メスになったカズマ   作:朝神佑来

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※はじめて日間ランキング入りしました。ありがとうございました。なんでだよ。


この素晴らしき少女に祝福を!

 この神器を手にしたものに、

 私の想いを届けよう。

 

 私の名は********……

 魔王討伐の任を受けてこの世界に転生しておきながら、人生のすべてをエロに費やした者である。

 

 私は、エロゲが好きだった。

 

 それも知る人ぞ知るようなドマイナーなやつ。

 DL販売しかしてないようなやつね。うん。

 

 不慮の事故により命を落とし、目の前に現れたのはかつて見たこともない絶世の美少女――その方より伝えられる、異世界転生の任。

 

 これはチャンスだと思った。

 そこには夢に想い描き続けた、ディスプレイの向こう側の世界があったのだ。

 

 私は自らの内に渦巻くありとあらゆる欲望を吐露した。

 女神はそこはかとなくドン引きしてくれた様子で、私にひとつの神器を授けてくれた。

 

 ――NPCとエッチなことしまくりたい。

 ――いやでもヒロインとするのもいいなあ。

 ――しかし待て、自分が女主人公になるのもいい。

 ――そうなった場合自分を襲ってくれるのは……仲の良いヒロインたちがいいなあ!

 

 とにもかくにもそんなようなことを延々と説き明かし続けた気がする。

 結果として私は神器を授かり、この世界に転生した。

 

 だが、私は――人生最後の日まで、気づくことはできなかったのだ。

 

 そもそも。

 人とコミュニケーションが取れる人間でないと。

 ヒロインどころか、いわゆるNPCとすら関わり合うことはできないのだと。

 

 

 人を発情させ、自らを美少女とする神器があったとしても――

 

 ――発情してくれる異性が、私の周りにはいなかったのだと。

 

 

 ……これを手にしたものに、私の願いを届けよう。

 

 どうか君が、コミュニケーション能力に溢れた、それはそれは愉快で元気な男の子であるならば……

 そしてあわよくば、女性、それも女の子の知り合いがそれはそれはたくさん居るような男の子ならば……

 

 反転した性別と、自分の体に戸惑いながら、【にゃあああ~~~お(音声加工担当・ちょむすけ)】で【んみゃぁあ~~(音声加工担当・ちょむすけ)】な【なぁ~~(ちょむすけ)】が【んみぃ(以下略)】【にゃああああ】【ふみゃぁぁぁああ】【しゃーーー!!!】【ふみゃーーーー!!!!】

 

 ――そんな人生を、送っていただきたい。

 

 

 まあそんな奴が本当にいたら、神器に宿って呪いに呪い尽くして、死んでも男に戻してやるものかってなるかな、うん。

 滅びろハーレム系主人公。お前さえメスになれば世界が平和になるんだよ。わかってくれよ、なあ、へへ、ケケケ

 クキキキキキキキキキキケケケケケケケケ

 

 

 * 

 

 

 「………………………はっ」

 

 全身からとめどなく汗を吹き出しながら、あたしは目を覚ました。

 

 なんか。滅茶苦茶恐ろしい悪夢を見た気がする。

 なんだ今のは。何だったんだ?

 身体中がじっとりと濡れていて気持ちが悪い。ええと……いったいどんな夢を見てたんだろう。

 

 「……あー…………っと…………」

 

 ……駄目だ。思い出せない。酷く恐ろしいような夢を見た気はするんだけどな……。

 全身が気だるく、やけに重たい。体を起こすこともままならない。

 あたしは今どういう状況なんだ?? 股の間が熱いようなどろどろしてるような……これはたぶん汗じゃない。お腹の奥からどすんどすんと鈍い痛みが走り続けていて、それがあたしから体力を奪っている。

 

 『カズマー? みんなもう起きてるわよー? はやく起きたらどうなのー?』

 

 ドアを叩いているのは……アクアかな……。

 駄目だ、反応しようにも――体が動かせない。お腹が……痛い……。

 

 

 「……カズマ?」

 

 しばらくしてから、戸が開いた音がして、複数の足音が聞こえてきた。

 

 「この様子は……おいカズマ、大丈夫か?」

 

 あたしの顔を覗き込むダクネスに、なんとか状況を伝える。

 

 「……なんか……なんかね……」

 

 「ああ、ゆっくりでいい。話せるか?」

 

 

 「死ぬほどお腹が痛い。やべー鈍痛がしてる。なんか下半身ぬるぬるしてめっちゃ気持ち悪い。歩けないっつか起きれない、まじなにこれ、やばい」

 

 

 「…………」

 

 あれ。

 普段ならここ、いや滅茶苦茶喋るじゃないかー、みたいな突っ込みが入るとこだと思うんだけど。

 

 「カズマ……そのー……」

 

 「なんだよめぐみんまで……なんでやけにそんなよそよそしいんだよ……カズマさんのピンチだよ……?? やっべーよ昨日何食ったっけ、なんかやべーもん食べたのかな、心当たり全くないんですけど」

 

 「……待っていろ。今、暖かいものを淹れてくる」

 

 ダクネスはそれだけ言って、足早にあたしの部屋を出ていってしまった。

 ……え、なにそれ。そんなささっと対応できる状況なのこれ?

