あらすじにハーメルンの新機能の喘ぎ声ジェネレータを使う。
「ああぁっあっっらぁっ!すうぅっ!じ…ぃい…ぃ」
こんな感じになる。で、それを同級生に使った結果同級生が喘ぎまくった話。

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そういう作品じゃない!
そういう作品じゃないし行為に出てないからR-18じゃない、とだけ弁明させてほしい。
どうしてこうなったのかは僕にもわからないんだ、本当にすまない。

……ただ、喘ぎ声ジェネレータはマジである。もう一個も設定いじったけどある。




 その日、どこにでもいるような高校生の僕は諸事情があって次の授業に遅れそうな状況だった。

 

 教室に戻った頃にはクラスメイトは皆席についていて教師待ちの状況。一人帰ってきたこの状況に恥ずかしさを覚えながら席につき、ポケットのスマホが作業が終了していたことを確認し電源を落とす。一分もしない内にごく普通の女性教師が教室に入ってきた。挨拶と共にクラスを見渡す。

 

「こんにちは。今日は欠席者はいないみたいですね。日直さん、号令を」

 

「きぃっいり……つ…っぅうう!」

 

 変な声が聞こえた。この声は女の声。声を発したのは今日の日直。これまたどこにでもいるような普通のメガネ女子。ショートカットの髪型は個人的には少し好みだったり。

 

「どうかしましたか?」

 

 教師も首をかしげて日直を見る。クラスの何人かも彼女を見ていて、僕もその一人だ。日直は自分がどうしてそんな声を発したのかわかっていないようで戸惑っている。

 

「なぁっっっ!んっんでっっ…えっもおぉぉっありぃぃ♡!まあせっ…っっ!んんん♡」

 

「どう見ても異常ですよ!?」

 

「あの人ってあんな声出るんだ……」

 

「なんか可愛くね、あれ」

 

「いや、どっちかっていうと……アレだろ」

 

「男子うるさい!先生、彼女を保健室に連れて行っていいですか?」

 

「許可します。一応私もついて行きますので他の人は自習して待ってください」

 

「わっぁたっぁ…!しいいっ!だっ…ぁいっっじっっっ♡♡!ょ…♡…うっうぅぅ♡ぶぅう♡…ぅっ!でえぇっすっ♡!よっ…♡」

 

「大丈夫には見えません……!!」

 

 どこか顔を赤めながら困惑気味に言葉を発する彼女の姿は見たことがない。保健委員の女子と先生が彼女を連れて行く姿を見送りながらスマホをこっそり取り出し電源を入れた。

 

 

 そして、数分前の出来事を思い返し始めた――

 

 

 


 

 

 僕が通っているのはごく普通の高校で、何か変わった世界でもない。フルダイブ式MMOが遊べるゲーム機はないし、悪役令嬢が街のトップをやってないし、異世界転生もない……いや、これは死なないと分からないから何とも言えないか。死んでも転生したことを伝えられないだろうけど。

 

「その辺どう思いますか」

 

 珍しく利用者がいない昼休みの校内図書館。図書委員は利用者がいなくても受付にいなければならないのでスマホをいじっていたが、ふと気になったことを同じ図書委員の同級生に尋ねた。

 

「最近の異世界物を見ると連絡を取るのはできなくはないかもね」

 

 メガネをくい、とかけ直して同級生は話し始めた。同級生はショートカットでメガネ着用と典型的な文学系女子である。といってもそれは見た目だけで、中身は友達とよく遊び運動も活発にこなす女の子。性格も元気系だから見た目と中身がズレている。でも、現実ってそんなものだ。

 

 ……回想だからこれくらい言っていいか。お察しの通りこの人がさっき喘いでた日直です。

 

「できるの!?」

 

「声が大きい。転生というよりは転移のジャンルだけど、現実世界で異世界と行き来する道具を物語の冒頭や途中で手に入るケースが増えつつあって。現実世界の物を異世界に持ち込んで売ったりするとか、魔王を倒して現実世界に帰ってからが本番っていうのもあるみたい」

 

「ほへー……そんなのがあるんだね」

 

「キミ、一応ネット小説書いてるならそういうのもちゃんと調べよう?」

 

「僕の書いてるジャンルそういうのじゃないんで」

 

 同じ文芸部員である同級生は僕がネットで小説を書いてることを知っている。部活に入ったのも自習室のPCでこっそり執筆してたのがバレたからだけど、同級生はもっぱら読書専門で小説は書かないし俳句とか短歌とか文芸部の定番も全くやっていない。なんで文芸部にいるんだ。

 

「全校生徒強制部活参加のこの学校で合法的にサボれるからね」

 

「自慢げに言うことかそれ」

 

「だって、高校ってそこまで楽しくないし。外国人の転校生が入ってきて運命的な出会いをするとか、好きな子と一緒にお昼と食べるとか小説みたいなことなくてつまらないよ」

 

