認められなければ、後で始末をされる可能性だってあるんだ。・・・・・・リムルはそのことをちゃんとわかって言ってるのかな?
「リムル様、理由をお伺いしても?」
「魔王クレイマンに対して喧嘩を売りたくてな。そいつは、ミリムを利用して友好国でもある
「・・・・・・」
怒気を込めながら話すリムルに対し、苦い顔を浮かべた。リムルはやっぱり、今回の件については相当怒ってる。僕が死んでしまった事もそうだが、何より平穏な毎日を過ごしていた僕たちの日常を奪おうとしたその魔王が、何よりも許せなかったんだろう。
「だから、俺は魔王クレイマンを・・・・・・叩きのめす!何か、意見のある奴はいるか?」
「・・・・・・一つ、よろしいですか?」
名乗りをあげたのはシュナだった。シュナは何故か知らないけど、リムルに視線を向けつつも何処か、不安そうにしていた。
「どうした、シュナ?」
「リムル様が、魔王となられる事はよく理解しました。それにつきましては、わたくしも他の皆さんも揃って賛成します。・・・・・・ですが、同じく魔王へと覚醒なされたエリス様は・・・・・・どうなさるおつもりですか?」
「あぁ・・・・・・そっか・・・・・・」
シュナが僕へと視線を移すと共に、その場にいた全員が僕へと注目する。・・・・・・僕がどうするのかは既に決めている訳だし、悩む必要なんて無かった。
「僕は名乗るつもりなんて無いよ?名実上の魔王は国に一人いれば十分だし、僕はそう言った事には向いてないかも知れないしね。それに、変に名乗って他の魔王達に目をつけられたく無いし・・・・・・」
「もし名乗るつもりだったんなら止めてたところだが、その心配は無さそうで良かった。お前の事は、俺がしっかり守っていくつもりだが、これ以上お前を危険な目に遭わせたくなんてなかったからな」
「そ、そうなんだ?」
僕の考えに賛同してくれるリムルに嬉しさを感じるけど、どうにも僕に対して過保護になっているような気がする・・・・・・。僕も、一応だけど魔王に覚醒してある程度は力もついた事だし、自分の身くらいは自分で守れるんだけどな〜・・・・・・一度死んでおいて言うのはなんだけど。
「そう言う訳だから、エリスは魔王を名乗らない・・・・・・というか名乗らせないつもりでいるから、みんなもそのつもりでいてくれ!」
リムルの言葉に、みんなは静かに頷く。その後リムルは、ソウエイ達隠密部隊をクレイマンの情報収集に向かわせ、自分は用があると言ってどこかへと姿を消した。用が終わればすぐに戻ってくると言っていたリムルだったが、そう言ってる割に数日間も帰ってくることは無く、その間暇だった僕は、テスタロッサが連れてきた配下達との顔合わせを行ったり、魔王になってから新たに獲得したスキルなどを見直すなどして時間を潰していた。
・・・・・・そしてさらに数日後、ようやくリムルが戻ってきた。
・・・・・・
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「リムル、数日の間何してたの?・・・・・・それにその人は?なんか、物凄く強い
町へと戻ってきたリムルを僕たちは出迎えた訳なんだけど、リムルの隣に立っている背の高い男性がどうしても気になってしまう。みんなんて反応して良いのか分からなくなっていた・・・・・・僕もだけどさ?彼はどうやら、
「こいつはヴェルドラ。俺の友達だ。人見知りなところがあるが、仲良くしてやってくれよ?」
「ヴェルドラ?え、確かリムルの話だと、大きな竜だったはずじゃ・・・・・・」
暴風竜ヴェルドラ。かつて、このジュラの大森林の守り神として崇められていた竜だ。リムルがこの世界に転生してきた直後、友達になったと聞いてはいたが、何で竜だった魔物が人間へと変わっちゃってる訳?・・・・・・意味わからない。
「クァーーハッハッハッハ!!よく聞くが良い皆の者!我はヴェルドラ=テンペスト!貴様らの主人であるこのリムル=テンペストと我は深い絆で結ばれた友達である!!よく覚えておくが良いぞ!」