 

 「あの……えっと……アクア?? ……アクアさん? 状態異常の治療とかって……」

 

 「できないけど?」

 

 「えっ」

 

 「まあ痛みを和らげるくらいなら出来るけど……どうせだし耐えときなさい。うん。それがいいわ。じゃ私はお赤飯炊いてくるから」

 

 おせき……?? 何を言っているんだこの女神は……??

 一体これの何がめでたいというのか。鈍痛で死にそうなんだけどあたし、なんで赤飯……なんて…………。

 

 

 ……その瞬間。

 

 前世から存在している疎い知識と、今の状況が僅かに符合したのを感じた。

 

 「……なあ……めぐみん」

 

 その場にひとり残っためぐみんに、縋るように声をかける。

 めぐみんは今まさにこちらが問おうとしていたことに関して、柔らかな微笑みを交え、先んじて答えた。

 

 「カズマ」

 

 「……はい」

 

 

 

 「カズマはですね。赤ちゃんを産める体になったんですよ」

 

 

 

 あたしは、その時。

 生まれてはじめて、心の底から絶望を覚えた。

 

 

 *

 

 

 「…………」

 

 ひとりになった。

 事態がのみこめず終始絶望しっぱなしでいたのだが、アクアもめぐみんもダクネスも揃ってどこかへ出かけてしまい、しんみりとした静謐の中で、漸くあたしは自分の身に何が起きているのかを理解する。

 あ、ベッドシーツと衣服は手遅れだったので替えてもらいました。毎月あれだけ出血するならそりゃ不調も起こるわな。

 

 今は自室で清潔なシーツに包まり、ぐびぐびと白湯を飲んでいる。

 しばらくほったらかしていた為、飲みやすい温かさに仕上がっていた。

 

 「…………はー……」

 

 立ち上がるのは難しいが、上体を起こしてベッドの上で何かをするくらいなら出来るくらいまでには落ち着いた。

 絶えず痛みはやってきているが、それにも次第に慣れてきた。

 

 そんな自分の体の不調を感じながら、あたしは……ふと窓の外を眺めて、ぽつりと独り言ちる。

 

 「……女の子なんだなあ…………あたし……」

 

 男に戻るとか、すでに手遅れかもだとか、そういうことはさておいて。

 この痛みと不調と、それに対する仲間たちの真摯で手慣れた対応に、改めてそれをひしと実感する。

 

 

 そうして一人の時間を過ごしていると、不意にこんこんとノックが聞こえた。

 

 『我輩である。注文の品を届けに参ったぞ、カズマ女史』

 

 「…………入ってきていいぞ」

 

 一発で誰かわかる声と言葉に、素っ気なく答える。

 返事を受けてバニルはドアを開けることなくずるずると床を這ってきて、あたしの隣でもこもこと人の形を形成した。

 

 「お待たせしたな、お客人。こちらが注文の品だ」

 

 「注文なんてしてないけど……ていうか、宅配なんてやってたっけ、おたく?」

 

 「無論、やっていない。しかしどうしても相手方の受け取りが難しいということで、ケースバイケースにて対応した次第だ。安心したまえ、別途サービス料を要求するなど小悪党じみたことはせんよ」

 

 バニルは小さな木箱をスーツの内側から取り出し、こんとベッド脇のテーブルに置く。

 

 「先刻、君のお仲間がうちにやってきてな。何やら見慣れぬ真剣な様相であったもので、わけを聞いたところ、君の容態をありありと教えてくれた。この品の会計もその時に済ませている」

 

 「みんなが? ……そうか。それで、これは結局……」

 

 「薬品だ。何本かの小瓶にわけて、箱に収まっている。故に、使用時以外に無闇に開けるのは止したほうがいい。揮発により効き目が薄れる可能性があるからな」

 

 「薬品……あー……」

 

 痛み止め……だろうか。

 ……あいつら、こういう時はマジで助かることしてくれるのな……。

 

 「痛むならすぐさま服用してもかまわんぞ。かなり質の高いものである故、効果はすぐに表れる筈だ」

 

 「ありがと……ならさっそく」

 

 あたしは木箱を開け、中に納められた小瓶を取り出すと、それの中身をこくんと飲み込む。

 

 「……こういう物に世話になるのはこれっきりだといいけどなあ……」

 