「実際ないね。あるとしても部活で青春の汗を流すくらいじゃないかな、って思ったけど部活に関しては体験入部すらしてないんでわからないね」

 

「それは悪かったって。もう一人部員がいないと廃部って先輩が言ってたから当時焦ってて……」

 

 文芸部の部員はかなり少なく規則ではギリギリ部活として認められるライン。そのため部室の規模は非常に小さく、図書館近くの元倉庫に椅子と過去の部員が残した私物という名のガラクタを置いているだけであり、正直言って片付ける前の倉庫と大差ない。

 

「僕も一応趣味のネット小説書く時間確保できるのでメリットはありますし、そこまでは気にしてない。ただ、近々問題はあるよね」

 

「あるね。文化祭、もう少しだし」

 

 文庫本を読んでいた同級生が近くの本棚から薄い本を取り出す。文芸部季刊と書かれたそれは毎年文化祭の時期に文芸部が出している本で、部員が書いた小説や短歌などを収録しているのだ。これを出すことは文芸部として絶対らしく普段はやる気がない同級生も短歌を書いていた。

 

「部員が少なくて印刷所に頼める量は書けないから、コピーとホッチキスの手作業で作るって先輩が言ってた。後は君の原稿待ちかな」

 

「ぐえっ、藪蛇。ネタはあるんで今必死に執筆してるよ。明日にはできるのでもうちょい待ってもらってもいいです?」

 

「締め切りギリギリじゃん……君の分を後半にすれば私の分は印刷してもページ数表記は問題ないし、先輩と相談して学校のコピー機使ってできる限り作っちゃおうかな」

 

「……先生に紙の無駄遣いって怒られない、それ?」

 

「文芸部の予算で紙とインクを補充するから大丈夫」

 

「うちの部活予算あったのか」

 

「少ない額らしいけどね。文集十冊しか作らないし、一冊500円にして大儲けしてやろうか。あ、そうだ。今スマホに私が書いた短歌のメモが入ってるから一応見てもらいたいんだけど、キミのメールアドレスなんだっけ」

 

「メアド?[email protected]だね」

 

「長いなぁ……」

 

「そもそも普通にこの場で見せてもらったほうが早くない?」

 

「男の人にスマホいじられるのって普通にヤダよ。待ち受け見られたくないし」

 

 正論で返された。しばらくすると、小説投稿サイトに保存されている執筆中小説のストックにタイトルが文化祭用短歌とある小説が増えた。僕が使っている小説サイトはメールで送った小説がこうしてストックに保存される機能がある。面白い機能だから使っているけど、実用性は……微妙。

 

「受け取ったからパパっと見たよ。普通にいい感じじゃないかな。てかこれ一部学校の先生をからかってるんじゃ……」

 

「バレたか。まあちょっといじってるだけだから大丈夫だよ、きっと。ところで読むの早いね」

 

「人気作者の小説となると100話超えてることがあるんで速読する癖がついてるんだよ」

 

「ふーん、そういうことね。いい感じなら印刷しても大丈夫かな。サンキュ」

 

「どういたしまして。ってありゃ、なんだこれ」

 

 ふと執筆中小説のストックを見ていると見覚えのない数字だけが並んだタイトルがある。使っている小説サイトのバグか何かでタイトル未記入で保存するとこうなることは知っていたが、それに紛れて『連絡先』という更新日時に見覚えがないタイトルがあった。タップして開くと、中身は何人かの同級生の名前と連絡先だった。

 

「あー、あれか。思い出した」

 

「どうしたの?」

 

「なんでもない。使ってるサイトのメモに夏休みの修学旅行で同じ班だった連絡先があっただけで。そういやスマホで連絡とれるようにって番号交換したなぁ。使わなかったけど」

 

「あー、あったね。キミの連絡先もらったけど使ってないや。てかなんで小説サイトにメモしてるのさ」

 

「パソコンからもアクセスできるからこっそりカレンダー的な感じで使ってるんだよ。うっかり投稿したら規約違反でヤバいけど」

 

「危ない橋はわたらないでよー。小説的な意味でも個人情報的な意味でも。最近は友達の連絡先を悪用する人とかいるって聞いたし」

 

「やらないよ。そっちこそどうなんですか」

 

「そうだねぇ……連絡先を悪用したのは小学生の頃赤いペンで好きな人の名前を書いて両想いになれますように、っておまじないしたくらいかな」

 

「そんなおまじないがあるのか。小説のネタに使ってもいい?」

 

「いいよ。ついでに裏写りして机に名前が残って恥をさらしたエピソードも使っていいよ」

 

「……人生愉快すぎません?」

 

「人生ってそんなもんだから。面白いこと探しても中々ないけど、突然面白いことがやってくることはあるよ。ちなみにその時私は机の上に血を垂らして血文字風にしてごまかした」

 

「普通に怖いよそれ!」

 

「嘘。ラノベ風に盛っただけで本当は赤いペンで塗りつぶして隠しただけだよ」

 

