森近霖之助は困っていた。お茶を勝手に飲まれ、商品を売ればツケにしてきた博麗霊夢と霧雨魔理沙が今度は鍋を勝手に食べに来た。
鍋と一緒に酒を飲み酔いつぶれる2人だが、魔理沙の様子がおかしく…?

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はじめましてミツヅリです。
初めてこういったサイトを使うので戸惑っていますが、これから短編・連載関わらず、徒然と書いていこうと思いますので、よろしくお願いします。



恋知らぬ霧雨の魔法使い

「まだ準備できないのかよこーりん!もう背中とお腹がくっついちゃうぜ!」

「そんな子供みたいなこと言って、少しは手伝ってくれてもいいんじゃないか?」

今この僕の家に来ておいてタダ飯しようとしているのは霧雨魔理沙、僕の店の物を死ぬまで借りたりマジックアイテムの作成を依頼してはツケ払いばかりしている正真正銘の悪童である。

「そうよ。私を見習って少しは手伝ったらどうなの?」

「私は材料持ってきたからいいんだぜ〜」

今僕の横でキノコを切っているのは博麗霊夢、博麗の巫女であり、魔理沙を超える赤白模様の悪童。

 

鍋をするとポロッと零したらこれである。喧騒は好まないのだが、目の前の煮えたぎった鍋の魔力には抗えない。結局3人で鍋を囲む形になった。

 

「僕は一人鍋が好きなんだけどね」

「一人鍋なんて寂しいだろ」

「そうよ霖之助さん。鍋は囲むから楽しいんでしょ。」

「好きに楽しませてくれよ…」

寒さをやらわげようと日本酒を注ごうとするも、肝心の酒瓶が見当たらない

がしかし

この悪童2人らは何食わぬ顔で僕の酒瓶を奪い自分らのとっくりに注いでいる。

はぁ

ため息の1つや2つや3つや4つ程つきたくなるが心底嫌ではない。そんな自分を少し不思議に感じる

「君たちそろそろお茶代くらい払ってくれないかい?結構溜まってるんだよ?」

「こーりんその肉食べないのか?貰うぜ」

「私も貰うわよ」

「早く食べないと全部食べ尽くしちゃうぜ?」

「君たちさ…」

本当に食べ尽くされそうである。危険を察知し、僕も鍋に箸を伸ばす。

この2人、食べるペースもさることながら飲むペースも尋常ではない。

さながらウワバミのように、既に僕から強奪した一升瓶を空にしている。

ちょっと引きそうだ

「君達はよく宴会しているらしいけど、それって紅魔館のお嬢様とか鬼とかが来てるのか?」

「あぁ、他にも仙人やら妖精やら来てるぜ。妖怪神社様々だな。」

「道理でよく呑むわけだ」

「ん?」

「いや、君たちびっくりするくらいお酒のペース早いからね。でも妖怪と日常的に呑んでいるなら分かるかな」

「そんなに早いかしらね」紅白の方の悪童が反応する

「かなり早いよ」自覚ないのか

「ふ〜ん」

「そんなことより新しい具材入れてちょうだい霖之助さん。」

「本当に君たちは人使いが荒い」

 

その後つらつらと時間は過ぎ、空の一升瓶は増え、鍋は僕と酒に飲まれた悪童で囲まれている。

「うぃ〜霖之助さん〜」

完全に酔っている

「めんどくさい酔っ払いだなぁ」

「私〜ちょっと水飲みたいんだけど〜」

「玄関をから見て右手側に井戸があるよ」

「は〜い」

霊夢がふらふらと花の様に歩いている。幾度の異変を解決しているといっても体は少女。彼女からは質量的な軽さと幼さを感じる。

 

部屋には今黄色い方の悪童と僕だけ

思えば魔理沙とはかなりの付き合いだ。

人里の霧雨の旦那に隠れて僕に話しかけている姿が未だにありありと目に浮かぶ。それが今では人の家に押しかけ、鍋をつつき、酒を奪う。随分と成長したものだろう。それが果たしていい方向になのかは言うまでもないのだが。

「ウ-ン」

唸っている。夢でも見ているのか

「こーりん…」

僕?

「こーりん…好きだぜ」

そりゃ困る。大変だ。

顔が熱い。きっと酒と人の想いを盗み聞きした罪悪感からだろう。鏡はないが、きっと真っ赤に違いない。

「君の思いは嬉しいよ」

でも

「でも駄目なんだよ、魔理沙」

「僕は半妖だ」

「そんなの関係ないぜ」

真っ赤な顔とそれと同じくらい真っ赤な目でこちらを見ている。

意識あったのか、参ったな

「困ったな…君、今酔ってるだろ」

「酔ってない!」

「嘘つけ」

「本当に君の思いは嬉しいんだよ。魔理沙。でも僕は半妖だ、妖怪では無いけど君の何倍もの寿命があるんだ。」

「君が僕と一緒になったとしても、一瞬で時間は過ぎ去ってしまう」

「それは僕にとってこの上なく辛いんだ」

「君は僕にとってとても大切な人だ、だからこそ君は僕と一緒になるべきではないと思うんだ」

「ぬぅぅう…」

「じ、じゃあ!私が魔法使いになってやる!魔法使いになって自分の寿命を伸ばしてやる!」

「それでいいだろ!」

魔理沙が霖之助に詰め寄る。真っ赤に潤んだ目は朦朧としながらもまっすぐと霖之助を見つめている

それとほぼ同時に大幣が魔理沙の首をはたく。魔理沙が畳の上に崩れ落ちる。

「悪いわね霖之助さん」

「いや…むしろありがたいよ」

そこには紅白の悪童はなく、紅白の巫女服を着た《博麗の巫女》が居た。

「酒の勢いとはいえ、人間が人間でなくなろうとしようとするのはここのルールに反するわ」

「そうだろうね」

「とはいえ強く叩き過ぎでは?」

「大丈夫よ峰打ちだし、それとお酒大分入っているから今日のことは明日には忘れてると思うわ」

「わかった、ありがとう、今日はここでお開きだろうね。魔理沙を連れ帰ってくれよ」

「えぇそうするわ、ありがとう霖之助さん。お鍋、美味しかったわよ」

「おやすみなさい」

「あぁ、おやすみ」

魔理沙は人間だ。危うく儚く短く弱い人生を送る。

霖之助は半妖だ。しぶとく長く強い人生を送る。

「私も霖之助さんと同じよ」

冷たい幻想郷の風を全身に受け、魔理沙を担いだ博麗霊夢は呟いた

「君には幸せになって欲しい」

真っ赤になった顔と目を擦り、霊夢を見つめて森近霖之助は呟いた


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