転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!?   作:レイ1020

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今回でファルムス王国の狙いがわかります。


後、ガビルとテスタロッサの顔合わせも!


思惑と真の狙い

「リムル様、エリス様、ただいま帰還いたしました」

 

 

それからさらに数日後、三獣士の皆さんとガビルが獣人や捕虜を連れて戻ってきた。捕虜を含めて数万という大所帯がこの首都リムルに押しかけてきた訳だが、こちらも迎える準備は万端であり、既にいくつもの仮設住宅や宿泊施設などは建てておいてあったりする。

 

 

フォビオさんだけは、ゲルドのいる本拠地(獣王国(ユーラザニア)の跡地)に共に残り、捕虜の監視に当たっている為この場にいなかったが、その内戻ってくるとのことだった。なにぶん、捕虜の中には僕たちに反感を持つ人たちも数多くいる事は間違いない。それを考慮したベニマルやアルビスさんがそう命じたらしいんだけど、多分ベニマルが軽く捕虜達に説明(いあつ)すれば大体の人は言う事を聞いてくれると思う。カリュブディスを一撃で沈めるような人になんて逆らいたくないだろうし・・・・・・。

 

 

 

「エリス様!リムル様!このガビル、只今帰還しましたぞ!」

 

 

 

アルビスさんとスフィアさんが捕虜達を連れて行った後、ガビルが僕たちの元へと寄ってきた。彼らの体に傷こそ無いものの、彼らの疲労具合と服や武器の汚れ具合から見て、かなりの激戦だったのだと見てとれた。

 

 

 

「うん、お疲れ様。何処か怪我とかは・・・・・・」

 

 

 

「いえ!我輩達は皆元気ですぞ!ミリム様の配下であるミッドレイ殿には遅れを取りましたが、特段エリス様がご心配なされるような怪我などは一切しておりません!」

 

 

 

「そ、そう?それなら良いんだけど」

 

 

 

いつも通り、彼の元気一杯の返事を聞けてどこかほっとした。・・・・・・一応、ガビルと彼の配下達には『絶対保護』を戦前に掛けておいたんだけど、万が一という事もあったから少し心配してたんだ。

 

 

 

《告。『絶対保護』はありとあらゆる攻撃や魔法、スキルを無効化する作用を持っています。ですので、主人(マスター)が心配されるような事は起こりません》

 

 

 

「(そうだったね。キミが作ったんだもんね。・・・・・・本当にありがと、リーテさん)」

 

 

 

《・・・・・・》

 

 

 

・・・・・・何か、リーテさんが照れてるようにも思えたけど、これ以上追及すると逆に怒られそうだからやめておくことにした。

 

 

 

「ガビル、ミッドレイってベニマルの報告にあった妙に強い龍人族(ドラゴニュート)のことか?」

 

 

 

「その通りです。我輩も進化してかなり強くなったと自負しておりましたが、上には上がいるものだと自覚させられましたな。エリス様の加護が無ければかなりのダメージを受けたはずなので」

 

 

 

「あ〜・・・・・・まぁ、エリスの加護があればお前らが無傷なのも納得だ」

 

 

 

どこか納得というか、呆れたような口調で僕に視線を向けてくるリムルに、僕は薄く笑みを浮かべた。

 

 

 

「僕の大事な配下だからね。身の安全を保証するのも当然でしょ?」

 

 

 

「お前らしいな。ならいっその事、この魔国連邦(テンペスト)中の住民達にも『絶対保護』を掛けちまえば良くないか?それならお前が無駄に心配する必要だって・・・・・・」

 

 

 

「首都リムルだけならともかく・・・・・・魔国連邦(テンペスト)全体に一体どれだけの住民がいると思ってるの?流石にそれ全員に『絶対保護』をかけるのは無理があるよ。だから、今はそれとはまた違った方法で住民達にはバフとか加護を付けられるようスキルを練ってるところなんだ。期待して待っててね!」

 

 

 

「うっ・・・・・・あ、ああ!もちろん期待してるさ!頑張れよ?」

 

 

 

何故かスライムボディが溶けかかっているリムルに疑問を浮かべた僕だったが、気にする事もなくそのままガビルの話を聞くことにした。・・・・・・僕も色々と聞きたい事もあるしね?

