TS転生して、貰ったチート能力はカスケード・ハート 作:うまっ♪
主人公の容姿はカスケードがウマ娘になったのを皆さんで想像してください。
主人公は徐々にカスケードに近づかせたいなと思います。
正直、長くは続かないだろうが、自分の現状を確認するため日記を書くことにした。
現在、俺は六歳。二週間前に高熱を出して寝込んで前世の記憶を思い出した。
どうやら、俺の前世は日本人のオタクだったようだ。
幸いにも転生した世界は、前世と同じく現代の日本。
特撮ヒーローに出てくる悪の組織や人類に敵対的な地球外生命体も居ない平和な世界ではあるのだが。
ーーウマ娘って、何ですか?
いや、理解はしている。既に知識はある。
俺が転生した世界には、競馬とアイドルが合体したようなショーを行うウマ娘と呼ばれる人種がいる。
そして、俺はウマ娘に転生。
かなりのカッコいい系のウマ娘となった。
だが、俺の名前がちょっと待てと言いたくなる名前だった。
「カスケード! キャロットケーキ出来たわよー」
「今行く、母さん!」
そう、俺の名前はカスケード。
チート能力は前世の競走馬の知識と成長チート。
そして、
『ーーまだだ、まだオレは走れる!!』
「分かってる。オヤツを食べたら走るから」
頭の中に聞こえてきた、玄○哲○ボイスに俺はそう答える。
子供の頃に見ていたアニメ。カスケードの声が、確かにオレには聞こえていた。
カスケード・ハート。
このチート能力は、カスケードの想いと経験と知識を得られる。というもので、時折聞こえる声は自動で再生されるだけで、本当の魂が俺に憑依している訳ではないらしい。
「あー、でもカスケードか」
マキバオーはアニメ。しかもかなりうろ覚えだけど、この世界にもいるのだろうか?
ミドリマキバオー。いや、うんこたれ蔵。
「……そんな名前のウマ娘、居るわけないな」
顔面偏差値が高いウマ娘達にそんな名前をつけようとしたら、名付け親は八つ裂きにされるだろう。
世界を見渡せば、地域によってはウマ娘は神の言葉を伝える存在。とか巫女みたいな立ち位置だ。
だから、仮に白い奇跡、マキバオーがいるなら、ミドリマキバオーで名前が登録されてるだろう。
「……マキバオーか」
子供の頃に見たカスケードとマキバオー達の最後の一戦。
欠けてる部分が多いけど。
「走ってみたいな……」
あんな、命をかけて、全身全霊で駆け抜ける。
前世の低所得なフリーターのオタクには一生縁の無い、キラキラした世界。
「この力があるなら……」
行けるか?
俺は拳を握り締めた。
★
ーー自宅のリビング
「う、ウイニングライブ?」
「そう、ウイニングライブ。レースで一着を取るとセンターで歌って踊るのよ」
母ヒロポンの言葉に、俺とカスケード・ハートの頬がひきつるのが分かる。いや、カスケード・ハートはAIじゃないんだから、ひきつるなよ!