「・・・・・・初めまして、僕の名前は・・・・・・」
「エリス=テンペスト・・・・・・であろう?」
「えっ?」
初対面である僕の名前を知っているヴェルドラさんに疑問を覚える。
「我は、リムルの体内から外界の様子を覗く事ができるのだ。リムルがこれまで出会ってきた仲間、敵、場所・・・・・・その全てを熟知しておるぞ?無論、貴様のこともだ。・・・・・・我の友達であるリムルが普段から世話になっているようであるな?」
「そういう事でしたか。・・・・・・なんかすいません。あなたとリムルが名乗っている”テンペスト”の名をあなたの許可無しに名乗ってしまって・・・・・・」
「リムルが認めたのであれば良いであるぞ?此奴が何処ぞの馬の骨にこの名を名乗る事を許すとは思えぬしな」
今まで、このテンペストの名を名乗ることは、後ろめたさを感じていたが、こうしてヴェルドラさんからちゃんとした許可をもらえたことで、ようやく肩の荷が降りたような気がした。それにしても、最初は少し気難しい人なのかなって思ってたけど、意外にも気さくに話してくれる人のようで安心した。後々聞いた話だと、この体は僕がテスタロッサにやってあげたように、リムルも『強化分身』で分身体を作成してヴェルドラさんの依代として提供したことで肉体を得たのだとか。
「そろそろいいか?エリス、ソウエイ達が諜報から帰ってきて、それを元にして会議を開こうと思ってる。この場にいない重鎮達を集めてくれ」
「わかった。ちょっと待ってて」
話が長くなりそうな事を察してか、リムルは僕に他の重鎮達を呼んでくるよう指示を出してきた。まだ話したい事があったけど、それは次の機会にでも取っておく事にし、足早にみんなを呼びに行った。
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視点 リムル
「さて、ソウエイ達も戻ってきた事だし、早速会議を開始し・・・・・・って、誰か来たな?この反応は・・・・・・ヒューズか?」
〈解。約50騎を引き連れ、個体名ヒューズはこの場へと向かっていると推測します〉
エリスが会議室に全員を集めてきて、早速会議を開始しようとした矢先、俺の新たなるスキルである『万能感知』にヒューズ達数十人の人間の反応が引っ掛かった。とりあえず対応をしようと、一部の配下をその場に残し、外へと出た。外には既にヒューズが待機しており、何故かガッチガチの武装状態でいた。・・・・・・何で?
「リムル殿!待たせてしまって申し訳ございませぬ!この遅れた分は、必ずや武を持って返していく所存でございます!どうか、我らを対ファルムス軍の末席に加えてくだされ!」
「・・・・・・はい?」
素っ頓狂な声を出してしまった俺は、微妙な表情を浮かべる。・・・・・・俺たちの危機を察して来てくれたんだろうけど・・・・・・二万の兵達は俺が倒したから、もう終わっちまってるんだよな・・・・・・。確か、リグルドがブルムンド国に対して使者を送ったと聞いていたが、どうやら行き違いになってしまったようだな。それならば、ヒューズ達が何も知らないのにも納得がつく。
「ヒューズさん、来てくれた事に関しては凄く嬉しいのですけど・・・・・・もう、リムルが全て倒してくれたので、大丈夫なんですよ?」
「・・・・・・はっ?どういう・・・・・・って、エリス殿!?何故生きておられるのだっ!?ミョルマイルの話だと、確かファルムス軍の襲撃の際に命を落とした筈だと・・・・・・もしや、霊的な・・・・・・」
「ちゃんと生きてますからっ!!足あるの分かるでしょう!?・・・・・・はぁ、すいません。確かに僕は一度命を落としました。ですが、ここにいるリムルのおかげで、無事に生き返る事ができたんですよ」
「い、生き返ったって・・・・・・どうやって・・・・・・」
エリスの説明に頭が混乱して来たのか、しどろもどろになり始めるヒューズや後ろの配下達。とりあえず、ちゃんと説明してやるとするか。
〈告。個体名ガゼル・ドワルゴが数十騎を従えて接近していることを確認しました〉
