内容盛りだくさんなので、三つのパートに分けて投稿することにしました。
量産型ジュデッカ
AGX-14[M]
全長:70.3m
重量:274.6t
装甲材質:ガンダリウム合金ナノスキン複合材
動力源:プラズマ・ジェネレーター(第二世代核融合炉)
推進機関:光波推進システム
搭乗者:得体の知れない結晶体に侵食されたバイオ脳
▼武装
ハンド・ビーム・ガン(+ハイパー・ビーム・ソード)×4
腹部ハイ・メガ・キャノン×1
ファンネル×12
有線式大型ファンネル・ビット×8
▼特殊機能
グラビティ・テリトリー
ナノマシン自己修復機能
クロスゲート・パラダイム・システム(未完成)
本来とは違う歴史を歩んでいる宇宙世紀に、虚憶に取り付かれたユーゼス・ゴッツォ博士が開発した超巨大モビルアーマーで、同型機は7機が建造されている。本機は宇宙世紀0099年に行われた、連邦主戦派の残党による大規模デロの直前に起動事故に遭い、平行世界の狭間――量子の海で消息を絶った3機の内の1機である。
ガンダム00の西暦世界に姿を現した時点で、機体を動かすバイオ脳は、すでに得体の知れない結晶体に侵食されており、当初の仕様になかった性能を発揮している。
ティエリア・アーデは未知の存在――黒蛇と対峙していた。
突如乱入してきた黒蛇が自機を取り囲んだコーラサワー隊を壊滅させると、ヴァーチェに向けて突撃していった。ティエリアが2丁のGNバズーカと、両肩に装備されているGNキャノンで迎撃するものの、黒蛇の進撃を止めることは叶わなかった。
「この距離では避けられないか。ならば……!」
機体に蓄積された圧縮粒子をGNフィールド発生装置に回すように設定し、そして叫ぶ。
「――GNフィールド、最大展開!」
一瞬の後、黒蛇の機体がヴァーチェのGNフィールドと衝突し、ヴァーチェの機体がその衝撃によって後ろへ大きく吹き飛ばされてしまう。黒蛇は大きく体勢を崩したヴァーチェに追撃をかけることなく、岩石の陰に隠れた青白色の宇宙船に向けて機体を加速させた。
「クッ……トレミーはやらせん!」
GNフィールドのお陰で、機体に損傷はなかった。すぐに体勢を立て直し、こちらに背を向けた黒蛇に目掛けて2丁のGNバズーカを一射した――が、粒子ビームの光軸がその装甲に命中する直前に見えない斥力場によって軌道を逸らされ、有らぬ方へと飛んでいった。
ティエリアはその進撃を阻止すべく黒蛇に向けてヴァーチェの機体を加速させるが、そこに黒蛇の背中から六つの黒い漏斗が射出され、ビームを乱射しながらヴァーチェに迫っていった。
形状は違うが、ガンダムスローネに搭載されているGNファングと同じ特性を持つオールレンジ攻撃兵器、と判断していいだろう。ティエリアは再びGNフィールドを展開し、四方八方から襲来する漏斗のビームを防ぐ。その飛行軌道を予測し、両肩のGNキャノンを斉射する。
一つが消滅し、続いて放たれたGNバズーカによって三つが消滅した。残り二つ。
そして二つの漏斗が一直線に重なった瞬間、ティエリアは再びGNバズーカを一射した。巨大な光軸が虚空を裂き、その奔流に飲みこまれた二つの漏斗が溶解し、爆発した。
ティエリアが足止めを喰らった隙に、黒蛇がすでにプトレマイオスの間近に迫っていた。
もう手遅れだ、と思ったその時、プトレマイオスの陰から躍り出たスローネアインから放たれたGNミサイルの嵐が黒蛇を襲いかかる。膨れ上がる爆発光が周囲の宇宙空間を照らし、黒蛇の巨体を虚空に浮かび上がらせる。
続けざまに放たれたGNブラスターの一撃を易々と回避し、黒蛇は岩石群の中に消えた。チームトリニティと合流したティエリアは、トレミーの周囲を索敵するようネーナに指示を飛ばす。
ネーナがそれに頷くと、HAROが即座に索敵を開始する。
「HARO、黒い蛇の居場所が分かったの?」
「……真下! 真下! 撃って、撃って! 撃っちまくれ!」
HAROが甲高い電子音声を上げると、ヴァーチェと3機のガンダムスローネはトレミーの真下から猛接近してくる黒蛇に向けて各々の火器を撃ち放つ。だが、機体をサソリ形へと変形し、その巨体に似つかわしくない俊敏さを見せた黒蛇を命中することはできない。
瞬く間に、猪突猛進の勢いで4機の弾幕を突破した黒蛇が機体の先端にある尖った部分でプトレマイオスの艦体中央部に突き刺してから、四つの掌に内蔵されているハイパー・ビーム・ソードを発振させ、青白色の艦体にX字斬りを見舞った。
「プトレマイオスが……!」
「こいつ、化け物かよ⁉」
止められなかった。