 そんなことだろうと思った。同級生の冗談に呆れていると昼休みが終わるチャイムが鳴り、学校中が慌ただしくなる。急いで教室に戻らないと遅刻だ。

 

「それじゃ今日のお仕事終わり。放課後はどうする、部室使う?」

 

「小説書きたいんで図書委員サボって使いたい」

 

「ん、了解。放課後の図書委員私一人でやるから代わりに後片付けよろしく!」

 

「わかった、やっておくよ」

 

 同級生と別れ、急いで後片付けをしているとふと電源を落とそうとしたスマホに表示された同級生の名前が目に入る。同級生は小中高と同じ学校で長い付き合いの女の子。好きか嫌いかで言うと好きだけど、恋愛的な意味で言うと微妙な感じの同級生。

 

 向こうもただの友達だと思っているだろうけど、これからも仲良くしていきたい。そこでふと、おまじないの話を思い出して同級生の名前にサイトの設定で色を付けようとして……

 

 気付いてしまった。そう、あれの存在に。

 

 あれを使って同級生の名前をいじってゲラゲラ笑っていると突然スマホの動作が重くなる。バッテリー不足で強制エコモードかと思ったけど充電は73%。何か変なキャッシュデータでも溜まっているのだろうか。ブラウザの設定でキャッシュを削除するが時間がかかっている。

 

 仕方ない、スマホの操作を諦めて早く図書委員の仕事を片付けて教室に戻ろう。

 

 


 

 

 そして――日直が突然奇妙な発言を始めて教室が混乱している今に至る。あの声を聴いた男子がアレだろ、と言ってたように同級生の声が喘ぎ声に聞こえた。直前まで同級生の名前を小説投稿サイトの新機能で遊んでいたが、十中八九あれと関係があるはずだ。最近実装された新機能。

 

 その名前は――喘ぎ声ジェネレータ。

 

 では、ここで一つ説明をさせてほしい。「いきなり設定を語り始める小説ってどうなんだ」とか思うかもしれないけど、どうしてもここで言うべきだと思ったんだ。許してほしい。

 

 突然だけど読んでいる君に一つ質問、特殊タグって知ってるかい?

 

 最近このサイトで小説を読んでると文字が大きくなってたり色がついてたりとない?ああいうのが特殊タグね。こんな感じのやつ。うまく使いこなす人は某笑顔動画のコメントみたいに文字が流れたり、動画配信や掲示板みたいな枠を特殊タグで作ってるらしいよ。自分はできないけども。

 

 察したと思うけど、僕はとあるサイトにこっそりと小説を投稿してる無名の作者なんだ。

 

 それで最近このサイトに追加された特殊タグで喘ぎ声ジェネレータがある。これは文字の見え方を変える通常の特殊タグとは違って、文章その物を改造する機能って言った方がわかりやすいか。

 図書館から教室に行く前に、特殊タグ一覧の最後尾にいつの間にか追加されていたそれの名前のインパクトに吹き出してふと同級生の名前に喘ぎ声ジェネレータを使うとどうなるのか気になって試してみた。本名出して同級生にバレたら絞められるから、「しょうせつ」で代用すると。

 

 し…ぃょ…………う…ぅっせぇ…つぅぅ

 

 笑った。デフォルトの設定で生成するだけでこうなった。ランダムみたいで何度か生成ボタンを押すと毎回違う喘ぎ声になるから笑ってしまう。設定をいじれるのでいじって再生成してみる。

 

 しっょ…っっ…う…♡…っぅっ!せえっつぅぅ…ぅ

 

 ハートマーク付け足して、「っ」を足しただけで愉快なことになったのが分かるだろう。そもそもの話用途がいわゆるR-18作品向けだから普通の言葉に使ったらおかしくなるのは当然なんだけど……これを修正せずにそのまま保存したらスマホが重くなった。で、キャッシュ削除しながら教室に戻って今に至る。

 

 

 あれがなんらかのおまじないとして働いた結果だというのなら名前を普通に戻せば同級生も元に戻るはずだ、多分、きっと、メイビー。こんな小説みたいな出来事が起きるとか信じられるか!

 

 キャッシュ削除したおかげでサクサク動くスマホで小説投稿サイトにアクセスする、が。

 

 予想外の現実が僕を襲った。執筆中小説のストックを編集できない。そもそもログインできない。電波はちゃんと拾っているしサイトのサーバーは落ちていない。

 

 シンプルな理由でログインできないのだ。誰しもが経験あるシンプルな理由。

 キャッシュごとパスワードの記録を削除してしまいました。ログインしようにもパスワードがわかりません。やってしまったー!声をあげそうになるが今は自習中だ。アカウントに紐づけてるメールアドレスを入力してパスワード再発行しようにもアドレスを覚えていないから不可能。

 

「お待たせしました。それでは授業を始めますね」

 

 そうこうしているうちに教師が帰ってきた。スマホは片付けて授業が終わった後に操作するしかない。授業中の間に何とかしてパスワードを思い出さなければ……!同級生が常に喘ぎまくるとかどんな絵面だ、ご褒美とか言う人もいるかもだけど普通に怖いっての!