「へ、へー、そのウイニングライブって、絶対にやるものなの?」
「ええ、怪我とか特別な事情がない限り、必ずやるわね」
「『本当?(か?)』」
自動音声なのに、俺とカスケード・ハートの声は同じだった。
「ええ、そうよ。カスケードもレースに出るなら、歌とダンスの練習も今からしないとね」
ニコニコと笑顔な母に俺とカスケード・ハートは項垂れたのだった。
★
それから、時は過ぎ。俺はネットでウマ娘のマキバオーを軽く探しながら、鍛練を積んだ。
積んだのだが。
「カスケード」
「あ、ああ」
自宅のリビング。
先日、十二歳の誕生日を俺は迎えた。
だが、リビングの空気は最悪だ。
理由は簡単だ。
「カスケード、貴女にはレースで一着になる才能はある。けれど」
「分かってる母さん」
「いいえ、言わなければならないわ。母として」
一拍の間のあと母は俺に告げた。
「歌とダンスの才能が無いわ!!」
ちょっと涙目の母の言葉に俺も「そうだよね~」( ̄▽ ̄;)と思わず顔文字が出そうなくらいな軽い感じで事実を受け止める。
ウマ娘、レースは古代から行われていた神に捧げるモノであり、神の言葉を人々に届ける重要な仕事。
それ故に速く、神の言葉を伝えなければならない。
だが、神の言葉は人々に伝えづらい。
だから、ウマ娘は歌と躍りで人々に理解しやすく神の言葉を人々に伝える。表現者だ。
その儀式が元でウイニングライブが出来たと言われている。
「速さは最重要、けれど今の貴女の歌とダンスの才能では……」
「分かってる。トレセン学園のようなトップクラスのところには進学出来ない」
「ええ、私の時も歌や踊りを疎かにして不合格なウマ娘がいたわ。それに貴女の場合は私の影響も受けるわ」
申し訳なさそうな母に俺は気にしないでくれ。と告げる。
母が申し訳なさそうな表情をする理由、それは母がウマ娘として活躍したからだ。
前世のマキバオーでは、母ヒロポンは俺を産んで死んでしまっていたが、この世界では生きている。これだけでも十分だ。
「私の娘ということで、貴女が受験すれば期待されるでしょう。その結果、貴女の歌とダンスの才能が分かれば」
「期待が大きければ、それに比例してマイナス評価になる、と」
「ええ、そうなるわね」
母の言葉に俺は先日のダンスレッスンのことを思いだした。
俺の歌とダンスの才能の無さは筋金入りだ。
あまりの酷さに、母が現役時代にお世話になったダンスの先生に泣きついて、レッスンを受けたのだが。
「この娘をデビューさせるには後二十年掛かるわ」
と、言われてしまい。母は「ですよねー」と苦笑いだった。
ちなみに、俺はレッスンの途中で五回も派手に転倒して、最後の転倒で思い切り頭を床に打って、レッスンスクールの専属医師の診察を床で横になりながら受けていた。
★
俺はトレセン学園への進学はスッパリ諦めた。
ぶっちゃけ、アイドルみたいに愛嬌を振り撒いて歌って踊るのは、元男としてどうなの? と思ったのも理由だ。
カスケード・ハートの影響でデビューして、強いウマ娘とレースをしたいと思ってはいるが。
「ふぅむ、草レースね」
トレセン学園が駄目なら、どうしたものか。と考えて色々と調べていると草レースにたどり着いた。
日本には大雑把に、中央のレースと地方レースの二つがある。プロとアマチュア? いや、一軍、二軍か?
でも、だ。非公式なウマ娘のレースが草レースだ。
アマチュアの地下アイドルみたいな感じかな?
前世の賭博の競馬を知っているので、反社会的な組織の資金調達に使われているのか? とも思ったが違法な賭けレースなどは即座に警察の特殊部隊にガチで潰されるので、その辺は安心だ。
ちなみに普通の警察ではなく、特殊部隊が参加する理由は古くから日本でもウマ娘のレースが宗教的な意味合いがあるかららしい。故に定期的に全力で潰しているようだ。
前世の警察の活躍を特集した番組と良く似た番組で、違法草レースを運営している組織のアジトに警察の特殊部隊が突入の瞬間の映像を見たけど、静か突入して接敵したら「やっちまえ!」て、どっちが犯罪者か分からないくらい、ドッタン! バッタン! 大騒ぎだった。
初めて見た時は本気で怖かったよ。
ちなみに、草レースは主に何かしらの理由で、トレセン学園や地方の学園に進学または落ちた。引退した後で趣味で走りたいウマ娘の受け皿となっている。
で、大事なのはここからだ。