艦体を真っ二つに割れたプトレマイオスが宇宙空間に盛大な爆発の花を咲かせる。さらに二発、三発と閃光が瞬き、その度に艦体は漏出するGN粒子に埋もれていった。ティエリアは味方を救助すべくヴァーチェを爆煙の中に突入させ、トリニティ兄妹は黒蛇への追撃を開始した。
クリスはゆっくりと目を開いた。
「あれ……わたし、どうなったんだっけ?」
どうやら少しの間、意識を失っていたらしい。
頭がぼんやりとしていながら、クリスは意識を失う前の記憶を、手探りで紐解いていった。
ガンダム4機の分厚い弾幕を掻い潜り、艦の側面に黒い蛇のような巨大MAがやってきたことが覚えている。そして、4本のビームサーベルでトレミーの艦体を真っ二つに斬り裂いていた。
そう、トレミーは前半と後半に割れたんだ。それからリヒティが操舵席から飛び出して、わたしを通信席の電子部品の爆発から庇ってくれたんだ。
それから、わたしとリヒティは、爆発の衝撃で宇宙空間に投げ出された。
他のみんなは……無事なんだろうか……。
そこまで思い出したところで、クリスは自分の前に佇む人の影――リヒテンダール・ツエーリに気かづいた。バイザー越しに見える薄茶色の髪、いつも微笑んでいる目が憔悴しきっており、口はべったりと血に濡れている。
「リヒティ……」
不意に違和感を覚え、クリスはリヒティの右半身に着目する。
そこでクリスは驚愕の余りに目を見開く。リヒティの右半身――肩から腰に至るまでのノーマルスーツが引き裂かれたかのように破れ、皮膚の一部が焼かれたかのように黒焦げになっていた。
そして、その皮膚の下には黒い光沢を放つ機械の肢体があった。皮膚の残片を貼り付けたままの機械の右手は、手首から先が欠損していた。
リヒティが、サイボーグ⁉
その言葉がクリスの脳内をよぎった。
「だ……大丈夫っすよ……」
「リヒティ!」
衰弱しているリヒティが弱々しい声で言うと、クリスが声をあけた。
闇暗の宇宙空間の中で、リヒティが喘ぐように言葉を途切れさせながら話した。
「親と一緒に……巻き込まれて、身体の大半がこんな感じに……ごふっ……」
リヒティは自分の機械の身体なら、わたしを守れると思ったのかもしれない。
だが、重要なのはそれではなかった。リヒティが命の危機を顧みずにわたしの盾になろうと飛び込んでくれたことが重要なのだ。
「わたしって、本当にバカね……すぐ近くに、こんないい男がいるのに……全然気づけなくて」
「……ホントっすよ」
やっと気づいたのか、といった口調で言うと、リヒティが血のついた唇でニッと笑った。
人生の最期に、意中の女性に自分の気持ちを伝えることができて、本当によかった。
クリスも微笑みを向け、リヒティの身体を抱きしめると、彼の瞳から光が消えた。
自分に好意を抱く男性と一緒に人生の最期を迎えるつもりだが、クリスには心残りがあった。
「(デートぐらいさせなさいよ、バカ……)」
クリスが個人の心の声を漏らすと、光る粒子を放つ何かが視界の端をよぎった。
それは、背中から緑色の粒子を放出する、黒と白の巨体を持つガンダム――ガンダムヴァーチェだった。機体のコックピットでは、ティエリアは宇宙空間を漂流している2人を視認していた。
両手に所持しているGNバズーカを手放し、2人をマニピュレーターに乗せると、ヴァーチェは強襲用コンテナが待機している場所へ向かった。
『ティ……エリア、クリスと……リヒティは……見つかったの?』
「ああ。だが、リヒティが負傷している。今すぐ治療が必要な重傷だ!」
ノイズ混じりのスメラギの声がヴァーチェのコックピットに響き、ティエリアが答える。
すると、ラッセの声が通信に響いた。
『本格的な治療が行える場所は……あの城しかいねえ!』
「ああ……リベル・アークなら、リヒティの治療を行うことができる」
『フェルト、絢瀬さんに連絡を!』
『は、はい!』
強襲用コンテナの中で、スメラギの指示を了解したフェルトは、すぐさまフリーダムとの通信を試みるのだった。
プトレマイオスを撃沈し、トリニティ兄妹と交戦している黒蛇の正体は「黒き地獄」だった。
正式の名称――ジュデッカ。ゲーム作品『スーパーロボット大戦 α』に登場する星間帝国「ゼ・バルマリィ帝国」に属する天才科学者――ユーゼス・ゴッツォが独自に開発した機動兵器だ。
この機体は、この世界に属する存在ではない。そして奇妙なことに……ジュデッカから乗り手の意思――悪意のようなものが感じられるが、命の息吹が全く感じられない。
何故この世界にいる、何処から来た、その中には誰が乗っている……?