 「はてさて、それは我輩のあずかり知らぬところだが。以前君が心の内に描いていた元に戻るための算段――あれは、結局のところ実行可能なものであるのか?」

 

 「あー……それなんだが……」

 

 あたしはそこで、この神器が生まれた経緯と、これが持つ性質を説明する。

 曰く、転生者への特典として創られたものであり、発動には人一人では到底まかなえないような莫大な性欲が必要になる。といったことを。

 

 「つまり、君が生きている間はそれの再発動は非現実的……といったところか?」

 

 「そうなる……。駄目もとで聞くんだけど……性転換のポーションとかは……ない?」

 

 「あるにはあるが、あくまで一時的なものになる。その結果男に戻ったとしても、暫くすれば女の体に戻ることになる可能性が高い」

 

 「そうなるかぁ……」

 

 そんな話をしていると、薬が効いてきたのか、すうっと痛みが消えてきた。

 全身にどっしりとのしかかっていた重りが消えたような感覚があって、両腕や両肩、腰から足に至るまでがふわりと軽くなった。

 ぐるぐると肩を回し、見える景色がまるで変わったのを堪能する。

 

 「おお、おお! 凄いなこれは! みるみる楽になってきたぞ!?」

 

 「フハハハハハ、当然だ! 何せこの我輩が手ずから選んだ商品だからな! しかし無理な運動は止しておけよ、あくまで感じなくなるだけで痛みそのもの、負担そのものは残っているのだからな、うら若き、少、女、よ!」

 

 「ははは、クソ、ぶん殴ってやりてえ」

 

 最近やけに優しいなと思ったらこれだ。やっぱりバニルはバニルだった。バニルクオリティめ。 

 しかし無理は体に祟ると自分でもよくわかっている。ぐっとこらえてベッドシーツを握るのだった。

 

 

 「ところで、その神器に関してだが」

 

 「ん? ああ、アレならどっか引き出しに入れてたと思うけど。アレがどうした?」

 

 「うむ。破壊はしないのか、と思ってな」

 

 破壊? そんなことをしたら元に戻れなくなるんじゃないのか?

 問うより先に、バニルはその提案の理由を話す。

 

 「君の性転換の原因はその神器にある。短絡的と思われるやもしれないが、神器が存在する限りその効果が持続するならば――いっそ破壊してしまえば、元に戻るのではないかと思ってな」

 

 「……――――」

 

 目から鱗の意見だった。

 性転換を行うにはあの神器が必要不可欠――そうとばかり思い込んでいたが……。

 そもそもあれがなければ、あたしは女になることはなかったのだ。

 

 「そうか、あれがあるから今の事態があるわけで……壊す、壊すか」

 

 いつ発動できるかもわからないまま、性欲を集め続けるより――その方が確実に、かつすぐさまあたしは元に戻れるんじゃないのか?

 元に戻るためにはそれが必要不可欠だと思っていたが、そもそもあれがなければこの事態は起こらずに済んだという逆説的な発想は、間違いなく自分ひとりでは至れなかったものだ。

 

 「もっとも、賭けだがな。それに破壊するにしても神器だ、並大抵のことでは壊れまい」

 

 「いや、ぶっ壊すなら専門のメンバーがいる。一日一発限りではあるけどね……」

 

 「……成る程。悪くないのではないか? ただし、くれぐれも自己責任で――だがな」

 

 なんだか最近やけに親身になってくれているバニルの言葉を、半分頼りにしつつ、もう半分でむず痒く思いつつ。

 あたしはぺしんと自分の胸を叩いて示す。

 

 「あたしを誰だと思ってる。お前やベルディアにハンス、それからシルヴィア……数多の魔王軍幹部と渡り合い、そして打ち破ったカズマさんだぞ? この程度のことなんざ、軽く乗り越えてやるさ」

 

 「その心意気やよし! ……期待しているぞ、カズマ。では我輩はこれにて」

 

 入るときは土だったのが、帰るときはすたすたと歩いていくバニル。ドアノブに手をかけ、そのまま去るかと思いきや……くるりと振り向き、あたしの方を見た。

 

 「あ、そうそう……何やら来客の気配だ。歩けるようなら出迎えてやるがよい。それではな」

 

 「あー、わかった。……何から何までありがとうな、バニル」

 

 改めて部屋を後にする性悪悪魔に、あたしは小さく手を振った。

 

 

 …………。

 

 期待するって……何にだ?