 

 

 ……聞いててちょっとだけぐっと来たけども。男なら仕方ない。

 

 

 なお、煩悩にまみれた思考ではまともにパスワードを思い出すことは出来なかったとさ。

 

 


 

 

 放課後になってしまった。ついにパスワードを思い出すことは出来ず、心当たりは全て入力したが全部ダメでどうしようにもない。ひとまず保健室に向かうことにした。ノックするが返事なし。

 

「失礼します」

 

 扉に鍵はかかっておらず部屋の中に担当の先生の姿は見えないが、カーテンがかけられたベッドが一つだけあったことから大体察した。

 

「日直さーん、いる?」

 

「はぁあぁぁい、………いぃ!ま……ぁ…すぅ」

 

 いた。ベッドの方から声が聞こえたしやっぱり寝込んでいたか。

 

「教室に置きっぱなしだった荷物と後今日の授業で配られたプリント持ってきた。体調の方はどんな感じ?治ってたらいいんだけども」

 

「かぁあっらあぁ…だっはっだあああ…い…じ…ぃょ!うぅっ!ぶううぅうう!だ…!け……ええ!ど!こおぉ…おえっが……あっあ…あぁ…あ!い!か!わぁぁあ!らっず………」

 

「……ごめん、なんて?」

 

「かあっ♡っ!ら♡♡っだっ♡はだ♡♡♡いいぃいっじっょ!う♡ぶぅ…!だ♡っ!け♡えぇっど♡……ぉこっっっおえ♡っ♡が……ぁあ…!あぁっい…ぃ…♡っかあっわ…♡ぁらず…うっ」

 

「ええい、やかましい!!」

 

「おおぉ…おっ!こぉおおおるぅうぅよ………」

 

「ちょっとふざけた、ごめんなさい」

 

 『怒るよ』以外に言っていたことがわからないのは本当なんだけど、謝っておかないと不味い気がした。喘ぎ声がかなりヤバいことになってる。人前に出したら通報されるレベルだ。

 

「それで今日の図書委員の仕事どうしようか。流石に無理だよね?」

 

「ぜえっっ………たああっいいぃぃい!に…ぃぃ……っ!やあ!だ…っ」

 

「ですよねー」

 

「で…っもっほっんんんさぁああ…が…あ…し…い…ぃ…!たぁあ…あぁいいぃぃいぃかぁぁ…!らとおぉし……!ょ…………かぁ……!んんん……っ!はあ……いきたいぃぃいいっ!」

 

「図書館行きたいのはわかった!わかったからいきたい禁止!明らかに発言がヤバい!」

 

「りぃ…いぃょう…ぅかあああ!いいいいい!」

 

 なんか一周回ってうるさくなってきたぞ。そういう意味でも治さないと不味い。

 

「……図書委員の仕事やるから大好きって一回言ってみて」

 

「だ…ぁ……いいぃ…す…っ!きい……ぃ!」

 

「全然ロマンチックにならない……」

 

「なにぃぃいを……おおき…いい…たぁああっ!いっしぃい…ぃてぇ…ぇええっるううっの…ぉおおっよ…!ばっか…ぁあぁあ」

 

「あ、今の馬鹿いいかも。ワンモア」

 

 カーテンが一瞬だけ開いてぬいぐるみが飛んできた。弾き返した。

 

「ふぎいっゃ…っっ…ぁ…っ…っーっっっっ♡…!」

 

 命中。ガッツポーズを決めたがさすがに見えてないと思う。保健室ってなぜかぬいぐるみや絵本が置いてあることがあるんだけど、高校生になってまで使ったり読む物かな、それって。

 

 


 

 

 放課後の図書館は本を読むだけでなく自習室としても使う人がいたり、自習終わりに何か借りていく人もいるので忙しさはそれなり。一先ず誰も来ない今はスマホをいじる。

 

「メール、チャット、写真、スクリーンショット……ダメだ、手掛かりなし。どっかにパスワードメモしてたらいいんだけど、そういうの全部あのサイトに書いてたからなぁ」

 

 日直の喘ぎ声が治る様子はなし。サイトにログインしてメモをどうにかすれば治ると思うんだけどなぁ。で、図書委員と兼業して探している僕に対して日直は何をしているかというと。

 

「…!…これは…ぁっっ、ちぃっいっっがぁうっ」

 

 治療方法が本に載っていないかと捜索中。相も変わらず解読困難な喘ぎ声によると今日はかかりつけの病院が休みなので、とりあえず先人の知恵を借りようとしている模様。確かに僕は彼女の名前を喘ぎ声ジェネレータで遊んだのが原因だと考えてるけど、病気という可能性もなくはない。