いや、考察しても無駄だ。ジュデッカは如何なる危険な機体なのか、私は知っている。速やかに排除しなければ、この世界は破滅一直線だ。
強襲用コンテナはすでにリベル・アークに避難した。
モレノ先生も無事生存しているので、リヒティは確実に助けられる。
今は、ジュデッカというイレギュラーの排除に専念するとしよう。
フリーダムと3機のスローネが、ジュデッカに向かって突っ込んでいく。
ビームの光条が縦横無尽に飛び交う宇宙空間の中で、お互いに決定的な一撃を加えられないまま交戦を続けていた。ミーティアとドッキングしたフリーダムを脅威と判断したジュデッカは3機のスローネを無視し、フリーダムに目掛けてハンド・ビーム・ガンを連射する。
「私に狙いをつけたか……躱して見せろ、フリーダム!」
インテンション・オートマチック・システムが悠凪の感応波を拾い上げ、マニュアル操作を無視したフリーダムが左へ右へと横ロールする。一拍遅れてビームが飛来し、皮一枚で躱したビーム光を装甲に反射させる。
機体の姿勢を安定させると、私は照準画面に拡大された黒蛇――ジュデッカを睨みつける。
数においてはこちらが有利。だが、相手の戦闘能力は未知数だ。勝てるかどうか分からない。
本来の設定では、ジュデッカの掌には内蔵兵器が搭載されてないはず。なのに、このジュデッカの掌にはビーム砲が内蔵されていた。4本の腕があるが、右上側の腕が他3本の腕と同じ形をしており、大きい蛇の頭のような形ではなかった。
従って、目の前にいるジュデッカは、私の知っているジュデッカではない可能性が非常に高い。
ビーム砲以外にどんな武器があるか分からないので、攻撃の仕方を探ってみる必要がある。
「ヨハン、ミハエル。GNファングの残弾数は?」
『ハッ、全基健在です』
『こっちもだぜ!』
「先ずはGNファングによるオールレンジ攻撃で奴を翻弄する、続いてGNブラスターとGNミサイルを叩き込め。ネーナには2人のフォローを頼む」
『『了解!』』
私の通信に、3人が即座に返答する。
アインがツヴァイの背後に移動するのを確認してから、ミハエルは機体の右肩にマウントしてるGNバスターソードを引き抜いた。ジュデッカから放たれたビームが厚い剣身によって防がれる。
「行くぜ、兄貴ぃ!」
「ターゲット・ロックオン、GNファング……射出をする!」
2機が両腰のスカート部から全てのGNファングを射出させると、GNバスターソードを構えたツヴァイはジュデッカに向かって突進していき、接触間際、背中からアインが踊り出てジュデッカに発砲し、縦横自在に飛び交う16基のGNファングも一斉射撃を行った。
だが、四方八方から放たれた粒子ビームが見えない斥力場によって軌道を逸らされ、ダメージを与えられなかった。その背後に回り込んだツヴァイがGNバスターソードを振り上げて斬りかかる――が、ジュデッカがその斬撃を予見していたように滑らかに機体を捻らせ、掌から光る粒子束を顕現させる。
「あれは、ビームサーベル⁉」
掌にはビーム砲だけでなく、ビームサーベルを発振させる機能も備わっていた。
辛うじてビームサーベルの切っ先をツヴァイが躱し、空振ったジュデッカの側面から、ドライが十分にGN粒子をチャージしたGNビームライフルを発射し、アインがGNミサイルを斉射する。
だが、放たれた粒子ビームとGNミサイルが見えない斥力場によって弾かれ、連続する爆発光の波濤が4機のスクリーンを占拠した。
「ビームサーベルだけでなく、実弾とビームを弾くバリアもあるのか……!」
爆発光の最後の余光が消え去り、宇宙が原初の闇へ回帰すると、メインスクリーンに目をやった私は「120cm高エネルギー収束火線砲」の照準をジュデッカに絞る。
メガランチャークラスの武器が決定打を与えられないのなら、陽電子破城砲を上回るこの一撃はどうだ? という疑問を抱いたまま、私はトリガーにかけた指に力を込める。放たれた最初の一撃がバリアによって阻まれたが、続けざまに放たれた二撃目がバリアを貫通し、ジュデッカの尻尾に創傷をつけた。
そのバリアは無敵ではなかった。GNフィールドと同様に、強力な攻撃を数回食らわせれば貫通できることが、今はっきりと分かった。実弾とビームを弾けることから、もしゲームの設定と同じ防御機能を備わっているのなら、このバリアは恐らく重力障壁……その名は「グラビティ・テリトリー」という、全ての攻撃を一定値まで無効化するバリアだ。
「よし、やったぜ!」
「えっ……なに、あれ?」
「……白い粉だと?」
ジュデッカがダメージを受けたことに喜ぶミハエル。
だが、次の瞬間、ネーナとヨハンは驚愕の余りに目を見開く。
「バカな……再生しただと⁉」
ジュデッカの全身から白い粉状の物質が噴出され、本来そこにあったパーツの形を取り、肉眼で視認できる程のスピードで、損傷箇所を再構築していく。その光景に驚かされた私は、思わず心の声を漏らした。
「(装甲に使われている素材は、ズフィルード・クリスタルではなかったのか⁉)」
ズフィルード・クリスタルとは、ゼ・バルマリィ帝国の機動兵器に使用されている自律・自覚型金属細胞である。この金属素材は『機動武闘伝Gガンダム』に登場する「DG細胞」に似た性質を備わっている。そして機体の再生が行われる時、破損箇所から紫色の結晶体を生やして該当部位を再構築するはず。