 

 

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

 

 

 

 

視点 三人称

 

 

 

 

「それで?賠償金の用意の進捗はどうなのですか?お聞かせ願えませんか?」

 

 

 

ファルムス王国の謁見の間にて、ディアブロの低く冷め切った声が静かに響き渡る。その声に、間に集まったファルムス王国重鎮らは揃って肩を震わせていた。彼のスキルである『誘惑者(オトスモノ)』の支配下にあるラーゼンやエドマリス王はそこまで怯えた様子は見せないものの、やや顔は引き攣っていた。

 

 

 

「い、今しばらくお待ちを!星金貨は非常に希少で手に入りずらい硬貨でありまして、それを万枚集めるとなるとかなりの時間を要しまして・・・・・・」

 

 

 

「そうですか。では、なるべくお早めに。あまりに長くなられた場合、こちらとしても取るべき手段を取らせていただきますので。それをお忘れなき様に」

 

 

 

「くっ・・・・・・」

 

 

 

その魔国連邦(テンペスト)の(正確にはディアブロの)無理難題の要求に、重鎮達は顔を曇らせる。だが、無理難題とはいえ、これには従わざるを得ない。従わなかった場合、『ファルムス王国は戦争の継続の意あり』と魔国連邦(テンペスト)側に捉えられ、すぐに圧倒的武力を持って粉砕されてしまう事は明白だからだ。

 

 

 

「あぁ、それと。あなた方には聞きたい事があったのでした」

 

 

 

ふと、ディアブロは思い出したかのようにそう口を開くと、徐にエドマリス王へと視線を向けた。

 

 

 

「あなた方は、何故リムル様のご友人であられるエリス様のお命を狙われたのですか?私は付き合いがそこまで長くはありませんが、あのお方があなた方に恨みを買う様な行動に出るとは思えませんが?・・・・・・どうなのですか、ファルムスの王?」

 

 

 

「・・・・・・エリス殿とは、魔国連邦(テンペスト)副国主であられるエリス=テンペスト殿の事でよろしいか?」

 

 

 

「その通りです。知っていることを全て話しなさい?」

 

 

 

半ば脅迫するように、ディアブロはエドマリス王に命令を下す。エドマリス王は『誘惑者(オトスモノ)』の支配下にある為、当然拒むという選択肢はない。拒んだが最後、叛意有りとディアブロに悟られ、消させるのがオチだからだ。

 

 

 

「まず、訂正させて貰いたいのだが、我らはエリス殿の命を狙ってなどはいなかった」

 

 

 

「・・・・・・ふむ?」

 

 

 

「我らファルムスと西方聖教会が真に狙っていたのは、その()()()殿()()()だったのだ。その力を我らは魔国連邦(テンペスト)襲撃に並行して狙うべく、軍を動かしていたのだ」

 

 

 

 

「ほう?エリス様のあのお力は国をのぞいて秘匿されているはず。・・・・・・その情報は一体どこから?」

 

 

 

「以前、商人に偽装させた我が軍の兵を数名、情報収集と言うことで潜入させたのだが、その際にその者らが見たと申したのだ・・・・・・『魔国連邦(テンペスト)には、”圧倒的力を誇る国主”の他に、”どんな傷や病でも一瞬で治す力のある副国主”がいる』とな。それを聞いたレイヒムや余は、是が非でもその副国主の力を手中に収めたいと強く願い、兵やあの異世界人共に命令を下したのだ。・・・・・・どうにも、あやつらは認識を誤っていた様だがな」

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

エドマリス王のその発言に、ディアブロはしばし思考を巡らせる。エリスの力は確かに、強力でありなおかつ汎用性も高い。ただの傷・・・・・・もしくは重症並みの傷であれば完全回復薬(フルポーション)でも代用は効くのだが、完全回復薬(フルポーション)は万能ではない。完全回復薬(フルポーション)はどんな傷でも一瞬で治せる効力を持つが、それ故にかなり希少で、数にも随分と限りがある。今でこそ、それなりに完全回復薬(フルポーション)を生産できる様になった魔国連邦(テンペスト)とは言え、数に限りがある事に変わりはなく、闇雲に使うのは良しとはされていない。