 ……いや、発症したら喘ぎまくる病気ってなんだ。導入がすごく雑なR-18作品の世界で蔓延しまくってそうな病気だぞ。これが平穏な生活が崩壊するきっかけだったら嫌すぎる。

 

「Aeguウイルス、Aウイルス?もう少しひねりがある名前の方がいいよな」

 

 スマホで検索。喘ぎ声は英語でなんぞや。Pant voice。

 

「Pウイルス……今だったら絶対プイプイ鳴くことしかできなくなるウイルスだわ」

 

「そぉぉぉおれっだああ…っ!った…っらぁぁ…ぁよ……………かっ……たぁ!のおにっ!」

 

「あー……おかえり。どうだった?」

 

「ダメェッだ…あっっ……………たあ…」

 

 むしろ結果が出なかったことに安堵しています。本当に病気だったら他の人にうつる可能性もあるし悪化したら何が起きるかわかったもんじゃない。もしも淫紋とかできたら和牛持っていくぞ。日直は隣の席に座って天を仰ぐ。眼鏡越しの瞳は絶望か諦めかはたまた別の何かで濁っていた。

 

「あ…ああ…っあぁぁあっ」

 

「嘆きたい気持ちはわかるけどもなるべく控えた方が……」

 

 ごめんなさい――と言おうとしたのか、直前でまた喘ぐことに気づき口を閉じてコクコクとうなづく。普段はとにかくやかましい彼女が静かになっただけで可愛さが二割増しになった気がする。

 

「聞いてる方としては面白いし可愛いんだけどなぁ」

 

 無言でボールペンをわき腹に突き刺された。やめろ、白シャツのインク汚れは落ちにくいんだ!

 

「かわあああっいいいっぃいっいい♡!っっ…って…いぃ♡!っっったぁ…っらっっあ…ぁぁ♡!とおでっ!こ…っ…ろお…すっよっっっ♡」

 

「一見してただの変態に殺されるのはいくら何でも御免被る」

 

「きっ…っさぁ!ま…をこっ!ろぉぉっっっす……っのっおっはへ!んっ…ん…!た…ぁっっ…!い…だ!」

 

「せめて変人に始末されたい」

 

「ち…っぃいっ!ゅっうっもぉっおぉんん………っがおっおっぉおおっいいぃっぃおっぉ……っとおぉっおこ…はっぁあっっ!モォ…ォ…ッ!テェ…ェ…ッな…ぁ…あぁっいいぃ…よっ」

 

「こんな女にはモテたくない」

 

 ボールペン三段突き。いつか僕のシャツが破れるのでやめてください。こうなった原因は多分僕だから文句は言えないんだけども。これがバレたら刺されるどころか引き裂かれかねない。

 

「どぉうっし…ぃいっって…ぇ……!こおう…なっあ…っっ…!ちっっっっゃ…っ…っ…っ…っ!たあっの…かぁな…ぁっぁっぁ…っっっ………………!わぁるっいっ…いっこ…ぉとっっしい…っっっったぁぁぁのっ!かっなっっっっぁぁ!」

 

「悪いことはしてないはず。何か神社で罰当たりなことした記憶はない?」

 

「なああ!いい!よ…っ!。………!きみ!は……?」

 

「文化祭の作品が締め切りに間に合わなさそうなことくらいしか心当たりなし」

 

「ま…っ!にぃああぁ……あわああ…ぁっ!なかあぁああっ……たぁ…ぁぁぁらああぁ…あき…いい!みいいぃのおぉおぉおい…ぃえっに…っとぉぉぉっつ…っ!げえぇきぃ!し……って…え…ぇぇしぃ…い!ゅ………っ!らぁっ!ば…っ!にぃしっ!てええあ…あぁげっるうぅ……」

 

「人の家に勝手に着て喘ぐ女とか警察に通報します」

 

「きぃぃいぃ!み…いぃぃ!が…あ…くぅぅぅ……!すう…うり………っを…もっ…………た…あことにぃ…いっすぅぅ!るぅぅ。………わ…あぁぁったぁ…ぁあぁしい…い!は…っお…お!ん…ん……んっなあぁっだ…!かっ!らあ…ぁあっまぁ…………け……えっな…っい…いっ!」

 

「そうなった場合僕もろともキミも新聞に載る事態になるのでは?全国に恥さらされるよ」

 

「……く…うっずうめぇぇ…ぇ…」

 

「うずめ?ああ、クズめ、ね。って誰がクズだ」

 

「しぃいい…いめえぇ…ぇ…っきりぃい…を!ま!もっらっなぁ…いぃい!さっっ……!かぁぁ……は…あぁぁっく…ぅぅぅぅ!ずぅ…ぅぅ!だ…ぁ!!」

 

「言い方ァ。後僕は気ままなweb作家だよ」

 

「はぁあたあああ…っ!らぁあ!けぇ…ぇえ…!ぶ!んんん……げ…いいぶ……ういぃ…ぃ…………んっ」

 