あの得体の知れない白い粉状の物質は何だったのか、今の私には検討がつかなかった。
でも、このジュデッカは、私の知っているジュデッカではなかったことが今、明らかになった。
私は4門のビーム砲を乱射しながら接近してくるジュデッカに向かって、2門のクスィフィアスとバラエーナ、そして4門の高エネルギー収束火線砲から、砲弾と高出力ビームを迸らせた。
強烈な砲撃の嵐が襲いかかるが、ジュデッカはその巨大さに似つかわしくない高速機動で機体を翻せると、それを躱し、背中から六つの漏斗を走らせた。
「(クッ……ファンネルまであるのか!)」
ファンネルとは、宇宙世紀より登場する無線式のオールレンジ兵器である。
ジュデッカの背中から射出されたファンネルが漏斗型であることから、ハマーン・カーンの乗機――キュベレイに装備されたものと同型であることが分かった。
まさか宇宙世紀の技術を取り入れたジュデッカが存在しているとは、思いもしなかった。
無軌道に迫ってくる六つのファンネルに、私が2門のバラエーナのトリガーを引く。
二つまでは撃破したが、残り四つを撃ち漏らした。ミーティアとドッキングしたフリーダムは、図体の大きさゆえに被弾しやすい為、ファンネルから放たれたビームを回避することだけで精一杯で、応射する暇はなかった。
しかしそこに、傍らから8基のGNファングが飛来して全てのファンネルを撃破し、数発の粒子ビームがジュデッカに命中した。
『悠凪さん、援護はあたしたちに任せて!』
『あの化け物をぶった斬れ、旦那ッ!』
トリニティ兄妹が援護してくれたお陰で、この状況から脱することができた。
ジュデッカが3機のスローネに気を取られた隙に、私は右ウェポンアームを振り上げ、ビームソードのリミッターを解除し、通常3倍の光刃を顕現させる。
「デッド・エンド・スラッシュ!」
黒き地獄――ジュデッカが相手だと、無性にこのセリフを言いたくなった。
ジュデッカの開発者であるユーゼスに利用され、駒にされたあの男――イングラム・プリスケンの決めセリフと共に横一閃に振るった、長さ300mに及ぶ光刃が周囲のデブリを薙ぎ払い、重力障壁を破り、その巨体を真っ二つに両断した。
瞬く間に、生き別れになったジュデッカの上半身と下半身が相次いで爆発を起こし、視界を灼き尽くすかのような爆発光がスクリーン上で脈動する。
「倒した……のか?」
それは言ってはいけない言葉だった。
爆発の余光と煙が消え去り、途方もない殺気を放つ黒蛇――ジュデッカが、再び攻勢に出た。
その殺気が装甲を透過してコックピットに押し寄せ、私は反射的に2門のバラエーナのトリガーを引いた。放たれた光条が虚空を漂う岩石を粉砕し、新たな粉塵を吹き散らせる。
機体を修復したジュデッカは予期していたようにフリーダムの側面に周り込み、スカート部の裏から二つの槍頭を射出させた。ケーブルで接触された円筒型の槍頭が先端から熱線を迸らせながら急迫してくる。
有線式であることから、この武器は恐らく、有線式遠隔攻撃端末「インコム」だろう。
だが、次の瞬間、私は自分の判断の誤りを知る。
近接防御機関砲で一つを撃破したが、ミーティアの右ウェポンアームが機関砲の掃射から逃れたもう一つの槍頭に取り付かれてしまった。槍頭の内部から三本爪のワイヤーアンカーが放出されたのを目の当たりにした瞬間、私はすぐにその正体が分かった。
インコムだと判断したそが、ネオ・ジオングの有線式大型ファンネル・ビットだった。
スローネドライから放たれた粒子ビームによってケーブルが切断されたものの、この武器は本体から切り離された状態でもジャックした機械をコントロールできる特性がある為、ネーナの行動は徒労でしかなかった。
「右ウェポンアームをパージする……!」
ジャックされた右ウェポンアームをミーティア本体から分離させると、私は左側の高エネルギー収束火線砲のトリガーを引いた。ビームの直撃を受けたそれが瞬時に炸裂し、膨れ上がった爆発の光輪がその痕跡を残らず消し去っていった。
「あの武器に気を付けろ。あれに取り付かれたら、機体の操縦システムがジャックされてしまう」
『そうなんだ……だから悠凪さんはウェポンアームを切り離したんだね』
『取り付かれたら終わりってことだな、了解だぜ!』
私の通信に、ネーナとミハエルが返事し、ヨハンが頷いて了解の意志を示す。
機体各部のチェックを終えると、私は薄くなった爆煙の向こうにいる「怪物」を睨みつける。
ビーム刃を発振させた4本の腕をいっぱいに開くと、ツインアイを閃かせたジュデッカの背後でスラスター光が閃き、私もミーティアのメインスラスターを点火させる。
先行した3機のスローネに、ジュデッカは腹部にある発射口を開き、MSを飲み込んで余りあるビームの奔流を吐き出す――が、その一撃はあっけなく躱され、隙ができたジュデッカは3機から応射された粒子ビームによって、次々と着弾の炎を上げていく。
ジュデッカが3機と撃ち合っているところに、私は左ウェポンアームを振り上げ、ビームソードを発振させて斬りかかる。
その再生能力は確かに脅威だが、再生できない程の大ダメージを一気に与えれば倒せるはずだ。
SRXはこのシンプルな方法で再生能力を持つ強敵――ソルグラビリオンを攻略している。
そう、やりようはある。
それに我々の敗北は、この世界の破滅を意味する。故に敗北は許されない。
この戦い、負けるわけにはいかないのだ……!
