TS転生して、貰ったチート能力はカスケード・ハート 作:うまっ♪
何度も色々書いてたらこうなった。
トレーナー。
一流のウマ娘のトレーナーは、ウマ娘の才能を全て引き出し、ウマ娘の心と身体の殻を破らせ、そのウマ娘の限界を超える能力を身に付けさせることが出来る。
更にレースの前には最良の肉体と精神状態をキープさせる為に全身全霊でウマ娘をサポートする。
そんな、ウマ娘とトレーナーの為に作られた国内最高の施設がトレセン学園だ。
レース前に心を落ち着かせる為の娯楽施設も充実している。
花が好きなウマ娘の為に複数の温室もあるし、個人用のシアタールームや楽器の練習や音楽を聞くための防音の個室もある。
でも、ウマ娘は気分的に室内よりは外を好むことが多い。
だから、トレセン学園には、レース前のウマ娘達がリラックスするための庭園エリアがあり、レースに出ないウマ娘やトレーナーは、極力そのエリアには近付かないようにする。
更にその庭園エリアでも、普通のウマ娘は色々な意味で近寄らない特殊なエリアが存在する。
その理由は……。
「はーい、トレーナーさん、いい子でちゅね~」
「ば、ぶぅ~っ」
「きっつ」(小声)
スーパークリークに理事長秘書から渡してくれと頼まれて、探していたらスーパークリークのチームメイトから今日は運悪くこっちにいると聞いてくる。覚悟をしてやってきたが、予想以上の光景を目にしてしまった。
芝生の上にはレジャーシートを敷いて、スーパークリークが、専属トレーナーの男性を赤ちゃんの格好にさせて、仰向けに寝かせてトレーナーを抱っこしながら、スーパークリークはガラガラを鳴らしながら、専属トレーナーをあやしている。
今回、この光景を見るのは二回目だが前回はトレーナーがトレーニングウェアだったのに、ついにベビー服になってしまったか。
「あのっ、ちょっといいか?」
「ば、ばばっぶ~!?」
「あら、カスケードさん」
このまま、地獄の光景を見たくないので、スーパークリークに声をかけるとトレーナーは「見られたあぁぁぁぁぁっっっ!?!?!?!?!?」と叫びそうな表情をして、スーパークリークは普段通りの対応だった。
あまりの恥ずかしさの為に反射的なのだろう。
トレーナーは力強くスーパークリークの身体に自分の顔を隠すようにすがり付く。
「あらあら、人見知りさんね♪」
トレーナーの反応に嬉しそうな表情でそう言うスーパークリーク。
俺はスーパークリークの言葉に「ちげーよ」と言いたかったが、巻き込まれたくないので我慢する。
武士の情けだ。早く済ませてここから去ろう。
「理事長秘書からの預かった書類だ」
「あ、ありがとうございます。やっときましたね。見積書」
「見積書?」
スーパークリークの言葉に俺は興味を持ってしまった。
見積書が必要な買い物。
稼いでいるウマ娘なら、あり得る話だがスーパークリークが高い買い物をするイメージが無い。
だから迂闊にも聞いてしまった。
「何か買うのか?」
「はい、トレーナーさん用の大きめのベビーカーです!」
「「え?」」
満面の笑みのスーパークリークの言葉に固まる俺とトレーナー。
「お庭で日向ぼっこもいいですけど、やっぱり公園とかにもお散歩いきたいなぁって」
「ちょっ、ちょっと待て!」
トレーナーはパニックになり、俺とスーパークリークを交互に見る。
俺は身体の震えを押さえながら、確認を取る。
「公園って、どこの公園だ?」
「近所の公園ですよ」
トレーナーの表情がこの世の終わりを見たようなモノになった。
このトレーナー。本当にトレーナーの鑑だな。
逃げねぇのな。
いや、逃げても無駄だと理解しているのだろう。もしくは逃げたら……。
「他の皆さんと一緒にピクニックする話も出てるんですよ」
「へ、へー……、頑張れ」
皆さんって、他にも似たような性癖のウマ娘がいるけれど、それが集団行動。
控え目に言って、地獄絵図だな。
「じゃあ、俺はこれで邪魔してはアレだしな」
「そんな、邪魔だなんて」
「……」
死んだ魚のような目で俺を見てくるスーパークリークのトレーナーから、俺は無理やり視線を外しその場を後にする。
俺は帰り道、このエリアを抜けるまで地面を見ながら歩いた。
麗とハルが待つチームの控室に戻った時、俺は安心感でその場に崩れ落ちてしまった。
「麗」
「なに? 大丈夫、カスケード?」
「愛情深いトレーナーは大変だな」
「「え?」」
麗とハルが不思議そうな表情をしたが、俺はなにも言わずに立ち上がり、「ちょっと休む」と言って仮眠室へ向かった。
寝て忘れよう。うん、きっとその方がいい。