「働きますけど最後をんで切らない方にした方がいいよ。いろいろとヤバい。でも題材どうしようかな。原稿保存してたサイトのパスワード忘れちゃって新規で書くしかないんだけど」

 

「ばかっっっぁ…っ…っ…っ」

 

 否定できない。キャッシュ削除する時にちゃんと設定を見ていれば二重の意味でこんなことにはならなかったのに。締め切りに間に合わない僕もヤバいけど彼女には本当に迷惑かけてる。運営に事情を説明すればどうにかログインできるかなぁ……メールアドレスの方も手あたり次第送ったけど全部ダメだったし、本人確認できないから望み薄だけど。

 

「思い返しながら書くとしても時間かかりそうだけど、徹夜してでも仕上げるしかないか」

 

「が……!ん………っば!っ……………!たぁぁぁぁ…らあ!ひいぃぃいぃとおおおっこ…っとおぉ!リ…ク……ゥエェ………ェス……!ト…にい!こたぁ…ぁあ…ええて…えええぇああっ!げ…ぇ…ええる!」

 

「喘ぎ声売り物にする女とか初めて見た……探せばいるのかもしれないけど」

 

「ごせ……え!ん…ん!えぇぇ!ん…んっねぇ」

 

「金とるんかーい。五千円とか高校生の財布を殺す気か。」

 

「なん……んん!とぉ…!な!く…ぅっこぉぉおおっ!ろし…い!た!く…なあぁあぁっったあぁ…」

 

「無差別発情殺人魔!?」

 

 待って。今のは僕が悪かった。頼むからカッターを下ろしてくれ。本当にそれは怪我する。

 

「……もういっそのことマジでこの喘ぎ声ネタにしようか」

 

「あっ……っっっっ…♡」

 

「さすがにダメだよね。だからカッターをそろそろ手から放してくれませんか」

 

「それぇぇ…っだっ…ぁ♡!ぁっ♡…♡♡っ♡…っ……っ!」

 

「……はい?」

 

 


 

 

 文化祭当日。

 

「いぃっぃっらあっっしいいいゃいぃまっっせっえぇ、…!ごっ!ち……ぃぃ!ゅっっっっううう…っっっもっん…んん…っっ!はっ?…!」

 

 我等が文芸部は図書館を使って読書カフェなるものを開催した。図書委員と文芸部お勧めの本を読みながら今日だけ特別に飲み物やお菓子を楽しめるという画期的な低予算企画である。

 ありきたりなものだとは言わない。去年の学校の歴史展示よりは客が多いらしいし。

 

「……まぁ企画以前にウエイトレスの方が面白いけど」

 

「あぁとぉっ…おおでっ!さ…ああっっと……お…ううっっぅマッアアッシッイマッ…ァアシイッッッコー……!ヒッ!ー…………のっおっ……ん…んでえ!ねえ……」

 

「歯が砂糖で腐るぞ!?」

 

「すみませーん、やかましコーヒー一杯」

 

「はあ…あぁっー…………!いいっ!」

 

 相も変わらず喘ぎまくる日直が注文を受け取ったのを見届けて、僕は受付でコーヒーを作り始めた。水道水のお湯とインスタントコーヒーで100円はぼったくりだけどまあいいか。

 

 日直はある秘策を思い付いた。それは自らのこの状況をネタにするという方法で、手始めに僕は彼女をネタにした作品を書かされた。幼馴染が突然喘ぎだす呪いをかけられてそれを解除するために奔走する高校生のお話。ちなみに僕は日直と幼馴染どころか高校が初対面である。だが、文集のテーマがほのぼのだから顧問に掲載却下されると思ったらなぜか通った。何をやったんだ。

 そして、現実で喘ぎ始めたのは全てがこの日のための仕込みだったのだ!……というカバーストーリーの出来上がりである。結局病院に行っても原因がわからなかったので開き直って文化祭ではこの状況をネタにして売り上げアップを狙う気らしい。

 もちろん恥さらしになるからやめた方がいいと言ったけど、彼女をネタにした小説を書いたので恥をかくのは僕もである。てか喘ぐことを恥ずかしがらないとか症状が悪化しているのでは。

 

 ここ数日気が気でなかった日直の斜め上な秘策は微妙に客にはウケたようで。

 

「この文集が例のやつ?」

 

「例のやつ……ですね。喘ぎまくった原因をネタにしたお話あります」

 

「そうなのかぁ……うーん、ラス1だし買うか。250円ちょうどで」

 

 飲食物以外にも文集がちょっとだけ売れている。文集の売り上げは3750円とそこそこ。

 

「すみませんこれ見本でして。10冊しか刷らなかったのは不味かったかな……後で増刷して送るのでここに名前とクラス名メモしてもらっていいです?」

 

「わかった。じゃあその……逮捕されないように頑張れよ」

 

「全てあの女に脅されたといっておきます」

 

「きいっこ……ぉっっ!え…ってっっぇぇっ!るよっっっっ!」

 