悠凪の決意を拾い上げたフリーダムのサイコ・フレームは、赤い燐光を煌めかせ始めた。
刹那とグラハムの戦いは、未だに続いている。
『この間合い、君の吐息すら聞こえてきそうだ!』
「クッ……!」
機体の出力を上げ、アメイジングエクシアを突き飛ばし、GNビームサーベルを振り上げて斬りかかる。目の前に詰寄る禍々しい光刃が刹那の視界を塞ぎ、舌を噛みそうな衝撃がコックピットを揺さぶった。
サブモニターの表示により、刹那は左肩の装甲が破損したことを察知する。戦闘に支障をきたす程の損傷ではなかった。機体を横に一回転して続けざまに振るわれた光刃を躱すと、アメイジングエクシアが右腕を振り上げる。
超高温に加熱されたGNソードの刃先が緑色の蛍光を放ち、アメイジングエクシアの右腕と共に振り下ろされる。GNフラッグも左手のGNビームサーベルを上に払った。両者の獲物が激突し、強烈なスパークの閃光が膨れ上がる。
たったこれだけの動きで骨が軋み、筋肉が悲鳴をあげる。
このままGNフラッグに乗り続ければ、私の肉体はどのようになってしまうのか。
だが、私はガンダムとの真剣勝負を望み、この機体に乗った。
この戦いには、命を捨ててしまえる程の価値があるのだ!
ようやく理解した……この感情を!
『私は君の圧倒的な性能に心を奪われ、魅了された……!』
飛散するスパークの中で、グラハムが自分の想いを告白する。
『この気持ち――まさしく愛だッ!』
「愛だと⁉」
戸惑いの表情を見せる刹那に、グラハムが微笑みを向け、言う。
『そうだ。私の中にある戦士の魂が、君を好敵手として求めているのだよ!』
ガンダムに対する異常な執念。
この男もまた、俺たちによって歪められた存在……!
「貴様が戦いを望むのならば、俺は――貴様のその歪みを、断ち切るッ!」
『よく言った、ガンダム!』
一瞬の後、GNフラッグがアメイジングエクシアに突き飛ばされ、バランスを失う。体勢を立て直す前に、エクシアのGNソードが最短距離の軌道を描いて飛んでいった。先ずは右、返して左へ横一閃に行き、GNフラッグの右脚を斬り飛ばした。
肉体の限界を超える負担を強いながらも、グラハムは己の意志でそれをねじ伏せ、GNフラッグを急反転させてアメイジングエクシアに突進する。
鋼の天使と剣を交えることは叶わなかったが、今は意中の相手との真剣勝負を楽しもう。自分の愛と想いをGNビームサーベルに乗せ、斜め上段から袈裟斬りに振り下ろす。
GNビームサーベルの刃先がGNソードと衝突し、確かな手応え――鍔迫り合いの感触があったと思った瞬間、アメイジングエクシアの左脚がGNフラッグの下半身を強かに蹴りつける。衝撃がコックピットを激しく振動させ、臓腑まで突き抜ける感覚を味わったグラハムは堪えきれずに悲鳴をあげた――が、同時にグラハムは、身体中の血液が沸騰しそうな興奮に襲われた。
肘鉄を受けたからこそ、燃え上がるものもある!
我が魂を揺さぶるこの気持ち、剣に乗せて君に届けたいのだよ、ガンダム!
