アラサーエリちとお姉ちゃん大好き妹亜里沙   作:のののえみ

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そして絢瀬絵里は神と出会う

 荷物を運搬するように女の子を担ぎ上げ、米俵でも抱えているのかと勘違いした生徒多数――それでも何をしているのかと疑問に思うと、行き倒れの女の子の診察を終えた真姫は言い放った。

 

 倒れていた女の子を観、これは人手がいると察する絢瀬絵里は真姫に「手が空いているお医者さんとかいない?」と声をかけ、当然彼女に「なんでそんなもんが必要なのか」と問われ「他言無用、くれぐれも内密に」と勿体ぶり「女の子を拾った」と返答した。

 

 「状態は?」「どうして?」等の予測された質問をすっ飛ばし「美少女?」と問われた私は「美少女」と返答すれば「なら私が行く」と。

 

 暇してたからと言う割には外向けの洒落た格好をしているので「もしかしてデート?」言ったら「そうだと言ったら嫉妬してくれる?」と返され、恋人作りに先を越されれば、当然私に限らずμ'sのメンバーは悔しく思うと予測されたので「嫉妬しちゃうわね」と事も無げに言ってのければ、真姫は「その答えを待ってたのよ」と言わんばかりに嬉しそうな表情を浮かべて「メス」と言った――何をするつもりなのか、外科手術はアナタの専門ではないでしょうに。

 

 そもそも医者の娘ではあっても、医師免許を持っていないので、メスを用いて外科手術なんぞを行えば「何してるのよ真姫ちゃん」では済まされない。

 だけども、医者になるための勉強はしたそうなので、簡単な状況把握ならできると私も思ったし、照れ隠しでメスを要求したけど、取り出されたらどうしようかと思った――とは、真姫の談。

 

「道に生えている草を食べて、あまりの不味さに倒れたようね」

「ワケありと思いきや」

 

 どこかから逃げ出してきた、とか、悪い人に追われているとか、様々な想像がなされたものの、栄養不良や外部的要因により倒れていたコトがなさそうなのでひとまず安心。

 

 が、困り果てて道に生えている草をはんだコトには疑問を呈したい、ちゃっちゃか作り上げたおうどんを貪るように食べている女の子には悪いけれども、事情聴取の時間である。

 

「わだすは――東京さ出て、イメチェンってやつをしようと思ったとよ」

 

 「ん?」みたいな表情を浮かべたのか、それを観た真姫が実に面白いものを観たと言わんばかりに吹き出す。見た目は抜群でおしゃれで可愛らしく、スクールアイドルとしてステージに立てばさぞかし耳目を集めん美少女なのに、口調からか速さか理由が分からないけれども、言葉の意味を慮るのに時間がかかった。

 

 なお、真姫も口調の独特さには簡単な質問をした際に把握しており、絵里の驚く顔が見たかったとは彼女のセリフ。

 

「昨日さ、この学園の試験を受けて、緊張で問題解いたんだか、なんだかわからなくなって、落ちてしまったら、村さ帰るの恥ずかしくなってしまって」

 

 責任感が強かったんでしょう――口調からは分かりづらいけれど、期待に沿いたいと願い、沿えないと感づくや申し訳無さで一杯になり、熱暴走を起こしたCPUがフリーズするように思考停止状態。

 そこから不慣れな都会を歩き回り、お腹が空いて食べた草が死ぬほど美味しくなかった――それはきっかけに過ぎないにせよ、疲労は溜まっていただろうし、悪い人に見つかっていたらと不安にもなる。

 

 この学園に入学するしないはひとまず置いておいて、親御さんか彼女の保護者を見つけ、不安がらせるなと口を酸っぱくして言うか。

 

 ひとまずは合格発表までは時間があると伝え――

 

「ああ、ところで保護者さんはどこ? 連絡しておかないと」

「あー、昨日から電話が通じんで、何百年ぶりの都会で興奮してしまったのかもわからんね」

 

 真姫共々首を傾げる――耳に入った言葉は「何百年」だったけれど、何百年単位で生きる人間がいるとも思わない。

 おそらく聞き間違いだと見当をつけ、それよりも都会に来た興奮から彼女を放ったコトに憤りを覚えた。

 

 一目散に真姫は「もしもし凛? 暇かな?」とμ'sきっての武道家の凛にスマホで声をかけ、さらには続けて「果南と曜のどっちかに連絡つかない?」とダメを押さんばかりに交渉している。

 

「ええと、栞子ちゃん」

「はい?」

「ちょっと保護者さんに連絡してもらっていいかしら?」

 

 彼女に連絡をして頂いているさなか、この手の事情には一番明るい、性格の矯正には一日の長がある園田さんに私から連絡を取る。

 

 彼女の保護者だというヒトに面会する一同は「どうやってコトの重大さを把握させてやろう」と言わんばかりに牙を研ぎ、人目に触れるとまずいのでと説明する栞子ちゃんの言葉に、こんな良い子を放っておくような人間だからとアタリをつけた。

 

 凛は短い時間の栞子ちゃんとの交流ながら、久しぶりに絵里ちゃんじゃない人を殴れるんだねとテンションが上り、海未も「世の理不尽です、いたいけゆえに傷つかなければならないとは」と、一発でほだされた。

 

 ワザワザ事情を伺って、内浦から遠征しに来てくれた果南ちゃんやダイヤちゃんも「殺さない程度に」「分かってるって」人体に叩き込まれたらタダではすまないパンチの素振りを繰り返している。

 

「もぉ、まーちゃん、わだすさ放っておいてどこさ行った!」

「すまんすまん、久しぶりの都会に興奮しちまって……」

 

 よし、一発ぶん殴ろうと全員で振り向いた瞬間、ダイヤちゃんは顔面蒼白になってそのまま昏倒し「わー、凛は真姫ちゃんからクマが相手だって聞いてないにゃー」と高校時代を彷彿とさせん口調でつぶやき。

 海未は果南ちゃんの背後に隠れ、果南ちゃんは私をシールドにし、小声で「食べるんだったら絵里ちゃんからでいいよね」と。

 

 真姫は仕事の都合で名残惜しそうに退場したけれども、彼女にはぜひ絢瀬絵里の蛮勇を生き残りのメンバーに伝えて欲しい。

 アイツがアホだったから、μ'sやAqoursのメンバーに欠員が出たと――

 

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