白陽の下に水面を駆ける   作:なもなきなにか

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《前回のあらすじ》
 コクウの指導のもと艦娘達の訓練が行われた。
 訓練が終わりコクウ、五月雨は片付け。皐月は食堂。天龍は浴場と別れる。
 食堂にて皐月、シエル、愛羅の三人が残りの三人を待ち、その間各々の暇つぶしをしていた。
 コクウと五月雨が食堂に到着。遅刻理由を聴取し、そのまま昼食を取る。
 待ってるときに仔月光が持ってきた手紙の内容を明かし、エントランスにて新提督を迎える準備に入る。
 新提督?が到着し入館。その直後に誰かの悲鳴が響き、鮮血が飛び散った。







RE·start:起床

 

 

 

 

 

 

ーside.??ー

 

 

 

「ん〜······ん?」

 

 

 

 俺はいつの間にか落ちていた意識を引き戻し目を開く。が、周囲は真っ暗で目が潰れているのかと思えるほどに何も見えなかった。その上、起き上がろうとしても金縛りにあっているかのように体が動かない。

 

 

 

 そのため、俺は一旦基本的な事から思い出して記憶を整理しようと考え、記憶を探るために再び目を瞑った。

 

 

 

(まず一つ目に自分の事だ。

 

 名前は結城 京。年齢は22歳。5歳の頃から親の虐待を受け初め、13の時に虐待に耐えきれず自殺を図り幻想入りした。その後色々あって18の時にこちらの世界に帰ってきて白虎こと虎坂 李白元帥·······当時は大将だった気がするな······に拾われ、当時の元帥との面談を経て白虎の鎮守府に提督見習いとして着任。二年後に当時の元帥が退役。

 

 それを継いで白虎が元帥になったのをキッカケに後釜として白虎の鎮守府に着任。その一年半後に起きた侵攻により鎮守府は消滅。所属艦もほとんどが轟沈し、俺はそこから半年間は廃人していたらしい。

 

 その後は特務憲兵の仕事を貰い、何人もの提督を取り締まっていた。

 

 ······とこんなものだろう)

 

 

 

 自分のことを大雑把に思い出した俺は、再び目を開いて辺りを見ようとするが、そもそも光が無いようでどの方向も全く見えない。目は動いたが、それ以外は未だに動かない。

 

 ······時間が経ったことで金縛りが解けるか少しでも朝日が登っていると思ったのだが······

 

 そう思いながら再び記憶の整理を再開した。

 

 

 

(次は······『深海棲艦の事と彼女らが出現したことで世界がどう変わったか』でいいか。

 

 まず最初。十年前にどこかの海が少し赤くなり、それから一年後くらいに漁獲量が減少。同時に銛を弾く大きな魚······多分イ級だろう······が出現し始めた。

 

 それから一年前後で海の魚は捕れなくなり全て養殖のものとなった。川魚は被害なしだったみたいだが、お高くなっていたそうだ。

 

 それから程なく第一次侵攻があったらしい。それにより各国は制海権を失い、ほとんどの国が空路での外交のみになったらしい。

 

 そして第一次侵攻から半年経って、空も危険になったらしい。多分空母とかが出現し始めていたんだろうが、幻想郷にいたからその時のことは知らん。

 

 空路を失ってからまた半年経った頃から所々で「妖精みたいなのが見える」と精神科に行く人が増えたらしい。

 

 それと同じ頃から深海棲艦彼女らに人型の個体が増え、最初の姫級が出現し、政府に交渉······と言っても「滅ぼされたくなければ従え」的なものだったらしいが······を持ち掛けたそうだが政府は断り当時最強と言われた女性が素手でその姫と戦い、引き分けの形で倒したそうだ。······その人は英雄と今でも語り継がれている。

 

 で、その姫を討ち取ってから海に現在の艦娘となる少女たちが出現し、初代元帥となる方に従って近海は奪還した。

 

 それから少しずつ抵抗する力を得て、なんやかんやあり、俺が戻ってきてから第二次侵攻があったり、明らかに人類側こちらが悪い事のせいで日本海が北西に広がったりしたが、一部の深海棲艦とは和解できたから結果オーライだと思ってる。

 

 ······こんなものか)

 

 

 

 と、思い出せたところで何かを探す声と「カツカツ」と規則的な足音が聞こえてきた。

 

 声の主は扉の開閉音と共に少しずつこちらに近づいているようだ。

 

 

 

(この声······たぶんコクウか? だとしたら何を探してるんだ?)

 

 

 

 そんなことを考えていると俺のいる部屋の扉が開き、部屋に入って来た者をコクウだと仮定して話しかけた。

 

 

 

ユウ「何を探し回ってんだコクウ? 

 

 あと電気つけてくれない?」

 

 

 

コクウ?「ユウ······起きてたのか。

 

 ······てかMPも尽きて目も見えてないはずなのになぜ俺だと分かったんだ?」

 

 

 

 この返答的にコクウで間違いないようなので、質問に対して「耳だ」と答える

 

 

 

コクウ「そうか······そうだな。確かに耳が聞こえてれば声で分かるか。」

 

 

 

ユウ「そゆこと。つか目を治してくれ」

 

 

 

コクウ「自力で治せるだろ」

 

 

 

ユウ「MPくれよ。そうすれば自分で治せる」

 

 

 

コクウ「そうだな。今渡す」 

 

 

 

 コクウは俺の額に手を当ててMPを流し込み、体内に循環させる。

 

 最低限入った辺りで「こんなもんで大丈夫だ」と言って供給を切り、目の修復を行う。

 

 

 

コクウ「それにしても使いすぎると一時的にMPの自動回復が無くなるのは面倒だな」

 