この草レースは海外にもある。海外から、日本の草レースはお遊びと言われるくらいのレベルだが。実際はそこまで弱くはない。海外の草レースと比べるとレベルが低いのは事実だが。
「いいね。海外の草レースか。ならまずは日本の草レースで肩慣らしをしてから、海外の草レースへ行くか。海外の草レースは向こうのG1のウマ娘も身分隠して参加しているみたいだし」
リビングのPCの前で、海外の草レースの映像を見ながら獰猛な笑みを浮かべる俺を見て、紅茶を持ってきた父がドン引きしていることに気付いたのは、大分後のことだった。
★
日本の草レースで経験を積んで、海外の草レースで強豪と戦う。
歌とダンスが出来ない俺のレース欲求を満たす為の計画は結果的に大成功だった。
草レースでもちょっとした企業が宣伝の為に賞金を出すことも多い。
俺は全国の大小様々な草レースに出場。全国の草レースで無敗のウマ娘となった。
最初の頃は親同伴だっが、学業もしっかりとしている為、土日に開催される草レースに参加する時も一人で行くようになった。
もちろん、事前に両親の許可を取ってレースに参加している。
一年もすれば、草レース関係者に顔が売れ、歓迎されることが多い。
俺が強すぎるので、同じレースに出場する場合は、開催される草レースの運営からオファーがきた時だけにしている。
そういう配慮するところも気に入られたらしく、俺のウマ娘生活は順調ではある。
「あ~しかし、オグリキャップか、知っていれば真っ先に勝負を挑んだのに」
携帯端末でオグリキャップのニュース記事を眺めながら、俺は溜め息をついた。
俺が草レースを始めた頃に中央に行ったオグリキャップ。チート能力で調べる前。つまり競馬の素人の俺でも知っている名馬と同じ名前のウマ娘。
「居ると分かっていれば、殴り込みしたのに」
まあ、今さら遅いので諦めよう。
「よし、次のレースはどこにしようか。あ、そろそろ、海外に行くべきか?」
草レースの良いところは、ウイニングライブが無い場合が多いことだ。
草レースはその辺自由で、踊りたいなら踊る感じだ。
仕事や体調のことを考え、ウイニングライブに参加しないウマ娘も草レースではそれなりにいる。
まあ、若々しい美少女だが実年齢が。という理由で踊らないウマ娘もいたが。
「むぅ、しかし最近は物足りないな。海外遠征も視野に入れるべきか」
この時、俺はこれから参加するレースのスケジュールを考えていた。
そして、頭に過ったのはファンになってくれた人達のことだ。
「うーん、麗達も俺が強いウマ娘とレースで走る姿をみたいと言ってたし、問題ないだろう」
草レースに足を運ぶ人は意外と多い。
その中でも本多麗、マキバオーにも登場した彼女と同じ名前のセレブな美少女には最初こそ困惑したが、性格は似ていても別人と分り、その後は関わっていくうちに仲良くなった。
最初こそ自分が援助するから、トレセン学園へ! と言っていたが、事情を説明すると納得してくれた。
デビューしたくても、デビュー出来ない。と勘違いされたが、今では俺が走ることを第一に考えている。と理解してくれた。
ファンには、俺が歌とダンスが出来ないことを知ってる人は多い。
草レースに出ている理由は、将来的に強いウマ娘がいる海外の草レースに出ると伝えているのでファンも応援してくれている。
残念なのは海外に行って、俺のレースを観戦出来るのは麗くらいだろうが。
動画サイトで俺の走りは見れるので、それで納得してもらうしかない。
「うん、やはり行くか。海外の草レース」
こうして、走るの欲求を海外のウマ娘達にぶつけようとしていたのだが。
後日、俺の元に一人の女性が訪ねてきた。
★
ーー自宅のリビング
駿川たづなと名乗った女性はトレセン学園の理事長の秘書を名乗った。
母に聞くと間違いなくトレセン学園の理事長の秘書だと教えてくれた。
彼女が俺の家に来たのは、一言でいえばスカウトだ。
どうやら、動画サイトにアップされたレースの映像を見て、トレセン学園の理事長や生徒会長がスカウトを、と考えたようだが。
「興味ないな」
俺の言葉に母も理事長秘書も驚いていた。
「理由を教えてもらっても?」
「得るものが無いからだ」
今の俺がトレセン学園に通うメリットはない。
G1に出て、一位を取る。三冠達成する。
前なら名誉にも憧れたかもしれないが、未だにレッスンしている歌とダンスが出来ないとデビュー出来ないとか。