「リムル、ガゼル王が来てるみたいだよ?出迎えた方が良いんじゃないかな?」
「次から次へと面倒な・・・・・・」
ヒューズの次はガゼル王。何で、こんなにも来客が多いってんだよ・・・・・・。それにしても、『万能感知』は『魔力感知』よりもさらに上の検知範囲や精度を誇っているが、精度が良すぎるせいで、細かな情報まで揃って報告されてしまう事もあって、正直面倒になっていた。だから、ラファエルには敵対反応を持つ者や、危険である者だけを知らせるようお願いをしておいた。
「リムルよ、久しいな。よもや、貴様が魔王になるとはな?」
「・・・・・・『何で?』みたいな顔してるが、その理由だってあんたのことだから、大体の検討はついてるんだろ?」
「まぁな。・・・・・・大方、そこの副国主であるエリスを甦らせる為なのであろう?」
ペガサスから降りつつ、意気揚々にそう口にするガゼル王に無言で頷く。
「エリスよ。貴様も久しいな。・・・・・・この国を守るが為に命を落としたそうだが、何も恥じることは無いぞ?むしろ、国のためにそこまで出来る者はそうそうおらん。貴様には敬意を評したいぐらいだ・・・・・・」
「そう言って貰えて嬉しいですけど、出来れば死なずに守りたかったものです・・・・・・。生き返ったとは言え、一度は死んで、みんなを悲しませたことは事実ですので・・・・・・」
そう言うエリスの表情は暗かった。まだこいつは、自分が死んでしまった事を・・・・・・いや、俺やみんなを悲しませてしまった事を悔んでいるんだろう。・・・・・・確かにあの時の俺たちは、精神的にキツくなっていたからな。もしも、あのままエリスを生き返らせることが出来なかったとすれば、俺たちは皆、今も失意のどん底に突き落とされていたままだっただろう・・・・・・。
「出来なかった事を悔んでいる暇があるなら、前を向いたらどうだ?貴様がそんな調子では、そのうち貴様についてくる輩は姿を消す事になるぞ?」
「・・・・・・勿論、前は向きますよ。こんな僕でも、慕ってくれる配下達が数多くいるのですし、いつまでもウジウジしてたら上司として情けないですから」
「その意気やよし。今後の貴様の成長も楽しみであるな」
エリスのその言葉を聞けて嬉しかったのか、ガゼル王は微笑を浮かべつつエリスの頭を撫でていた。エリスはと言うと、撫でられるのが心地が良いのか、特に嫌がる素振りを見せる事もなく、ガゼル王に撫でまわされていた。・・・・・・なんか、久しぶりに会いに来た孫を、じいさんが可愛がってるように見えるのは俺の気のせいかな?
結局、ガゼル王も今回の会議に参加する事を決めたようで、ヒューズもついでにと言うことで参加する事が決まった。
「ま、魔王って・・・・・・何がどうなって・・・・・・それに、万の軍勢をたった一人で・・・・・・?」
混乱しすぎて、顔が真っ青になってるヒューズには、あとでちゃんと説明しないとな・・・・・・。
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その後の話し合いで、俺やエリスがどのような経緯、方法で魔王に覚醒したかは伏せられる事となった。何せ、たった一人で万の軍勢を仕留め切れる人材が、この国に”二人”も存在すると他国に知られれば大混乱になりかねなくなるからだ。ガゼル王にはベスターから情報が入ってる事もあって、特に驚きは見せてはいなかったが、ヒューズに至っては、そもそも俺やエリスが魔王になったことすら知らない状態だった事もあり、驚きを通り越して絶句していた。
だから、とりあえず殺したファルムス軍は、”行方不明”という形で落ち着かせる事にした。この秘密は、この場にいる者達だけで共有すると決めた為、今は町の宿屋で疲れを癒しているこの事実を知ってしまったヒューズの配下達は、後でディアブロやテスタロッサが記憶を改竄しに行ってくれるとのことだ。悪魔はそういった事が得意なんだと。
脳の
「おやおや?これは珍しい・・・・・・。臆病者のあなたが、魔王に肩入れするなど?」