「怖い怖い。がんばれよー」

 

 頭を下げてお見送り。まさか文集がここまで売れるとは想定外である。これも日直の狙い通りなんだろうけども、おかげで先輩後輩が店に関わりたくなくなって僕ら二人だけなのは問題である。

 

「ぶいいっっ…っっっ!」

 

「ダブルピース決めるな絵面が明らかにヤバい。これで顔の表情が笑顔だったら教師にガチで怒られるんだけど。すでに何度か小言言われてるし」

 

「バッレなきぃ…いぃゃ…っ!かあっ…っ!ちぃ……っっっ」

 

「喘ぎ声は羞恥心すら始末するのか……」

 

 これって新しいトリビアにならないかな。明らかにいらないトリビアだけど元ネタはそういうのばっかか。深夜枠ならギリギリ通りそうな企画かも。

 

「もっ♡お…う……!ちっぃっょっ……っ!っ♡っ♡♡っとがっ…ぁんば…♡♡あ!ればああごお♡お♡♡せぇ♡んんっ…♡っ!え……!んん♡っい!くっううかぁあな♡ぁっ」

 

「定期的に喘ぎ声がすごく悪化するの本当に何なんだ。聞いてて怖くなってきたぞ」

 

 文集の注文リスト見てにやにやしてる絵面が普通に犯罪チックに見えてきた。僕もだいぶ重症な気がしてきた。責任を感じて店番引き受けなきゃよかった……

 

「ん…っん!ー…♡…!ふ♡♡ふっ…う…ぅふっー…♡♡♡」

 

 ……録音しておこうか一瞬迷った。ちょうど手元に苦いコーヒーあるし飲んで冷静になろう……その光景になぜか日直はスマホを向けていた。

 

「……何やってんの?」

 

「し…ぃっっ!ょ…っ!う…うひ!んんの…っおおっん……ん…んっで…え!る…っしっいょ…うううっこ…ぉ…おおっ!しぃぃいっゃっっっし…っぃっー!んん…っ」

 

「あっ!?や、やっちまった!すぐに新しい一杯入れないと」

 

「うぅうぅっ!そおぉっ…!だぁぁ…あっ!け!ど…っ!ね…っ!ぇっっ!」

 

「キサムァ!?」

 

 喘ぎ始めておとなしくなってた部分が消し飛んで普段通りの生意気さ増してきたぞ!?……こうなるんだったら喘がせる意味なんて全くなかったのでは。僕が苦労してるだけか?

 

「あのー、コーヒーまだですか?」

 

「はーい、ただいまもっていきますー。ほら、急いで」

 

「わかってる。今できたとこ……ん?」

 

 はて。今何かおかしかったような。日直も首をかしげる。

 

「……あー、あー。あかさたなはまやらわー……やった。やった!ようやく声が治ったぁ!!」

 

 ぴょんぴょんと飛び跳ねて歓喜に満ち溢れる日直。なぜ治ったのかはわからないけどその姿にほっと一息つく。なお、コーヒーを注文した男子生徒は肩をがっくりと落としていた。やっぱりそういうの目的で来たんだね……想定通りなんだけどいけないことしている気分。コーヒーを受け取って日直はその男子生徒の元へ行く。

 

「お待たせしました、やかましコーヒーです!注文履歴は女子生徒間で共有しておきますね♡」

 

「最後の一言で男子生徒を殺す気か!?やめてあげなさい!!」

 

 すでにコーヒー注文した人30人超えてるんだけど!?……いや、30人も注文してくるっていうのはなんだ。喘ぎ声目的でコーヒー飲みに来すぎだろ。

 

「冗談だよ冗談。それじゃ、いつも通りにやろっか!」

 

 ニコニコと笑いながら受付に戻って新しいコーヒーを入れ始める日直。怖いよ。

 

「喜んでコーヒー運ぶ状況がすでにいつも通りじゃない……!喘ぎ声のせいで変に羞恥心飛んでるから迷惑女子生徒が誕生しただけじゃないか」

 

「あっはっはー。何を言ってるのかなー。私はいつも通りだよ」

 

 

 ――人をこんな風にしてもてあそんだ元凶のあなたみたいにね。

 

 

「……えっ」

 

「はい、こちら砂糖マシマシコーヒーです。一気飲みして喉を始末するのがおすすめですよ」

 

「……えーっと、その……」

 

「弁明はあなたの喉が死んでから聞こうか」

 

 喉が死んだら喋れないのでは。……あ、はい。ごめんなさい。

 

 

 


 

 

 エピローグ……いや、ネタバラシというべきか。

 

 まずは喘ぎ声が止まったギミックについて話そうと思う。僕がコーヒーを飲んでいた時日直は写真を撮っていたのではなかった。文集の注文のリストを『連絡先』というタイトルで小説投稿サイトの僕のページに送っていたのだ。そのギミックは少し前に開設済みだから省く。

 彼女が送ったメールのタイトル『連絡先』は偶然例の名前を喘がせた執筆中小説と同じタイトルだった。そのためページの内容を上書きして、喘いでいた彼女の名前のデータは消滅した模様。

 

 こうして喘ぎ声の呪いは解けたのであった。

 

 どうしてこんな呪いがかかったのかはわからない。だけどB級ホラー作品の呪いはたいていそんな感じで伏線回収されずに放置されていることが多いし、僕はB級どころかC、いや、D級作家。

 なので真相解明をここで断念したことでお許しいただきたい。ダメ?いや、そういわれてもこれ以上調べたら逆に僕が喘ぎそうな気がするんだけど。男が喘いで喜ぶのは特殊だと思わない?