また、完全回復薬(フルポーション)は”傷”は治せても、風邪と言ったいわば”病”に類する物までは治す事はできない。それ故に、仮に重い病気にかかり、すでに余命いく場も無い人物に完全回復薬(フルポーション)をかけたところで、意味をなさないと言うことなのだ。

 

 

 

その点、エリスの能力はその様なデメリットはない。傷も病も隔たりなく完璧に治す事が可能なのだ。唯一のデメリットとしては、”膨大なる魔素”を消費すると言う事なのだが、それは以前のエリスであればの話であって、今の覚醒したエリスには『慈愛之王(アンピトリテ)』や『治癒之王(アスクレピオス)』と言った常識外れの究極能力(アルティメットスキル)が備わっている為、そのデメリットももはや無くなっていると見て良い(エリスの能力には、体の回復の他にも様々な”脅威的なバフや加護”があったりもするのだが、そこまでは流石に知られてはいない)。

 

 

 

その様な人材が魔国連邦(テンペスト)にいると知られれば、注目されるのも無理ないし、狙われると言うのも至極当たり前の様にも思える。ディアブロは、そのことを深く思案していた。

 

 

 

「(エリス様のお力は以前にも見せて貰いましたが・・・・・・確かにあの力を見れば、欲する国は数多くいるはず。・・・・・・エリス様の情報は、今後さらに厳重管理しなくてはなさそうですね)」

 

 

 

現状では、ファルムス王国と西方聖教会にしかその情報は行き届いていない様子だが、この情報が拡散すれば下手をすればこの世に点在する様々な国がエリスを狙いに動いてくる可能性もあった。それはなんとしても防ぎたかったディアブロは、エドマリス王に再度命令を下す。

 

 

 

「なるほど、よくわかりました。ファルムスの王よ。今後、この情報を誰にも・・・・・・この国以外の国へと漏らす事は決して許しません。もしも漏らした場合には・・・・・・わかっていますね?」

 

 

 

「うっ・・・・・・わ、わかった。この情報はここだけの情報としよう・・・・・・」

 

 

 

「ならば結構。・・・・・・では、私はそろそろ失礼します。賠償金の件、どうかお忘れなきように・・・・・・」

 

 

 

ディアブロは最後に一つそう命令を下した後、その場を後にした。謁見の間に残されたエドマリス王や重鎮達は、ディアブロによる重苦しいプレッシャーからようやく解放され、ほっと息をつくのだった・・・・・・。

 

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

 

 

視点 エリス

 

 

 

ガビルからの報告を聞いた僕とリムルはその場で別れ、洞窟に戻ろうとしていたガビルにテスタロッサを紹介したかった僕は、彼を呼び止めていた。

 

 

 

「ガビル、ちょっと待ってくれる?キミに紹介したい人がいるんだ」

 

 

 

「は?我輩に紹介したい人物ですかな?」

 

 

 

「あ、うん。キミには知らせて無かったんだけど、僕の直属の配下が新たに一人加わることになってね?・・・・・・言うなら、キミの新しい仲間にもなる人を紹介しようと思って。・・・・・・テスタロッサ?」

 

 

 

「はい」

 

 

 

「っ!?お、おぉ・・・・・・何と麗しい・・・・・・」

 

 

 

音もなく、テスタロッサが僕の隣に現れる。いきなり目の前に現れた”白髪の美女”に面食らった様子のガビルだったが、後ろに自分の配下達がいる以上、カッコ悪いところを見せたくなかったのか、なんとか平常心へと戻った。

 

 

 

「ふふ、そう言ってもらえて嬉しいわ。ええっと・・・・・・確か、ガビルさんで良かったかしら?」

 

 

 

「む?なぜ我輩の名を?我輩とあなたは初対面のはずでは?」

 

 

 

「エリス様から事前に聞かせてもらっていたから。『僕の配下には、強くて、頼もしくて、優しくて、お調子者な人がいる』と」

 

 

 

「なるほど。・・・・・・改めて申し上げますぞ!我輩の名はガビル!我が敬愛なる主であらせられるエリス様の忠実なる配下であり、魔国連邦(テンペスト)随一の戦力を誇る飛竜衆(ヒリュウ)を統べる隊長である!!どうぞ、お見知り置きを!」

 

 

 

「「「おぉーーっ!!ガビル様、いつにも増してカッコイイーーっ!!」」」

 

 

 

いつも通り、配下達の大歓声の中、ガビルの通った声が響く。・・・・・・毎回思うんだけど、自己紹介のたびにそんな大声で叫ばなくてもいい気もする。無駄に長いし、うるさいから周りの人達にも変に迷惑かけるから・・・・・・。

 

 

ほら?みんなどこかうるさそうに耳塞いじゃってるし。・・・・・・テスタロッサはうるさくないのかな?