 ……まあいっか。

 

 

 *

 

 

 「すうー……はあー……っ!! 大丈夫、大丈夫よ私……! 何も、何も難しいことじゃないわ、ちゃんとお土産も用意したし、お友達に会うだけ、お友達に会うだけだから……!!」

 

 (……)

 

 ゆんゆんだった。

 屋敷の門の前で何度も深呼吸を繰り返している。うちには今あたししかいないのだから、気にせず入ってくればいいものを。

 

 (いや、あたしと二人っきりってのもそれはそれで緊張するもんなのかな。……うん、男のあたしだったら間違いなく緊張するな)

 

 窓越しにゆんゆんの姿を眺めつつ、そこに反射して映る自分の姿も見てみる。

 まあ…………かわいいと、思う。うん。かわいいよ。かなりかわいい。こいつがサトウカズマであることを除けば引く手あまたの有料物件だろうと思う。

 こいつがサトウカズマであることを除けば……。

 ……。

 

 (……今なんかひどく他人行儀っていうか、自分じゃない自分の考えがあった気がするな……?)

 

 うーん、改めて不味いな、自分。すんごい人格の乖離が始まってる気がする。

 一人称も俺だとすげー違和感覚えるようになっちゃったし。早いとこめぐみんに頼んで神器をぶっ壊してもらう必要があるか。

 

 「た、たのもーー!!? カズマちゃーーん!!!」

 

 そして聞き捨てならない呼び掛けが聞こえた気がして、あたしはのそのそっと屋敷の門の前まで出ていくのだった。

 寝巻き姿でやってくるこちらを確認し、はわはわと赤面して悶えるゆんゆん。

 んー、なんか見たことあるなこの反応。

 あれか。ゆんゆんも親しい間柄としてカウントされたやつかな。

 

 「どうしたゆんゆん。あたしは今絶賛腹の内膜がべりべり剥がれて流れ出るえげつない症状に見舞われている真っ最中なんだけれど。そしてどうかちゃんづけは止してほしい、サトウカズマの名誉のために」

 

 「あっ、え、ご、ごめんなさい……え? それって……え!?!? ご、ごめんなさいっっ!? そんなっ、私かなり無理させちゃったみたい!!?」

 

 「あーーいや、無理はしてないよ。薬でだいぶ楽になってるからさ……それで、今日はどしたの」

 

 「あ、えと、うん、その……な、なんでかなー……今日はその……カズマ……さん? に……会いたくなっちゃって……」

 

 あらやだ素直。男のあたしが聞いたらモテ期の再来に親指立ててたことだろうな。

 クリスといい、存在しない性欲の顕現により自分に素直になってしまうというか……嘘がつけないタイプなのかな。

 とはいえあたしも元は男である。深くは掘り下げようとせず、きい、と門を開いて招く。

 

 「いいよ。あたしも、他のみんなが出掛けちゃって……ひとりで寂しかったところだし」

 

 「…………あ……うん……」

 

 赤面したまま、もじもじしながら頷くゆんゆん。

 それから小さく「おじゃまします……」と呟き、

 

 「……あ、あの、それとね……その」

 

 「? どうしたの?」

 

 ゆんゆんはずいっと顔を近づけ、また違った様子の興奮を示しつつ問いかけてきた。

 

 「『みんみん』って……呼んだ方がよかったかな!?」

 

 「…………それよりはカズマちゃんの方がいいかな」

 

 ゆんゆんは普通にショックを受けた顔をした。

 

 

 *

 

 

 「…………」

 

 「~~……っ…………~~~~っ」

 

 ところ変わって室内。

 あたしとゆんゆんは二人で暖炉の前のソファに腰掛け、ゆったりと休んでいた。

 

 というか、あたしが座ってたらおもむろにゆんゆんが隣に来た。

 相変わらず顔は真っ赤でもじもじしたまま。でも距離は縮めたい、近くに居たい。そんな感じの様子で。

 基本的にハイドアンドシークが常の彼女がこうも大胆なのは……股間に出現してしまったダイナマイが後押ししているのだろうか。

 

 (あれか。自分の中の欲求の正体に気付けないまま、それに押される形で行動してる感じか。……小さい男の子が登場するエッチな本で見たことある気がするな、こういうやつ?)

 

 処女もとい童貞であるあたしは耳年増の体現である。フィクションになぞらえてではあるが、なんとなーく今のゆんゆんが考えていることがわかる気がしていた。

 

 「……か、体は……その……どう? カズマ……ちゃん?」

 

 「カズマでいいよ、ゆんゆん。今は同じ女なんだし。……まあ、戸惑ったし、滅茶苦茶痛かったけど……元からうちには女が三人もいるし、対応は素早かったというか、だいぶ助けられたかな」

 

 「そ、そんな!? いくら性別が変わったからって、急に呼び方を変えたらうわー露骨に距離縮めてきたーみたいに思われたりしない!?」

 

 「……肉体的な距離は既にだいぶ近いと思うんだけど?」

 

 「あっ――それは……その……ぅ…………」

 