「・・・・・・誰だ?俺の『万能感知』に反応なんて無かったのに、いつの間に・・・・・・」
「え、そうなの?僕はちゃんと感知出来たけど・・・・・・?」
「はっ?エリスは感知できて何で俺は・・・・・・」
〈・・・・・・告。敵対反応が確認出来なかった為、報告しませんでした〉
なんか、拗ねたようにラファエル先生は言う。そういや、敵以外は報告しなくていい・・・・・・的なこと言ったもんな、俺って。・・・・・・そんな面倒な注文をすればラファエルだって呆れて怒るのも無理ないってことか。・・・・・・なんか、ごめんなさい。・・・・・・ってか、エリスも『万能感知』持ってたんだな。どうりで、ガゼル王が来た事にも気づけてたわけだ。
先導していたソーカの話によると、この人たちはエレンの出身国でもある魔導王朝サリオンの使者であり、一人は何と公爵家の当主らしい。・・・・・・そんなお偉いさんが何の御用だって言うんだよ・・・・・・。
「失礼。貴殿が
「・・・・・・そうですが?」
俺が肯定すると、その当主様(?)は何故か俺の方へ両の掌を向けてくる・・・・・・明らかに”殺意的な魔力”を込めるその掌を・・・・・・。え、ちょっと待って!?
「貴様が私の娘をたぶらかした魔王リムルですねっ!!貴様のような悪党、この私が焼き尽くしてくれましょうっ!!」
「何でっ!?何でいきなり攻撃してくるわけさっ!!?」
出会い頭に攻撃してくるとかどう言うつもりなんだよこのおっさんは!?それにあんたの娘をたぶらかしたって、どう言うことだよ!?俺はそんなことした覚えねーぞっ!?
〈告。火炎、爆発の合成魔法です。魔法制御を・・・・・・〉
今はどうでも良いラファエルの解説を聞き流していた俺は、とりあえず何とかして止めようと策を練ろうとした。・・・・・・だが。
「っ!!?・・・・・・ま、魔法が
もう、放たれる寸前だったその合成魔法は、突如として消え失せた。・・・・・・一体何が?
〈告。個体名エリス=テンペストにより
「
ふと、自分の周囲を見渡してみると、確かに結界のような物・・・・・・つまり、
「あなたがどんな方なのかは知りませんが、そんな魔法をこの場で放たれては町が壊れかねませんので、封じさせて貰いました。・・・・・・とは言え、どうにも本気で放つ気ではなさそうでしたが・・・・・・良ければ話を聞かせては来れませんか?此方としては、全く理解が出来なくて・・・・・・」
「
エリスが話を聞こうと彼らに近づいたところで、その場に甲高い声が響き渡った。・・・・・・声のした方へ振り返ってみると、そこには物凄く恥ずかしそうに顔を赤らめていたエレンの姿があった。・・・・・・にしても、パパって・・・・・・もしかしてこのおっさん・・・・・・?
「パパが迷惑かけてごめんなさい。リムルさん、エリスさん。・・・・・・この人は私のお父さんで、魔導王朝サリオンの大公爵のエラルド・グリムワルドと言います」
「先程は無礼を働きましたな。何分、娘の事となるとどうにも落ち着かなくてですね・・・・・・っと、失礼。娘のエレンからもあった様に、私の名はエラルド、どうぞお見知り置きをジュラの大森林の盟主と副盟主よ」
「「よ、よろしくお願いします・・・・・・?」」
そんな訳で、この場に現れたサリオンの大公爵様は、なんとエレンの親父さんだった。まさかまさかの展開に俺もエリスもどう反応して良いのか困惑してしまう。
・・・・・・何で今日はこんなに面倒事が多いんだよ・・・・・・全く・・・・・・。
と言うわけで、エリスは魔王を名乗りません。名実上の魔王は国に一人いれば十分なわけですし、話的にその方が面白そうだった為、そうさせてもらいました。
ですが、他の魔王達もいずれはエリスの存在に気付くでしょうし、気づいた時どの様な対応をして来るのかは、未定となっています。
それもお楽しみに!
『エリスの日常日記』でやって欲しいことは?
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