 

 

 

「ふふ、よろしく。わたくしはテスタロッサ。我が君であられるエリス様に生涯の忠誠を誓った誇り高き悪魔ですわ。わたくしの事は、気軽にテスタロッサとでも呼んでもらって構いません。同じ、エリス様の配下同士、仲良くしていただけたら嬉しいですわね」

 

 

 

「うむ!今日から我らは同じ志を持つ同志!テスタロッサ殿よ!これからもどうぞよろしく頼もうではないか!」

 

 

 

「ええ、ですがその前に、もう少し声を抑えてはもらえません事?わたくしもそうですが、エリス様や周りのお方も迷惑そうですわよ?」

 

 

 

あ、テスタロッサもやっぱりうるさいと思ってたんだ。まぁ、あれだけ大音量な声で話されてうるさいと思わないのは、聴覚が無い人や、耳がバカになってる人だけだろうしね・・・・・・。

 

 

 

「おっと・・・・・・失礼。では、我輩はそろそろ戻ります故、これにて失礼させて貰います。エリス様、何かお有りでしたらお気軽にお呼びください!」

 

 

 

「うん、わかった。じゃあ、気をつけてね?」

 

 

 

ガビルは最後にそれだけ言い残すと、配下達を連れて、洞窟へと戻っていった。今回は挨拶だけだったけど、二人にはもっと接点を作って貰いたいからいずれ、共同の作業を任せてみようとも考えている。二人にはもっと仲良くなって貰いたいからね。ヒョウガもだけど・・・・・・。

 

 

 

「エリス様?あなた様が彼を『お調子者』とおっしゃられた意味・・・・・・何となく理解できましたが、わたくしの認識に誤りはありませんか?」

 

 

 

「大丈夫。みんなそう思ってるから」

 

 

 

逆に()()を見てお調子者だと思わない人の方が少ないと思うから、テスタロッサのその認識は間違ってはいない・・・・・・むしろ大正解と言っていい。

 

 

 

そんなほのぼのとした邂逅を終えた僕達は、今日の仕事へと乗り出すことにするのだった・・・・・・。




この二人の絡みは今後どんどん多くなっていきますので、二人がどのように触れ合っていくのか、楽しみにお待ちください!


話にもありましたが、ファルムス王国と西方聖教会が魔国連邦(テンペスト)を襲撃したのは、粛清すると言う意味もありましたが、それと同時に”エリスの持つ力”を狙っていたのも理由となっています。彼らとは対を成す魔物とは言え、エリスのあの力はある意味ではリムルの力よりも利用価値はありますし、脅威性もありますからね。


・・・・・・とは言っても、エリスが自分達を襲いに来た彼らに加担する訳も無いでしょうし、それをリムルや配下達が許すはずも無いと思うので、それは大丈夫だとは思っていますが・・・・・・どうでしょうね?



ちなみに、エリスのバフはまだほとんど出してはいないので、あまり全容は言えないのですが、その効力をざっくり言ってしまうと、こんな感じの強さになります。



魔物の場合

   

(例)D級魔物→特A級魔物(クラスの力)




人間の場合

    

(例)一般兵士(平民)→聖人(クラスの力)




・・・・・・これで、少しはエリスの能力の脅威さが知れたのでは無いでしょうか?これはあくまでも目安ですので、エリスの力加減次第ではこれよりも強くなったり弱くなったりもしますので、あまり参考にはならないかも知れません。ただ『少なくともエリスにはこれだけのバフを一人だけでなく、大勢に掛けることが出来る』と言う事は覚えておいて下さい・・・・・・。
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