『これが、魂を揺さぶる剣戟だッ!』
「うおぉぉぉぉっ!」
お互いに獲物を引き抜いた2機が、高速で移動しつつ剣戟をくり返す。
交じり合う2機のコーンスラスターが余光を引き、資源衛星群へと飛び去っていくのだった。
一方、負傷したリヒティは、すぐさまリベル・アークのメディカルルームに運び込まれた。
プトレマイオスの船医であるJB・モレノ先生は、リヒティの傷口に手速く処置を施し、鎮静剤を打って、メディカルカプセルに彼の身体を移した。
バイタルは安定しているが、損傷してしまっていた機械の肢体を新造しなければならない。彼の容態を聞いたクリスが安堵の息をつき、それと同時に表情を曇らせるのだった。
「あの……モレノ先生、傷の再生までの時間は?」
「最低でも一ヶ月が必要だ」
クリスの問いに、モレノは振り返りもせずに答える。
「この重傷だと、カプセルに入っていることが望ましい」
リヒティの傷が完治するまで、メディカルカプセルから出られない。
その言葉の意味を理解したクリスは、静かに頷いてから軽く一礼をし、メディカルルームを出て性能実験施設にある指令室へ足を運んだ。
「リヒティの容態は?」
「バイタルは安定していると、モレノ先生が言いました」
スメラギの問いに、通信席に着いたクリスが振り返って答える。
一方、フェルトが大型モニターに映し出された戦闘映像を見つめながら、戦況報告をあげた。
「エクシア、疑似太陽炉搭載型のフラッグと交戦中。キュリオスは依然、国連軍のジンクス部隊と交戦中。デュナメス、ヴァーチェ、スローネフィーアが黒い蛇と接触、交戦状態に入りました!」
現在の戦況を把握したスメラギが頷くと、続けざまにクリスも報告をあげた。
「戦闘宙域に接近する機影があります。この機体は……ガンダムアストレアです!」
「フェレシュテにいる彼が、来てくれた……!」
シャル・アクスティカの指示により、フォン・スパークのガンダムが戦闘に加わった。
だが、それは焼け石に水でしかなかった。8機のガンダムから放たれた十重二十重の砲火は黒蛇の機体を確実に削っていくが、黒蛇はその優れた再生能力で素速く機体を再構築していき、抵抗は無意味、という現実をガンダムの乗り手たちに突きつけた。
やがてミーティアが破壊され、スローネのGN粒子残量が危険域に達し、それでも彼らは諦めていなかった。装甲の隙間から、赤い燐光が滲み出しているフリーダムを中心に陣形を組み、8機のガンダムは黒蛇と交戦を続けるのだった。
その一方で、この西暦世界に降り立った白亜の機影が、戦闘宙域に接近していた。
機体のコックピットでは、パイロットは画面に拡大表示された蒼き翼の機影を眺めつける。
4本のブレードアンテナにツインアイ。あの機体は間違いなく、ガンダムだ。
そして、装甲の隙間から発したあの光……色は違うが、性質は全く同じだ。あの時、アクシズを包み込んだ「宇宙の虹」と。
そう、同じ性質を持つ光を、俺は見たことがある。もっと大きな光をだ。
ニューガンダムとナイチンゲールのサイコ・フレームを媒介に、恐らくは億単位の人間の意思を取り込み、物理的パワーに変換したのであろう光。
人の心の善意や希望、そして可能性を具現化し、地球へ落下中の小惑星・アクシズの片割れをも押し返した、星より強い七色の光。
蒼き翼のガンダムもまた、人の心に反応するマシーンか……。
無数の光輪と光軸を高速機動で躱しながら、フィーアのコックピットでは、疲弊している隼人が苦しげな息を吐き出し、途切れ途切れの声を重ねた。
「ったく、まさかこの世界で……デビルガンダム以上の化け物と、戦うことになるとは……!」
その驚異的な再生能力は『機動武闘伝Gガンダム』に登場する悪魔の名を冠した怪物より遥かに上回っている。このままでは埒が明かないと考え、隼人は通信で悠凪に打開策を尋ねる。
「おい悠凪、打開策はあるのか?」
『再生できない程の大ダメージを一気に与えれば、倒せるかもしれない……』
「かもしれないって……それでも、やるしかねえよなぁ!」
不確実だが、倒せる可能性がある。
ならば俺も全力でやってやる……あんな化け物に負けたら、ガンダムの名が泣くからな!
接近するジュデッカが再びハンド・ビーム・ガンを撃ち、ビーム光がフリーダムの装甲を照らすのを見た隼人は、息を詰めて応戦のトリガーを引いた。その行動に呼応するように、デュナメスがGNスナイパーライフル、3機のスローネが各自の火器を発砲し、交錯する粒子ビームが十字砲火を形成する。
襲いかかるビーム光を回避し、両手に握ったビームサーベルを発振させた悠凪は、フットペダルを踏み込めるだけ踏み込んだ。マニュアル操作に感応波が相乗し、一気に急加速したフリーダムがジュデッカに迫り、片手剣四連撃ソードスキル「バーチカル・スクエア」を放った。
右手を振り上げて上段斬りを放ち、すかさず垂直斬り上げを見舞いする。
続けざまにスラスターを噴射して機体を右へ2回転しつつ、横薙ぎを2度繰り出し、黒い光沢を放つ機体に創傷をつける。フリーダムがビームサーベルを振り回す度に、黒蛇の装甲は次々と削り落とされていく。
全身を斬りつけられ、2本の腕を失ったジュデッカが機体を仰け反らせる。
だが、フリーダムの攻勢は、それだけにとどまらなかった。
――ここで負けたら、今までしてきたことが無駄になってしまう!
