アラサーエリちとお姉ちゃん大好き妹亜里沙   作:のののえみ

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かのん「ちぃちゃんは私に試練しか与えない」

 もう少しで生徒会選挙なのに、スクールアイドル同好会はライブを行うことになりました。

 絵里さんから「そういうことだから」とツバサさんに告げられて「分かった、かしこまり」と彼女が応じ。

 

 「そういうことになったので」とツバサさんからニコさんへ連絡が入り「あい分かって候」と答え――またしても何も知らない鹿角理亞さんは「え?」と「同好会でライブをやってね」なんてニコさんに言われた時に、口を開いてぽかんとしました。

 

 ともあれ、R3BIRTHの三人は選挙の準備のために欠席……になってるけど、小テストでとんでもない点数を取ってしまったランジュちゃんの影響も大きい――でも口には出さない。

 

 理事長の機嫌を損ねて「天王寺さんは転校することになりました、天王寺だけに」と、情報処理科のクラスメイトが全く面白くないギャグをきくイベントは避けたい。

 

 璃奈ちゃんボードのメンテもちょうど終わったとこだし、さらにバージョンアップした天王寺璃奈を何のみんなにお見せしたい。

 

「いい感じだよ、ボードをつけている分、首に負担が多いと思うから、ケアはしっかりとね」

 

 同好会の一年生だけで(R3BIRTH欠席)ライブをするのかと思いきや、Liella!から一名、嵐千砂都ちゃんがステージに上がることになってる。

 

 元々ダンスで結果を残していたこともあって、学園祭成功に向けてのPR活動に余念がない――

 

 そう、同好会と同じようにソロステージを行うことによって、唐突にラブライブ運営から「出場校が多すぎるのでラップを入れてください」とか「独唱パートを取り入れてください」とか無茶ぶりされた時にも対応できるように……その可能性って想定しておいていいのかな?

 

 

 ともかく、Liella!ではソロで活動しても問題がない千砂都ちゃんが結ヶ丘女子高等学校およびグループの宣伝大使として、今度も神津島に新しくできたスクールアイドルグループとライブをするとか。

 しずくちゃんが「誰かに失言をしたから島流しされるんじゃないよね?」と不安になったけど、私もかすみちゃんも否定できなかったから困る。

 

 今日も元スクールアイドル、μ'sのメンバーだった東條希さんと南ことりさんがボディーガードとして警備の手伝いをしている。

 ことりさんには「じゃあもうおばさんってことなんですか?」で八つ裂きにされそうになったことがある。

 

 希さんは今回三つ編みスタイルで来訪し、ことりさんから「絵里ちゃんに説教されてちびったやつとは思えないね」と煽られてた。

 前々からニコさんと絵里さんとは長い時間交流する機会があって、希さんは限られた数しかなかったけど、μ'sの三年生組の中では子どもっぽい人、だと考えていた――しずくちゃんやかすみちゃんも同じ意見だった。

 

 てなもんだから、千砂都ちゃんが「あ、希さんには熟女オーラが漂ってますね!」とか失言するかと思ってた。

 

 なのに、 しずくちゃんのステージ衣装の乱れはそれとなく直し、かすみちゃんには煽りを入れて気合を入れさせ、私には「大丈夫絶対成功するからね」とケアをしてくれる。

 

 千砂都ちゃんの中に別人格でも宿ったみたいに「お邪魔させていただいた身だから」と言われる前からスタッフやボランティアの人たちの手伝いをする。

 

 さらには結ヶ丘女子高等学校およびゆいがおーの宣伝までして、ライブパフォーマンスでは「すごい」としか言いようがない別格の姿を見せた――ランジュちゃんや愛さん、果林さんのあとにステージに立ったこともあるけど、同じくらいすごいんじゃないかって。

 

「今日はかのんちゃんがいないからね」

「ことりさん?」

「どうにも、あの子には私たちも把握していない、普通じゃなきゃいけない理由があるみたい……さ、そんなことは気にせずに行ってきな」

 

  たしかにかのんちゃんはやたらと普通を強調する機会が多いけど……でも、自分のステージに集中しなきゃいけない、今日のライブは自分を待っている人だけじゃないから。

 

「ぷっ」

 

 吹き出すような声が耳についた、心にまとわりつくみたいに、BGMがかかりそうになったけど私の様子に気がついた誰かが一瞬で止める。

 危ないところだったと思う……曲が始まってもそのまま棒立ちになっていたかもしれない、それくらい嫌気が心の奥底……外から何とかしようと思ったところでどうにもならないところが痛みを発した。

 

 なにか声を出さなきゃ、と考えるけど、何かが重しになって口から言葉が出てこない、やらなきゃやらなきゃって焦るけど……

 

「できないことを笑うな!」

 

 私の動揺がステージの下にいる人たちに伝わって、ざわめきとなる、中にはこちらを面白そうに眺めている人もいる。

 今すぐにでも始めなきゃ迷惑をかけちゃうって考えれば考えるほど、一歩目を踏み出すのをためらっちゃう。

 

 そんなとこだった、さっきまでステージに立っていたはずの千砂都ちゃんが、私を守るように前に立ちもう一度。

 

「このボードは……璃奈ちゃんボードは、彼女の大きな武器! 彼女にしかない個性! それを見て笑うなんてあなた達には人としての心がない!」

「千砂都ちゃん……」

「できないことがあってもそれを武器にして誰かと楽しもうとするなんて、そんなのすごい強いじゃん! それをできないから笑うなんて、絶対におかしいじゃん!」

 

 震えてしまった、今までのことがあってもなくてもすごくかっこいい。

 

「さあ、始めよう! 璃奈ちゃんのステージ! あなたにだけしかできない最高のステージ!」

「うん!」

 

 千砂都ちゃんが差し出す手を握り返して、私は大きな声で叫んだ。

 

「私は! 誰かから見て普通じゃないかもしれない! 変わってるかもしれない! それでも! みんなと繋がりたい! 私のことを指差して笑う人とだって、繋がれるって信じてる! できないことがあってもできることは他にもあるんだってみんなにも知ってほしいから! 聞いてください! ツナガルコネクト!」

 

 その日のステージはそれぞれがソロライブ、の名目で執り行われるはずだった。

 

 ソロライブを期待してくれたのに、と不安になったけど、他校や同学年とのコラボはいっぱいしてほしいと歓迎の声がたくさん聞かれた。

 

「いやぁ、あの日の希さん、本当に熟女妻って感じで……爛れたっていう表現がよく似合う美しさでしたよ~!」

 

  後日、この時のステージについて尋ねられた千砂都ちゃんが発言し、この喋りを聞いていたLiella!も神津島送りにされました――やっぱり島流しだったのかな……?

 主役としてすごくかっこいい姿を見せていたと思ったのに、あの時の千砂都ちゃんは自分が見た幻だったり?

 

「できないことがあってもいいよ、他にできることを探そうよ。たくさんのことができるはずなんだよ。

 心の問題に向き合って、これからも付き合おうとする璃奈ちゃんは本当に偉いよ、心の底から尊敬する。

 私も頑張らなくちゃって思う……そしたらきっとかのんちゃんも、問題を無理に解決しようとしなくていいって気が付いてくれるから」

 

 希さんの計らいで二人きりになった時に千砂都ちゃんが本音を出してくれたような気がするんだけど……少なくとも希さんにロメロスペシャルをくらっている姿からは「幻だったのでは?」と結論付けたくもなる。

 

 

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