アラサーエリちとお姉ちゃん大好き妹亜里沙   作:のののえみ

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そして絢瀬絵里は管理人としての生活が板につく

 三船栞子ちゃんが高校に合格するまでの間――もちろん、1年後の受験も視野に入れてだけど、絢瀬絵里のお手伝いとして働くことになった。

 寮の管理人の仕事をしながら彼女の調子を眺めていると、学生たちには「わだす口調」の「純朴ガール」がお気に召したようで、特にエマちゃんに「故郷の羊さんに雰囲気が似てるよ」とご好評だ。

 

 一方、唐揚げでさえ好き嫌いがあるのだから、誰しもに可愛がられている栞子ちゃんを苦手にしている人だっている――意外だったのは、果林ちゃんだ――一目顔を見た瞬間に「仕事の都合があるので」とエマちゃんに応対を任せて引きこもり。

 

 食事の際も交流は少なめだ――エマちゃんも首を傾げている。私みたいに大切な彼女に憧憬を向けられた嫉妬でもない。

 

 それは一度置いておき、私は寮の管理人を順調に勤めている――自分にこんな適性があったのかと驚いた――なんと教師の方々からもご好評だ、理事長から褒められてしまった。

 

 授業中に居眠りをする寮生や、早弁や間食をする子が一人もいなくなった――おそらくそれは、私が額に汗をかきながら、一生懸命食事のメニューを調整した結果――かもしれない。

 

 突然その子が勉学に目覚めた可能性もあるし、私の努力は何一つ関係ないかもしれない。

 居眠りをする子が減ったのは、私が夜な夜な起きだして、親元を離れて不安に思う学生の相談を乗ったり、夜眠れない子に甘いものを作って食べさせたり――まあ、それも大いに関係がないかもしれない。

 学生と距離が近いのが、良い方向にも悪い方向にも向かい、今はたまたまいい方向に向いているのかも。

 

 仕事に励んでいるので「なぜ相手をしない」と仕事の糸目を見つけにやってきたツバサが「絵里ちゃん」呼ばわりされてる現場を見て「学生と距離が近くて楽しそうね」とキレ。

 

 寮の女の子達に向かって「私もちゃん付けで呼んでくれていいのよ」と、 上から目線で言い放ったのだ。

 

 さすがにトップアイドルに対して「ちゃん付け」は憚られたのか、困り顔を見せるみんなに対し「私と同じように無理難題を押し付けるんじゃない」と助け船を出そうとしたら。

 「分かった!」と、遠くからエマちゃんが乱入してきて「どうぞよろしくツバサちゃん!」と言い放ったものだから、一気に風向きが変わった。

 

 ちゃん付けで呼ばれ、よもや距離を近づけられると思ってなかったツバサは、自分よりも背が高く、胸の大きさもエベレスト級なエマちゃんに思わずたじろいでしまう。

 

 エマちゃんに同調するように寮生たちも「ツバサちゃん」「ツバサちゃん」と連呼、助け舟を出すのが学生たちではなく綺羅ツバサになってしまったのは――やはり、人を自分の思う通りにすると反発を生むってことか。

 

 「あんまり人を困らせるんじゃないわよ」私なんぞの忠告にも「その通りね、反省するわ」と苦笑いしながら首肯してくれた。

 

 ツバサに「誰にも言うんじゃないわよ」と言われて、このエピソードの詳細は墓場まで持っていくつもりだったのに、エマちゃん→栞子ちゃん→理事長→ことりママンへと伝播し、 流れに流れてA-RISEの二人に知られることになる。

 

 全くその流れに携わってなかった私が後日「英玲奈に絵里以外に無茶を言うのはやめろと言われたんだけど 」と、ツバサに胸ぐらを掴み上げられ「関知しておりません」と否定したけど、否定したい事柄は他にもある「私にも迷惑をかけないでほしい」――が、関知してないのも、疑わしいようでなかなか信じて頂けず。

 

 追求に時間がかかったせいか「トップアイドルが寮に来ている」と耳にしたエマちゃんが吶喊してきて「何してるのツバサちゃん、そんなことしちゃだめだよ!」と。

 

 サインをもらいに来たのに、トップアイドルが管理人の胸倉を掴み上げている現場に遭遇し、つい実家の妹や弟たちをたしなめるように「そんなことしちゃダメ」と言い放ち、あまりの勢いに言われた側も「分かりました!」と一発で束縛を解いた。

 

 付け加えられるように「暴力で物事を解決しちゃだめだよ」と10も年下の女の子に窘められ「ツバサちゃん」は、他の学生と一緒になって夕食を摂り、お風呂にも一緒に入り、管理人室で寝た――追い出されるかなって思ったけど、一緒のベッドでと言うので、外で寝るよりはマシか、と。

 

 ケド、やはりこのイベントも、エマ→栞子(以下省略)のラインでみんなに知られ「寮に遊びに行けば絵里と一緒に眠れるのか」と勘違いした面々が続々とやってきて、キレた理事長が「社会人だったらちゃんとアポイントメントを取ってから来なさい」なんて。

 

 

 前置きが長くなってしまったけど――そんなことがあったものだから、知り合いが寮にやってくることはあるまい。

 

 と、勝手に思っていた――思っていたからこそ、朝、目を覚ました時に枕元に高海千歌ちゃんが立っていてしこたま驚いた。

 「うわぁ!? 幽霊!?」って言ってしまい「大丈夫です、生きています、ちゃんと足ついてるでしょ」と彼女に苦笑いされながら言われた。

 

 

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