第二次月戦争後   作:しゅば犬

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SRF(セレーネ地球奪還軍)721特別攻撃隊に所属するラルフ・カニンガムは最後の降下作戦を成功させ、更に自軍のE.O.S.無人戦闘機の為の戦闘データを取られ標的にされるも全て撃破、全ての指揮をとる人工知能を搭載した衛星ヒュペリオンも撃墜した。ゾードム軍、セレーネ軍両方を壊滅させた彼は両軍から狙われることとなった。ただ一人、ヒュペリオンと対峙する前にエンディミオンMk.Ⅱにブースターを付けてくれたメカニックは彼を匿って物資の補給をしてくれた。ラルフは作戦に志願した時に恋人ミリアムと仲違いして寄りを戻したいと考えていたが残党に追われる日々だった。そんなある日の事。


あらすじ

2246年 12月6日

 もうすぐあの降下作戦から1年になる。

俺が指導部の連中にそそのかされ志願してしまった降下作戦。あの時の俺はどうかしていた。洗脳されていたと言ってもおかしくない。

 俺は軍を抜け地球で暮らしていた。裏切ったセレーネ軍を壊滅させ衛星ヒュペリオンを落とした俺に月に居場所は無かった。戦犯として指名手配されていた。恋人のミリアムも俺に愛想を尽かしどこかへ行ってしまっていた。俺は当てもなく指導部の言っていた緑溢れる聖地を探していた。ミリアムは植物が好きだったから見つけたら一緒に暮らせる気がして。度重なる戦争で地球に緑は少なかった。見つけても核兵器の影響で奇形の気色悪いものや枯れかけたものばかりだった。

 エンディミオンMk.Ⅱに乗って旅をしていると敵の残党に会うことが度々あった。

 

 ある日、前方にエンディミオンMk.Ⅱを発見した。俺は目を疑った。コンタクトを取りたくて俺は通信を入れた。

「「お前はセレーネ軍か?」」

 驚いた。同時に同じ事を喋るなんて。

「俺はセレーネ軍じゃない。ラルフ・カニンガムだ。」

「何だって…?俺はセレーネ軍のラルフ・カニンガム…俺がもう一人?いや、お前が指導部の言っていたもう一人の俺?」

「お前何言ってるんだ?」

「お前を殺す。ミリアムが人質に取られてるんだ。」

「何だって!?」

 

 戦闘はなかなか決着が付かなかった。気がつくと2日経っていた。眠気が酷いので停戦を申し出た。向こうも限界のようだ。

アインハンダーから降りてスーツを脱いだ彼の頭には遠隔操作の為の機械が付いていたので銃で撃ち抜いた。死んだと思ったが起き上がり、ありがとう、と言った。どうやら機械の所為で脅迫性障害を起こしていたようだ。

機械の外れた彼はとても美しい顔をしていた。

「お前の事、なんて呼んだら良い?」

「…そうだな。俺がラルフ・カニンガムじゃない事は薄々気付いてたんだ。識別番号は覚えづらいし、エンディミオンで良い。陰でそう呼ばれてた。俺はエンディミオンMk.Ⅱのパーツに過ぎないからって。」

「パーツって…それで良いのか?」

「良いんだ。身の程を弁えたいから。俺は人造人間なんだから。」

 

 そしてミリアムが人質に取られているらしい月面基地アルテミスに二人で向かう事にした。手分けして探す事にして、基地を飛び回った。そこには大量のE.O.Sとアインハンダーがいた。

エンディミオンと同じ俺の人格を移された兵士達だった。無人戦闘機のE.O.Sまで人格が移っていた。

「彼女を…助けてくれ…」

 彼らの意志を継ぎ、彼らを操る司令塔を壊しに深層へ。巨大なクレーターのようなアンテナがそこにあった。ドローンが飛び回り、必死にアンテナを守る。司令塔の人工知能ヘカテーから通信が入りミリアムの場所が伝えられた。アンテナの中心に爆弾と共に囚われているらしい。つまり壊せばミリアムも死ぬ。

 

 エンディミオンが合流した。敵も無尽蔵ではない。何時間掛かろうと彼女を救い出してみせる。司令塔の人工知能ヘカテーは時限爆弾をセットし戦闘データを取っていた。

ブレーカーをエンディミオンに壊されて演算能力が落ちた所為で敵の動きが鈍くなっている。

爆破10分前。ようやく敵が少なくなり、着陸出来た。エンディミオンは残りの敵を片付ける事にした。ミリアムはロックのかかった檻に入っていた。

「ラルフ…?」

「久しぶりだな。今開けるからちょっと離れてろ。」

小型の爆弾で扉を壊した。

「ラルフ…!会いたかった…!」

「俺もだ。元気だったか?」

「全然元気じゃなかったわよ!私の為に沢山のホムンクルスとかゾンビが殺し合ってて、鬱になる所だった!」

「早く出よう。もうすぐここも爆発する。」

 ヘカテーは人間の脳に機械を植え付けて支配していた。ゾンビ状態の研究員を銃で倒しながら停めてあるアインハンダーに乗り込んだ。ミリアムに予備のパイロットスーツを着せてコックピットに二人乗り込んだ。そしてエンディミオンと爆発する瞬間脱出した。

 

 ミリアムと会わせるとエンディミオンはミリアムを抱きしめた。

「幸せになってくれ。」

そう言い残すと彼は立ち去ろうとした。

「何処へ行くの?」と彼女が尋ねると

「俺はラルフに勝てなかった。

軍に戻ってもまた改造されて洗脳されるだけだ。どこか居場所を探すさ。」

「此処に居れば良いわ。」

(……嫌だ。俺はミリアムと二人きりでなければ嫌だ。

俺がラルフのはずだった。

俺はラルフ・カニンガムのはずなのに身体はホムンクルスだ。

嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤだ)

振り返りラルフの目を見て言った。

「俺を殺してくれ。」

「は?」

「俺を殺せないなら俺に殺されてくれ。

そして俺がラルフ・カニンガムになる。

殺し合うならアインハンダーに乗れ。」

「断る。」

「は?」

「お前はラルフ・カニンガムじゃない。

記憶と人格を与えられて混乱してるだけだ。

俺が元に戻してやる。」

「お断りだ。俺はミリアムとの思い出があったから生き残れた。

記憶の操作なんて素人に出来ない。」

「ショック療法でもなんでも使ってやるさ。

医療費も幾らでも出してやる。戦争で儲かったからな。

精神薬でも飲んで少し落ち着け。」

「分かった…一週間だけだぞ。

一週間経って何も解決しなかったら俺は出て行くからな。」

そうしてエンディミオンと共に暮らすことになった。

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