転生して水になったので存分に楽し・・・・・・水っ!? 作:レイ1020
早速見に行かなくては!
門を潜ること数分、無事にギィさんの居城に到着した僕は、ギィさんに促されて用意された席に着席した。着席すると、すぐさま待機していたミザリーさんとレインさんが僕にお茶やら茶菓子やらを振る舞ってくれ、その手際の良さに少々驚いてしまっていた。
「ミザリーさんもレインさんもお久しぶりですね?」
「はい。エリス様もお変わりなく」
「どうぞ、ごゆるりとなさって行ってください」
僕の挨拶に軽くそう返した二人は、そのままギィさんの後ろへと下がっていった。ちなみにギィさんはテーブルを挟んで僕と対極するように椅子に座っていて、彼にも同じようにお茶が並べられていた。
「さて。改めて、よく来てくれたなエリスよ。今日は思う存分、茶を楽しみつつオレと色々語らおうじゃないか」
「はい。じゃあ、早速お茶を頂きますね?」
お茶が冷める前にと思い、僕は早速ティーカップに入ったお茶を口に含む。独特な甘い香りが香る何とも舌触りの良いお茶であり、今まで飲んできた中でも上位に来るくらいには好みの味だった。
「その顔の様子じゃ、この茶は気に入ってくれたようだな?」
「はい。とても飲みやすくて美味しいです。ギィさんは、よくお茶を嗜まれるのですか?」
「まぁな。酒も飲むが、茶だって結構飲むぜ?茶葉を保管している倉庫が地下にあるから、後で連れてってやるよ?絶対興味を引くと思うぜ?」
「そうさせてもらいます」
何故か、この後に一つの約束を交わしてしまったが流れ的に断れないとは思っていたので、そこには目を瞑るしかない。それにしても、このお茶は本当に美味しい。カレンやテスタロッサが淹れてくれたお茶も美味しかったけど、ミザリーさんやレインさん達が淹れてくれたこのお茶も、負けないくらいに美味しい。・・・・・・流石に、ギィさんのメイドを務めているだけの事はある。
「よし。じゃあ早速なんだが、もう一度自己紹介を頼めるか?あん時は色々とゴタゴタしてたからな?」
「あ、はい。改めまして、
「よろしく。知ってると思うが、オレはギィ・クリムゾン。後ろのはミザリーとレインだ。きてくれて嬉しいぜ?エリス」
微笑を浮かべながら僕が来たことを喜ぶギィさん。前から思ってたんだけど、何でこの人はこんなに嬉しそうなんだろう?
「あの・・・・・・招かれた身で言うのも何ですけど、何で僕を招こうと考えたんですか?普通、こう言った時って国主であるリムルを招待するのが常だと思っていましたけど?」
「お前に興味があったからだよ。あのスライム・・・・・・リムルは、初めてみた時から何となく腹の中が見え、こいつが進んでいく道みたいなのが何となく予想できたんだよ。だがな?お前は・・・・・・お前に至ってはまるで腹が読めん。・・・・・・何を考えているか分からねーんだよ?だから、今日はそれを探る為に、招待したんだ」
「・・・・・・」
うん。言いたいことは何となくわかったけど、何を言ってるんでしょう?僕の腹が読めないからこの場に呼んだって、たったそれだけの理由で呼べると思われてるほど、僕って暇人に見えたのかな?それに僕にだって夢があるし譲れない信念もあるんだけど・・・・・・何というかそう言われると、不愉快に思ってしまうな。
「なるほど。何を考えているか分からない・・・・・・か。僕は単に、”この世界に生きる全ての者”が幸せになってほしいと願っています。その為ならば僕はどんな事だってするし、どんな事にだって立ち向かっていきます。その覚悟が、今の僕にはあります」
「へ〜?言うじゃねーか?聞くが、お前のその覚悟の根幹はどこにあるってんだ?全ての者ってことは、人間も幸せになれって言ってるようなものだ。魔物と敵対関係にある人間まで慈しむそのお前の考えがオレには未だに理解できないが?」
「”元々自分が類していた種族だから”・・・・・・と言っておきましょう。この場では伝えておきますが、僕は”転生者”で本来の魔物にはない人間の知識と魂がこの身には宿っています」
「っ!転生者・・・・・・そうか。道理で魔物のくせに人間臭い事を吐くと思ってたが・・・・・・なるほどな、ようやく合点がいった」
僕が転生者だとわかると、どこか納得が行ったような様子でギィさんは首を縦に振っていた。
「確かに、あなたの言うこともわかります。魔物にとって、人間は敵でしかないと言う認識ですし、それを慈しむだなんて馬鹿のすることでしょう。僕も、一度は人間の手にかかり、命を落としもしました」
「そうだったな。じゃあ尚のこと分からねーな?自分を殺した人間と仲良くしたいって思えるお前の気持ちがな?本当に馬鹿なんじゃねーか?」
「ふふ。確かに僕は馬鹿者です。ですが、彼らはクレイマンに焚き付けられて攻めて来ただけで何も知らなかったらしいので、それについては何とも思っていませんよ。幸い、町への被害は殆どなかったんですし、住民の犠牲も出なかったんですから」
「あめー奴だな?普通、自分の国に軍隊を引き連れて攻めて来たなら、どんな理由があろうと叩き潰すのが当然の措置だと思うが?あのリムルの様にな?」
紅茶を口に含みつつ、ギィさんは少し呆れたように言葉を発した。リムルは確かに僕を甦らせる為に、ファルムス軍の2万人の兵士の命を根こそぎ刈り取った。無慈悲とも呼べるその行為は、まさに魔王を彷彿とさせる物だったらしいが、あれはあくまでも正当防衛に当たるらしく、それをしないと僕を甦らせることが出来なかったらしいので、リムルのその判断は決して間違ってはいないと思っている。
だが、それと僕が殺めてしまった人間達の件に関しては別の話だ。
「いえ、僕も沢山の人間を殺しましたよ?