――計画の為に、そして未来の為にも……僕たちは、負けるわけにはいかないのだ!
――あんなのに負けてて、ガンダムのパイロットが務まるかぁ!
――そうだ……私たちは、ガンダムマイスターだッ!
――己の力であの蛇野郎をどうにかしたいお前は、嫌いじゃないぜ……フリーダムさんよぉ!
この場にいるガンダムマイスターたちの想いを取り込み、飽和した思惟が光となってフリーダムのサイコ・フレームから放射される。流れ込む「熱」が全身に行き渡り、悠凪は操縦桿を握る手にさらに力を込め、今必要なイメージをインテンション・オートマチック・システムに送る。
――
感応波を拾ったシステムがサイコ・フレームを駆動させ、制動をかけた機体がビームサーベルを持った左手を振り上げる。そして縦に、横に、手速く10回の斬撃を浴びせていく。
立て続けの斬撃を受け、防戦一方になったジュデッカが気圧されたかのように後退り、背中から六つの大型ファンネル・ビットを射出させ、反撃を試みる。
だが、その行動は隼人とフォンに察知された。
「見えているんだよ!」
「大人しくしやがれ、この蛇野郎ぉ!」
射出された大型ファンネル・ビットに、素早く持ち上がったアストレアF2の右手がGNビームライフルのトリガーを引く。放たれた粒子ビームの光軸が、円筒型の槍頭を真正面から貫き、膨れ上がった火の玉がジュデッカの漆黒の機体を照らし出す。
さらにフィーアのライフルから3発の粒子ビームが撃ち出され、それに貫かれた円筒型の槍頭が相次いで爆発し、闇暗を照らす小さな光となって、そして消えていった。
逆噴射して機体を後退させると、悠凪はティエリアに通信を送った。
「今です! ティエリア・アーデ!」
『了解……トランザム!』
悠凪の呼びかけに呼応し、ティエリアがヴァーチェのトランザムシステムを起動させる。
機体を赤色に光らせたヴァーチェは左手のGNバズーカを手放し、右手のGNバズーカを両手で握り、胸の前にしっかりと構えた。砲口にある上下の部品がスライドして伸ばし、バーストモードへ変形する。解放された高濃度圧縮粒子が、砲身内部にチャージされていく。
当たれば、ジュデッカを倒せるかもしれない。外れれば、こちらが確実に負ける。
事をここに至って、躊躇う理由など何もない。さらに両肩のGNキャノンの照準をジュデッカに絞ると、ティエリアはトリガーを引いた。
「これで決める……フルバースト!」
GNバズーカと、2門のGNキャノンから迸り出た粒子ビームは、比喩抜きで一つの資源衛星を完全消滅させるほどの巨大なエネルギーの奔流だった。退避しようとしたが逃げきれず、拡大する粒子ビームに呑み込まれたジュデッカの機体が高熱によって溶け始め、機体の各所が次々と爆煙をあげたり爆発を起す。
灼熱の奔流の中で、爆発寸前のジュデッカは、最後の悪あがきを見せる。ヴァーチェに目掛けて腹部のビーム砲を撃ち放った。だが、照準を絞らずに撃ったそれは命中するはずもなく、闇暗へと消えていった。
瞬く間に、白熱化した機体が爆発四散し、スクリーンから差し込んだ閃光が8機のコックピットを塗り込めた。
だが、悪あがきだと思ったその一撃が、セルゲイの率いるジンクス部隊と交戦しているガンダムキュリオスに命中した。
「チッ……しくじったぜ、ったく」
機体のコックピットでは、ハレルヤは自分の悪態をついた。
キュリオスは現在、資源衛星の陰に機体を潜ませていた。索敵範囲の外にいる未知の敵が放った砲撃によって右半身を欠損し、GNサブマシンガンも失っている。残っている武器は、2本のGNビームサーベルとクローに変形できるGNシールドだけだ。
4機のジンクスは今頃、キュリオスの姿を求めてこの宙域を捜索していることだろう。
プトレマイオスは撃沈されたが、スメラギたちはリベル・アークに避難している。だが、国連軍の作戦目的は「CBの殲滅」であり、こちらを見逃す道理はない。
この状況を打破する為には――。
「(ハレルヤ……今は刹那たちと合流すべきだ!)」
「俺もそうしたいんだけど、そんな機会はなさそうだな……」
ハレルヤ自身も、身体の内にあるもう一つの人格――アレルヤと同じことを考えていた。
だが、想定外の状況は自分にそれを許してはくれなかった。
「お前も感じているんだろ、相棒。ドス黒い悪意の塊を!」
「(ああ。絢瀬悠凪でも、ソーマ・ピーリスでもない。悪意の塊がこちらに近づいている!)」
独語めいた思考を頭の中で呟いた。
ハレルヤはふと、視界の端で不気味な光がよぎったような気がした。
「こいつはやべぇな……!」
瞬く間に、それが岩石を迂回してキュリオスの面前に姿を現した。