 

「思わない。むしろ喘いで恥さらせ」

 

「ごめんなさい……」

 

「はぁー。正直に言ってくれたら早くどうにかなったのかもしれないのに何で隠すかな」

 

「言ったら殺しに来るでしょう、あなた」

 

「せいぜい女子トイレに放り込むくらいだよ」

 

「社会的に殺してやがる……!」

 

 ニマニマ笑いながら僕を見つめる彼女は平常運転どころかエンジンフルスロットル。普通にめんどくさい女子になっている。可愛かったあの頃を返せ。

 

「何はともあれ治ったからいいけど。次似たようなことが起きたら殴るよ」

 

「暴力反対!」

 

「やだなぁ、そんなことしたら私も痛いじゃん。だからさ――」

 

 お待たせしましたー。図書館で彼女が着ていたウェイトレス服もどきではなく、本当のウェイトレスがやってきて一つの料理を置いていく。全長50cmの巨大パフェ。

 

「シェフの気まぐれ特製ビッグパフェ。五千円ちょうどになりまーす」

 

「ありがとうございます!だから私は君の財布を殴る!おごってねー」

 

「やたらと五千円強調してたのこれが狙いか!てかカツアゲ!」

 

「パパ活と呼びたまえ」

 

「まだそんな年じゃないし周りの視線が痛いぞ……!」

 

 しーらない。日直は人の財布の命を気にすることなく、甘いパフェをほおばる。恨めしい視線で見つめるがあげないよとバッサリ。僕この一件で損してばっかりじゃないか、畜生!

 

「喘ぎまくる女の子見られたのに不満とか贅沢だねー」

 

「それは……正直に言っていい?」

 

「どうぞどうぞ」

 

「……声だけ喘いでるのに表情が平常運転だからあまり嬉しくなかった。顔赤めてるのならともかく普通にああいう声出してる人って気持ち悪くない」

 

「……ああー。それはまあ、うん。同意するよ。お客さんが微妙な顔してたのそれね」

 

「聴覚と視覚がズレてるから苦笑いだよ」

 

「なるほどなるほど。でもいい経験になったんじゃないかな?この経験がいつか小説を書く時の経験になるはずだよ、うん。私をまた題材にしたら殺すけど」

 

「もう二度とやらないよ!」

 

 

 喘ぎ声騒動はもうこりごりだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 で、こっちが本当のエピローグ。

 

 そんなこと言いながらこの一件を小説風にして書いてる当たり僕は懲りてないなぁ、と自虐していた。コーヒーを飲みつつ僕はキーボードをたたき続ける。日直に命令されて書かされてた作品の内容に不満があったのもあるけど、これは実質的なリメイクだから約束は破ってない、ヨシ!

 

「……なので一度見てもらっていいかな」

 

「ずっと前のこと掘り返すとか死にたいの?」

 

「シニタクナイデス」

 

「片言ジェネレータでも使ったの?それはともかく。なんで書いちゃったのさ」

 

「パスワードどうにか思い出せたのはいいけど、友達が参加するちょっとした大会に出品するネタがなくて。仕方なくこれを書くしかなかったんだけど出品許可得られないかなーって」

 

「……大会はいつ?」

 

「あと10分後」

 

「ギリギリまでそれ書いてるとか本当にネタないんだね……わかったよ。本名伏せてくれるのなら許可する。それとタイトル私がつけてもいいのならオッケー」

 

 やったぜ。なおそのまんまなタイトルに呆れることになる。これが本作の投稿されるまでにあったちょっとした小話であり、本編としては最後の話題。以上、物語終わり。長らくの閲覧お疲れさまでした。最後まで楽しんでいただけたのなら幸いですよ、っと。

 




 余談。

「で、賞金はいくら?」

「え?」

「大会なんだから賞金とかあるんでしょ?あ、閲覧に応じて広告費もらえるとか?」

「ないよ」

「えっ」

「ウェブ上で個人開催の大会で優勝とかないから。商品なんてアリマセーン」

「……んっ」

「無言で拳握らないで握らないで。五千円払うから」

「よしっ」

 何がよしだ。またバイトしなきゃ……やっぱり僕は喘ぎ声に縁がない。この女以外に縁があっても困るけど。つまりはそういうことだ、うん。

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