「っ!へぇ?それは初耳だな?つまり、お前はその1万の人間達の魂を
「そうです。それしか手が無かったとはいえ、僕は人を殺めるという取り返しがつかない事をしてしまいました。・・・・・・ですので、その罪はリムルが殺してしまった兵を含めて
「・・・・・・は?」
僕のその発言には流石のギィさんも驚いたらしく、口を開けながらポカンとしていた。
「お前、自分で何言ってんのかわかってんのか?人を蘇生するなんざ普通じゃ出来はしない。お前もそうだが、大昔にミリムがダチの竜を蘇生する為に”反魂の秘術”を施して生き返った例はあったものの、あんなのは例外だ。・・・・・・一度散った命は、再び花咲くことはねーんだよ?」
「それをするって言ってるんです。僕たちが殺めてしまった人間達の中には、きっと帰りを待つ大切な家族や仲間がいたはずです。その人達が悲しみで絶望する姿を想像するだけでも、こちらとしても気が滅入るんですよ。・・・・・・だからこそ、僕は彼らを生き返らせて無事に国へと帰らせたいんです」
「はっ。口だけなら何とでも言える。・・・・・・そこまで言えるなら、なんか根拠とか方法でもあるのかよ?そんな
どこか馬鹿にしたようにそう口にしたギィさんに、若干腹を立てた僕だったが、何とか抑え込む。人の蘇生というのは当たり前だが容易くできる様な所業ではないことは重々承知している。ましてや、既に”魂が離散してしまっている”ファルムス軍の兵士達を無理に生き返らそうとした所で、唯の意思のない”廃人”が出来上がるだけだろう。
「もちろんありますが、それをこの場で口にする気はありません。ただ一つ言えるとすれば、それを行う為に”僕のスキル”を行使する・・・・・・と言った所でしょうか」
「スキル・・・・・・ね?(そんな離れ業ができるとするなら、少なくともユニークスキル以上のスキルをこいつは持ってるって事になる。・・・・・・少し解析を入れてみ・・・・・・ん?
「あのー・・・・・・断りも無しに、僕の事を解析するのはやめて貰えます?隠れてやってるつもりでしょうが、丸分かりですよ?」
「はぁ・・・・・・悪かった。お前のそのスキルがどんなものか気になったんだよ。だが、魂が無くなった人間どもを生き返らすだなんて、本当に出来んのか?」
最もらしい事を言うギィさん。だけど、全てを守り、救う力に特化した『
「出来ます。と言うか出来ないと、僕は一生罪を償う事は叶わなくなってしまいます。ちゃんと蘇生を成功させて、改めてその人達や関連のある家族や仲間の方々にもしっかりとした謝罪をして初めて、罪を償ったと言えるのですから」
「(この他者に対する優しさと思いやり。ちっ・・・・・・マジで”あいつ”と似てやがる)・・・・・・その覚悟に嘘はなさそうだな。だがな?
・・・・・・リムルはそれを望んでいると思うか?」
「・・・・・・え?」
思わず出たその言葉に、僕は一瞬戸惑う。
「お前は、その覚悟を持って自分が殺めた人間どもを生き返らせ、しっかりと罪を償おうと勤しんでいる。だが、リムルはどう思ってるんだろうな?お前のように、敵になった人間共を生き返らせたいと思っているのか?『自分に立ち塞がるなら誰であろうと敵だ!』・・・・・・なんて言う奴が」
「・・・・・・」
戸惑うと共に、沈黙する僕。確かに、リムルがファルムス軍の兵達を良く思っていない事は分かっている。実際、死んで当然みたいに言ってたし。もし、僕がその旨を伝えたらリムルはどう思うだろう?恐らくだけど賛成される事は無く、止められるだろう。・・・・・・と言うか、リムルは人間に対してどう言う想いを抱いているのだろう?ギィさんも言ったように、リムルは敵対するものを差別化することは無く、”敵対関係になるのであれば、人間であろうと容赦しない”と言っていた。・・・・・・以前の彼(覚醒前)であれば絶対に言わなかったセリフだ。・・・・・・だと言うのに、彼は冷酷に軽々とそう口にしていた。まるで・・・・・・本当の魔王のように。
以前にも思っていた事だけど、改めて考えてみると・・・・・・僕とリムルの夢・・・・・・『人間と友好的な関係を築きたい』と言う夢は今でも変わってはいない。それは間違っていないはずなんだけど・・・・・・
リムルが今、どのような過程を持ってその道を・・・・・・その夢へと歩んでいこうとしているのかが・・・・・・僕には分からなかった・・・・・・いや、正確には・・・・・・
うーん・・・・・・。一度は自分自身で無理矢理解決したこの問題ですが、ギィに諭された事で再び考えさせられる事となってしまいましたね。エリスはリムルのことが好きですし、リムルもエリスのことが好きです。これは今もこれからも変わらないはず・・・・・・ですが、お互いの考えに相違があってはそれが崩れてしまう可能性も十分にあります。なので、今のうちに二人きりで話し合うなどをしておくべきでしょう。これまで共に生きてきた間柄の二人ですし、ちゃんと話し合えば分かり合えます・・・・・・きっと。
ちなみに、二人きりで会話をするのは、ここ最近ではしていません。最後にしたのは、第81話『募る違和感』の場面です。