4本の腕を持つ、大蛇のような黒い機体だった。装甲のあちこちに亀裂が入っており、剥き出しの胸元から内部に組み込まれたガラスの容器が見える。よく見ると、中には人間の大脳らしきものが入れられており、容器の底には黒く濁った
そして、容器の周囲には、得体の知れない
反射的にGNシールドを突き出し、その場から機体を離脱させたハレルヤは、脳量子波を通して相手の悪意と殺意を感じ取った。一瞬の後、黒蛇の掌から黄色いビームが発射された。正確な射撃だった。放たれたビームは、狙い違わずキュリオスに向かって突き進んでくる。
「直撃コース……」
「避けて見せろよ!」
マニュアル操作に2人の脳量子波が相乗し、キュリオスがそれに従うように鋭角的な動きでその一撃を躱す。続けざまに黒蛇がビームを乱射してきたが、キュリオスはそれら全てを易々と躱し、敵機に向かって加速していく。
「軸線を合わせて、足とビームサーベル!」
「――同時攻撃を!」
間合いに詰め寄るキュリオスに、黒蛇が掌のビームサーベルを発振させて斬りかかる。
だが、ビームサーベルを発振させた時には、キュリオスの機体がするりと側面に回り込み、黒蛇の腹部に電撃的な蹴りを見舞うと同時に、GNビームサーベルを振った。
視界の片隅を飛ぶ黒蛇の右腕を見て、ハレルヤはGNシールドをクローモードへ変形させた。
「――シールドニードル!」
「こいつはかなり効くぜ!」
脳味噌らしきものが入っている容器を壊せば、この化け物を止められるんじゃない?
そう考えたハレルヤはクローモードに広げたGNシールドを剥き出しの胸元に突き込ませ、GNシールドニードルで容器の破壊を試みる。この武器の切れ味は折り紙つきだ、きっと上手く行けるはず。だが、ニードルの切っ先が容器の表面と接触した瞬間に、想定外の異変が起きた。
GNシールドニードルの剣身が、紫色の結晶体から放つエネルギーによって侵食され、錆びた剣となって崩壊した。この隙に乗じ、黒蛇は掌に内蔵されたビーム砲をキュリオスに向ける。
突然の事態に驚いたハレルヤは、キュリオスの脚部を飛行形態に変形して射線を逃れると、旋回して再びMS形態へ戻し、詰寄る黒蛇に機体を正対させる。
虚空に静止したまま、ハレルヤはキュリオスの左腕にGNビームサーベルを引き抜かせた。
この時、ハレルヤの顔面から余裕が消え去り、とても真剣な表情に変化していた。
敵味方は関係ない……世界の危機を前に、人類には一致団結して立ち向かう強さがある。
背中から真紅の粒子を放つ機体が、緑色の粒子を放つガンダムと共闘している光景は、あの時の光景とよく似ている。
アクシズの分断に成功したものの、片割れが地球の引力に引かれて落下を開始。ラー・カイラムのクルーたちは、あの人の手伝いをしてしまったことに動揺を隠しきれなかった。しかし、そこに1機の青白色のガンダムが、アクシズを押し返すべく取りついた。
その機体は、グリプス戦役で俺と一緒に戦った歴戦のニュータイプ――アムロ・レイの搭乗機、ニューガンダムである。その献身的な姿に心を打たれた者たちは敵味方関係なく、次々とアクシズに取りすがった。あの時、Zガンダムに搭乗している俺も、その1人だった。
そこまで振り返ったところで、パイロットは照準画面に表示されたジュデッカを眺めつける。
爆散したはずの機体が、何らかの「力」によって無理やり本来の形を維持している。ユーゼス・コッツオ博士が作り出したオリジナル機にもなかった機能が、量産型が備わっていた。
蒼き翼のガンダムと、その仲間たちは善戦しているが、徐々に戦力を削り取られている。
重厚な装甲を持つガンダムが大破され、モスグリーンのガンダムが身を挺してそれを守る。緋色のガンダムが蒼き翼のガンダムと連携してジュデッカに大ダメージを与えたが、損傷箇所がすぐに修復され、全ては無駄になった。
見る見るうちに、大型実体剣を構えた青白色のガンダムと、真紅の粒子を放つ黒い機体が戦闘に加わった。機体を赤色に光らせた青白色のガンダムは、残像が生じる程のスピードで、ジュデッカに向けて機体を突進させた。黒い機体はすかさずその行動に追随するのだった。
「俺たちも行くぞ……ユニコーン!」
思惟がサイコミュを駆動させ、白い装甲が立て続けにスライドする。
額の一本角がV字に割れ、露出したサイコ・フレームが青色に輝き、ガンダムの形を得た機体が全身のバーニアを噴かす。同時に背部に装備した2枚のシールドが弾け飛び、装甲をスライドしたシールドのサイコフ・レームが青色の光を放射した。それ自体に機動力があるかのごとく、戦域へ突入する白亜の機体――ユニコーンガンダムの傍に追随していくのだった。
後編へ続きます。