 

 

ユウ「本当に面倒なんだよな〜。っと、治った」

 

 

 

 俺は治した目を少しずつ開けると、最初に目に入ったのは明るめな灰色の天井と目が眩むほどの光を放つ照明だった。

 

 そのため、すぐに目を細めることになった。

 

 

 

ユウ「めっちゃ眩しいんだけど」

 

 

 

コクウ「すぐ慣れるから大丈夫だろ」

 

 

 

 それから間もなく目が慣れたのでコクウを正面に捉え、再び「何を探し回ってんだ?」と質問を投げた。

 

 

 

コクウ「探しものは見つかったさ。

 

 今、お前の両隣にいる奴らだ」

 

 

 

 「両隣?」と疑問を感じながら視線を下に向ける。するとそこには二人の天使皐月と五月雨が腕にしがみついてスヤスヤと気持ち良さそうな寝息をたてて寝ていた。

 

 

 

ユウ「······エッ何この娘達起きて早々に俺を尊死させる気なの? 可愛すぎてヤバいんだけど······」

 

 

 

 語彙力が死んでしまっているが、そんな些細なことは全く気にならない程に可愛いのだからしょうがないだろう?

 

 

 

コクウ「ユウ、表情緩みきって気持ち悪いことになってんぞ」

 

 

 

ユウ「!! すまん。気づかなかった」

 

 

 

 コクウに言われ、緩みきっていた表情を引き締める。そのついでに緩んでいた五月雨側の拘束しがみつきを外し、ポンポンと頭を撫でてから皐月の方を撫で始めた。

 

 

 

ユウ「そういえば、この子達起こすのか?」

 

 

 

コクウ「んにゃ、部屋に居ないから探してたってだけだ。今はルールらしいルールも無いからまだ寝てていいぞ」

 

 

 

ユウ「俺はもう目が覚めたから起きてるが······そういえば俺はどうしてこんなことになってるんだ?」

 

 

 

コクウ「まぁ、そのへんは説明する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そういう感じで着任から起床までにあったことをさっくりと説明された。

 

 大体の流れとしては、着任時に凶化状態ブレイクモードだったため天龍に斬られて前のめりに倒れ、倒れた先で目にマデュライトの破片が刺さった。それにより失明し、傷も深めだったためコクウがこの部屋に運び込み、シエルが治療してくれたそうだ。目が治ってなかったのは(シエルが)気付いてなかったからだという。

 

 俺をここに運んでからは、結構な物資が届いたことと、夜に雷雨が降ったことくらいらしい。

 

 

 

ユウ「OK、理解した。あと腹減ってきたんだが朝飯は出来てるのか?」

 

 

 

コクウ「ああ、大して人数いない事もあってそこまでの量は作られてないが、食堂にあるぞ」

 

 

 

ユウ「了解。だが、移動するには皐月を起こさにゃならんから起きるまで空腹に耐えるとするかね〜」

 

 

 

 そんな会話をしていると、皐月が目を覚ましたらしく、大きな欠伸をしてから再び腕にしがみついた。

 

 俺の腕は抱き枕じゃないんだが······別に良いけどさ。

 

 

 

コクウ「待つのならこの後やる着任挨拶とかの計画立てるぞ」

 

 

 

ユウ「了解。でも起こさないように静かに話そうな?」

 

 

 

 こうして寝ている二人を起こさないように計画を立てていたが、それは即時で終わったので皐月を撫でながら雑談をしていると、「うみゅぅ」と言う声と共にモゾモゾと動き始めた。

 

 

 

ユウ「おはよう。皐月」

 

 

 

皐月「ふぁ〜、おはよう。コクウ······って司令官!? 勝手に司令官の布団に入っちゃってごめんなさい!!」

 

 

 

ユウ「気にするな。むしろ暖かくてよく眠れたから助かったよ」

 

 

 

 そう言って頭をポンポンと撫でると、皐月はシュンとした表情になる。

 

 

 

ユウ「俺はまだ着任してないから提督じゃない。······まあ、ともかく気にすんな!!」

 

 

 

コクウ「むしろユウの場合、嫌だったら振り解くとかして逃げてるから。

 

 振り解かずに撫でてるって事は多分どっちかというと喜んでるぞ?」

 

 

 

皐月「そうなの? ってコクウ!? いつからいたの!?」

 

 

 

コクウ「お前が起きる前からだ。

 

 ······それにしても皐月撫でてるときのお前慈愛に満ちた表情してたな」

 

 

 

皐月「そうなの?」

 

 

 

ユウ「知らん。そんなことより飯が冷めるから食べに行くぞ! 五月雨も起きてるしな」

 

 

 

 五月雨の額に軽くデコピンをし、頭に手を乗せる。すると、「気付かれちゃってましたか〜」と起き上がった。

 

 

 

ユウ「雑談の少し前から起きてたんだろ? 心拍数と呼吸。あと『意識の色』で分かった」

 

 

 

五月雨「『意識の色』? なんですかそれ」

 

 

 

ユウ「簡単に言うと感情だ。安らぎだけだったのに不安と興奮が少し混ざったから分かった。

 

 ······そんなことより朝飯食べに行こうぜ? 腹減った」

 

 

 

コクウ「まあ、そうなるな。冷める前に食べた方がシエルも嬉しいだろ」

 

 

 

 そうして布団から出て着替えた後各自で食堂に向かって歩いて行った。

 

 

 

 




 2話終了です。
 この話書き始めてから終わるまで一ヶ月くらい掛かってる気がします。
 自分の技術が低すぎて恨めしくなってきますが、区切りまではやり切ろうと思っているので、読んでくれてる方はアドバイスやダメ出しして頂ければと思います。
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