 その指摘にゆんゆんは俯き、くっつけた両手の人差し指をうねうねもぞもぞとうごめかす。

 それから、視線だけをこちらに向けて、上目遣いに。

 

 「なんだか、その…………離れたく……なくて……」

 

 は? 何だこいつ。かわいいの権化かよ。

 

 「ならしょうがない。それならあたしの方から近づいてやろうか、ほーれほーれ」

 

 「あ……っ!?」

 

 ゆんゆん、というか女の子のこーいう反応が見れるのは新鮮も新鮮だった。こう、存在しないはずの性的欲求に悶々としつつも受け入れちゃってる感じというか。

 そうそうこういうのがいいんだよと頭の中で孤独なグルメ的感性がウンウンと頷いている。他の連中はどいつもこいつも順応しすぎだと思う。生えたから襲おうって発想に至る女神にいたってはなんなんだよあいつほんと。

 あたしはあたしでより距離を近づけて、ぎゅむっと太腿と肩同士がくっつくくらいまで近づく。

 

 「~~~っ…………」

 

 ゆんゆんは驚いた様子でびくっと小さく体を跳ねさせはしたが、拒んで離れたりはしなかった。

 

 

 ……互いに口を閉ざした時間が過ぎていく。

 

 重苦しいものではなかった。

 ゆんゆんの体温のぬくもりが伝わってくる。

 本来なら異性とくっついている状況、鼻の下を伸ばして喜んでしかるべきなのだろうけど。

 あたしはあたしで、別なことを考えていた。

 

 ――ずっと、不思議だったのだ。

 

 世間の連中は当たり前のように異性と付き合い、当たり前のように体を重ね、当たり前のように大人になっていった。

 映画やドラマでもそういったシーンはよく見たし、その度にいまいちよくわからなかった。

 

 こう。

 ……『はじめていいタイミング』って、何なんだ? と。

 

 言わずもがな男性と女性の性的欲求は別のものである。

 男のそれは好きなときに発散できるが、女のそれはやけに波がある。

 ワタクシ男なんて大嫌いですわよという顔で大通りを往くマダムでも、夜にはベッドであひんあひん乱れている。

 その移り変わり、切り替わり――互いの想いが交錯し、一致するタイミングとはいつなのか。

 

 もっと端的に、そして身近な言葉で言えば。

 

 童貞卒業が開始されるタイミングとは、いつなのか、と。

 

 

 (わかった)

 

 口にはせずとも、しきりにこちらを求める、親しい仲の存在。

 それと過ごす何気ない時間。二人っきりの時間。静かな、ひととき。

 

 はじめてもいいだろう、と。そう思ってしまう、その瞬間。

 当たり前の日常から、地続きに非日常へともつれていくことが叶う瞬間とは。

 

 

 (今だわ)

 

 

 いやしないけどな。

 それはそれとして堪えようとして堪え切れてない様子のゆんゆんはあまりにかわいい。

 お前の終生のライバルはさっさと自分で処理できたというのに、この子は全く。わざわざ会いにまで来るとはな。

 ほんとにいじらしく可愛いやつだ。悪いやつに騙されたりしないだろうか。いっそあたしがこいつと結婚して身持ち固めてやろうか。いろいろ考えていたところに、不意にゆんゆんがぽつりと呟いた

 

 「……カズ、マ……は……大変、だよね……」

 

 「……?」

 

 どうしたのだろう、今更。

 

 「大変だよ。身ひとつでアクセルの街に放り出されて、癖しかねえメンバーが集まって、そいつらと一緒に冒険して。何故か魔王軍幹部は来るわ何故かデストロイヤーは来るわ、何故か投獄されるわ旅行先には何故かまた魔王軍幹部がいるわ……」 

 

 うん、マジで大変だよな、あたし。しかも女にまでなったし。

 

 「あ、えっと、そうだけど、そうじゃなく……その。……欲求……っていうかさ……。今は、女の子の体で大変だと思うけど……それより前も、こうやって……我慢してることも多かったのかな、って……」

 

 ……あー。なるほど。

 視線を下に向ければ、ゆんゆんは片手でスカートを必死に押え込んでいた。ぎゅうっと押えつけている先には、まあ……アレがあるのだろう。ミニスカノーパン女神が隠そうともしてなかったやつが。

 ソレが生えてはじめてわかる、男の欲求。あたしが撒いてしまったものであるそれがもたらす欲求を、ゆんゆんは理解しようとしてくれているのか? 