それなら、海外の草レースに出場して、速いウマ娘が乱入してくるのを待った方がいい。場所によってはG1ウマ娘が覆面着けて、草レースに飛び入り参加してくる。
外国のウマ娘はノリがいいと言うべきか。
「俺は歌とダンスが出来ない。なら、せめてレースくらいは速いウマ娘と競い合いたい」
「では尚更、トレセン学園で歌とダンスの訓練をしてデビューをすれば」
「既に有名な歌とダンスのトレーナーに匙を投げられた俺が?」
流石に無理だろ。アメリカならまだしも頭の硬い日本ではな。
俺の言葉に母は迷いながら、理事長秘書に俺が歌とダンスが致命的に才能無いことは、本当のことだと告げた。
母の伝手、更に麗の伝手で彼女の父が経営しているウマ娘の訓練所を所属の一流トレーナー達にレッスンを受けたが匙を投げている。
脚が速いだけのウマ娘。それが今の俺だ。
「まあ、トレセン学園のウマ娘の脚が速いなら、デビューしなくても、入学する価値があるだろうが」
カスケード・ハートの力のお陰で、俺はG1の重圧。王者としての走りを数年がかりで学んだ。
ただのイメージトレーニングではない。
チート能力で増幅された本物といえる程のプレッシャーを背負いながらの名馬の幻影と共に実際のターフを走るのだ。
マキバオーを筆頭に、カスケードが戦ったライバル馬達とのレースは凄まじいモノだった。
まあ、何度も負けた。
その度にカスケードの知恵と技術を引き継いでいながら! と悔しい思いした。
俺はカスケード・ハートの力を100%引き出してないと自覚し、鍛練に励んだ。何度も何度も何度も負けた。
デビューして勝ち上がらないと経験できないレースを俺は何十、いや何百と走った。
草レースにも賞金が多少なりともあるので、鍛練する時の練習場のレンタル費用に消えたが。
名馬と競い合えるなら安いものだ。
距離や芝の質が限りなく近い場所で、タイムを記録したが現役のウマ娘達よりも俺の方が非公式ながら速いのだ。
「デビュー出来ない。速いウマ娘もいない。スカウトで入学したとして、トレセン学園に行く意味あるのか?」
俺は強いウマ娘とレースがしたいんだ。まだまだ弱い俺はカスケードやマキバオーのように全身全霊でレースで駆け抜け、勝利を掴みたい。
昨日のカスケード・ハートの幻影を使った模擬レースを思い出して、俺の胸の奥に闘志が沸き上がる。
「質問があります」
「何だ?」
「貴女は自分が最強のウマ娘だと思いますか?」
真剣な眼差しで俺にそう問いかけてきたので、俺は即座にこう答えた。
「いいや、今はまだだ」
最強? 馬鹿を言うな。まだまだだ。
俺のその言葉を聞いて、穏やかな笑みを浮かべる理事長秘書。
「カスケードさん、やはり貴女はトレセン学園へ入学することをオススメします」
「何故?」
「だって、貴女は今は笑ってますよ」
俺は思わず自分の口元を触れる。すると確かに俺は笑っていた。
ふと母の視線を感じて、母の方を見てみると。
「か、母さん。何でそんなにドン引きしてるの?!」
「いえ、改めて娘の好戦的な笑みを見るとやはり女の子がしていい笑みではないから、思わず」
「ふふっ、昔の貴女にソックリですよ。ヒロポン」
「きょ、恐縮です。先輩」
え、先輩と後輩なの?
「是非、一度トレセン学園へ見学に来てください」
「見学?」
「はい、きっと得るものがあるはずですよ」
ハッキリとそう告げる理事長秘書に俺は少し悩んだが、入学案内のパンフレットでしか、トレセン学園のことを知らないので、ちょうど良いかと軽い気持ちで、頷いた。
「分かった。一度見学してみよう」
「はい、ではスケジュールを教えて下さい、ヒロポン」「あ、はい」
母に笑顔を向ける理事長秘書、そして何故か俺をやっちゃったね。この娘はと呆れた表情で俺を見る母。
一体何なんだ? と思いながら、年が明けて世間的には冬休みの後半。
俺はトレセン学園へ見学に向かった。
★
「勝った! 勝ったぞ!!」
恐らく、初めて俺はレースで勝利して、喜びの感情を爆発させ雄叫びを上げる。
ハナ差。
僅か差の勝利。
だが、勝ったのだ。
喜んでいるのは勝利だけではない。
俺はこのレースで更なる高みを見た。
今までは不完全だった。カスケードの走り方、【地を這う走り】を、このレースで俺は完成させたのだ。
そうトレセン学園の最強格のウマ娘達とのレースで!