 

 「まあ、少なからず……。普段はそりゃ、気にならないんだけどさ。時折そうやって、他のことが何にも考えられなくなるくらい主張してくる時があって……まあ、とにかく大変なんだよ。世の男連中はみんなそれと付き合ってんだ」

 

 「……そっかぁ……」

 

 「特に厄介なのは……誰かひとりのことしか考えられない時だよな。発散しようにも他の子のことが考えられなくてさ。でも、そのひとりのことを考えると、すっげえ悪いことしてる気分になってさ。翌日にはなんてことなくなってたりして……難儀なもんだよ」

 

 「…………」

 

 こくこくと頷いて答えてくれるゆんゆん。

 ……こんな状況で誰かの気持ちになって考えられるとは。

 

 「ねえ、ゆんゆん」

 

 「……うん?」

 

 そんなゆんゆんの態度は、あたしが誰かにしてほしかった対応でもあるために。

 あたしもまた、ゆんゆんの気持ちになって、言ってもらいたい言葉を伝えることにした。

 

 「あたしは……いいよ。別に」

 

 「……いい……って、何が……? えっ?」

 

 「だからー……そのー……」

 

 全部を受け止めることは……難しいけれど。 

 

 「……こう、別に。触られる、くらいなら…………」

 

 うっっっわ恥ずかしいなこれ。世の男子諸君の誰もが言われたい言葉ランキングベスト3の内3位ぐらいには入るだろうけど。

 ちなみに2位は「この機動――奴は化け物か!?」で、1位は「ああいうのはな……『鬼神』って言うんだよ」だ。

 いかん自分でも恥ずかしすぎて何考えてんだかわけわかんなくなってきたぞ。混乱するあたしをよそに、何か踏ん切りがついたらしいゆんゆんの体がのしっと動き、あたしの両脚をまたぐ形でゆんゆんが膝立ちになった。

 あたしと向かい合い。その豊満なモノをたゆんっとゆらし、両手はあたしの肩に置いて。

 

 いつになく真剣で、格好いいとすら思ってしまうような……そんな眼差しで、あたしを見つめて。

 

 「じゃあ――じゃあ。こういうこと……しても?」

 

 その姿に、あたしは圧されてしまう。

 

 「え、あ、う、うん……うん!? え!? どういうことするの!?」

 

 何をされるんだかほんとにわからなくて、ふるふると頭を振ってあちらこちらに視線をやるあたし。

 その肩からゆんゆんの手がするりと離れて、そっとあたしの髪を掻き分けて、細い指先が、うなじのあたりへ撫でるように移動して。

 顎の付け根に手のひらが。くい、と持ち上げられて、顔が上向いて。

 その先には、ゆんゆんの顔があって。

 

 「こ…………こういう……こと…………!!」

 

 あっ、まずい。これは、やばい。

 いや、何がって。何がまずいって。

 

 逆らえないのが。この一瞬で受け入れちゃってるのが。

 いちばん。

 まず――――。

 

 

 

 「ただいまーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」

 

 

 バァァアアンッッ!!!!

 

 

 「待たせたわねカズマ!! 七難八苦の末に手に入れたわよ、アズキをっ!! これで赤飯が炊けるわ!!!」

 

 「アクアアクア、もうちょっと丁寧に開けましょうよ!? 壊したら修理費がってアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!?!!!? ゆんゆんアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

 

 「うるさいわね、おんぶしてあげてるんだから耳元で叫ばなアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!?!!? カズマアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」

 

 「おい……どうした二人とも、突然揃って叫び声をあげ」

 

 

 「あっ」

 

 

 まず、帰宅したアクアのアホみたいな声。

 続けて聞こえたのが、めぐみんの叫び声。

 その次に、アクアの叫び声。

 最後に、ダクネスのものと思われる、誰かが卒倒して倒れた音。

 

 

 ソファに座るあたしの背中と、それに重なっているゆんゆんの姿が見えたら。

 そりゃあ………………そんな反応になる……よな。

 

 

 「あ、あのっ、めぐみん? これはね、そのね、ちがう、ちがうのよ、そのっっ」

 

 「~~~~~~~~~~~~ッッッごゆっくりぃいいいいいいいいいい!!!!!!!!」

 

 「あああああああああああ待って待って目を逸らさないでせめて怒ってええええええ!!!?」

 

 

 

 *

 

 

 

 あー恥ずかしかった。あんな経験二度と御免だ畜生。

 男に戻るため、あの神器を破壊する決意をさらに強めたあたしは、戻って来た三人と……ついでにゆんゆんにも、元に戻るための算段を説明することにした。

 

 「あれを破壊? 思い切った発想ね……けど、悪くないんじゃないかしら」

 

 「成程、大本がなくなってしまえば効果も消え失せるというわけですか」

 

 「そういうこと。そのためにめぐみんのエクスプロージョンをお借りしたく……」

 

 「そういうことなら協力しますよ。いつまでもカズマがこのままじゃあ色々と落ち着きませんし」

 

 めぐみんはぽんと胸を叩き、了承してくれた。

 

 「わ、私も協力するからねっ!? 火力が足りなかったらガンガン足すからねっ!!」

 

 「あ? 遠回しに私の爆裂魔法じゃ不足だと言っているんですかこのヤリ【ッチーン♪】、生理中の女性すら構わず襲うケダモノのくせをして」

 

 「襲ってないしヤってないわよ!! 否定できる点がそこしかないのがいちばん辛いけど!!!」

 

 そしてゆんゆんの協力もなし崩し的に得られた。

 あとは明日、改めて破壊作戦を実行するのみだ。もふもふと赤飯を口に運びながら、あたしはアクアとダクネスに今日何をしていたのかを聞いてみる。

 

 「ねえ、アクア、ダクネス。あたしに薬を買ってくれた後、何してたの?」

 

 「ん? ああ、アズキ確保のためにアズキセイヴァーと戦ってたのよ。強かったわ」

 

 ……アズキセイヴァー??

 

 「何それ……聞いたことない名前だけど、モンスターなの?」

 

 「世界各地を放浪しているはぐれモンスターの一体でな……魔王軍とは関係のない存在だが、暴れまわって被害をもたらすため討伐依頼が出ているんだ。丁度アクセルの近郊に来ていたそうなのでな、依頼を請け負ったというわけだ」

 

 「ふーん……倒せたのか?」

 

 「勝ちはしたわ。説得って形になったけど。アズキを持って帰ってきたのが何よりの証拠よ」

 

 「説得って。モンスター相手に何を話したんだ……?」

 

 「ありのまま。女の子になっちゃった男の子がウチにいて、その子が大人になったから、そのお祝いにアズキが必要って」

 

 「…………アズキセイヴァーはなんと?」

 

 

 「『アリだな』……とだけ言って、アズキくれて帰って行ったわ」

 

 

 何なんだ、アズキセイヴァー。

 

 「しかし、強敵だった……めぐみんのエクスプロージョンを受けても、すぐ新しい顔になって復活するんだ。その上奴の武器は素手と足――私も、徒手空拳に圧される経験など滅多にしたものではない……」

 

 ……ん? 新しい顔? 素手と足?

 

 「徒党を組んでるかと思いきや一体だしねー。愛と勇気以外に友など不要とかなんとか格好いいこと言ってたけど」

 

 「おいちょっと待て、お前らいったい何と戦ってきたんだ?」

 

 「それでも、私たちの為に命そのものであるアズキを分けてくれて……ああもやせたかなしい姿になってまでアズキをくれるとは。モンスターではあるが、武人だった……」

 

 「ええ……本当に。あの、やせたかなしい背中は忘れられそうにないわ」

 

 「お前らほんとにいったい何と戦ってきたんだ??」

 

 すげえ気になる、アズキセイヴァー。

 

 

 *

 

 

 翌日、明朝――アクセル近郊の草原。

 見晴らしもよく、お日柄もよく。絶好のエクスプロージョン日和に、あたし達は集った。

 

 「……思えば、随分長い日々だったわね……」

 

 土の上にこんとあのアミュレットを置き、あたしはそう独白する。

 もう自分の口調も一人称も元のものを忘れ去ってしまったが、それも今日で終わり。

 これが終われば、あたしはいつものサトウカズマとしてここに居るのだろう。

 

 「めぐみーんっ、準備はいーい?」

 

 『いつでもーーーっ』

 

 遠方に立つめぐみんと連絡を取り合い、あたしは急いでその場を離れる。

 

 (……さようなら、謎のアミュレット)

 

 走り去りながら、奴のことを思い描く。

 

 (お前がくれたここ数日――死ぬ程大変だったけど、悪くなかったよ……)

 

 アホほどの出血を伴う腹痛はこれっきりにしたいけど。いやまだ続いてるけど。

 それもこれも全部男に戻れば解決なのだから楽しむ……楽しむ? として。

 

 「さあ、それでは始めますよカズマっ。とくとご覧あれ!」

 

 「ああ、頼むよめぐみん。それにゆんゆん!」

 

 「はいっ。ありったけを――かますわよ、めぐみんっ!」

 

 「言われずとも――!」

 

 

 ――そして、二人の紅魔族による詠唱が始まった。

 

 宙に描かれる魔法陣。それを眺めるあたし。

 腕を組んで深刻そうな顔で見つめるアクア。固唾を飲んで見守るダクネス。 

 

 「私さ、思うわけよ、かずみん」

 

 不意にアクアが口を開いたかと思いきや、あたしに話しかけてきた。

 

 「なんだアクア。その呼び方は今日ってか今っきりになるけど」

 

 「いや、今のあなたって男のときからステータスが反転してるわけじゃない? 幸運以外がめちゃくちゃ高い、私みたいな状態でしょ?」

 

 「……まあ、そうだけど。それがどうしたの?」

 

 