「カスケード~!」
練習場の観戦席では、麗が泣きながら両手を振って俺の勝利に喜び叫んでいる。
歓声を上げているのは麗と麗の執事とメイドだけだ。
この試合を観戦していたトレセン学園の生徒達やトレーナーなどの学園関係者は信じられないモノを見た表情をしている。
俺は拳を作り、麗が毎年俺の為に細かい調整してくれる漆黒の皇帝をイメージした勝負服のマントを麗に教わった通りにバサリと翻して、右腕を天高く掲げ。
改めて勝利宣言をした。
「俺の勝ちだ! 皇帝シンボリルドルフ!!」
お互いに息を切らせながら、勝負服を着ている七冠を達成した皇帝とも呼ばれるシンボリルドルフは、悔しそうに、
「ああ、私の敗けだ」
と、ハッキリと敗けを認めた。
彼女の背後にはこのレースに出た強豪ウマ娘達、マルゼンスキーやフジキセキ。それに戦いたかったオグリキャップの姿がある。
ちなみに、何でトレセン学園に見学しに来て、強豪のウマ娘達との勝負服を着てまで本気のレースをしたかと言うと。
原因は理事長だった。理事長が俺をトレセン学園にスカウトすると明言したのだが。オグリキャップの前例があるものの、地方の学園ですらない。
アマチュアの草レースで活躍しているウマ娘をいきなりトレセン学園に編入学させるのは、いくらなんでも納得できない!!
と主張する一派がいて、ウマ娘達からもそれどうなの? となり。
ならば、強いウマ娘達と勝負させて実力を見ればいい!
と理事長が言い出して、対戦相手は誰にする? となった時に漆黒の皇帝とか呼ばれて調子に乗ってるから、可能であればシンボリルドルフでどう? となった後、理事長の秘書が俺の発言をウマ娘達に伝えて、調子に乗ってるから倒そう! となり。
ノコノコ見学に来た俺は、練習場の雰囲気を見て、「話にならない」と呟き、案内役のシンボリルドルフと口論になって、そのままレース場に移動すると全員スタンバっていた。
そこで、俺は理事長秘書に嵌められた。と悟り。
事前に俺に勝負を挑むことを伝えられていた麗は嬉々として勝負服を渡してきた。
「だが、発言を撤回しないとな」
「なに?」
「シンボリルドルフ、お前達は強い。そのお陰で俺は求めていたあの走り方を完成させることが出来た」
「あの姿勢を限界まで低くした走りか?」
「ああ、あの【地を這う走り】だ。だが、今回のレースは、僅差の勝利。これは本当の勝利とは言えない」
俺の言葉にシンボリルドルフは、息を整えて俺を見据えた。
「このトレセン学園でお前達とまた走りたい。だから、編入試験を受けようと思う」
「編入試験を? カスケード、君はスカウトだ。試験は免除される」
「いや、俺のスカウトを快く思わない奴等がいる、それを納得させる為にも試験を受けよう。それに」
「それに?」
俺は此方に来ようとして、執事とメイドに押さえられてる麗を見ながら、シンボリルドルフに言った。
「例え草レースでも、俺は王者と呼ばれている。己の力で編入試験に打ち勝ち、堂々とトレセン学園の門を潜るさ」
俺はシンボリルドルフの歩み寄り、右手を差し出した。
シンボリルドルフは笑みを浮かべ、俺の手を取り。
「春を楽しみにしているよ。カスケード」
「ああ、俺もだシンボリルドルフ」
こうして、俺はトレセン学園への編入学を心に誓った。
★
ーー春 合格発表当日
「手紙、届いたわよ」
「ありがとう母さん」
自宅のリビングで、俺はトレセン学園からの合格発表の手紙を受け取り、ソファに座りながら気負いなく、手紙を開封。
そして、
「ど、どうだった?!」
俺が通知を読んでると上擦った声で父が合否を問いかけてきた。
俺は両親に穏やかな表情で告げた。
「ーーサクラチル♪」
この後、シンボリルドルフ達からすげぇー、怒られた。