 「魔王討伐、今のほうが戦力的にやりやすくないかしら」

 

 「今になって男のあたしをボロクソに言うの止めてくれない??」

 

 

 「いや、そうは言うが……私たちのパーティは戦力と言うか、決定打を持つものに欠けるというか……」

 

 「お前まで賛同するのかダクネス!? あたしだって好きでそんなステータスになったわけじゃないんだけど!? ちゃんと司令塔として活躍してたよね!? ってかクルセイダーだろお前、お前が持つべきもののはずだろ決定打って!?」

 

 「戦うとなると基本めぐみんの一撃頼りになっちゃうのよねー……いっそこのまま女の子でいてくれた方が強い気も」

 

 

 

 「エクス!! プローーーーーーーーーーッジョン!!!!」

 

 「ライトオブ……!!! セイバーーーーーーーッ!!!!」

 

 

 

 そんなことを言い争っている後ろで、閃光と爆炎が轟き渡る。

 ばたばたとはためく服と髪。ぶるんぶるんと揺れる胸。ああ、この感触とも――次の瞬間でおさらばなのだろう。

 さらば――あたしのおっぱい。

 もっと揉んでおけばよかったかもしれない。そんな小さな後悔を、大きな胸に抱く。

 

 

 

 

 「………………」

 

 

 

 「……………………うん?」

 

 

 

 「…………あの、アク――」

 

 「なくなった――!!!!」

 

 「ア?」

 

 「なくなった!! なくなったわよカズマ!! 私の【ッチーン♪】コ!!! 綺麗さっぱり消えちゃったわ!!」

 

 「お……う? それは……よかった……な?」

 

 「わ、私のもだ……! 最後まで情欲を吐き出すこと叶わなかったが――んっ……! このもどかしく至らない感覚も、また……たまらんっ……!!」

 

 「……よかったな。お前は生えててもなくても大して変わってなかったけどな……?」

 

 

 「カズマー!! カズマ、カズマ!! なくなりましたよ!! やはり、あの神器を壊せば神器がもたらしたものは全部元に戻るようです!!」

 

 「私のも……! よかったあ……!! これでカズマ、んっ、カズマさんにご迷惑をおかけしてしまうこともなくなり――ま…………あれ?」

 

 

 「…………」

 

 

 みんなの視線が突き刺さる。

 

 顔に。

 胸に。

 足元に。

 

 「……カズマ……いやえっと」

 

 「…………かずみん?」

 

 

 ……止めてくれ。

 

 その名で――あたしを、呼ばないでくれ。

 

 

 「ふむ。やはり戻らなかったか」

 

 「……!!」

 

 困惑するあたしの隣に、すたすたと歩いてくる悪魔が一体。

 

 「おい……これはどういうことだバニル……!!? 壊せば元に戻れるんじゃなかったのか……!?」

 

 「我輩は、『かも』と言ったのだ。そして『賭け』とも言った。保証など最初からしておらん。それに戻ったのは事実だろう? こやつらに付け足された部位は消え失せたのだからな」

 

 「ッッならなんであたしがあたしのままなんだ!? どういうことだよバニル!!? なんであたしだけが元に戻ってないんだよッ!!?」

 

 「決まっているだろうそんなもの。陰陽反転の事象が、神器に依るものではなく貴様自身の魂に依るものに成り替わったからだ。貴様自身の魂が、そのものが女のそれに移り変わったからにすぎん。いやはや、全く! 人間の順応とはまったく、末恐ろしいものだな! フハハハハハ!」

 

 「…………」

 

 ――たった今、思い出した。

 

 こいつ。あたしが寝込んでた時。これの破壊を決めたとき。

 『期待している』って。

 言ってやがったな?

 

 「バニル――お前――まさか…………最初から――」

 

 「おっと、そのような顔をするなかずみん。その物品に我輩は絡んでおらん、あくまで貴様と店主が始めたことだ――その結果、貴様が名実ともにメスになっただけのことだろう? ……フハ、フハハッ! っ、だから、だからそう……フハハっ!! そう絶望するでないわ!! 腹が!! 我輩の腹が膨れすぎてしまうっハハハハハハハハハハ!!!! アッッハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!」

 

 

 

 「ブァァアアアアアアアアアアアアニィイイイイイイイイイイイイイイイイルウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

  「――貴様の悪感情ォオオオオオオオ!!!! ンンンンンン美ッッ味でああああああるゥウウウゥゥウ!!!!! フハハハハハハハハハハハハッッッ!!!!!」

 

 

 父さん――

 母さん――

 

 あたしは……。

 

 

 ――何を失い……何を手に入れたのでしょうか…………?

 

 

 

 

 

 

 

 『メスになったカズマ』

 

 

 (了)

 

 

 

 

 

 

 

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